エンパイアウォー㉛~水底のたからもの
●これまでのあらすじ
関ヶ原を発った徳川幕府軍を迎撃しようと瀬戸内海で待ち構えていた村上怨霊水軍は、猟兵たちの手によって完膚なきまでに壊滅させられた。
幕府軍は無事に島原へと辿り着き、「首塚の一族」と共に魔空安土城の防護を打ち砕くことだろう。
そして、戦乱の過ぎ去った海には、沈められた船だけが残っていた。
●グリモアベースにて
「みんなーっ、連日の戦いお疲れ様っ! おかげで村上水軍を完璧にやっつけることができたね☆」
北千住・ちくわちゃん(愛よりもいいねが欲しい・f17794)が、集まった猟兵たちを労いながら話を続ける。
「それでね、みんなにはもう少しだけ瀬戸内海でお仕事してきてほしいんだよね。次のお仕事は……名付けて『巨大鉄甲船引き上げ作戦』!」
戦場となった瀬戸内海には、猟兵たちの手によって沈められた巨大鉄甲船がまだ残っている。
これを回収するのが、今回の作戦である。
「この巨大鉄甲船は、日野富子がすごい予算をかけて作ったスペシャルな船なんだよ。改造すれば商船に軍船に外洋船に……使い道は無限大☆ ってことで、みんなで力を合わせて引っ張り上げてきてほしいんだよね」
全長200m、全幅30m。
これほどまでに巨大で頑丈な鉄甲船を一人で引き揚げるのは、どんな力自慢でも難しいだろう。
だが、各々が持てるユーベルコードや技能の限りを尽くし、皆で力を合わせれば、きっと水底に眠る船を救い出すことができるはずだ。
「引き揚げられなかった船は……残念ながら、そのまま海の藻屑になるだけなんだよね。そんなのもったいないと思わない? だから、がんばろっ☆」
明るくエールを送るように、ちくわちゃんは猟兵たちを海へと送り出すのだった。
椿初兎
椿初兎です。
よろしくお願いします。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●作戦について
参加者全員で力を合わせて、一隻の船を引き揚げていただきます。
船を直接持ち上げるもよし、周辺に飛び散った破片などを回収するもよし、引き揚げ計画を立てたりしてみるもよし。
引き上げ船の修復や使い道などは、引き上げる事が出来た隻数(タイトルに「エンパイアウォー㉛」と付いているシナリオの成功数)に応じて、幕府などが協議して決定するようです。
プレイングお待ちしております。
第1章 冒険
『巨大鉄甲船引き上げ作戦』
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POW : 重量のある船体部分などを中心に、力任せで引き上げる
SPD : 海底を探索し、飛び散った価値のある破片などを探し出して引き上げる
WIZ : 海底の状況や海流なども計算し、最適な引き上げ計画を立てて実行する
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ワープした猟兵たちが降り立ったのは、ある岬の上であった。
眼下に広がる海には船の破片や敵軍の装備品と思しきものが浮かび、さらにその底には黒い影――恐らくこれが鉄甲船だろう――が沈んでいるのが見える。
どうやらお目当ての船はそう深くないところに沈んでいる様子。
海上に浮かぶ破片をかき分ければ、岸まで引き揚げるのはそう難しいことではなさそうだ。
サリー・オーガスティン
【SPD】
■心証
ボク自身は非力だし、海中で力任せはちょっと心配だ。
まずは、鉄甲船の状況を確認してから、引き揚げるほうが楽かな?
■引き揚げ計画
【武器改造】でドローンを海中仕様に改造するよ
【地形の利用、追跡、情報収集、操縦】で
船本体を引き揚げるのに邪魔しそうな、艤装や地形、重量物を可能ならば
船内も併せて確認だ!
もしも軍資金として使用する予定だった、価値のあるものあったら、まずは引き揚げる。
(重量が大きければ、合体させて出力UPだ!)
そして本格的に船を引き揚げる仲間に役立つよう、海図を【コミュ力】で伝えよう
※連携、アドリブ歓迎
「さぁ、飛べっ! じゃなかった、潜ってこい!」
サリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)が、ユーベルコードで呼び出したドローンたちを海中へ送り込んだ。
岬から見える水底の船影は、彼自身が直接動かそうとするには余りにも大きく重そうだ。
ならば……ということで、サリーは海中仕様に改造したドローンの力を借りることにしたのだった。
「ええと……進行方向はこっちにするのがベストかな。だとするとこの柱が邪魔になりそうだから……」
カメラからの映像を海図と照らし合わせながら、サリーはドローンに指示を出す。
船体に引っかかっている障害物や岸へ押し上げるのに邪魔になる石などをどかしながら、後続の猟兵たちのためになるよう海図に印を入れていった。
ついでに船内も確認し、屋根や壁など重量のあるパーツの残骸を先に引き揚げ少しでも軽量化を図っていく。
「よし、これでみんなが引き揚げやすくなったかな。……ん?」
船の傍にまだ何か大きなものが落ちていることに、サリーはカメラを通じて気付いた。
ドローンを近寄らせてよく見てみると、それはほぼ無傷の大砲の砲身であった。
「これはすごく価値があるんじゃないか……? みんな、合体だ!」
ドローンを合体させパワーを増し、砲身を岸へ引っ張り上げる。
財の限りを尽くして作られた大砲の砲身は、国の防衛力を更に上げるための良い研究材料となることだろう。
大成功
🔵🔵🔵
アーサー・ツヴァイク
※何でも歓迎、🔵過多なら不採用可
【POW】判定
ふむ…大物を引き上げる前に一仕事しておいた方が良さそうだな。
【フルスピード・スカイドライブ】で海面近くを走行しつつ、【怪力】を活かして船の破片やら何やらを片っ端から拾い上げて掃除していくぜ。邪魔なものは岬の上に纏めておいて、後で使えそうなものが無いか【失せ物探し】でもしておくか。
人数が揃ったらもう一回【怪力】を駆使して、鉄甲船を引き上げよう。宇宙空間でも動ける【シューティングギャラクシィ】フォームなら、海の中でも動けたから、海の中から【気合い】を入れて持ち上げてやるぜ!
フィロメーラ・アステール
「コイツは大物だな!」
ホネの折れる作業になりそうだぞ!
力を合わせて頑張るしかないな……!
ここは【煌天つまびく無窮の星琴】を使うか!
光の糸に【オーラ防御】の力を練り込み補強!
【アート】の技法で網を編んで、破片とかを回収するぞ!
場合によっては引き揚げ用のロープとしても利用できる!
そーれ【投擲】で投網アタック!
【グラップル】で見事にフィッシュ!(魚ではない)
ただし手繰るのは【気合い】が9割!
もし手伝ってくれる人がいたらありがたい!
船の引き揚げに入ったら【空中浮遊】の【全力魔法】で支援!
コイツを船にかけてやれば……いや、飛んでも困るけど!
多少は軽くなるんじゃないかな?
「コイツは大物だな!」
水底に広がる黒い影を見下ろし、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が声を上げる。
人間から見ても途方もない大きなの鉄甲船である。フェアリーの彼女から見れば尚更のことであろう。
「ふむ……大物を引き上げる前に一仕事しておいた方が良さそうだな」
一方、アーサー・ツヴァイク(ドーンブレイカー・f03446)は仲間から預かった海図と眼下に広がる光景を見比べ、次にやるべきことを思索していた。
水面には折れた木材や破れた帆布が散らばり、このままでは引き揚げ作業が難航しそうだ。
「よし、引き揚げ前に大掃除といくか!」
「力を合わせて頑張るしかないな……!」
二人は二手に分かれ、まずは散らばる残骸を片付けることにしたのだった。
「行くぜ、ライドラン!」
水面ギリギリを愛機で駆け抜けながら、アーサーは破片を拾い集めていた。
自慢の怪力を活かし、両手いっぱいの木片を抱えては岬の上へ積み上げていく。
「何か使えるものがあれば良いんだけどな」
あとで選り分けようと思いながら、今はとにかく拾い集めることに集中。
音速のライドランは海上を縦横無尽に駆け回り、残骸で埋め尽くされていた水面はみるみるうちに片付いていったのだった。
「奏でろー!」
フィロメーラが両手を広げると、きらきらと輝く光の糸束が滝のように伸びる。
魔力を込めながら器用に糸を繰り編んでいくと、みるみるうちに大きな網が出来上がった。
「そーれっ!」
全身を使って助走をつけ、投網の要領で光の網を海面へ広げる。
網は水面いっぱいに広がり、破片を纏めて包み込んでいった。
「よーし大漁大漁。さて、こっからは……気合いだー!」
全力で引っ張り上げるように、フィロメーラは網を手繰り寄せようとする。
だが、水を吸った木片や布片を大量に絡め取った網は、フェアリー女性の腕力で引き上げるには重すぎる。
「うおぉぉぉ! 気合いだ気合いだ気合いだー!」
「随分重そうだな。俺も手伝うぜ!」
自分の持ち場を片付けたアーサーが加勢し、二人で網を引っ張り上げる。
こうして水面は綺麗になり、引き揚げ作業の邪魔になるものはなくなったのだった。
そういうわけで、引き揚げ作業である。
「変身っ! シューティングギャラクシィフォーム!」
アーサーの身体が光に包まれ、宇宙戦闘用フォームへと変身。
一気に水底まで潜ると、鉄甲船の船体に手をかけた。
「あたしも援護するぜー!」
フィロメーラが水面にキラキラと魔法を振りまくと、船体が数センチ程度浮き上がった。
「助かるぜ! よし、このまま岸まで持っていくぜ!」
たかが数センチ、されど数センチ。
海底面の抵抗がなくなり軽くなった船を、アーサーは気合いの続く限り岸へ向けて押し込み続けた。
船が岸辺に引き上げられるまで、あともう少し。
大成功
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トリテレイア・ゼロナイン
サルベージ作業というのは慣れてはいませんが……
海の藻屑とするには勿体ない話ですね
それに、「過去」の先兵となった鉄甲船がエンパイアの「未来」を作る……
中々浪漫があるではありませんか
UCの追加装甲を装備しつつ●防具改造で耐水性を強化
水中に潜水し、岸へ向かいつつある船に取りつきます
ワイヤーアンカーを●ロープワークで取り付け、UCのスラスタを起動
私のような重量物でも飛翔出来る程の推進力です。船を動かすには十分なはず。●怪力も併用しながら事故防止の為、慎重に加速しながら船を引っ張りましょう
元は軍船ですが、叶うならば戦に使われず活躍してくれると嬉しいですね
騎士も兵器も出番が無いことが一番望ましいのですから
「なるほど。確かに、海の藻屑とするには勿体ない話ですね。それに……」
トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、先の戦で相見えた鉄甲船の姿を思い起こす。
今を生きる猟兵たちに撃破された「過去」の先兵。それがエンパイアの「未来」を作るのだと思えば。
「中々浪漫があるではありませんか」
それはとても素敵なことなのだと、失った記憶の欠片が告げているような気もして。
船の行く末に思いを馳せながら、トリテレイアは外套のような装備を広げ海中へと向かった。
扱い慣れた手つきでワイヤーアンカーを舳先に投げ絡めると、水中仕様に改造したスラスタを起動。
鉄甲船を牽引しながら、順調に岸へと進んでいった。
「流石、良い仕事ぶりです」
スラスタの調子を気にかけながら、慎重に加速度を増していく。
本来はトリテレイアの大きな体躯を空へ飛翔させるためのスラスタである。この程度の重量物を水中で動かすことなど造作もないのだった。
「そろそろでしょうか」
海底面が太陽の光を受け、明るく照らされている。
どうやら、岸は近いようだ。
「ならば……!」
眼前に迫る水面を突き抜け、トリテレイアは地上へと翔び上がる。
その勢いで、鉄甲船が岸へと勢いよく滑り出した。
サルベージ作戦は、無事に終了したのだった。
引き揚げた船は、木製の壁や屋根こそ損壊しているものの外装はさほどダメージを受けていない様子だった。
この状態ならば、少し補修するだけで再び海を進むことができそうだ。
「使い道は商船か、それとも外洋船か……」
鉄甲船を見下ろし、戦に使われることなく活躍してほしいとトリテレイアは願う。
騎士も兵器も出番のないことが、一番望ましいことなのだから、と。
ともあれ、猟兵たちは一隻の船を未来へと託すことに成功した。
見事に生まれ変わった鉄甲船に再会できる日を楽しみに、猟兵たちは瀬戸内海を後にしたのだった。
大成功
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