2
エンパイアウォー㉙~戦狂いは慈母となる

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#戦争
🔒
#エンパイアウォー


0




●母として
 静かな洞窟の中で、引き締まった体つきの女性が一人、あぐらをかいて座っていた。
 その頭部には、角。彼女は鬼であり――オブリビオンであった。
 本来なら弱者に欠片も興味を持たない彼女は、だが、労るような優しい手つきで、自分の腹を撫でている。
 そこには、命が宿っているのだ。……オブリビオンフォーミュラとなるべき、神の子が。
「絶対に、強い奴として産んでやるからな」
 彼女は力強く笑って、言い切った。

●彼は語る
「奥羽地方の水晶屍人の掃討は、皆のおかげもあって、無事に終わったぜ。それで、安倍晴明の拠点と思われる研究施設が見つかったんだが……もぬけの殻だった。ただ、掃討戦を行ってた武士の報告によると、重要な役割を持つオブリビオンが逃走した可能性があるらしいんだ」
 宙夢・拓未(未知の運び手・f03032)は、グリモアベースで真剣に説明を始める。
「逃げたオブリビオンは、晴明に、『偽神降臨の邪法』を施されてるみたいなんだ。これが何なのかっていうとな……『有力なオブリビオンの胎内に、自身も含む魔軍将の力や、コルテスが持ち込んだ神の力を宿らせ、その胎内で神を育て出産させる』って代物だ」
 拓未は苦虫を噛みつぶしたような表情で続ける。
「女性オブリビオンは、『胎内に宿った神の子』を至上の存在だと認識させられてる。10月10日の間、隠れ潜んで、無事に『神の子を産む』ために最善を尽くそうとするぜ……」
 一度、拓未は目を閉じ、それから開いた。
「この女性オブリビオンの一体、四華衆『剛勇拳刃の摩訶曼荼羅』を見つけて――撃破してくれ。間違っても、可哀想だから逃がそうとか考えちゃダメだぜ。サムライエンパイアの危機に繋がる可能性があるんだからな」
 摩訶曼荼羅は、戦闘中も可能な限り逃げ出そうとするだろう。本来は好戦的な性格だが、無事に子を産むことを最優先しようとするのだ。逃がさないような工夫も必要かもしれない。
「頼んだぜ」
 信頼を込めた瞳で、拓未は猟兵達を送り出した。


地斬理々亜
 地斬です。
 よろしくお願い申し上げます。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 戦場は洞窟の内部。リプレイは、猟兵が摩訶曼荼羅を発見し、戦闘に入ったところから始まります。

 プレイング受付期間は、『8月21日、朝8:31~』とさせていただきます。
 ご協力のほどよろしくお願い致します。
49




第1章 ボス戦 『四華衆『剛勇拳刃の摩訶曼荼羅』』

POW   :    さぁ受けてみな!鬼の全力の拳だぜ!
【全生命力を懸けた渾身の拳】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    脚は拳の三倍強いらしいぜ?知ってたか?
【目にも留まらぬ脚捌きからの上段回し蹴り】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    やるなら全力で楽しまねぇとなぁ!?
予め【拳と拳を合わせ気を練る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。

イラスト:抹茶もち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は花盛・乙女です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィロメーラ・アステール
「むうん、逃がしてなるものか!」
世界の明日を守るため!
こっちが鬼になってやろうじゃないか!

【迷彩】魔法の【物を隠す】力で隠れ、直接バトるのは避ける!
正面からパワフルな奴とはぶつかれないし!
【忍び足】も交え、敵の退路を断ったり、不意をつく事に注力!

敵が逃げようとしたら【日輪の帷帳】だ!
【オーラ防御】の炎の結界を並べ退路を塞ぐぞ!
洞窟の中じゃ進路は限られてるしな!

急に炎が出たら、たぶん驚く!
その隙に【気合い】を込めて【スライディング】だ!
転んでくれるか?

まあ転ばなくても、足元を確認するだろ?
そこで閃光を放ち【目潰し】だ!
この方向なら、仲間が巻き添えになりにくいはず!
二段構えの作戦でチャンスを作る!



●聖者の覚悟
(「世界の明日を守るため、こっちが鬼になってやろうじゃないか!」)
 そんな決意の元、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は洞窟内に向かう。オブリビオンは、世界の敵であるがゆえに、フィロメーラ自身の敵でもあるのだから。
 迷彩魔法を用い、フィロメーラは自分の身を隠している。加えて、羽音で気づかれないように、空中を飛ぶことを避け、あえて地面を忍び足で歩いていた。その甲斐あって、摩訶曼荼羅はまだフィロメーラに気づいていない。
(「……これは、こっちから仕掛けるべきか?」)
 フィロメーラがそう考えた瞬間、摩訶曼荼羅は顔を上げ、立ち上がり、洞窟の奥の方へ駆けだそうとした。なんらかの気配を察知したのだろう。
(「むうん、逃がしてなるものか!」)
 フィロメーラはユーベルコードを発動する。『日輪の帷帳(プロミネンスヴェール)』――生み出されるのは、守護結界の炎。摩訶曼荼羅の正面に並べられたそれは、退路を塞いだ。
「っ!?」
 思わず動きを止める摩訶曼荼羅。その隙に、フィロメーラが動いた。
「てやーっ!」
 気合いの一声と共に、小さな体でスライディングを仕掛ける。摩訶曼荼羅は転びこそしなかったものの、バランスを崩した。
「くっ……なんだ!?」
 摩訶曼荼羅は足元を確認する……これも、フィロメーラの狙い通りだ。
 その瞬間、フィロメーラは、自らが織りなす光の粒子を、閃光として摩訶曼荼羅に放った。
「がっ……!?」
 摩訶曼荼羅は目を押さえ、よろめく。
「今だ、チャンスだ!」
 フィロメーラは、他の仲間たちに呼びかけた。一気に畳み掛けるべく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネリッサ・ハーディ
SIRDのメンバーと行動

オブリビオンとはいえ、身籠ったのを相手取るのは、少々気が咎めますが・・・今後の事を考えると、仕方ありませんね。気の毒ですが、脅威となる芽は摘み取っておくべきですね。
せめてもの情けとして、全力でお相手しましょう。

相手は、恐らく白兵戦が得意で近接戦闘を挑んでくる来る可能性が高いでしょうから、こちらは逆に間合いを開けての射撃戦で挑みます。接近は可能な限り避ける様に立ち回り、G19(ハンドガン)で【2回攻撃】【属性攻撃】【クイックドロウ】にて攻撃しつつ、【第六感】【見切り】で敵の攻撃を回避。
相手が逃走しそうになった場合、UCを使用して逃げ道を塞ぐ様に立ち回ります。

※アドリブ歓迎


ミハイル・グレヴィッチ
SIRDの面々と共に行動

ふん、身重の身だか何だか知らねぇが、こちらも仕事でな。悪いが、倒させてもらうぜ。それに、仮にも四華衆とやらの1人だってんだから、遠慮はしないぜ。お互いプロ同士、私情や恨みは言いっこなしだ。全力でいくぜ。

相手は接近戦が得意だろうから、こちらの取れる戦術としては接近戦を可能な限り避けるのがベターだな。となると、射撃戦に持ち込んで、相手の接近を許さない様立ち回る。
基本的には、【援護射撃】【一斉発射】【2回攻撃】で弾幕を張って相手を寄せ付けない様試みる。また、逃走される事も考慮に入れて、弾幕で敵の動きを牽制。別に致命傷を与えられなくても問題ない。敵の動きを封じられれば十分だぜ。


灯璃・ファルシュピーゲル
【SIRD】一員として連携

…汚れ役が必要なら、それをを引き受けるのも我々の仕事ですしね。

まず静穏重視で周囲の走りやすそうな道に
UC:ウロボロス・アーセナルで対人指向性地雷を作り
隠して設置(罠使い・地形利用・戦闘知識)

その後は仲間と連携して即時に制圧攻撃掛けられるよう構え
銃のスコープの(暗視)装置も利用し洞窟内を偵察
白兵戦重視の敵と接敵しないよう距離を置いて索敵

敵の姿を捉え次第(先制攻撃・スナイパー・見切り・鎧砕き)
で足の関節狙いで狙撃し逃走防止を図りつつ指定UCで狼達を
手足狙いで襲い掛からせ動きを封じる様戦闘

逃走の動きある場合は狼達を使って
地雷のある方に逃げる様仕向け足止めを図る

※アドリブ歓迎



●一切の容赦なく
 特務情報調査局、略称【SIRD】。
 目を押さえ苦しむ摩訶曼荼羅に向けて、その三人は銃口を向けた。
(「……汚れ役が必要なら、それを引き受けるのも我々の仕事ですしね」)
 最初に撃ち込まれたのは、灯璃・ファルシュピーゲル(Jagd hund der bund・f02585)の銃弾。狙い違わず、それは摩訶曼荼羅の膝を射抜いた。
「ぐっ。やめろ……やめろよ。それ以上やるって言うなら、ぶっ飛ばすぜ……!」
 摩訶曼荼羅は、拳を合わせて気を練る。彼女の戦闘力は高められ、纏うオーラが強まった。
 ――だが、元より、【SIRD】の面々は、摩訶曼荼羅の白兵戦に付き合う気などないのだ。
「あなたのことは気の毒ですが」
 ネリッサ・ハーディ(クローク・アンド・ダガー・f03206)は、ハンドガンの引き金に力を込める。
「せめてもの情けとして、全力でお相手しましょう」
 タン、タン、と、二度の銃声が響き、摩訶曼荼羅の肩と右胸を弾丸が貫いた。
 ――オブリビオンとはいえ、身籠もったのを相手取るのは気がとがめるものの、脅威となる芽は摘み取るべきだ、と。そんな信念の元、ネリッサは撃った。
「あ、ああっ!」
 摩訶曼荼羅は目を見開く。その顔には、恐怖の色。……おそらくは、自分の子を失うことへの、恐怖。
「……ふん」
 ミハイル・グレヴィッチ(スェールイ・ヴォルク・f04316)は、鼻を鳴らした。
「身重の身だかなんだか知らねぇが、こちらも仕事でな。悪いが、倒させてもらうぜ」
 ミハイルは言う。……『プロに私情は要らない』、そう考えるがゆえに。
 ミハイルが構えた汎用機関銃が火を噴く。摩訶曼荼羅の接近を防ぐように、弾幕が張られた。
「てめえら……!」
 入り口の方向から逃げるのは難しい……そう判断したのであろう、摩訶曼荼羅は表情を歪めた。
 それから摩訶曼荼羅は踵を返し、洞窟の奥に向かった。
「フォーマルハウトに住みし荒れ狂う火炎の王、その使いたる炎の精を我に与えよ」
 ネリッサは、別の猟兵が既に洞窟奥に作っていた炎の結界を強めるようにして、ユーベルコード『荒れ狂う火炎の王の使い(ファミリア・オブ・レイディング・フレイム・キング)』を発動し、逃げ道を塞ぐように炎を放つ。
 摩訶曼荼羅は――意を決した様子で、その炎の中に飛び込んだ。銃弾の雨に晒されるよりはマシだと考えたのだろう。
 その肌を激しく焦がしながらも、摩訶曼荼羅は炎の向こう側に出た。片膝や肩、胸から血を流しつつ、彼女は必死に奥へと向かう。
 その腕に、背中に、灯璃が、ユーベルコード『Schwarzwald Wolfsschanze』で召喚した影の狼の群れが食らいつく。それでも摩訶曼荼羅は、立ち止まらない。
「おい、あっちに逃げられると不味くないか」
 ミハイルが言い、銃を構えようとしたのを、灯璃が制した。
「問題ありません」
 摩訶曼荼羅と接敵するより前、灯璃は、銃のスコープの暗視装置を使って、洞窟内の偵察を済ませていた。
 そして――ユーベルコード『Ouroboros Arsenal』によって、対人指向性地雷を作り、周辺の走りやすそうな道に設置していたのだ。
 ……ほどなくして、爆発音が洞窟を揺るがした。

●さよなら
 猟兵たちが洞窟の奥に向かうと、そこには、致命傷を負った摩訶曼荼羅が転がっていた。
 たとえ、とどめを刺さなかったとしても、摩訶曼荼羅が力尽きるのは間もなくだろう。
 接近戦を得意とする摩訶曼荼羅だが、このように射撃戦に持ち込まれては、文字通り手も足も出なかったのだ。
「ああ……畜生……」
 摩訶曼荼羅はごろりと転がって仰向けになる。
 灯璃が油断なく銃を向けようとするが、それとほぼ同時にネリッサが口を開いた。
「言い残すことはありますか?」
 普段、非常に淡々と任務をこなすネリッサがこんなことを敵に聞くのは、珍しいことかもしれない。
 問われた摩訶曼荼羅は、数度まばたきをしてから、掠れた声でこう言った。
「……生まれてくる強い奴の顔、見たかったな……」
 それきり摩訶曼荼羅は目を閉じ、その体は砂のように崩れ去る。
 彼女は、骸の海に還ったのだ。生まれてくるはずだった『神の子』と共に。
「――任務完了だ」
 ミハイルが言った。
 猟兵たちは、なすべき使命を果たしたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月22日


挿絵イラスト