エンパイアウォー㉙~その身に宿るは愛しき神の子
「この子を、なんとしてもこの子を産まなくては……」
背に長刀を背負った一人の女性剣士が、周囲を警戒しながら道なき道を行く。
「この子が生まれれば世界は救われる。ああ、私が必ず守ってあげるから」
女性は愛情たっぷりに大事そうにまだ膨らんでいないお腹を撫でる。その顔は既に子を愛しむ母のものだった。
「だから早く生まれてきて、私の愛おしい神様……」
目に狂気の宿る女性のそれは愛だけではない。己をも犠牲にして捧げるような神への信仰だった。
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「魔軍将・陰陽師『安倍晴明』が研究していた邪法が判明した」
グリモアベースに集まった猟兵にバルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が新しい問題が起きた事を告げる。水晶屍人の掃討を終えた奥羽地方で研究施設が見つかったのだ。
「新たなオブリビオンフォーミュラとなるべき『偽神』を降臨させる方法を研究していたようだ。その方法は『有力なオブリビオンの胎内に、自身も含む魔軍将の力やコルテスが持ち込んだ神の力を宿らせ、その胎内で神を育て出産させる』という、邪法というだけあってまともな人間ならば考えぬ方法だ」
バルモアの憤りが言葉に混じり、話を聞いた猟兵達も同じように怒りを覚えていた。
「その実験体となって身籠った女性オブリビオンが逃走している。その場所がわかったので、諸君等には討伐に向かってもらいたい」
胸糞悪くなる話ではなるが、放っておけば恐るべき敵が誕生してしまう。
「オブリビオンは山にある猟師の小屋を棲み処とするようだ。そこを逃がさぬように襲撃する作戦となる」
もし放置すれば小屋に来た猟師と出会い、猟師が殺される可能性も高いだろう。
「転生には10月10日の時が掛かるそうだ。すぐ戦争に影響するといった話ではない。だがこういったものは一度見逃してしまえば後々大事になってしまうものだ」
見つけた災いの芽は早々に潰しておかねば後の不幸を呼ぶことになる。それが邪悪な神の子ともなれば尚更だ。
「身籠った女性を討つなどという任務を頼むのは本意ではないが、見逃す事でこの後誰かが犠牲になってしまうとなれば、その手を汚してくれと私は頭を下げよう。どうか頼む、邪神の子を母体もろとも葬ってくれ」
バルモアが頭を下げて依頼すると、怒りと悲しみの混じった感情を胸に押し込め、猟兵は頷いた。
天木一
こんにちは天木一です。今回は偽神を宿した女性オブリビオンを討つ戦いとなります。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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敵は何としてもお腹の子を守ろうと行動し、逃げる事も厭いません。ですが逃げられないとなると全身全霊を振り絞って戦いに望むことでしょう。
何とも後味の悪い依頼ですが、世界に戦争の禍根を残さぬように、どうかよろしくお願いします。
第1章 ボス戦
『四華衆『長刀八死の曼茶羅華』』
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POW : 強い貴方には、長刀絶技【長刀八死】…参ります。
【長刀での一閃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【四肢の関節への8連突き】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ごめんなさい、今すぐ、楽にしてあげます。
【即死出来ない相手に涙する】事で【虚穴となった両目を開いた姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 死を吹かす鬼吹雪。抵抗すれば、救いが遠のきます。
【泣きながら哀れむ声を上げる羅刹女】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
イラスト:カノン
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「花盛・乙女」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
二天堂・たま
…。
……。
生まれ出る命は罪を知らん。
生まれ出る事は悪ではない。
相手が何者であれ、傍から見れば孕婦を狙う行為は悪事だ。
もし躊躇する者がいるなら、トドメはワタシが差す。
まず逃亡の防止を図る。
見えやすい位置の鋼糸、見えにくい位置のカーボン繊維。
ボビンケースの糸で罠を張り、退路を塞ぐ。
長刀の初撃をかわせば、攻撃を与えるスキが出来る。
フェイントが生んだ残像へ攻撃させ、UC:ケットシーインパクトで攻撃するするのだ。
オブリビオンであろうと、その母性本能は普段以上の力を発揮させるだろう。油断など微塵もない。
孕婦が相手でも手心は加えん…ワタシの行為を悪と言うならそれでいい。
ワタシは正義の味方ではないからな。
九尾・へとろ
生物の理から外れた分際でやや子とはのー。
しかも産まれ出でれば災禍の化身。
ひょひょ、悩むまでもない。
年幼くあれど、ウチも一角の暗殺家業。
腹の膨れた相手なぞに情けなどかけんさ。
厄介な長刀の間合いには入らずウチの異能で真紅、焔の「属性攻撃」の色を放ち山小屋に火をつけてやろう。
転がり出てくればトーンタンタン拍をとり、武舞を披露してやろう。
激昂すれば早く動くものを狙うんじゃったか?
なら緑、疾風の「属性攻撃」を数多放ち攻撃をそらしてやるか。
油断をしたところ首を狙う。
念の為、腹も抜いといてやるかの。
同情なんぞしとる猟兵があれば鼓舞してやろう。
世の理より外れ災禍をもたらす者へ情けをかけてどうする、とな。
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
己の物だと断言できる神…か
以前の俺ならば羨ましいと思ったのだろうが…
否、今は為すべき事をするとしよう
『地形を利用』し木々の影等敵から視認され難い場所を選びつつ『忍び足』にて忍んでいる小屋へと向かおう
もし見つからず近づけたならば『忍び足』と『暗殺』の知識を使いつつ扉や窓の隙間から口から漏らした黒い毒性のある霧…【罪告げの黒霧】を室内に滑り込ませんと試みよう
もし見つかった場合はメイスを構え踏み込み『怪力』を乗せた攻撃を敵へ向けようと思う
又戦闘中は逃走せん様常に扉や窓等に近づかんか注意を払いつつ行動を
赤子や幼子は護るべき存在だが、それは幾多の人々…幼子達へ悲劇を呼ぶ物だ
…、…逃がしはせんぞ
●狂おしい愛情
簡素だが頑丈に作られた山小屋で一人の目の見えぬ女性剣士が、疲れを癒すように腰を下ろして休んでいる。
「私は四華衆、長刀八死の曼茶羅華……名ははっきりと覚えています……」
じっとしながら曼茶羅華は混濁する記憶を辿っていた。ここに至るまでの記憶がはっきりせず、微かに残る正常な感覚は現状がおかしな状況であると告げている。
子を成すような行為の記憶はない。そしてお腹もまだ膨らんでおらず、子を成した兆候もない。それでもこのお腹に子が宿っている確信がある。そしてその子を最優先で守らなければならないという衝動だけが胸に湧き起こっていた。
「守らなくては……その為に我が剣はある……」
子を想えば微かな疑惑など消し飛び、唯々感情に心が覆い尽くされる。側に置いた長刀を鞘の上から握り、目蓋を閉ざしたまま子を守る事だけを考えた。
「……。…………。生まれ出る命は罪を知らん。生まれ出る事は悪ではない。相手が何者であれ、傍から見れば孕婦を狙う行為は悪事だ」
深く息を吐いた二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は、例えどんな事情があろうとも己が行為を正当化はしない。
「もし躊躇する者がいるなら、トドメはワタシが刺す」
それが年長者の務めと、愛嬌のある猫の顔を一時引き締めた。
「子を守る為に逃げるのだったな……ならばまず逃げ道を塞ごう」
たまは木々の間に鋼糸を張り巡らせる。見えやすい囮と、見えにくいカーボン繊維の糸をボビンケースから引き出して罠を張り、小屋から逃げられぬように退路を塞ぐ。
そして準備を終えると、小屋の近くまで猟兵達は近づき、作戦を始める。
「己の物だと断言できる神……か」
気配を殺したザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は離れた位置から小屋の様子を窺う。
「以前の俺ならば羨ましいと思ったのだろうが……否、今は為すべき事をするとしよう」
かつての気持ちが蘇りそうになるのを頭を振って払い、ザッフィーロは今やらねばならぬ事に集中する。
「室内にいるのなら好都合だ」
木の陰や草むらを利用してザッフィーロは小屋に近づき、木の板の小さな隙間から黒い毒霧の吐息を放って中へと流し込む。
「ごほっごほっ、空気が淀んでいる?」
突然咳がこみ上げ、曼茶羅華は当たりに瘴気のようなものが漂っているのに気付いた。
「これは一体?」
曼茶羅華は鞘に納まったままの長刀を振るい毒霧を払う。だが次々とザッフィーロは送り続け中を毒素で満たした。
「まさかこれは敵襲?」
すらっと曼茶羅華は長刀を抜き放ち、周囲の気配を探る。そしてザッフィーロの気配に向けて小屋の壁ごと斬りつける。
「気付かれたか」
それをザッフィーロはメイスで受け止めるが、弾かれてよろめき、追撃されぬように一時後退する。
「生物の理から外れた分際でやや子とはのー。しかも産まれ出でれば災禍の化身」
その救いようのない存在に、九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)は無邪気とも思える笑みを浮かべる。
「ひょひょ、悩むまでもない。年幼くあれど、ウチも一角の暗殺家業。腹の膨れた相手なぞに情けなどかけんさ」
仕事ならばそこに情など挟む余地はないと、暗殺者として訓練を受けているへとろは普段と変わらぬ調子で小屋へと近づく。
「厄介な長刀の間合いには入らずとも、こうすれば向こうから出て来るじゃろ」
へとろは振るう手の先より真紅の色を飛ばし、色は焔となって小屋に火を点けた。
「焦げ臭い……これは火事!? 今度は火攻めですか!」
小屋が燃えている事に気付いた曼茶羅華は、長刀を振るって壁を切り裂き飛び出した。
「姿を見せたのう。せっかくじゃ、ウチの武舞を披露してやろう」
トーン、タンタンと現れた舞台の幻の上で、リズムに乗ったへとろが手足と尻尾を振って舞い踊る。
「火を放つとは賊の類ですか! 大切な子を愛しむ為に選んだ棲み処を灰にした罪は重いです!」
鞘を捨てるように長刀を抜いた曼茶羅華は理性を捨てて鬼へと変貌し、一気に蹴散らそうと突進してくる。
「確か早く動くものを狙うんじゃったか?」
へとろは手を動かして緑の色を幾つも放ち、疾風が辺りを駆け抜け草木を揺らした。
「ぐがああああおおお!」
咆える鬼が長剣を薙いで草木を両断し、風をも断ち切った。疾風を追うように鬼は当たりを長刀で破壊していく。木や岩も変わらず真っ二つにされた。
「素早いが大振りじゃの」
その隙にへとろは懐に入り、指でなぞるように鬼の首に触れた。するとパックリと喉が裂け血が噴き出す。
「ごがああっごあっ!!」
口から血を吐き、鬼は呼吸できないようにもがく。
「どれ、念の為、腹も抜いといてやるかの」
返り血を避けるように離れていたへとろがまた近づき、指を腹に当てようとする。
「がっぐああああああ!」
強引に筋肉を隆起させて首の傷を塞ぎ、喉に詰まった血を吐き出した鬼は、へとろへと長剣を振り下ろす。へとろは緑の色でそれを逸らしながら飛び退いた。
「ごほっ、させません。このお腹の子だけは傷つけさせません!」
人の姿に戻った曼茶羅華は、するどく二の太刀をへとろに浴びせようとする。へとろが間合いから下がると、曼茶羅華はすぐさま駆け出し、この場を逃げ出した。
「逃げるつもりかの?」
「この子の無事が第一です!」
へとろを置いて曼茶羅華が山を下ろうとする。だがその体が急ブレーキをかけた。足の辺りに細い糸が張ってあり、それが肉を引き裂いていた。
「これは罠ですか?」
長刀で糸を斬り捨てる。だが辺りには他にも糸が張られているのが見え、慎重になって長刀を振るって糸を切りながら進み始める。
「罠に掛からなかったか、元は一角の剣士であったようだな。次はワタシが相手をしよう」
そこへ姿を見せたたまが敵の前に立ち塞がる。
「誰であろうと、私の子を奪うというのなら、斬り捨てます!」
曼茶羅華が長刀を振り下ろす。その刃がたまを真っ二つに両断した。だがその姿が幻のように消える。
「残像!」
それを察した曼茶羅華はすぐに長刀を薙ぎ払う。だが一足早くたまが突進し懐に入っていた。
「その身に宿る邪悪ごとワタシの肉球が打ち倒す! これぞケットシー・インパクト!」
勢いをつけたたまが敵の身体に肉球を叩き込む。それに対して曼茶羅華は左腕を割り込ませ、盾にして受け止めた。だが勢いに負けて吹き飛ばされ、地面を転がっていく。
「私の子を狙っている! そんなことはさせません!」
跳ね起きた曼茶羅華は長刀を構え、鬼気迫る顔でたまを睨む。
「孕婦が相手でも手心は加えん……ワタシの行為を悪と言うならそれでいい。ワタシは正義の味方ではないからな」
冷たいほど冷静にたまが言い放ち、肉球を見せて駆け出す。それに対して腰だめに構えた長刀を曼茶羅華が横に一閃した。たまは残像を残して跳躍する。
「同じ手は通じません!」
残像を斬った長刀を返し、曼茶羅華は下から斬り上げる。
「流石に何度も通じんか」
それに対してたまは肉球を叩き込み、刃と肉球が衝突して空中にいるたまの身体が大きく弾かれた。
「じゃがこちらへの注意は完全に忘れておったようじゃの」
その背後に忍び寄ったへとろが、背中にすっと線を引くように指を走らす。すると服もろとも肉が裂け、刀傷のように裂傷が走った。
「肉が硬いのう、本当は両断するつもりだったのじゃが」
「この子を守る為ならば、我が身を鋼にでもしてみせましょう!」
曼茶羅華は長刀を薙ぎ払い、へとろを下がらせ己が刃の間合いに入れば斬ると殺気を放った。
「赤子や幼子は護るべき存在だが、それは幾多の人々……幼子達へ悲劇を呼ぶ物だ…………逃がしはせんぞ」
この場を逃れ子が生まれれば、それが巻き起こす悲劇は何の罪もない人々へと及ぶのだ。ここで不幸の連鎖を断たねばならぬと、ザッフィーロはメイスを手に殴り掛かる。
「いいえ、この子は世界を救う神になるのです! 貴方たちは世界を救うものを殺そうとしているのです!」
間合いに入った瞬間、曼茶羅華の長刀が襲いくる。それをメイスで受けるが脚が止まってしまう。ならばと柄の中に仕込んだ鎖を伸ばし、鞭のようにメイスの先端を腹に叩き込んだ。
「がはっああ!? 私のお腹を! 大丈夫? あなたは強い子、だからこれくらい平気……」
お腹を撫でて優しく子に言い聞かせるように語り、顔を上げた曼茶羅華は睨み殺すような鋭い視線をザッフィーロに向けた。
「許しません。私の神を害そうとする悪は、絶対に斬り捨てます……!」
曼茶羅華が長刀を荒々しく振るい連撃を放つ。それをザッフィーロはメイスで受け止めるが、じりじろと押され身体が手足が傷ついていく。そして首を狙う一撃が振るわれ、防ぐと完全に体が泳いでしまう。
「神を信じぬ愚か者には似合いの末路です」
曼茶羅華が無慈悲に長刀を振り下ろす。
「人々に悲劇をもたらす神は邪神と呼ばれる。そんな未来を覆す為ならば、喜んで愚か者になろう」
メイスを手放したザッフィーロはソードブレイカーを抜いて長刀の先端を受けた。そして捻り切っ先をへし折った。
「邪神なのではありません! 私の子は救いの神です!」
感情で反論した曼茶羅華は少し短くなった長刀を振るい、今度は押し切ってザッフィーロを薙ぎ倒し、その隙に駆け出した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
霧島・絶奈
◆心情
此れでも生物学上は女性ですので、気分の良い仕事だとは思えませんね
見方を変えればヘロデ王の愚行の再現です
ただ、一時の感情に感けて禍根を残し、世界滅亡の種を撒のは慈悲ではありません
◆行動
『暗キ獣』を使用
展開した軍勢の槍衾によって退路を塞ぎ、屍獣にて腸を喰い破らせます
母体と神の御子…殺す順番は何方でも構わないでしょう
私は【目立たない】事を利用し、軍勢に紛れて行動
【罠使い】の力を活かして罠を設置
万に一つも逃走を許さぬ様に念を入れます
ある程度設置が進んだら接近
攻撃は【二回攻撃】する【範囲攻撃】で【マヒ攻撃】
執拗な攻撃で【恐怖を与える】
負傷は『暗キ獣』の力と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
ヴェル・ラルフ
母親って、強いんでしょ。知らないけど。
…油断は禁物だね。
SPD
退路を絶ち、母体を攻撃する
足跡などの痕跡を探しつつ母体のオブリビオンを[追跡]
発見後は[早業]で距離を詰め[衝撃波]をのせて如意棒「残紅」で[吹き飛ばし]
敵の近接攻撃には[カウンター]で受け流してバッグステップ、距離をとる
距離をとったら【日輪葬送】の炎で僕の姿を見えなくする錯視を引き起こし緑閃を放つ
確実に仕留められそうならそのまま再接近、ナイフで首に狙いを定めて[暗殺]
ダークセイヴァーに生まれると、死ぬほど聞く話だけど。
望まれない子供も、いるんだ。
せめて、その子がひとりで苦しまないように。…一緒に葬るよ。
★アドリブ・連携歓迎
ショールム・メルストロム
いずれにしてもまずは足止めのためにUCを使いましょう。動きが早い相手であっても、最低限、枷さえ当たれば行動制限は出来ます。
それに、速度を維持し続ければ自らを追い詰めることとなる。子を成そうとする者が、逃げるために命を落としていては本末転倒ですしね。過去の存在たる彼女に寿命があるかは謎ですが……
いずれにしても、その腹が今の彼女にとって弱点であることには変わりはないわけで。人道的ではありますが、槍でそこを狙うしかありませんね。既にあれは人ですらありませんけど。
例え神の力を宿そうとも、創られたソレは所詮、まがい物でしかないんですよ。
創られた者の不幸を鑑みることができない者を親と呼ぶことはできない。
●子が為に
「此れでも生物学上は女性ですので、気分の良い仕事だとは思えませんね」
同じ女性として今回の事件を不快に思い、霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は眉を寄せた。
「見方を変えればヘロデ王の愚行の再現です。ただ、一時の感情に感けて禍根を残し、世界滅亡の種を撒くのは慈悲ではありません」
感情のまま見逃す愚行に走るような者はここには居ない。絶奈は敵の退路で屍の獣と兵士の死の軍勢と共に待ち構えていた。
「逃げて来ましたね。しかし残念ですがここは貴方の死地です」
絶奈が呟くと、配置していた屍の軍勢が襲い掛かる。まずは疾走する獣が口を開けて喰らいついた。
「近づかないで! 私の子を喰らおうというのですか? させません!」
だがその口から胴に掛けて長刀が一閃して両断される。しかし1体がやられても次々と足音が響き、屍獣たちが襲い掛かる。
「近づくなと言っています!」
それでも鬼の形相で曼茶羅華は長刀を振るい、獣たちを退ける。
「このまま突破できれば!」
獣を蹴散らし進もうとすれば、その眼前に屍兵の槍衾が待ち構えていた。
「ここからは逃げられません」
その背後に軍勢に紛れていた絶奈が斬り掛かり、背中を深く斬り裂いた。
「貴女がこの群れの頭領ですか! ならば貴女を斬ればよいだけです!」
振り向きながら曼茶羅華が長刀を振るう。それを絶奈が受け止めると、その間に屍兵の槍が突き出され曼茶羅華を傷つけていく。
「おのれ! こうなれば皆殺しです!」
曼茶羅華の身体が変貌し、鬼と化して長剣を振るう速度が上がる。槍が纏めて切断され、返す刀で屍兵も腰から真っ二つとなった。
「ぐぉおおおおおお!」
知性を失い獣のように咆えながら曼茶羅華は軍勢を破壊していく。
「悪手ですね。逃げるのならば理性を残しておくべきでした」
暴れ回る鬼を前にしても絶奈は落ち着き払い、ゆっくりと後ろに下がる。
「ぐがあああああ!」
それを視界の端に収めた鬼が突っ込んで来る。
「だからこんな簡単な罠に掛かるのです」
足を止めた絶奈の前で、鬼の足にロープが巻き付き木の上へと吊り上げられる。そこへ屍獣が飛び掛かり爪で肉を引き裂く。
「ぐごおおおおお!!」
鬼は暴れてロープを千切り、地上へ落下する。そこへ屍兵が槍を構えて突き上げた。槍が突き刺さるが、鬼はお腹だけは護り、長剣を振り下ろして兵の首を纏めて刎ね飛ばした。
「この……子は……私が守ります!」
傷つき姿を元に戻った曼茶羅華が長剣を振りながら軍勢を薙ぎ払う。
「その気持ちは女性としては理解できます。ですが禍根は此処で断たねばなりません」
絶奈の指示に従い、逃がさぬように軍勢は敵を囲み行く手を幾重にも塞いだ。
「負けません、この子を守る為に、私は生き延びてみせます!」
その軍勢に突っ込んだ曼茶羅華は、傷を増やしながらも包囲を突破する。
「母親って、強いんでしょ。知らないけど」
孤児院育ちで母など知らぬヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は、伝聞でしか知らぬ子を守る母の気持ちに思い巡らす。
「……油断は禁物だね」
知らぬからこそ注意が必要だと、敵の足跡を狩人のように追う。
「見つけた――」
するとその先に傷だらけで逃げる女剣士の姿があった。
「仕掛けるよ」
一気に距離を詰めたヴェルは、深緋の如意棒を突き入れる。敵が気付き反応するよりも速く背中に当たり、衝撃波が放たれ敵の身体が木に叩きつけられた。
「がはっ――こんな、もので!」
咳込みながら曼茶羅華は顔を上げて両の閉ざした目蓋を開く。するとそこにぽっかりと空いた虚穴となった双眸がヴェルを見据える。
「私の可愛い子を狙うのなら、すぐに殺してあげます」
曼茶羅華の姿が消える。一瞬にして間合いを詰めてヴェルの首を狙って長刀を振るう。それをヴェルは如意棒で受け、力を流そうとするが凄まじい速度で押され、バックステップして大きく距離を取った。
「なるほど、これが母親の力ってやつだね」
強い衝撃を受けてヴェルの手に痺れが走る。敵が追撃しようと腰を落とし足に力を込める。だがその前にヴェルは漆黒の炎の渦を纏い、己が姿を錯視させて長刀を空振りさせた。
「でも僕の方が強いよ」
緑色の炎の閃光を放ち、敵を照らし全身を焼く。
「ああっ!? 焼けてしまう、私の愛し子が!」
曼茶羅華が長刀を振るって緑の炎を吹き消し、返す刃でヴェルの胴を薙ぎ払う。
「なかなか素早いけど、速さなら僕も負けてないよ」
ヴェルはその一刀を後ろに下がって躱し、刃が通り過ぎると、今度は地を蹴って接近する。そして黒い刃のナイフを首目掛けて一閃した。それを咄嗟に曼茶羅華は頭を傾けて避ける。だが躱しきれず切っ先が首の肉を抉り血が溢れ出す。
「ダークセイヴァーに生まれると、死ぬほど聞く話だけど。望まれない子供も、いるんだ。せめて、その子がひとりで苦しまないように。……一緒に葬るよ」
ヴェルは反対の手に白い刃のナイフを引き抜き、二刀を構えて低く駆け出す。
「この子は望まれています! 世界がこの子の誕生を待っているのです!」
狂気を宿し曼茶羅華は長刀を横薙ぎに振るう。ヴェルはそれを白いナイフで受け流し、懐に飛び込むと黒いナイフを胸に刺し、そのまま腹まで達するように下へと斬り下した。
しかしその刃が途中で止まる。曼茶羅華はヴェルの手をナイフごと掴んで止めていた。
「世界を救う神の子を殺すのですか!」
恐ろしい形相を浮かべ、曼茶羅華がヴェルのナイフを引き抜いて長刀の柄で殴って押し戻し、長刀の間合いとした。
「たった一人に左右される世界の命運なんて遠慮したいね」
ヴェルは柄をナイフで受け止め、続けて放たれる必殺の袈裟斬りを、敵の横を通り過ぎるように身を投げて躱し、地面を転がりながらナイフで右脚を斬りつけ、そのまま駆け抜ける。僅かに遅れて返す刃が先ほどまで立っていた場所を斬り裂いた。
間合いが開くと、曼茶羅華は背を向けて逃げる。
「逃がす訳にはいきません。まずは足止めしましょう」
ショールム・メルストロム(家畜之神・f21142)は手足枷と轡、それに首輪と鼻環も放ち曼茶羅華を拘束しようとする。それらを曼茶羅華は長刀で弾くが、低く飛んだ足枷が当たり転ばせた。
「また新手ですか! ならば押し通るまでです!」
虚ろな眼を見開いた曼茶羅華は、足枷を斬り捨ててショールムに向かって駆け出す。命を削る加速を得て、一瞬にして刀を振り下ろした。
「自らの命を削る動きですか、目で追うのがやっとですね」
その一撃をショールムは槍で受け止め、衝撃で後方へ押しやられた。
「速度を維持し続ければ自らを追い詰めることとなる。子を成そうとする者が、逃げるために命を落としていては本末転倒ですしね。過去の存在たる彼女に寿命があるかは謎ですが……」
ならばここで確実に討っておかねばならないと、痺れる手で強く柄を握る。
「いずれにしても、その腹が今の彼女にとって弱点であることには変わりはないわけで。人道的ではありますが、槍でそこを狙うしかありませんね。既にあれは人ですらありませんけど」
ショールムは今度は自分から踏み込み、敵の腹目掛けて槍を突き出す。
「お腹を狙いましたね。私の可愛い神が宿るこのお腹を!」
鬼気迫る表情になった曼茶羅華は斜め前に踏み込みながら突きを裂け、長刀を薙ぎ払う。それをショールムは石突を持ち上げて柄で受け止める。
「例え神の力を宿そうとも、創られたソレは所詮、まがい物でしかないんですよ。創られた者の不幸を鑑みることができない者を親と呼ぶことはできない」
忠告するようにショールムが言葉を投げかける。だが子の事しか考えられなくなっている曼茶羅華にはただ火に油を注ぐだけだった。
「この子は私の子供です! そうです! 母が子を守るのは当然のことです!」
叫び曼茶羅華が長刀を振るおうとすると、その腕に手枷が嵌められている事に気付いた。
「心を弄られているようですね。正気に戻すことは無理そうです」
自分の行う精神操作よりも上の力が働いていると、ショールムは相手の様子から察し、物理的手段の方が有効だと判断した。
「いつの間に!」
手枷が掛けられたまま長刀を振るうが、鋭さを失った一撃をショールムは避け、槍を突きれた。腹を狙った一撃は、途中で腕に阻まれる。腕を貫きそのまま腹まで達そうとする刃を、曼茶羅華は腕の筋肉を固めて防いだ。
「思い込みであっても、子を思う母の力は発揮されるのですね」
ショールムは槍を手放し、首を刎ねようとする長刀の一撃を避け、置き土産に足枷も嵌めて距離を取った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アルトリウス・セレスタイト
過去は忘却へ還るものだ
破天で掃討
高速詠唱と2回攻撃で限りなく間隔を無とし、全力魔法と鎧無視攻撃で損害を最大化
爆ぜる魔弾の嵐で蹂躙する面制圧飽和攻撃
2回攻撃の一回分は常時射出し、残る一回分は全て統合した巨大な魔弾として放ち確実に始末
周囲一帯を纏めて吹き飛ばし回避の余地を与えず、攻撃の密度速度で反撃の機を与えず
『再帰』で一連の手順を循環させ一切の中断無しに攻撃を継続
必要な魔力は『超克』にて“外”から汲み上げ供給
たとえ触れれば死であろうと、理性が無くば避けることもない
只管に魔弾を狙って攻撃を繰り返すことになるだろう
その身も得物も等しく死に絶えてゆくばかり
攻撃の物量で全て圧殺する
漆島・昂一
…妊婦と赤子を処分する。オブリビオン相手でも字面からしてとびっっきりの胸糞悪い汚れ仕事には違いねーな…
出来ねーこたぁねぇ。赤子だろうと邪神殺しは慣れっこだ
【魔術弾装填機構】起動
命中力重視、弾が相手を追い回す付与魔術「サイドワインダー」で射撃する
狙いは少し変えるが。…腹に向けて、だ
どんな力を持ってようが赤子が大事なら腹を守り通すだろうからな
「すぐに終わらせてもらうぜ…こんなこと、他の奴に任すわけにはいかねぇからな」
他の誰かが"こんなこと"をやる。そう思えば引き金も軽いったらねぇ
●守りたいもの
「逃げなくては……安全な場所に……この子の為に……」
手枷足枷を強引に引き千切り、血を流しながら曼茶羅華は遅くなった歩みを進める。
「過去は忘却へ還るものだ」
それが覆せぬ世界の法則だとアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)が冷たく言い放ち、立ち塞がってその身に淡い青色の魔力を集める。
「故にその子が生まれ出ることはない」
アルトリウスが手を伸ばすと青く輝く無数の魔弾が放射状に放たれた。曼茶羅華は逃げようとするが、辺りの木や地面にまで穴を穿つ魔弾は、どこに行っても当たり体が傷ついていく。お腹を抱いて曼茶羅華は防ごうとするが、その腕にも穴が開き血が流れ落ちる。
「殺させない。この子は、絶対に守ってみせます。全てを殺し尽くしてでも!」
逃げ場のない光が埋め尽くす光景を前に、避けられないと覚悟を決め、曼茶羅華はただ子を救うという目的の為、理性を失いその身を鬼に変えて魔弾を受ける。硬い金属の如き皮膚を破り魔弾が身体を傷つけるが、曼茶羅華は素早く前へと突っ込み、強引に魔弾の嵐を突破してアルトリウスへと長刀を振り下ろす。
「があああああ!!」
「逃げずに向かってきたか、だがもう一度だ」
頭を叩き割らんとする長刀を目の前にしても、アルトリウスは落ち着いて既に新たな魔力を装填していた。至近距離からもう巨大な魔弾をぶっ放し、直撃を受けた曼茶羅華を吹き飛ばす。ぐるっと獣じみた動きで回転して地面に着地するが、その左腕は肩から吹き飛んでいた。血が噴き出し、地面が赤く染まる。
「うがぁあああああ!!」
曼茶羅華が力を込めると筋肉が盛り上がって出血が止まる。そしてアルトリウスを睨みつけて右腕一本で長刀を握った。
「たとえ触れれば死であろうと、理性が無くば避けることもない。理性のない強さなど、獣と同じだ」
追撃にアルトリウスは魔弾を拡散させて放つ。それを曼茶羅華は長刀を振るって弾きながら前に進んでくる。だが全てを防ぐことなどできず、身体のあちこちに被弾していた。そして足の甲に大きな穴が出来てバランスを崩す。
「そして獣は狩られるのが運命」
重点的に低く放った魔弾で足を止め、アルトリウスはそのまま魔弾を浴びせ続けて曼茶羅華の命を削り取る。
「ぐっぅうああああ!」
曼茶羅華は長刀を下から斬り上げる。すると地面が裂け土が舞い上がった。魔弾はあっさりと土塊を貫くが、そこに曼茶羅華の姿はなかった。代わりに周囲の木がアルトリウスの方へと一斉に倒れ出した。
「……絶対に、この子は殺させない!」
鬼の姿から人に戻った曼茶羅華が長刀を横に薙いで一振りで辺りの木を切断していた。
「無駄な事だ。魔弾の嵐は全てを蹂躙する」
外から汲み上げる魔力は尽きる事無く、放たれ続ける魔弾は木を貫き穴だらけにして吹き飛ばす。
「絶対に! 殺させない!!!」
そのうちの一本の木に乗っていた曼茶羅華がアルトリウスの頭上を取り、長刀を振り下ろす。
「諦めろ」
巨大な魔弾が真っ直ぐに胸を狙って飛ぶ。それを斬り払おうとした長刀が中ほどで折れ、その分威力を弱めた魔弾が曼茶羅華の身体を高々と吹き飛ばした。
「……妊婦と赤子を処分する。オブリビオン相手でも字面からしてとびっっきりの胸糞悪い汚れ仕事には違いねーな……」
胸がムカムカする仕事に漆島・昂一(/邪神結合外殻システム『ABYSS』・f12856)は顔をしかめる。
「出来ねーこたぁねぇ。赤子だろうと邪神殺しは慣れっこだ」
だが邪神である以上倒さねばならないと、腰にカメラ型デバイスを装着し、戦闘装甲を身に纏った。その前に満身創痍でよろよろと逃げる曼茶羅華が姿を現す。
「すぐに終わらせてもらうぜ……こんなこと、他の奴に任すわけにはいかねぇからな」
そしてフルフェイスのヘルメットで表情を隠し、昂一は銃剣を構え狙いを腹に定める。
(「他の誰かが"こんなこと"をやる。そう思えば引き金も軽いったらねぇ」)
自分に言い聞かせるように引き金を強く引いた。放たれる弾丸を避けようと曼茶羅華は飛び退く、だが弾丸は軌道を変え、正確に腹を狙って飛んでいく。魔術によって強化された弾丸は当たるまで目標を負い続ける。
「させるものか!」
曼茶羅華は片腕で長刀を振り抜き、弾丸を弾いた。
「子供を狙うなんて! 許さない! 私から神様を奪うつもりですね!」
狂気に満ちた怨嗟の声を発し、斬りつけるような殺意を放って昂一へと踏み込む。
「抵抗しなけりゃ楽に死ねるものを……つっても心まで狂気に染まっちまってるなら無理な相談か」
昂一はもう一度弾丸を放つ。それを正面から曼茶羅華がまた長刀で弾こうとするが、弾丸は軌道を曲げて刃を躱し、曼茶羅華の脇腹を抉った。
「ぐっ、大丈夫。このくらいならまだ……」
傷口から血を垂れ流しにし曼茶羅華は飛び退いて、続けて発砲された次弾を躱して駆け出し昂一の胴を薙ぐ。それを昂一は銃剣の刃で受け止めた。
「私の神様を奪う者はここで斬る!」
曼茶羅華が押し込みそのまま昂一を斬り捨てようとする。
「悪いが邪神が生まれるとあっちゃ容赦はしないぜ」
昂一は鍔迫り合いで押されながら、引き金を引く。すると放たれた弾丸が曼茶羅華の右胸を穿った。
「がはっ」
口から血を吐いた曼茶羅華の力が弱まる。そこで昂一は長刀を押し返し、後ろにさがって距離を開けた。
「胸糞悪い汚れ仕事は俺が引き受けてやる」
昂一が重い引き金を引き、連続して放つ弾丸が曼茶羅華の胸と腹を貫いた。
「私の……大切な……」
お腹を抱くようにして曼茶羅華は力尽き、動かぬ躯となった。
「悪いな、赤子だろうと人を害するような邪神は放っちゃおけねーんだ」
ヘルメットを外した昂一が苦々しい表情で死体を見下ろした。
「元より過去の存在が還っただけだ、悲しむべきことではない。幻が消えただけのこと」
この現世の法則の中では、母子は存在すらしないものだと、アルトリウスは言葉にする。そこには戦った者達の心を少しでも軽くさせようという気持ちがあった。
「誰かが後始末をしなくちゃならねーなら、また俺らがやってやるさ」
それで救われる人がいるならと、この場に集まった猟兵達は皆同じ気持ちで昂一の言葉に頷き、口数少なく黙して歩き出す。
誰に罵られようとも、多くを救う為に手を汚す覚悟を持った猟兵は、自らの心が傷つこうとも歩みをやめない。
その目は過去ではなく未来を視ていた。
大成功
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