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エンパイアウォー㉗~三十六計逃げるに如かず

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●手書きのフリップ
 刻一刻と変化する戦況。関ヶ原の戦いを勝利した幕府軍は、太平の世で失なわれていた、侍の力と自信を取り戻しつつあった……。

●グリモアベース
 リンドウ・ノア(コットンキャンディは夢を見る・f19568)は、くるりとした瞳を一度猟兵たちに向けると、手にしたフリップを下ろして話しはじめた。
「サムライエンパイアのお侍さんたちに、生き残る術を教えてあげてほしいんだよね」
 リンドウは視線を上にずらし、口元に人差し指を当てて考える。
「えーっと、ほら。命あっての物種?みたいなことだよ。生きてればなんでもできるでしょ?
 自信をつけた今だからこそ、無謀な戦いに挑まないように、相手を見極める心得だったり、あっやべーぞって思ったら逃げる勇気を説くだとかしてあげてほしいの。多分、調子に乗ってるお侍さんいると思うんだよね」
 上手くいっていると、人間は慢心するものだとリンドウは言う。

「実際に逃げ方を伝授するとかしてあげるのもアリだと思うよ。みんなも強敵相手に先制攻撃を躱して、反撃したりするよね?そんなみんなのノウハウを教えてあげてほしいんだよ。やり方はお任せするね」
 あ、でも、と改めて猟兵に視線を向ける。
「しないとは思うけど、お侍さんたちに怪我させたり危害を加えるようなやり方はダメだからね。
 あと、お侍さんたちは、10代後半〜30代前半の若いお兄さんたちだよ。実戦経験が少ないんじゃないかな。今、モチベーションも上がってるみたいだから、キープしつつ自信を確固たるものにしてあげてね」
 一呼吸置いて、猟兵たちから質問が挙がらない事を確認すると、リンドウは転送の為の門を開いた。


105
●ご案内
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 幕府軍の訓練を行う事で、幕府軍の被害を減少させる事が出来ます。

●ご挨拶
 105と申します。
 よろしくお願いいたします。

●方針
 これまでの実戦経験であったり、書物などで学んだ事であったり。幕府軍の侍たちに猟兵の逃げや反撃への布石などのノウハウを伝授してあげてください。心情も歓迎です。
 気軽にご参加頂けましたら、嬉しいです。

●プレイング
 オープニング公開から、受け付けます。
 シナリオの性質上、頂いたプレイングの数によっては、全採用とならないかもしれません。ご了承ください。
 ご参加、お待ちしております!
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第1章 冒険 『幕府軍の大特訓』

POW   :    腕立てや腹筋、走り込みなど、基礎体力を向上させる訓練を施します

SPD   :    危険を察知する技術や、強敵からの逃走方法などを伝授します

WIZ   :    戦場の状況を把握して、自分がやるべきことを見失わない知力を養います

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルベナ・ラウンドディー
【気絶攻撃】
まずはその余計なプライドを叩き折るところから始めましょう!
理解する姿勢がないと座学も実習も身につきません、って子供の頃に教官に叩きこまれました!
命までは取らないから大丈夫です、さぁこい!


…怖けりゃ逃げてもいいですよ?(殺気どぱー



…ですがね、逃げ回るだけでは死ぬだけです
罠に嵌めるため、時間稼ぎのため、潜入工作後の撤退のため、命を拾って態勢を整えるため
のちに勝利するため目的に沿った行動を強いられる高等な戦術が、逃げるということ
また、それを怠らぬ準備は心の余裕を生み、戦地に臨めば本来の力量を発揮させることに繋がる


そんな概念の上に逃げるという術があるのですが…
ま、難しいですよね。




 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)は、手を後ろで組み真っ直ぐな姿勢で侍たちへ順に視線を向ける。横並びに立つ侍たちの表情は様々で、どこから来たの?その自信、と聞きたくなるようなドヤ顔の者。どうにも落ち着かない様子でベルベナを見返す者。人が話をしようとしていると言うのに、欠伸をする者。
 これからまた戦場に向かうと言うのに、けしからんという表情の者が多かった。
 子供の頃に師事した教官が見たら何と言うだろうか。

 その中でも、ベルベナの視線を多く引いたのが、ドヤ顔の侍たちだった。

「……わかりました。まずはその余計なプライドを叩き折るところから始めましょう!」
 ドヤ顔の侍たちを指名して、一歩前に進ませる。

「理解する姿勢がないと座学も実習も身につきません、って子供の頃に教官に叩きこまれました!あなたたち、慢心していますね?」
「実際、俺ら強いよ?」
 意気がってすぐ口答えする侍は、ベルベナとそう変わらない年頃だろうか。その様子に鷹揚に頷くベルベナの方が、周囲には随分と大人びて映っているかもしれない。

「いいでしょう。では、かかってきなさい。命までは取らないから大丈夫です……さぁこい!」

 ベルベナは武器は構えない。そして、ベルベナに誰も刀を振り上げない。

「……怖けりゃ逃げてもいいですよ?」

 シンとした空気に、無機質な音が響いた。穏やかなベルベナから溢れる殺気は、侍の青年の手から刀を落とさせる。
 その様子を見て、ベルベナはふっと息を吐き殺気を収める。落ちた刀を拾い上げ、侍に渡しながらベルベナは侍たちに静かに語りかける。

「……ですがね、逃げ回るだけでは死ぬだけです」
 ごくり、と息を飲む音がした。何もされていないのに動けなかったのだから、さもありなん。

「罠に嵌めるため、時間稼ぎのため、潜入工作後の撤退のため、命を拾って態勢を整えるため……のちに勝利するため目的に沿った行動を強いられる高等な戦術が、逃げるということ。また、それを怠らぬ準備は心の余裕を生み、戦地に臨めば本来の力量を発揮させることに繋がる」

 密偵として訓練を受けた経歴を持つベルベナだからこその、思い。

「そんな概念の上に逃げるという術があるのですが……」

 ベルベナはそっと一度目を伏せる。

「(ま、難しいですよね)」

 言葉で説明して一朝一夕で身につくものならば、訓練など要らない。付け焼き刃だろうとも思う。

「あんたは、そういう環境に身を置いて身につけたのか」
「……そうですね」
「だったら、教えてくれ。少しでも、先へ繋げる逃げってやつを」

 侍の真剣な声音に、ベルベナは目を細めた。

「もちろんです。では、まず殺気に怯まない訓練からしましょうか。一瞬の隙が生死を分けますからね」

 優しい声で告げるベルベナの特訓は、その物腰に反して実にスパルタであったが、侍たちの目は特訓前よりも強い光を宿していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「鍛錬は大切ですね。それで多くの命が救われるなら、私は喜んで技を弘めましょう。」

自信を持つ事は良い事ですね
ただ、それが慢心になってしまうと足を掬われてしまいます
一寸私と立ち会ってみましょうか…

『無名・後の先』にて誘った攻撃を【見切り】つつ【武器受け】
纏う【残像】で眩惑し、緩慢な動作で放つ【カウンター】をゆっくりと寸止め

…この様に、相手の隙が誘いの手なのかそうでないのか見極めるのも大切な技術です
怪しいと感じたら手を出さない…
勝機が見いだせなければ退く…
それは決して恥ではありません
相手を知る事で皆で対策が練れますし、生きる事で情報を活かす事ができるんですよ

…どうか一つしかない命を大切にして下さいね




 西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)の目の前に並ぶのは、徒士。彼らは所謂下士官であり、いざ戦場では前駆をなす存在。比較的、この訓練には真摯に臨む姿勢が伺えた。その様子に、霧華はゆったりと頷く。

「鍛錬は大切ですね。それで多くの命が救われるなら、私は喜んで技を弘めましょう」

 そうして、愛刀である籠釣瓶妙法村正を携えて、彼らの前へと歩み出た。指導者が年若い存在であることにややざわつくが、上からお達しでもあったのだろう。彼らは真っ直ぐに霧華を見ていた。

「あなた方は、こと戦いに置いて負けない自信がありますか」

 霧華の投げかけた言葉に、一人の青年が力強く頷く。

「当然です。我々は武士です。平和な世であっても、それは変わりませんでした」
「自信を持つ事は良い事です。ただ、それが慢心になってしまうと足を掬われてしまいます。一寸私と立ち会ってみましょうか……」

 答えた青年と向かい合う霧華。

「どこからでも、どうぞ」

 刺すような空気。しばし見つめあい、青年が隙を見つけたと言わんばかりに霧華へと袈裟斬りに斬りかかる。しかしその太刀は、霧華が居合の姿勢から抜き放った刃に阻まれて、キンという高い音を立てて弾かれる。ドスリ、と地に刀が突き刺さる音と、青年の唾をのむ音が同時に響く。

「……この様に、相手の隙が誘いの手なのかそうでないのか見極めるのも大切な技術です」

 青年の首筋で、ぴたりと止められた刃を静かに下ろして霧華は告げる。

「……見えなかった」

 見物していた中から、声が零れる。

「怪しいと感じたら手を出さない……勝機が見いだせなければ退く……それは決して恥ではありません。相手を知る事で皆で対策が練れますし、生きる事で情報を活かす事ができるんですよ」

 籠釣瓶妙法村正を鞘に収め、霧華は穏やかに告げる。

「……どうか一つしかない命を大切にして下さいね」

 失えばもう戻らない事を、霧華は知っている。その一言は、彼らを案ずると同時に霧華の奥底から湧いてきた願いであったかもしれない。そしてその言葉に、彼らの表情はより引き締まる。その姿を見て、霧華は僅かに安堵し表情を緩めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はーっはっはっは! 意気軒昂で素晴らしいのう!
妾は御形・菘! 皆の衆はよろしく頼むぞ!

お主らには危険察知能力を磨いてもらうぞ!
「むむっ、殺気を感じる!」とか言うけれど、実際どんなのは分からんであろう?
で、ビビって身体が動かず色々手遅れだったりする!
とゆーことで! 具体的に経験して慣れて、殺気を浴びてもすぐ動けるようになってもらおう!

安全のために、少し距離を取って並んでくれ
実は妾はバトル自体より『落とす』方が得意分野でな
心臓が止まらん程度まで、真面目に手加減してやろう!
抑えていた存在感を発揮しつつ、殺気を込めた恫喝によって恐怖を与える!
きしゃーー!!

立ち直ったら、少しずつ圧を上げていくぞ!




「はーっはっはっは! 意気軒昂で素晴らしいのう!」
 テンション高めの高笑いが、広場に木霊する。発したのは、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)だ。もしかしたら、どこかでカメラが回っているのかもしれない。
 唖然と見つめてくる侍たちに、鋭い眼光を向けて菘はニヤッと笑う。

「妾は御形・菘! 皆の衆はよろしく頼むぞ!」

 は、はぁ……という鈍い反応の声が聞こえてくるが、菘は構う様子もなく本題へと入っていく。なぜなら、今日ここへ来たのには目的があるからだ。

「お主らには危険察知能力を磨いてもらうぞ! 『むむっ、殺気を感じる!』とか言うけれど、実際どんなのは分からんであろう? で、ビビって身体が動かず色々手遅れだったりする!」

 ビシィと侍たちを指差す菘。

「とゆーことで! 具体的に経験して慣れて、殺気を浴びてもすぐ動けるようになってもらおう!」

 槍を構えたまま、頭に『?』を浮かべた侍たちに次の指示を与える。邪神の風格モードの菘は、侍たちの同意は待たぬ。やると言ったらやるのだ。

「さ、安全のために、少し距離を取って並んでくれ」
「は、はぁ……」

 何がなんだか分からないままに、侍たちは菘から距離を取った位置に整列する。同意は待たないが、指示はきちんとして動くのを待つ辺りに、菘の面倒見の良さが現れていた。

「実は妾はバトル自体より『落とす』方が得意分野でな。 心臓が止まらん程度まで、真面目に手加減してやろう!」

 そこまで言い切ると、菘は大きく息を吸い込んだ。これまで抑えていた存在感を露わにし、大きく空気を震わせた。

 ――きしゃーー!!

 文字にした効果音は可愛いが、纏う殺気は凄まじい。へたり込む侍が続出した。

「む、思ったより効果があり過ぎたか? 何、安心せよ。 危害は加えぬ」
「せ、戦場にはこんなのばかりなのか……」
「俺達強いと思ってたけど、こんなん相手にどうやって戦うんだよぉ」

 凄まじい殺気を浴びて、すっかり気弱になった侍たちに菘は笑う。

「案ずるな。 妾の殺気に耐えられれば、少々の相手に遅れはとるまい!」

 はーっはっはっは!と笑う菘に、侍たちは不安げな視線を向けながらもよろりと立ち上がる。

「うむ、その意気やよし。 立ち直ったら、少しずつ圧を上げていくぞ!」

 こうして殺気に慣れる特訓は続いた。殺気に怯まなくなった彼らは、きっと戦場に於いて冷静な状況判断ができるようになるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

安喰・八束
嘗てはこの国で戦働きも為していた身だ。
戦闘知識を活かし、あの魍魎どもと渡り合う術も教えられるだろう。

鉄砲持ちの猟師風情が相手取れるなら?
由緒正しき剣術を修めた身が負ける筈がねえ?
……ほう。
狼の前でよう吠えた
(怪我させない程度の「人狼咆哮」)
(からの銃剣による武器落とし)
魍魎どもに、見た目なんざあまり関係ねえのよ。
ただの農民が死霊を操る。蠍の化物が雷を放つ。
見極めが肝要だ。
……さて、俺がまだどのくらい手札を隠してるか気にならねえか?
何人掛かりでも構わねえよ。

煽りゃするが、実際手数が多くはねえ。
こいつらが連携と、咄嗟の一撃から退くことでも覚えてくれりゃ万々歳。

…若い、清い目は嫌いじゃねえんだよ。




 安喰・八束(銃声は遠く・f18885)の顔は厳めしく、ともすればとっつきにくい印象を与えることもある。だが、その気性は至って穏やかで面倒見が良い。
 八束は、嘗てこの国で戦働きも為していた。故に、これまで培ってきたものを伝え、魍魎どもと渡り合う術も教えられるだろうと、ここへ来た。
 即ち、目の前の侍たちにとって八束は、戦働きの上で先輩にあたると言える。なのにだ。

「鉄砲持ちの猟師風情が相手取れるなら? 由緒正しき剣術を修めた身が負ける筈がねえ?」

 目の前の年若い青年が発した言葉を、そのままに八束は繰り返し。

「……ほう」

 どこか小ばかにした笑みを浮かべる青年に、八束はニィと笑い返した。

「……狼の前でよう吠えた」

 その瞬間に、広場に凄まじい咆哮が響き渡る。ビリビリと空気が震え、その咆哮に気を取られた青年の手から刀が叩き落とされる。青年が衝撃に目を向ければ、八束の銃剣が目の前に突き出されていた。

「……魍魎どもに、見た目なんざあまり関係ねえのよ。ただの農民が死霊を操る。蠍の化物が雷を放つ。見極めが肝要だ」

 銃剣を突きだされながらも、プライドが許さないのか青年は八束を睨みつけていた。

「(いい表情、するじゃねぇか)」

 負けん気の強いその青年が、八束は嫌いではなかった。

「……さて、俺がまだどのくらい手札を隠してるか気にならねえか? 何人掛かりでも構わねえよ」

 実際に手数は多くない。だが、彼らが連携し不意を突くような一撃から退くことを覚えてくれれば、と思い敢えて煽る八束。

「おい、行くぞお前ら!」
「お、おぉ……!!」

 それぞれの武器を手にして、八束に対峙する青年たち。純粋に負けたくない、という気持ちがその瞳には宿っている。

「おう。どこからでもかかってきな」

 ――……若い、清い目は嫌いじゃねえんだよ。

 どこか眩しい思いで、八束は双眸を細めた。


 猟兵たちの手で、様々に戦いへの姿勢や対処を実践を交え学んだ侍たちは、きっと次の戦場でも活躍してくれることだろう。
 ただ、願わくばその若い命の灯が消えぬように、と。猟兵たちもまた、次の戦場の事に思いを馳せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月22日


挿絵イラスト