エンパイアウォー㉙~死に至る生の律動
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海を思わせる青い衣を纏った少女が川の流れの上にいた。
「わらわを誘っておいて先に消えるとは、晴明殿も無粋な男じゃ」
沈むでもなく、浮かぶでもなく。
足先だけ水に浸かり水の上に腰掛けるかのように。
「わらわとこの子を残して、無責任にもほどがある」
軽薄な顔と死の匂いを思い出し、目を細める。
「じゃが兎にも角にも、今大事なのはそなたじゃからな」
少女は愛おしそうにその腹を撫でる。
その光景は、子を思う母の顔に生の律動で間違いないが――。
魔将軍の庇護を失った今、猟兵が嗅ぎ付けてくるのも時間の問題だろう。
ここから10月10日。
無事にやり過ごすには――。
少女は確かな決意と共に動き出した。
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「みんなエンパイアウォーお疲れ様よ!順調そうなところに新しいお知らせよ!」
グリモアベースにフェアリーのグリモア傭兵、ネミ・ミミーニーズ(f00595)の騒がしいお知らせが届く。
サムライエンパイアとオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』を巡る戦い。
猟兵たちの活躍により魔将軍の1人、陰陽師『安倍晴明』を滅することが出来た。
「なんかこの晴明って奴が『偽神降臨の邪法』ってのを企んでたらしいのね」
有力なオブリビオンの胎内に、自身も含む魔軍将の力やコルテスが持ち込んだ神の力を宿らせ、その胎内で神を育て出産させる。
「早い話が新しいオブリビオンフォーミュラを産み出す儀式ってわけよ!」
儀式の完了には10月10日の日数が掛かる上に、オブリビオンフォーミュラが実際に産み落とされる可能性も低いという。
ただ、該当の処置を施されたオブリビオンは複数おり。
その全てを討伐しきれなければ何らかの形でサムライエンパイアの世界で事件が引き起こされることは確実だ。
「そういうわけで逃げようとするオブリビオンの1体を追いかけてもらうわ!」
今回の目標は『三姫』乙姫。水を操るのが得意らしい。
周囲に他のオブリビオンはおらず、お腹の子も戦闘力はない。
既に晴明の研究施設から逃げ出し、現在は川を下りながら海を目指しているという。
移動ルートこそわかりやすいが川の上ではそれなりの速度で逃げるので十分注意してほしい。
「海まで逃げ込まれたらお手上げね、それまでによろしく頼むわ!」
「子を守る母ってことだけど……、オブリビオンに情けは無用よ!」
猟兵が守るべきものは何か。
グリモア猟兵は急ぎ転送の準備を整えた。
背腹かえる
●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
背腹かえる(せにはらかえる)です。
よろしくお願いします。
『エンパイアウォー⑧鳥取城餓え殺し』を短期間で制圧した事で、発生したボーナスシナリオとなります。
ボス戦、『三姫』乙姫との戦闘となります。
敵は猟兵と戦うことより逃走を優先させようとします。
ご注意ください。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『『三姫』乙姫』
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POW : 【戦場変更(水中)】溺死のラビリンス
戦場全体に、【干渉し、戦場を水中に変更、複雑な海流】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD : 【戦場変更(水中)】水底の玉手箱
【戦場を水中に変更した後、玉手箱】から【水中でも広がっていく時間に影響を及ぼす煙】を放ち、【周囲の時間を停止させる事】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 【戦場変更(水中)】シズメ、シズメ
【戦場を水中に変更した後、海で死亡した人々】の霊を召喚する。これは【接触した対象を急速に腐敗させる能力】や【海底に沈んだ様々な物を駆使する事】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:那賀ネギ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナターシャ・フォーサイス
【尾沙木神社】
WIZ
身重な貴女に手を出す、と言うのは…
哀れな魂とはいえ、罪悪感を覚えますが。
宿すのもまた哀れな魂と言うのなら、私も使徒としての責を果たしましょう。
産むなと言うのではありません。
ここではなく、幸福の約束された楽園にて、と言っているのです。
玉恵さんの結界が、楽園への門となるでしょう。
そして楽園の一端を前に、無粋なことはさせません。
我々は貴女を導きましょう。
楽園の加護が、道標となるでしょう。
我々は貴女を導きましょう。
幸福の約束された地、怯え悲しむこともないのです。
我々は貴女を導きましょう。
貴女がたはふたり、憂いなく過ごすのです。
どうか、道行きへ加わる貴女がたに、ご加護のあらんことを。
大崎・玉恵
【尾沙木神社】
身重か。平時であれば庇護してやりたいところじゃが、その身に宿すが災厄ならば見過ごすことはできぬ。母親と共に伊邪那美のもとへ送ってやろう。
【御社・出雲八重垣】で仲間ともども結界で守る。仲間の攻撃の後に舞扇を向け、多重結界の緊縛で攻撃する。
うまくすれば攻撃を結界に閉じ込め、より大きな効果を生めよう。
海流や煙などは仲間を守る結界で受け流し、怨霊は破魔の力で浄化し比良坂の向こうへ送ってやろう。
結界の縛りで逃げることは難しかろう?迷宮化はなたーしゃが対応してくれるようじゃ、お主の土俵にはさせぬよ。
晴明など悪い男に捕まりおって、哀れじゃのう。
せめてもの情けじゃ、一思いに比良坂を越えるがよい。
夏の日差しの中に僅かな秋の気配を乗せた風が吹く。
静かに川を下る母と、2人の猟兵が対峙する。
「身重か。平時であれば庇護してやりたいところじゃが、その身に宿すが災厄ならば見過ごすことはできぬ。母親と共に伊邪那美のもとへ送ってやろう」
「身重な貴女に手を出す、と言うのは……。哀れな魂とはいえ、罪悪感を覚えますが。宿すのもまた哀れな魂と言うのなら、私も使徒としての責を果たしましょう」
大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)とナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)がその思いと共に行く手を阻む。
猟兵を認識したオブリビオンの表情が変わる。
誰かが響かせた水の音が戦いの合図だった。
最初に動いたのは玉恵。
「八重垣作る、その八重垣を」
玉恵はその言葉と共にユーベルコードを解き放つ。
周囲の景色が変わる。静かな山間の小川は、神秘を称えた神社へと変わる。
敵を結界へと捕らえ、玉恵は舞扇を構えて宣言する。
「晴明など悪い男に捕まりおって、哀れじゃのう。せめてもの情けじゃ、一思いに比良坂を越えるがよい」
「小癪な!」
敵が吠え、結界に衝撃が走る。
相手のユーベルコードの力であろう、結界の外は海となっていた。
結界に波が押し寄せ海の亡者たちが張り付き、外と内の境界が揺らぐ。
戦場への影響は防いだものの、敵を留めておける時間は長くはなさそうだ。
玉恵が作った好機にナターシャがユーベルコードを重ねる。
山間の神社には不釣り合いな天使呼び出され、戦場を聖なる光が覆う。
その中心で、楽園への導き手は救いの言葉を紡ぐ。
我々は貴女を導きましょう。
楽園の加護が、道標となるでしょう。
我々は貴女を導きましょう。
幸福の約束された地、怯え悲しむこともないのです。
我々は貴女を導きましょう。
貴女がたはふたり、憂いなく過ごすのです。
どうか、道行きへ加わる貴女がたに、ご加護のあらんことを。
天使の加護がオブリビオンを捕らえ、その動きを封じる。
その魂を導くようにと、ナターシャが更に意識を集中したとき。
『ソレ』は起こった。
ユーベルコードを通じて、『何か』がナターシャへと流れ込んでくる。
母親を覆うのはおぞましき死の気配。
その中に宿るのは深き闇の塊。
暗い暗い闇の底には小さな光があった。
不気味に輝く光が『眼』であると理解したとき、ナターシャの――。
「――しゃ!なたーしゃ!しっかりするのじゃ!」
「――はっ!?」
玉恵の声に我に返るナターシャ。
気づいた時には、呼び出したはずの天使も聖なる光も消えていた。
――今見たものはいったい何だったのだろう。
結界の維持と援護に徹していた玉恵の手が鈍る。
「結界もそろそろ限界じゃ!一気に仕掛けるのじゃ!」
握り締めた舞扇は、川の水を吸い、ずいぶんと重くなっていた。
玉恵の号令に、ナターシャが大鎌を構えてオブリビオンへ突撃する。
刃が青い衣を裂き、川の水に赤い血が混ざる。
水に濡れた妖狐の手から舞扇が零れ落ちると。
川を下る母子は神社に背を向けた――。
大成功
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ルード・シリウス
成る程な…お前だったか。美味そうな『匂い』をさせてたのは
居るんだろ、彼の陰陽師が仕込み遺した『命』が…
亡者達の出現と同時に暴食剣・呪詛剣構え、【刻印解放・斬獲せし者】発動
亡者達等の攻撃を受けても構わず、寧ろそれ等を自らの力に変えながら突き進む。腐敗含む受けた攻撃の傷は亡者達を攻撃して魂を喰らう(生命力吸収) 事で癒していく
乙姫に接近出来たら二刀による連撃で斬り込み動きを止め、隙を突いて暴食剣を腹に突き立ててUCで強化した補食能力(吸血&生命力吸収)で補食
お前なら視えた筈だ…
そして、水底に『居る』お前なら理解出来る筈だ…
それよりも深く、昏いモノを…
俺が抱くのはそれだ。今から、それを見せてやるよ
三嵩祇・要
カミサマが生まれる前に母親を倒すわけか
ったく、その母親ってのもまだ子供みたいなもんじゃねぇか
オブリビオンとはいえ、やりにくいったらねぇな
あんたにゃ恨みはねぇが、俺達と同じ世界に住むことはできない
だから、お互い命をかけるしかねぇってことだ、悪いな。
【雷神の尾】で海に逃げ込まれる前に勝負をつける
威力が然程出ないかもしれないが水なら電気が良く通るだろう
気絶攻撃スキルで意識を失えば足止めになる
なにより、これ以上の恐怖や痛みを感じなくてすむだろ
アドリブ連携歓迎
アララギ・イチイ
珍しい物を孕まされているわねぇ
貴重なサンプルとして入手したい所、貴女ごと回収させて貰うわぁ
接敵前に【武器改造】で装備品のロケット弾を魚雷(炸薬は無く、細かなアルミ箔大量に詰めておく)に改造、及びリニア榴弾砲の弾をスーパーキャビテーション 弾(水中用砲弾)に変更しておくわぁ
また、水中用の装備として、全領域対応のアームスーツ(ソナー増設)を着用よぉ
敵UCを 発動したら、魚雷を【一斉発射】、周囲にアルミ箔を散布、海流中にアルミ箔を散布して、その流れを把握する様にするわぁ(ソナーも併用
海流を突破したら、リニア榴弾砲を【スナイパー】技能で併用して敵の動きを【見切り】、攻撃を加えるわぁ(【選択UC】も併用
宮落・ライア
逃がさないよ? キミも、お腹の中の奴も。
川の中に立ち待ち構える。
相手がUCを使うまで構えて待ち、
相手が戦場を水中にし次第、【森羅万象断】で真っ直ぐに断ち割る。
そして【狼の餓え】を発動し、霊の頭部を掴み【グラップル・怪力】で握りつぶし力を簒奪。
腐敗はまぁいいや。片腕ぐらい安い安い。
あとは近づいて刀で刺して切り払って終わりだもの。
片手で十分。
【気合い・覚悟・激痛耐性】で悠々近づく。
恨まれる筋合いは無いよ? 私が正義の味方であなたは悪。
貴女がそんな身で世界に戻ってきて、そんな物を身に宿したのがいけないんだから。
外道?知らないよ。(笑いながら
ホント笑えるね。
乙姫は川に乗り、逃げていた。
ここまでくれば追いつかれまい、一息つこうとしたところで新たな猟兵に出逢う。
「カミサマが生まれる前に母親を倒すわけか。ったく、その母親ってのもまだ子供みたいなもんじゃねぇか」
三嵩祇・要(CrazyCage・f16974)がぶっきらぼうに言い放つ。
「成る程な……お前だったか。美味そうな『匂い』をさせてたのは。居るんだろ、彼の陰陽師が仕込み遺した『命』が……」
隣にいたルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)は静かに漆黒の大剣と巨大な大鉈を構えた。
「しつこい連中じゃ。じゃがわらわはこんなところで捕まらんぞ!」
川の水に塩の香りが混ざり、戦場と2人の男は海へと飲み込まれる。
避けることは出来たが、逃げようとする相手と距離を離すわけにはいかなかった。
「俺の持てる総てを以てお前を喰らうと決めた。だから……俺の内に渦巻く憎悪と狂気、そして衝動を開放する」
ルードは漆黒の炎と呪詛の刻印で体を覆った。
が、その力を知ってか知らずか。亡者たちは2人の手足をまとわりつくのみで手傷を負わせようとはしてこなかった。
動けぬ2人に背を向け、身重の母はゆったりと海を目指す。
しかし背を向けてくれたのは好機。ルードは要に視線を送る。
要はユーベルコードを解き放つ。
戦場を覆う海、そして猟兵とオブリビオンを巻き込んで雷鳴が走る。
不意を突かれた乙姫の動きが止まる。
対して、2人の男は雷撃のダメージを力に換え、追撃の構えをとる。
「あんたにゃ恨みはねぇが、俺達と同じ世界に住むことはできない。だから、お互い命をかけるしかねぇってことだ、悪いな。」
威力の増した2度目の放電が海を2つに分かつ。
雷鳴の轟く海の道を抜け、ルードが『ソレ』へと剣を突き立てる。
「ぐ……わらわの……」
ルードはそのまま補食の力を発動する。
お前なら視えた筈だ……。
そして、水底に『居る』お前なら理解出来る筈だ……。
それよりも深く、昏いモノを……。
俺が抱くのはそれだ。今から、それを見せてやるよ。
赤い血と、黒い何かが流れ込んでくる。
ルードの知る狂気と憎悪以上の、愛。
狂おしい程の愛が逆流し、ルードの精神が軋む。
捕食するはずが、逆に動きを封じられる。
「……わらわの……わらわの子!」
我が子の危機に母が唸りをあげる。
再び現れたのは先ほど以上に荒れた海。
「おいおい、こりゃ――」
何拾い食いしたんだ、などと悪態をつく間もなく波に攫われる。
要は、ぐったりと動かないルードを抱え、空気を求めて彷徨う。
人助けなんてガラじゃないが、あれだけ弱らせとけばあっちは任せて大丈夫だろ。
「きたね。逃げるつもりにしてはずいぶん目立つ格好で。」
「そうねぇ、バカな子ねぇ。」
川と海が混ざり合う場所を背に。
宮落・ライア(ノゾム者・f05053)とアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)が待ち構えていた。
周囲の木々を薙ぎ払いながら巨大な水の塊が迫る。
その水を正面に捉え、ライアが刀を構える。
「鋼も、山も、海も、空も、空間も…断ち切ったあの記憶にはまだ届かない。それでも『まだ』だ!」
溜め、からの一閃。
大地と森も巻き込み、水の塊を2つに叩き斬る。
「まだ半分残ってるわよぉ。」
「わかってるって!」
ライアは【復讐を望む白狼の継嗣:狼の餓え】を解き放つ。
割れた水の片割れを掴み、『借用』する。
腕に纏わりつく霊と不敗を物ともせず、その水をもう片方に叩きつける。
2つ水の流れが混ざり合い、オブリビオンを乗せた海の動きが停止する。
「移動は止まったけれどぉ。」
乙姫は血の滲む海流の迷宮の中で猟兵たちを睨みつけている。
アララギはアームスーツを身に纏い、敵の海へと飛び込む。
そのままでは近づくことは叶わない。
アララギは冷静に、ソナーとアルミ箔で複雑な海流の急所を炙り出す。
「2秒後に真横、ねぇ。」
一斉に魚雷を放つ。
魚雷は流れに乗り、渦の中央へと吸い込まれて炸裂した。
魚雷の直撃を受け、乙姫を包む海流が止まる。
その好機に、ライアは刀を構え、跳んだ。
「恨まれる筋合いは無いよ?私が正義の味方であなたは悪。貴女がそんな身で世界に戻ってきて、そんな物を身に宿したのがいけないんだから。」
再びの一閃。海の塊と共に乙姫の腹が引き裂かれた。
「ぐ……この子、だけは……。」
守りを失った乙姫にアララギは悠々と迫る。
「珍しい物を孕まされているわねぇ。貴重なサンプルとして入手したい所、貴女ごと回収させて貰うわぁ。」
ユーベルコードの力を流し込む。
「おまえ、は――」
アララギと乙姫が目を合わせたのも束の間。
異形を宿した母からその記憶を奪い取る。
アララギの脳裏に不気味な光景が浮かぶ。
影に囲まれ、動けない。
影は崩れ、自分の中に流れ込む。
それが『偽神降臨の邪法』を施されたときの記憶であろうことはわかった。
次の瞬間。意識は溶けた影に塗り潰され。
ああ――。
このまま身を任せれば、『ソレ』を得られるかもしれない――。
――と。
そこまで見たところでアララギはその記憶を中断する。
「いや、ないわぁ。『得る』ものはないわぁ。」
『ソレ』は一方的に『与えてくる』だけの悪魔の誘いであろう。
何か得るならば持ち帰ってじっくり解析せねばなるまい。
「……?何の話?」
何かわかった風のアララギに、話がみえないライアが問う。
既にオブリビオンは自壊し、その身体は砂浜の一部となっていた。
「可哀想な子だったってことねぇ。」
夏の暑さが和らいだ浜辺には、古ぼけた空の箱が転がってた――。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年08月28日
宿敵
『『三姫』乙姫』
を撃破!
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