その牙、月下蒼海に潜みて
●俺たちゃ山賊兼海賊
「暇だなぁ……」
パチパチと火の粉が爆ぜる音に紛れて、噛み殺し損ねた欠伸の音が混ざった。
夏の夜。昼間の日差しが暑くとも、こんな月夜に吹く風は、海がすぐ目の前と言うこともあってそれなりに心地よい。
潮風による錆には少なからず気をつけねばいけないが、少なくともこの時間は過ごしやすい気候と言えた。
……だが、いくら過ごしやすかろうと、退屈さは誤魔化せない。
オブリビオンとて、暇なものは暇なのである。
「愚痴る暇があったら、獲物の一つくらい真面目に探せってんだ」
「つってもいい加減ここらの連中は狩り尽くしたじゃねぇかよ」
無精ひげを生やすに任せた薄汚い男が二人、篝火の向こうに目を凝らす。
険しい崖の下、眼下に広がる景色は暗い蒼一色で、耳に入ってくる音も、篝火の火の粉の他には岩壁に打ち付ける波の音くらい。
山賊、海賊……まぁ、居場所次第で名前は変わる。彼らは端的に言って『賊』だった。
はじめは近くを通りかかる船を襲って己の欲を満たしていたが、しばらくもしないうちに警戒し始めたのか、近づく者はいなくなった。
いくら腕っぷしに自身のある荒くれ者どもでも、振るう相手がいなければどうしようもない。
「この辺は魚も釣れねぇしなぁ……」
「そろそろ動く時期かもしれねぇなぁ……」
ちげぇねぇちげぇねぇ。
人の道を外れた者どもにも平等に、夜の帳は落ちて行く。
●こんな格好だけどこいつは泳がない
「……というわけで、動かれる前に仕留めちゃいましょう……というのが、今回の作戦の趣旨です」
例によって、ところ変わってグリモアベース。
ビキニの水着にセーラー風のシャツを重ねた格好のシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)がアックス&ウィザーズの投影映像をバックに地図を広げていた。
念のため言っておくが、浮かれているわけでもサービスしているわけでも罰ゲームでもない。
「場所が場所なんで、安全圏にいるとは言っても濡れても良い格好じゃないとと思って……」
まぁこれに関しては本筋ではないのであまり触れないであげよう。
「と、ともあれ。
場所はアックス&ウィザーズの洋上。とある小島に、オブリビオンの賊の集団が巣食っているようで……上陸して殲滅する、というのが今回の内容です」
地図にも記されないような、名も無い島なのだろう。海の上にシャルが目立つバツ印を付ける。
とは言え、連中も警戒……というより、獲物を今か今かと待ち構えているような状態だ。
船で迂闊に近づこうものなら、先制攻撃で沈められるのがオチだろう。
なので……と。
シャルは目標地点から少し離れた洋上に、もう一つ小さなバツ印を付け、島へ向けて矢印を引いた。
察しの良い猟兵なら、この時点で気付いたのかもしれない。
「ここに船を停泊させて転送地点としますので、皆さんはここから闇夜に紛れて泳いで上陸していただく形になります」
走るどよめき。
驚く者、抗議したそうな者、諦めムードな者、やる気満々な者。反応は千差万別である。
そんな中でも、猟兵ならやってくれるであろうという期待を込めて、シャルは説明を続ける。誰だゴリ押しって言った奴。
「ここからは、予知で見た限りの情報になりますが……小島、と言ってもかなりの起伏があるようです。山のてっぺんが海面から突き出している、と形容してもいいかもしれません」
波が崖に打ち付けていたり、それを除いても深い木々と険しい起伏のある地形なのだと言う。
砂浜の類は期待しない方がいいかもしれない。
「とは言え、賊が根城にして行き交う船を襲う、ということは、どこかしらに上陸地点はあるのでしょう。洞窟なり入り江なり、岩場にしても取り付きやすい場所は間違いなくある筈です」
もちろん、そう言う場所を賊だって利用するわけで、鉢合わせの確率も上がる、ということである。
不意の遭遇戦を避けるか上陸しやすさを取るか、この辺りは猟兵の判断に委ねられるだろう。
「無事に上陸出来たら、後は賊を探し出して蹴散らすだけです!」
生活跡や篝火の炎を探すことはそう難しくないだろう。思う存分先制攻撃をかけてやればいいとシャルは言う。
「……ただし、何があるかはわからないので、くれぐれも油断の無いよう。最悪、泳ぎながらの戦闘もあり得ます、充分注意して作戦に当たってくださいね」
では、ご武運を。
そう言ってシャルは、ぴしっと一つ敬礼をして見せた。
ふねこ
まーいーにっちーまーいーにっちーぼっくらーはぺったんk(銃声)。
……はいどーも、ふねこです。戦争中ですがアックス&ウィザーズです。
事件はこっちの都合なんて知らないからね。仕方ないですね。
例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
以下、補足情報になります。
第一章では、説明の通り海上を泳いで目的の島に上陸していただきます。
別に宇宙バイク等で水面走って頂いても構いませんが、『敵に気付かれないようにこっそり上陸する』という趣旨であることはお忘れなきよう。
第二章でオブリビオン『山賊』(山?)との集団戦となりますが、わざわざ捜索にプレイング割かなくともあっさり見つかってくれます。
第一章は上陸まで、第二章では戦闘に注力していただければ問題ありません。
それでは、皆様のご参加お待ちしております!
第1章 冒険
『泳げ猟兵くん』
|
POW : 体力と気力で泳ぎ切る
SPD : 技術や道具で泳ぎ切る
WIZ : 魔法や工夫で泳ぎ切る
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
蛇塚・レモン
……あたい、念動力で空が飛べる(念動力+空中浮遊)から、
実際に泳ぐ必要はないんだけどね?
でも泳ぐよっ! 水着コンテスト時の水着で参戦するよっ!
<WIZ>
といっても、遠泳は実は初体験
やっぱり飛んだほうが良いのでは?
そんな考えを振り切ってあたいは泳ぎだすよ
あたいの身に付ける衣服(アイテム)は蛇神様の神通力で迷彩効果があるよ
目立たなさを駆使して、念動力で加速しながら泳ぐね
これならスタミナを浪費せずに遠泳できるはずっ!
山賊に見付かりそうになったら、ミニ蛇神様を頭に巻いて透明化っ!
そのままやり過ごしながら港から上陸するよ
山賊相手に水着のままの戦闘は避けよっと……
(UC発動しながら木陰で着替えて武装する)
静かな海だった。
風は弱く、波は小さい。
夜の為に日差しは無く、かと言って水温は決して低くはない。
泳ぐには都合のいいコンディションであった。
……だから平気なのだ。
蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)はそう自分に言い聞かせて、夜の海を行く。
実のところ、彼女は『飛べる』。
自身が持ちうる念動力を以てすれば、空中浮遊は、できる。
でも泳ぐ。
浮いたら目立つし、あとせっかく水着あるし。
「……でも、初めての遠泳って、意外と大変……」
泳げないわけではないが、流石にこの距離を泳いで移動するのは今まで経験がない。
正直言って、意外とつらい。飛んでったほうが良かったかもしれない。
そんな考えを振り切りつつ、レモンは泳ぐ。
彼女の服には、蛇神様の加護によって多少の迷彩効果がある。
ただでさえ海の中、光を発することもない人一人を夜間に見つけるのは大変だ。
見つからずに島に近づくことは、そう難しい事でもない。
……もっとも、近づいた後、上陸するとなると話は変わってくるわけなのだが。
「まぁ、流石にいるかぁ……」
入り江となった岩場。ロープで小舟がいくつか括られた、小さな船着き場。
辿り着いたレモンの視界に、篝火を手にした賊が暇そうに佇んでいるのが見えた。
迷彩効果があると言っても、流石に近くを通りかかって見つからない保証はない。
「というわけで……いくよ、蛇神様」
ユーベルコード発動。
呼び出した蛇神様がくるりとレモンに巻き付けば、たちまちその姿は常人の目には見えなくなる。
その上で抜き足差し足。
賊の横をそろりそろりと抜けて、陸地へと入り込んでいく。
すっかり気の抜けているようで助かった。多少の物音はどうしても出るものだが、幸いに気付かれずには済んだようだ。
「さすがに、水着のままの戦闘は避けたいもんね……」
敵の気配がなくなったところでほっと一息。どこか着替えるところは無いかと、レモンはあたりを調べ始めるのだった。
……着替えシーン?ありませんよ。透明化してて見えないんだもの。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロット・リシュフォー
うう、鉱石種族に泳げとはご無体な~ですの
しかも隠密作戦ですから、敵と合う前に歌う訳にもいきませんし
「確かに、水着は買いましたけれども……。はい、諦めて泳ぎますです……」
せめて風の魔法をコントロールして、泳ぎの補助に使いましょう
「えーと、体の下に流れを作るような感じで……。はわわっ!?水着がずれちゃうです!?」
……風魔法は危険ですぅ
きょ、強力な魔法は敵に察知されてしまうかもしれないので控えめで!
あくまで作戦の必要上のことですの!
「そんな事より上陸地点を探さないとですぅ。近くて上陸しやすいところなら何でも良いのですけど……」
あの岩場に洞窟っぽい暗がりが見えるです?です?
【アドリブ歓迎】
月が綺麗な夜であった。
潜入にはあまり月明りが強くては困るものだが、そこまででもなく、雲の隙間からちらちらと覗く姿が、それはそれで風流であった。
……が、そんな空の上とは裏腹に、シャルロット・リシュフォー(歌声アステリズム・f00609)の表情は曇りに曇っていた。
クリスタリアン故に物理的には結構ツヤツヤだったとしても、そう言う話ではなかった。
「うう、鉱石種族に泳げとはご無体な~ですの……」
ということなのである。
クリスタリアンの中でも個人差は大きいにしても、体の組成上、どうしても肉体的には、一般の人種と比べて重い(決して太っているわけではない。断じて)。
しかも、目立ってはいけない隠密作戦である以上、大声で歌うこともできない。つまり事前のバフも不可能。
しょうじき、つらい。
けれど依頼を受けてしまった以上やるしかない。諦めて水着姿のクリスタリアンが海を行く。
「せめて風の魔法をコントロールして、泳ぎの補助に……」
気流……というより水流と呼ぶべきか。
体の下を流すようにして、浮力を確保しつつ推力の足しに……しようとしたら。
「はわわ!?水着、水着がーっ!?」
水流がトップスに入り込んで、危うくポロリする羽目に。
大慌てで水着のずれを直そうと体勢が崩れ、その結果沈みそうになってさらに慌て、ばしゃばしゃと大きな波が上がる。
……まだある程度距離があって助かったと思う。近距離であったら見つかってしまってもおかしくない。
見つからなくってよかった。敵の意味でも、味方の意味でも。
「……風魔法は危険ですぅ」
大人しく、力を弱めて地道に泳ごう。
そう、隠密の為だ。見つからないためには、派手に波風を立てるのは絶対に避けなければならないのだ。
とりあえず、早く上がりたい。
その一心で、シャルロットはそれっぽい岩場の影に身体を潜ませていくのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
四軒屋・綴
……良い月だ、奴等に愛でさせるには少しばかり惜しい。
という訳で海に飛び込んだのだッ!いやこれから飛び込むッ!具体的にはマスク状態だと少々心もとないので防具を変形させつつ展開ッ!人面魚ならぬ仮面魚形態へと変形させつついざ海へッ!
事前に確認しておいた周囲地形と自身の位置をゴーグルを活用し照らし会わせつつまずは深く潜っていくぞッ!見つかりにくいようになッ!
適当な深度への移動が済んだら指差し確に……ヒレ指し確認でユーベルコードを発動ッ!『低温の海流』を発生させ海流自体の速度に周囲海水との対流による加速を更にプラスッ!流れに乗って一気に島を目指すッ!
リア・ファル
共闘・アドリブ歓迎
POW
作戦は理解したけど…え?
今度は泳がなきゃ…ダメ? シャルちゃん? シャルちゃーん…!?(転送済)
「あ、一応ボクも水着レイヤー着用だよ。……さあ、静かな夜の海を征こうか!」
と言う訳で電脳魔術で熱光学偽装しつつ、
イルダーナで水面もしくは水中を移動しよう
(結局泳いでない)
周辺環境には十分注意して…センサーや探査は充分に
危なそうな場面ならUC【天空を舞う星】で海中に潜行してやり過ごそう
「本物のサブマリン気分かな……と、急速潜行ー!」
こうして海流や潮の流れを読み、海洋の海に親しむのは良いね
宇宙の海とはまた違うけれど、
データとして知ってる航海知識を、新鮮な気持ちで扱えるから
作戦は理解した。
そう、理解はした。
昼間に接近するには発見は避けられないし、夜となれば、船は座礁回避のために明かりを灯し、やっぱり目立つ。
それ以外の方法で接近するのは、仕方のないところだろう。
だが、リア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)は知っていた。
世の中には、天丼と言うものがある。
「今度は泳がなきゃ……ダメ?」
ダメ。
「シャルちゃん?このやり取り2か月くらい前にやらなかった?シャルちゃーん!?」
グリモア猟兵への抗議の声は、どこまでも青い海に溶けて。
そう、既にこの身は転送済み。眼前に広がるのは、グリモアベースでの作戦会議などではなく……あ、もういい?
「まぁ、数万メートルの自由落下よりはだいぶマシかぁ……」
お決まりの宇宙バイク『イルダーナ』に騎乗して、水中に身を躍らせるリア。
なんだかんだ、彼女も水着着用なあたりそれなりにノリノリなように見える。
「さぁ、静かな夜の海を征こうk」
「……良い月だ、奴等に愛でさせるには少しばかり惜しい……というわけでこの俺、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は海に飛び込むのだッ!」
「…………」
ざっぱーん。
なんかうるさい蒸気魚ロボが隣で水柱をあげた。静かじゃなかった。
「……綴さん、一応これ、隠密作戦だからね……」
「ハイ」
静かになった。素直だった。
最初にそんなやり取りがありつつも、後は順調そのものだ。
ワンオフ高級機なリアの相棒はもちろんの事、綴も電脳魔術でボディを組み替えて、水中活動に適したフォームへと変形している。
その姿は人面魚ならぬ仮面魚とでもいうような様相で見た目は相当アレなのだが、まぁリアしか見てないし良いことにしよう。
とにもかくにも、海での身のこなしに支障はない。すいすいと、苦も無く島に近づいていく。
だが、近づいていけば当然監視の目は厳しくなる。彼女らもセンサーを走らせているが、ライトは目立つので使えない。熱源と音を頼るしかない分、精度はどうしても落ちる。
ぱたぱたと綴がヒレを動かすのが見えた。地形の窪み、目につきづらい海中へ移動するように指示しているのだ。
「本物のサブマリン気分かな……と、急速潜行!」
それに追随して、リアも愛機の機首を下げて潜っていく。
海中の岩場は岩場で、まるで竜の首か何かのようにうねり、思った以上に複雑な形をしているように見えた。
二人が注意深くセンサーを走らせていなかったら危なかったことだろう。
なかなか面白いものだと、リアは想う。
宇宙の海とはまた違うものだけれど、データとして頭に入っている海と、こうして実際に体感する海は、それもまた違うものだ。
ふと、感じる潮の流れが変わった。
冷たく、速い流れ。
その流れそのものの速さもあるが、周りの海水との温度差は対流を生み、更にその流れを速くする。
先へ先へ、島の方へと押し出していく。
視線の先で、また綴がヒレを動かすのが見えた。
気を付けてついて来い、と。
このまま一気に接岸するぞ、と言わんばかりにリアを先導する。この流れも、綴がユーベルコードで生み出したものだ。
了解、と手で合図して、リアも改めて愛機の操縦桿を強く握りなおす。
月の光も届かぬ海の中、猟兵がまた二人、その身を戦場へと潜り込ませる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
風薙・澪
島ごと大火力のUCで吹き飛ばしてしまえば面倒がなくていいんですけど、そうもいかないですよねぇ
とりあえず奇はてらわず泳いで接近します
散弾銃は防水の箱にいれて長剣と一緒に浮袋にくくりつけてそれを引っ張っていく感じですね
でないと沈みそうですし
上陸場所は相手に見つからないような場所を目指します
東尋坊みたいな場所があれば被発見率は低そうですね
幸か不幸か垂直壁面の登攀経験があるのでなんとかなるでしょう
あのときは氷だったから溶かせたけど今回は剣を引っ掛けたりして行かないとだめですね
ついたら索敵ね
拠点が判明したら、時間を選べるなら明け方のちょっと前くらいまだ暗い西から奇襲を仕掛けます
めんどくさい案件だ。
風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)は率直にそう思った。
任務の大事さはわかっている。こうして自ら作戦に参加している時点でその点に疑いはない。
単純に、経なければならない、必要なプロセスが面倒くさいと、そう思った。
まぁ、仕方ないと言えば仕方ないのだ。
島ごと吹き飛ばせたら楽なのになぁ、とか思っても、果たしてそれを実現できる火力が存在し得るだろうか。
仮にできたとして、巣食う賊に感づかれずにその準備を完了できるものなのだろうか。
そう考えると、この面倒くささも受け入れるしかあるまい。
腰に結び付けたロープの先には、浮袋でくくった箱が一つ。
武器類だ。ちゃんと浮いているし、浸水している様子もない。火薬が湿気りでもしたら目も当てられないので、ひとまずは安心か。
「それにしても、険しい崖……」
あまり目につく場所を上陸地点にはしたくない。
それらしい入り江や、比較的なだらかそうな場所を避けた、というのはあるが、それを差し引いても、見上げている地肌はまさに『断崖』だ。
たしか、東尋坊とか、そう言う場所がこんな感じだったような気がする。
ここから上陸しようなどとは普通は思わないだろう。
……逆に、だからこそ監視の目が薄い、ということでもあるのだが。
箱に固定していた鞘から剣を引き抜く。楔にしては些か大きいが……まぁ、贅沢は言ってはいられない。
なに、登攀経験は初めてではない。何とかなる。
そう自分自身に言い聞かせて、腰に括りつけた荷物の重みを感じながら、澪は断崖に挑み始めるのだった。
成功
🔵🔵🔴
ユーイ・コスモナッツ
・POW
ふふっ、泳ぎには自信があります!
このくらいの距離でしたら、難なく……
って、泳ぎ着いた後で戦うんですか?
ははは、さすがシャルさん
となれば、武器も持ちこまなければいけませんね
反重力シールドをビート板のように使っていきましょう
宇宙古式泳法をご披露できないのは残念ですが、
いざという時に、水音を立てずに浮いていられ、
最悪、水上で戦うこともできるこの形は、
案外理に適っているかもしれません
あとは、エンハンスド・サバイバルナイフを
身体に固定していきましょう
方角を間違えないようにして、
島が近くなったら極力水音を抑えて、
そうそう、上陸後に戦うだけの体力も残しておかなくちゃ
どこまでもハードな作戦だなあ……
「ふふっ、泳ぎには自信があります!」
さすがユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)さん、心強いですね。
「はい!このくらいの距離でしたら、難なく……」
流石です。それならその後に控える戦闘も余裕ですね。
「……って、泳ぎ着いた後で戦うんですか?ははは、さすがシャルさん」
ははは。
ははははは。
「……はぁ~……」
そんなやり取りがあったのが十数分ほど前。
ユーイは海上で大きい溜息をついていた。
泳ぎに自信があるのは事実である。
事前に示された距離であれば、問題なく泳ぎきれるという自己評価に嘘は無い。
……だが、その後に戦闘が控えているとなれば、話は大きく違ってくる。
まず、荷物が多い。身一つで泳ぐなら問題なくとも、その後戦うための武具が無いと話にならないし、それは、泳ぎの段階ではデッドウェイトになってしまう。
そしてもう一つ。体力の問題がある。
ただでさえ荷物が増えて余計な体力を消費すると言うのに、戦闘に備えて『体力に余裕を持たせて』泳ぎ切らねばならない、ということだ。
「どこまでもハードな作戦だなぁ……」
仕方ないと言えば仕方ないんだろうけど、無茶言うんだからもう。
ビート坂代わりに海面に浮かせた愛用の反重力シールドに上半身を預けて、もう一つため息をつく。
……まぁ、その中でも自分はまだ恵まれているほうかもしれない。
いざという時はこれで浮いていられるし、何なら騎乗して水上戦もやれるだろう。
括り付けてあるナイフも合わさればそれなりに戦えるだろうし、なんだかんだで問題なく泳げている。
「宇宙古式泳法をご披露できないのは残念ですけど」
まぁ、それはいつか、みんなでレジャーに行ったときにでも。
気を取り直して、ユーイの足が再び水面を蹴り始める。
目指す島は真正面。少女騎士は、真っ直ぐに戦場へと向かっていく。
成功
🔵🔵🔴
寧宮・澪
えー……泳ぐん、ですよね。
……泳ぐん、ですよねー。
(とても だるそう)
……飛べるん、ですがー……はい、いきますー……。
ええと、まず、この辺りの、潮の流れを魔法の鏡で情報収集ー……そしたら、島に向かうのに良さげなルートを地形の利用含めて、分析しましょー……。
あとは、見つからないよう、目立たぬようー……第六感で忍びながら……泳ぎ、ましょー……。
水着で、ゆっくり、潮の流れ、に、乗れるだけ乗ってー……体力、温存します……。
必要なら、謳ってちょっぴり潮や風の流れに干渉、運んでもらいますー……。
……飛んで、目くらまししたほうが、早い、のではー。
(ごぼごぼ)
アドリブや、連携おまかせ、ですよー……。
とても、だるい。
見た目からしてそんなオーラを漂わせながら寧宮・澪(澪標・f04690)は夜の海を泳いでいた。
いやむしろ浮いてた。ぷかぷかと。
体を動かすことすら億劫だと言わんばかりに、ただ浮いていた。
だってそうだろう。自分はオラトリオだ。そして電脳魔術師だ。やろうと思えば『飛べる』のである。
なにゆえ、わざわざ体力を使う水泳と言う手段を取らねばならぬのか。
……いやまぁ、飛ぶと目立つからなんだけど。
そんな状況でありながら、それでも澪は着々と島へと近づいていた。
見た目は水着姿で鏡眺めながらぷかぷか浮いているだけなのだが、その実、潮の流れや地形情報はしっかりと収集していた。
あとは、島に近づく潮の流れに乗ってしまえば、体力を温存しつつ島に近づけると言う寸法である。
それに、自発的な行動を抑えれば不自然な波も立たず、より目立ちにくくもなる。
実のところ、けっこう理に適っている行動と言えよう。
「とは言ってもー……このまま浮いてるだけではー……上陸、無理そう、ですねー……」
所詮は自然現象、そこまで虫のいい話は流石にない。
仕方ない、と澪は小声で歌を口ずさみ始める。
電脳魔術による干渉。にわかに風が、波が立ち始める。
傍から見れば、ちょっと気流がおかしくなった程度に映るだろう。波の中の彼女が目に付くことはそうそうない。
そうして、島へと向かう波の流れを生み出して……。
「ごぼごぼごぼごぼ」
……やっぱり飛んで目くらましした方が良かったかもしれない。
頭から波に押さえつけられながら、澪はそんな事を思った。
成功
🔵🔵🔴
荒谷・ひかる
うーみっでーじーろーじーろー、いやになっちゃうよーっ♪
(水着姿で、楽しそうに歌いながら海面近くを「歩く」)
【草木の精霊さん】発動
転送地点から目的の島まで、海藻さんでできた「ほぼほぼ一直線の迷路」を作るよっ。
勿論、ユーベルコードでできた迷路(一直線)だから、足場にしても問題なく歩けるんだっ♪
一応、島に近づいたら姿勢を低くして、見つからないように気をつけよっと。
上陸に使う地点は、どこからどう見ても登れなそうな切り立った崖。
でも、草木の精霊さんの迷路が通れば……崖の側面から階段みたいににょきにょき木が生えて、上まで問題なく行けるんだよ!
流石にこんなとこで見つからないと思うけど、一応気を付けるよっ!
「まーいーにっちーまーいーにっちー、ぼっくらーはぺったんこー♪うーみっでーじーろーじーろー、いやになっちゃうよーっ♪」
なんかもう鯛焼きの面影が欠片も無くなってしまった何かを口ずさみながら、荒谷・ひかる(精霊ふれんず癒し系・f07833)は夜の海を歩いていた。
そう。『歩いて』いた。
足元には、海藻がびっしりと。
それどころか、横も上もびっしりと海藻に覆われていた。
草木の精霊が生み出した、天然(恣意的なものなのでこう言っていいのかは疑問が残るが)のトンネルである。
本来は海上に作るつもりだったのだろうが、流石に海底から海面まで伸びるには無理があったようで海底トンネルとなってしまったが、逆に言えば島の上からの監視の目を逃れる事にもなっていた。
結果オーライ……ではあるのだが、その代わりに一つだけ、困った問題が起きていた。
「……これ、本当に向き大丈夫なのかなぁ……」
真っ暗なのである。
それはそうだ。海水が入り込まないためにびっしりと埋め尽くしている以上、ただでさえ心もとない月の光など入ってくるはずもない。
一応、事前に方向はしっかり調整して生み出している筈なので問題ないとは思いたいが。
……と言っていたら、急な上り坂。見上げてみれば出口のようだ。到着したらしい。
「さて……それじゃ、もう一仕事、おねがいねっ!」
ぴょこんと海面に顔を出せば、目の前には断崖絶壁。
鍛えられた猟兵でさえも苦労しそうな代物だ。本質的に『精霊使い』であるひかるにとったすれば、余計厳しいものがあるだろう。
というわけで、ここでも精霊の出番と言うわけである。
声をかければ、身じろぎするかのように島が揺れ、崖の隙間から生えている草木がにょきにょきとその身を伸ばしてくる。
階段である。
これでひかるの力でも楽々登れる寸法……の、ハズであった。
……そう、理論上は問題なく登れる。それは間違いない。
ただ、単純な話。
長い階段は、それはそれで足腰にクる……という、ただそれだけの話であったのである。
それでも気付かれずに上陸出来た事実に違いは無いので、少し休めばまた動けるようになることでしょう。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『山賊』
|
POW : 山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD : つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ : 下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●闇に紛れて牙を剥く
無事に島へと上陸した猟兵達。
草木や岩陰に身を隠し、中へと分け入ってみれば、賊たちを見つけるのはそう難しい事でもなかった。
単純に、島そのものがその険しい地形とは裏腹に狭かったことも大きい。
海を見下ろすように設置された篝火に、岩の浸食を活かした簡素なねぐら。
元々、部外者などめったに入ってくるような場所ではない。
隠す気も無く築かれたそれらを見つけることは、あまりにも容易であった。
こちらに気付いた風でも無く、賊たちは酒盛りをしたり愚痴を言い合ったり。
寝ている奴もちらほら見受けられる。
……仕掛けるには、絶好。
どこかで、何かの炸裂音と誰かの叫び声が聞こえた。
猟兵の誰かがどこかで仕掛けたらしい。
何事かと、目の前で賊が身構える様が見えた。さぁ、こちらものんびりはしていられない。
荒谷・ひかる
(崖を登ってとても疲れたので、休んでたら寝てしまったひかる)
(目を覚ますと、そこは下種な笑みを浮かべる山賊共のねぐらだった!)
……えっ。ここどこ?
おじさんたち、だれ……?
(舐めるような視線の大男共に囲まれ、全身が総毛立つ)
(これから自分の身に降りかかる事を理解した瞬間、覆い被さられ目の前が真っ暗になる)
「いやあああああああああっ!?!?!?」
※以下精霊さんの行動
ひかるの悲鳴に呼応して【精霊さんの守護騎士団】発動
炎、水、風、大地、草木、氷、雷、光、闇。
9属性の精霊さんが各5体ずつ計45体、ひかるを護るために顕現。
自然を司るあらゆる属性の権能を以て、ひかるを傷つけようとした山賊を容赦なく殲滅する。
――さて。
かくして戦端が開かれたわけであるが、そもそも最初の一撃は誰が放ったものであったのか。
それを少し語りたいと思う。
「うぅ……ん……?」
落ちていた意識が、少しずつ覚醒していく。
ピンボケした視覚情報を脳に入れながら、ひかるは自分が眠りに落ちていたことを理解した。
なんで眠っていたのだったか……は、幸いにしてすぐに思い出すことが出来た。
賊共の掃討作戦のために島に上陸したはいいが、存外に体力を消耗したのだ。
物陰で体力を回復させていた筈が、そのまま寝落ちてしまっていたらしい。
……それにしては、景色が変だ。まだ少々ぼやけているが、明らかに屋内で、何か陽が焚かれているようにも見える。
いったいどういうことだろう……と、寝ぼけ眼を擦ろうとして……腕が動かない。
「え……?あれ……!?」
そこでようやくひかるは、自身が後ろ手に縛られていることに気が付いた。
簡素な布の上に横たわって、目に入ってくるのは上も横も洞窟らしき岩の壁と……品の無い笑みを浮かべる男たち。
「ここ、どこ……?おじさんたち、だれ……?」
震える声に答えは返ってこない。代わりに返ってくるのは、水着姿のひかるを舐め回すような視線ばかり。
ひかるは自身の肌が粟立つのを感じた。そして、今自分がどのような状況に陥っているのかも。
……自分は、賊に捕まってしまったのだ。
元々筋力に関していえば人並み以下のひかるが手足を拘束されてしまえば、もはや為す術はない。
これから自分が何をされようとしているのか、その手の『知識』は無くとも、自分を舐る男たちの視線を見れば、なんとなく感覚で理解できる。できてしまう。
そう思うと、身に纏った水着がとても頼りなく思えてきた。
視界が涙で滲む。
来ないで、来ないでと懇願しようとしても、震えて声がなかなか出てきてくれない。
そうこうしているうちに、一人の男が自身の身に覆いかぶさって、光が遮られて視界が暗くなると同時に、男の指が自分の肩に触れるのを感じて――。
「いやあああああああああっ!?!?!?」
その後は、一瞬の出来事だった。
水着をずり降ろそうと指をかけた男が強烈な風圧で吹き飛ばされ、
壁にぶつかったらピンポイントで小さな落盤が起こり頭に当たり、
駆け寄ろうとした別の男は、唐突に足元に生まれた氷の床に足を滑らせ、
強烈な閃光が男たちの視界を焼いてエトセトラエトセトラ。
どさくさ紛れに拘束が外れたひかるが泣きべそかきながら洞窟から出てきた後ろでは、ただ惨状を物語る焦げ臭い煙が立ち上っているだけだった。
苦戦
🔵🔴🔴
風薙・澪
ばれちゃったんじゃ、仕方ないわね
出来れば奇襲で数を減らしておきたかったんだけど
とはいえ完全にこちらに気付いたわけじゃないみたいなので先制攻撃くらいはできるかしら
持ってきたのは、長剣とショットガンと魔術行使用の指輪なので、こちらの居場所がばれないうちは木々の間から移動しつつ銃撃
ばれたら、長剣とUC鋭氷矢を含めて攻撃
ショットガンのリロードの隙はUCと剣で、UC鋭称の隙は銃と剣で補うわ
動き回りながら、手あたり次第攻撃を仕掛ける戦法でたまに狙いすました一撃で止めを刺す
まあ、月並みだけど、年貢の納め時っていうものね
共闘可、アレンジ可
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
なんとか辿り着けたな、CEOには感謝せねばなるまいが……っと、ここは慎重に動かねばな……
おーいこっちだッ!!侵入者が来たぞ捕まえろッ!!
具体的には俺だッ!飛び上がりつつユーベルコードを発動し変身ッ!ちょうど良いところに居た山賊を踏みつけつつ名乗りッ!荒野を目指せ、未来を創れ、定刻通りの明日を護れッ!!勇蒸連結ジョウキングッ!!貴様達は『当駅止まり』だッ!!
かくして戦闘開始ッ!出し抜けにブースト【ダッシュ】で急接近ッ!不意を突くことで剣筋の鈍った斬撃を【グラップル】で反らしつつ張り手、ラリアットッ!!そして投げるッ!具体的には貴様にだ山賊その2ッ!ペースを渡さず殲滅だッ!
「あらら、始めちゃったか……」
島のどこかで上がった煙を眺めながら、澪は一つ溜息を零した。
夜明け近くまで待って、太陽と逆側から攻め入ろうかと思っていたのだが、誰かが既に始めてしまっているようだ。
こうなった以上、賊が動き始めるのも時間の問題だ。
まぁバレてしまった以上は仕方がないし、夜襲も決して悪手と言うわけではない。
「完全にこちらに気付いたわけじゃないし……」
自身は藪の中。
隙間の奥に見える賊たちは、まだこちらの存在を認識できていない。
今なら先制攻撃である程度数も減らせようか。澪はショットガンを手に取る。
その時……。
「おーいこっちだッ!!侵入者が来たぞ捕まえろッ!!」
響き渡る声に、澪は思わず身を竦ませる。
「(……気付かれた!?)」
極力音を立てないように気を付けながらも、声のした方向を探す。
……声の出所はすぐに割れた。
なにせ、蒸気の煙を撒き散らす小豆色の人型ロボ(っぽいもの)が山賊の一人を踏みつけながら堂々と名乗りを上げていたのだから。
「具体的には俺だッ!」
荒野を目指せ、未来を創れ、定刻通りの明日を護れッ!!勇蒸連結ジョウキングッ!!
ででーん、と効果音がつきそうなくらい堂々とした名乗りだった。
「……はぁ」
澪、溜息(二回目)。
彼が猟兵なのはまぁ、見ればわかる。明らかに世界観に則さない恰好、それも、賊が突然の登場に驚きこそしても、その恰好自体に疑問を持っていないことからも見て取れる。
そもそも、こんな場所で賊と敵対している存在が猟兵以外に何がいると言うのか。
そんなわけで現れた彼……綴であるが、むしろ悪手中の悪手が一周回って相手の混乱を呼んだらしい。
なんだコイツと動揺する山賊に向かって登場の勢いのまま突っ込んでラリアット一撃、張り倒す。
「な、何なんだてめぇ!?」
「かまうこたねぇ!相手は一人だ、囲んでやっちまえ!!」
とは言え賊も無能ではない。やられっぱなしでは終わらず、綴を取り囲むような動きを見せ始める。
……好都合だ。
澪に対しては一向に気付く様子はない。どころか、完全に注意が綴に向いた。
散弾銃とは言え、発射方向さえ気を付ければ誤射はそうそうない。
綴との間合いを測っている山賊の一人に、横合いから一発叩き込んでやる。
「なんだぁ!?」
「余所見してていいのかな山賊その2ッ!!」
突然の炸裂音に倒れ伏す賊。思わずそちらの方向を見た別の賊に、綴が更に別の賊をぶん投げる。
重なり合って倒れ伏す敵。大丈夫だ、まだ澪の位置は完全には把握されていない。
綴のゴーグルの隅、騒ぎに紛れて攻撃ポイントを移動する澪の姿が見えた。
かさかさと草が擦れる音を掻き消すかのように、綴が叫ぶ。
「さぁ、貴様達は『当駅止まり』だッ!!」
ペースを相手に与えるつもりはない。このまま一気に殲滅してくれると、勇躍する。
「まあ、月並みだけど、年貢の納め時っていうものね」
その陰では、澪のショットガンが次の弾を呑み込み、新たなる獲物に狙いを定めていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャルロット・リシュフォー
ふふふ……
陸地に上がってしまえばこちらのものですぅ……
「見つからないように戦うのは得意です、です!」
【クリスタライズ】を発動して
盗賊さん達を背後からばっさりやっていきますぅ
風の魔法の使い方……泳ぐときは失敗しちゃいましたけど
今回は消音の為に使いましょう
後は『盗賊の助けを呼ぶ声』等を周りに届かせなくするのにも使えそうですね
一人を背後から斬りつけたら、すぐに離れて別の一人を横から斬る
場合によっては数回斬りつけたら別の戦場の方へ行く
と言った風に相手を撹乱して混乱させるのを主軸に動きますぅ
「今日は布面積が小さいので透明化してもあまり疲れないですぅ。これなら……」
【アドリブ歓迎】
寧宮・澪
……しょっぱい、ですー。
うーん……お水が、ほしい……。
全身洗えるくらい……。
ですので……早めに、退散願いましょー……。
もう、水着のままで、いいやー……。
篝火もありますし、狙いもつけやすそう、ですねー……。
山賊?さん、にー……【霞草の舞風】ー……。
謳って、風に小瓶の催眠毒も乗せてー……謳函、崩して、花嵐ー……。
弱らせつつざくざくいきましょー……。
ここにいられますと、いろんな方面に、大変迷惑ですのでー……骸の海にお帰りくださいなー……。
笑って戦闘力増されても、逃さぬようにー……ざくざく、いきましょねー……。
この島、狭いんですし、逃げにくいでしょうしー……。
容赦なし、ですよー……。
「ふふふ……陸地に上がってしまえばこちらのものですぅ……」
木々の隙間から賊の様子を伺うクリスタリアンが一名。
シャルロットである。
水中では思うように身動きが取れなかったが、地面の上に立ってしまえばこちらのもの。
やはり人間は地上の生き物なんだなと思う。クリスタリアンだけど。
その一方で、同じように隣で身を潜ませている澪のテンションは、いつもに増して低かった。
「……しょっぱい、ですー」
水が欲しい。うがいもしたいし身体も洗いたい。べたべたする。つらい。めんどい。
着替えるにしたって、こうもベタついていたら気持ち悪いし、もう水着のままでいいや。
なんかそんな感じのオーラが身体中から漂っていた。
「というわけですので……早めに、退散願いましょー」
「そ、そうですね……!」
そう言うことになった。
さて、その退散願うべき賊であるが、戦闘音が聞こえて何事かとあたりを伺っているようだが、幸いこちらにはまだ気づいていない。
ならば、そのアドバンテージを活用しない道理はないだろう。
ふわり、と風が巻き起こった。
魔法の使い手たるシャルロットの面目躍如。海では少々大変なことになっていたが、今度は自分を対象にするわけじゃないので何の問題も無い。
「それじゃ、いきますですよ……!」
「はーい……」
風が吹く先は、目の前の賊たち。篝火が、ちらちらと揺れる。
そしてその風に乗るのは、白い花弁と甘い毒。
暗い眠りを誘うシンフォニアの歌声と、小さく鋭い霞草の刃。
澪が生み出し、シャルロットが運んだ魔の手は、いとも簡単に賊たちを捉えてみせた。
ぼうっとする思考。身体を浅く切り裂かれる感覚こそすれど、何をされたかもはっきりとは認識できない。
何が起こったかも今一つ理解させぬまま、混乱と手傷ばかりを広げていく。
そして、その中で音も無く忍び寄る影一つ。
「(見つからないように戦うのは得意です、です!)」
ざくり、と。賊の一人の背に、ひときわ大きな刃傷。
倒れ伏す男を見やれど、そこにあったのはひゅうと風の吹く音ばかり。
風は、いろんなものを運んでいく。物であったり匂いであったり、今このように毒や刃も運んでくれる。
そして、音だって例外ではなく、風を自在に操ると言うのは音を操ると言うことでもあるのだ。
彼らの混乱の声は、遠くまでは決して届かない。
そして、彼らを仕留める者の声も、決して彼らに届くことは無い。
「今日は布面積が小さいので、透明化してもあまり疲れないですぅ」
「ここにいられますと、いろんな方面に、大変迷惑ですのでー……骸の海にお帰りくださいなー……」
決して姿も音も晒すことなく。
見ること叶えば愛らしくもあったであろう刃は、一片の容赦もなく、あくまでも静かに賊の一団を屠っていく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リア・ファル
アドリブ共闘歓迎
それじゃ賊退治だ
オブビリオンだし遠慮は要らないよね
ここからは夜陰に紛れて、狙撃してみよう
『ディープアイズ』を起動
周囲状況を把握、狙撃に有利な高さのある地点へ
UC【我は満たす、ダグザの大釜】で
『セブンカラーズ』をライフル化するパーツ(開発中)を召喚
試し撃ち
最近訓練や師事してもらったことを復習しつつ
構えから撃つまでの時間に制限を設けながら
属性魔術弾、普通の弾丸等も試しつつ、狙撃していく
見つかりそうになったら
イルダーナで闇に紛れつつ狙撃ポイントを変更
「まずまず教えを活かせてきてるかな……? 日々是精進だね」
(技能:情報収集、援護射撃、暗視、地形の利用、早業、スナイパー、学習力、迷彩)
こちらが一方的に相手の位置を知れている、という状況が圧倒的に優位であることは今更疑うべくもないであろう。
先制攻撃も思うがまま。やりようによっては、戦う前に勝つことだって不可能ではない。
そしてその『交戦前に勝つ』という代表的な手段が『狙撃』である。
「あのあたりがいいかな……」
網膜上にいくつもの地形情報レイヤーを重ね表示させながら、リアは呟く。
元々が、起伏の大きい地形だ。何がどうしてこんな形の島になっているのかは知らないが、地形を生かした奇襲がしやすいと言うことは今回に関してはプラスに働くだろう。
草の生い茂った斜面の上。下からは草が邪魔して視認に難く、逆に上からは周囲を容易に見渡せる。絶好の狙撃ポイントだ。
「さて……と」
ユーベルコード起動。異空間から取り出すのは、手持ちのリボルバーに合わせた延長バレルとストックのオプションパーツ。
『とりあえず』感は少々否めないものの、拳銃をライフルへと仕様変更させる試作品だ。
夜目は利く。
狙うべき相手は、すぐに見つかった。どこかの戦闘に気付いて移動中なのであろう、賊の一団が近づいてくるのが見えた。
「(せっかくだから、練習させてもらうよ……っと)」
データ収集、蓄積開始。
風、湿度、距離、角度、弾種。ありとあらゆるデータをレイヤーに表示させては、計算を走らせる。
しばしの静寂。少しずつ、賊たちの足音と怒声が大きくなってくるのがわかる。
――破裂音。
ばたりと一人が倒れ伏すのが遠目に見えた。命中。
「(……次)」
照準を直す。また一から計算する……ことは、他ならぬ己が許さない。
いちいち計算しているとタイムロスも甚だしい。たった今集積した『知識』『経験』を計算結果に直接叩き込む。
二発、三発。
大きな間もおかずに放たれる次弾。
二発目は狙いが逸れて近くの地面を叩いたものの、即座に修正した三発目を正確に心臓目掛けて叩き込む。
「まずまず教えを活かせてきてるかな……?」
元がリボルバーという構造上、消音には期待できない。いい加減相手から位置も気づかれたことだろう。
後はそそくさと隠れるのみ。確かな成果に満足げに頷きつつ、リアはまた別の狙撃ポイントを探し始めた。
成功
🔵🔵🔴
ユナ・アンダーソン
聖者だからぼんやりとだけど光ってはいるから夜襲は無理よね
堂々と正面から襲撃するとしましょう
うーん、絵に描いたような三下悪党どもね
まぁ、その方が心が痛まないし別にいいか
とりあえず、そこの体つきを馬鹿にした奴
男をやめて貰おうかな?(にこ)
……並のスタイルはあるもん
こう言っていますが武器改造で大鎌を非殺傷形態に変形させて
なるべく殺さないようにします
範囲攻撃、なぎ払いを用いて本気でボコボコにはしますが
敵の攻撃はオーラ防御と激痛耐性で無視しながら闘います
アドリブで他の方との絡み歓迎
「うーん、流石にこれじゃあ夜襲は無理よね……」
木々の合間で、ふわりと光る姿が一つ。
その正体は猟兵であり、ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)であった。
聖者と言う存在は生まれながらにして光をその身に宿す。
邪を祓う聖なる光であることには間違いないのだが、光は光である。
つまり、夜間だと目立つ。
先頭が始まったごたごたに合わせて上陸には成功したものの、ここから奇襲をかけるとなるとそれは少々難しい事だろう。
「おぉい!こっちに一人いたぞ!」
「なんだァ、えらい可愛らしい嬢ちゃんじゃねぇか」
「うーん、絵に描いたような三下悪党……」
ほら見つかった。
こうなってしまった以上隠れていても仕方ないのでその身を躍らせれば、途端にユナを見た賊たちが鼻の下を伸ばし始めるのが見て取れた。
口々にゲスい意見を交わし始める賊たちには、ユナも思わずため息。
「いやでも、俺ぁもうちょいおっぱいでけぇ方がな……」
「そうかい?俺はこれくらい貧相な体つきでも十分……」
「あ゛?」
睨んだ。賊がひぇってなった。
そりゃそうだ。
「……とりあえず、男やめてみる?」
にっこり笑って鎌をこれ見よがしに揺らしてみた。ひぇってなった。
そりゃそうだ。
……さて、結果として。
怒りに任せて振り回したユナの大鎌によって、あっさりと賊の一グループは全滅を見た。
人殺しと言うことに抵抗はあったものの、結局のところこいつらもオブリビオン。
今冬させたらそのまま消えてしまうのを確認してからは、躊躇も消えた。
そもそも下衆な相手だ、遠慮自体はする気は無かったし、オブリビオンであれば滅さねばならない。
刃の無い部分で執拗にボコボコにされた賊の最後の一人が骸の海へ帰っていく様を見て、ユナは額の汗をぬぐう。
「……並のスタイルはあるもん」
ぐすん。
猟兵と言うものが生命の埒外と言う存在だからか知らないが、妙に美男美女が多いせいで目立ちにくいかもしれないが、ユナだって間違いなく美少女の部類なのだ。
その筈なのだ。
成功
🔵🔵🔴
ユーイ・コスモナッツ
現れたな賊め!
私はここです、逃げも隠れもしません
宇宙騎士ユーイ、悪党退治にただいま参上!
って、この恰好(水着)じゃ名乗りも締まらないな……
それよりなにより、
ちょっとした攻撃でも痛手を受けてしまう
早めに決着をつけないと不利
というわけで、
石つぶてを「盾受け」で防ぎつつ機会をうかがい、
エンハンスド・サバイバルナイフで地面を突いて
【オーロラの表面張力】!
地面の摩擦力を0にすることで、
周辺の賊を転倒させてしまいましょう
その隙に反重力シールドに飛び乗って突進、
軌道上の賊を突き倒すようにして攻撃します
数に頼めば勝てると思ったか愚か者っ!
「宇宙騎士ユーイ、悪党退治にただいま参上!」
ででーん。
逃げも隠れもしない、私はここだと、一人の少女騎士が賊たちの前に立ちふさがる。
対峙するユーイと賊。
一触即発の空気……かと思いきや。
「……いやその、顔見合わせるのやめていただけません?」
そんなこと言てるけどどうする?
どうしようねこの子。
なんかそんな事を言わんばかりに賊たちはお互いの顔を見合わせていた。
まぁ、ユーイ自身もわからんでもない。
なにせ、弱冠13歳の少女が目の前にいきなり現れてそんなことを言い出したわけなのだから。
この年の冒険者の類は決してあり得ない話ではない。ちゃんといつもの騎士装束であれば様になっていたことだろう。
でも、今は水着なのである。そして得物は大盾こそあるものの、残る手には盾とは比べるべくも無く小さなサバイバルナイフ一本。
少々締まらないのは否めない。
ただ、そこかしこで仲間たちが襲われているのも事実。襲撃者の一人と考えれば辻褄も合う。
最終的にそう言う結論に達したらしい。
「わっ、とっと……!」
一斉に飛んできた石礫を大盾で防ぐ。
なにせ軽装だ。石ころ一つだろうと、放置できない怪我になりかねない。
とは言え、守勢に回ってばかりもいられない。
守りを続けていれば、どうしてもどこかで綻びは出て、そうなってしまえばそこから崩れてしまうのは早い。
「(となると、早めに決着をつけないと不利……)」
盾越しに覗いた向こうで、賊たちが自分を囲い込もうとじりじりと位置を変えようとしているのが見えた。
今を逃すと、囲まれてしまっては危険だろう。
盾に身を潜ませながら、腰を落とす。ナイフを持つ右手が地面に触れた。
「……ブレイクアップ!」
刃先を地面に突きつける。それがユーベルコード発動のトリガー。
発動するのは【オーロラの表面張力】。
突き立てられたナイフから生じる力場は、地面から『摩擦』を奪う。
そうなればどうなるか。
投石に地面を踏みしめていた者。ユーイを囲い込もうと位置を変えようとしていた者。その誰も彼もが、支えを失って次々と転倒し始める。
「隙あり!」
反重力シールド、起動。
対象が地面である以上、摩擦ゼロの状況はユーイも受けることになるが、元より浮いてしまえば関係ない。
グリップを握り込み、体重を預け、スラスターを吹かす。
シールド先端の打突部分に突き飛ばされた賊は、状況も碌に理解できなかったことだろう。
「攻守交替です!数に頼めば勝てると思ったか愚か者っ!」
旋回の制動ざまにぴょんと軽い動作でシールドに飛び乗ってしまえば、後はこっちのもの。
即ち、縦横無尽に飛び回って轢き飛ばすのみ。
騎乗を果たした騎士と、足場を失った賊。
もはや、戦局はどうあがいても覆りようは無かった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『『山龍』カルパディア』
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POW : 踏み込み
単純で重い【体重を活かした強烈な踏み込み】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 咆哮
【三つの口】から【広範囲に大音量の咆哮】を放ち、【その衝撃波】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 火炎放射
【三つの首から、広範囲に超高温の炎を吐く事】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●大山鳴動す
さて。
小島の上に巣食っていた賊たちは、一人残らず骸の海に還せたことだろう。
一帯は、未だパチパチと爆ぜる篝火の音だけが響く、先ほどまでの静けさを取り戻していた。
これで一件落着……。
誰もがそう思った時のことだった。
――ずぅん……!
強烈な揺れが、島全体を揺るがした。
地面が割れるかと錯覚するかのような強烈な揺れ。
立っていることもできないほどに、大きく右へ左へと揺れる。まるで、島の上に立っていることなど許されない、上に立つものすべてを振り落とすかのように。
海に投げ出される猟兵も、決して少なくなかったであろう。
ともすれば、島の上に誰か残れたのかも怪しい。
……ちょうどそのころ、沖合を通った一つの船。
突如として暴れ出した大波に驚いて、船員がその先を見やった。
白波が高く高く上がっていたその先、視界に入ってきたのは、ゆさゆさと身じろぎするかのように大きく揺れる島……。
それを甲羅のように背負った竜の頭が三つ、海面からゆっくりと首をもたげ姿を現す瞬間であった。
寧宮・澪
……なるほど。
なるほどー……予知にあった、もしかしたら泳ぎながらって、そういう……。
水着のままで、よかったというかー……うん。
しょっぱい、再びー……うぇー。
ひとまず……水面まで泳いで、そこから空中に飛んでー……【謳函】、使用ー……。
でっかいですし、お疲れでしょけど、頑張りましょねー……。
鼓舞して、歌いますよー……泳いで戦ったり、登ったりする力になります、ようにー。
もし、上に行きたい方、いたらお手伝いしましょー……。
でっかい龍ほうっておけませんしねー……。
もうひと頑張り、ですよー……ふあぁ。
戦闘後、沈んでる人とか、いないですよねー……シャルロットさんも、無事でしょか。
泳げましたっけ……?
シャルロット・リシュフォー
(あっさり振り落とされ海から顔を出し)
あんなに大きなオブリビオンが居たなんて……
どうにかしないと辺りを通る船が危険ですのね!
「怖気づいている場合じゃないですね。シャルロット、参ります!」
【シンフォニック・キュア】で守りを固めつつ、海上から魔法を撃って攻撃しますぅ
回復技なので、もし範囲内に仲間の猟兵が居たら、彼らの援護にもなりますのね
攻撃魔法は、敵が巨大すぎてあまり効果が出てないみたいですけど……
感覚器が集まってる顔に連続してぶつければ、邪魔ぐらいはできそうですぅ
敵の火炎ブレスが来たら水中に退避して凌ぎますです
【アドリブ歓迎】
ざぱーん。
どっぱーん。
「(……なるほど)」
海面に叩きつけられ、ごぽごぽと自分から出てくる気泡を眺めながら、澪は心の中で頷いた。
始まる前に聞いた『もしかしたら泳ぎながら戦うことがあるかも』という言。
具体的なビジョンこそなかったものの、こういう事態がおぼろげながら察知されていたのかもしれない。
念のため水着のままでいたのが、水を吸わなくて幸いだった。
少々口に入ってしょっぱい再びではあるが、致し方ないと思おう。
「ぷは……うぇー」
「あんなに大きなオブリビオンが居たなんて……!」
水面から顔を出して、ようやく口を開けると呻いていたら、丁度周りでも振り落とされた猟兵が次々と水面から顔を出しているところだった。
たまたま近くに落ちていたらしいシャルロットが、驚いたように島……否、オブリビオンを見上げている。
こんなものが海域に居座っていれば、近くを通る船――この場合、オブリビオンにとっての『近く』がどの程度の広さなのか全然わからないのがまた問題なわけだが――が危険に晒されると言う状況は想像にも固くない。
「怖気づいている場合じゃないですね。シャルロット、参ります!」
「でっかい竜ほうっておけませんしねー……」
澪の相槌にひとつ頷きを返して、シャルロットが剣先をドラゴンに向ける。
肉薄するのも一苦労、挨拶代わりの魔力を、剣に込めて放射する。
とにもかくにも巨大な敵だ。『当てる』ことに関していえば苦労はまったくない。
だが、ただ当てることと有効打を撃ち込むことはまったくの別の話だ。
水面という不安定な状況で、巨大で頑強な相手の弱点へ正確に長距離射撃を撃ち込むのは、思いのほかに難しい。
撃ち込まれた魔力弾に痛がる様子も見せず、竜の三つ首が首を大きく開けた。
「あっ」
「まず……っ!」
危険なのは明らかに目に見えていた。即座に澪はオラトリオの翼を広げ、シャルロットは水中へと沈んでいく。
直後、轟音とともに盛大な水柱が上がった。
竜の口から放たれた炎が水面を焼き、蒸発した水分が霞となって一気に立ち昇ったのだ。
特に誰かを狙った攻撃ではないのが幸いした。
少なくとも、澪は空中に退避して何とか避けられている。
「……シャルロットさん、無事でしょか」
「は、はい!私は大丈夫なのです!」
「……あ、そちらもシャルロットさんでしたかー……」
丁度タイミングよく水面から再び顔を出したシャルロット。こちらも、水面で炎が阻まれてくれたおかげで特にダメージは無い。
……ちなみに澪が言ったシャルロットはグリモア猟兵の事だろうが、転送時に乗っていた船は、波にこそ揺られているものの戦闘の余波は飛んでいなさそうなのが遠目に見えた。
とりあえずあっちは気にしなくていいだろう。
それはそれとして。
「や、やっぱり、敵が巨大すぎてあまり効果が出てないみたいですぅ……!」
「ただでさえ、お疲れですのにねー……」
洋上戦と言う体力を消耗するフィールドに加えて、こちらは連戦だ。コンディションはあまり良いとは言えない。
……まずは体勢を整えねば。澪とシャルロットが導き出した結論は同じだった。
どちらかともなく口を開く。それは、愚痴を漏らすためでも作戦を伝え合うためでもなく、シンフォニアとしての権能を行使するため。
済んだ歌声が、波の音と竜鱗の軋みに混じって戦場に広がっていく。
聴く者を鼓舞し、癒すシンフォニアの歌声。
苦難に立ち向かう猟兵達の力となり、その背を押すように。
彼女らの歌声をBGMにして、猟兵達は巨大竜への進攻を開始する。
反撃の火蓋が、今ここに切って落とされた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ユナ・アンダーソン
(落っことされて)
ぷは!でっか!?
地図に記されてない島なのも納得ね
だって島じゃなくてオブリビオンだったんだもの
アレの首を落すのは苦労しそう
3つもあるし
帰ったら超大型の敵用の技でも身につけよう
戦闘
UCを使い大きさを強化した海亀のようなオブリビオンを召喚
それを足場にし、拾える仲間を拾って山龍に近づきます
火炎放射にはオーラ防御を範囲攻撃を応用して広範囲化して味方をかばい
自分は火炎耐性、激痛耐性で凌ぎます
近づけたら海亀を突進させつつ
(ユナ:いってらっしゃい)
(海亀:え、ちょっと!?)
その勢いで大鎌で相手の首をなぎ払い断頭しようとします
こういう相手は首を落すのが一番効くのよ!
アドリブで他の方との絡み歓迎
蛇塚・レモン
道に迷った……と思ってたら島が動いたよ!?
あたいはこのパターン、実は2度目……
前回は空飛ぶチョウチンアンコウ型の浮島だったよ
嘘に聞こえるけど本当だったんだよっ?
<WIZ>
敵の的が大きいから、視界にはいった瞬間に有効打を与えられるあたいのユーベルコードと相性はいいはず!
先制攻撃かつ咄嗟の一撃で蛇神様を召喚して空中浮遊っ!
3つ首へ向けて破壊念動波を2回撃ち込むよ!
これで敵の動きとユーベルコードを封じるねっ!
(念動力+衝撃波+2回攻撃+範囲攻撃+マヒ攻撃+呪詛)
あたいも空中戦で3つ首を撹乱っ!
目潰し攻撃を狙って、蛇腹剣クサナギで敵の目を切り刻むよっ!
(鎧無視攻撃+なぎ払い+生命力吸収+ロープワーク)
風薙・澪
気付かなかった山賊が間抜けなのか、気付かせなかったこの島が巧妙だったのか・・・
うーん、結果論だけどやっぱり最初から島ごとまとめて吹き飛ばすべきだったわ
まあ実行できる手段はなかったのだけど
とにかくこうなった以上どうにかするしかないわね
このサイズに対して有効な手段は無いけど、頭を落とせばとりあえず何とかなるでしょう・・・多分
というわけで運よく島上に残れたので、三つ首の方に向かって移動
振り落とされないようにしつつ首を駆け登って、
UC三界祝聖で自己強化して、頭に全力で長剣を突き刺し、こじ開けた傷口に散弾銃を差し込み発砲
それでもだめなら、目に同じ事するしかないわね
アドリブ共闘可
「気付かなかった山賊が間抜けなのか、気付かせなかったこの島が巧妙だったのか……」
あるいは……最初から理解したうえで協調していたのか。
賊がことごとく滅した今、その真偽のほどはわからない。
島ごと纏めて吹き飛ばすのが正解だったか。澪はそこまで考えて、否と頭を振る。
結果論だ。過ぎてしまった以上、こんな事を考えても仕方ない。そもそも、気付けたところでそんな手段を用意できたかどうか。
そんな事よりも、ここからどうするか、だ。とりあえず振り落とされるのは避けられたものの、闇雲に足元を攻撃したって無駄だろう。
そんな澪が視線をあげれば、竜の首を狙って突撃する猟兵の姿が二つ。
「地図に記されてない島なのも納得ね……島じゃなくてオブリビオンだったんだもの」
「このパターン二度目だよ……」
振り落とされていたユナとレモン。方や、骸の海より召喚した大亀の背に乗って、方や、強力な念を以てして水面すれすれを浮遊する。
何は無くとも近づかなければ始まらない。だがそれも、あの巨体からすればそれだけでも一苦労だ。間合いが違い過ぎる。
近接戦を挑むにはまだ遠い。だと言うのに、竜の三つ首は、その口内に次の炎を湛え始めていた。
「だったら……蛇神様っ! あいつにお仕置きしちゃって!!」
その隙を逃すものかと、レモンが竜首を指差せば、その声に応じるかのように顕現するのは白い巨大蛇。
巨大と言っても眼前のそれと比べれば子供のようなものだが、その力は決して劣ると言い切れるものではなく。
放たれた念の波が、口内の炎を掻き消してみせる。
「今のうちにっ!」
「おっけー!」
ユーベルコードを封じる強力な思念波。レモンたちに跳ね返ってくる反動は相応のもので、そう長時間封じることは出来そうにないにしても、接近までの時間であれば。
見る見るうちに、首元へと近づいていく二人。近づけば、その巨大さが嫌が応にでもよくわかる。
炎こそ封じられたものの、その巨大さはそれだけで凶器。捻りつぶさんと、竜の首が二人へと迫り、降りて行く。
「(……今ね)」
その瞬間を、背にいた澪は見逃さなかった。
長く伸びた竜の首、登るは難くとも、降りれば水平に走っていくことは不可能ではない。
狙うは……斬首。
首の上を駆ける澪、流石の竜も頭を踏まれれば流石に気づく。
別の首が澪目掛けて横合いから大顎を開き、襲い掛かる。
「ほーら、行ってらっしゃい!」
そこに割り込むユナの声。
ばしゃんと波に乗った大亀が横っ面に体当たりをかまし、竜の牙が澪の後方を素通りしていく。
奇しくもユナも狙いは同じ。飛び込んだ亀から跳躍し、大鎌を竜の首目掛けて振り下ろしに行く。
同時に、澪も逆手に構えた剣をその首筋に突き立てんと、渾身の力を込めて。
ぎゃりり、鱗が削れ、火花が散り、血が舞う。
傷はつけた。だが首を落とすには至れない。
そのわずかな傷口に澪は散弾銃の銃口を捻じ込み、発砲する。
流石に痛みは感じたのであろう。竜がその首を苦しげに捩った。
「あぁもう、流石に固い!帰ったら大型用の技身につけとこうかしら……!」
竜の首が空気を引き裂く重い音を立てる中、ユナのぼやきが紛れて聞こえた。
それを横に、せめてもの抵抗で銃口を竜に向けた澪は、しかし引き金を引かない。
銃口を向けた先、今まさに自身が狙おうとしていたことを、残る一人が成そうとしていたのだから。
「クサナギっ!!」
思念波によって接近を成した、レモンの右手に握られた碧の蛇腹剣。
しなり、襲い掛かったその先は、眼球だ。
鱗に覆われておらず、そしてよく『視える』からこそ真っ先に警戒される部位。
二人の攻撃で注意が逸れた今だからこそ狙えるそこ、故に攪乱から攻撃に切り替えた。
そしてその刃は、間違いなく竜の眼球を抉り取っていた。
為すべきことを成し、海面へと落ちて行く猟兵に、雨のような血を降らせながら。
成功
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荒谷・ひかる
……この島ってドラゴンさんの背中だったのーっ!?
(泣きべそかいてたけど島が動き出してびっくり)
うーん、この大きさ……ちょっとした災害級の攻撃じゃないとダメージ入らないかな?
下手なやり方だと味方も巻き込んじゃいそうだけど……よぅし。
【幻想精霊舞】発動
周辺は海だから湿度は十分
これを水と氷と風の精霊さんにお願いして上空に纏めてもらい、大きな雲を形成
それをさらに雷の精霊さんで帯電させて、積乱雲にするよ
そこから、ドラゴンさんの頭目掛けて雷をどっかーん!なんだよっ!
同時に雨も降らせてもらえば、火炎放射の勢いも削げないかな?
私自身は海に浮かんで、水の精霊さんにお願いして流してもらって逃げるんだよっ。
ユーイ・コスモナッツ
(水面から顔を出し)
――っぷはぁ!
な、なんなんですかあれは?
規格外もいいところですよ!
などとぼやいていても始まりません
騎士は弱音を吐かぬもの
うん、相手にとって不足なしです!
……とはいったものの
私がナイフで切ったり突いたりしても、
虫に刺されたほどにも感じないんだろうなあ
ならばせめて、今の私に出来ることを
反重力シールド・スイッチON!
あの巨体ならきっと小回りはきかないはず
水面ぎりぎりを滑走して、懐に潜り込みます
むっつの目の前を旋回して撹乱
怒って踏み込んできたら、【天球の虚数変換】で対抗!
踏み潰せるはずのものを踏み潰せずに、
ずるりと足もとからバランスを崩してくれないかなあ?
リア・ファル
SPD
共闘アドリブ歓迎
危なげな人物は助けられれば「救助活動」「運搬」で
退避させよう
とんだ賊退治になったね!
放っておけない、作戦変更、竜退治だ
山間部は甲羅上だから、首や腹部が
基本的には生体部分のハズ
『ディープアイズ』起動、「情報収集」で弱点を探る
イルダーナの機動力を活かして「操縦」、「空中浮遊」し「空中戦」だ
咆哮と炎が厄介だね
『コードライブラリデッキ』から
『ヌァザ』には風属性を『セブンカラーズ』には氷属性を付与
咆哮には真空斬撃で衝撃を遮断軽減
炎は口内に氷の弾丸を「スナイパー」でプレゼントだ
チャンスにはUC【召喚詠唱・流星戦隊】で手数で対処
複製機は隙があれば口内へ吶喊させ、内部から攻撃させよう
「大丈夫、ひかるちゃん?」
「び、びっくりしたんだよ……」
リアの愛機の主翼に捕まりながら、ひかるが竜を見上げる。
まさか島だとばかり思っていたものがドラゴンの背中だったとは。
……あまりのことに驚いて、直前の賊とのあれこれがすっかり記憶から放り抜けてしまったのはある意味幸運だったのかもしれない。
このまま忘れてしまった方が彼女にとっては良いのだろう。たぶん。
それはそれとして。
「……ぷはぁっ!な、なんなんですかあれは!?」
「あ、ユーイちゃん」
その近くの水面から顔を出して、ぷかぷか浮いていた反重力シールドに上半身を預けるユーイ。
しっかり握りしめていたおかげで離ればなれにならなくて助かった。
こんな洋上で愛盾を紛失したら目も当てられない。
とりあえず各々の無事を確認できたのは良い。問題はこの後どうするか、だ。
「騎士は弱音を吐かぬもの。うん、相手にとって不足なしです!」
と、気合だけは十分なのだが、かと言ってユーイの得物は盾の他にはナイフ一本。
目でも突けばそれなりにダメージになるかもしれないが、逆に言えばそうでもしないとまともにダメージを与えることなど不可能、ということである。
規格外も良いところだ。
「あ、それならちょっと考えがあるんだけど……」
「「?」」
愛機のコクピットから身を乗り出すリアにごにょごにょ耳打ちするひかる。
――これこれこういう感じで……。
――ふんふんなるほど。
「OK、じゃあボクとユーイちゃんは攪乱すればよさそうかな」
「あの私聞こえてないんですけど!?」
この後改めてちゃんと伝えたので安心してほしい。
さて、一方のドラゴンと言うと、丁度他の猟兵達の攻撃で首の一つが目を潰されたところ。
痛みと怒りもあってか動きがにわかに激しくなり、立つ波も大きくなる一方だ。
「それじゃ、よろしくねひかるちゃん!」
「二人とも、気を付けてね!」
「お任せくださいっ!」
波に揺られながら手を振るひかるをその場に残し、宇宙戦闘機を駆るリアと、反重力シールドを操るユーイが突撃していく。
重力下では自由自在に飛び回るとは行かずとも、水面をホバリングする分には不都合はない。
波の合間をかき分けて、白い筋を二つ残しながら、一機に距離を詰めていく。
竜の動きは激しい。
まともに考えれば、近づくだけでも簡単なことではないだろう。
だが、付け入る隙はある。
首の一つの視界を潰せば、視覚情報は単純計算で三分の一の減少。そして、長く太い首は、それだけで大きな死角となりうる。
それによってできた間隙。
元々、空間での高速戦闘に長けたスペースシップワールドの二人にとってみれば、それだけの有利があれば、可能とするには十分だ。
肉薄。
竜の首が大顎を開け、二人を呑み込もうと迫るも、それこそ飛び回る羽虫を喰おうとするようなものだ。
群れているならともかく、一人ずつを相手にそれを成そうとすれば至難と言うもの。
目の潰れた首や、その図体そのものを遮蔽代わりにして、器用に攻撃をかわしていく。
そして、避けたかと思えば再び眼前に姿を現して、決して無視をさせはしない。
「!……来ます、リアさん!」
「まっかせといて!」
業を煮やした竜が上体を起こし、大きく息を吸い込むのを、空気の流れで感じた。
その最中にコクピットを開け、剣を手に立ち上がるリアと、ユーイはそれを盾にするように身を飛びこませる。
轟音の咆哮と同時、リアの剣が唸る。
剣圧と宿した属性力によって生まれた真空空間。すべてを防ぎきるには心もとないそれでも、音と言う空気の波を、自分たちの分程度を遮断するには十分。
「次、来るよ!」
「ならば私の番ですっ!」
前後衛交代。矢面に身を躍らせるユーイの頭上に、持ち上がった竜の巨体が迫ってくる。
「バリア、展開っ!」
ユーイの身を包み込む透明の球状の幕。
竜の足が、その直上に過たず落ち……ずるり、とその脚がズレた。
そのバリアは、外部からの運動エネルギーを『虚』へと変えるもの。バリアの維持にはそれ以外のほとんどを犠牲にする必要こそあるが、これを破るのは、少なくとも単純な力では不可能だ。
「うわっぷ!?……い、今ですひかるさん!!」
とは言え、バリアにぶつかった分の力によって、踏みつぶし損ねたボールのようにバリアごと吹っ飛ばされて(当然痛みの類は無いが)、生じた高波に揉まれながらユーイが叫ぶ。
「お願いね、精霊さんっ!!」
そして後方で準備を進めていたひかるが天高く指を指せば。
そこに在った筈の月は姿を隠し、代わりにあったのは分厚い暗雲。
海と言う大量の水分を風に乗せて雲を形作り、更に雷の精霊がその中で力を振るう。
結果出来上がったのは積乱雲。ゴロゴロと、時折雲の中で光が走るのが、遠目にもよく見えた。
雨が降る。降り注ぐ大粒のそれは、瞬く間に視界を埋め尽くすほどに激しさを増し、視界を霞ませ雨音が鼓膜を叩く。
巨大竜。生半可な攻撃では通用しないのは見ての通り。やるならば、文字通りの『天災級』の一撃を。
「いっけぇぇぇぇ!!」
瞬間、轟音と共に、閃光が猟兵と、竜の目を焼いた。
乱れに乱れた気圧と気流が、積乱雲の中から、雷を幾重にも幾重にも降り注がせる。
行きつく先は、この場で最も高い場所……言うまでもない、竜そのもの。
雨音、波音、雷鳴、そして竜の咆哮。
あまりにもけたたましく響き渡る音の洪水は、猟兵の勝鬨すらも掻き消し、かの巨大な竜すらも、骸の海へと押し流してみせたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴