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甘いお薬は花蜜から

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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「はぁ、やれやれ……」
 時が流れる以上、アルダワ魔法学園にも年末は訪れる。
 カレンダーの日付ではとっくに長期休暇に入っているが、迷宮へ探索に踏み入る学生達が消えるわけではないので、学園は年の瀬の静寂には程遠い。
 教師の一人もまた、休日を返上して仕事に励む。
 何が『どうせ帰っても誰も待ってないからいいじゃないか』だ、覚えてろ! と怒りを滲ませながらら、手元の資料と、備品の数を見比べてチェックしていく。
 が。

「……ん? この棚はポーションの棚のはずなんだが……」
 金属製の棚の上には様々な形のフラスコが並んでいる。丸、三角、試験管、何に使うのか四角形まで。
 しかし中身は空っぽだ。怪我の治療や魔法の儀式等、幾多の用途で使える筈の、数々のポーションの備蓄がない。

「あ、あいつら……!」
 長期休暇に入っても、迷宮に挑み続ける学生たち。

「つ、使い果たしやがったなあ……!? 生徒達……ポ、ポーションを!!」
 戦えば傷を負う。傷を負えば治療がいる。治療するにはポーションがいる。
 見事な三段論法。これ以上なく明白に、足りてない理由がある。

「せ、先生、大変です!」
 ただでさえ頭に血が上ってる所に、一人の生徒が駆け込んできた。

「何事だね!? キレそうだよ私は!?」
「め、迷宮から魔物が溢れそうです!」
「何ぃ!? こんな時に!? それで、種族は!?」
「は、はい、それが……」


「お薬を作ろう!」
 猟兵たちを呼び集めたミコトメモリ・メイクメモリアは、青い液体が入った丸フラスコ片手にそう言った。

「じゃ、事情を説明するね。今回の世界はアルダワ魔法学園。学園に備蓄してあったポーションを、なんか、学生たちが使い切っちゃったから、早急に数を作る必要があるんだってさ」
 グリモアベースに映し出される倉庫らしき場所には、中身のないフラスコが並んでる以外、本当に何もなかった。

「しかもこのタイミングで、迷宮から魔物が溢れてくるぐらい出現したらしいんだ、本来なら、結構な大事なんだけど……」
 手にした本をぱらりと捲る。同時に、空間の映像が切り替わる。
 新たに映し出されたのは、赤、緑、青、三色揃った彩り豊かなスライムたち。迷宮ではポピュラーにして定番の雑魚モンスターである。

「この子達の名前は蜜ぷに。弱いけどとにかく数が多いから囲まれるとちょっと怖いかも? 体は花の蜜で出来てて、倒すと甘〜い蜜の塊になるんだ。食べたことのある人もいるんじゃない? そのままでも行けるけど、削った氷にかけてみたり、炭酸水で割ってみたりしても美味しいよ、ボクのおすすめは……じゃなくて」
 こほんと咳払い。

「この蜜ぷにたちから取れる蜜は、ポーションの原料にもなるんだ。だから皆で迷宮に入って、攻略がてら沢山倒して、蜜を集めてきてほしいんだ」
 集めた蜜でポーションを作る所までが、猟兵たちの今回の任務だ。

「なんなら、自作の魔法薬を作ってみてもいいよ? ただし材料は各自、迷宮から調達すること。それと、蜜ぷにを使役してるボスモンスターもいるはずだから、その子もしっかり倒してきてね。以上! 今回の説明でした!」
 あ、それと、とミコトメモリは、小さな声で付け加えるように。

「ちょっとくらいつまみ食い……つまみ飲み? しても怒られないと思うよ? もちろん、先生には内緒でね?」


甘党
 甘党MSです。甘いものが好きです。
 可愛いスライムをぶちのめして回収した素材でポーション作り!
 在庫を無断で使い果たした学生を許すな。
 3章では実際に回収した素材を使って、みんなでお薬を作ります。
 惚れ薬とか毒薬とかこっそり作ってもいいけど用法用量はちゃんと守ってくださいね。
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第1章 集団戦 『蜜ぷに』

POW   :    イザ、ボクラノラクエンヘ!
戦闘用の、自身と同じ強さの【勇者ぷに 】と【戦士ぷに】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ボクダッテヤレルプニ
【賢者ぷに 】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ミンナキテクレタプニ
レベル×1体の、【額 】に1と刻印された戦闘用【友情パワーぷに】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

幻武・極
ポーションが無くなるなんて緊急事態だね。
そんな危機的な状況下でも救いはあるんだね。

さあ、ポーションの材料を迷宮の入り口まで取りに行ってこよう。

トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化して、殴られる前に倒す方針でダメージを極力受けない様に戦闘だよ。
そうすれば、ボク達がポーションを使わずに済むからね。

それにしても、蜜ぷには倒すと蜜の塊になるって聞いていたけど、なかなか集まらないね。
蜜ぷに達の中でも強そうで多く蜜を持っていそうなのを狙って倒していっているんだけど、おかしいね?



◆問1:何故蜜が集まらないのか。

「ポーションがなくなるなんて緊急事態だね」

 迷宮に降り立った幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は、目の前でプルプル揺れる蜜ぷにの群れを前に首を慣らした。

「でも、キミたちがその材料になる……どんな時でもなんとかなるよう、考えられているんだね」

 極は武術の最果てに至る為に日々研鑽を続ける一人の羅刹である。
 故に戦闘はお手の物、まして相手は雑魚モンスターの群れ、負ける道理は一つとして無し。
 しかしながら、わずかにでも油断して手傷を負えば、ただでさえ枯渇したポーションを更に消費してしまうことになる。
 本末転倒は避けねばならない。

「焔」

 コォッ、と変わった呼吸音が迷宮に響く。

「雫」

 それは独自の息吹によって大気に満ちる自然の力を体内に取り込む技術。

「嵐」

 炎、水、風、三種の属性を内包する蒼と紅の焔が、極の周囲に浮かんだ。
 すなわち之、一打一殺、無双の拳。
 幻武・極のゲーム武術、ここに有り。

「ハッ!」
「ぷにぃぃぃぃ!!!」

 拳が唸る。蜜ぷに、爆散!

「セイッ!」
「ぷにゃあああ!!!」

 蹴りが唸る。蜜ぷに、消滅!

「トウッ!」
「ぷにょぉぉぉぉ!!!」

 頭突きが唸る。蜜ぷに、爆散!

「ハッ! ――――あれ?」

 残身を取り、静かに構えをほどきつつ、極は首を傾げた。

「蜜ぷにを倒すと、蜜が残るって聞いたんだけどな」

 やりすぎですお嬢さん。
 しかし蜜が残らぬ事には仕方ない。
 猟兵として任務はきっちりこなす物、それが武を極めることであり、修行になる。

「ぷ、ぷにぃぃぃぃ」

 逃げる蜜ぷに達。
 追う極。
 暫くの間、迷宮のそこかしこで、存在していた痕跡を残さぬ蜜ぷにたちの悲鳴が響いたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

スバル・ペンドリーノ
……皆、年末年始も潜ってたんだ……。
最近、ほんとに魔法学園に転校生として通ってる私だけど、この熱心さにはびっくりしちゃうわね。

ま、新年の戦い始めってことで、私も頑張ってみましょうか!
ここは絡め手より、さくさく切り取るのが一番かしら。爪にオーラを纏う紅蓮斬で攻撃。
微塵切りにしてあげるわ!

スライム本体より、召喚されたスライムの方を狙っていった方が、いっぱいスライムが取れるかしら……?
いっぱいいるし、狙いすぎても危ないかしら。この辺は戦況と余裕を見つつ、ね。

(ふと、指先についた蜜をぺろ、と舐めて)
……うん、料理に使えそうね、これ。ちょっと持って帰ってお菓子にしたら、お姉さま、喜んでくれるかしら……。



◆問2:どうすればお姉さまは喜んでくれるのか。

「……皆、年末年始も潜ってたんだ……」

 アルダワ魔法学園では、生徒の一人として通っているスバル・ペンドリーノ(星見る影の六連星・f00127)は、学生たちの熱心さにほとほと呆れてしまう。
 とはいえ、ポーションがないのは困る。自分はもちろん、万が一最愛の姉の玉の肌に擦り傷一つでもできれば、最高級ポーションを一本でも十本でも百本でもぶちまけなくてはならないからだ。

(お前が使い尽くしたんじゃないのか……?)

 という疑問は捨てねばならない。冤罪です。

「ぷにぃー」

 ぽよんぽよんと、絶妙なバランスで重なりながら跳ねる蜜ぷにの一団。

「あ、いたいた。……うーん」

 倒すだけなら簡単だ。蜜ぷにとは雑魚モンスターの代名詞である。普通の学生たちでも気軽にハント&イートなおやつ的存在なのだ。
 だが、ポーションを大量に作るなら、それなりの量が必要となる。
 よって……。

「ばぁー」

 スバルは彼らの前に、わざとらしい威嚇をしながら飛び出した、

「ぷ、ぷにっ!?」
「ぷにぷに……」
「ぷにぃー!」

 蜜ぷに達は可愛く震えながら現れた敵対者を警戒、体をプルプルと震わせ始めた。

「ぷー、にぃーっ!」

 そして、ぷるんっ、と体を揺らし、一部を切り離す。それはむるむると震え、新たな二体のスライムを生み出した。
 これぞ蜜ぷにの戦闘手段、勇者ぷにと戦士ぷにの召喚(?)である!
 自分たちは雑魚なので他の強い「ぷに」に戦ってもらおう、というわけだ。自分から切り離したのに自分より強いとはこれいかに。

「そうそう、それでいいのよ」

 スバルは笑顔で、爪を立てる形で五指を広げた。
 血液のような赤いオーラが吹き出し、覆う。
 それは吸血鬼が伸ばす爪のようにも見えた……ビジュアルはかなり鮮血(あか)いが。

「たくさん呼ばせて、たくさん倒す。蜜もいっぱい、ね?」

 《血爪(ローテ・クラーレ)》が振るわれた。
 戦士ぷには輪切りになった。ぷるりと揺れて蜜だけが残った。

「ぷ、ぷにぃいいいい!」

 仲間をやられて涙する勇者ぷに! 許せない! 正義の心に沸き立つ怒り!
 いざ喰らえ、勇者ぷにアタッ――――。

「てい」

 すぱんっ。
 勇者ぷには輪切りになった。ぷるりと揺れて蜜だけが残った。

「ぷ、ぷに……」

 飛び散って、頬についた返り蜜をぺろりと舐め取って、スバルは笑顔で『おかわり』を催促した。

「はい、じゃあ、次ね?」
「「「「ぷ、ぷにぃいいいいいいいいいいいいいい!?」」」」

 ………………。

「……本当に甘くて美味しい。色によって味が違うんだ。お菓子にしたら、お姉さま、喜んでくれるかしら……?」

 死屍累々。
 ぷに達の残骸(蜜溜まり)を回収しながら、スバルはより味の良い部位をちゃっかり取り分けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リンタロウ・ホネハミ
うっはー! 弱い!多い!スライム!!
いいっすねぇいいっすねぇ、楽にこなせるお仕事ってのは!
敗走する敵軍追撃しろっつー命令が出た時ぐらい楽しい気分っすよ!

まーでも油断はしないっす
【〇〇六番之卑怯者】で周囲の状況を把握して囲まれねぇよう立ち回りつつ
片っ端からBones Circusで蜜ぷにってやつらを倒していくっす!
ポーション使わなくちゃいけねぇほどの怪我をしたら本末転倒っすからね
そこは気をつけて慎重に行くっすよ

倒して倒して小腹がすいたらつまみ食いしてまた倒して
……これポーション以外の用途で売ったりしたらもっと金になるんじゃ?
あ!や、やだなぁ冗談っすよ、真面目にお仕事しますって、へへ

アドリブ大歓迎


レイラ・ツェレンスカヤ
まぁ! あまーい魔物がいるのね!
うふふ、レイラも舐めてみようかしら!
でもその前に倒しちゃわないといけないのだわ!

今日は串刺しがいいかしら!
死体も残るものね!
どれだけ数が増えてもレイラの槍が全部貫いてあげる!
……なんだか多くない?
あら、合体してくれるのね!
倒しやすくてたすかるのだわ!



◆問3:雑魚狩りは楽な仕事なのか。

「ぴみぃーーーーー!!!」

 悲鳴を上げて蜜と化す蜜ぷに達を、リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)は要領よく狩ってゆく。

「うっはー! いいっすねぇ、楽な仕事サイコー!」

 気分は敗軍殲滅命令が下った際のテンションだ。すなわち一方的な蹂躙を許可された時である。
 罪悪感は特にない、だって無限湧きするんだし。
 まあ――生きた人間が相手でも、もちろんそんなものはないけれども。

「おっと」

 ガリガリと骨をかじらなければならないのが、リンタロウの悲しき性だ。いや、別にやりたくてやってるわけじゃないが。
 かじった骨の種類に応じて、様々な効果を得るのがリンタロウのユーベルコードだ。
 今口に咥えているコウモリの骨は、超音波によるソナーの役割を果たす。

「囲まれちゃ馬鹿らしいっすからねえ……よっこらせっと」

 柱の陰に隠れる。一拍遅れて、蜜ぷにの群れがやってきた。総勢十匹。

「ぷーにっ、ぷーにっ」
「ぷにー!」

 なんか楽しそうに飛んだり跳ねたりしている。同族が今も猟兵に狩られ続けているというのに危機感というものがまったくない。

「ちと数が多いか……様子見様子見」

 奇襲をかけて仕留めるのは容易いが、生き残りから攻撃を受けてしまえば本末転倒だ。
 ある程度、数が分散した所を手早く暗殺、これに尽きる。

「そんじゃ――」

 後を追いますか、と、どこぞの戦場で拾った、量産品のダガーを手の中で構え直したところで――――。
 紅(あか)が、視界いっぱいに広がった。

 ●

「うふふふふふふふ」

 その白い髪の毛は、生まれつきというよりも、意図的に色彩という色彩を一切奪ったようにも見えた。

「うふふふふふふふ!」

 その黄色い瞳は、狂気の月をそのまま小さくして、人形の眼孔にはめ込んだようにも見えた。

「あははははははは!」

 その小さな手から生まれる鮮血は、生きとし生けるものの成れの果てを支配しているようにも見えた。

「全部消したら駄目なのね! カタチが残っていないと駄目なのかしら?」
「それじゃあ今日は串刺しかしら! きっとたくさん血が出るのだわ!」
「あれ、スライムだから血は出ないのかしら?」
「それでもいいわ! それならいいわ! だぁってこんなに沢山いるのだもの!」

 その少女は、楽しそうに楽しそうに嘲笑った。

 ●

(な、なんじゃありゃあ……!?)

 白い髪の少女が片手を振るうたび、真っ赤な血の槍が無数に生み出され、視界に映る蜜ぷにを一匹の残らず串刺しにしていく。
 蜜ぷには自身が戦闘能力を持たない代わりに、仲間のぷにを呼び寄せて集団で襲ってくる。

「「「ぷにぃいいいいいいいいいいい!?」」」

 例えば十匹の蜜ぷにが二匹ずつ仲間を呼べば、合計三十匹のぷにが敵に回ることになる。

「うふふふふふふふふ!」

 対して、レイラが一度に操れる血の槍の数は九十本。
 一匹につき三本ずつ、お釣りは無しの健全会計。

「あはははははははは!」

 大量虐殺は歓喜の笑い声と共に行われる。これがもしぷにではなく別の生き物なら、間違いなくこの部屋は血の雨で満たされていたことだろう。

(ていうかあれ、オレがあそこにいてもさぁ……)

 きっと容赦はなかっただろう。透明になって襲いかかるなんて真似、しなくてよかった。巻き添えはゴメンだ。

「あら?」

 少女が首を傾げた。
 蹂躙されたぷに達の生き残りが、ぷるぷると震え、身を寄せ合っていく。

「「「「ぷーーーーにぃーーーー!!!」」」」

 お互いの境界線を消し去って、一つに融合。
 ぷに達はぷるんと十倍以上のサイズまで膨れ上がった。

(げ、デケェ! どうする!?)

 倒せないことはないだろう、だが、あのサイズは厄介だ。
 もちろんリンタロウの頭に浮かんだのは【リスク込みで倒す】か【とりあえず逃げる】かの二択であり、助けに入るかどうかではなかった。

「あら、合体してくれるのね!」

 一方で、少女は大きくなった蜜ぷにに対して、何の困惑も、動揺も見せなかった。
 巨大蜜ぷには、仲間を蹂躙し尽くした少女を轢き潰さんと、ズリズリと迫ってくる。

「倒しやすくてたすかるのだわ!」

 対して少女の取った行動は、指を立てて、小さく曲げる。
 それだけだった。
 それだけの動作で、巨大蜜ぷには、内側から弾け飛んだ。

(ゲェェェーーーーー!?)

 合体の際に取り込んでしまった、少女の紅い槍を、わずかだが取り込んでしまったのだ。
 それが内側で再形成され、内部から串刺しにされて崩壊したのだった。

「蜜がこーんなにたくさんなのだわ! これはレイラ、大活躍かしら!」

 部屋中に満ちた、甘い匂い。
 もしこれが蜜ぷにでなくて、ただの魔物だったとしたら。

(…………怖っ!)

 関わり合いになるのは避けるべきだ、そう判断して、リンタロウは背を向けた。
 ――――眼前に少女が居た。

(うおぉあああああああああああああああああああああああ!?)

 正直ビビった。ビビったが声には出さなかった。

「ねえねえ、お兄さん? 蜜を集めるのをてつだってほしいのだわ!」

 いつから気づいていたのだろう。
 少女――レイラ・ツェレンスカヤ(スラートキーカンタレラ・f00758)は笑顔のまま、リンタロウにそう告げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リシェリア・エスフィリア
出会ってきたポーションは、薬臭い物ばかりだった
しかし原料は甘いという
……便利なポーションができるのでは?よし、行こう
【wiz】

【戦闘知識】に裏打ちされた動きで、的確に動く
相手の攻撃は【武器受け】や【オーラ防御】で軽減しながら魔剣の力でなぎ払う

敵が仲間を呼んでいることに気付けば、少し思案顔
湧きの少なく、不意を打たれない場所で【魔剣の縛鎖】を使用し単体の敵の周辺に刃の檻を構築、攻撃を受けないようにしてから仲間を呼ぶのを待ち、呼ばれた仲間を直ぐに倒す
「……これは賢いのでは」
しかしこれではただ狩るだけで迷宮探索は出来ない
「……甘味への期待が判断を鈍らせてしまった」
気を取り直して奥へ進もう


石動・劒
待ってくれ俺は今までスライムが原料の魔法薬を傷口に塗ったり飲んだりしてたのか?それはちょっと気分的に……ええ……?どうなんだ一体。
知りたくなかった真実過ぎる。魔法薬の在庫よりもそっちの方がショックだぜ。

ともあれアレが無いなら無いで調達しねえとな。斬る……とマズいよな多分。水風船みたいになりそうだし、気絶にでもさせるか。
「忍び足」で近寄ったら最近覚えた薄斬一重を使ってスライムの動きを封じたら、借りてきた採取道具で「傷口をえぐって」蜜を貰おうか。こう、グシャッ、グチャグチャっと。
……もう魔法薬がいくら効こうが使う気にはなれなくなってきた……。



◆問5:人によって割と認識が違うのは何故か。

 なんて素敵なことだろう。

 リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)は思う。
 ポーション、すなわち回復薬……そう、薬だ。
 薬とは苦いか臭いか、味覚や嗅覚で不快を得る物体だった。
 それでも、傷を負えば使わざるを得ない事は、どうしたってある。
 リシェリアはヤドリガミ、その本体はサファイアすら霞む蒼の刃を持つ長剣故に、薬の効果があるのは、人間体の方ではあるのだが、その体だって、長い時を経て手に入れた大事なものだ。傷つかない煮込したことはない。

 ところで、この迷宮に出てくる蜜ぷにとやらは、どうにも甘い蜜を落とすらしい。しかもポーションの材料になるというではないか。

「……つまり」

 飲めば甘くて、傷が治る。
 理想のポーション、なんて便利なのだろう、ぜひ世界中に流通してほしい。
 そんなわけで、リシェリアは迷宮に乗り込んだのであった。

 ●

 まじで勘弁してほしい。

 石動・劒(剣華上刀・f06408)はそう思う。
 戦闘スタイルの都合上、劔は手傷を負うことが多い。近づいて刀を振るうのだから当然だ。
 それそのものは別に構わない。傷つくのは己の未熟であり、敵が強かったから、そこに何の疑問を差し挟む余地はない。
 問題はその原料がスライムだったということだ。
 時に飲み干し、時に傷口に塗ってきたポーションの正体が、

「ぷに?」

 この不思議にぷるぷるむるむる揺れる謎生物だとは。
 え、嘘だろ? という気持ちである。なんかこう薬草とか魔法石とかから削った粉とかじゃないんかい。
 なんか甘いとか可愛いとか言ってるけど原理不明じゃんっていうかオブリビオンじゃんいいのこれ。
 とりあえず斬ってみた。簡単に両断できて、その場で蜜の塊となり、べちゃっと石畳に広がった。
 これはまずい。しかも速度を乗せなかったから刃にベッタベタ糖分がついた、さっさと拭かないと普通に錆びる。

「マジかよ……」

 苦戦はしないが、とにかく手間だ。
 床に広がった蜜を回収するのも、なんか砂とか汚れとかついてそうだし、他の手段を考えねばならない。

「はぁ……こいつぁ失敗したか? ガラじゃねぇなぁ……もっとこう、手強い魔物がいりゃいいんだけどな」

 蜜ぷにたちを統率する主に期待する他あるまい。とりあえず今は、眼前の作業と甘い匂いの前に、ゲンナリするのであった。

 ●

 用意されたポットに蜜を溜め込み、表情を変えずとも上機嫌のリシェリアは、蜜ぷにの習性に気づいていた。

「ぷ、ぷにぃぃ!」

 危機に陥ると仲間を呼んで増える。その仲間を倒せばさらに蜜が手に入る。いわば蜜の無限ループである。
 これに気づいたリシェリアは、もうピーンと来た。すぐに来た。賢い。

「それなら……これで」

 本体である魔剣リシェリエイラの能力を躊躇なく発動。
 出現した短剣型の魔力が鎖となって、集まった蜜ぷに達の逃げ場を奪う。

「ぷ、ぷにー!?!?」

 閉じ込められてしまえばあっという間に死地である。
 逃げられない以上戦うしかない。蜜ぷに達は一斉に仲間の戦士ぷに、勇者ぷに、賢者ぷにを呼ぶ。

「……ふふ」

 外見は美しい少女といえど猟兵であり、武器である。
 数多の使用者達によって刻まれた戦闘経験と知識が、単純な動きのぷにを寄せ付けるわけもなく、避けては打ち込み、打ち込んでは蜜を絞る。
 十分後、蜜で満たされた容器を前に、むふんと誰に見せるでもなく得意げになるリシェリア。いや、表情は変わらないんですけどね。

 ちらりと、カラフルな彩りの蜜を見る。戦闘中も感じていた甘い匂い。
 舐めたらきっと甘いに違いない。これだけあるんだしちょっとぐらい。
 足りなくなったらまた集めればいいのだし。

 どんな味がするのだろう。
 とびきり甘いととても良いのだが。

「……あ」

 ところでお気づきだろうかお嬢さん。
 効率の良い狩りを重視した結果……。
 気づいたら、周りに誰も居なかった。
 蜜ぷにももはや湧いて居なかった。
 そう、実はリシェリア、初期位置から一歩も動いていないのだった。

「……甘味への期待が判断を鈍らせてしまった」

 材料集めは目的の一つではあるが、あくまで名目は迷宮の奥に住まう魔物の討伐である。
 そう……色々と堪能するのは、すべてが終わってからでも遅くはないのだ。

「……行こう」

 魔剣の少女は、小さく反省しながら、迷宮の奥へ歩みを進めた。
 この依頼の後、完成するであろうポーションの味に、期待を込めながら。

 ●

「ぷにっ」
「ぷにゃっ」
「ぽにっ」

「はぁ……」

 忍び足で気づかれずに近寄っては、体の紙一重で刃を走らせビビらせて気絶させ、その隙に蜜を搾り取る。
 直接斬らないことで飛び散るのは防げたが、手作業故今度は手がべったべただ。迷宮の中で自由に水が使えるわけもなし、水筒の中身で手を洗うのも最後にして起きたい。

「ぷに! ……ぷ、ぷに、ぷ……」

 手の中で断末魔を上げて、息を引き取り蜜となるぷに達。
 なんだろう、やっていることはただの魔物退治なのだが、一方的&作業敵すぎて、罪悪感すら湧いてくる。
 ポーションというのは利便さの代償に、このような苦労と犠牲が伴うものなのだろうか。

「……もう魔法薬がいくら効こうが使う気にはなれなくなってきた……」

 過程も原料も性に合わない。劔はため息混じりに迷宮の先へと歩みを進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スクリプトゥルー・オーヴァン
スラ……もとい、蜜ぷにデスか。
こういう敵って昔だと強酸性だったりして取り込まれると危険だった覚えがあるんデスよねぇ……今はどうかは知らないデスけど。

まぁ、弱い上に数が多いみたいデスし、【エレクトロレギオン】をクールダウンが上がるたびに使い敵を倒しつつ自分は適当に身を守りつつ蜜を回収するデスよ。
一発で壊れるみたいデスから自分を囮にして【時間稼ぎ】しつつレギオンで倒していくのが安定パターンデスかね。
攻撃を受けたりとかで体力が辛くなってきたら採取した蜜を少しだけ拝借して回復させてもらうデスよ。


祷・敬夢
フッ、スライムをひたすら倒すなんて作業をゲーム以外でもするとはな
しかし、この最強にカッコよくてクールな俺様にかかれば、スライム退治ですらも満員御礼の大舞台さながらの白熱さを見せつけてしまうだろう
ああ…己の魅力が恐ろしいぞ…!

やつらは仲間を召喚して戦うようだな
俺も召喚してカッコよく戦うことが多く、親近感と共にカッコよく思えてきたなスライム共よ
だが俺には及ばない!なぜなら、似たような戦い方なら俺様のほうが強いに決まっているからだ!ハーッハッハッハ!!

ということでこちらもバトルキャラクターズを召喚だ
賢者ぷにが出ればそいつを優先し、勇者戦士ぷにが出れば本体を優先して叩くぞ!これぞ勝利の攻略法だ!


虜・ジョンドゥ
あまーい蜜の塊になるスライムだって?
なかなかユニークなモンスターじゃないか! ボク、甘いのだーいすきなんだっ
お姫様のお話を思い出し、上機嫌にスキップ混じりで迷宮に挑もう

蜜ぷにと遭遇したら、数が増える前にパパっと倒したいね
8bitサングラスをかけて、どやっ! とキメ顔!
『エレクトロレギオン』でパステルカラーの可愛い戦車や戦艦を召喚!
シューティングゲームみたいなミサイルやビームを撃ちまくって、蜜ぷに達を一掃しちゃうよ
猟兵の誰かが囲まれそうになってたら、そっちを優先して助けに行くねっ

蜜の塊を回収しながら……すこーしだけ味見しちゃおっかな
どんな味がするんだろ、ワクワク!

アドリブ・他猟兵との絡み歓迎!



◆問6:数に対して数で対抗するのは正しいのか。

「スラ……」

 イムではない。蜜ぷにである。
 まぁ多分似たようなものなのだろうが、どうにも愛嬌全振りといった感じがする。生命体として生きる為の努力が感じられない。
 スクリプトゥルー・オーヴァン(真実の卵・f00487)は蜜ぷに退治に乗り出した猟兵の一人であるが……。

「昔だともっと強酸性だったり、物理攻撃が効かなくて炎がないと手も足もでなかったりしたもんデスが……」

 いわゆる、レトロゲーの中のスライムはもっと凶悪で凶暴なイメージなのだが、目の前にいるコイツラはどうも危機感もなければ警戒心もない。

「ぷに?」
「ぷにぷに」
「ぷにー、ぷに」

 何やら寄り集まって、こちらをチラチラ見て相談事をしている(のだろうか?)。グリモア猟兵の話では、放って置くとガンガン仲間を呼ぶそうだ。
 雑魚も集まれば驚異になりうる、取るべき対抗策は……。

「こっちも数、デスね」

 電子の申し子たるバーチャルキャラクター、スクリプトゥルーのイヤーデバイスは、そのまま現実世界に干渉する。
 呼び出したるは《エレクトロレギオン》、小型の戦闘用機械を呼び出すユーベルコードだ。
 形状は使用者の自由であるが……。

(ま、適当でいいデスね。一撃受けたら壊れるワケデスし)

 それでも合計七十機の戦闘力だ、間違っても遅れは取るまい。
 蜜ぷに達が警戒態勢に入る前に、一斉攻撃――――。

「はっはっはっはっは!」

 と思ったその時、迷宮の通路の一つから、高笑いが聞こえてきた。聞くからに、男のものだ。

(何で――――)

「「「「ぷにぃー!」」」」
「「「「ぷにぷにー!」」」」
「「「「ぷにぷにぷにぃー!」」」」
「「「「ぷにゃー!」」」」

 赤緑紫蒼黄赤緑紫蒼黄赤緑紫蒼黄赤緑紫蒼黄時々白。

「え――――――」

 何匹いるんだこいつら、と目を疑うほど大量の蜜ぷにが、、まさにその通路から逃げるようにして駆けてくるではないか。

「ふはははは! 甘い、甘いぞ蜜ぷに共!」

 一拍遅れて現れたのは、ドットで構成されたキャラクターを大量に操作しながら高笑いする猟兵、祷・敬夢(プレイ・ゲーム・f03234)であった。

「あの、何してんデスか?」
「うん? ほう、お前も猟兵か。見てのとおり、絶賛ゲーム中だ!」
「ゲーム?」

 増えに増えた蜜ぷに達は、今スクリプトゥルーが倒そうとしていた蜜ぷに達と合流し、わちゃわちゃと何かやりあっている。

「あいつらはほうっておくと増えるからな。その前に叩くのが定石だろう。というわけで俺様にかかれば雑魚狩り同然。ガンガンやってたわけだが」
「ワケだが?」
「普通に俺様が脅威すぎたらしくてな……逃げの一手を取られてしまったのだ! はーっはっはっは!」
「逃しちゃってるじゃないデスか!」
「仕方あるまい。この俺様が相手ではそれしか取る手段がないのもわかる。だがしかし! この部屋に他の猟兵がいるのはすでに計算済み! 挟撃で仕留められるという算段だ!」
「………………………………え、あのその猟兵って私の事デスか?」
「え?」
「この部屋、私しか居なかったデスけど」
「うん、じゃあお前だな」
「めっちゃスルーしちゃったんデスけど」
「え?」

 もぞもぞと。
 わちゃわちゃと。
 蜜ぷに達がギラリと二人の方を向いた。
 雑魚モンスターである彼らは、しかしこう思った。

『…………こんだけ数揃えばいけんじゃね?』 と!

「「「「「「ぷにぃー!!」」」」」

 蜜ぷに達が新たなぷにを呼ぶ。
 戦士勇者賢者戦士勇者賢者戦士勇者賢者戦士勇者賢者戦士勇者賢者時々友情パワーぷに!

「はっはっはっは! まるでモンスターハウスだな! 成る程、RPGではなくローグライクということか!」
「いやー、あの数どうすんデスか?」

 流石にあそこまで膨れ上がったら、倒すのも一苦労だろう。
 この際トレイン(※攻撃してくるモンスターの群れを他のプレイヤーになすりつけること)キメて逃げちゃおうかとか一瞬思った、が。

「何、問題ない。猟兵はこの迷宮にまだまだいるのだからな!」

 敬夢がそう叫んだと同時。
 ポンッ、ポンッ、ポンッ、と。
 気の抜けるような音が響き、その割にすごい勢いで、別の通路から飛んできた小さな砲弾が、スケール的に考えるならとんでもない大爆発を巻き起こした。

「ワオ! 直撃だ! けどあれじゃ蜜の回収は無理かなー?」

 のんきな口調で新たに現れた猟兵は……男とも女ともつかない、道化師化粧(クラウンメイク)だった。

 ●

 虜・ジョンドゥ(お気に召すまま・f05137)は、この依頼を割と楽しんでいる猟兵の一人だった。
 なにせ甘いのだーいすき! 敵を倒したついでに甘味がゲットできるならこれ以上のことはない。
 つまみ食いに躊躇はない。別に全部食べてしまおうというわけではないのだし。
 そんなわけで、蜜ぷに達をガンガン狩っていたジョンドゥ。
 もちろん、仲間を呼ぶ性質を知っているので、手早い始末を忘れない。

「おや? おやおや?」

 そんなこんなで、蜜ぷに達を狩っていると、やがて彼らの行動に一貫性が見られるようになった。
 すなわち、逃走である。顔を見た瞬間逃げの一手。流石に自分たちが猟兵に追い詰められていることに、群れ全体で気づき始めたらしい。

「ありゃりゃ。けど、逃がさないよ? GOGO!」

 8bitサングラスをかけ直す。様々な記号と数字は、ジョンドゥにしか理解できない電子ノイズにしてピース。
 思考だけでカタチを組み換え、召喚した《エレクトロレギオン》を操るのだ。
 ピンクにミントにスカイブルー、デコレーションされた小さな戦車や戦闘機、戦艦といった軍事兵器は、逃げる蜜ぷに達を更に追い詰め――――。

「おっとっと?」

 そして、一つの部屋に集まったのだった。

「ふははははは! 来たなそこの!」

 部屋に入った直後、そう声をかけられて、ジョンドゥはにやっと笑って応じた。

「Hey! ご機嫌いかが? いい天気だね! せっかくなら甘くて溶けそうなキャンディ・レインを見たくないかい?」
「いいだろう! ならば協力プレイだ! いくぞ!」
「……え、私もデスか」
「当たり前だろう! あの数、あの量、あの規模だろうが……三人プレイなら――――勝率は100%だ」

 敬夢が指を鳴らすと、彼のバトルキャラクターたちが一斉にジョンドゥのレギオン……パステルカラーの戦車に乗り込んでいく。

「ワオ! こりゃいいね! ビームもあるけどミサウルも打てるよ! 操縦桿はキミに預ける?」
「半分はそちらに任せる、俺様のバトルキャラクターは有能だぞ、SSRだ!」
「OK! 

「「「「「ぷぅぅぅにぃいいいいいいいいいい」」」」」」

 いつの間にか、呼び出したぷに達が合体したのだろう、もはや巨大ぷにと呼べなくもないサイズになった蜜ぷにが、

『このサイズなら勝てるやろがい! 反撃したるがな!』

 と言わんばかりに迫ってくる。

「もー、仕方ないデスねー」

 スプリクトゥルーはため息を付いた。こりゃあ逃げられそうにない。
 ならばさっさと片付けてしまおう。任務は速いほうが良い。
 呼び出していたエレクトロレギオンの形状を変更。次のカタチは――――。

「マップ兵器で殲滅デスよ、ボンバーっ!」

 機械式の戦車弾頭。シューティングゲームにおける――範囲殲滅兵器(ボム)である。

「ふはははははナイス支援! さあ――――」

 乗り気な二人と、呆れ気味な声が。
 それでもきれいに重なった。

「「「プレイ・ゲーム!」」」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷室・癒
「一番、いやしちゃんっ。いきまーすっ!」

迷惑な魔物をやっつける! それと一緒に、怪我を直す薬の材料に、甘い甘い蜜が手に入るのなら言うことなしだ。みんな幸せ、みんなハッピー、とっても素敵です!
女の子は甘いものが大好き。つまみ飲みなんてはしたないけど、わくわく楽しみな気持ちは抑えれない


日常でも非日常である戦いでも、物怖じしなければ恐怖もない
真っ先に、あるいは開幕の範囲攻撃の後に飛び込んで「今ここにある花」で動きの兆候が見える相手を足止めしていく
仲間が囲まれそうになったら助けて、自身が囲まれそうな気配が見えて、危なくなってきたら「今ここにある花」で仲間の多いところへ移動して、援護しつつ避難


秋稲・霖
【POW】
なんつーか、めっちゃタイミング悪いよねー。こんな忙しそーな時にポーションとか無くなっちゃうなんてさ
…こんな可愛いとちょーっと攻撃する手も止まっちゃいそうだけど
ここは心を鬼にして?…人助けってヤツ、しちゃいますか

炎で焼いちゃうのはまー絵面的にかわいそーなんだけど…うう、行ってこい式神
…ぷにぷにしてんのが炎に巻かれんのは見ないようにしとこ、良心が痛む…

どんだけぷにぷにしたヤツが出てきても、2回攻撃と属性攻撃をお見舞いしてやるぜ!俺の式神はすばしっこいのよ、びゅーんって感じ

…あとでソーダで割ってつまみ飲みしてやろー。飲んだことないし、楽しみだぜ!

※アドリブ、共闘歓迎です



◆問7:可愛いことは罪なのか。

 何事も間の悪さ、という奴はあるものだ。
 秋稲・霖(ペトリコール・f00119)はそんな事を考えながら、迷宮を探索する。

「なんつーか、タイミングってもんがあるよな……こんなときに限ってポーションがなくなるなんてさ」

 歩けばすぐに見つかる蜜ぷには、ぷに? と現れた霖を上目遣いで見上げた。
 どうやらこの個体群は、まだ猟兵に対して警戒心が薄いらしい。
 とはいえ、魔物だし、薬の材料だし、倒さなきゃならないのだが。

(……か、可愛いなぁ……!)

 オブリビオンであるという一点を除けば、ものすごく愛くるしい姿なのだ。
 触れればぷにぷに、顔はゆるキャラ。甘い香りに程よい弾力。
 ぶっちゃけ、ものすごい罪悪感がある。

「で、でも、やらないとなぁ……ご、ごめんな?」

 取り出したるは紙人形、霖のユーベルコードの媒介となる物で、これを起点に炎を出す事ができるのだ。

「せめて一瞬で楽に――――」
「ぱぁーーーーーーーーー」
「うおぁああああああああああああああああああ?!」

 慌てて飛び退いた。びっくりした。

「あ、ごめんなさいっ、いやしちゃん、うっかり間違えちゃいました!」

 突如として眼前に現れた、白髪黒翼の少女――氷室・癒(超ド級ハッピーエンド・f00121)は、体全体で感情を表すように、両手をブンブン振った。

「え、えぇっと……君は?」
「はい! いやしちゃんです!」

 いやしちゃんというらしい。とりあえずここにいるということは、猟兵なのだろう、が……。

「その、今のは何?」
「そうでした、いやしちゃん、ぷにぷにを倒しに来たのでしたっ!」

 今ので? と思ったが口には出さなかった。
 いやしちゃんと名乗った少女は、とてて、と改めて蜜ぷにに近づくと、

「ぱぁーーーーーー!」

 と、可愛らしい笑顔を浮かべた。
 そりゃあもう可愛い笑顔である。なにせ蜜ぷに達もその顔を見てデレデレと頬というか全身をゆるめて弛緩している。
 純真無垢な天使の心を、全身から発し、その瞳と笑顔に魅了されたものを虜にしてしまう、《今ここにある花(ノーウェアキュート)》。
 まさに天使ないやしちゃんにぴったりなユーベルコードと言える。
 が。

「ぱぁーーーーーー!」
「ぷにぷに……」

「ぱぁーーーーーー!」
「「ぷにぷにぷに……」」

「もう一回、ぱぁーーーーーー!」
「「「「「ぷにぷにぷにぷにぷに」」」」」

 なんか数が増えてきた。
 笑顔で動きを止めるものの、別に倒しているわけではないので、だんだんいやしちゃんが蜜ぷにに取り囲まれ始めた。
 顔は相変わらずだらしなく緩んでいるので多分敵意や害意はないのだろうが。

「あ、あれ? あっ、いやしちゃんの羽を引っ張っちゃ駄目ですよっ? あ、あれれ?」

 気づけば、蜜ぷにたちは少女の体にのしかかったり、髪や羽を引っ張ったりし始めた。
 愛情表現なのか、それ以外のなにかなのは判別がつかないが。

「あれあれあれー!?」

 蜜ぷにが山のように重なって、いやしちゃんを飲み込んでいく。

「…………ま、あれだよな」

 霖はその様子を見て、一つため息、改めて紙人形を取り出すと――。

「この状況なら、人助けってヤツだよな?」

 手から離れた紙人形は、依代となって神を降ろす。
 自我を得たように蜜ぷにに向かっていき、触れた瞬間――――。

「「「ぷにぃいいいいいいいいいいい!?」」」

 燃えた。
 青紫色の炎は、霖の意思通りに動く。蜜ぷに達だけを的確に焼き尽くし、その下の少女には一切熱を感じさせない。

「はらほろひれはれ……」
「おい、大丈夫かよ」

 腕を掴んで立たせると、ぷるぷると頭を振るいやしちゃん。
 えへへ、と小さく笑って、自分より背の高い霖を見上げた。

「ありがとうございましたっ、いやしちゃん、大感謝です!」

 燃えゆく蜜ぷにから目を背けつつ、あまりに可愛い少女の笑顔は。
 ……猟兵の動きを止める効果も、若干あったらしい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リサ・ムーンリッド
薬の材料は普通にほしい。
化学式が解明できない物質は量産が効かないんだ。
いつもはふざけている私だが、今回は真面目にやろうかな…?

●これが蜜ぷに。

【超小型の炭素荷電粒子砲】で蜜ぷにを退治して蜜を集めつつ、孤立してる蜜ぷにがいたら実験を試みてみよう…。

戦闘中に不利なことをしているのは解っているのだが、研究者の性としてどうしても気になる…!!

いいやっ、この機会に蜜ぷにについて調べさせてもらう!
(【貪欲な好奇心】で回避などの身体能力アップ)

苔を与えてみたり虫を与えてみたりして食性を調べてみる。
他には、五感の有無だ。
音、光、臭い(ジップロックに入れた靴下)など、何に反応するのかなど。
決して虐待ではない。



◆問8:そもそも蜜ぷにとは何なのか。

 リサ・ムーンリッド(知の探求者・エルフの錬金術師・f09977)は錬金術師である。
 科学や医学、薬学にも、その派生として精通している。よって今回の任務は専門分野といえる。

「ふむ……」
「ぷにぃー」

 警戒心が薄い個体なのか、体をぐにーと、どこまでも伸ばして気持ちよさそうに目を細める蜜ぷに。

 むらっ、とした。

 いや、変な意味ではない。湧き上がったのは純粋に興味の方である。
 別にね? 違うんですよ? ほら、蜜はもう結構集めてるわけじゃないですか。
 ノルマとしてはもう十分な数をこなしているわけで? 眼の前にこうして謎の塊が調べてくださいと言わんばかりに伸びてる個体がいるじゃないですか?
 これはもう調べてオッケーっていうことなんじゃないんですか? 誘ってますよこれは、このぷに誘ってる、ふふ、かわいい奴め……。

 内心で誰かに言い訳しながらも、体はもう好奇心に従って動いていた。

「ぷに?」
「ふふふふ…………」
「…………ぷにぃー!?」

 蜜ぷに、不穏な気配を感じ逃げ出したがすでに遅し。
 がっしと両手で掴まれて逃げ道を封じられ、バタバタと暴れるが、貪欲な好奇心の前にぷにっぷにの柔軟ボディは無力だった。

「何、危害を加えようというわけじゃないんだよ」

 そうは言っても、冷静な口調はともかく目の光がやばい。完全に常軌を逸している。

「ぷ、ぷに…………」

 それではここから、しばらく実験記録にお付き合いください。

:実験記録1 食性について。

「ぷにぷに」
「雑食だが糖分を特に好む。液体の方に興味を示す傾向あり。このことから味覚・触覚は存在すると思われる」

「くんくん…………ぶにぁーーーー!」
「虫は駄目、と。嗅覚もあるな」

:実験記録 音に対する反応。

「ぷにぃーーーーーー!!!!」
「ふむ、轟音で気絶、と。聴覚も存在」

:実験記録 光に対する反応。

「ぷにっ!」
「懐中電灯レベルの明かりで視力を一時喪失するのか……柔い……」

:実験記録 悪臭に対する反応。
 備考:超臭い靴下を使用。

「おぼろろろろろぶぇぇぇぇ」

 ▼リサは大量の蜜を手に入れた。

:実験記録 その他。

「ぷぬぁぁぁぁ……」
「50℃で融解……と。次」

「ぷにーん」
「0℃で固形化になるのか、ふむふむ。次」

「ぶぶぶぶぶぶにににににに」
「通電性質有。次」

「何晒すねんホンマキレるぞワレ」
「毒は取り込む上に口調も毒々しくなると……」

 実験はその後もしばらく続き、リサが本来の目的を思い出すまで、まだしばらくかかったそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

パーム・アンテルシオ
お薬作りだなんて、面白そうな依頼だね?
魔法薬ってどんなものが作れるのかな。
尻尾が増えたりする薬とか?無理?ふわふわ度を上げるような薬とかなら、どうかな…?
…なんて、取らぬ狸のなんとやら。材料も集めずに想像してても、仕方ないよね。

最初はスライムの討伐、だったね。
スライムといえば、お約束のザコ敵。だったら、私でも普通に戦えるかな?
数が多いみたいだし、金竜火で、ぱーっとやっつけちゃおうかな。あ、燃やし過ぎたらマズかったりするかな…?

つまみ食い…つまみ飲み?つまみ舐めかな?
ちょっと気になるし、舐めてみようかな…?色によって味が変わったりとか…うーん。
よし、ピンクに近いから、紫色の辺り舐めてみようかな。


エーリカ・バルシュタット
あら、モンスターにしてはカラフルで綺麗じゃない。
見た目も可愛らしいところあるし、一匹くらい飼ってみたいわね。

【WIZ】
とにかくたくさん倒せばいいんでしょう?
まったく、備蓄の無断使用なんてあたしのとこの領民だったら即お仕置きよ?
欲しいならちゃんと材料も集めなさいよね。

というわけであたしはエレメンタル・ファンタジアの炎の風で友情パワーぷに達を攻撃するわ。
熱したら味も濃厚になりそうじゃない?
他の人が数に苦戦してるなら【援護射撃】で手伝ってあげる。

終わったら休憩に蜜の味見もしちゃいましょ。
紅茶に入れたり、クラッカーにクリームチーズと一緒に乗せたら美味しそうじゃないかしら。
どんな甘さがするのか楽しみね!



◆問9:そもそも、本当に美味しいのか。

 魔法の薬、と言う響きから、想像の翼が羽ばたいてしまうのは無理のないことだろう。
 パーム・アンテルシオ(桃色無双・f06758)は尻尾が自慢の妖狐である故、事前に聞かされた説明に期待をはせてしまう。
 もふもふの尻尾が増える薬とか。
 もっと毛がふわっふわになるような薬とか。
 もしかしたら、その両方とか!

「……なんて、取らぬ狸のなんとやらだよね。私、狐なのに」

 とりあえず材料を集めねば話にならない。
 ターゲットである蜜ぷには、幸い由緒正しきザコ敵である。
 尻尾をもふもふさせるのに一筋のもふもふ屋でも対処できるレベルの魔物だ。

「「「「ぷにぃーーーー!?!?」」」」

 実際、桃色の炎でできた子狐――パームのユーベルコード、《金竜火》でも十分に対処できた。というか出来すぎた。

「おぉ……これが魔法薬の材料」

 あっという間に集まった、色とりどりのカラフルな蜜達。
 どれもこれも甘い香りがする。よく効く鼻でそれを嗅いでしまえば、ちょっとした欲も湧いてくる。

「……甘いんだよね、これ」

 薬の材料にするのだ、口にして毒という事もないだろう。確かグリモア猟兵もつまみ舐めオッケーと言ってたではないか。

「ちょ、ちょっとだけちょっとだけ」

 誰かに言い訳しつつ、でも人気の居ない場所へ……と部屋を移動し。

「………………………………」

 そこでパームが見たものは、優雅に椅子に腰掛けて、お茶をしている(推定)お嬢様だった。

「あら、貴女も猟兵?」

 褐色肌に竜の角、金糸の髪に翠玉の瞳。
 桃色のドレスを身に包んだ少女、エーリカ・バルシュタット(シュテルンドラッヘ・フロイライン・f03435)は、どこから持ち込んだのかさっぱりわからないティーセットをどこから持ち込んだのかわからないテーブルに並べ、多分迷宮で回収したのであろう蜜を色別の容器にわけていた。

「えっと、うん、そうだけど……何してるの?」
「ちょっとした休憩よ。沢山仕事をしたんだもの、これぐらいいでしょう? よかったらいかが?」

 行動ではなく状況を聞いたつもりだったのだが、そちらは答えるつもりはないようだ。
 いかがと言われても、とも思うが、テーブルの上に並んでいるお菓子の類はどう見ても美味しそうだ。
 結局、誘いに応じて、ちょこんと椅子に座ってしまった。

「まったく……無断でポーションを使い切るなんて、私の領地だったら即・お仕置きよ。おまけにこんなに働かせるなんて」
「あ、やっぱりお嬢様なんだ」
「そう見えるなら良かったわ。ねえ、少し蜜の味見をしてみない?」

 そう誘われると、少し落ち着いていた好奇心が、再び湧いてきてしまう。
 なにせ……この場には紅茶もクラッカーもある。食べ方のアレンジには事欠かない。

「そうね、うん、ちょっとだけならいいよね?」
「そうそう、こんなにあるんだもの。クリームチーズと合うんじゃないかと思ってたのよね」

 エーリカは、クラッカーで大胆に蜜を掬って、チーズをのせた。
 パームはなんとなく、桃色に近い、薄紫色の蜜を選んで、同じように真似てみた。
 サクリと口に入れると、濃厚なチーズの味と、しっかりと、しかし控えめな甘さが混ざり合って、クラッカーの歯ごたえと混ざり……。

「うわ」
「あら」

 同時に、声が上がった。

「――甘くて」
「――美味しい」

 二人の少女は顔を見合わせ……。

「もうちょっとだけ」
「……いいわよね?」

 用意したクラッカーと、薄紫色の蜜だけが無くなってしまったのは、少女たちの小さな秘密となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

富波・壱子
薬を切らしちゃうなんて大変だね。私もよく体調崩して薬に頼ることが多いから、他人事じゃないんだよね。力になってあげたいな。
あっ、いたいた!これが薬の材料になる蜜ぷにってやつなんだね!わぁ、ぷるぷるしてて可愛いー!

首に巻いたチョーカーに触れて人格を戦闘用に変更。
躊躇なくど真ん中に刀を突き立てます。
この人格のわたしには容姿は関係ありません。殺します。

殺した死体は全てしっかりと回収します。
つまみ食いですか?薬の材料になる物にそんなことをするわけにはいかないのですが……ではほんの少しだけ。
甘い物を口にしてもこの人格では表情は変わりません。もし少しだけ嬉しそうに見えたとしても、きっと気のせいでしょう。



◆問10:可愛い蜜ぷにを殺める事ができるのか。

「薬を切らしちゃうなんて、大変だ」

 富波・壱子(夢見る未如孵・f01342)は元来、体調を崩すことが人より多かった。
 そのたびに薬に頼ってきた経験から、今回の状況は他人事でないと感じている。
 つまり、しっかり材料を稼いで、備蓄の作成に貢献せねばならない。

「ぷにぃー?」
「ぷにぷに」
「ぷにゃぁ」
「わぁぷるぷるしてて可愛いー!」

 そんな思いを抱えて挑んだ迷宮探索だったが、出てきた蜜ぷにはあまりに可愛かった。
 ぷるぷる揺れる弾力のある体、甘くて良い香り、愛らしい顔、可愛い声。
 敵対心を見せなければ、警戒心を抱かないようで、蜜ぷには何匹もぽんぽん跳ねて寄ってきて、足元にすりすりと頬を寄せてきた。

「わぁー……可愛い……何この生き物……買いたい……」
「ぷにっ」
「ぷにぃ」
「ぷにぷに」

 自分を構え、いいや私だ、とぷにぷに押し相撲をしながら寄ってくる蜜ぷに達。

「うそ、やだ、可愛すぎ……! え、これを倒さないといけないの、無理……」

 言いながら、ほとんど無意識に、壱子の手は首元のチョーカーに移動していた。

「ぷ」 「に」

 更に甘えようとすり寄ってきた蜜ぷにの頭部(?)に、ぐっさりと刀が刺さっていた。
 すぱっと上に持ち上げて両断。哀れ蜜ぷには、二つに分かれて即死である。

「……ぷ、ぷに?」

 あれ、この人は優しいニンゲンじゃないの?
 そんな目で見上げてくる蜜ぷに達。今の景色は間違いないのでは? という幻想をいだいたのが彼らの失敗だった。

 スパスパスパスパ、っと。

 壱子が無言で刀を振るうたびに、蜜ぷにの死体(甘露の山)が積み上がっていく。

「ぷ、ぷにぃーーーーーーーーー!」

 最後の一匹がようやく危機を感じた時には、もう遅かった。

 ●

「任務完了」

 壱子の戦闘用人格の切り替えは、チョーカーに触れること、だ。
 このモードに入れば可愛いとか愛くるしいとかぷにぷにしてるとか関係ない。敵イコール即ぶち殺、任務はしっかりこなすのである。

「」「」「」「」「」

 一方蜜ぷに達はあの世で『いくらなんでもあんまりじゃない?? 不意打ちが過ぎない??』と思っていることだろうが、まぁ世の中そういうものだ。こちらは猟兵でそちらは魔物でオブリビオン、諦めてもらうしかない。しいていうなら雑魚であることが悪い。

「…………」

 大量に集めた材料を容器に収める過程で、蜜が指についてしまった。
 別に、どこかにこすりつけてもよいのだが、なんとなく、舐め取ってみる。
 口の中に、優しく、どこかふわりとした甘い味が広がった。

「……ふ」

 誰かがもしその光景を見ていても、笑った、とは思わないだろうが。
 もしかしたら、ほんの少しだけ、嬉しそうに見えたかも知れない。

成功 🔵​🔵​🔴​

叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

俺は過去に学んだことがある
甘いもの好きに甘い物を前にして落ち着けというのは無茶だということを
突っ走る桜花のフォローだな、うん

こういう可愛い形状してる奴ほど戦い方はえげつなかったりするから警戒は怠らずにな
とにかく数減らさないとこれあれだろう
でっかいのが生まれるんだろう
そこ、可愛いとか言うんじゃない
とにかく小さいうちに各個撃破しないとな

我が刃の前にひれ伏せ!
油断するなよ!
とりあえず数増やす召喚元をたたくぞ

蜜の塊だろう
これってさ、溶けるのか?
氷砂糖の原理で果物と酒を一緒に漬け込んだらうまそうだけどまあ時間かかるから無理か


五條・桜花
雪月(f03400)と同行です
関係性のイメージは祖父と孫

【医術】と【毒使い】としてはポーション作りが見逃せません
助手も用意しております。よろしくお願いしますね、雪月

甘くてかわいいなんてなんてなんて素敵!
任せてください、氷はばっちり用意しております
他にもどうやって食べましょうか
絶対に美味しいと思うのです

という訳で頑張りましょう!
今回は二人ですから背中合わせに立ち位置を取ってせん滅です
甘いものの前にした女の子は無敵なんですから!
さあ私の花よ、咲き誇れ!

……私思いついたんですけどこのぷにの形をした薬ができると面白くないですか?
ゼラチンっぽい材料とかあと色付けに使えそうなお花とかないかしら



◆問11:甘いものを目にした女子を止められないのは何故か。

 叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)は過去を思う。
 肉体の年齢はともかく、ヤドリガミとして長い時を過ごしてきた経験からも間違いない。

「さあ! しっかり材料を集めをしますよ!」

 それは甘いものを目の前にした女子を止める手段はこの世にないということだ。
 実際、相方である五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)のやる気は満々である。
 もとより医学に精通している身の上からか、依頼に対してのモチベーションは高かったようだが、ターゲットが蜜ぷにと聞いてからは更にこの調子だ。
 テンション高く突っ走る桜花のフォローが、今回の自分の仕事だろうか、と、雪月は小さなため息を吐いた。

「ぷにぃー!?」
「ぷにゃー!?」

 背中合わせに、舞う様に戦う二人の前に、雑魚モンスターである蜜ぷにが抗うすべはない。

「咲き誇れ、我が分身よ!」

 桜花が手のひらをふうと吹けば、舞い散る無数の花びらが蜜ぷに達を蹴散らしていく。

「我が刃の前に――うーん、伏す頭もないんだよな」

 桜花から見て背後から迫る蜜ぷに達は、近寄ろうとした側から、雪月の刃が斬り伏せる。
 その連携に一切の隙はなく、おおよそ半刻も立たないうちに、蜜ぷに達の殲滅は完了したのだった。

 ●

「……私、思いついたんですけど」

 倒した後の蜜を集めるさなか、桜花がふとそんな事を言った。

「うん、どうした?」
「あの、このぷにの形のままでお薬にできたら、とっても面白くないですか? ほら、小型化すれば持ち歩けて便利ですし」
「あぁ、いいんじゃないか? 実にすごい。是非試してみてくれ」
「…………」
「い、いや、真面目に答えてるぞ。この後は薬作りも出来るんだろう、材料だってあるんじゃないか」
「あるといいんですけど。材料は自給自足っていう話じゃないですか、色付けに使えるお花とかないかしら?」

 迷宮にも草木生い茂るエリアは存在する。
 そこまで調べに行くのもまたどうかと思うが……。

「あぁ、果実酒みたいに漬け込んだら、美味くなるかねぇ、無理か。時間もないしな」

 桜花を真似て、なんとなく使い道を考えてみるが、素人考えか、と自嘲する。
 雪月の技術は、もっぱら戦闘に割り振られている。だからこそ、二人でいれば補い合えるとも言えるが。

「いえ、いい考えだと思いますよ」

 特に質問したわけではなかったのだが、桜花は歩きながらそう言った。

「この蜜は効能が【染み込み安い】性質があるみたいですし、氷砂糖と違って液体ですから、一晩漬けたら十分、美味しい果実酒に――」
「よし、やる気が出てきた」
「もう、極端なんだから!」

 迷宮の中で、そんな軽口を叩き合えるぐらいには、十分な余力と信頼がある。

 ……やがて、小さな花畑を見つけることができた。
 一つ、知識として増えたのは、蜜ぷに達の主食は花であり、食べた花に応じて色が変わっていく、ということだ。

「わぁ、これだけあれば色とりどりにできそうですね!」

 満足そうな桜花の笑顔と引き換えに、花を食んでいた蜜ぷに達は薬の材料ストックとして回収されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月輪・美月
倒すと甘い蜜……お菓子などに使ってみたら、女性陣にウケが良さそうですね……よし、狼の野生の勘とか鼻で迷宮探索と行きますか。困っている女性の方が居たら、素材を差し出して好感度アップも狙いたい所

ああ、もちろんポーション作成が依頼ですから、その分は確保してから、です
弱いけど数が多い……ならばこちらも数を用意しましょう。影から影の狼を作り出して蜜ぷにを蹴散らします。

つまみ食いは……まあ、軽く味見程度に……僕も結構甘い物好きなんですよね
【迷宮に入って、蜜ぷにを影の狼で打倒し、ポージョンの材料を持ち帰ります】セリフの追加、他キャラとの絡みは大歓迎


ミーユイ・ロッソカステル
……あら、まぁ。
……この子たち、私の歌を気に入って聞いてくれてるのかしら。
……なんて、戦いの中でも、どこかのんびりした笑みで、歌声に聞きほれる蜜ぷにを見ては、なんとなく絆されそうに……いえ、ならないけれどね?



……こほん。
えぇと、倒した後の蜜……これ、死骸扱いでいいのかしら。
「眷属のための葬送曲 第1番」の歌で眷属として操れるなら、そういうこと……よね。

操った蜜ぷにに、合体するフリをして仲間を襲ってもらいましょう。
えぇ、この子たちも私の歌を気に入ってくれたみたいだし、快く協力してくれるでしょう?
……悪趣味とか、言わないの。



◆問12:迷宮に出会いを求めるのは間違っているだろうか。

「ぷにぃ……」
「ぷにー♪」
「ぷにゃあ」

 ミーユイ・ロッソカステル(微睡みのプリエステス・f00401)の歌声に、蜜ぷにたちは心地よさそうに目を閉じて体を揺らす。
 あまりに単純に虜になってくれるもので、ミーユイは若干の困惑すら抱いた。
 まあ蜜ぷに達はよくも悪くも単純な生物であり、敵には攻撃するし、強ければ逃げるし、歌が良ければ聞き惚れてしまうのだ。
 警戒心も忘れてのびのびと。ここまで来ると若干倒すことすら申し訳なくなってくる、が。

「…………そういうわけにも行かない、わよね」

 蜜ぷにを倒した後の、蜜こそが今回のターゲット。
 あまりに無防備すぎる。倒すのはワケがない。ミーユイの手でも簡単にぷちっと引きちぎれるだろう。

「ぷーに! ぷーに!」
「ぷーにぷに! ぷーにぷに!」
「………………」

 いつの間にかアンコールまではじめよった。
 何だコイツら、オーディエンスとしてノリが良すぎる。というか気づけばわらわら集まってきている。

「……こほん」

 ではもう一曲だけ。
 そう思って喉の調子を整えた、直後であった。

「「「「ぷにぃー!!!」」」」
「えっ」

 蜜ぷに。全滅。
 どこからか飛び込んできた黒一色の狼が、蜜ぷに達に襲いかかり片っ端から蹴散らしてしまったのだった。
 牙に噛まれて飛び散り爪に割かれて飛び散り尾で叩かれて飛び散りなんなら喰われている。
 蜜ぷに達のライブ会場はあっというまに蜜まみれの地獄と化した。漂う匂いがもうめっちゃ甘い。

「えっ」
「大丈夫ですか、お嬢さん」

 輝く白髪をふぁさぁっ、とかきあげながら、部屋に入ってきた月輪・美月(月を覆う黒影・f01229)はどことなく気取った口調で言った。

「魔物たちに囲まれて、さぞ恐ろしかったでしょう、さあ、僕が来たからには……おや、以前もお会いしましたね」

 美月の言う通り、ミーユイにも違う依頼で顔を合わせた記憶がある。
 その時もこうして助けられた記憶があるし、同じように胸の谷間をちら見された記憶がある。

「……………………アリガトウ」

 そしてその時以上に複雑な感情をいだきながら、ミーユイは片言でお礼を告げるのだった。

(…………あれ、窮地に格好良く登場して女の子を助けた……満点のハズでは、父さん!?)

 ついでに、美月は父の教えが一つ役に立たないことを学んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『迷宮温室の女王』

POW   :    百裂蔓撃
【髪のように見える無数の蔓】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    捕縛液噴射
【腹部の食人植物】から【刺激臭のする液体】を放ち、【空気に触れると凝固する性質】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    女王の花蜜
レベル×5体の、小型の戦闘用【昆虫型モンスター】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・夢瑪です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


◆試験問題:花蜜の主を倒しましょう。 配点:薬の材料。

『フンフンフーン♪』

 壁からも床からも草木生い茂り、謎生物が無数に湧くエリアがあった。
 ここ、程よい湿度と温度が保たれた『迷宮温室』には女王が住まう。
 この個体は割と呑気な方ではあるようだが、強力な力を秘めたオブリビオンであることは間違いない。
 本日の彼女のご予定は、大量に使役した蜜ぷに達が集めてきた花の蜜を優雅に吸ってティータイム、パワーアップしてから迷宮侵攻の開始、の予定であった。

『…………?』

 しかし様子がおかしい。いつまでたっても蜜ぷにが帰ってこない。
 流石にそろそろ戻ってくる頃合いではないか、おやつの時間はもう過ぎている。
 そう思い始めた矢先、どやどやと足音と声が、通路の先から聞こえてきた。
 遅い遅い、お説教だ蜜ぷに共、と思ったが、はたと気づく。
 足音? 声? 蜜ぷに達はいつもぽよんぽよんと跳ねて動き、ぷにぃぷにぃと可愛く鳴くのだ。

「お、居たぞ、アレが親玉だ!」

 無遠慮に彼女の楽園にはいってきたヒト――猟兵が、女王を指さしてそういった。
 彼らは皆一様に、思い思いの容器に、たっぷり蜜を溜め込んでいた。
 そう――彼女のオヤツになる予定だった、蜜ぷにたちの成れの果てである。

『ワ、ワタシのオヤツ、返セぇーーーー!!!』

 反射的にキレた。
 許さねえ猟兵共、皆殺しにしてやる!

 ●

 ところでこの迷宮温室の女王だが、全身が植物と生体の融合でできたキメラであり。
 全身余すところなく、様々な薬の材料として使える。
 キミが作りたい薬の材料になるかも知れない。レッツクイーンハント!
レイブル・クライツァ
おやつ……いいえ、薬の材料よ?
ふふっ、こんな良いタイミングで追加の材料が手に入るなんて素敵だわ。
余す所なくバラバラになって、ね?
髪飾りっぽい部分に、髪、蛇っぽい部分に中央の花弁
腕から手にかけてと、爪。脚というか根っこ……
後は体内で熟成させた体液よね?
分析してるだけで楽しくなってきたわ。
学園の薬事情的に、取れるならどれだけでも欲しいのよ。
荷物的には、希少(量的に少ない物)部位優先で、後は人気の無い部位の確保をしていくわ。
捨てる所が無いのに持ち帰らないなんて、勿体無いもの。
召喚の昆虫は、巫覡載霊の舞でなぎ払いをして壊すわ。邪魔しないで頂戴?
あ、目玉ってそのままだと劣化しちゃうかしら?



◆課題1:素材別に分類しましょう。

『ユ、ユルセナーイ! オマエたち、ワタシのオヤツー!!』

 女王の怒り方は凄まじい。食い物の恨みは何より恐ろしい、というのは人間でもオブリビオンでも共通だったようだ。
 だが、その怒りを前にしてもレイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)に動揺の色は見られない。

「おやつ……? いいえ、違うわね」
『ジャア、ナンダッテ言ウのヨー!』

 それは彼女にとって、当然の認識である一言……。

「薬の材料よ」
『…………』

 女王はその時、気づいた。
 気づいてしまった。
 あれ、この人間、なんかちょっとおかしくない?
 具体的には、自分を見る目が、こう。

 女王は強い魔物である。強靭、強力、多数の配下を従える、いわゆるビーオーエスエスつまりBOSS。
 立ち向かってくるにしても恐怖や怯えがあってしかるべきなのだが、こう。

「…………こんなに良いタイミングで追加の材料が手に入るなんて素敵だわ」
『…………!』

 こ、この女。
 女王(ワタシ)を素材としてしか見てないのでは!?

「髪飾りは固形化した分泌液ね、養分がよく詰まってそう。髪の毛も蔦の延長よね? それだけ自在に動かせるなら体液は十分巡っているわね」

 じっくりしっかりと分析されている。どこの部位がどう役立つのか見られている。
 ちょっとまってちょっとまってちょっとまって。
 生物としての尊厳とか、もうちょっと大事にしてほしい。

『ク、来ルナアアアアアアアアアアア!』

 そりゃあビビる。女王が片手を上げると共に、わらわらと昆虫型の魔物がそこかしこから湧き出した。

「邪魔しないで頂戴」

 体に群がる昆虫の群れを、体をくるっと回転させただけで薙ぎ払う。
 ユーベルコードによって今の彼女は神霊体……神を降ろし人の粋を超えた力を振るえる状態なのだった。

「そうね……貴女の目玉が欲しいわ。希少だけど、かさばらなくて、あまり人気のなさそうな所」

 女王は思わず自分の右目をかばった。
 いや、別にこの部位で外界を認識しているわけではないのだ、人のカタチを模しているだけなのだから、他の部位で熱源を探知したり出来るし、何なら蔦の先端から新しい目玉だって作れる。
 けどなんか、そういう問題ではない。

『イ、イヤアアアアアアアアアア!』

 こうして素材収集バトルの幕があけた。
 ちなみに目玉部位の効能は…………方向感覚の一時的な矯正だそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

リサ・ムーンリッド
>全身余すところなく、様々な薬の材料として使える。

賢者の石に匹敵する素材キタコレ。

可能な限り無傷で、いや、原型とどめて無くても価値はあるな!
まずは味方の攻撃の合間に近寄り【超小型の炭素荷電粒子砲】のビームで焼いて切り取れないだろうか。至近から角度とか計算しての接射で!

●最高の素材を前にヨダレとか脳内物質とかドバドバ

引き続き、ユーベルコードの【貪欲な好奇心】で身体能力アップさせながら若干キモい動きでヒットアンドウェイ。
ついでに囮になれば良し。

よく見ると綺麗な顔(素材的な意味で)をしているじゃあないか、フフフフ。
キミの体が(素材的な意味で)欲しい!
抱きしめたいな!迷宮温室の女王!(素材的な意味で)


照崎・舞雪
果たしてかの女王が冷静であったならば
その少女が浮かべた笑みに戦慄したであろう
(ドゥアカ・ラハイル著『迷宮の扉の奥へ』より)

ふ……ふふふ……うふふふふふ……っ!
なんでしょうあれ!ボーナス!?ボーナスタイムです?ですね!ですよね!
だって見てくださいな、あの爪!あの花にたまってる蜜!髪飾りめいた蝶!
どれもこれも!薬の材料なのです!材料いっぱい!材料が向こうからやってくるぅ!

マッドな超いい笑顔
有りえないほどにハイテンション
雪花繚乱で戦闘しつつ敵からはぎ取った材料を瞬時に冷凍保存して回収
その目はよく肥えた豚を見たライオンのそれであった



◆課題2:材料はちゃんと持ち帰りましょう。

 果たしてかの女王が冷静であったならば
 その少女が浮かべた笑みに戦慄したであろう
 (ドゥアカ・ラハイル著『迷宮の扉の奥へ』より)

 …………。

「ふ、ふふふ、うふふふふふ……っ!」

 照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)は眼前の『ボーナスタイム』にこらえきれない笑みを浮かべた。

「フフフフ。フフフフ…………フッフッフッフッ」

 リサ・ムーンリッド(知の探求者・エルフの錬金術師・f09977)は眼前の『宝の山』に狂喜の笑顔を浮かべた。

 少なくとも二人共『迷宮の奥地から現れた強大な驚異』を相手にしている反応ではなかった。

『ヒェェェ……』

 名著の引用をするまでもなく普通にビビる女王だったが……。

『ッ、ナンデワタシがコイツらニオビエなきゃならナイノッ!』

 そう、温室の女王とはすなわちこのエリアの覇者。
 たかだか猟兵の十人や二十人、始末できてなんぼなのである。
 まして小娘二人など!

『シメアゲて、オマエたちを養分ニシテヤルッ!』

 髪の毛――に見える長い蔦は、女王の意思で自在に伸び、うねり、複雑な軌道で襲いかかる。
 眼前の二人を始末し、中身を搾り取ったら、次は他の猟兵共だ!
 そう決意した女王の前で――――。

「ああっ! もう我慢できませんっ! マエスギエリ一門、照崎・舞雪!」

 和服の上からコートを羽織った、けったいな格好の少女が、笑顔で告げた。
 名乗り上げと共に手を振るう。生まれるのは無数の花びらだ。
 勿論、ただの花びらではない、植物にとっては天敵とも言える……氷雪の花。
 すなわち之、ユーベルコード《雪花繚乱》。
 触れたものを凍てつかせて、容赦なく砕く、マエスギエリ一門の秘術の一である。

「――――その爪も蜜も蝶も」

 無造作に突き出された蔦が凍る。
 凍る、というのは、動きを止める、ということだ。
 舞雪の眼前まで迫った蔦は、ギギギ、と動きを鈍くし。

「いただきますっ」

 ぱちんっ、と可愛くウインク。
 その動きに反応するように、蔦が弾け、砕け、飛び散った。

『キ、キィイイイイイイイイイイイイ!?』

 勿論、砕け散った蔦は大事な材料である。舞雪はひょいひょいとそれらを回収すると。

「あ、御免遊ばせ」

 とそそくさと距離をとった。女王と真っ向から戦ったら流石に分が悪いことを、ちゃんとわきまえているのだろう。

『逃ゲルナァアアアアアアアアアア! ……ア?』

 ハァ、ハァ、と。
 女王の耳元で、何かの息遣いが聞こえる。
 気のせいかな? 気のせいだろう。気の所為ではない理由がない。
 だってこんな至近距離に近づいてくるだなんてそんな愚かな奴がいるわけ……。

「ハァ、ハァ……いい、いいぞォ……上質な蜜がたっぷり詰まった蕾だ……これだけで十分価値がある……」

 居た。

『キャアアアアアアアアアアアアアアア!?』

 思わず乙女みたいに叫んじゃう女王。
 残った蔦を一斉に襲いかからせる!

「キエエエエエーーー!」

 人間があげてはいけない叫び声と共にリサは宙返り跳躍でそれを回避。そのまま両手足を器用に使いカサカサと最接近を試みる。
 もはや人種族に許された挙動ではなさすぎる。それもこれもリサの内から湧き出る貪欲な好奇心のせいである。そうに違いない。そうであってほしい。

「ええい素材が動くんじゃあないっ!」

 理不尽な叫びと共に放たれた超小型炭素荷電粒子砲は……この世界とは違う進歩を遂げた、別世界の技術によってできている。
 細かい理屈はさておいて、要するにビームである。熱線は、丁度舞雪が凍らせた部位を貫き、容赦なく蔦を落としていく。素材ゲット。

『イ、イイカゲンにシロォオオオオオ!』

 しかし、蔦は次から次へと生えてくる、それってつまり無限ループ? と目を輝かせたリサの下顎を、先端を丸めて重量を重くした蔦のアッパーカットが貫いた。

『ドウヨォ! コレで死ンダデ…………』
「はははははははははは再生するのかぁぁぁぁじゃあもうちょっともらっていいかなぁぁぁ」

 脳内物質ドバドバデロデロのマッド・サイエンティストが肉体ダメージで停止するはずもなかった。

『イヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!』

 女王が呼び出した虫の壁に阻まれるまで、リサの素材収集は延々と続いた。
 そりゃもう、他の猟兵達も(巻き添えにしそうだし、巻き添えを喰らいたくもないので)しばらく手が出せないぐらいに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

五條・桜花
雪月(f03400)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

あら、これは人様のおやつだったのですね
悪いことをしてしまったかも?

ううんそんなことないですよね
さあ、あなたの身体もお薬の材料にして差し上げます!
そう私はほしいのです変わった材料が!!!
【医術】【毒使い】の技術をフル活用してあなたの身体から材料を採取させていただきます

さあ雪月、切ってください!
えっと、出来れば綺麗にすぱっと切っていただけると鮮度が落ちにくくいいのですが
ほら、そこは貴方の技量を見込んで!

とはいえ私も行かせていただきます
さあ、我が桜よ、切り刻みなさい!
桜で目くらましをして雪月の攻撃をスムーズにさせます

美味しくいただきます、貴方の素材


叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

なるほどこうやって配下を使うということか、賢いな
しかしよく考えろ、こいつは敵だ
ほっとけば迷宮で悪さするわけだから情けをかけなくていいだろ

……個人的に思うに、親玉に対して綺麗に切れとかなかなかも無茶だろ?!
そんなゆとりあるわけないだろが

俺は攻撃の蔓を切りつつ、本体へ攻撃する
まあ、我が刃、むろん綺麗に斬れて当たり前だろうが!
我が刃に切り刻まれろ!

桜花の桜で攪乱している間に大きな一撃を入れさせてもらう!
【捨て身の攻撃】【鎧無視攻撃】であえて固そうなところを切断することを狙いたい

我に斬れぬものなし!



◆課題3:無茶ぶりは程々にしましょう。

 匂い香る桜餅を楽しみに家に帰ってきたら、うっかり相方が食べてしまっていました。
 そんな事態になったら、うん、すっごく悲しい。
 なので、ほんのちょっぴり、五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)の心には罪悪感があった。

「人様のおやつだったとは、悪いことをしてしまったのでしょうか」

 たっぷり回収した蜜ぷにの蜜を見て、うむむ、と唸ってみせる。

「いやいや、あいつは敵だぞ、それに迷宮で悪さをしてる奴だ、情けはかけなくていいだろ」

 叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)は呆れ顔でそう言った。
 そもそも蜜ぷに自体、この迷宮温室の女王が差し向けた兵隊なのだ。
 退治して良いことこそあれ、悪いことなどあるはずもない、ちょっと有効利用しているだけだ。

「うん、それもそうですね。では……」

 そしてまた一人、少女から素材ハンターになる女が現れた。

「お薬の材料、いただきます! さあ雪月! 斬ってください!」
「俺が行くのかよ!」
「大丈夫、しっかり援護しますから!」
「援護を疑ってるわけじゃねえが、なぁ、アイツ、一応ここの親玉だろ?」

 暴れ狂う(主に恐怖で)女王の形相は、なかなか凶悪なことになっている。
 手当たり次第、蔦を振るい、虫を呼び出す様はちょっとした化物である。いや、もともと化物なのだが。

『死ィネェェェッ!』

 攻撃の矛先が、こちらに向いた。
 蔦が一直線に、近くに居た桜花に伸びた。


「――――手強いんじゃないか? おい」


 その致死の一撃に、少女は微動だにしなかった。
 真横にいる男が、その蔦を断ち切ると知っていたからだ。

「あんまり無茶はやらせるなよ?」
「大丈夫です、何かあってもほら、すぐにお薬を作れますから」
「そりゃあ、安心だなぁ」

 そんな他愛ない軽口と共に――――雪月が斬り込んだ。

「さあ、こちらも行きますよ! 我が桜よ!」

 桜花が手にした本を広げた。『Cerise lapin』と記されたそれから、ぴょこんと何かが飛び出してくる。
 それは小さな、桜色の兎だ。彼女の為の魔法の本から生まれた彼らは、そのまま、その体を無数の桜の花弁へと変じさせた。
 無数の花弁が雪月の死角を補い、迫る攻撃を刻んで落とす。

『ナマイキッ!』

 女王は怒り、下半身の根を振り上げた。
 髪の蔦より硬く、強靭なその部位を、丸めて、固めて、巨大な槌として作り上げ、振り下ろす。

「まったく、滅茶苦茶を言うよな? 最近の若い娘ってのは……」

 雪月の構えに、防御はなかった。
 ただ鞘に収めた刀の柄に、手を添えて。
 体にその一撃が触れる寸前で、抜き放った。
 後の先にて切り放せば、敵の先は潰れて消える。
 遠くに、切断された根の塊が、重い音を響かせて落ちた。

「――――ま、言われりゃそりゃあ、斬るけどよ」

 当事者である、斬られた女王が、ぽかんとしていた。
 根は蜜を一番多く取り込んだ部位だから、より栄養が満ちていて、強固なのに。
 何故切断されているのだろう? という疑問が、顔にありありと浮かんでいる。

「おいおい、『斬』れるから『刀』なんだろ、そんな顔するなって」

 刀を収めたのは、両手を空けるためだ。
 なにせ、斬った素材は回収せねばならないのだから。

「我が刃に、斬れぬものなし、ってな」

 背後で、わぁいと桜花が小さく飛び跳ねたのを、気配で感じて苦笑しながら、思い出したように細切れになった根の破片を、雪月は律儀に集めてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
あ、これって君のおやつだったんだ…なんかゴメン…?
いや、でも、結局は倒す事になるんだし…なんていうか、躊躇なく戦いに入れて良かったのかな…
…ちょっと、可哀想だけど。

それはともかくとして…どうしようかな。すっごく怒ってるけど。
冷静さは欠いてるんだろうけど、その分、絶対痛いよね、攻撃されたら。
それに、なんだかイヤな臭いもしてる気がするし…尻尾だけは死守しないと。

そういうわけだから…ユーベルコード、極楽鳥火。
撹乱するなら、やっぱり数の多さだよね。囲んでちくちく攻撃していこう。
相手もモンスター使役タイプの技があるみたいだし、それの対策にもなりそうだし。
…私が狙われたくない、っていうだけじゃないからね?


氷室・癒
「リベンジですっ! 今度こそ大勝利いやしちゃんですっ!」
前回はスライムに囲まれて大変な目にあってしまいました!
しかも助けられてしまった、これでは大迷惑いやしちゃんですっ
なので今度はそんなことにならないようにしますっ!
むしろ助けちゃいます! これで逆にいやしちゃんに大感謝決定です!
がんばります!


虫さんがたくさんですっ!
しかし今回は逆転の秘策がありますっ!
ぷにぷにさんたちのようにきらっとぼくの可愛さでときめかせて! 一緒にごーごー!
他の人も虫さんに襲われていたらきらっと助けちゃいますっ!
小さくてかわいい虫たちと、おっきくてかわいいぼくによる一斉突撃ですっ!
トドメはウインクできらっ! ぱちこーん!



◆課題4:罪悪感は忘れましょう。

「うわ、すごい怒ってる……そりゃそうか、オヤツだったんだ、なんか……ゴメン……」

 パーム・アンテルシオ(桃色無双・f06758)もまた、溜め込んだ蜜を見て若干の罪悪感を覚えた一人である。
 でも、結局倒さなきゃいけないんだし、ちょっと可愛そうだど、それはもう仕方ない。

 けど、こちらも譲れないものがあるのだ。主に尻尾のつやつやとフサフサと、あわよくば数とか増えないかなという願望のためである。

『ウウウウウウウ! モォォォ怒ッタァァァ! 今度は本当ニ怒ッタァァァ!』

 女王が手を振れば、大量の虫が、またわさっと湧いて現れ、猟兵達に襲いかかる。
 いかにもおぞましく、気持ち悪い。あれも薬の材料になるのだろうか?

 肝心の尻尾に、変な臭いや液体がついてはたまらない。パームにとって尻尾は命であり商売道具であり最も大事なものである。
 故に、尻尾の一本を、ゆうらりと揺らす。先端が僅かに火の粉となって、チリリと散った。
 それが毛並みを損なうことは、勿論ない。代わりに、炎の粒はどんどんと大きさを増し、やがて鳥の形を作り、翼を広げた。

 ユーベルコード《極楽鳥火》。無数の炎の鳥が一斉に女王や虫へと襲いかかった。

『!?』

 植物にとって、もちろん火は大敵だ。虫に関しては言わずもがなである。
 一撃当たれば、キッとこちらを睨んでくる。

(うへ、目をつけないでよ、やめてやめて)

 射線を遮る様に、炎の鳥が壁を作る、その間を――。

『動クンジャナァァァアイ!』

 女王の腹に咲いた花の中心から、勢いよく吹き出る粘液が、圧縮された水鉄砲となって打ち出された。

「!」

 つんと鼻をつく刺激臭。
 なんてこった、絶対にあれは食らってはならない。
 もしも尻尾に一滴でもついたら大惨事だ――遠くから感じるその臭いだけで、瞬時に危険性を感じ取った。

(不味――――)

 反射的に避けようとして、足がつっかえた。ひえ、と喉の奥から勝手に声が零れ出た。

「とーうっ!」

 そんなパームを、横から可愛い影が突き飛ばした。

 ●

「いやしちゃん、失敗です!」

 氷室・癒(超ド級ハッピーエンド・f00121)はリベンジに燃えていた。
 迷宮探索ではスライムの群れに囲まれてしまった。癒が可愛すぎたからだ。
 結果として他の猟兵に助けられる羽目になってしまって、立場としてはマイナスでガーン! ってな感じである。

「むむむむっ! いやしちゃんシンキングたーいむっ!」

 どうすればいいか、癒は考え、やがて結論を出す。
 今度はそんな事にならないようにしよう!
 むしろ助けられたぶん、助けちゃいましょう! これでいやしちゃんに、大感謝決定です!

「今度こそ大勝利いやしちゃんですっ!」

 そんなわけで、女王のエリアに踏み込んだ癒は、女王が呼び出した虫に対して、すぐさま笑顔で対応した。

「ぱぁーーーーー」

 特に意味がなかった。

「あれぇー!?」

 そもそもこの虫達は女王の体で生まれ女王の体で育ち女王に使役される虫どもで、知性や知能というものがない。
 可愛い可愛くないをそもそも認識できないのである。これはいやしちゃん大失敗であった。

「がーんっ!」

 あまりのショックにオトマノペが口に出てしまう癒ちゃんのもとに、虫が殺到する。
 蜜ぷにと違って害意ある存在だ。触れれば噛まれるし、斬られるだろう。
 どうするべきか……その判断を脳が下す前に、虫は突っ込んできた炎の鳥に焼かれて、落ちた。

「……?」

 きょとんとして見てみれば、その炎の鳥を生み出した妖狐の少女の姿が見えた。
 また助けられてしまったが、お礼はちゃんと言わねば。両親もお兄ちゃんも言ってました。お礼をちゃんと言える子は可愛いぞと。

「あ、あのっ」

 そうして声をかけようとした瞬間、なんと敵の女王が怒りのままに、その少女に対して何かを吹き出したではないですが。

「とーうっ!」

 もはや考えてる暇はなく、癒は自慢の漆黒の翼を広げて、妖狐の少女……パームを突き飛ばすようにして突っ込んだのだった。

 ●

「わぷっ」

 パームは突っ込んできた癒の直撃を食らって、そのまま押し倒された。尻尾がもふっと衝撃を吸収、大事には至らず。さすが自慢の尻尾、もっふもふである。

「はっ、すいません、いやしちゃん勢い余りました!」

 慌てて飛び退く癒、パームはふへぇと息を整え、それから眼前の少女と、自分が先程まで居た場所を交互に見た。
 凝固して固まる、異臭を放つ液体。
 もしあれが尻尾に当たっていたら? ゾッとする。商売上がったりどころではない、純粋に死活問題だ。

「いや、ありがとう、助かったよ」
「えっ、助かりましたか? いやしちゃん、救助成功ですか?」

 お礼を言われた癒は、きょとんとして、それから嬉しそうににぱっと笑った。

「やりましたっ、いやしちゃん、大感謝ゲットですっ!」
「うん、本当に大感謝。……何見てるの?」
「………………はっ、いえいえ、そのっ!」
「?」
「す、すごい尻尾がもふもふでふわふわで……て、手触りがよかったですっ!」

 どうやら、押し倒した際に手がしっぽに触れていたらしい。
 癒の目には『もっと触りたい』と書いてある。

「……あのね、これは私の商売道具なの、ただじゃないんだよ」
「そうなんですかっ!」
「………………」

 目を丸くする癒に、パームははぁ、とため息を吐いて。

「一回だけね」

 ぽふん、と一本の尻尾で、その体を優しく叩いた。
 そのあまりの滑らかさと心地よさ、ふわっとした感触に、わぁ、と癒の目が輝く。
 そして、その先端が再び、ちろりと揺れた。

「それと、もう絶対に喰らわない」

 再び生み出された炎の鳥が、二人を守るように取り囲む。
 女王の視線は未だパーム達に注がれていたが……。

「…………きらきらーんっ! ぴかっ!」

 視界内に収めていた癒が、パチッとウインクをした瞬間、なにかに打ちのめされたように首がすごい勢いで後方に弾かれた。

「……何したの?」
「えへん、いやしちゃんの、ウインクですっ!」

 原理は一切不明だが、ウインクらしい。

「……そっか」

 それよりも、まだ尻尾を触りたそうにウズウズしている少女に、料金プランの提示を今ここでしてよいか、パームは少し悩むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
あー、ビビったー、ガキなのにめっちゃくちゃおっかねぇじゃねぇっすか……
でも今回は味方……味方? 味方でいいんすよね……???
と、とにかく! ああいうおっかない手合いが敵じゃあねぇんなら好都合っす!
ああいうのの影に隠れてちまちま稼いできたオレっちの技量見せてやるっすよ!!

豹の骨を食って【〇八三番の韋駄天】を発動!
味方のつえーヤツと戦って注意がそれてる隙を突いてBones Circusでザックザック切り刻んでやるっすよ!
特になんか貴重そうっぽい薬の材料的部分を中心に!!
後で猟兵にも高く売れるかもしれねぇっすからね!!!
うおおおお、この一太刀は金貨1枚に値するっすよぉ!!

アドリブ大歓迎


スバル・ペンドリーノ
ボスって、このキメラだったのね……
蜜ぷにに蜜を集めさせていたというわけ。なら、怒るのも無理はないわ
けど、ごめんなさい。私にも、引けない理由があるの……!

え、理由って何か? ――貴女の身体から生えてる蛇が、お姉さまの滋養強壮にいいからよ!
最近環境が変わったせいで、ついつい血を貰い過ぎちゃうから、美味しいご飯を作って精を付けてもらいたくて……蒲焼かしら、それとも刺身? 色々試してみないとね。
ね、いいでしょう? 一本だけ、一本だけだから。

あぁ、けど……本体体もアロエみたいな色合いで、美容パックに……

やっぱり。一本と言わず、あちこちもらっていくわね?

※真の姿は瞳が赤く、夜色のケープを纏うヴァンパイア


レイラ・エインズワース
オブリビオンは過去の夢
ソレが侵攻してくるっていうのナラ、ココで止めるヨ
エ、薬品の素材? その腰に付けた小瓶に入ってる蜜は何カって?
アハハハハハ、やだナァ、気にしちゃダメダヨ
御香になりそうとか思ってないヨ

召喚するユーベルコードのは狂気の魔術師、私の創造主
サァサァ! いってみよッカ
まず使うのは死霊の召喚、これを相手にまとわりつかせて、行動を阻害スルヨ
そうしたら後は雷撃ダネ
私はもとはモノだカラ、サポートはばっちりできるんダ
「詠唱」を高速で行って、「全力の」雷撃を打ち込むサポートをするヨ
籠めた「呪詛」は死霊術師の本領
サァ、素材――、過去の亡霊はここで夢に還っちゃエ!

アドリブ・絡みは歓迎
好きに動かしてネ



◆課題5:生体部位の金額を求めましょう。

『モウヤダァァァァオ家帰ルゥウウウウウ』

 ついに泣きべそまでかき始めた女王を見て、スバル・ペンドリーノ(星見る影の六連星・f00127)の心にも、流石にチクリと棘が刺さった。
 姉が絡むと人間性をかなぐり捨てる狂人とはいえ、多感な時期の若い娘である。
 人のカタチをした女性のようなモノがボロボロ泣いているのを見て、何も感じないほど残酷ではなかったのだ。

(確かに……蜜ぷに達を楽しみに待っていたんだとしたら……)

 狩りに狩り尽くしてたっぷりと溜め込んだ、己の蜜の容器。
 彼女はきっと、これを楽しみにしていたのだ……怒るのも、無理はないだろう。

「ア、あの蛇、珍しい種ダネ。すごいキメラも居たものだヨ」

 一方、スバルの隣で女王の様子をうかがうレイラ・エインズワース(幻燈リアニメイター・f00284)は、その姿を観察していたようで、ポツリとそう漏らした。

「ふうん? そんなに珍しいの?」
「ウン、滋養強壮にいいって事で乱獲されテ、数が少なくなっちゃっタ種族なんだヨ」
「レイラ、詳しいのね」
「これは私の知識じゃないけどネ」

 レイラが持つ本には、かつての自分の『所有者』の知識が記されている。その中の一つを、たまたま覚えていただけだ。

 が。

「そう、滋養強壮にいいの」
「……スバルさん?」

 世の中、知らなけりゃいいことだってたくさんあるのだ。
 この場合、スバルが知ってしまったのは、良くないことであった。女王にとって。

「私、ちょっと行ってくるわね。レイラはどうする?」
「エー。そうだネ、私も素材はほしいカモ」
「そう、じゃあ前に出るから、後ろから大きいのをお願いできる?」
「ソレは勿論。ちゃんと避けてネ?」
「大丈夫よ、その時はお姉さまに看病してもらうから」

 それは大丈夫ではない。
 と思ったが、レイラは口に出さなかった。

 ●

『ハァ、ハァ、ハァ――――』

 一方、ようやく冷静さを取り戻してきた女王は、改めて次の一手を考える。
 そう――ぶっちゃけ逃げちゃおうかな、である。

 だって子分の蜜ぷにはもう皆居ないし敵は多いしこの有様だし。
 一度迷宮の奥に引きこもって、立て直したほうが良くない?

 実際この考えは正しいし賢いのだが、そうは問屋は卸さないのである。
 なにせ、あくまで彼女自身がターゲットなのだから…………。

「蒲焼がいいと思うのよね」

 いつの間にか眼前に居た少女にそんなことをのたまわれて、女王は首を傾げた。

『エッ?』
「あ、でも食べやすさならお刺身かしら……血が滴ってた方がいいかもね、うん」

 ふわっと風が少女――スバルの手から発生した。真紅のオーラが五指を覆う、彼女の十八番が発動した合図である。

「でも、体もアロエみたいに使えるのかしら、うん、やっぱりあちこちもらっていくわね? ごめんね?」
『許スナンテ言ウト思ウノ!?』
「あ、勘違いしないでね。今の『ごめんね』は私が『謝った』という僅かな良心への言い訳をするためであって貴女に許してほしいわけじゃなくて……」
『今スグ死ネェエエエエエエエエ!』

 切断されてもまだまだ元気に伸びる蔦を振るう女王、スバルの鮮血のオーラと拮抗し、ぶつかり合う。

『ヤッパリヤメ! 皆殺シニシテヤル!!』
「それならこっちも心置きなく、罪悪感なく回収できるじゃない」
『元カラ合ッテ無イヨウナ物ノクセニ!』
「っ」

 スバルが一歩退く。女王が勢いに任せて、その矮躯をズタボロにせんと、大きく蔦を振りかぶる。

「きゃっ」

 背中から床に倒れ込み、仰向けになる。無防備な腹部が、女王の前にさらされた。

『アッハ……!』

 ようやく、ようやく魔物らしい凶悪な笑みを浮かべ、女王はトドメを刺すべく、更に攻撃を続けようとして。

「なんちゃって?」

 にやりと笑ったスバルを避けて――――横殴りの雷が女王に襲いかかった。

 ●

 レイラの魔法は狂気の魔術師を召喚する“使役”だ。
 その雷は地獄の如く。光の速度で敵に食らいつき、熱で焼き切る一撃となる。
 実際、女王には効果があったようで、腹部が黒焦げに変じている。
 スバルはうまく避けて、射線から外れてくれた。これなら……。

「―――アレ?」

 もう一撃、と思ったところで、レイラは違和感に気づいた。
 女王の背中に……蛇が居ない。

 ●

(あー、ビビったビビった。ガキだってのにめっちゃくちゃおっかねぇじゃねぇっすか……)

 探索中に見た童女の暴虐がちょっとドン引きするぐらいエグかったので、リンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)は作戦を変更した。
 目立つやつがいるならば、影に隠れて美味しい所をもらっていく。これが堅実で正しく楽な商売というものだ。
 実際、その判断は上手く行った。ボスらしき女王は今の所こちらに気づく気配がない。
 そして、その体は余すことなく薬の材料になるのだという。

(へへっ、こりゃあチャンスっすね……)

 リンタロウが狙いを定めたのは、銀髪の少女と女王の戦いだ。
 ガリ、と取り出して噛んだのは、貴重な豹の骨である。
 瞬間速度を跳ね上げる、骨の力が体の隅々まで行き渡り――――。

 やがて、戦いが大きく動いた。遠方で魔法の用意を始めた少女の姿を見て、リンタロウは動いた。
 横殴りの雷が、女王を叩いたその瞬間。
 踏み込んで、手にした骨剣を振るう。背中から生える二本の蛇を切り取った。

「よっしゃぁ!」

 生の素材だ、コイツは高く売れるに違いない。
 そう確信して、リンタロウは駆け出した。

「待ちなさい」

 駆け出そうとして、背中をものすごい殺気が突き刺した。
 骨の効果は続いている、逃げようと思えば逃げられる。
 だがもし。
 もしも今、自分の顔を覚えられていて、この学園の外で出会ってしまったら。
 猟兵達は広いようで狭い界隈の住人だ。別の仕事で隣り合わせない保証はない。
 ゆっくりと振り向くと、両目を真っ赤に染め上げた銀髪の少女が、『あ、作ってるんだな』とわかるにこやかな笑顔で語りかけてきた。

「ねえ、その蛇、譲ってくださらない?」
(へへえ、勿論ですともお嬢さん! ささ、こちらをどうぞ!)

 などと。
 言うのは簡単だが、そこはそれ、リンタロウもまた猟兵であり――危険を犯してこれを手に入れたのは、彼自身だ。

「そりゃあちょっと……無理っすねぇ。速いもん勝ちでしょ? こういうのは」

 下手に出るのは簡単だが、舐められるのはまた別問題である。
 数秒、じっとにらみ合う。

「コラ、まだ戦いは終わってないヨ!」

 次にどちらかが口を開く……その前に、レイラがてくてく歩み寄り、二人の間に入った。

「あっ」
「いやまぁ、そうなんすけどねえ」

 頭をボリボリ掻くリンタロウに、レイラは率直に尋ねた。

「ネエ、いくらなら売ってくれル? 相場なら、ちゃんと出すヨ?」
「おっ、そりゃ話が早い、どうっす、こんぐらいで……」
「高価イ」
「…………いやじゃあ二匹セットでこれぐらいで」
「モウちょっト」
「…………………んじゃこれで」
「オマケほしいナ」
「………………………………じゃ蜜の瓶二本で」
「ワァイ! じゃあソレで!」

 交渉成立。
 笑顔の圧で粘られたが、それでもそれなりの額の金と引き換えに、蛇を売り払う。
 もとより薬よりほしいのは金だ。即座に現金化出来るならソレも悪くない、なにせ後はとんずらすりゃ良いのだから。

「……確かに。そんじゃオレはこれで」

 稼いだ以上は長居は無用、軽く手を上げて、戦場から離れようとして。

「あ、その、ごめんなさい? 別に何かするつもりはなかったのよ、ちょっと穏便に“説得”をしようと思っただけで……」
「本当に穏便なんっすよねぇそれは!?」

 照れ笑いするスバルの瞳は、もう赤の色を失っていた。
 リンタロウは貨幣の重みを片手に感じながら、つくづく思った。

(……女って、怖ぇー)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

祷・敬夢
フハハハハ!ボス戦だ!クイーンハンターだ!
ハントゲームは討伐後の剥ぎ取りが醍醐味なんだよな!俺様の華麗な剥ぎ取りを見せられるのが楽しみでならん!!早く狩るぞ!!

さあ、俺様のオヤツとなる女王よ!かかってこい!お前を食らう上位存在がここにいるぞ!やらなければ、やられるぞ!
そう挑発し攻撃が来たところで、俺様のプレイ・コントロールで強化した超絶高速スピードによる回避から、カウンターを叩きこんでやるぞ!
カッコよすぎて女王も味方も釘付けになってしまうかもしれんな……それもまた良しッ!


スクリプトゥルー・オーヴァン
素材解体TAS(スーパープレイの方)はーじまーるよー
(この言い回し結構気に入ったらしい)
今日の素材はコレ!「迷宮温室の女王」

では早速タイマースタート!!(デッデッデデデデ\カーン/デデデデ)

【自己進化】を使い相手を部位ごとに解体しやすい姿になるデスよ。
そしたら後は、隙を見て繊細かつ大胆に生きたまま解体していくだけデスね。

素材は鮮度が大事!! 解体が終わったら即容器などに詰めて鮮度を保たせようとするよ。

解体終了したらタイマーストップ。帰って次は薬剤調合TAデスかね……。



◆課題6:ツメはしっかりやりましょう。

「フハハハハハ! ボス戦だ! ハントゲームと言えば剥ぎ取りが醍醐味! 俺様の剥ぎ取りスキルを思う存分……ん?」

 祷・敬夢(プレイ・ゲーム・f03234)は、なんとなく流れで一緒に行動していた女性の姿が、あるべき人のカタチからみるみる変質しているのを横目で見た。

「サーテサテサテ。素材解体TAS、はーじまーるよー」

 スクリプトゥルー・オーヴァン(真実の卵・f00487)はすでに「ヤ」る気に満ちている。
 《自己進化》による体の変質は、ターゲットをただただ効率よく破壊するための姿であり。

「剥ぎ取りは時間のロスなので、直に解体するデスよ」
「何ぃ!? 俺様の秒間三回剥ぎ取りを使わせないつもりか!?」
「そんなのボタン一つでまとめてやったほうが効率いいデスよ」
「チートはいかんぞチートは!」
「テクニックデス、テクニック」
「くっ……ならば先に倒した方にレア素材入手の権利有りということだな!」
「ホウ、数々のRTA記録を持つ私と速度比べは無謀ではー?」
「フハハハハハハ! 記録とは常に塗り替えるもの――そして俺様は!」

 敬夢が指を鳴らすと、背後の巨大なコントローラーが出現する。
 それは全自動でキーを叩き、世界をリアルな『ゲーム』へと変質させていく。

「―――ゲームの、神だっ!」
「ムッ、抜け駆けは禁止デス!」

 二人同時に、女王へ向かって駆け出す。くしくも、先程雷を食らったタイミングだった為――敬夢の蹴りと、スプリクトゥルーの電脳チェーンソーは恐ろしいほど的確に突き刺さった。

『キイイイイイイイイイイイイイイイイイ!』
「今だ攻撃と同時剥ぎ取り――っち、銅素材だなこれは!」
「どれも回収しとくデスよ、鮮度が大事デスからね」

 二人のゲーマーの『剥ぎ取り芸』に、女王の体は見る間にズタボロになっていく。
 蔦を、皮膚を、花弁を、着実に削り取られ――。

『モォ――――――ぜぇいん埋メテヤルーーーーッ!』

 絶叫と共に、女王が根を勢いよく床に突き刺し、直後、部屋全体が大きく揺れた。

「ほう! ラスボスの自暴自棄は中々ハードだな!」
「いやーでもコレ不味いんじゃないデスか、ほら」

 天井に、壁に、ミシミシと一瞬で根が伸びて侵食していく。
 部屋を構成するタイルなどが盛り上がって、ひび割れ、徐々に崩れ落ちていく……。

「生き埋め狙いか! 自ら時間制限をつけてくるとは面白い!」
「どっちにしてもタイムアタックみたいなもんデスからね……」

 方針の違うゲーマー二人の出した答えは、結局同じ。

「崩れる前に――――」
「――終わらせる、デス」

『出来ルモンナラ、ヤッテミロォオオ!』

 最後の抵抗と言わんばかりに、女王の使役する虫達の、残り全てが一斉に解き放たれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリサレナ・ハイヴァーン
返せもクソも持ってないわよ!!!!
反射的に逆ギレた。
蜜ぷに狩りに出遅れて成果ゼロよ、ゼロ。

はぁ……て言うかなにアレ。もうアレしかいないの? なんかグロいんだけど。

はぁ~~~~~……(ため息)

やってやろうじゃないの この野郎!!!!(槍ぶん回して構える)

戦術槍で攻撃力、命中率、攻撃回数を相手に合わせて選択するわ
目には目をってやつよ
ついでに炎属性つけて焼いてやるわ!
【見切り、怪力、串刺し、早業、なぎ払い、属性攻撃、カウンター、武器受け】

刺して避けて払って受けて返して焼いて無数の蔦を槍一本で捌いてみせるわ!!!


リシェリア・エスフィリア
おやつはぷに。
私達が欲張って一杯取ったのは事実。……ごめんね。

でもそれはそれとして、あなたと私達、敵同士だから。ごめんねの気持ちは持ち込まない
……ん?……あなたもいろんな薬の材料になるんだ……。……そう
甘さを殺さず薬効を高める成分、希望。……作り方は、後から勉強する

【wiz】行動

自分の周りを守らせる昆虫を呼ぶの、厄介
……すばしこいけど、耐久力はそれほどでもない……なら

【魔術師の記憶】を使用
(……フィルミカ、私の、最後の使い手)
かつての使い手が得意とした戦技も、この魔剣には刻まれている
自由自在、縦横無尽に飛び交う氷の花弁で相手をする。乱戦が予想されるけれど、技の精度は的確に虫だけを狙う自信はある



◆試験終了:遅刻者は後で職員室まで来ましょう。

 部屋ごと猟兵を生き埋めにする。
 シンプルだが効果的な作戦、女王をその前に倒さなければならないが――。

『ギチチチチチチ』

 最後の力を振り絞ってかき集められた虫の数の前に、猟兵達も苦戦を強いられる。
 一匹一匹は大したことない、触れれば倒せる程度だが、数と一撃の強さは馬鹿にならない。

(止めなくちゃ……)

 リシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)は、目を閉じて、思い出す。

 リシェリアは武器だ。
 だから、誰かに使われねば、その本質を解き放つことはできない。
 自ら動き、自らを扱える体を得てなお、それは変わらない。

 使い手の運命を喰らい、己の力を増す氷の魔剣リシェリエイラ。
 最後の使い手は、その刀身を無数の氷の花弁へと変え、自在に操ってみせた。
 それは剣技と呼ぶより、魔法と呼ぶべきなのだろう、事実、彼女を振るっていた最後の人物は、魔術師だった。

 その記憶は、今もこの身に刻まれている。

(フィルミカ……)

 今はもうない手が、柄を握る感触を。
 今はもうない声が、己の名を呼ぶ音を。
 ……思い出す。

「――凍りついて」

 言葉を引き金として、刀身が砕け散った――いや、舞い散った。
 一つ一つが小さな氷の花びらだ。虫にその欠片が触れるだけで、凍てつかせ、砕く。
 同時に、ひび割れた壁や床のタイルにも花弁を向かわせ、崩壊を食い止める。

『――――余計なコト、スルナァアアアアアアア!』

 女王が、気づいた。
 花びらを向かわせれば――虫も、部屋の崩壊も、止められない。

(――――っ!)

 コントロールは精緻にして精密。
 けれど、限界がないわけではない、どうしたって――“使われ”なくては、その真の力は引き出せない。

 蔦が一直線に、リシェリアの心臓へ迫る。
 喰らう、と思った。貫かれる、と思った。
 その一瞬前に。

「やああああああああああっとついたぁあああああああああ!」

 叫び声と共に、何かがリシェリアの背を飛び越えて。

『――――――何ナノヨッ、モォオオオオオオオオオ!』

 女王の蔦を意に介さず、突き進み、その心臓を一撃で貫いた。

 ●

 リリサレナ・ハイヴァーン(黒百合魔槍リリサレナ・f04590)は遅刻者である。
 愛狼のブラックを走らせ駆けさせ、迷宮にたどり着いたはいいものの、蜜ぷにはすでに壊滅状態であった。

「ちょっとこれ何も残ってないんじゃないの――!?」

 幸いなのはブラックの鼻が効いたことだろう、一番甘い匂いの濃い場所が蜜がたくさんある場所、すなわち猟兵達が集まっている場所である。
 リリサレナは駆けた。駆けて駆けて駆けて駆けて、やっと女王の部屋にたどり着いた。

 なんか、部屋が崩れてた。
 しかも戦いが――クライマックスの雰囲気である。

「ちょっと! 待ちなさいって――――まだ何もしてないんだってのっ!」

 反射的にキレた。
 槍を構え、壁になっていた少女を飛び越し、一直線に突き進む。
 空気と槍から生まれる摩擦から強引に熱を引きずり出し、付与して。

「このっ――――活躍させろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 向かってくる蔦など防御する意味もない。ブラックの爪と牙が削り落とす。
 迫ってくる虫は、何もしてないけど凍って砕けた。だから多分気にしなくて良い。
 つまり――遮るものは、なにもない。

『――――――何ナノヨッ、モォオオオオオオオオオ!』

 質量と速度の乗った一撃は、女王の心臓を一撃で打ち抜き、吹き飛ばした。

 ●

「――――へ? あれ? もう終わり?」

 ブラックの足を止め、くるっと振り向いて、槍を構えた姿勢のまま、ぽかんと口を開けたリリサレナ。

「…………ふっ」

 反射的にこぼれた笑みを、リシェリアは、慌てて口をふさいで隠した。

 ……かくして、素材集め改め迷宮の主退治は幕を閉じ。
 猟兵達のお薬作成タイムが始まる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『回復薬の作成』

POW   :    鍋をひたすらかき混ぜる.重い材料を運搬する等

SPD   :    薬の素材を集める.調理技術で味を整える等

WIZ   :    作り方を指示する.魔法で回復力を高める等

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 アルダワ魔法学園は広い。その薬品調合室は、設備は整っているが、あまり使われていない一室であり、猟兵たちに向けて快く貸し出された。
 材料は十分、レシピも、探せばあるだろう。

 後は心置きなく、ポーション作りに励むだけだ。
 ……上手く出来るかは、別として。
リリサレナ・ハイヴァーン
POW
ヘっへっへ。
ねればねるほど、色が変わって……。
こうやってつけて……
\ うまいっ! /(テーレッテレー)

……うまいけどなんの効果があるんでしょうね。(つまみ食い)

結局素材はなんも手に入んなかったから私は雑用係よ……。
ブラックならあっちで荷物運びしてるわ……。


ステラリア・ミューズライン
WIZ
ポーションのことなら任せてくださいっ!
探索はリリサレナさんに託してお留守番していたのですがなんとボウズでした……。
鍋をかき回す背中に哀愁が漂っていますね……。

最後に颯爽と駆けつけて迷宮のボスを一撃で倒したらしいので大活躍だと思うんですけどっ…!
後でヨシヨシしてあげましょう!

さて、わたしも手ぶらで帰るのはなんなのでポーションアドバイザーとしてみなさんのポーション作りを応援したいと思います!

こう、ふわーと混ぜてぎゅっと魔力を込めるのですよ!(擬音だらけのふわっふわなアドバイス)

あっ!あと増幅効果のあるクリスタル・ポーションも混ぜておきましょう!(自前のポーションを混ぜる)

【毒使い】



◆実習課題:ちゃんとポーションを作りましょう

「練れば練るほど……」

 リリサレナ・ハイヴァーン(黒百合魔槍リリサレナ・f04590)は、蜜ぷにの蜜をぐるぐるとかき混ぜて遊んでいた。
 自分で手に入れたものではない。他の猟兵達が集めて、学園側に素材として提供したものである。
 彼女が戦場に辿り着いた時、敵はもう誰も残っていなかった、すなわちノー素材でフィニッシュ。
 よって、ポーション作りもなんかこう、いまいち気が乗らないのであった。

「うまい! ……いや、甘いだけだわ……」

 おやつ代わりに使われている、というのも頷ける味ではあるのだが、自分で狩れなかった獲物の味ほど虚しいものはない。
 本質的に、リリサレナは武器なのだ。戦果を上げてなんぼなのである。

「ま、まぁまぁ、リリサレナさんがボスを倒してくれたおかげで、こうしてポーション作りができるわけですし……」

 彼女が持って帰ってくるはずの素材を当て込んでいたステラリア・ミューズライン(薬師系錬金術師・f12388)は、冷や汗を流しながらも、その成果を讃えた。

「へっ、いーのよいーのよ。どうせ私は出遅れ組ですよーだ」
「やさぐれないでくださいよ……あ、ブラックさん、ありがとうございます」

 ちなみにリリサレナの愛狼であるブラックは主人に代わって荷物運びなどの雑用をもさもさとしているのであった。
 今持ってきたのは、リリサレナが倒した女王の体の一部……ポーションの素材である。

「ほら、この花弁の一枚からでも、すごいポーションが作れるんですよ? リリサレナさんのおかげです、頑張りましたね、ヨシヨシ」
「慰めるなぁー! ……うう、ごめん嘘、やっぱりちょっと慰めて……頑張ったのよぅ私ぃー」
「わかってますよー、拗ねない拗ねない」

 くつくつ。
 鍋で少しずつ煮込まれるポーションの原液。甘い香りが気化して、室内に少しずつ充満していく。

「さ、私は他の皆さんのポーション作りをアドバイスしてきますから、リリサレナさんはこのお鍋を五分に一回、かき混ぜてください」
「えぇー……」
「かき混ぜてください」
「……わかったわよ、仕方ないわね……」

 のたのた起き上がって、鍋の面倒を見始めるリリサレナを見て、ステラリアは小さく微笑んだ。
 専門家が作っただけあって、完成したポーションの仕上がりは、学園側も褒め称えるほど上々だったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

パーム・アンテルシオ
ちょっと危なかったけど…ようやく、もふもふ薬(仮名)にありつけるんだね。
えっと、薬の作り方は…資料とか学園にあるのかな…?
あとは実際に作る作業か。そうだよね、自分で作らないといけないんだもんね。

●POW
指示なんてできないし、魔法も使えないし…素材集めは、もう行きたくないなぁ…
調理も…自信ないし。後は…力仕事しか残ってない?
うっ…重量物運搬、鍋のかき混ぜ役…疲れそうなものしかないなぁ…

…なんて、泣き言いってても始まらないよね。それじゃあ、お鍋役を…
ふふ、こうしてると魔女みたいだよね。魔法使いって憧れるし、ちょっとやってみたかったんだ。
なんて…ね…あはは…つ、疲れてきたんだけど、交代とか…ない…?



◆実習課題:ああ愛しのもふもふ薬。

 パーム・アンテルシオ(桃色無双・f06758)の前にどん、と鎮座した巨大な釜には、桃色の蜜がゆるく沸騰し、泡の弾ける音を奏で続けている。

「これに……女王の体液を入れて、えぇ、また混ぜるのぉ……?」

 毛並みをツヤツヤに、ふわふわにするポーションの作り方、は調べればすぐに出てきたものの、肝心のその作業は非常に困難を極めた。
 なにせ、この大釜一杯の蜜を煮詰めに煮詰めて、最後に残るのは一瓶ぐらいのサイズなのだという。
 ただ、その効能は凄まじいらしく、文献によれば「ふわふわになりすぎて尻尾のサイズが二倍になってしまった」という者までいるらしいから驚きだ。
 ここまでの苦労は全部、この薬を手に入れるため、そう思えば、この面倒で疲れる作業も辛くない。

「ふふ、実はちょっとこういうの憧れてたり。危ないものって中々触らせてもらえないし、なんだか魔法使いみたいだよね」

 - 三十分後 -

「……こうしてると魔女みたいだなぁ……なんて。ほら、お菓子の上に住んでるさ?」

 - 一時間後 -

「……ね、こ、交代とか、誰か……つ、疲れてきた……」

 - 二時間後 -

「……………………(ぷしゅぅ)」

 - 三時間後 -

「で、でき……できた……?」

 だるくなりすぎて逆に何も感じなくなった腕を無心にかき混ぜ続けて、ようやく完成したもふもふ薬。
 ジェル状になったそれを丁寧に掬って瓶に詰める。
 果たして、効果のほどは……。

「……そっ」

 手についたそれを、拭わずに、軽く二本目の尻尾の先端に、慎重にこすりつける。

「お」

 ふわっ。

「おおお!」

 ふわわわわっ。

「おおおおーっ!」

 もふっ!
 何ということだろう、薬が浸透した部位からもふもふの尻尾が更に空気を含んだようにふわっと膨らんだではないか!

「や、やったぁ……完成だぁ……えへ、大事に使おう……」

 ぎゅっと瓶を抱きしめて……パームはそのままぽてんと、自分の尻尾をクッションに倒れた。
 顔には、「もうしばらくうごきたくない」という本音が、しっかりと書かれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイブル・クライツァ
調合比率だったり、入れるタイミングを確認しつつ
無いと命に関わりそうな、痺れや硬直を解除する系のを最優先。
傷を癒す系のを次に作成していく流れで、学園に薬を寄付するべく量産するわ。
先生に過労死フラグが立つのは宜しくないもの。
実際持っていった生徒用に自白薬が必要なら協力するわ。
…その、方向感覚矯正効果の薬が欲しいとかも、有るのだけれどもね

細かく切ったり、乾燥させてから磨り潰したり
採取したタイミングで効能が違うなら、何故か怖がってくれていたから、良い効果が出るとかだと嬉しいのだけれども(レシピ本をパラパラ捲って確認しながら)

薬の味は、いざという時にだけ頼るような方向を目指すから、あまり配慮はしないわ。



◆実習課題:ねぎらいと、役割と。

 ポーションと一口に言っても、用途毎に効能が違う以上、当然、種類は多岐に渡る。
 レイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)は、その重要性をよく理解している一人だった。

「こっちの鍋は……これね。こっちは……」

 複数の鍋やフラスコに、蜜と素材を入れて火にかけながら、全てに気を配りつつ、リストと照らし合わせていく。

「順調ですか、レイブルさん」

 声をかけてきたのは、学園の教師……ポーションの管理役だった中年の男性だ。
 並ぶ色とりどりの液体を見て、ほほお、と感心したような顔を見せる。

「ありがたい、麻痺や硬直の解除ポーションは、作るのも手間ですからな」
「ええ、必要かと思って。学生たちは、便利に、気軽に使えるから忘れてるかも知れないけど……一番命にかかわるものよ」

 例えば今回の温室迷宮の女王も、体液を固めて動きを拘束する能力を持っていた(ほぼ不発ではあったが)。
 身体機能を、どんな形であれ奪う罠や能力など、無数に存在する、その時対応する手段がなければ、待っているのは「死」だ。

「……自白剤とか、必要なら用意するわ。学生たちにもお灸が必要でしょう?」

 レイブルのその言葉に、苦笑しながら、教師は首を横に振った。

「そこまでは求めませんよ、皆さんが集まってポーション作りに励んでいると知って、自分たちから謝りに来ました」
「……そう」
「悪気が合ったわけではないんでしょう、だが、結果的に周りに迷惑をかけ、自分たちにも火が飛んでくる。それがわかってくれれば、今回は良しとしますとも」
「……一つ、試してもらえる?」

 それ以上、生徒たちを問い詰めるようなことを、レイブルは言わなかった。
 代わりに差し出した、できたてのポーション。教師はそれを手にとって、一滴、手の甲に垂らし、舌で掬った。

「んぐ……成る程」

 ふわりとした甘さの後、エグい苦味と、渋みを感じた事だろう。
 喉を通る時には、若干の痺れもあるはずだ。
 その分、効能は保証付きだが……。

 ……気軽にポーションに頼るべきではない。
 薬は、飲みやすければいいというものでもないのだ。

「……細かい配慮、ありがとうございます」
「別に。これが私の仕事だもの」

 言いながら……材料の一部を乾かして、細かくすり潰した粉を、青い液体の入った試験管に入れる。
 色はみるみる緑へと変じ、一つの薬が完成した。

「おや、その薬は……」

 レイブルは、小さな完成品をそっと握りしめ、ふいっと顔を背けた。

「個人用よ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

富波・壱子
さぁここからが本番のポーション作りだね
数が数だからユーベルコード『あなた達をずっと忘れない』で呼び出した影達に指示して手分けして作業していくよ

あなたは材料を細かく刻む係。怪我しないよう気を付けて
あなたは刻んだ材料をすり潰す係。疲れたら他の子と交代してね
あなたは火にかけた鍋をかき混ぜる係。焦がさないよう注意するんだよ

みんなつまみ食いはしちゃダメだからね。後で蜜を分けてもらってそれでパウンドケーキ作ってあげるから、それまで我慢してね
依頼主の先生にもお裾分けすれば、あんまり強くは怒られない、よね?

せーんせ!いつもお疲れ様!これ、作ったから良かったら食べてね!

アドリブとかは自由にしてくれて大丈夫だよ!



「あなたは材料を細かく刻む係。怪我しないよう気を付けて」
「あなたは刻んだ材料をすり潰す係。疲れたら他の子と交代してね」
「あなたは火にかけた鍋をかき混ぜる係。焦がさないよう注意するんだよ」

 富波・壱子(夢見る未如孵・f01342)がテキパキと指示を出すのは、どこからか現れた、凹凸のない影の人形だった。
 彼らは何も喋りはしないが、その指示に素直に従った。

(…………!)
(! !!!)
(……)
(……?)
(~~~!)

 ……最も個体差が存在するようで、包丁の使い方がおっかなびっくりだったり、それを見ていた少女の影が猫の手を作るようにお手本を見せてみたり。
 鍋から跳ねた熱い雫が指について、ぱたぱた振ったり、ちゃっかり何もせずにいた事がバレて他の影に頭を叩かれていたり。
 結構、自由にやっていた。

「さーて……あっ、こら、駄目だよ!」

 では、肝心の壱子はというと、オーブンから焼き立てのパウンドケーキを取り出したところであった。
 蜜ぷにの蜜を……勿論、ポーション作りの余りになる奴を頂いて、材料として使ったものだ。
 香ばしい匂いが作業場に漂う……手を伸ばしてつまみ食いしようとした影の手を、壱子はチョップでぺしンと叩いた。

(ー! ー!)

 ブーイングする男子の影に、壱子はもう一度「だーめー」と告げた。

「……何をしているのかね」

 ……ケーキの匂いを嗅ぎつけたのだろう、呆れ顔で、教師が近寄ってきた。

「あ、先生」
「お菓子作りの時間ではないはずなんだがね」

 怒っている様子はないが、さりとて感心している様子でもない。
 作業自体は、影達がやってくれているからというのもあるのだろうが……。

「あー……いや、その……」
「ん? どうしたのかね?」

 目をそらし、口をつぐんだ壱子の様子が……言い訳だとか、誤魔化しのそれではないことに気づいたのか、教師は方眉を上げた。

「その、今回、先生が結構、大変だったんじゃないかなー、と思って」

 出来上がったケーキを一切れ、切り落とし、紙皿に乗せて、差し出した。

「だから……ええい! せんせ! いつもお疲れ様! よかったら食べてね!」
「…………君みたいな学生ばかりだったら」

 教師は、なんとも言えないような……それは例えば、娘からの贈り物を受け取る、親の気分だったのかも知れない。

「私も、楽なんだがねぇ」

 そう言って照れくささと嬉しさを隠しきれない、はにかんだ笑顔でケーキを受け取ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メア・ソゥムヌュクスス
んーっと、回復薬はー、こうしてこうしてー、こう!(学習力と世界知識、それとアルダワ出身で有る事で回復薬自体は問題なく作れる、筈)

あとはー、個人的な必要品としてー、眠気覚ましのお薬を作らなきゃねー。
あ、ミコトメモリちゃんミコトメモリちゃん、これ(所持品:眠いの眠いの飛んでいけ)より強力な奴のレシピってー、知ってるー?

あったら教えてほしーなーって。

大丈夫、大丈夫ー、人には使わないってー、私用だよー。
こういうのが無いと、起きてられないからーねぇ。
ないなら無いでー、今の眠気覚まし作るだけだよー。


あ、もし対価必要ならー、私の循環液からすごい睡眠薬作れるよー、要る?



◆実習課題:劇物を作る際は慎重に行動しましょう。

 もとよりアルダワ魔法学園の出自だからか、メア・ソゥムヌュクスス(夢見の羊・f00334)の手際は見事なものだった。
 あっという間に規定量のポーションを作り終えれば、あとは自分のタスクである。

 個人的な都合から――メアはいつも、眠気覚ましの薬を持ち歩いている。

『睡夢と安息を与え、人を救う聖者』たれ。

 それがミレナリィドールである彼女に与えられた設計思想であり、定義された存在意義ではあるが。
 眠りと夢を司る彼女は、常にまどろんでいるものの、あまり眠らない。
 自らが夢の世界に浸ってしまったら、二度と目覚めないと言わんばかりに。

 ●

「ねえねえ、これより強力な薬のレシピって知ってるー?」

 問いかけられたミコトメモリは、サンプルとして差し出された薬を見て、唸った。
 彼女が常飲しているであろうそれは、世間では『拷問』に使われるレベルのものだったからだ。
 250mlに満たないその小瓶の中身を飲み干せば、脳神経が過剰に活性化して、二度と眠れなくなり、そのまま死に至るだろう。
 ミレナリィドールだって、人と変わらぬ、いや、それ以上に精緻な機械である。
 睡眠というのは記憶や感情の整理をする時間であり、体の損傷を修復する時間なのだから、自我と感情を持つ限りは、どうしたって必要な時間のハズなのだ。

 ……逆に言うなら、メアはその薬を飲んでなお、常に微睡みと覚醒の合間をさまよっていることになる。

「…………ごめん、流石にそれ以上のものは、ボクもわからないな」

 曖昧に笑いながら、ミコトメモリは嘘をついた。
 女王の材料を使えば、それ以上の効果を持つ薬は、多分作れるだろう。
 メアの体が特別性で、本当に求めているのかもしれない。
 けれど、それを素直に言うことが、どうしてもできなかった。

「そっかー、残念、残念、じゃあ、いつものを作ろうー」

 言葉の割に、そんなに残念そうでもなく、薬を手慣れたレシピで調合し、煮詰め始める。
 それが当然であるというように。それが日常であるというように。

「……キミは、眠りたいと思わないのかい?」
「なんで?」

 問いかけに、メアは不思議そうに答えた。
 やがて、薬は出来上がった。
 いつもどおり、また彼女を、ふわふわとした現実へ置き続ける為の、甘い蜜が。

成功 🔵​🔵​🔴​

叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

俺知ってる
人は夢中になるものを見つけた時、時に周囲の迷惑を考えずに突き進むことがあることを……
遠い目をしているだけではいかんな

で、何を作る気なんだって?
とりあえず【早業】と力技で製薬の手伝いをすればいい訳だな
今回はどんなのを作るつもりなんだ

マッドな薬師と甘味好きが化学反応を起こすとこうなるのか
えーと、では指示に従って順番に混ぜていきたいと思います
こつは指示をよく聞き心を無にしましょう
突っ込みしたら負けです

ぜーはーぜーはー
薬作りは力仕事でもあります
学生さんたちは体力もしっかりつけような(遠い目


五條・桜花
雪月(f03400)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

いざお薬作りと参りましょう
【医術】【毒使い】【世界知識】をフル活用して作りますよ!
そう目指すは美味しいお薬です(ばーん

まずは蜜ぷにの蜜を弱火でゆっくりかき混ぜます
この横で女王から取得したこの固い部位をひたすら細かく刻んで、と
助手の雪月さーん、作業お願いします♪

ここで魔力?を通しながらゆーっくりと色が変わるまでひたすら混ぜて……
そうここで手を抜いてしまうと美味しくならずえぐみが出るのです

ここでユベールコードで生み出した私の桜に祈りを込めて
トッピングすれば!
魔力回復する飴が完成です♪

雪月、お疲れ様です
はいあーん



◆実習課題:甘い桜の一粒を。

「まずは……蜜ぷにの蜜を弱火でゆっくりかき混ぜます」

 五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)の指示に従って、鍋の中の蜜を焦がさないようにじっくり混ぜる。
 叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)の仕事は、ここまできたら完全な雑用だ。
 専門家の言うことに従い、ただ粛々と作業をこなすだけである。

「あ、雪月」
「うん? 何だ、火が強すぎたか?」
「いえ、そうではなくて。お鍋は私が面倒を見るので、代わりにこれを、細かーく刻んでほしいんですけど」

 そういって桜花が示したのは、女王から剥ぎ取った……もう蔦だか花だかわからない部位だった。
 カラカラに乾いて、ずいぶんと軽くなってしまっているが、そこそこのサイズがあり、まな板の上でどうこうできる感じで葉まったくない。

「了解了解」

 しかし雪月はそれ以上何も言わない。意図や意味を聞けば答えてはくれるのだろうが、門外漢だしどうせ明日には忘れる。
 作業に熱中する者に対する最も賢い方法は、触れず騒がず大人しく、である。

「……硬いな、おい」

 だが、肝心の材料は、腐っても……もとい、乾いてもオブリビオンの物である。
 調合用に用意した包丁は全く刃が通らず、かといって……。

「なあ、これ、斬るのに“俺”を使えとは言わないよな?」
「ええ、勿論です」

 桜花は鍋から目を離さずに答えた。

「結果的にみじん切りにさえしてくれれば、方法は気にしません」

 ◆

「完成しましたよ! やったー!」
「あぁ……ご苦労さん」

 完成までにどれだけの雑用を雪月がこなしたかは割愛するが、結論から言うと学生達も体力だけはしっかりつけたほうがいい、と心底思うぐらいには疲れた。
 どうやって材料をみじん切りにしたのか? それは本人が知っていれば良いことなのである。

「しかし、紫色だったのがまぁ、立派な桜色になったもんだな」
「勿論です、それがこの調合のポイントでして……」

 しまった、語りスイッチを押してしまった。
 と、わずかに身構えたところで、桜花が完成した“薬”を一粒手にとった。
 それは、蜜に様々な素材を混ぜながら、じっくり煮詰めて固めた飴玉だ。
 うっすらとした桜色で、中には小さな桜の花びらのような物が一枚、封じられるように入っている。

「魔力回復もできて、とっても甘いんですよ、さ、雪月」

 ニコリと微笑んで、桜花はそれをつまんだ指を、雪月の口元まで持ってゆく。

「お疲れ様でした、はい、あーん」
「…………はぁ」

 当然、逆らえるわけもなく。
 口に含んだその味は、成る程、確かに桜の味がした。
 疲れた体を癒したのは、多分、飴だけの効能ではないのだろうけれど。

「……美味いよ」

 嬉しそうな桜花の姿を見てなんとなくそう思い、しかし口には出さないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイラ・エインズワース
スバル(f00127)サンと一緒に

ヤ~ヤ~、いい買い物もできたし、大満足ダネ

広げるのは本
かつての所有者たちの記録を手繰って、香として使う薬の製法を探すヨォ
サムライエンパイアの方では、魂が迷わず天に上る道標にも使うらしいネ
ダカラ、きっと私らしいカナ?

ふと、見ればスバルサンからの視線
「ソソ、これはお香。空気と一緒に吸い込むコトで、効果があるんダヨ」
「本物にはマダマダ及ばないかもしれないケドネ!」と、少し照れながら
「ソイエバ、どんなの作るの?」って聞いてみるヨ
不穏な付け足しには「血ってどういうコトなのカナ!?」とツッコミを
せっかくダカラ、さっきの蛇も渡してお手伝い
いいモノ作ろうネ

絡みアドリブ大歓迎


スバル・ペンドリーノ
出来れば引き続きレイラ(f00284)と行動

自分の薬作りを手際良く進めつつ。料理……とはちょっと違うけど、授業でも習ったしね
(……惚れ薬、かぁ……お姉さま……い、いえ。違うのよ、うん。それはちょっと、違うのよ、うん)
と軽くぶんぶん頭を振って

その拍子にレイラの手元を覗き込み、
「あら、レイラは飲み薬じゃないの?」
「お香……へえー、そういうのもできるんだ……本物の魔法使いは違うわね……」
と興味深げ

「私? 私はちゃんと回復薬よ。ううん、栄養ドリンク寄りかな。お姉さまのために」
「滋養強壮、お肌に良くて……血も」
ツッコミには、うふふ、と笑顔で誤魔化して
お手伝いは、ありがたく。ふふっ

大幅アレンジ歓迎



◆実習課題:少女たちの流儀。

 二人の少女が、それぞれ自らの鍋の中を覗き見る。
 スバル・ペンドリーノ(星見る影の六連星・f00127)の手際は、中々に鮮やかだった。
 材料があり、手順があり、それを実行するのは、料理と対して違いはない。
 規定量のポーションは早々に出来上がった、となれば……。

(惚れ薬……)

 ゴクリとツバを飲む。

(いや、違うの、そういうのじゃないのよ。うん、ちょっと違う)

 それがなされるのは、あくまで自分の感情と相手の感情がぶつかりあった、行く先で無くてはならない。
 断じて、強制や、道具の力に頼って良いものではないのだ。仮に惚れ薬ができたとして、それで手に入れた愛情を、スバルはきっと飲み下せないだろう。
 自分の仕込んだ毒を飲むのは自殺だし、誰かを巻き添えにすれば心中だ。

(となるとやっぱり……ん?)

 魔導書をパラパラとめくる。いわゆる『媚薬』の欄に記された、とある薬のレシピが目についた。

 それは、惚れ薬のように感情を強引に書き換えてしまうわけじゃない。
 ちょっとふわっとした気持ちになって、理性の“たが”が外れて、好意のほうが前に出てきて、欲求を解き放ってしまう様になるだけだ。
 『素直になれないあなたへ』と題された、そんな薬。
 簡単に言えば、『酩酊させることを目的とした薬』とでも言うべきか。
 元から好意がなければ意味がないような代物。ただちょっと、背中を押すために使うだけのもの。

「……………………………………………………」

 ……これはありなんじゃないか?
 ……いやいや、薬に頼ってちゃやっぱり駄目でしょう。
 ……でも好意がなければ不発弾よ?

 自問自答が脳を駆け巡る。ふと、隣の少女の鍋を見た。

「あら、レイラのは飲み薬じゃないの?」

 問われて、レイラ・エインズワース(幻燈リアニメイター・f00284)は、本からスバルへと視線を移す。

「ウン、これはネー、お香みたいなモノ、カナ?」
「お香……へえー、そういうのもできるんだ……本物の魔法使いは違うわね……」
「イヤイヤ、本物にはマダマダ及ばないかもしれないケドネ」

 自然と、レイラの指が、広げていた本のページをなでた。
 古く、しかし劣化しないよう魔力の防護が施された魔術書だ。

「それは、レシピ本?」
「“みたいなモノ”、ダヨ。前に少しダケ見たコトあるのを思い出したンダ。蜜を煮詰めテ、お香を作る方法を」

 粉にした蔦と混ぜ合わせると、煮詰まった蜜が固まり始める。もう少し火にかけて、ある程度固形化したら、金属の型でつめて、今度は窯で火を入れて、水分を飛ばす。
 そうして出来上がったお香は、甘く、溶けるような香りと、傷と精神を癒やす煙を、ゆらゆら漂わせるようになる。

「サムライエンパイアの方では、魂が迷わず天に上る道標にも使うらしいネ」

 そう言われて、ああ、とスバルは納得したように頷いた。

「成る程、お線香の代わりなのね」

 キョトンとしたのは、今度はレイラの方だった。

「オセンコウ?」
「そう、仏壇に……ご先祖様を祀る場所とか、お墓に添えるのよ。火をつけて、煙を炊いて、私達はアナタの所に来ましたよ、ちゃんと覚えてますよ、って。こんないい香りはしないけどね」
「……ソッカ。スバルサンは、エンパイアの出身ダッケ?」
「ううん、“日本”よ。でも、文化はある程度地続きだから」
「ソウなんだ……じゃあ、私のやり方、アッテル?」
「大丈夫よ、大事なのは気持ちのほうでしょ、こういうのって」

 優しく笑みを浮かべながら、蛇の首を爪で断ち切り、血液を絞りつつスバルは言った。







「………………ンンン、今ちょっと私、ジーンと来ながらアリガトウっていう場面ダト思ったンだけど絵面スゴイねコレ」
「えっ、そう?」
「スバルサン、何作ってるノ?」
「え、ええっと、栄養ドリンクかな? お姉さま様に……滋養強壮とか……血……いいし……すごく……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リサ・ムーンリッド
お待ちかねの調薬タイムだ

●錬金術
流派によって様々なため一概には言えないが『私が学んだ錬金術』について言うならば、魔法が使えない者でも『魔法と同じ効果を得られるようにするための工夫』のことさ。
だから薬の効果を高めるのは少し得意だよ。

●調薬
魚介類や野菜の煮汁には疲労回復に効く成分が含まれる(タウリン、ビタミンB類など)。
この瓶に入った結晶は、それらを何度も煮て濾し取っての乾燥を繰り返して取り出したものだ。
これでポーションの持つ元々の回復では補えない体力の持続面にも効くようになる。
戦闘前ならこの瓶だね。茶の煎じ汁を濾して乾燥を繰り返して作った結晶(カフェイン)で、興奮と集中力を一時的に高められるよ。


氷室・癒
薬を作りますっ! しあわせになるおくすりですっ!
しあわせポーションとして世界中をしあわせにしますっ!
……え、それはだめでしたか!?

なら、どうしましょうか……普通に回復薬を作ってもいいんですがー
あっ、風邪薬も多少作っておきましょうかっ!
いやしちゃんは実は風邪を引きやすいので、何個か作っておけば万全ですっ!

周りの人にもおすそ分けー、風邪を引かなければ外で遊べますっ、これで幸せ! 幸せのおすそ分けですっ!

作り方は……本を読めばわかりますねっ!
難しくないやつを作れば大丈夫大丈夫ですっ!
あっ、できるだけ苦くならないように気をつけて……
ラッキーいやしちゃんは適当にやってもなんとかなったりしますからっ!



◆実習課題:しあわせのくすりの作り方。

 リサ・ムーンリッド(知の探求者・エルフの錬金術師・f09977)が、学園の教師から頼まれたのは、ポーションの効能の調整であった。
 猟兵達が材料を集め、それぞれ作ったポーションには効果も量もばらつきがある。
 それらをある程度カテゴリ分けしたり、成分の調整をしたりと行った行為は、専門家に委ねるべきだろう、という判断なのだろう。

「構わないよ、むしろそちらのほうが得意なぐらいだ」
「ほう、といいますと?」
「錬金術の素晴らしい所は、その成果は『物』として残るという点だよ、つまり、一度完成さえしてしまえば、後は誰でも使うことが出来る利便性さ」

 その結論の一つが、紛れもなくポーションというアイテムだ。
 魔法で傷を癒やすのと同じ効果を、誰もが持ち歩いて、誰でも使える。
 選ばれたものしか使えない技術を、皆が共有できるのだ。

「折角だ、『魔法と同じ効果を得る為の工夫』という奴をお見せしよう」

 ●

「はい! いやしちゃんは風邪薬を作りたいです!」

 元気よく手を上げた氷室・癒(超ド級ハッピーエンド・f00121)は、ポーションの調整を行うリサの前まで歩いてきてそう言った。

「……なんでまた?」
「いやしちゃん、実は風邪を引きやすいので……駄目ですかっ」

 『なんで私に?』という意味だったのだが――ちらりと教師の方を見ると、少し申し訳なさそうに、『お願いします』の仕草をした。
 まあ、軽く教鞭をとるようなものだと思えばよいだろう、と小さくため息を吐く。

「別に構わないよ。だが、風邪に特効薬というのは無いんだ」
「えっ、そうなんですかっ?」
「風邪という病気はない、というのが正しいかな。厳密に言うと『風邪っぽい症状』をひっくるめて『風邪症候群』と呼んでいる。原因が様々だから対処法も様々ということで……」
「はえー」
「……難しかったかな?」
「い、いえいえ、そんなことはありませんっ、いやしちゃんは結構頭が良いです! つまり、インフルエンザのおくすりと風邪のおくすりは違う、ということですね!」
「うん、その理解でいい。だから……これを使おう」

 リサが白衣のポケットから取り出したのは、小さな結晶の詰まったガラスの瓶だ。軽く降れば、シャラシャラと、内容物が擦れて小気味の良い音がする。

「なんだか分かる?」
「えーっと、んーと……お塩ですかっ?」
「残念。これは自然の……魚介類や野菜類から抽出した栄養素の塊だよ、タウリン、ビタミン……まぁ簡単に言うとだ」

 蓋を開けて、結晶を一粒、ポーションのフラスコの中にとぷんと入れた。

「風邪をひいたら、栄養をとって大人しく寝ているのが一番ということだね。そういう意味では、これが最も堅実な風邪薬さ」
「な、なるほどー!」

 目をキラキラさせる癒は、説明一つ一つによく反応してくれる、ある種、理想の生徒だった。

「……はい、先生っ!」

 なので、リサは別段、先生ではないのだが、とりあえずその呼び方を否定もしなかった。

「いやしちゃん、本当は皆がしあわせになるお薬を作りたかったんです」
「……幸せになる薬?」

 ニュアンスから、違法薬物の類、という意味ではないだろう。

「はい、飲むだけで皆幸せになって、笑顔になっちゃうお薬です、でも、学園の先生には、『そういうのはちょっと無いかな』って言われちゃいました」

 だから、アナタならそういうものはできませんか、と。
 その瞳は聞いていた。

「……幸せというのはね、風邪と一緒さ」
「?」
「どうなれば幸せなのか、どうすれば幸せなのか。人それぞれで、理由も原因も違う。だから特効薬はない」
「……そうですか」
「けれど」

 フラスコを一つ手に取って、小さく揺らす。
 薄い色のついた液体が、ちゃぷっと音を立てた。

「病や怪我は、平等に不幸だ。だから幸せになる手伝いをするために薬はある。君が欲しがった風邪薬も、誰かを幸せにする役には立つだろうさ」
「…………」

 一瞬、ぽかんとした表情をして。
 その直後、癒は満面の笑みを浮かべた。

「はいっ! じゃあいやしちゃん、風邪薬をたっくさんつくります! それで、しあわせのお手伝いをしますっ!」
「結構、じゃあ、この結晶をフラスコ一つにつきひと粒ずつ、静かに入れてくれ。ピンセットで一つずつ、そっとね」
「了解ですっ!」

 そうして、効能の高まったポーションや、非常時の栄養補給剤などが出来上がっていく。
 今後、アルダワ魔法学園の生徒たちを、不幸や悲劇から救う為に使われるだろう。
 それは、少女が望んだ理想のカタチを、ほんの少しだけ体現してくれる“しあわせのくすり”だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
はー、おっそろしい女に出くわしちまいまくったっすけど……
ま、なんだかんだで無事素材が手に入って良かったっす!
蜜ぷにとやらでレッツ、ポーション作成!
くぅっ、これでしばらくポーションの金のやりくりから開放されるっす~~……!!

目から流れる汗を拭ったらポーションを作ってくっす(【SPD】で判定っすね)
でもあんまり甘すぎるのはオレっちの好みじゃないんでね、ほんのり甘い程度に抑えるっす
そこそことはいえ、「料理」の腕の見せ所っすよ!
まあそれでポーションの効果が落ちちまったら元も子もないっすからね
周りの人に聞きながら調整してくっすよ
こうして知己を作っておくのも、重要な傭兵活動の一環っすから

アドリブ大歓迎


照崎・舞雪
【ALL FOR ONE(全てはこの一時の為に)】

恍惚の笑みを浮かべながら、確保した材料を丁寧に切り分け、混ぜ合わせ
様々な色の液体が入った試験管にちょいちょいと入れては
反応をレポートに書き込んでいく美少女が一人
「ふふふ……あ、ここで白い沈殿物ができますかー、そうきちゃいますかー」
「こっちの液と混ぜ合わせると……あー、このちょっとした刺激臭、たまらないですねー」
「んー、こっちは回復ポーションにはならなそうですね。どっちかっていうと、微弱な神経毒?」



◆実習課題:やばいものには蓋をしましょう。

「はー。いろいろあったっすけど……無事素材確保ぉ~! これでポーションの金のやりくりから開放されるっす~……っ!」

 猟兵である以上に傭兵であるリンタロウ・ホネハミ(Bones Circus・f00854)の財布事情はなかなか厳しい。
 消耗品を抑えるに越したことはなく、手前で確保できるならそれが一番だ。

「……ただなぁ、こいつがどうも」

 蜜ぷにの蜜、女子供なら、まぁ喜ぶ味なのだろうが、ポーションとして使うにはいささか甘すぎる。
 味を抑える為に添加物を入れて、効果が弱くなっても本末転倒だ。

「しゃーねぇ、人に聞きますかぁ、あ、ちょっといいっすか?」

 できないことは他人に聞く、というのも立派な傭兵技術の一つである。
 新たな技術と知識を、ついでにコネまで手に入る事だってあるからだ。
 なので、リンタロウはそばでポーションを調合していた少女に声をかけることにした。
 ……相手が若干悪かった。

 ●

「うふふふ、うふふふふふ……」

 照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)の眼前に並べられた十個の試験管と十個のフラスコには、それぞれ違う色の蜜が並んでいる。
 それらにぽたぽたと試薬を垂らし、反応を見ては、灰色の古ぼけたノートに書き記していく。

「あぁ、この刺激臭は……危なかった、ガラスじゃなかったら溶けてましたねーうふふふふ」
「……あ、あの」
「えっ、あ、はい、なんですか? 今私、忙しいんですけど」

 声をかけられて、うふふうふふと狂喜の笑顔のままそう告げる舞雪に、ああもう開幕で声かける相手を間違えたかなと思うリンタロウであったが……。

「……それ、何作ってんすか?」
「いろいろです、いろいろ。むしろ何ができるかわからないがの楽しみなのです、例えばこれなんて……」

 一つ、どす黒い色に変色してしまった試験管を手に取り、見せる。どう見てもポーションではない。なんか泡立ってるし。

「なんすかそれ」
「微弱な神経毒です。軽く吸うだけで三日は動けません、更に投与すると無慈悲に死にます」
「なんでそんなモン作ってるんすか!」
「いえ、勝手にできてしまったのです、意図的ではありません」

 そっちのほうがやばい気がする。
 やばい気がするが、ん?

「意図的じゃないって事は……必要にかられて作ってるわけじゃない?」
「ええ、どういう反応を起こしてどういう変化をするのかが見たいだけなので、完成物そのものは別に」
「…………………………それ譲ってくれないっすか?」
「構いませんけど、どうするんですか? こんなもの」
「そりゃまあ、いろいろとね?」

 リンタロウは傭兵である。
 戦いに勝つためには生き残らねばならず、そのために出来ることは何でもするし使えるものは容赦なく使う。
 ポーションの費用を浮かすのであれば、薬品だって。

「……わかりました、代わりに調合、手伝ってくださいね」
「ああ、それぐらいならお安いもんっすよ! ……ついでなんっすけど、こんなくすりなんか……」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 ここで、ついでにポーション以外の薬も調達できるなら、それに越したことはない。
 リンタロウの要望を、舞雪は興味深そうに頷いて……ニヤリと笑った。
祷・敬夢
きちんと納品しないとゲームクリアにならないぞ!
ということで、ポーション作りだ!

合成や調合などはゲームでもしたことがあるが、実物となるとわからんな
しかし、俺様の力を持ってすれば、直感で作っても最高の出来のものになってしまうのである!!
ああ……っ、俺はなぜこんなに才能溢るる存在なんだ……!

と、俺様の力を魅せるのも良いが、クエスト達成も必要なんでな
素材集めなどならバトルキャラクターズを使って効率良くできるだろう

フッ、どんな行動をしても俺様の才覚に惚れ惚れしてしまうな



◆実習課題:納品をきちんと済ませましょう。

「さて、きちんと納品しないとゲームクリアにならないからな。ポーション作りといこうか!」

 とはいえ、祷・敬夢(プレイ・ゲーム・f03234)はゲーマーである。
 ゲームの中ならともかく、リアルでの調合作業に経験はない。
 平均的な性能のものを作るのであれば、マニュアル通りに作ればちゃんと仕上がりはするのだが。

「ゲームならば、はちみつと合成すれば効果が上がるのだが……はっ、そうか、はちみつ……!」

 蜜ぷにの蜜と、はちみつ。
 蜜と蜜、これ以上の組み合わせがあるだろうか。

「さすが俺様だ……何故こんなに才能あふるる存在としてこの世に生まれてきてしまったんだ……!」

 己の体を抱きしめ、一通り身悶えてから、敬夢は己の手足、バトルキャラクターズを呼び出す。

「さあ、そうと決まればはちみつ集めだ、俺様にかかれば必要量…………三分でかき集めてやろう!」

 ……結果として言うなら、糖分によって薬効が全身に行き渡る為、効果はたしかに上がるのだが、引き換えにものっすごく甘くなってしまった。
 試しに一舐めした教師が、顔をしかめてしまうほどには。

「これは、流石に薬としてはちょっと……甘すぎるね?」
「なん……だと……!? くっ……天才すぎるのも考えものか……!」





◆とある日の。

 こそこそと、ひと目を偲ぶようにして、学生が忍び込んだのは、薬品保管室に並ぶ大量のポーションだ。

「お、あったあった。この前は在庫がなくてどうなるかと思ったぜ」

 しめしめと、そのうち一つに手を伸ばす、が。

「コラッ!」
「うおあっ! げ、先生!」
「……まったく、薬品の持ち出しは申請をしてからとあれほど言っただろう!」
「ご、ごめんって! ちぇー、仕方ねえかぁ……」

 渋々と部屋から立ち去ろうとする学生。その肩を、教師は小さく叩いた。

「も、もしかしてお説教すか?」
「馬鹿モノめ。……ほら、持っていけ」

 押し付けるように渡されたのは、一本の試験管。
 量は少ないが、効能は十分保証された、猟兵達が作った特別性のポーションの一つ。

「何も意地悪で叱ったり、渡すのを渋るわけじゃあない。いちばん大事なのはお前たちが怪我をせずに帰ってくる事だなんだからな」

 苦笑しながら、そう告げる教師の顔をみて、生徒は、なんだか申し訳ない気持ちになって。

「……すんません」

 と、頭を下げ、保管室をでていった。

「……やれやれ。鍵をもっと良いのに変えるかねえ」

 …………。

 数日後、迷宮内部にて。

「――――――何だこれ、あっまぁ!?」

 手傷を負って、慌ててゲーム印のハニーポーションを飲み下した生徒の悲鳴が、ごく浅い階層で木霊した。

苦戦 🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月21日


挿絵イラスト