エンパイアウォー㉚~異国のニャン
●湧き出るニャン
サムライエンパイア、山陽地方。
山のふもとに、小さな神社がある。
ご神体として祀られているのは、しめ縄に囲われた巨大な岩。その形は何処となく、四本足の獣の頭にも似ている。もっとはっきり言ってしまえば、猫に。
なので、地元では『猫岩』と呼ばれている。
ふいに、岩の背後に光が差したかと思うと、何かが飛び出してくる。一匹、二匹と。
服を着た猫が。
カンフーにゃんこが。
●導くニャン
日々、戦況が推移するエンパイアウォー。
そんな中、タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)は、魔軍将・侵略渡来人『コルテス』に関わる、ある事柄を猟兵達に伝えた。
「骸の海から渡来人を呼び寄せる財宝を、コルテスが何個も持っていたことがわかったんだよ」
一定時間ごとに、新たな渡来人を召喚し続ける財宝……それは、戦乱の種を生み続ける、かつてコルテスが簒奪せし、『血塗れ財宝』。
「今もその財宝は、新たな渡来人を呼び出し続けているみたい。そして、信長軍に戦力を供給しているらしいんだよ」
裏を返せば、『血塗れ財宝』を破壊する事が出来れば、魔空安土城の信長軍の戦力を減少させられるはず。
「ボクが予知で見つけた財宝の場所は、この神社にひっそりと隠されていたんだ」
タビタビが、山陽地方の地図を開き、ある場所を示した。ぽむっ、と。
「神社の奥に、ご神体の大岩、通称『猫岩』があるんだ。財宝は、この裏に安置されているよ」
財宝は、一定時間ごとに同じ種類のオブリビオンを骸の海から召喚し続ける。
呼び出されたオブリビオン達は、ある程度まとまった数になったところで、魔空安土城に向けて移動を開始する。
ただし、財宝の周囲には、常に10体から20体程度のオブリビオンが護衛についているという。
「みんなは、タイミングを見計らって攻め込んで、財宝を破壊してほしいんだ。相手が少ない時に攻撃すれば、少ない時間と労力で敵を撃破できる。でも、たくさんいる時に倒せば、それだけ信長軍の戦力を削れるかも」
判断は、最初に仕掛ける猟兵にお任せだと、タビタビは言う。
「ニャンとか……じゃなく、何とか敵の戦力が増えるのを防いでおけば、信長との決戦の時に有利になるかも! 頑張って……!」
タビタビが、エールを送った。
七尾マサムネ
にゃんこの湧き出るパワースポット。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
このシナリオでは、最初にリプレイに登場するキャラクターは『敵が何体の時に攻撃を仕掛ける』かを決める事が出来ます。
指定できる数は、「10」から「20」の間です。プレイング冒頭には、仕掛けるタイミングを明記してください。
それでは、よろしくお願いいたします。にゃん。
第1章 集団戦
『異国のカンフーにゃんこ』
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POW : にゃんこ流一本釣りにゃ
レベル×1tまでの対象の【衣服(棒の先に引っ掛けることで)】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : これがにゃんの超速戦闘術にゃ
自身の【装備する鈴】が輝く間、【鈴の音が一切聞こえない無駄のない体術で】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : にゃんにとってはこの世の万物が武器となるのにゃ
自身からレベルm半径内の無機物を【使い捨ての自身の装備武器】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ひろしお
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ファン・ティンタン
【POW】釣られた得物は猫より大きい
ペイン(f04450)と
猫、無尽蔵に増えるんじゃ面倒だね
兵は神速を尊ぶ、想定外が起きる前に叩くよ
【刀心習合】
敵に近寄りて、有象無象を殴り斬り蹴り断つ
機を見計らって【先制攻撃】に躍り出る
電光石火の【早業】でにゃんこの元まで寄れば拳撃と蹴撃、二撃決殺の徒手空拳を見舞おうか
数が多いから一本釣りされる可能性もあるけれど、何も私は徒手空拳だけが能じゃ無いよ
棒を服に引っ掛けられて手足が届かなければ【無銘】を敵急所に【投擲】、隙を突いて【カウンター】といこうか
一人で10匹相手するのは少々骨が折れただろうけれど…
幸い、今日の私には頼れる相方がいるからね
さあ、猫駆除の時間だよ
ペイン・フィン
ファン(f07547)と
……猫、か
……可愛い、ね
でも、敵であることに、変わりない
……あまり多くても、戦いづらいし
10体程度集まったら、速攻で片付けようか
コードを使用
連続攻撃は、厄介だけども
瞬間移動で回避しつつ、攻撃を重ねていこうか
使用武器は、スタンガン“ニコラ・ライト”と猫鞭“キャット・バロニス”
技能も併用
見切り、残像、第六感、武器受け
回避系技能で、攻撃回避を補助
なぎ払い、マヒ攻撃、気絶攻撃、範囲攻撃、毒使い
妨害攻撃系技能に、範囲攻撃系技能を混ぜながら、攻撃
……動きの速さに、自信、あるみたいだけど
こっちだって、負けてない
それに、頼れる人が居るのは、こっちだって同じ、だからね
駆除の時間、だよ
(「……猫、か。……可愛い、ね」)
物陰から猫岩の様子をうかがっていたペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)が、微笑の気配をこぼした。
かっ、と。
鮮血を思わせる紅の光が溢れるたび、召喚されたカンフーにゃんこが、サムライエンパイアの土を踏む。
問題はこの猫がオブリビオンであり、秘宝がコルテスのものである事。というか、後者だけで問題に十分値する。
兵は神速を尊ぶ。ファン・ティンタン(天津華・f07547)は、想定外に邪魔される前に叩く算段だ。猫が無尽蔵に増えるのは、面倒だ。
ペイン達が猫岩への襲撃を仕掛けたのは、カンフーにゃんこが10体になったタイミングだった。
「にゃんっ!?」
突然の襲撃者。
カンフーにゃんこ達の戸惑いを切り裂き、ペインは速攻を仕掛けた。
にゃんこも、武術使い。即座に反撃態勢を整えようとするが、間に合わなかった。
手近な1体にスタンガン『ニコラ・ライト』の電圧を叩きこんだペインは、殺到する敵に対し、猫鞭『キャット・バロニス』を見舞った。鋭い鉤爪が、カンフー服を引き裂く。まずは、1体。
一方、ペインと手分けしたファンが、残りのにゃんこ達を引き受けていた。
徒手空拳で応じる構えのファンに対し、にゃんこ達は棒で迎え撃つ。容赦はない。
しばし、じりり、とにらみ合う両者。
果たして、先に均衡を破ったのは、ファンだった。
電光石火。敵群との間合いを即座に詰めると、一体に狙いを定める。
拳撃と蹴撃。二撃決殺。
「にゃ……!」
どさり。地に伏すカンフーにゃんこ。
棒を振るう暇すら与えない。ファンの鮮やかな手並みに、猫達が怯む。
その頃、ペインは、敵に毒や麻痺を仕込みながら、戦闘を優勢に進めていた。
いたずらに仲間を傷付かせはしないという事か。1体のにゃんこが前に進み出ると、鈴を輝かせた。
「にゃっ」
繰りだされる棒術。一瞬にして九度。流れるような動作が、ペインを襲う。
だが、その連撃をもってしても、ペインをとらえる事はできなかった。
初撃は、瞬間移動。二撃目は猫鞭で弾かれ。三撃目でようやく捉えたかと思えば残像。
様々な回避術を織り交ぜて、その全てをかわしきったのだ。
あっけにとられるにゃんこ。今度はペインの番だ。
「……動きの速さに、自信、あるみたいだけど。こっちだって、負けてない」
傷一つないペインから、じりり、と後退するにゃんこを、猫鞭が九度、切り裂いた。
そして、打撃、斬撃、蹴撃。己自身を刃と化したファンから繰り出される数多の技が、にゃんこの戦意と体を砕いていく。
だが、猫にもプライドがある。
すれ違いざま、ファンの衣服に棒をひっかけると、そのまま体を天高く掲げた。
「もらったにゃ……!」
「何も私は徒手空拳だけが能じゃ無いよ」
地面に叩きつけられる運命だったファンは、とっさに、小太刀を敵に投じた。銀閃が、吸い込まれるように敵の急所を突いた。
「にゃっ」
濁った悲鳴と共に、棒から力が抜ける。
空中で身を翻すと、ファンが手刀を繰りだした。その威力は、太刀のそれにも匹敵する。
どさり。結果として倒れたのは、仕掛けたはずのにゃんこの方だった。
「まだまだ、数ではこっちの方が上にゃ!」
虚勢を張るにゃんこに、ファンが、溜め息で応じた。
「確かに、1人でこの数を相手するのは少々骨が折れただろうけれど……幸い、今日の 私には頼れる相方がいるからね」
たっ、と地面に降りたつファンの背を、ペインが守る。
「そう。そっちに味方が居るのはわかっているけど。頼れる人が居るのは、こっちだって同じ、だからね」
そしてファンとペインは、互いに視線をかわし、
「「さあ、猫駆除の時間だよ」」
言葉と技を重ねた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
三上・チモシー
アドリブ連携歓迎
渡来人っていうか、渡来猫?
やだー、にゃんこたくさん!かわいい!
猫が無限に湧いてくるとか、オブリビオンじゃなかったら最高なんだけどねー
【熱湯注意】で範囲内の敵をまとめて攻撃
熱々のお湯だよ!
敵の一本釣り攻撃は【見切り】でかわすか、【地形の利用】で隠れられそうな場所に隠れたりして、引っかけられないように注意
これで倒しきれなかったら、熱湯で怯んでいるうちにダッシュで接近して【グラップル】
そのまま他の敵に向かって力いっぱい【投擲】しちゃうよ
そぉい!!
阿瀬川・泰史
あらー、にゃんさんですか、可愛いですねぇ。
でもエンパイアを侵略するというのなら容赦はしませんよぉ、骸の海という名のおうちに帰りましょうねぇ。(静かに殺気を放ちながら)
いつもの着流し姿で斬馬刀を抜刀
相手の棒の動きをよく観察し、一本釣りの瞬間を見極める
一本釣りのためにこちらに棒が伸びてきた瞬間に武器受けで受け止め、棒を斬り払う
2回攻撃でもう一閃、返す刀でにゃんこの命を刈り取る
「さぁて……次はどなたがお相手くださるんでしょうねぇ?あぁいいですよぉ、来なければこちらから行きますから」
連携・アドリブ歓迎
阿瀬川・泰史(酒と杯さえあればよし・f02245)が件の猫岩を訪れると、既に戦いは始まっていた。
ひいふうみぃ。泰史が敵を数えれば、カンフーにゃんこは、10体を割っている。これなら、速やかに始末をつける事ができるだろう。
「また猟兵が来たにゃん!」
「あらー、にゃんさんですか、可愛いですねぇ」
棒をびしっ、と構える猫オブリビオンを見て、泰史が、目を細めた。
身体が揺れるたび、にゃんこの付けた鈴が、ちりん、と鳴る。可愛い。
「にゃん達の可愛さに免じてここから去るにゃん!」
「いやいや、エンパイアを侵略するというのなら容赦はしませんよぉ、骸の海という名のおうちに帰りましょうねぇ」
泰史の笑顔の奥から、殺気がにじみ出た。神社の静ひつな空気が、更に研ぎ澄まされる。
「! またこっちからも敵にゃん」
「なら倒すにゃん」
じりじりと間合いを詰めてくるカンフーにゃんこの、可愛くも勇ましい様子に、三上・チモシー(カラフル鉄瓶・f07057)は心を奪われていた。すっかり。
「やだー、にゃんこたくさん! かわいい!」
「にゃ……」
チモシーの喜びっぷりに、にゃんこも少々毒気を抜かれた様子。本人(本猫?)には、自身の存在の尊さが理解できないのだろう。
猫が、猫だけが無限に湧いてくる秘宝。これでオブリビオンでなかったら。そして、『あの』コルテスの仕掛けでなかったなら、言うことなしだったのだが。
「とりゃー! やってしまうにゃん!」
斬馬刀を抜く泰史に、にゃんこ達が一斉にかかった。
大刀で、敵の棒術を受け流しながら。泰史の瞳は、敵が仕掛けてくる瞬間を見極めよんと光る。油断なく。
「にゃんこ奥義!」
ぎゅん! 一体のにゃんこの棒が、泰史に迫る。お得意の一歩釣りを披露するつもりだ。着流しの裾にでも差し込めば、後は自由自在……!
「にゃっ」
金属質の音。
棒は、泰史の刀に阻まれていた。そのままわずかに刀を引いた後、棒を切り払うと、返す刀でにゃんこ本体を切り下ろした。
「にゃっ……!」
どさり。
切り伏せられたにゃんこが、猫岩のそばに倒れ、消滅していく。
「さぁて……」
斬馬刀を構え直し。
「次はどなたがお相手くださるんでしょうねぇ? あぁいいですよぉ、来なければこちらから行きますから」
泰史の剣気に恐れを為したにゃんこ達の足が、止まった。
「くっ、ならこっちの猟兵から始末にゃん」
そう言って、にゃんこ達が矛先を向けたのは、チモシーだ。
「にゃん達の可愛さに油断している今がチャンスにゃん」
自分達を見て頬を染めるチモシーに、引導を渡すべく、棒術を繰りだした。
が、カンフーにゃんこがただの猫ではないように、チモシーとてただの猫好きではない。
「熱湯ざばー!!」
じゅわっ!
「あっつ!」
突然の熱気が、にゃんこ達を襲う。同時に、白い湯気が周囲を満たしていく。
熱源はチモシー。鉄瓶の注ぎ口からの熱湯が、不用意に近づいて来たにゃんこ達に浴びせられたのだ。
「大丈夫、ただの熱々のお湯だよ!」
「オブリビオンにダメージを与えるただのお湯があってたまるかにゃん!」
しゅわしゅわと消えていく同朋を看取りながら、にゃんこがごもっともな反論をぶつけた。
逆襲とばかり、棒を振るうにゃんこ。これまた、一本釣りを狙ったものだ。
魚にされてはかなわない。チモシーは鉄瓶。
とっさに猫岩の影に隠れると、棒をやり過ごした。
「隠れても無駄にゃん……!」
「ばあ!」
「!?」
追いかけて来たにゃんこの眼前に、チモシーが顔を出した。
驚くにゃんこを担ぎ上げると、そのまま他のにゃんこ達に投擲した。力一杯!
「そぉい!」
「にゃああああ」
ボーリングのピンよろしく、にゃんこ達がはじけ飛んだ。ストライクであった。
「いただきますよぉ」
弾かれ、宙をくるくる舞うにゃんこの1体を、泰史が両断した。
「峰打ち、というわけにはいきませんけどねぇ」
そして、チモシーに投擲されたにゃんこはというと。
「ちりんちりんと鈴が鳴るにゃん……」
目をぐるぐると回したまま、骸の海へと還っていったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
柊・冬愛
頑張る、初めての世界。
「倒す。オブリビオン、放っておけない。」
ネコの攻撃、Clock of Toaで盾受け。
ウサギ時計の横から、素早くLight Rapierで突き刺す。
後ろや横から来たら、避けながらすれ違いざまに
Light Rapierで刺すか、Clock of Toaを顔面にぶつける。
そろそろ倒す、数匹まとめて。
「好き?お星様・・・じゃあ、あげる」
使う【Stardust Poison】。
アドリブ・共闘歓迎。
三上・チモシー
アドリブ連携歓迎
【真の姿】を開放
猫耳、猫尻尾が生える
ここからはにゃんこ祭にゃ!
帰ったと見せかけて、物影で【猫行進曲】を使用
召喚したるーさんたちと共に急襲
まだにゃ!
まだチモシーのターンは終わってないのにゃー!
敵の攻撃は【野生の感】を駆使した【見切り】で回避しながら、狙いを付けた敵にダッシュで接近
るーさんはバラバラに走り回らせながら、同じ敵の方向へ
9回攻撃できる?こっちは40+1にゃ!
【怪力】を目一杯込めた【鎧砕き】の猫パンチ!
合わせてるーさんたちが一斉に追撃
袋叩きにゃー!
柊・冬愛(時計ウサギのマジックナイト・f20618)が、サムライエンパイアの地を初めて踏んだのは、折しもエンパイアウォーのただ中だった。
そして敵は、骸の海より禁忌の力によって呼び出されし、コルテスの兵。
カンフーにゃんこ。
にゃんこ。
「にゃっ、今度はうさぎが相手にゃん」
もはや2体のみとなったにゃんこ達に、余裕はない。すぐさま冬愛に、襲い掛かった。一斉に。
「倒す。オブリビオン、放っておけない」
対する冬愛も、決意を固め、懐中時計を振りかざした。
冬愛を相手に、武闘を披露するカンフーにゃんこを物陰からうかがいながら、三上・チモシーは、猫になった。
真の姿を解放して、猫の耳と尻尾を備えたのだ。
「ここからはにゃんこ祭にゃ!」
チモシーが、ぐぐっ、と拳を振り上げ宣言した。……ただし小声で。
そして同じく、こそっ、と、チモシーは灰色の猫さん『るーさん』達を呼び寄せた。
一方、もてる体術を駆使して、冬愛と格闘するにゃんこ達は。
「1対2なら勝ち目はあるにゃん」
「さっきの猟兵達も帰ったはずにゃん」
「まだにゃ! まだチモシーのターンは終わってないのにゃー!」
にゃにゃにゃにゃー!
突如、猫の大行進が、にゃんこ達を襲った。
るーさん達の波に飲み込まれては、技もへったくれもあったもんじゃない。ざばーん。
「ううう」
「踏ん張るにゃん。こいつらを追い払えば、仲間をもっと呼べるにゃん!」
にゃんこの片方が、猫岩に触れた。正確には、猫岩を囲む、しめ縄に。
すると、縄が鞭に変んじていく。にゃんこのユーべルコードの侵食を受けたのだ。
「にゃあ、神妙にお縄につくにゃん!」
しゅしゅっ、と鞭が虚空を薙いで、冬愛に迫る。
だが、ぱしん、という音と共に、鞭が上方に跳ね除けられる。冬愛の懐中時計『Clock of Toa』に弾かれたのだ。
「それでかわせたと思わない事にゃん!」
鞭がしなり、再度、冬愛の体を引き裂こうと、上から叩きつけてくる。
しかしその時には、にゃんこの額を、『Light Rapier』が正確に突いた後だった。
「ったぁーっ!」
たまらず、おでこを押さえて後退するにゃんこ。そのまま後ろに転んで、消えていく。力が解けたのに合わせて、鞭も元のしめ縄に戻った。
残るにゃんこは、1体のみ。るーさん達の相手でわたわたしている間に、チモシーが、にゃんこに駆け寄った。
そしてるーさん達も、バラバラ、縦横無尽に境内を走り回りつつ、敵の元へと集合していく。
「九度の流麗なにゃんこカンフーを喰らうにゃ!」
「こっちは40+1にゃ!」
「ええええ」
にゃんことチモシー達が、猫岩を背景に、激突した。
チモシーの、怪力を目一杯込めた猫パンチは、鎧をも砕く勢い!
そして同時に、るーさん達が一斉にねこパンチを披露した。
「袋叩きにゃー!」
ぽこぽこぽこ!!!
「くうう、にゃんまで負けたら大変にゃん……」
何とか、最後の瞬間まで耐えようとするにゃんこ。
そこに、冬愛が手を掲げた。
「好き? お星様……」
「きらきらは嫌いじゃないにゃん」
「……じゃあ、あげる」
冬愛の示した空に、星が煌めく。
星は流れとなって、にゃんこへと降り注ぐ。
星の正体は、魔法弾。それも、毒を含んだ。
「ぐにゃー! 無念にゃん……! 信にゃがさま……!」
首元を押さえながら、ぱたり、とラストのにゃんこが倒れた。
最後の最後で、主君の名前を噛みながら。
「これで、もう、オブリビオンは、いない」
「勝利だにゃ! 猫は勝つにゃ!」
にゃー!!
チモシーが、るーさん達と一緒にバンザイを披露した。
冬愛も、小さく手を挙げていた。こっそり。
猫岩の裏側……妖光を放っていたのは、小箱に収められた宝珠。
ばきり、と破壊する。2度と異界と繋がらぬよう、完膚なきまでに。
かくして、信長への援軍たらんとした猫達の出現は、ここに鎮まったのである。
大成功
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