強制的にカップリングされる依頼
●ぼっちだ!!!!!!!
「HEY! 今日のキマイラジオは~~~師走特集!!!」
キマイラフューチャーのとある区域。そこでついこの前から大人気のラジオ形式配信『キマイラジオ』! 只今絶賛配信中!
「師走! そう、師走といえばCooooolな文化があったね? それは~~~~、お・ま・い・りィッ!!!!!」
HEY、OMAIRI!!! Foo!! と勝手に盛り上がるDJキマイラ。このノリがどうにもテンションアガるって感じで人気なのだそうだ。
「お参りといえば、SO!」
バッ! と両手を顔の前で交差させ、DAISUKEって感じでキメポーズを取るDJキマイラ。でもラジオなので見えてない!!!
「行くときは是非、愛し合う二人のイチャラブリで――」
『――など言語道断ッッ!』
言語道断ッ!! とラジオ視聴者たちの声が木霊する。
『お参りといえば、SO!! ぼ・っ・ちで行くものだああぁぁああ! それこそがCool文化! ナウい今時のキマイラ☆』
ぼっち!! ぼっち!! とキマイラSNSでは大騒ぎである。ナウいなんて言われたら、やらずにはいられない! キマイラフューチャーに住む彼らの性なのであった。
たとえそれが、怪人の手によるものだとしても。
●ベースにて
「このキマイラジオをジャックしたのが、今回の盗伐対象である怪人」
常に景色の変わるベース内部。片袖のない歪な白衣をいつも通りに靡かせて、アイシャ・ラザフォードはあなたたちに向き直る。
「既に動画投稿サイトにも、怪人がぼっちの動画をたくさんUPしてる。ラジオの効果もあって、住民のキマイラたちに大人気」
旧人類の文化の一つ『ぼっち』。この世界のキマイラたちは、ネットで繋がり。常に様々な他者との交流を絶やさない。しかし、旧人類には『ぼっち』というものが存在したのだ。誰とも繋がらず、ただ独り孤独に生きていく。今のキマイラたちには考えられない旧人類のすげー文化。それが、ぼっち――。
「まずは、怪人の人気の元であるラジオのジャックを止めること」
アイシャは指を一つ立て、猟兵たちに示して見せた。まず一つ目は、ラジオを正常に戻すこと。
「次に、怪人はまた、何かしらの旧人類の文化を広めるために事件を起こすはず。それに真正面から打ち勝って、キマイラたちにアピールすること」
これが二つ目、と。二本目の指を立て、いたって真剣なアイスブルーの瞳で彼女は猟兵たちを見回した。
「ぼっち文化を打倒するには、男女ペアで動くのが最適。広まりかけているぼっちを、カップリングで鎮めて」
これが最後、OK? 3本指をひらりと揺らし、あなたたちへと問いかける。準備はいいだろうか? ここから始まるのは、怪人との旧人類の文化を巡る熾烈な戦いだ。怪人のアピールする文化を捻じ伏せ、その後に打倒しなけれればならない。
「準備ができたのなら、早急に集まって欲しい。猶予はもう、そんなにない」
その手にグリモアを浮かべ、彼女はあなたたちを急かすのだった。キマイラたちの未来は、猟兵の手に託されているのだ。事態は既に動き始めている――。
ねこです
HEY! ノッてるかい? ねこです!!
というわけで、今回はキマイラフューチャーからお送りします。
今回の依頼の補足として、参加すると強制的に男女でカップリングされます。ちなみにどちらかの人数があぶれた場合は、同性でも勝手に2人で描写します。友人としてな!
怪人のアピールする旧人類の文化を打ち負かし、その後に怪人を打倒してください。よろしくぅ!
第1章 冒険
『ねらわれたラジオ』
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POW : ラジオ局へ向かい原因を探る
SPD : 電波を解析して怪しい点がないかを調べる
WIZ : 放送をよく聞き、その内容やかすかに聞こえるノイズなどから手がかりを探す
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
☆お知らせ☆
執筆時間等の都合により、一度皆様のプレイングを流させていただき、1月5日より再度募集を行うことと致します。誠に申し訳ありません。
☆お知らせ☆(1/8)
本日夜より執筆致します
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竹城・落葉
我はPOWを使用し、アンノット・リアルハート殿と行動を共にする。
アンノット殿の運転する【メタルハート・ベーゼン】に2人乗りし、空中散歩を行う。そして、アンノット殿が【グッドナイス・ブレイヴァー】で生放送をしている間、我は怪しい人物や動きが無いか監視をするぞ。
怪しい人物や場所を見つけたら、アンノット殿に伝え二人で突撃する。怪しい人物と話す際は【だまし討ち】を用い、冷酷な雰囲気を醸し出しつつ無表情になる。相手が犯人ならボロを出すだろう。突撃場所がジャックの現場なら、アンノット殿と力を合わせ、その機能を破壊し無力化する。
我は元武将、同じ旅団のアンノット殿が危なくなれば身を呈して守るぞ。
アンノット・リアルハート
【POW】で判定、同じ旅団の竹城・落葉(一般的な剣客・f00809)さんと一緒に行動します
怪人のラジオジャックを誘うため【メタルハート・ベーゼン】を使った二人の空中散歩を【グッドナイス・ブレイヴァー】で生放送します
怪しげな場所の監視は落葉さんにお願いして、私は【コミュ力】を使って楽しい空中散歩の内容を皆に伝わるように放送、怪人への挑発を行いながらラジオ曲の巡回を行いましょう。何事も一人より二人の方が楽しいものよ
怪しげな場所を見つけたら二人で直接突撃、ラジオジャックの原因を力ずくで排除します
●
抜けるような青空と、その下に広がるサイバーパンクな都市群。キマイラフューチャーと呼ばれるその世界で、空と都市の間を飛ぶ二つの影があった。
一つは、どこにでもあるカメラ付きのドローン。そしてもう一つには、2人の人影が乗っている。
「皆さん御機嫌よう。見えてますか?」
曲線と直線が組み合わさった独特なフォルムの乗り物【メタルハート・ベーゼン】。その上から、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)はカメラへと向けてひらひらと手を振って見せた。
「今日はこの場所で、友人との空中散歩の様子を生放送でお届けするわ」
何事も一人より二人の方が楽しいものよ、と。後ろに腰掛ける竹城・落葉(一般的な剣客・f00809)にちらりと目くばせしつつ付け足すアンノット。
その台詞はもちろん怪人を意識したものであり、彼女からの挑発でもあった。
「…………」
竹城は、その黒い瞳を眼下へと向けている。彼女の仕事は、アンノットが生放送をしている間に怪しい動きや場所がないかを空中から見極めること。地上からでは隠されていても、空から見ると案外と丸見えなことも多いものだ。
「……空というのは、高いものですね」
「気に入った?」
真剣に都市へと視線を落としつつも、その高度に怖気づくことなく感想を言葉にした竹城に、アンノットは問いかける。
「はい、とても」
仕事とはいえ、彼女も空中散歩をそれなりに楽しんでいたのだろう。ふわりと微笑む竹城の表情に虚を突かれたのか、アンノットの「よかったわ」という言葉は、喉から出る手前で小さな空気になって消えた。
「……止まれ」
しかし、そんな柔らかい雰囲気は一変。数秒後に発した彼女の声は、とても冷たく鋭利な雰囲気を纏っている。目を細めた竹城が捉えたのは、何やら怪しい語気をしている小さな人影。
「あれだ。降りるぞ」
「了解よ」
じゃあ、またね! とカメラに向けて別れを告げると、発見した怪しい人物へとメタルハート・ベーゼンは高度を下げるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リサ・ムーンリッド
チーム【かじチャンネル】で参加
ヒゲとサングラスとねじりマフラーをつけて威厳の演出を試みて男装だよ。
男装で男を装うのがNGとは何処にも書いてないしカップルの形は無限大だからね!
神様は何も禁止なんかしていない。
あと、目立つことで、他にラジオ局で原因を探る味方が潜入しやすくなるかもだ。
●出張!かじチャンネル。
撮影器具を持ってエミリィさんの動画作りに手伝っていこう。
諸君、私は悪乗りが好きだ。
その混沌の果てに知的好奇心への甘美な香りがするのだよ。
ということで【レプリカクラフト(錬金術)】を駆使してエミリィさんの言動や演出を全力でサポートしよう。
怪人の痕跡を求めラジオ局を探ってみようじゃないか。
エミリィ・ジゼル
ほう、ラジオをジャックですか。
まさかやろうとしていたことの先を越されるとは。
怪人がラジオをジャックしたのなら仕方ありません。
リサさんと一緒にラジオ局へ乗り込んで原因を調査致しましょう。
ついでにわたくしの番組【かじチャンネル】のネタにもなりますしね。
というわけでグッドナイス・ブレイヴァーを使って中継を行いながら、
ラジオ局で怪人の情報を求めて電波ジャックの原因調査に当たります。
「ハイ、ドーモ!かじできないです。本日は出張生放送。現在、ラジオ番組をジャックしている怪人の足取りを掴むべく、ラジオ局を直接調査してみようと思いますー」
「ハイ、ドーモ! かじできないです!」
おなじみ撮影用ドローンのカメラに向けてふわりとお辞儀をするのは、エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)。その横で怪しげなサングラスをクイッとしているリサ・ムーンリッド(知の探求者・エルフの錬金術師・f09977)の姿もある。
彼女たちはジャックの原因を探るため、ラジオ局を訪れていた。無論、彼女たちの放送番組【かじチャンネル】のネタにもするために。
「本日は出張生放送。現在、ラジオ番組をジャックしている怪人の足取りを掴むべく、ラジオ局を直接調査してみようと思いますー」
「その通り!」
エミリィの丁寧な放送紹介に続いて、リサはその付け髭に捩じりマフラーという怪しげな風貌を更に怪しくしているサングラスをまたもクイッとした。偉い人感、出てる!
「さあ、今こそラジオ局に潜入し、痕跡を探ってみようじゃないか」
「善は急げです。まったく、まさか先にジャックされるとは……」
やろうとしていたことの先を越されました、とぶつぶつ呟くメイドさん。ばっちり聞こえているが、今のところ問題はない。ないったらない。
「こちらへ、メイドさん」
彼(?)がカメラに映るラジオ局へと案内するように道を開ければ、記念式典で使われているような真っ赤な絨毯が、ラジオ局までの道を彩った。リサのユーべルコード『レプリカクラフト(錬金術)』によって作り出された絨毯である。
「では行きましょう。レッツゴーです」
しかしエミリィはそれに驚くこともなく、むしろ嬉々として二人でその上を進んでいく。もはやテンションは「のりこめーっ!」って感じだ。チャンネル的には撮れ高がある。そして、自分たちが目立つことによって、他の猟兵たちが潜入し易くなるようにという「ついで」な配慮でもあった。
「諸君。ついにこの場所で、怪人の悪行を暴く時がきたようだ」
「ノーカットでお届け致しますので、チャンネルを変えることの無いようお願いします」
視聴者たちは固唾を飲んで放送を見守るのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リシェリア・エスフィリア
ここは常にだれかと繋がる文化圏……
何かに打ち込むには一人のほうがいいんだろうけど
心の底から一人でいることを望める存在なんて、ほんの一握り
……誰だって、寂しいのは嫌だ
【POW】行動
まずはラジオ局に行ってみよう
事情を話て一時的にでも放送の電波を止めてもらえるなら、相手はしびれを切らして出てくるかも
電波を止めるのが難しいなら、せめてラジオ局で情報を集めて相手の位置を割り出すことを努力
【カップリング】
「……短い間かもしれないけど、よろしく」
基本的にあまりしゃべらないが、相手の話はよく聞くし感情移入もする優しい気質
「……美味しいから、どうぞ」
甘いものが好きで同行者には良く持ち歩いているチョコをすすめる
杜鬼・クロウ
ペアは誰でも可
アドリブ歓迎
「ハッ、心底くっだらねェぜ。
まるで興味ねェし、俺も一人には慣れてっからなァ。俺の場合はそう”在る”べきだったからいいンだけどよ。
ただ、ぼっち文化でイキってる奴を見るのはなんかムカつくから、その文化はぶっ壊す」
ペアになった人へまず名乗って挨拶
口は悪いが礼節を重んじる
「二人一緒に鎮めろって話だ。俺も協力はするぜ。
足引っ張るのも引っ張られンのも御免だからな。ヤるからには俺の仁義を通す。
だからお前も応えろや。何かあったら俺を頼れよ」
最初に怪人が流すラジオから【情報収集】
【聞き耳】でどこで配信しているのか探る
微かなノイズや放送時間帯、内容から推測
ラジオ局へ向かいジャックを止める
●
「杜鬼ってンだ。よろしくな」
杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は、綺麗な銀髪に青い瞳――同じヤドリガミの少女へと、その武骨な手を差し出した。
「……短い間かもしれないけど、よろしく」
握り返すのは、幾分小さく華奢な手。リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)のものだ。
「さて、会って早々に残念な知らせなンだが。怪人の配信してる場所は、わからねェ。ノイズは混じってるがどうにもな」
唐突に話し始めたクロウのその内容に、リシェリアは微かに目を見開いた。クロウは既にラジオを聞き、そこから怪人の配信場所を割り出そうとしていたのだ。ただ怪人側も用心はしているのか、残念ながら特定には至らなかったようだが。
「……ラジオ局に向かう」
「OK。行動を起こすなら早いほうがイイってなァ」
そしてそれは、奇しくもリシェリアの考えと一致していた。彼女もラジオ局へと向かい、怪人の居場所を割り出そうと計画していたのだ。
2人はラジオ局へと向けて歩き出す。
「しっかしカップリングね。心底くっだらねェぜ」
「……くだらない?」
コミュニケーションなのか。ぽつりと零したクロウの台詞にリシェリアは首を傾げた。
「まるで興味ねェし、俺も一人には慣れてっからなァ。俺の場合はそう”在る”べきだったからいいンだけどよ」
ハン、と息を吐くクロウをリシェリアは歩きながら、その純粋な瞳でじぃと見つめる。
「なンだよ」
視線が気になって仕方がないと言わんばかりに、クロウは少女へと問いかける。
彼からの問いに、彼女はそっと目を伏せた。
「……心の底から一人でいることを望める存在なんて、ほんの一握り」
呟くように紡がれたその言葉をクロウは租借し、思考する。否定しているのか、促しているのか。それとも……?
「俺は――」
「――誰だって、寂しいのは嫌だ」
「…………」
被せるようなリシェリアの言葉に、クロウは思わず押し黙るのだった。彼女の声がそうさせたのだ。
その顔に浮かぶ表情からは、肯定や否定を読み取ることはできない。何を考えているのかは彼のみが知っている。
「……足引っ張るのも引っ張られンのも御免だからな。俺も、協力はするぜ」
何かしらの結論を出したのか、彼はそう言葉を続けた。
「だから、お前も応えろや。何かあったら俺を頼れよ」
「…………」
伏せていた目を上げ、またクロウと視線を合わせるリシェリア。その視線は初めにあった時よりもほんの微かに、気のせいかもしれないくらいではあるが、優しくなっている気がした。
「……美味しいから、どうぞ」
「…………調子狂うぜ、ったくよォ」
彼女のか細い手が唐突に差し出したチョコレートをクロウはぼやきつつも素直に口に放り込む。その味はどこか苦く、そして甘かった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
リック・ランドルフ
そんな闇の文化、どっから発見したんだ!?何としても止めないとな、そんな文化広める訳にはいかない、一人の人間として……!そんな決意を抱いて他の面子と一緒にラジオ局に乗り込みスタジオで向かいます。
ハバムル・アルコーン
カップリングかぁ…あたしみたいなぼっちの良い見本に出来るかなぁと思いつつも
もしして貰えるならあたしを養ってくれそうな人がいいなぁ~~~っ!
あまり直に動きに行くのも性に合わないけどPOWでラジオ局に直接向かって原因を探りに行こう。誰かに止められたりするなら【コミュ力】と【優しさ】を活かして上手く言いくるめられたらいいかな。
もしお相手がいるなら激しく恥ずかしがりつつもついつい甘えちゃうみたいなムーブで…お願いします…!
●
(お、大人だ……! 大人の年上の男の人だぁ)
ハバムル・アルコーン(だらしなきゲーマードラゴン・f04301)はラジオ局へと走りつつ、並走する男性を盗み見る。いや、そもそも依頼でペアを組んだ関係なので盗み見なくてもいいのだが。だって、ほら、恥ずかしいし……。
「どうかしたか?」
「いいいいいいや何もないよ!? ほんとだからー!」
ギュルンッ! と音でもなりそうな勢いで目をそらし、走ることに集中するハバムル。
「そうか? ならいいんだが……」
目を逸らされた男性――リック・ランドルフ(刑事で猟兵・f00168)は、何かしたかと首を傾げる。大丈夫、何もしてないです。
「ハイハァイ、そんなに走ってどこにいくんだい? 今はぼっちの季節だぜ?」
ほらほらー! と手を振り2人の走りを止めたのは、この世界の住民であるキマイラだ。ヒョウ柄の手に犬の頭。なかなかに興味深い外見ではあるが――。
「ごめんねぇ。今時間がないんだ」
「そんなこと言わずにお話しようぜ?」
ナンパかと突っ込みたくなるようなキマイラくんだが、この世界では日常的な光景である。立ち話放送なんてものもあるらしい。
ハバムルは話が長くなりそうだと察すると、懐から一つの新兵器を取り出した。それは完全な真円の薄い板。ちょうど投げるのによさそうな。
「そぉれ!」
「ワンワン!!!」
遥か彼方へと飛んでいく円盤――フリスビーを追いかけ、反射的に駆けていくキマイラくん。ハバムルの優しさ溢れる機転により、時間の浪費は防がれたのだ。
2人はまたラジオ局への歩みを再開する。
(あたしみたいなぼっちの良い見本に出来るかなぁと思ってはいたけど……)
ちらっ。ハバムルはまたリックを盗み見て、目を逸らす。もう一度。もう一度。
そんなことをしていたからだろうか。舗装された道の微かな凹凸に足が引っ掛かりつんのめる。
「おっと……大丈夫か?」
それを受け止めたのは勿論、真横を走っていたリック。
「だ、大丈夫……! 大丈夫だよ。大丈夫です!」
こくこくと頷くハバムルは、ぱたぱたと慌ただしく体を立て直す。呼吸を整えるために、息を吸って深呼吸。
生活するために依頼には行くものの、男性と2人で行動するなどなかなかない経験だ。率直にいうと、ハバムルはすごい照れていた。その実はめっちゃ恥ずかしがり屋なのだ。
その後に、危ないからという理由でリックに背負われる彼女の姿があったとか、なかったとか。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
【SPD】
ラジオジャックかぁ、バイクの出番は無さそうだけど……
にぃなちゃんガジェッティアでもあるからね、機械の事ならおまかせ!
ラジオの電波だってこのにぃなちゃんデバイスでばっちり受信!
【情報収集】して解析しちゃう!
場合によっては【ハッキング】とか【メカニック】的な手段でちょっとは何とか出来ちゃうかも!
ついでにガジェットショータイムで何か出しとこうかな、役に立つかも!
あ、そう言えばペアで活動だったっけ?
にぃなちゃん割と一人でも平気な方なんだけど、知らない人も全然平気!
バイクも二人くらいは乗れるし。
出来たら自分とは違うタイプの人と組みたいな☆
その方が面白そうだもん!
ヘスティア・イクテュス
ぼっちすごいって…キマイラの人の感性は本当よくわからないわね…
わたしは電脳魔術師として電波の解析でもしようかしら?
サポートAIのティンク・アベルを使って解析。他の放送の電波と比較して怪しい点がないか調べるわ
(情報収集&ハッキング辺りを使用可なら使用)
パートナーとは情報の共有、怪しい点を見つけたら相手の意見も聞いてみるわ
アドリブ歓迎
●ティンク・アベル-お嬢様呼び
執事のような丁寧口調なAI
●
ラジオ局の外。ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)は、自身の持つAI端末である【サポートAI端末 ティンク・アベル】と会話をしていた。
「他の放送の電波と比較して、怪しい点がないかを割り出して」
『承りました、お嬢様』
微かな駆動音と共に電波を走査するティンク・アベル。今時のAIとはなかなかに優秀である。ヘスティアの持つそれが特別優秀であるという可能性もあるにはあるけれど。
「あぁ、それと――」
「おー? おー!」
彼女が追加で指示を出そうとしたところに割り込んできたのは、ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)。
ニィナはティンク・アベルにぐぐっと近づくと、それを至近距離からまじまじと見つめる。その瞳は、新しいおもちゃを見つけた子供のように爛々と輝いていた。
「それなぁに? AI?」
「わ、私のサポートAIだけど……」
突然の突っ込んだ距離に戸惑いを隠せないヘスティア。しかし――。
「おー!!」
更にぐぐぐっと顔を近づけてくるニィナ。
「ニィナちゃんそれ気になるなー!? AIなんでしょ? どんな機能があるのかな☆ 会話? 処理? 演算能力も高そうだし、もしや自律的な思考とかも――!」
「ち、近いっ! 近いわ!?」
きっになっるなー♪ と、ただでさえ近い顔をもっと寄せてくるニィナに、ヘスティアは思わず慌てた声を漏らす。
「あ、ごっめーん☆」
物分かりはいいらしく、素直に離れてくれるのが唯一の救いだろうか。彼女は安堵の溜息をひとつ吐くと、そういえばと話題を電波のハッキングへと戻す。
「あなたは何か分かった?」
「んー、そうだねぇ。にぃなちゃんデバイスでばっちり受信はしたんだけどー! 電波の乱れが気になるかな? ここと、こことか!」
「ふむ、成程……」
ニィナが解析した電波の問題箇所は、ヘスティアとティンク・アベルが考えていた箇所と見事に一致した。端末を覗き込んだニィナとヘスティアは、それを確認すると顔を見合わせ、各々こくりと頷きあうのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニィ・ハンブルビー
呼ばれて飛び出てボク登場ー!
ぼっち文化はよくわからないけど、
お祝いはみんなでやった方が楽しいよね!
変な文化が広まる前に止めないと!
とりあえず放送中のラジオ局に向かって、
乗っ取りの原因を調べるよ!
機械は詳しくないけど…こういう場合、
周りに何か道具を仕込んでるのが鉄板だよね!
隠して置いてある物がないか探そう!
小さい体を活かして物陰を探したり、
【フワフワの魔法】で飛んで高い所を探したりしてみるよ!
ついでに局の人の落し物も拾えるかもしれないし!
何かあったら逐一局の人に確認だね!
エクサ・カラーヌド
俺ト組マサレル奴ハチョット哀レカモシレンナ…
マ、気ニスル事デモアルマイ。
【POW】ダ。
ドッカノ局ヲ占拠シテルナラソレマデダシ、機材トカガ盗品ナレバ、ソノ足取リモイクラカ追イヤスクハナロウ。
外カラジャックサレテルナラ、苦情トカガ集マッテルカモシレン。ソコデ地域ノ大マカナ割リ出シデモ出来レバ儲ケモノダナ
騎乗+操縦デバイクヲ駆リ、
スピーディ二ラジオ局二突入ダ。
多少荒イガ急ヲ要スル「オブリビオン」関係ダ。道中邪魔ナ物体ハ我背立不能デ斬リステモ厭ワン。
●
場所はラジオ局の裏口。その扉が突如大きな音を響かせ、盛大に割り砕かれる。それを成したのは、猛スピードで突っ込んできた1台のバイク。
そのバイクからひょいっと降りてきたのは、明るい金色の髪の妖精、ニィ・ハンブルビー(近距離パワー型フェアリー・f04621)だ。
「派手にやるねー!!」
「多少荒イガ急ヲ要スル事態ダカラナ、許シテ貰オウ」
散らばったドアの破片を見て声をあげたニィに答えたのは、古い時代の合成音声のような声。その持ち主はバイクの持ち主と同じである、エクサ・カラーヌド(テレビウムのスターライダー・f02365)。
「サテ、目的ヲ果タストスルカ。迷惑ヲ掛ケル時間ハ少ナイ程イイ」
「おっけーい!」
彼女たちが探し求めているのは、ジャックの原因となった代物だ。何かしらの道具であるとか。もしくは、無断で持ち出されたものがないかの確認等。やることは多くはないが、問題は山積みである。
「機材トカガ盗品ナレバ、ソノ足取リモイクラカ追イヤスイガ」
そう上手くいくとは思っていない、とでも言いたげに合成音声にざざっとノイズが混じる。
「ないかなー、ないかなー……」
ニィはその小さな体を生かし、普通のサイズでは確認するのが困難な場所に潜り込んでいた。こういう見えにくい場所にこそ、隠されたものがあるかもしれないのだ。そんな気がする!
「ないかなあ……ん?」
「ドウシタ?」
「これ見て!! これ!」
ナンダ? とエクサが呼ばれるままに見に行ってみれば、そこにあったのはぽっかりと隙間の空いた機材の間。
「コレハ……」
初めからなかった、というのは考え難い。つまりそれは、あったはずのものがその場所にない――持ち出されたことを意味していた。
「これ、大事なものだよね!」
私見つけた!? ときゃっきゃと喜びを表現する金髪の妖精に、画面にノイズを走らせたエクサは微かに苦笑を漏らすのだった。合成音声だけに、かなり分かりづらくはあったが。
割れた扉の修理費は、いつのまにか支払われていたという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
涼風・穹
【心情】
巨大なお世話にしていい迷惑だ
一万歩譲ってリア充どもを賛美していないのは素晴らしいとしても、『ぼっち』というのは文化じゃない
孤高の狼達の生き様であって、目指したり真似をしたりするもんじゃなく、いつの間にかそうなっていた、という類のものだ
そして間違っても自慢したり広めたりするものではない
【行動】
さっさとラジオ局へ向かう
配信元はともかく発信しているのはラジオ局
リアルタイムでのハッキングか、配信される筈の正規の番組とデータをすり替えているのかは分からないけど、調べれば何かしらの痕跡は見つかる筈
最悪の場合でも『キマイラジオ』が配信開始されれば放送発信機器そのものを止めてこれ以上の情報の拡散を防ぐ
エルフィ・ティントット
お祭りをたった一人でって寂しすぎるだろう!
賑やかなクリスマスを愛するボクとしちゃあ放っておけない!
というわけで、基本的にお手伝いをメインに動くとも。
【WIZ】でラジオの放送に耳を澄ませ……うわ、ろくでもなっ!
(あまりにもあまりな放送内容に漏れ出る声)
手に入れた情報はしっかり共有していくよ。
ちっちゃな体では移動も大変だからね。
相方の体格次第じゃ、ちょっと肩にでも乗せてもらいたいところさ。
【優しさ】を込めていっぱい応援で【鼓舞】してやろうとも!
……え、耳元だとやかましい?
まあまあ、それもまたボクの可愛さ愛嬌。
美少女を肩に乗せられる機会なんてそうそうないぜ!
(基本的に図々しさを包み隠さない)
●
「うわっ、ろくでもなっ!」
前回放送された『キマイラジオぼっち特集』。その放送内容に耳を澄ませ、かなり率直な感想を臆せず述べたのはエルフィ・ティントット(グッドフェロー・f00156)だ。
「それに関しては同感だな」
「そうだろー!」
肩に乗せた緑髪の妖精の言葉に、涼風・穹(人間の探索者・f02404)はこくりと頷く。
「それで何かみつかったのかい?」
ろくでもない放送を聞き終えた彼女は、その明るい緑色の髪を揺らし真横にある顔へと問いかける。
彼女のいる場所は涼風の肩の上だ。サイズの小さいエルフィは、広いとはいえないその場所でも収まりがいい。ちょこん。
「怪しいものはいくつかあるな」
涼風は目を細め、食い入るように画面に表示された文字の羅列に目を通す。そこに映っているのは、配信のデータが不必要に書き換えられていた痕跡だ。
証拠に、とそれをコピーして抽出を開始。同時に、彼は小さな溜息を漏らす。
「そもそも、何だこの放送……ぼっちは文化じゃないぞ」
ぼっちは文化ではなく、自ら目指したり真似をするものではない。それは一つの『生き様』であり、自慢したり広めたりするものでもないのだと。彼はぽつぽつと愚痴を漏らすよう、呟く。
「まあまあ、そう言わずにさ!」
肩に乗せた妖精が、その小さな手でバンバンと自身の肩を叩いているのを彼は視界に収めた。痛くはない。痛くはないが、煩わしくはある。
若干じっとりとしたものを含んだ視線をどこ吹く風と受け流し、足をばたつかせるエルフィ。
「ほら、もう少し! 手伝える部分は終わったし、後は待つだけだ。頑張れー! ファイト!!」
「だああ耳元でやかましいわ! 静かにしろ!」
「まあまあまあ、それもまたボクの可愛さ、愛嬌ってもんさ。美少女を肩に乗せられる機会なんてそうそうないぜ!」
もう降りろ! やなこった! とギャーギャー言い合う2人。エルフィは平常運転ではあるものの、涼風は何故かこの時間に安堵にも似た感情を覚えていた。
失った平和な日常が、少しだけ戻った気がして。勿論、それは空想であることは分かっているのだけれど。
やがて痕跡を解析し終えた彼らは、他の猟兵たちの情報と照らし合わせ、遂にジャック現場の位置を割り出すことに成功するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『固まるペインティングで大騒ぎ!』
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POW : ボディペインティングを試してみる
SPD : ペンキの出どころを足で探す
WIZ : ペンキに新たな魔力を加えてみる
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
数多くの猟兵たちの努力により、ラジオのジャック現場が特定された。
だが踏み入った先にあったのは、残された機材のみ。怪人は忽然と姿を晦まし――まあ、逃げたのだが。
●キマイラフューチャーの一区画にて
寒空の下、褌姿のキマイラたちの集団が大通りに鎮座していた。道行くキマイラたちも足を止め、何が始まるのかとワクワクしながらカメラを向けている。
ザッ! と一斉に鉄製のバケツを構え、刷毛をその中へと差し入れた褌キマイラ(命名)たちは、刷毛を持ったその手を同時に宙へと解き放った!
それはラジオに続く、次のステップ。流行に付随して怪人が画策した次の一手。それは――
『――ぼっちペインティングだあああぁぁぁぁああああ!!』
「「「「ウォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオ!!!」」」」
おいこれ誰かなんとかしろ、今すぐだ。
●
竹城・落葉
能力値はPOWを使用。我はアンノット殿と共に行動する。
我はアンノット殿と同じく、手と腕にペイントをしている。内容はコムローイというお祭りで、黒い夜空や仄かに明るいオレンジ色のランタンが描かれているぞ。また、人や地上も描いているが、これはアンノット殿と手を繋いだ時、とある角度から見ると現れる。その演出効果で、住人達を釘付けにしよう。一人ではできなくとも二人ではできる事もある。その事をペイントで訴え、怪人の主張を覆すぞ。
怪人が逃げた場合、アンノット殿の運転する【メタルハート・ベーゼン】に乗って追いかける。
また、アンノット殿に危害が及びそうなら、元武将として無茶の無い範囲で身を挺して守るぞ。
アンノット・リアルハート
【POW】で判定、同じ旅団の竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)さんと一緒に行動します
落葉さんと協力して自分達の腕をキャンパスに「夜空と空に浮かぶランタン、その下で手を繋ぐ二人の絵」をライブペイントしましょう。
その絵は一人だとただの模様にしか見えないけど、二人で手を繋いで決められた角度から見ると上述したイラストになるわ。確かに芸術は一人でもできるけど、皆が集まればもっと凄い作品が出来上がるのよ
それと怪人は逃げ足が早いようだから近くに【メタルハート・ベーゼン】を駐車させて、怪しげな人が居れば落葉さんと一緒に【騎乗】ですぐに追跡します。妨害があれば可能な限り回避しましょう
●
「ねえ、私たちも試してみても構わないかしら?」
体中をペイントで埋めるキマイラたちの集団。インクを持ったその一人にそう声をかけたのは、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)。
「そら!」
顔までペイントまみれになったサルの手を持つキマイラは、今だに大量に残っているインクをアンノットへと差し出した。彼女はそれを手にすると、何故かインクをつけることなく何処かへと歩いていく。
「……それが件の?」
「ええ、そうみたい」
彼女の目指す先には、インクを見て首を傾げる竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)がいた。
「しかし、これは……」
「ええ、なかなかにハイテクな代物ね」
アンノットは、インクのついた刷毛を引き抜く。刷毛の柄にはボタンが数個。なんと、ボタンやダイヤルでインクの量や毛先の形を操作できるようなのだ。未来都市らしい、無駄な部分で無駄に技術を発揮した代物である。
「……これが“ハイテク”なのですね」
学びになりましたと独り言ちる竹城は、暫く刷毛を見つめれば自身も同じく刷毛を手に取った。そして――。
『!?』
キマイラたち皆が一人一人、自分の体をペイントする中。なんと、彼女たちはあろうことか、差し出しあったそれぞれの腕に同時にインクを走らせたのだ。周囲のキマイラたちは流行に反する彼女たちの行動に固まり、楽し気だった空気は瞬く間に凍り付く。
何を大げさなと侮ることなかれ。今この時を雰囲気で生きている彼らにとって、流行というものはそれほどまでに大きなものなのだ。
「これで完成ね」
暫くすれば、頷きあう2人。彼女たちは一段高くなっている場所へと上ると、未だにその視線を向ける周囲のキマイラたちに見えるように、その細い腕を突き出す。紫色の瞳と黒色の瞳は、視線だけでタイミングを計ると、ゆっくりと。同時にその腕を合わせた。
『これは――ッ!!』
二人が腕を合わせたそこに現れたのは、幻想的な祭りの風景。それぞれの腕に描かれた模様は訳のわからないものではあったが、2人のペイントを組み合わせることで、2倍の面積になった色白のキャンバスに素晴らしいペイントが浮かび上がったのだ。
どこからともなくパチパチと沸き起こる拍手。キマイラたちはその感動に涙し、それをいち早く拡散しようと端末のカメラを向ける。
皆が思わず足を止め、涙を流しているその時。一つの影がその集団から猛スピードで駆け、遠のいていく。
「追うぞ」
「勿論。乗って!」
数歩先のビルの影に既に駐車してあったメタルハート・ベーゼンへと2人は駆けていく。怪しい影との鬼ごっこは、これから幕をあけるのだ。
ちなみに、この2人ペイント騒動はSNSで大きく拡散され、膨大な再生回数を叩き出す。それは後のブームを席捲することになる――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リシェリア・エスフィリア
【杜鬼・クロウと引き続き行動】
ぼっちを広めるために、様々なぼっちスタイルの提示は正しい
でもどうして、ペインティング?(少女は相変わらず無表情だが動揺している)
……困った。何かを作るって、少しニガテ……
でも、一人じゃなく誰かと遊ぶが楽しいって理解させたいね
……なるほど、それは派手で楽しそう。杜鬼の案に、乗せてもらう、ね。
【wiz】行動
杜鬼に協力する形で、インクに魔力を込めて色取り取りのラインを空に描くよ
【魔術師の記憶】を使用、危なくないように調整した氷の花弁を散らして空を彩ってみる
キマイラたち、楽しそうだって思ってくれるといいね
……私は、楽しいってどういう事か、わからないけどこれは……新鮮、かな
杜鬼・クロウ
アドリブ歓迎
ペアを組む事になったリシェリア・エスフィリアと同行
リシェリアに名前を聞く
「オイどういう事だよコレはよォ!!なんで褌とかツっこんだら負けか?ぁあ?
ったくこの馬鹿どもがックソ!
こうなりゃヤケだ!アイツらより目立って俺達が楽しんでるとこ見せつけて、ぼっち文化を撲滅するぜ」
【杜の使い魔】使用
褌野郎からバケツと刷毛を強奪
リシェリアに手差し出して、一緒に八咫烏に乗る
くるんと一回転しながら空中絵画
絵心はない(芸術は爆発だ
連携取って交互にペイント
褌軍団のペイントを上書きして【掃除】する
「無理して楽しもうとすんなや(小声)
俺とこういうアホなことヤったなって思い出がお前に残るンなら、それで十分(ニィ」
●
「リシェリア、リシェリアな」
教えてもらいたての少女の名前を覚えこむように繰り返すのは、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)。当の少女――リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)は、その瞳を褌姿のキマイラたちへと向けていた。
その視線を追いかけ、なんだあれはよぉとクロウは溜息をつく。
「オイどういう事だよコレはよォ!! なんで褌とかツっこんだら負けか? ぁあ? ったくこの馬鹿どもがックソ!」
「ぼっちを広めるために、様々なぼっちスタイルの提示は正しい」
不思議な光景に苛立つ彼に、リシェリアは冷静に怪人は正しいと評価を下した。
「でもどうして、ペインティング?」
珍しく困惑しているのか、考えすぎなのか。首をかくりと傾げる少女に、クロウはめんどくせェと後を続ける。
「こうなりゃヤケだ!」
「……?」
かくかくしかじかこうすんだよ、と耳打ちされた彼の案に、リシェリアはこくりと頷くのだった――。
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『な、なんだぁありゃあ』
ペインティング・キマイラたちは、太陽を覆い隠す巨大な影に空を仰ぐ。そこに飛んでいたのは、一羽の巨大なカラス。その上には、2つの人影が乗っている。
「やれそうかァ!?」
「……問題ない。このあたりで大丈夫」
ぴたりと空中で静止した、二人を乗せた巨大なカラスは、クロウのユーべルコード『杜の使い魔(モリノシキガミ)』によって使役されている。濡羽色の八咫烏というらしい。
クロウとリシェリアは、それぞれの手にインクのついた刷毛を持ち魔力を込める。それと同時に騎乗していた烏は飛翔を再開。それによってもたらされるのは――。
『お、おお!!』
空中へとインクで引かれた一筋の線に、キマイラたちの視線は釘付けだ。『その発想はなかった!』とばかりに宙の烏を見つめている。
二人はそれぞれ違う色のついた刷毛を交互に操り、地上で見つめる彼らに見せつけるように芸術的な線を都市上空へと造り出す。それは1人では成し得ないものであることは一目瞭然であった。
「キマイラたち、楽しそうだって思ってくれるといいね」
刷毛のボタンを押しながらぽつりと呟かれたリシェリアの言葉に、クロウは耳を傾ける。
「……とても新鮮」
「……なァ。無理して楽しもうとすんなや」
心の内が小さく口を吐いた彼女の言葉。言外に含まれた意味合いを以外にも汲み取った彼は、未だに楽しいというものがよく分かっていない少女へと小声で語りかけた。
「分かンなくてもいいんだぜ。俺とこういうアホなことヤったなって思い出がお前に残るンなら、それで十分」
いいンだよ、そんなので。と付け足すクロウ。それにほんの少しだけ考え込む仕草を見せたリシェリアは、小さく頷くと空中へと手を伸ばす。
「――凍り付いて」
それは彼女の攻撃用のユーべルコード『魔法使いの記憶(フィルミカ・エイセネス)』。しかし、今回はそれは攻撃ではない。ただ宙に引かれただけの線を無数の氷の破片がキラキラと鮮やかに彩った。それは彼女の、その青い瞳と同じように冷たい色で――同時に、確かな温もりを感じさせる“芸術(アート)”へと昇華していた。
何かを求めるように自身へと振り向いた彼女と視線を合わせ、クロウは無表情な彼女へと、ニィといい笑顔を浮かべてみせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヘスティア・イクテュス
これだけ集まってるのにぼっちペインティング…ぼっちとは?
落書き、大丈夫かしら?捕まらない?
というかそもそもなんでペインティング?
ほんと、キマイラの人たちって…
ペンキ…これは聞き込みでどこで手に入れたか足で稼ぐしかないかしら?
ペンキを持ったキマイラ達にどこで誰から手に入れたかを聞いて
その情報を元に
出どころを探ってみるわ【コミュ力、情報収集】
人から期待できなければ【ハッキング】して監視カメラの映像から追っていくわよ
一応自分でも飛べるけど
やっぱり足になる乗り物がほしいわね
アドリブ大歓迎
ニィ・ハンブルビー
ええ~…みんなで一緒に騒ぐのはぼっちじゃない気が…
まあいっか!ぼっちじゃないならむしろ好都合!
みんなでわいわい楽しんでれば、一人ぼっちになろうって気は吹っ飛ぶよね!
てことで、ボクも混ざってペインティングするよ!
え?ボディペインティングするの?
じゃあ水着に着替えよう!
そんでもって仲間の誰かと塗りあいっこしよう!
せっかくだから💖とか✨とか✌とか💣とか🎶とか、
楽しそうなものをたくさん描こう!
絵心?……気にしない気にしない!
さて、ボクはどんなペイントされるのかな~?
……あはははは!ちょっとまって!くすぐったい!
やめ……あはははははっはは!
●
「ほんと、キマイラの人たちって……」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)は、溜息まじりに息を吐く。視線の先には褌姿のキマイラたち。ぼっちと称しながらも何故か集団を崩さない彼らの謎な行動に、彼女はほとほと困り果てていた。
「でも、どこで手に入れたか聞いてみるしかないわよね」
自分の足で情報を稼ぐしかないか、と結論付け、彼女は早速立ち上がる。向かう先はペンキを持つキマイラの一人。その出所がどこなのか、自身で問い正そうというのだ。
「ねえ、その刷毛少しかしてもらえるかしら?」
「いいぜ、ほれ」
「ふむ……ねぇ、これっていったいどこから――」
ヘスティアが核心へと迫ろうというまさにその時。
「そらー!!」
「ふぁっつ!?」
彼女の頬を何やら冷たいものがひと撫でし、通り抜ける。素っ頓狂な声をあげてしまったヘスティアの視界に映るのは、小さな小さな主犯の金髪妖精、ニィ・ハンブルビー(怪力フェアリー・f04621)だ。
「これがボクの第三の秘儀、通り魔ペインティング!」
『オォォオオ!』
えへんっ! と胸をはる小さな妖精に、周囲のキマイラたちは称賛の拍手を送る。その場その場を雰囲気と勢いで生きている彼らにとって、エンターテインメント性のあるものは何であれ興味の対象なのだ。
「何言ってるのよ、私はペンキの主を――」
「そぉらっ!」
「わっ!!?」
秘儀、通り魔ペインティング(往復の復)!
一瞬のうちに、ニィはヘスティアの頬へとハートマークを描いて見せた! カメラを向けているキマイラたちは、もう大はしゃぎである。
「この……っ!」
頬に触れ、手についたインクを見て事情を察したヘスティアは対抗心の炎をその目に灯し、自身も刷毛を握り締める。
聞き出すのは後でも構わないのだ。大事なのは今、この時、何を成すか。先を見据えて成すべきことを成すことも、海賊としては大切なこと。だから、今は――。
「こら、まちなさいちんちくりんっ!!! こうしてやる、こうしてやるわ!!」
「……あはははは、ちょっとまって!! くすぐったい!? やめっ……あはははははっはは!!!」
巨大刷毛こちょこちょ攻撃は、ニィが音を上げるまで続くことになるのだった。ぼっち文化を払拭するには、いい刺激となったようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハバムル・アルコーン
あぁもうさっきは滅茶苦茶緊張した……この調子でこの先大丈夫かなぁ…
で、でも相手の足は引っ張れないし頑張るしかないよ。
【バトルキャラクターズ】を使用、呼び出せる限りの小人達を召喚してあちこちにまき散らされたペンキを辿らせて出所を特定しに行こう。
勿論あたしもSPDを活かして疲れるけど情報を足で稼ぐよ。
相方の人には【優しさ】を活かして励ましたり励まされたり…みたいな感じで…
*可能なら一章と同じ人と組ませて貰えればと
リック・ランドルフ
キマイラ達を集めてペインティング…?ぼっち…ペインティング……何が目的かわからないが…この量のペンキを何処から持ってきたんだ?道いくキマイラ達にこの集団が何処から来たのかや近くの塗料などの店に行って何処から入手したのかペア相手と一緒に探ります
「……この量のペンキを何処から持ってきたんだ?」
リック・ランドルフ(刑事で猟兵・f00168)は、周囲に撒き散らされた上で未だに大量に残っているペンキに疑問を投げかける。そんな彼の横には、ハバムル・アルコーン(堕落(しきった)竜・f04301)の姿もあった。
「それを調べないとだねぇ」
ペンキをキマイラたちにもたらした者。その大元へと辿り着くことができれば、そこにはきっと怪人が居るに違いない。未だに鼓動速く緊張する気持ちを抑え、冷静な思考を努めて保つハバルム。
(さっきは緊張した……で、でも、相手の足は引っ張れないし! 頑張るよ!)
さあやるぞと気持ちを新たにする彼女のそんな心の内はつゆ知らず。リックは早速とばかりに近くのキマイラたちへと聞き込みを始めていた。
「失礼。このペンキを持ってきたのはだれか知らないか?」
『知らねぇなあ』
しかし、帰ってくるのは『分からない』だとか『あっちのに聞いてくれ』という返答ばかり。大元よりも目の前のものに熱中しがちなこの世界のキマイラにとって、その質問は愚問であったのかもしれない。勿論、冷静に分析をする者もいるだろうが、そういう住民はこの場には参加していないだろう。
「ダメ、みたいだね」
なら仕方ないか! とポジティブ思考に切り替えるハバルム。彼女は見えないようにそっとユーべルコードを起動する。そうして現れたのは、彼女が出せる限界18人のバトルキャラクターズ。彼女が指示を出せば、キャラクターたちは撒かれたペンキの跡を戻り、大元へと辿り着くために散っていった。
「これで出所が分かるといいんだけどねぇ」
「きっと分かるさ。とりあえず、できることをしてみよう」
「……! あ、ありがとうー! お互い頑張ろう」
二人は視線を合わせ頷きあうと、手始めにと近くの塗料を販売している場所へ歩き出す。ハバルムは未だに緊張を抑えきれない様子だが、それでも最初よりは幾分砕けた雰囲気であった。二人の姿はキマイラ世界の都市群へと消えていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ティラノサウルス怪人』
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POW : ザウルスモード
【巨大なティラノザウルス】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : ティラノクロー
【鋭く長い爪】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 学説バリエーション
対象の攻撃を軽減する【羽毛モード】に変身しつつ、【体から生えた鋭く尖った針のような羽毛】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
『何故! 何故ぼっちではイカンのだ!』
鈍い音をたて、その拳を地面へとめり込ませるぼっち怪人。彼の脳内は、ぼっちを広め切れなかった自身の無力感とカップルへの憤りで溢れていた。
鋭い視線を向け思考する怪人の頭の中では、一つの結論が出ようとしていた。
『広められないのなら、消すしかあるまいな。この世界から、リア充を』
それはどのような心持ちであったのか。その結論を出すために、彼は幾度となく頭を悩ませたに違いない。違いないったらない。実際は3分だけど。
『男は漢にすればよい。女は●女子にすればよいのだ! 我天才か!? 天才なのだな! ふわっはっはっはっはゲフゲフ』
――怪人によるリア充撲滅作戦、始動。
概要:とめて
●
エクサ・カラーヌド
ハズレ枠再ビ、トイウ訳ダ。
残念ダッタナ。
イヤ、流石二置イテ行キハシナイゾ。相方二合ワセルトシヨウ。
アサルトウェポンノ射撃デ援護射撃+武器落とし+スナイピング、デ相方ヘノ攻撃ヲ「シャットアウト」ダ。
ソノ間二シッカリ詠唱ナリ構エナリ整エル事ダナ。
離脱ヤ高速接近ガ必要ナラ共二黄金竜(※バイク)ニ乗レ。落チルナヨ。
ザウルスモードデ猛追シテクルヨウナラ我背立不能デ腕ナリ装甲ナリヲ引キ裂ク事デ、カウンターシツツ逃レルトシヨウ。
倒シテシマッテモ構ワンガ。
※アドリブ歓迎
ヘスティア・イクテュス
正直その結論はどうかと思うわ…
とりあえず、その頭スカスカ怪人は撃ち抜きましょう、そうしましょう
ぼっち、広めたいなら動画とかペンキとかより
もっと内向的な家でしかできないことを広めれば良かったのに…
格闘戦は苦手、けれどアベルが相手の攻撃を予測、指示することで相手の爪を踊る妖精の如く回避、
回避することで出来た隙にティターニアで射撃して相手を撃ち抜くわ
【カウンター】
無論、これが本命じゃないわ
本命はわたしに注意を引きつけた後の相方の一撃
どう?一人より二人、単純な足し算よ
ところで●女子ってなに?(相方に)
「避けなくて問題ありません」
「了解よ!」
ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)がひらりと攻撃を避けたその先を狙って飛んできた剛腕は、ガーディアンと呼ばれる自動防御機構によって阻まれる。戦闘をサポートするのは【サポートAI端末 ティンク・アベル】だ。
『小癪な! 蹴破ってくれるわ!』
次に繰り出されるのは、怪人の巨大な蹴り足。未だ体勢の整っていない彼女には、避ける時間がないように思われたが――。
「シャットアウト、ダ」
『ぬう!』
その足を防いだのは、針の穴を通すようなタイミングで飛来した一発の弾丸。忌々しそうに怪人が見つめるその視線の先には、兵装を切り替えるエクサ・カラーヌド(テレビウムのスターライダー・f02365)の姿がある。
「動ける?」
「任セロ」
視線と画面が交錯し、その間に交わされた短い会話。しかし、ティンク・アベルにサポートされた彼女と彼は、それだけで十分にお互いの意思を汲み取ることができていた。ぼっちでは成し得ないものの一つである。
「ぼっち、広めたいなら動画とかペンキとかより、
もっと内向的な家でしかできないことを広めれば良かったのに……」
ぼそりと小さく呟いたヘスティアの言葉は、しっかりと怪人の耳に届いていた。無論わざとであったのだが――。
『小娘が!』
頭に血の上った怪人は、更にその拳を振り上げる。空を切る音と共に放たれた一撃はしかし、彼女へと当たることは叶わなかった。
攻撃予測によって舞うように拳を回避したヘスティアは、バックパックへと繋がった愛銃ティターニアを構えると怪人へと引き金を引く。
『そんなもの、我には――』
「今よ!」
「ヤルナ。了解ダ」
我には効かん! と身構える怪人の側面。そこから鈍い音と共に発射されたのは、小山のような怪人さえも吹き飛ばすバズーカ砲の一撃。アサルトウェポンの一つなのだがどこに隠し持っていたのだろうか。説明書を読んだに違いない。
「どう? 一人より二人、単純な足し算よ」
一人より二人、二人よりも三人。数は力であり、気の持ちようで更なる相乗効果も生まれるものなのだ。しばらく吹き飛んだ先を見つめていたヘスティアは、ふと気になることを隣のテレビウムへと問いかける。
「ところで●女子ってなに?」
「……知リタイノカ?」
彼女が興味を持ったことをちょっとだけ後悔するのは、数十秒後の未来だ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ハバムル・アルコーン
【行動】
カラフルRPGの強い光で【援護射撃】!
それで目を眩ませつつ【ドラゴニアン・チェイン】を発動し鎖で縛り上げて、組んでる相手が攻撃する隙を作り出すよ。
こっちにザウルスモードで突進してくるなら【見切り】で回避する。
【心情】
恐竜がなんだこっちはドラゴニアンだよ、力でなら負けない!
ぼっちの気持ちはよく分かる…まぁその、今は違うけどそれでも八つ当たりに巻き込むのは止めさせないと。
「あたしは動きを止めさせるからその内にお願い!」
「あたしは腐る方じゃなーい!どっちかといえば夢見る方だーっ!」
リック・ランドルフ
お前が本当の意味のぼっちを知っていたならこの件は起こらなかったんだがな…まあ、ぼっちじゃないにはわからないか。
上記のような事を言って怪人を挑発してペア相手に攻撃がいかないように注意を引きながら隙を見てはペア相手にサインを送って攻撃してもらいます。自分も隙を見ながらブラスターガンか拳銃でこうげきします。
今だ!やってくれ○○(ペアの名前)!
●
『この……』
吹き飛ばされた先で起き上がる怪人の前に立っていたのは、一組のカップル。女っ気の欠片もない白Tシャツとジーパンを履いたハバムル・アルコーン(堕落(しきった)竜・f04301)に目を見開く。
『お前はまさか、●――!』
「あたしは腐る方じゃなーい! どっちかといえば夢見る方だーっ!」
違うし! と言い返すバハルム。断じて違うのだ。違うったら違う。
「お前が本当の意味のぼっちを知っていたなら、この件は起こらなかったんだがな……」
やれやれと首を振るリック・ランドルフ(刑事で猟兵・f00168)を怪人は鋭い瞳で睨みつける。
「まあ、ぼっちじゃない奴にはわからないか」
『何を!!』
その言葉にまた激昂した怪人は、視線を更に険しくすると筋肉に覆われた巨大な腕をリックへと振り被る。その迫力にうっと表情を引き攣らせるハバルム。
「甘いな」
『このッ!』
怪人の視界に入ったのは、自身の拳を見切って避けるリックの姿。そして――。
『ぐっ!?』
彼の動きを追うために目を見開いていた怪人の視線の先に爆発したのは、カラフルRPGの強い光源。あまりの眩しさに思わず動きを止めた怪人をハバルムのユーべルコード『ドラゴニアン・チェイン』によって放たれた鎖が絡めとり、その場へと縫い付ける。
「今のうちにお願い!」
「了解!!」
思わず刑事時代の掛け声が出てしまったのも致し方なし。慣れた手つきで構えられた拳銃は間を持たずして怪人へと素早く照準され、数度に渡る銃声が都市の一角へと響き渡る。
『ウォォオオオ!』
「!?」
確実にダメージを蓄積させる怪人だが、その力はやはり凶悪なそれである。その身を拘束する鎖を引き千切り、握り締めた拳は銃を構えたリックへと襲い掛かる!
しかし、次の瞬間そこにあったのは――。
「恐竜がなんだ、こっちはドラゴニアンだよ! 力でなら負けない!」
その巨大な手を真正面から受け止めるハバルムという、予想外の光景であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リシェリア・エスフィリア
【引き続き、杜鬼・クロウと行動】
……遊ぶために空を飛んだのは、はじめて
誰かの楽しそう、を見ると。……何だかほっとするような、そんな気がした
深く考え込むんじゃなくて、感じていけばいい。その言葉をかみしめてみよう
「ありがとう、杜鬼。……良い相棒で、よかった。」
……でもその前に、ようやく目の前に現れた首謀者を倒さないと始まらない
【wiz】行動
……私がサポートに回る。杜鬼は、全力で戦って。
彼への攻撃をオーラ防御や武器受け等を使って防御の手助けをしながら、
【蒼の鏡】でティラノサウルス怪人のユーベルコードの流れを相殺する
(誰かに振るわれるだけじゃない。協力し合うこういう戦い方も、今の私には、選べる)
杜鬼・クロウ
アドリブ歓迎
引き続き【リシェリア・エスフィリア】と行動
「一人は悪くねェが、ぼっち文化でイキってる奴を見るのはなんかムカつくからボコす!
テメェの思惑どおりにはイかねェよ。
つーかテメェは多分ぼっちじゃねェし。ぼっちの周りに人は集まらねェだろ」
色んな意味で分かり合えないので非情に完膚なきまでに叩き潰す
リシェリアと連携意識
玄夜叉を構え【先制攻撃・2回攻撃】
真正面から剣で対峙
【トリニティ・エンハンス】使用。攻撃力重視
炎の魔力を剣へ宿す
敵の攻撃は剣で【武器受け・カウンター】もしくは腕で【かばう】
【鎧無視攻撃】で胴体狙う
「(口笛)やるじゃねェか。助かるぜ、”相棒”
なら俺の仁義に則ってそれに応えねェとなァ!」
●
怪人が仕切り直そうと逃げようにも、そんな場所はどこにもなかった。彼のリア充撲滅作戦は既に猟兵たちによって頓挫している。
「テメェの思惑どおりにはイかねェよ」
杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は黒づくめの戦闘服に身を包み、怪人の前へと立ち塞がる。
「つーかテメェは多分ぼっちじゃねェし。ぼっちの周りに人は集まらねェだろ」
『ほざけ! お前たちになにが分かる!』
怪人の視線はクロウの横に立つ少女へと向けられた。彼よりも幾分と低い位置で銀髪を揺らすのは、リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)。彼女は相も変らぬ無表情でその視線を受け止めると、ぽつりと口を開く。
「……私がサポートに回る。杜鬼は、全力で戦って」
「おうよ。ヤってやらァ!」
取り出したのは夜の闇の如き黒一色の大剣――玄夜叉。両手で剣を構えた彼をめがけ、怪人の強靭な拳が唸りをあげて空を切る。気づいた時には吹き飛ばされているほどのスピードと威力を内包した攻撃が彼へと迫る!
「甘いぜ」
しかし、怪人の拳は大剣によって流された。片手を刀身に添え、拳を滑らせるように角度をつけて受け止めた彼の武器が力を上手く逸らしたのだ。大剣に纏わりつく淡い蒼色のオーラが、ぼっちではなく2人でそれを成し得たことを物語っている。
『うぐっ!?』
カウンターの一撃をその実に受けた怪人は、少しの距離を取れば忌々しそうに目を細めた。それは今の攻撃を受け流したのが2人の協力あってのものだと理解していたからだ。
『リア充は、許さんッ!!』
「!?」
クロウが珍しく驚きの表情を浮かべたのも無理はない。突如、体を揺すった怪人から大量の羽毛が舞ったかと思うと、その全てが尖った針のように変化し2人へと殺到したのだ。飽和攻撃に逃げ道は無い。やべェかと頬を引き攣らせるクロウ。しかし――。
「……任せて」
「オイ、何を――」
彼は、一歩前へと出たリシェリアを引き留めようと出した言葉を途中で飲み込んだ。彼女の放つ優しくも冷たい蒼色の光、そこから感じるプレッシャーと何かしらの抗えない気配に思わず息を呑む。
クロウの前に立ったリシェリアはユーべルコードを起動させ、迫りくる無数の羽を冷たく見つめた。膨れ上がる光、場を満たす存在感。
(誰かに振るわれるだけじゃない。協力し合うこういう戦い方も、今の私には――選べる)
リィン、と。鍔鳴りの音が聞こえた気がした。澄んだその音に合わせて放たれたのは『蒼の鏡』。運命を喰らうその一撃は、殺到する羽を全て相殺し叩き落したのだ。
身構えていたクロウは思わずひゅうと口笛を吹く。
「やるじゃねェか。助かるぜ、“相棒”」
蒼い光とは正反対、火属性を持つ赤色の光が炎のように揺らめき大剣へと纏わりつく。振り被られたその剣を避ける術を攻撃後で動けない怪人は持ち合わせていなかった。
「――俺の仁義に則って、それに応えねェとなァ!」
一閃。気迫と共に振るわれたその一撃は、怪人を遥か先へと吹き飛ばす。少し焦げた壁の塗装がパラパラと地へ落ちる。
「終わったなァ」
まだ生きてるだろうが、他の奴らが何とかするだろ。と剣を仕舞う彼の姿を、青色の瞳はじっと見つめる。
「…………」
遊ぶために空を飛んだのは、彼女にとってはじめての経験だった。それを見ていたキマイラたちの楽しげな表情が目に浮かぶ。それを思い出せば、何だかほっとするような……そんな気がするのだった。
「ありがとう、杜鬼」
「なンだよ、急に」
ケガでもしたか? と訝し気な表情でこちらを見るクロウの言葉をリシェリアは思い返していた。
『――分かンなくてもいいんだぜ。俺とこういうアホなことヤったなって思い出がお前に残るンなら、それで十分――』
「なるほど……」
「あン?」
深く考え込むんじゃない。楽しいかどうかなんて考えて悩まずに、今のありのままを感じていけばいいと、彼は言った。そして、それが思い出に残るのなら――きっとそれは“楽しかった”ということなのだろう。
「良い相棒で、よかった」
「……そうかよ。こっちこそ、ありがとうな」
その時のリシェリアは一体どんな表情を浮かべていたのだろうか。クロウは微かに視線を逸らすと、ただ短くその言葉のみを返すのだった。
大成功
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アンノット・リアルハート
竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)さんと一緒に行動します
いよいよ大詰め。後は最後の大捕物……の前に、一つだけ気になることがあるからそれだけ確かめましょう
【彼方の夢よ、失われた記憶を呼び起こしたまえ】を使って怪人が本当に望んだものを思い出してもらいつつ【コミュ力】を使って怪人の心に届くように語りかけましょう
「ぼっちを広めたかったということは、ぼっち仲間が欲しかった……つまり、本当は一人が嫌だったんじゃない?」
正しいかはわからないけど、何も知らず倒すのは後味が悪いからね
戦闘では落葉さんを援護。【ノイギーア・シャッテン】を影のように相手を足元に忍ばせ、地面から【串刺し】にします
秋稲・霖
はいはーい!俺も可愛い子と一緒に戦いたい!
ぼっちなのはそりゃ寂しいけどさ
人を羨ましがってる前に出会おうとする努力とか?
そーゆーのしろっての!
…なんて挑発したら余計にあいつ強くなりそうだけど、当たんなければ問題ないし…
式神ゆっくり動かして攻撃させれば俺らも攻撃喰らわないんじゃね!?
俺天才!炎で燃やしてやるぜ!
二人で戦えんならめっちゃ頑張れそう、気張ってこーぜ
…ま、俺はどうしても式神任せになっちゃうんだけどな!何もしない!
※アドリブ、共闘歓迎です
竹城・落葉
能力値はPOWを使用。アンノット・リアルハート殿と行動を共にする。
我は怪人に詰問しよう。
リア充を殲滅すれば多くの人が消えるだろう。だが、その姿を見た方々は恐怖に怯えて貴様と距離を取り、やがて一人になるだろうな!
我は『剣刃一閃』で切り伏せる。戦闘中は冷酷な雰囲気となり、無表情で攻撃を仕掛けるぞ。また、【2回攻撃】【残像】【だまし討ち】を駆使して有効打を与えよう。そして、アンノット殿が【ノイギーア・シャッテン】で【串刺し】し易いよう立ち回る。貫いたら、その好機を活かして叩き込む!
また、戦う際はアンノット殿と一緒だが、どちらも近接攻撃だ。お互いにぶつからないように注意するぞ。
セブンス・エデン
にゃにゃぁ……、ティラノサウルス怪人すごい大きいのにゃ。
だがしかし!猟兵が怪人に負けるはずがないのにゃ。けちょんけちょんにしてやるのにゃ。
【千里眼射ち】をやるのにゃ。
集中している間はペアを組んだ人にちょっと頑張ってもらうにゃ。
「おっと、動かない方がいいぜ。破傷風になりたくなければにゃ。」
【二回攻撃】とか【援護射撃】とかも使えるかにゃ?
タマちゃんって呼ばれるのは嫌だから呼ばれたら怒るのにゃ。
●
「ぼっちなのはそりゃ寂しいけどさ」
見るからにチャラい雰囲気を身に纏う妖狐、秋稲・霖(ペトリコール・f00119)は怪人と対峙し、そう切り出した。
「人を羨ましがってる前に出会おうとする努力とか? そーゆーのしろっての! なぁ、タマちゃん?」
「その呼び方はやめるにゃ!」
にゃあ! と毛を逆立てて怒りを顕わにするセブンス・エデン(タマちゃんって言わにゃいで・f11788)。彼女はケットシーではあるが、タマと呼ばれることを嫌っているのだ。
『羨ましくなどないわァ!』
怪人はそんな二人の姿を忌々しそうに見つめると、ふんと鼻息も荒く地面を踏みつける。
「これは……」
帽子の下で瞳を細めたエデンが見たものは、その輪郭を徐々に巨大化させていく怪人の変化。それは、理性を失う変わりに身体能力を強化する、怪人のティラノザウルスモードだ。
「……10秒、時間を稼げるかにゃ?」
「お安い御用ってもんよ!」
まー任せろって! と安請け合いする秋稲。その手には既に、人型の紙――式神の依り代が握られている。集中のために目を閉じたエデンの前に、彼はしっかりと立ち塞がった。
どうすれば怪人を相手に時間を稼げるだろうか。式神を盾にする? それとも……。
「ゆっくり式神動かして攻撃させれば時間も稼げるんじゃね?」
必要な時間はたったの10秒。ザウルスモードになった怪人相手には、盾で耐えるよりも攻撃して時間を稼ぐほうが有効なのではないか。そう判断した霖は両手に持った依り代を大量にばら撒き、ユーベルコードを発動させる。
「よーし、炎で燃やしてやるぜ!」
彼のそんなセリフに心配になったのか、耳をぴくりと動かすエデン。途切れそうになった集中を慌てて持ち直した彼女は小さく息を吐く。ここで、10秒をカウントしなおすわけにはいかないのだ。怪人の突破力を甘く見てはいけない。
依り代の紙人形が、ばさりと宙を舞った。吸い込まれるように手元から離れたそれは、怪人の鼻面へピタリと張り付く。
『祓い彩れ、桔梗花(エガキキヨメヨゴボウセイ)――』
『グォォォオオオ!!!』
そこから噴き出した青紫色の炎に、怪人は一瞬にして包まれた。閉じた瞼の下で炎の眩しさを感じ取ったエデンは、しかし、集中しながらもその眉を微かに顰める。
『止まらんぞ!』
それは燃え盛るはずの炎の中に、動く影を感じ取ったが為。ケットシーは気配に敏感なのだ。
「!?」
炎の中から降り抜かれる怪人の巨大な爪。ヒュッと音を置き去りにするほどの速度で迫ったそれを――彼は、その身に張り付けた式神を盾に受け止める。
無論、軽々とそんな芸当を成し遂げたわけではない。むしろ普段なら式神を放って避けているところだ。しかし、背後に背負った今回限りの守るべき相方と、10秒時間を稼ぐという約束。安請け合いといえど――約束を破るのは性に合わない。
「カワイイ子と二人で戦えんなら、俺はめっちゃ頑張れるぜ……ッ!」
ジリジリと押され地面に刻まれる靴の跡が、その爪の威力を物語っている。だが、彼と――その背後に立つ彼女も、一歩も退くことはなかった。そして遂に、約束の10秒を終えたエデンが目を開く。
「よくやってくれた。選手交代にゃ」
彼女は手にしたロングボウに長大な矢を番え、その鏃を怪人へと向けた。赤茶色の瞳に映るのは屠るべき怪人ただそれのみ。鋭い視線をハットの中から放つその姿は、西部劇に登場するガンマンを彷彿とさせる。
「動かない方がいいぜ――破傷風になりたくなければにゃ」
――一条、怪人と彼女の間に音もなく引かれた光の線。繋がったそれはエデンの千里眼撃ちが見事に命中したことを意味していた。吹き飛んだ怪人は、その身に“二本”の矢を食らい彼方へと遠ざかる。一筋の光の線の中に放たれた矢は、二本。連なった特殊な矢は、彼女のハードボイルドへの憧れを追及した途上といえるだろう。
「おぉ! やったな、タマちゃん!」
「だからタマちゃんはやめろと言ってるにゃ!!」
ヘラヘラと笑う彼にツッコむエデン。二人の平和な会話がその場に響くのだった。
●
『お前等か』
ティラノサウルス怪人は瓦礫を払い立ち上がると、自身の前に立つ二人の人間に視線を向けた。
「覚えていてくれた?」
だいぶ嗅ぎまわったものね、と。アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は、探し出した怪人を前にそう呟く。怪人がラジオをジャックしたその時から行方を追っているのだ。それに怪人が気づいていても、何ら不思議ではない。
その横で、敵の前では必要な時以外は口を開かぬとばかりに無表情を貫いている竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)であったが。彼女は冷静な瞳で怪人を見つめると、おもむろに口を開いた。
「リア充を消す、だったか?」
『そうだ。それがどうした』
間髪入れず答えた怪人に、彼女は変わらぬ視線を投げかける。交錯する視線の間に散る火花は、今にも破裂しそうなほど激しいもので――しかし、そんな緊張を破ったのはアンノットの声。
「これは彼方の夢、捨てられた幻想、されど貴方の持っていた確かな記憶――」
『ウ、グオオ……?!』
その詠唱は彼女のユーベルコード『デイドリーム・リメンバー』。攻撃と呼べるのか曖昧なものを防御し損ねた怪人は、頭部を押さえてうめき声を上げる。
「あなたがぼっちを――」
『――黙レ!』
続けようとしたアンノットの言葉は、怪人がなりふり構わずに放った爪の一撃で霧散する。咄嗟にメタルハート・ベーゼンで飛翔し回避したものの、彼女の顔には小さな驚きの表情があった。
しかし、それも一瞬のこと。怪人が再度その爪を振り被れば頭を切り替え、戦闘モードへと移行する。風を切る爪の音。視認できない速度で振るわれるそれを綺麗に受け止めたのは、キラリと光を跳ね返す刃の輝き。
「リア充を殲滅すれば多くの人が消えるだろう」
竹城は刀を持つ手の力を抜き、爪に乗った巨大な力を受け流す。返す刀の速さは爪の速度に勝るとも劣らぬ微かな瞬き。
「――だが、お前のその姿を見た方々は恐怖に怯えて貴様と距離を取り、やがて一人になるだろうな!」
詰問する言葉と共に、光が反射する間もなく振るわれる剣客の刃は、二つの軌跡を描いて怪人に傷を負わせた。
『おのれ!!』
「させないっ」
残心を取る竹城へ、まさに振るわれようとしていた爪。その攻撃は、間髪入れずに槍を手に空中から突っ込んだアンノットによって弾かれる。
「今よッ!」
「承知」
気迫の声。爪を弾かれ体勢の整わない怪人へ、竹城が残像を引きつつ迫っていく。彼女の構えた刀に怪人の視線は吸い寄せられた。目の前の脅威である刃を受け止めることだけに全神経を向けている。
だが、しかし――
『グ、ォォオアアアアアアッ!!』
響き渡る怪人の苦悶の声。それをあげさせたのは刀ではなく、怪人の足元から彼を貫く一本の槍、ノイギーア・シャッテン。
「シッ!!」
――一閃。
次の瞬間にそこにあったのは、アンノットの槍に串刺しにされ動けなくなった怪人と、その胸のコアを深々と貫く一本の刃。
『オ、オオォォォ……』
「私たちの勝ちね」
暫くの間、油断なく目を向けていたアンノットだったが。怪人がもう動けないことを見て取ると、メタルハート・ベーゼンからひらりと飛び降りる。
『……』
「……ねえ、あなたは――」
遠いところでアンノットの声がした。彼は、既に自分のコアが破壊されたことは理解していたし、自身がここで朽ちることも分かっている。だからこれは、走馬燈のようなものなのだろう。ユーベルコードの効果だろうか。脳裏に様々な風景が浮かんでは消える。
自身を呼ぶ誰かの声。
誰かと見上げた都市の空。
まっすぐに引かれた飛行機雲。
いつかあの雲を自分が作るんだと、誰かに自慢した気がする。
「――本当は、一人が嫌だったんじゃない?」
『…………』
他者との関係を。自身以外と共有する時間と、何よりも心を欲していた。注目を集め、自分へと向けてもらう感情。ただそれだけを希っていた。それは――憧れだったのだろう。
『……寂しいのは、いやだな』
光の粒子となって消えつつある怪人が発したのは、およそ見た目に似合わない、子供のような言葉だった。
「……寂しくないわ。だって、貴方を覚えている人は、この世界にはたくさん居るもの」
“人”は二度死ぬという。一度目は、肉体が朽ちた時。二度目は、覚えている者が、この世から消え去った時。
「だから、安心して眠って。私たちもあなたを忘れたりしないから」
「……忘れられない、が正しいかもしれないがな」
怪人の爪で小さく欠けた刀を鞘に納めつつ、竹城はぽつりと呟いた。
『……そうか』
白い髪を持つ少女と、黒い髪を持つ女性。そして今までにこの世界で奔走した様々な猟兵たちに、キマイラの住民。彼、彼女らがもし、覚えていてくれるのなら――。
『――いいな』
それでいい。怪人は最期にそう呟くと、遂に光に溶け、消えた。
誰も死なず、猟兵たち以外は誰も傷つくことのなかった依頼は、この瞬間に達成されたのだ。
「……戻ろっか」
「……そうするとしよう」
どちらからともなく頷き合えば、二人は箒に跨り、都市の上空へと消えていく。
後に残ったのは、ひび割れた地面に、崩れた瓦礫。様々な場所で今なお行われるボディペイント。残されたそれらは、怪人が確かに存在していたことを忘れることなく現在(いま)へと伝えるのだった。
大成功
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