エンパイアウォー㉚~異国より来るは幼き雪風
●外つ国から来るもの
「まずは魔将軍コルキスの企み、無事に破ってくれたことを感謝するぜ」
戦場に集まった猟兵達を見渡して、四辻・鏡(ウツセミ・f15406)はまずは短く礼を述べた。
そしてすぐに、にやりと悪戯めいた笑みを浮かべる。
「そこで……ついでと言っちゃあなんだが、どうせならあのイケすかねぇヤツに、もう一泡吹かせてやろうじゃねぇか」
魔軍将・侵略渡来人コルテスは、どうやら幾つかの財宝をサムライエンパイアに持ちこんでいたらしい。
財宝と言っても金銀の類ではない。それは骸の海から渡来人を召喚し続ける、『血塗られた財宝』だ。一定時間ごとに呼ばれた渡来人は、そのまま信長軍の戦力となっていく、まさしく無限の軍を作り出す兵器だ。
「テメェの手間は一切かけずに自動で戦力を補充し続ける、コルテスらしいっちゃらしい仕掛けだよ」
不機嫌そうな面持ちで語る鏡は、猟兵達の前で地図を広げた。
「今回、行って貰いたい場所は山の中にある神社だ。その境の奥に、西洋の鏡が置いてある。それが財宝だ」
そこで呼び出されるのは遠い北の異国に生きるという雪の娘。
「異国の言葉で、スネグラーチカって、そいつらは呼ばれるらしい」
蒼い瞳、銀の髪、雪のように白い肌を持つ彼女達は遊ぶように氷を呼び、雪を起こす。
また、その美しさと愛らしさを武器に自身の力を高めることもするそうだ。
「仕掛けを守るためだろうな。財宝の周りには、常にそいつらは群れになって、仲間が増えるのを待っているんだ」
その数は最低でも10体。数が増え、20になったあたりで群れを半数に分け、半分が信長軍へ合流するとのことだった。
そして彼女たちを倒さない限り、鏡の破壊は不可能である。
「攻め入るタイミングは任せるぜ。数が少なけりゃあ制圧は簡単だろうし、多ければ多い分、骨は折れるが信長軍の戦力を削れるだろうよ」
戦いの優位性をとるか、戦場への影響をとるか。丁度良い着地点を探して欲しい、と鏡は付け加える。
「今後の戦争も何が起こるか分からねぇ。が、出来ることからやって行こうぜ。何事も積み重ねが肝心だ」
言葉では軽く言いながら、しかし見渡す視線には猟兵達への信頼をのせて。
鏡はタブレット内のグリモアを起動させたのだった。
天雨酒
●注意●
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
二つ目の戦争シナリオとなりました。天雨酒です。戦争もいよいよ佳境ですね。
本シナリオは成功シナリオが2本ごとに、魔空安土城の一部の戦場の制圧に必要な成功数が1減少します。
ということで、少しでも戦力を減らすお手伝いに為れたらと思います。
●戦闘について
場所は神社の境内になります。広さ、足場は戦闘には影響はありません。
社の奥に財宝は設置されていますが、敵の気配を察知すると直ぐに雪の娘が応戦します。彼女たちを倒さない限り、鏡には近づけないと考えて下さい。
●突入タイミングについて
このシナリオは、最初にリプレイに登場するキャラクターが『敵が何体の時に攻撃を仕掛ける』かを決めることができます(数は10体~20体になります)。
プレイングに、敵の数をご記入下さい。複数頂いていた場合は敵の数の記載がある中で、ダイスにて決定させていただきます。
敵が多ければ多いほど戦いは厳しいものになりますので、そのあたりも加味してのプレイングをお願いします。
こちらは断章追加の予定はありません。公開され次第、随時プレイング募集させていただきます。
それでは、皆様の戦いにご武運を。
宜しくお願いします。
第1章 集団戦
『雪女見習い』
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POW : ふぅふぅしてみる
【くいくいと対象を引っ張る動作】が命中した対象に対し、高威力高命中の【凍てつく氷の吐息】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : とにかくふぶいてみる
【全力で吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : みようみまねのゆうわく
予め【足を魅せる等の誘惑行動をとって赤面する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
イラスト:煤すずみ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラジュラム・ナグ
さぁて今回の相手さんは子供・・・か?
見た目はどうあれ討つべき敵には違いなし、
全力でゆくぞ!
折角だ、景気良く20体纏めて討ち今後の戦力を削いで行こう!
囲まれぬよう背中に遮蔽物を置く様に立ち回るぞ。
極力大剣の一撃で仕留められるよう急所を狙い叩き切る。
厳しそうであれば一撃目で体勢を崩し二撃目で仕留めるぞー!
掴まれそうなら蹴り出しつつ距離を取るぞ。
また足元の砂利を蹴り上げ目隠しや牽制として利用し使えるモノはフル活用だ!
おじさんは「力持ち」だからな、バチが当らない程度に灯篭も装備して加護で得るか?・・・なんてな。
押されて来たらUC発動で派手に暴れてやろう!
可能な限り数を減らし後続の仲間へ繋げていくぞー!
●突入
神社の境内では、白銀の幼子達がきゃらきゃらと笑いながら遊んでいた。
それらの肌は一様に、雪の様に白い。そして誰もが人外に繋がる儚さと美しさを持っていた。
と、ご神体が置かれていたと思われる社の扉が開いた。開けたは勿論、喚ばれたばかりの新たな雪の娘だ。少女は楽し気に群れの中に混ざっていく。
その様を鳥居の影から見ていたラジュラム・ナグ(略奪の黒獅子・f20315)は少しだけ複雑な顔をした。
「今回の相手さんは子供……か?」
目の前で戯れる少女達は、どれもラジュラムの3分の1にも満たない年の外見だ。そんな彼女達を、今回は相手取れという。
胸の内で少しだけ生まれた迷いを、いや、と首を振って払った。
見た目はどうあれ、彼女たちは異国より来るオブリビオン。討つべき敵には違いない。
やるからには、全力で征こう。
「折角だ、景気よく纏めて落ち、今後の戦力を削いでいこう!」
ラジュラムが飛び出したタイミングは、雪の娘達の群れが一番多くなる時だった。その数は20体。40もの蒼い瞳が一斉に彼へと向く。
途端、ラジュラムの背筋に、寒気が走った。戦場を渡り歩いてきた傭兵としての、長年の経験で培われてきた勘が告げていた。
この群は強大である。生半可なことでは、押し負けて膝を折るのはこちら側である、と。
「でやッ!」
気圧されることなく、まずは間近にいた雪の娘へと大剣を振り下ろした。ラジュラムの身の丈ほどもあろうかという大剣が真っ直ぐに少女の白い肌へと食い込んでいく。
手ごたえはあった。しかし確実に倒したかどうかを確かめる術はない。
大剣を構え直す暇もなく、紅葉の様な手が無数にラジュラムに向かって伸ばされたからだ。一度その手に捕まれば、待っているのは氷漬けの運命である。
最前にいた雪の娘を蹴り出し、後列へ押しやる。後続の娘が倒れ、列が乱れた隙に、抜いた剣で先程の斬りつけた娘の首を跳ねた。
これでまずは一体。
跳ねた首はまるで雪の結晶のように、地面に触れる前に溶けて消えてなくなっていく。それを身届ける暇など、今のラジュラムには無い。
倒れた娘が起き上がる前に走り出す。目的は境内にあった石灯籠。それを背に置き立ち振る舞うことで、囲まれることだけは阻止しようと考えた結果だった。
あと少し、といったところで、外套が何かに引っかる感覚がした。いや、引かれたのだ。雪の娘に。
「しまったッ……!?」
『おじさん、遊びましょ?』
雪の娘が鈴の様な声で笑い、ふっと吐息を吹きかける。それだけで、ラジュラムの装備が音を立てて凍り付いた。
このままでは動けなくなる。そうなる前に、ラジュラムは地面を蹴り上げた。地面に敷き詰められた砂利が宙を舞い、少女の顔にもろにぶつかる。たまらず少女は吐息を吹くのをやめ、顔を守った。
その隙をついて、大剣を横薙ぎに。遠心力が乗った一撃は、顔を覆う少女の身体を二つに両断する。これで二人目。
息を切らせて灯篭へとたどり着く。しかし、待っていたように視界に広がるのは自身を興味深げに見る青い瞳と、白い紅葉。
ラジュラムの中でぷつん、と理性の緒が切れた。
「ああ、もう、面倒くせぇ……!」
順序良く、お行儀良く。作戦を立てて戦うのはもうやめだ。そう吠え、理性を手放す。
大剣を片手持ちに変えると、もう片方の手で背後に置いた石灯籠を砕き折る。それを軽々と広い上げると、まるで棍棒のように振るった。
次々と吐息を吹きかけられ、体が凍てついていくにも構わず、動き回る少女を追いかける。手に持った灯篭を投げつけ、その足を押し潰す。袖を引く細い腕を掴み上げ、投げ飛ばす。一纏めにしたところで飛び掛かり、力任せに大剣を叩きつけた。
そうしてラジュラムは文字通り、力尽き離脱する寸前まで少女を蹴散らし、暴れ回るのだった。
成功
🔵🔵🔴
早乙女・翼
今度のはその名前の感じからしてロシア系か。
次から次に出てくる辺りはマトリョーシカみたいさねぇ。
行った段階でそこに居る奴15人くらいいる?
全部潰せばいいかなーとか思ってるけど。
少なくとも、10体旅立たせるまで待つ気は無い。
つーか、可愛いなこいつら畜生。
ロリ趣味はねーけど、子供には甘いからな俺。
って服掴ませないからな!?(ばさばさ上に回避)
幾ら雪国生まれでも寒いのは寒いし、うん。
君達の季節じゃないさよ、と炎の鎖を詠唱略で鞭の様に放って攻撃。
薙ぎ払うように横にべしべし振るってみる。
熱には絶対弱いだろうと思うし。
溶けて無くなってくれたら、幼い見た目の子を攻撃したっていう罪悪感も少しはマシかねぇ…。
●廻る季節のその先で
「今度のは名前の感じからしてロシア系かね」
獅子のように暴れ回ったラジュラムと交代するように、早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)は深紅の両翼を広げ、空から境内へと降り立った。
「次から次に出てくる辺りはマトリョーシカみたいさねぇ」
のんびりとした口調で言っていると、雪の娘の一人とばっちりと目が合ってしまった。う、と思わず言葉に詰まる。
「……可愛いなこいつら畜生」
敵であると分かっていながらも、そう漏らさずにはいられなかった。少女達の氷のような青い瞳は円らで、その顔立ちはどれも愛らしい。小さな手足は力を入れれば容易く手折れてしまいそうな儚さがあった。妖精と言われるのも、成程頷ける。
少女を愛する趣味はないが、子供には甘い自覚がある翼だ。少しだけ、攻撃の手に迷いが生まれた。
しかしそれはほんのつかの間。
「って、服掴ませないからな!?」
新たに出現した敵を掴もうと伸ばされた手に、慌てて羽根を動かし、空へと逃げた。数枚の羽根とコートの裾が少し犠牲になったが、氷の吐息からは逃れることに成功する。
仕方ない、と翼はため息をついた。彼自身、雪国の出身で寒さにはそこそこ強いとの自負はある。しかし全てを凍らせてしまうというのならは話は別、何事にも限度というものがある。
端的に言うと、寒いものは寒いのだ。
氷の吐息のお返しにと、翼が呼び出したのは炎を纏った鎖。長袖に隠れた傷痕から具現化されたそれを、少女に向けて撃ち出した。
スネグラーチカは春の女神と霜の神の間に生まれた雪の娘。その存在は太陽の光に滅ぼされる、森の奥に息衝く隠された娘。つまり彼女達は熱に弱い。
鎖に触れた少女はあっという間に炎に包まれ、水たまりとなって消えてしまった。
迫る熱を嫌がるように、逃げるように、他の少女達も翼の周りから散っていく。
「逃がさないさね」
宣言しながら地面へと降り立ち、鎖を鞭のように横薙ぎへ振るった。
足を取られ、転んだ少女達の悲鳴が上がる。その声に少しだけーー後ろめたさを感じるも、今度は逃げられないように鎖で少女達を一纏めに縛り上げる。
その愛くるしい見た目のまま動きを止めるのではなく、全て溶けて消えてくれたなら。口の中に広がる苦味も、胸の痛みを少しはマシになるのだろうか。
それが都合の良い話であると、只のエゴであると、自覚はしていたけれど、考えないではいられなかった。
それでも、今目の前にいる少女は、サムライエンパイアを脅かす者の一人であるから。
ぎゅっと、手に持った鎖に力を込める。浄化の力を宿す炎の揺らめきが手元で強くなり、鎖の先、雪の娘まで走っていった。
瞬く間に少女達の姿が炎に隠れていく。
「……今は君達の季節じゃないさよ」
恋の熱も、太陽の暖かさも知らない少女達は、紅蓮の天使の浄化によって空へと還される。
命が眠る季節にはまだ早いから。また逢うその日まで、とーー。
大成功
🔵🔵🔵
フォルセティ・ソルレスティア
◎【ペア/f00964】【WIZ】
「北国のオブリビオンだと暑さに弱そうだけよね」
フィオ姉ちゃんと一緒に雪女見習いをやっつけるよ!
えとね、10体の時を狙って突入するつもりだよ。
【行動】()内は技能
「氷には炎で対抗しないとね。ボク達からいっちゃうよ」
フィオ姉ちゃんと阿吽の呼吸でウィザード・ミサイルを一斉発射(先制攻撃×2回攻撃) 着物毎燃やしちゃうね。
吹雪攻撃にはグアルディアン・サトゥルノを展開して相殺するんだ。もちろんフィオ姉ちゃんもカバーするよ
雪女見習いのゆうわくは…、うーん見ても良く分からないや
「アッツアツの隕石だよー」
トドメとばかりに火の(属性攻撃)でカラミダド・メテオーロを叩きつけるよ
フィオリナ・ソルレスティア
◎【ペア/f05803】【WIZ】
「スネグラーチカはサンタクロースの孫娘らしいわね」
■作戦
フォルセティとの火属性の連携攻撃で雪女見習い達を殲滅する
(確実な10体の時に突入)
■行動
「相手の弱点は火属性の攻撃よね」
[先制攻撃×2回攻撃]の【ウィザード・ミサイル】で炎の矢を浴びせて雪女見習い達の戦意を減らす
「まだまだ熱いのいくわよ」
1体の雪女見習いにオートフォーカスで狙いを定めて、『火』の[属性攻撃]付きで【バベルの光】を撃ち落とす
確実に1体仕留めたら次のターゲットに狙いを定めて攻撃を繰り返す
ふぅふぅ攻撃は距離をとって避けつつ、吐息は【アイギスの盾】で相殺する
「一応、ノルマは達成かしら」
●遥か天より
せーの、二つの声が同時に上がった。高低の差はあれど、よく似た二つの声色はよく調和する。
その声を合図に神社の上空に、500を超える無数の炎の矢が浮かび上がった。
「氷には炎で対抗しないとね。ボク達からいっちゃうよ」
フィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)とフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)、魔法使いの姉弟だからこそ生み出せた連携の一撃である。
一斉に降り注ぐそれはまるで炎の豪雨。
先にもあった通り、雪の娘は熱に弱い。
雪の娘も吹雪と氷で応戦するも、文字通り焼け石に水だ。氷を思わせる薄い色の服が焼け焦げ、雪を思わせる白肌が煤汚れていった。
そうして群が散り散りとなり、集団としての脅威が薄れたタイミングで、二人は突入する。
「北国のオブリビオンだと熱さに弱そうだと思ったけど……正解だったみたいだね」
「なら、まだまだ熱いのいくわよ」
フィオリナのゴーグル、【VF-1オートフォーカス】の照準が少女の一人へと固定された。
遥か上空、此処とは別世界の宙の彼方。そこに存在する人工の星へ電脳魔術を通してフィオリナは指示を送る。
対象認識――砲火。
光の速度で次元を超え、熱光線が落とされた。
「ただの魔法使いかと思った?」
四大属性だけでなく、電脳空間までも操る彼女ならではの一撃だ。通常よりも炎の出力を上げられたそれは瞬く間に少女を焼き尽くす。
じゅ、と蒸発する音がして、少女の姿は跡形も消えて無くなった。
しかしその隙を狙って、フィオリナの後ろから雪の娘が襲い掛かる。指先に冷気を集めると、ぱたぱたと宙を扇ぐ。一見他愛無い子供の遊びのような行動であったが、それは霜を呼び、あたりの地面を凍らせるほどの威力を秘めた一撃となる。
全てを凍らせる冷気がフィオリナに迫った。
しかし、それを阻む姿が一人。
「させないよ!」
弟のフォルセティだ。
超高速で空を駆ける箒に飛び乗り、冷気と姉の前にその身を晒す。両の掌をかざし、虹色に輝く魔法の障壁を呼び出した。七色の光は雪の娘の放った冷気を受け止め、相殺させる。
フォルセティと雪の娘達、しばし視線が合う。二人の炎の雨にうたれて、雪の娘たちの服はみな焼け焦げ、白い肌が露わになっていた。
見られることが恥ずかしかったのか、少女達が顔を赤らめる。その仕草は一部の者には大変愛らしく、またその道の者にはあどけなさと艶やかさが合わさりとても魅力的にうつる……のかもしれない。
そしてそれが雪の娘自身にも力となるのだが……。
フォルセティはきょとんと首を傾げた。そういったものを理解するには、彼はまだ若すぎる、当然の結果だった。
「良く分からないけど……じゃあ次はボクの番!」
空飛ぶ箒に跨りながら、もう一つの巨大な箒【聖箒ソル・アトゥース】を眼前に構える。強大な力が秘められた魔術具でもあるそれに自身の魔力を通していく。
フォセルティには理解できなかったが、少女達の行為は行うことにより、比例した力を得られるものだ。よって、少女達の速さは、冷気の鋭さは上がっているのだが、そんなことにも構わずに彼は詠唱を始めた。
だって自分は一人では無い。
「させないわ」
フォルセナの詠唱の間、今度はフィオリナが光輝く盾を翳し、壁役を買って出る。
互いに魔法を得手として、互いの間合いを熟知しているからこそ行えるコンビネーションだ。
姉の背中に守られながら、フォルセナは詠唱を続ける。
空へ願う。集えと呼ぶは、紅の礫。
「悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎……」
くるりと箒を回し、先端を雪の娘へ。
直後、轟音と共に巨大な隕石が空を裂いた。
炎を纏った一撃は、落下した周囲の雪の娘を一掃する。
「アッツアツの隕石だよー」
凄まじい魔法の一撃に反し、のんびりとした口調で言いながらフォルセティは笑った。
「これで一応、ノルマは達成かしら……?」
炎の雨に炎の光線。そして炎の隕石。
灼熱に炙られた雪の娘の数はもはやまばらだ。
しかしこちらの魔力の消耗も大きい。次の一手で決めるべく、魔法使いの姉弟は態勢を立て直しに一度その場を離れるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●蝶の羽搏き
20体。
それはこちらの手勢の倍以上の数である。その数字はいかに力量に差があるとはいえ、十分に脅威になる戦力だ。
しかしだからこそ、見返りは多い。本軍へと向かう戦力を減らせばそれだけ優位をとれるのは猟兵側の方だ。
だから、たとえ今の戦いが厳しいものになったとしても。サンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)は先行し、その数字を選んだ者の意見に賛成であった。それでいて、コルテスの目論見を潰せるのなら尚更だ。
「もっとも、アイツはこの差に興味なんてなかっただろうけど」
一度は刃を交えた強敵の、我関せずといった表情を思い出しながらサンディは苦笑を浮かべる。一方的な感情であるかもしれないが、戦力の減少という数字がつきつける事実は変わらない。
「ま、単純に今度の為にはなるよね」
そう一人呟いて、残る雪の娘に意識を切り替えた。
炎の猛攻をかいくぐり、生き残っている数は二人。ここまでくれば、油断しない限り仕損じることは無い。
残る雪の娘達は焦げた服の裾を払い、自ら肌を晒すことで少しでも自身の力を高めようとしていた。そんな誘惑ともとれる行動には、残念ながら何の感慨も湧かない。逆に、サンディは冷静にその行動を分析していた。
この場合、彼女たちの能力はサンディの反応によって影響を及ぼすものではない。彼女達自身が『恥ずかしい』と感じることによって作用する。
だとしたら、彼女たちはその行動を行えば行うだけ、その力は上乗せされる。面倒な仕組みだと感じた。
ならば、そうなる前に潰そう。
「そんなことしている暇はないよ?」
言葉と共にサンディの手の中でフック付ワイヤー【朔】が躍る。二人の少女の内、片方を捕らえ、引き倒した。そうして誘惑の行動を阻害しつつ、暗夜の剣を構えて疾駆する。
漆黒の刃が少女の腹を貫いた。そうして捕らえたところで、己の中に秘めていた『悪意』を解放した。
浮き出るそれは同化への渇望。喰らって溶けて混ざりあい、己の力へと変えんとする力は闇を生み出し、黒水晶となり無数の矢を生み出す。
剣に貫かれた雪の娘にはそれから逃れる術はない。
そうして、一人。
残る少女も彼の持つ朔の手の内だ。
せめてもの抵抗なのだろうか。ワイヤーに絡めとられたままの少女が彼の服を引っ張り、冷気を放つ。が、サンディはそれを避けることもしなかった。
ここまでくれば、わざわざ攻撃を回避するよりも、サンディが彼女にとどめを差す方がはるかに速い。
彼の心中を察したのか、少女の青い瞳が恐怖で染まる。
浮かぶ感情は、特には無かった。
境内にいた全ての雪の娘を水へと還し終え、サンディは社の中に入った。
直ぐに目的のものは見つかった。木造の部屋のなか、それは異様な気配を放って鎮座している。
神社という神聖な場にそぐわない、おどろおどろしい細工の西洋の鏡。
コルテスの残した血まみれの財宝。
それを守る異国の白雪はもういない。
「これで、終わり……!」
上段から振り下ろされた暗夜の剣が鏡を両断する。
こうしてまた一つ、信長軍へ向けた援軍の拠点が破壊された。
その数は全体に比べれば微々たるものかもしれない。それでも、小さな数はいつしか合わさって、大きな影響をもたらすだろう。
異国から来たる北風は吹き止み、境内には静寂だけが残っていた。
※こちら操作を誤ってリプレイを投稿してしまいました。同じ文章が二回投稿される形になってしまいますが、ご了承下さい。申し訳ありません。
サンディ・ノックス
※アドリブ・連携歓迎
厳しい戦いになるとしてもできるだけ多く狩る、先行した同業者に賛成だな
少しでもコルテスの目論見を潰したい
もっともアイツはこの差に興味なんてなかっただろうけど
単純に戦力減らしは今後のためになるよね
敵の誘惑には何も感じないけど本人が恥ずかしいと思って強くなる仕組みなら面倒だね、潰そう
「そんなことしている暇はないよ?」
暗夜の剣で斬り、朔で引き倒し、ユーベルコード【解放・夜陰】で串刺しにする
基本は1体ずつ倒すけど敵の強化行動(赤面する等)の妨害が最優先
残っている敵の数にもよるけど動きを【見切】って躱すにも限度があるだろうな
群がってきても1体ずつ処理、最悪【氷結耐性】に頼って強引に動く
●蝶の羽搏き
20体。
それはこちらの手勢の倍以上の数である。その数字はいかに力量に差があるとはいえ、十分に脅威になる戦力だ。
しかしだからこそ、見返りは多い。本軍へと向かう戦力を減らせばそれだけ優位をとれるのは猟兵側の方だ。
だから、たとえ今の戦いが厳しいものになったとしても。サンディ・ノックス(闇剣のサフィルス・f03274)は先行し、その数字を選んだ者の意見に賛成であった。それでいて、コルテスの目論見を潰せるのなら尚更だ。
「もっとも、アイツはこの差に興味なんてなかっただろうけど」
一度は刃を交えた強敵の、我関せずといった表情を思い出しながらサンディは苦笑を浮かべる。一方的な感情であるかもしれないが、戦力の減少という数字がつきつける事実は変わらない。
「ま、単純に今度の為にはなるよね」
そう一人呟いて、残る雪の娘に意識を切り替えた。
炎の猛攻をかいくぐり、生き残っている数は二人。ここまでくれば、油断しない限り仕損じることは無い。
残る雪の娘達は焦げた服の裾を払い、自ら肌を晒すことで少しでも自身の力を高めようとしていた。そんな誘惑ともとれる行動には、残念ながら何の感慨も湧かない。逆に、サンディは冷静にその行動を分析していた。
この場合、彼女たちの能力はサンディの反応によって影響を及ぼすものではない。彼女達自身が『恥ずかしい』と感じることによって作用する。
だとしたら、彼女たちはその行動を行えば行うだけ、その力は上乗せされる。面倒な仕組みだと感じた。
ならば、そうなる前に潰そう。
「そんなことしている暇はないよ?」
言葉と共にサンディの手の中でフック付ワイヤー【朔】が躍る。二人の少女の内、片方を捕らえ、引き倒した。そうして誘惑の行動を阻害しつつ、暗夜の剣を構えて疾駆する。
漆黒の刃が少女の腹を貫いた。そうして捕らえたところで、己の中に秘めていた『悪意』を解放した。
浮き出るそれは同化への渇望。喰らって溶けて混ざりあい、己の力へと変えんとする力は闇を生み出し、黒水晶となり無数の矢を生み出す。
剣に貫かれた雪の娘にはそれから逃れる術はない。
そうして、一人。
残る少女も彼の持つ朔の手の内だ。
せめてもの抵抗なのだろうか。ワイヤーに絡めとられたままの少女が彼の服を引っ張り、冷気を放つ。が、サンディはそれを避けることもしなかった。
ここまでくれば、わざわざ攻撃を回避するよりも、サンディが彼女にとどめを差す方がはるかに速い。
彼の心中を察したのか、少女の青い瞳が恐怖で染まる。
浮かぶ感情は、特には無かった。
境内にいた全ての雪の娘を水へと還し終え、サンディは社の中に入った。
直ぐに目的のものは見つかった。木造の部屋のなか、それは異様な気配を放って鎮座している。
神社という神聖な場にそぐわない、おどろおどろしい細工の西洋の鏡。
コルテスの残した血まみれの財宝。
それを守る異国の白雪はもういない。
「これで、終わり……!」
上段から振り下ろされた暗夜の剣が鏡を両断する。
こうしてまた一つ、信長軍へ向けた援軍の拠点が破壊された。
その数は全体に比べれば微々たるものかもしれない。それでも、小さな数はいつしか合わさって、大きな影響をもたらすだろう。
異国から来たる北風は吹き止み、境内には静寂だけが残っていた。
成功
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