エンパイアウォー㉚~血濡れた珍客はお断り!
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1本の榊が神木として祀られる、山陽地方にある小さな神社。
そこでは普段では見ることのない珍客たちが我が物顔で神社の敷地内に居座っていた。
ちりんと涼やかな音色を鳴らしながら、周囲を警戒する珍客。
珍客の群れは徐々に数を増やし、ある程度の数が揃ったところで互いの武運を祈り、およそ半数が鳥居をくぐってその場を去っていく。
それからしばらく、またどこかからまた仲間が集まり、旅立ってを何度も繰り返す。
赤い衣を身にまとった珍客は――二足歩行する異国の猫であった。
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「サムライエンパイアでの戦いに進展があったよー!」
指矩・在真(クリエイトボーイ・f13191)はぴょこぴょこと跳ねて青い髪を揺らしながら集めた猟兵たちに説明する。
「実はね、魔将軍・侵略渡来人『コルテス』が骸の海から渡来人を呼び寄せる財宝を持っていたことがわかったんだよー」
渡来人を呼び寄せる財宝。それはかつてコルテスが侵略した文明から略奪した代物であり、一定時間ごとに、特定のオブリビオンを骸の海から召喚し続けるという。
「自分はなぁーんにもしなくても、設置した場所の力を吸収して、自動で戦力を補充し続けちゃうなんて……血濡れの財宝と呼ぶには十分な代物じゃないかな」
今こうして説明している間も、血濡れの財宝は新たな渡来人を呼び出し続け、信長軍の戦力を増やし続けている。
しかし、その財宝を破壊することが出来れば信長軍の戦力を減少させることが可能となる。
「とりあえずボクも1つその財宝を見つけたんだ。だから、みんなにはその財宝の破壊と呼び出された戦力の撃破をお願いしたいんだよ」
ここがみんなに行ってもらう場所ね、と在真は宙にホロ画面を展開する。
映し出されたのは山陽地方にある小さな神社。社のすぐ近くでは大きな榊が神木としての存在感を強く放っている。
「このご神木の根元にすごーく暗い色をしたオーブが埋められてるんだけど、それがコルテスの血濡れの財宝だよ」
在真は手元のキーボードを操作して画面の一部を拡大し、画面越しでも伝わるほどにおぞましい、暗褐色の暗い輝きを秘めたオーブを映し出す。
「この通り半分見えてるから見つける分には問題ないはずだけど、まぁ、財宝を守る敵もいるわけで」
在真曰く、財宝の周囲では常に10~20体のオブリビオンが財宝を守っているという。
召喚されたオブリビオンが20体となると、半数の10体が魔空安土城を目指し移動を開始するため数が不定であるようだ。
「単純にこっちが優位の状態で戦闘を挑みたいなら当然10体のタイミングがベストだけど、もっとたくさんいるタイミングで仕掛ければその分だけ敵の戦力を削れるよ。だから、いつ交戦に入るかはみんなに任せるね」
画面を消し、猟兵たちを見据え直す在真の表情は真剣そのものだった。
「予知で見た限り、ここには呼び出されたオブリビオンしかいないのはたしか。でも欲張りすぎて大怪我しましたっていうのはダメなんだよ!だから気を付けていってらっしゃい!」
星型のグリモアが輝き、猟兵たちを予知された舞台へと転送し始めた。
灰猫
御覧いただきましてありがとうございます。灰猫と申します。
今回の舞台はサムライエンパイアでございます。
●当シナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
成功シナリオが2本ごとに、魔空安土城の一部の戦場の制圧に必要な成功数が1減少します。
●プレイングについて
リプレイ作成1人目に関しては『敵が何体のときに戦闘を挑むか(10~20体)』が明記されているプレイングを優先と致します。
2人目以降は1人目の方が設定した敵の数に従うため、敵の数にかかる指定は不要となりますが、順番が前後する可能性もあるため記載の省略は1人目のリプレイが公開されていない限りおすすめ致しません。
それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております。
第1章 集団戦
『異国のカンフーにゃんこ』
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POW : にゃんこ流一本釣りにゃ
レベル×1tまでの対象の【衣服(棒の先に引っ掛けることで)】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD : これがにゃんの超速戦闘術にゃ
自身の【装備する鈴】が輝く間、【鈴の音が一切聞こえない無駄のない体術で】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : にゃんにとってはこの世の万物が武器となるのにゃ
自身からレベルm半径内の無機物を【使い捨ての自身の装備武器】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:ひろしお
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「きっちり10体になった時に戦闘を挑むよ」
確実に勝ちは拾っておきたいからね。カンフーにゃんこ、覚悟だよ!
【行動】()内は技能
「強化版またたび爆弾炸裂だ!」
またたびと美味しいカリカリを詰めた袋を(投擲)で投げるよ
にゃんこの頭上にばら撒いて少し混乱させるよ
「今のうちにアタックチャーンス」
続いて(高速詠唱)でウィザード・ミサイルを放つんだ。これで先制パンチだね
カンフーにゃんこが炎の矢で怯んだら聖箒を掲げてファイナルアタックだよ
(全力魔法)のカラミダド・メテオーロ!
「これで勝負ありだね」
無機物攻撃にはグアルディアン・サトゥルノを展開して相殺するよ
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
「安全策をとって10体になった時に仕掛けるわ」
■作戦
フォルセティとの連携攻撃(WIZ型UC)でカンフーにゃんこを撃破する
■行動
「まずは小手調べね」
弟のまたたび爆弾?に続いて[高速詠唱]からの【ウィザード・ミサイル】で
無数の炎の矢をカンフーにゃんこに浴びせる
にゃんこの無機物攻撃は【アイギスの盾】で、それ以外の攻撃は[見切り]と[ジャンプ]で
華麗に躱していく
「火が燃え移らないようにしておかないと」
フォルセティの隕石で生き延びたにゃんこに対して[全力魔法]で【フィンブルの冬】と唱えて
トドメと同時に火を鎮める
「これだけ倒せばノルマは果たせたかな」
セシル・ラピエール
さて、ちょっとした裏方のお手伝いだ
敵の数は10体がいいかな
これより多い数を希望する人がいるなら合わせるよ
極力目立たないように周辺の地形を活かしつつ、他の猟兵へ向けられる攻撃を妨害しよう
基本的には《敵を盾にする》ことで対応するけれど……糸の操作が間に合いそうになかったり、手頃な敵がいないなら、人形で庇うよ
人形が壊れても、ボクはあまり困らないからね。直せばいい話だから
(小声)……当たり所が悪いだけで死ぬような、脆くて情けない生物とは違いますしね
猫の姿をしたお前も、こうして寄ってたかって殴られたら死ぬのでしょう?
逃げるならご自由に。この人形は、お前を殺すまで止まりませんよ(【シャルドンの花束】)
「今がチャンスかな」
身を潜めて機会をうかがうフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)とフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)の視線の先には、髭をぴくぴく動かしながらオーブの警護を行う異国のカンフーにゃんこ。
その数はちょうど10体。
確実に目標を達成するために、二人は安全策として最もカンフーにゃんこの数が少ないタイミングを選んだのだ。
「まずは小手調べね」
フィオリナの言葉にこくりと頷いたフォルセティは、懐から拳1つほどの大きさに膨らんだ袋を取り出し、思い切りカンフーにゃんこへと投げつける。
「敵襲かにゃあ!?」
突然飛んできた袋に警戒の一気に高めるカンフーにゃんこたちであったが、袋の口からこぼれたものは彼らからすれば予想外のものであった。
「にゃーん。な、なんか……気分がいいにゃあー……」
「ご飯っ!ご飯が降ってきたにゃっ!」
あるにゃんこはふらふらと足がおぼつかなくなり、あるにゃんこは地に落ちた物体へと手を伸ばし口の中に運び始める。
フォルセティが投げたのは、はまたたびと美味しいカリカリが詰まった強化版またたび爆弾。
その威力は絶大で、フォルセティの狙い通りまたたびとカリカリに夢中になるにゃんことそれを諫めるにゃんことでその場は大混乱に陥った。
「今のうちにアタックチャーンス! やるよ、フィオ姉ちゃん!」
「ええ、任せて」
その混乱に追い打ちをかけるように素早く詠唱を行い、合わせて500を超えた炎の矢の雨をにゃんこたちへと降らせる。
おびただしい数の矢の雨ににゃあにゃあと悲鳴を開けるにゃんこたちであったが、攻撃されていると理解したにゃんこたちから徐々に周囲の石や落ちていた木の枝を使って攻撃から身を守り始める。
「そこかっ、お前らの好きにはさせないにゃ!」
いち早く矢の雨から抜け出したにゃんこの1体が、残像を残す身のこなしでフィオリナとフォルセティめがけて小石を蹴り飛ばした。
弾丸のような勢いで飛んできたいくつもの小石をフィオリナは魔法の盾を呼び出して防ごうとするが。
「にゃん!?」
間に割って入るように飛び込んできたにゃんこによって、にゃんこの攻撃は防がれる。
どういうことだと首をかしげるフィオリナであったが、すぐさま目の前の敵に集中し直し、距離を詰めてきたにゃんこの突きをコートの裾をふわりと翻しながら躱すのであった。
「間に合ったみたいだね」
2人から少し離れた、木という障害物が多い場所でセシル・ラピエール(サーヴァント・f01008)は安堵の笑みをこぼす。
にゃんこたちが反撃に出ようとしているのにいち早く気が付いたセシルはまたたびによって動きが鈍っていたにゃんこを糸で拘束し、盾として使うためににゃんこを操っていたのだ。
盾として仲間の攻撃を一身に受けたにゃんこは儚く散る形で拘束から解放され、セシルは操るものを失った糸を回収する。
次の手駒を捕えるために再び糸を伸ばそうとしたセシルであったが、不意に敵意を感じてその場から大きく飛び退いた。
次の瞬間セシルがいた場所に1体のにゃんこが棒を振り下ろしながら急降下してきたが、攻撃がかわされたとわかるとすぐにセシルとの距離を詰めて棒術による連撃を繰り出し始める。
その場にいるのはにゃんことセシルのみ。
盾にできそうなものがないならばとその攻撃を自身のからくり人形で攻撃を受ける。
「そんな人形すぐに壊してやるにゃ、猟兵!」
時折蹴りを交えながら猛攻を加えるにゃんこの一言に、セシルの眉がぴくりと跳ねる。
セシルにとっては人形は壊れてもあまり困らない、直せば問題のないもの。
それをこのにゃんこはあたかも壊れたら終わりと口にした。
死んでしまえば次のない存在と同一に扱うような発言はセシルにとっては地雷ともいえるにも関わらず、そのにゃんこは言葉にしてしまった。
「……当たり所が悪いだけで死ぬような、脆くて情けない生物とは一緒にしないでほしいものですね」
「なんか言ったかにゃ!?」
あまりにも小さすぎた呟きに食ってかかるにゃんこを見つめるセシルの視線ははあまりにも冷たい。
能面のような、感情の読み取れない表情でにゃんこを大きく突き飛ばしたセシルの傍には、いつの間にか薊の髪飾りを付けた人形が寄り添うように控えていた。
「猫の姿をしたお前も、こうして寄ってたかって殴られたら死ぬのでしょう?」
人形たちは地を滑るように動き、にゃんこを取り囲む。
薊の棘が近づくものを傷つけるように、手を刃のようにした人形たちは一斉ににゃんこを突き刺し、命の花を摘み取ったのだった。
命を嫌悪し、徹底的に排除する人形が1匹のにゃんこを屠っているころ。
フォルセティとフィオリナが召喚した矢も残りわずかといったところであったが、奇策によりにゃんこたちはいまだ連携もままならぬ状況にあった。
「悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎」
聖箒を掲げるフォルセティの周囲では、頭上で浮かぶ灼熱の巨大隕石がもたらす熱が渦巻き。
「氷の檻に閉じ込めてあげる。氷結へ導け、黄昏の吹雪よ!」
白銀のドレスを身にまとったフィオリナの周囲では白い雪がちらほらと舞い踊り。
それは二人のウィザードによる一撃が放たれる前兆であった。
にゃんこたちも一層危険な攻撃が来ることは理解したようで回避の動きを見せていたが、全力の魔法はそれを許さない。
「カラミダド・メテオーロ!」「フィンブルの冬」
灼熱と氷結が同時に襲い掛かる様はまさに地獄。
多くのにゃんこは隕石の炎で焼かれ、一足早く逃げたにゃんこたちは吹雪の中で凍り付くことになったのだった。
大成功
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龍泉寺・雷華
※アドリブ連携歓迎
異界より眷属を召喚するとは興味深い魔道具ですね!
ですが、我は孤高の天才魔術師故……破壊させて頂きましょう!
我は20体相手でも余裕ではありますが、安定を取って15体くらいの時に仕掛けましょうか
いやーほんとに20体余裕なんですけどね!
敵が多勢となれば、ここは高威力の範囲魔術で一網打尽にするのが最上!
詠唱には少々の時間が必要ですが、守勢の剣術と魔術障壁にて時間を稼ぎます!
ふふふ……詠唱さえ終わってしまえば後は我の独壇場!
さぁ、此度連ねるは三節の魔術!
そのいずれもが天より降る力……即ち雷を呼び寄せ、広範囲を攻撃するもの!
一度なら耐えられても、三度の雷を凌ぎ切る事は容易ではありませよ!
血濡れの財宝と称された異界より眷属を召喚する魔道具。
それは龍泉寺・雷華(覇天超級の究極魔術師・f21050)からすれば非常に興味深い物であった。
持ち帰り研究、または自分の武器として使うのも面白いかもしれないといった考えがよぎらなかったでもないが、孤高の天才魔術師としての自負がそれを是としなかった。
たかが10体のカンフーにゃんこ、それも手負いの者ばかりの軍勢に遅れなど取らないとばかりに自信に満ちた笑みを浮かべ、雷華は高らかに宣言する。
「我は孤高の天才魔術師故……財宝は破壊させて頂きましょう!」
突然の新手、それもコートを翻し一部の層が好みそうな個性極まったポーズでの登場に何言ってんだコイツといった表情になるにゃんこ。
しかし雷華が猟兵であること、そして発した言葉の意味を理解するとすぐに棒を構えて敵意をむき出しにする。
「魔の理は我が手の内に!」
「にゃっ、また術遣いかにゃ!? 詠唱をやめさせるにゃー!」
にゃんこたちは左目を閉じたことによって生まれた死角を中心に棒や瓦礫を武器として攻撃を繰り出す。
しかしそれらは詠唱の片手間に振るわれる剣と展開された魔術障壁による守りを崩すことはかなわなかった。
「ふふふ……時間切れです」
雷冥剣クルシェラをにゃんこたちに突き付けてニヤリと笑う雷華の左目はまだ閉じている。
しかし空にはいつの間にか暗雲が垂れ込み、ゴロゴロと不穏な音を響かせ、準備が整っていることをわかりやすく主張していた。
ゆっくりと開かれた瞼から魔力の輝きがこぼれる。
「さぁ、此度連ねるは三節の魔術! そのいずれもが天より降る力……即ち雷を呼び寄せ、広範囲を攻撃するもの!」
雷華の詠唱を呼び水として轟音と共に目を焼き焦がす眩しい光が大地に叩きつけられる。
初撃を耐え切ったにゃんこたちもいたが、追撃の前に一体、また一体と光に飲まれて姿を消していく。
一切の反撃を許さず仁王立ちする雷華の独壇場と呼ぶにふさわしい光景であった。
雷による蹂躙が終わると、その場に残っていたのは涼し気な表情を浮かべる雷華と満身創痍で膝をつく、すっかり数を減らしたにゃんこたちだけであった。
大成功
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ミスト・ペルメオス
【WIZ】
戦力の漸減と確実な財宝の破壊を目指すため、財宝の周囲の敵が10~15体の時に仕掛けるとします。
愛機たる機械鎧を駆って参戦。
スラスターを駆使した立体的な機動と、複数の武装を距離に応じて切り替えながらの射撃戦を主軸に立ち回る。
今回の敵は見た目に反して厄介な能力を使うらしい。
専用デバイス等を介し、念動力を最大に。
敵の動作や目論見を注意深く見切りつつ、射撃戦の合間に【サイキック・プレッシャー】発動。
敵と敵が操る使い捨て武器となった無機物群に叩きつけ、あわよくば物理的な威圧によるダメージや攻撃の無力化、出来なくとも無機物群の損傷などによる攻撃の威力低下を狙う。
※他の方々との共闘等、歓迎です
「残り2体」
黒の機械鎧を纏ったミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)は戦場に飛び込んでいく。
愛らしい見た目をしているうえにすでに虫の息に等しいとはいえ、にゃんこたちは間違いなくオブリビオン――世界を滅亡に導く怪物だ。
加えて厄介な能力を持っているとわかれば油断は禁物。
デバイスを介しての念動力強化とスラスターの稼働を同時に行いながら、ミストは敵の動きを観察しながら射撃戦を展開していった。
地を滑り天をも舞う黒鴉を仕留めるのに棒では役不足と判断したにゃんこたちは手あたり次第に落ちているものを投擲武器として操る。
ミストとにゃんこたちの間で無機物とレーザーが飛び交い、互いに衝突しては爆炎と爆風が吹き荒れた。
紙一重の回避を繰り返し黒煙の中から飛び出したミストが見たのは。
「にゃー……こうにゃったら!」
「相棒、ここはにゃーがアイツを引き付けとくにゃー!」
片方のにゃんこがもう一方のどこかへと駆けるにゃんこを庇い立つ姿。
よく見ればその先には狛犬が転がっていた。
「あれを武器にするつもりか。――やらせるかッ!」
サイキッカーとしての強い意志がプレッシャー波として放たれ、2体のにゃんこを地面を縫い留める。
にゃあにゃあとにゃんこたちは喚き、焦りと困惑を露わにしてもがくが、投擲物をもプレッシャー波で地に落としたミストは静かにキャノンを展開。
「これで終わりだ」
光が収束し、2つのレーザーがカンフーにゃんこを穿つ。
にゃあと小さな悲鳴を残し、にゃんこの身体は光となって消えたのだった。
すべてのにゃんこが倒れたのを確認し、ミストは木の根元へと足を運ぶ。
説明されていた場所で血濡れの財宝は顔を半分だけ覗かせていたが、ミストの放ったレーザーを受けると軽い音を立てて砕け散った。
かわいい珍客の出現は食い止められた。
あとは大元を叩くだけ。
大成功
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