村に光を~救済復興計画~
#ダークセイヴァー
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●闇に落ちた村
その村の住人は奴隷のような暗黒の日々を送っていた。どんなに愛情を込めて作物を育てても、馬車馬のように働いて稼いだとしても、そのほぼ大半を領主に納めなければ生きていけないからだ。作物や賃金が命じられた量に達しなければ、領主の飼う獣達に村が襲われてしまう。現に倒壊させられたままの家屋や大怪我をして尚働かざるを得ない人々など、村に刻まれた傷痕は癒える暇もなく生々しく残っていた。
ああ、明日は生きていられるだろうか。彼らの顔には絶望の色しか浮かばない。
一方、その村を統治する領主の館では、豪奢な椅子で踏ん反り返る一人の男がいた。真っ赤な色の液体が注がれたワイングラスを優雅に傾けて笑っている。その足元には、狼に似た闇色の獣達が静かに控えていた。
「ふふ…もうすぐ、あやつ等は新しい村に着く頃か…。誰にも統治されていない隠れ集落…運良くイイ情報を得られたものだ。」
今の村では粗方絞り尽くした。今後収入が減る一方ならばもう用無しだ。獣達の餌にでもして、次なる集落で同じように統治すればいいだけの事。執事に獣達の大群を従えさせて村を襲わせれば、一発で逆らえないと学ぶだろう。自分はこうして待つだけで安泰なのだと。広い館内を反響するように高笑いが響く。念の為警備に残された獣達は、主人が床に零して分け与えた赤い液体をベロベロと舐めていた。
●救済復興計画
「はーい、皆の衆ー。お仕事の時間だよー。…っと、そういや初めましてか。あたしはメリー・アールイー。今後はグリモア猟兵として顔出してくから、よろしゅうに。」
グリモアベースにて、メリー・アールイー(ヤドリガミの人形遣い)は猟兵達に集合をかけた。小柄な体躯に似合わないやや古めかしい口調の幼女は、資料を猟兵に見せながら状況説明を行う。
「今回はダークセイヴァーの世界の依頼だね。復活したヴァンパイア…オブリビオンに敗北した人類が完全に支配下に置かれている夜と闇に覆われた世界…そこで例外なく、ヴァンパイアの圧制に苦しめられているある村をひとつ、救って欲しい。」
そのヴァンパイアは力による支配で領主として君臨し、村の住民に奴隷のような生活を強要しているらしい。普段は暗闇の獣の大群を屋敷の敷地内で飼育している為、領主の館に侵入する事は困難なのだが…。
「他に支配下に置けそうな隠れ集落があるという情報を得た奴は、執事に獣達を引き連れて新しい村を襲うよう指示をした…って予知をした。だから、その間警備が甘くなってる館を落としちまおうって計画だ。」
ちょっと待てと、ある猟兵から疑問の声が上がる。他に襲われる集落があるなら、そちらも守らなければいけないのではと。
「あー、大丈夫大丈夫。だってその隠れ集落があるって情報、あたしらが流した嘘だからね。」
適当に餌を撒いてみたのだが釣れて良かった、とメリーは意地悪そうな笑みを浮かべた。
獣達の大半が出払っている今が襲撃のチャンスだ。とは言っても警備の為に残された複数の獣達との戦闘は避けられない。襲撃は一番警備が薄い館の裏口から決行する。テレポートで転送可能な裏口付近から館に侵入し、真っ直ぐに奥の一番豪華な部屋へと向かうのだ。暗闇の獣は高い戦闘力を持つが、知性は低い。全てを相手しようと考えなくても良い。領主の部屋に向かう事を優先して、邪魔な獣を薙ぎ払って進行するように。
またヴァンパイアは非常にプライドが高く自信家な生き物だ。襲撃を受けて逃げるという手は打たないと考えていい。
「群れのトップさえ潰せば、後の執事や獣は恐るるに足らず…。村の安全は守られたも同然だ。…だがしかしっ。今回の依頼はそれじゃ終わらないよっ。」
奴隷のような圧制続きで村人達は絶望に沈みきっている。圧力が無くなったからと言っていきなり自力で浮上するのも難しいだろう。だから、村の復興を支援して彼らに光を見せる…そこまで含めて「救って」欲しい。
「やり方は戦い終えた後に考えりゃいいさ。人はいくらでもやり直せるって所、見せてやろうじゃないか。それじゃ、宜しく頼んだよ。」
葉桜
はじめまして。この度第一期マスターに就任した葉桜(ハザクラ)と申します。初めてのマスター業務で期待と不安で胸がいっぱいいっぱいではありますが、誠心誠意努力して皆様と楽しく世界を作っていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
領主館への突入方法は、オープニングで示した通りに行っていただければ問題ありません。領主の部屋も分かりやすい仕様になっているので迷子の心配もございません。事前の情報収集は必要ないので、バシバシ獣を薙ぎ払って下さいませ。獣の殲滅は考えなくて大丈夫です。10匹程度倒せば領主の部屋に辿りつけるでしょう。
皆様のご参加、お待ちしております。
第1章 集団戦
『暗闇の獣』
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POW : 魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
イラスト:飴屋
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
静かで重い、月明かりもない夜だった。常に宵闇に覆われているこの世界では、時間感覚が狂いそうになる。
しかしオブリビオンという怪物といえど、一日中警戒を張り続ける事は不可能だろう。現に領主館の表門で番をしていると思われる一匹の暗闇の獣は、先程から体を休めるように地に伏している。見張りの交代があるかは不明だが、敵方の虚を突くチャンスである事には変わりない。間もなく悠然と佇む領主館の裏口に、テレポートで送られた頼もしい猟兵達が到着する。
絶望の闇に落とされた人々を救う戦いが、今始まろうとしている。
ワズラ・ウルスラグナ
さあ、戦闘だ。胸が躍るな。
特に奇は衒わん。
裏口から侵入して突っ切るとの事だな。
出くわした獣を薙ぎ払えば良いとは、実に分かり易くて善い。
侵入までは大人しくするが、戦闘になれば派手に暴れさせて貰う。ブレイズフレイムで焼き尽くすつもりでな。
暗闇の獣を地獄の焔で照らし出してやろう。
仲間に延焼した場合はそこだけ火を消す。任意で消せる、便利な炎よ。
屋敷への延焼は多少無視するが、火事になったり他の仲間の邪魔になるならそれも消そう。
獣とは言え油断せずに挑ませて貰うぞ。
混戦・乱戦も踏まえてな。
さあ、俺と殺し合え。
(出くわした獣を薙ぎ払えば良いとは、実に分かりやすくて善い。)
ワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)はいつもに増して背を丸めて、その巨躯を裏口の陰に潜めていた。屋敷内へ侵入する為にはまず扉を破壊しなければならない。彼が扉に放つ地獄の炎が、戦いの狼煙となる。焼けて脆くなった扉を獣脚で蹴飛ばして、後に続く仲間の邪魔にならないように消火してから屋敷内へ踏み込もうとした。
その直後、油断していた表門の門番獣が漸く煙の匂いに気付いて、吠えながら異変が起こる裏口へ勢いよく駆けてきた。ワズラの背後から魔獣の一撃を繰り出した鋭い爪は、狙った背に届くことなく屋敷の床へ沈み大穴を開ける。
「獣とは言え油断せずに挑ませて貰うぞ。…さあ、俺と殺し合え。」
混戦・乱戦は勿論、背後からの奇襲にも警戒して難なく攻撃を避けられたワズラは、盛大に空振り体勢を崩した獣に容赦なくブレイズフレイムを叩きつけた。彼が道を開き照らした光に、仲間達は続いて行く。
成功
🔵🔵🔴
ジニア・ドグダラ
「……こういう獣でも、ある程度の作戦は必要……成功するかは知らない」
・自身を囮にして獣をおびき寄せようとします。
・獣が釣れたらフック付きワイヤーを使用して壁や天井に引っ掛けながら逃げます。その後、もう一人の自分による鎖の攻撃で転倒や、脚部の関節を拘束するように攻撃しようとします。
・獣が釣れなかった場合は咆哮や爪の攻撃に警戒して距離を取りつつも、自身の素早さを生かし、もう一人の自分と共に鎖でちまちまと攻撃していこうとします。
・もし協力者がいる場合は、一人は逃げることを延長し、もう一人で協力者と共に戦います。
炎や煙、警戒の吠え声に床の破壊音。扉を突破すれば侵入者に気付いた獣達が続々と集ってくる。屋敷の中から現れた暗闇の獣を前にしても、ジニア・ドグダラ(朝焼けと背を追う者・f01191)は冷静だった。
「……こういう獣でも、ある程度の作戦は必要……成功するかは知らない」
彼女は初めから自分を囮にして獣をおびき寄せる決心をしていた。獣が自分に狙いを定めたなら、領主の部屋に続くと想定される広い廊下の階段は目指さずに、1階の小部屋が続く廊下の天井や壁にフック付きワイヤーをひっかけて、獣頭には予測の難しい複雑な動きで翻弄しながら逃げ回る。彼女を追う獣の更に後ろには、オルタナティブ・ダブルで生み出したもう一人の自分が続き、後方から鎖による攻撃で獣の足元を狙っていた。
「グ…グルッ…ッッグルアラァァアアア―――ッッッ!!」
彼女達の動きに苛立ちが頂点に達した獣は、激しい咆哮を放って周囲全体に無差別な衝撃を撒き散らした。不幸中の幸いで、他の猟兵達のルートから外れた場所での攻撃だった為被害は最小限に止められたが、至近距離にいたもう一人のジニアは膝から床に崩れ落ちる。そこに追撃しようと獣が爪を大きく振り被った。
「…注意を怠ってはいけません。」
その腕が降ろされる前に、一瞬獣の意識から外れたジニア本体が、獣の脚関節に鎖を絡めて転倒させた。暴れる前に素早く腕も纏め上げて、フック付きワイヤーを使って天井に釣り上げておけば、ひとまず無力化に成功したと思っていいだろう。元々足止めで十分なのだ。一人で勝たなくても、仲間の猟兵達が進行出来れば良い。激しい動きの連続で乱れた呼吸を整えながら、屋敷のどこかでも繰り広げられている戦闘音に耳を澄ませた。
苦戦
🔵🔴🔴
桑原・こがね
「たのもーう!」
こそこそしないでまっすぐ突破して良いなんて、なんてあたし向きなのかしら。開幕一閃、銀雷をぶちかましながら登場して良いってことでしょ?
あたしの銀雷なら見えない相手でも適当に撃てば当たると思うし、ヨユーヨユー。そのまま突破できそうなら領主の部屋まで一直線ね!
ただ、威力にはちょっと自信が無いから、あんまり効いてないようだったら距離を取ってうまく戦わないといけないかな。
誰かと協力できるんなら、こっちで派手に暴れて引きつけてるうちに突破してもらうのもいいわね。
「たのもーう!」
こそこそしないで真っ直ぐ突破して良いなんて、なんてあたし向きなのかしら。と、桑原・こがね(銀雷・f03679)は館に足を踏み入れるや否や開幕一閃、銀の雷を轟かせるというド派手な登場シーンを飾って見せた。
それはヒーローの名乗り爆発のように意味のない只の演出かと思いきや、銀雷が落ちた瞬間、今まで誰もいなかったはずの空間に蹲った獣が複数体姿を現した。見えざる狩猟者を発動させて姿を隠した獣達が侵入者を襲おうとした所を、いきなり眩い雷に打たれて能力が解けてしまったようだ。傷自体はさほど深くはないようだが…普段から暗闇を住処としている生き物だからか、突然の光に弱いのだろう。威力に自信がなかったこがねのユーベルコードでも充分過ぎる程の武器になる。
「あたしの銀雷なら見えない相手でも適当に撃てば当たると思ってたし、ヨユーヨユー。」
このまま突破出来そうなら領主の部屋まで一直線に向かってしまおうかと、雷のような金髪をなびかせて少女は広い廊下を駆け抜けようとするが、そこまで獣達も甘くはない。先程やられた獣達は立ち上がり憤慨の唸り声を上げながらこがねを追いかけた。
そう来るならば、今度もどっかんどっかん銀雷を落とし続けて予定ルートから外れよう。目眩ましにもなるし、こっちで暴れて引きつけているうちに突破してもらうのもいいし、と陽動作戦に変更だ。
「あたしを見ろォ!」
雷鳴とこがねの大声が館内に響く。人に注目されることが生きがいである少女は、今獣達の注目の的だ。階段までの道は、これで開けた。
成功
🔵🔵🔴
リグレース・ロディット
(※現在あるイラストは真の姿ですので参考にしないで下さい)
救って欲しいって頼まれたんだ……救わないと。救ってみせるよ!!……目の前の餌にしか喰らいつけない奴はあと。今やるべきことを頑張るね。
【WIZ】まずは拷問具で敵を拘束してみるよ。できれば良いけどなぁ……ある程度敵を集めることができたら、敵全員が範囲に入る場所でユーベルコードの『赤く煌く影が散る』を使うよ。これなら一気に敵を削る事ができるはずだから。
えっと、あとは近くに仲間がいれば声をかけたり、どんなことがあっても大丈夫なように警戒、予想……ああ、こんなに沢山の事できるかなぁ。
できるか、じゃなくてやるんだ。仕事だから手は抜けない……
「救って欲しいって頼まれたんだ……救わないと。救ってみせるよ!!」
リグレース・ロディット(夢の音・f03337)は熱い決意を胸に階段を駆け上がっていた。目の前の甘い餌にしか喰らいつけない元凶は後回し…今はやるべき事を頑張ろう。えっと…どんな事があっても大丈夫なように警戒して予想して…出来るかなぁ…いや、出来るか、じゃなくてやるんだ。仕事だから手は抜けない…!グッと拳に力を込めたリグレースを待ち構えるように、階段上には複数の獣達が牙を剥いていた。
我先にと上方から飛びかかって来る獣達…自分から集まってくれるなら好都合だ。拷問具の拘束ロープを使って先頭一匹の動きを封じれば、後方の獣達も巻き込まれて雪崩のように折り重なる。この距離なら全員まとめて、彼のユーベルコードの射程範囲内だ。
「その目に、その夢に、この花を―――」
リグレースの詠唱で拷問具は無数の血と影で出来た夕顔の花びらに姿を変えて、敵全体を覆うように、赤く煌く影が散る―――。それは夢のような一時。気付けば、幻想的で美しい彼の攻撃が醜い獣達を問答無用でねじ伏せていた。
これで大半の獣達の処理は終えたはずだ。目標である領主の部屋まで後少し…。
大成功
🔵🔵🔵
ゼット・ドラグ
「何だ、あらかた片付いてるじゃねえか。楽で良い。」
戦闘狂は少しがっかりしながらも軽口を叩く。
もしかしたら、見えざる狩猟者で待ち伏せしてる奴がいるかもしれない。
音と黒剣を軽く振り回しながら領主の部屋に進行。
敵を発見したら戦う。
「あー…俺の相手はお前か?助かる、これで退屈せずに済む」
まだ領主が残ってるとは言え、ここでウォーミングアップをしておきたい。
戦闘中に敵が見えざる狩猟者で透明になっても攻撃が当たるように距離を最大限にまで詰め、ヴァリアブル・ウェポンで左の手の甲から飛び出した剣で命中重視の突きを放ちつつ、攻撃が当たったら黒剣で連撃を行う。
敵のPOWとSPD攻撃に対しては、なるべく黒剣で防御する
「何だ、あらかた片付いてるじゃねえか。楽で良い。」
戦闘凶サイボーグであるゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)は、少しがっかりしながらも軽口を叩く。二階の最奥には、他の部屋の扉とは明らかに異なる豪華なアンティーク扉が待ち構えていた。おそらくあそこの部屋が予知されていた領主室なのだろう。階段戦を終えた二階の廊下は、今の所ガランと静まり返っている。先程の戦闘で全ての雑魚を叩き終わったのだろうか……いや、もしかしたら姿を隠した獣が待ち伏せしている可能性もある。ゼットは念の為、黒剣を軽く振り回しながら領主の部屋へ歩みを進めた。
「グルァ……!?」
「あー……俺の相手はお前か?助かる、これで退屈せずに済む。」
そしてその読みは当たっていたと直後に判明する。案の定見えざる狩猟者は先程から息を潜めて、主を狙う侵入者に襲いかかろうとしている所だった。ふいに振られた剣を避けられず、暗闇の獣は強制的に姿を暴かれた。
再び透明になられても攻撃が当たるように、ゼットは素早い足運びで獣との距離を最大限にまで詰め、左の手の甲から飛び出した剣の突きで獣の喉元を狙い打つ。命中重視で放たれたヴァリアブル・ウェポンは吸い込まれる様に獣の首を貫いた。遅れを取った獣は突然の激痛に咆哮を上げながら、血塗られた爪を勢いに任せてゼットに振り下ろそうとするが、すでに構えられている黒剣により受け止められる。そのまま流れるように黒い剣筋が舞い、全ての連撃を喰らった獣は己の血で染まって崩れ落ちた。
ウォーミングアップにはなった、と黒剣の血振りをする。これだけ部屋の前で戦闘を繰り広げても新たな敵が現れないのを見ると、倒したか他の場所で誘き寄せたか、ひとまず全ての獣の対処に成功したのだろう。後は頭を叩くだけだ…ゼットはヴァンパイアが待つ扉を見据えた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ヴァンパイア』
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POW : クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
イラスト:伊藤あいはち
👑17
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
バァンッ――と猟兵によって勢いよくアンティーク扉が吹き飛ばされた。
「お主等か……この世界の頂点に立つ高貴なるヴァンパイアである我輩の館に土足で踏み入り、あろうことか我輩の僕達までいたぶってくれた不届き者は……。」
遠慮なく繰り広げられていた戦闘の爆音に気付かないはずはない。それでも逃げる必要など皆無だと言わんばかりに、予知と同じように豪奢な椅子に体を預けていた主は、余裕に満ち溢れた悠然な所作で立ち上がる。
「……下等生物が、五体満足に帰れると思うなよ。」
腹から絞り出される様な低音を領主室に響かせて、ヴァンパイアは深紅の翼を広げ臨戦態勢を取った。内から解放された漆黒のオーラが室内を包み、重い空気は肌をひりつかせる。
それでも我々はあの村を救うために、この非道なオブリビオンを倒さなければならない。それが世界に選ばれた我々猟兵の使命なのだから――。
銀鏡・瑠香
「ヴァンパイアっすか。生憎白樺の杭は持ってきてないっすけど仕事はこなすっす。」
行動
マサクゥルブレイドは触肢変成で迎撃。死角に回り込みつつライフルで削りつつ隙を見てレプリカクラフトで仕掛け罠を作って、ワイヤーの束で動きを止める。
戦闘中は出来るだけ的にならないように触手を使って三次元起動する
出来るだけヴァンパイアの動きを制限して他の人が戦いやすくするように努める。
ゼット・ドラグ
「さっきの戦いで苦戦した奴もいるだろう。まずは余力ありまくりの俺が先陣を切るぜ」
ヴァリアブル・ウェポンで出てきた左手の甲の剣で相手の手足を狙って攻撃を仕掛ける。
狙いは倒し切るのではなく、全力で相手の力と命を削る事。
クルーエルオーダーに対しては可能な限り、ルールを守るつもりだがこちらの同士討ち等、味方に被害が及びものは迷う事なく破る。
「悪りぃがそんなルールはごめんだぜ!俺は自由だからなぁ!」
戦いが無理だと感じたら、後方に下がり、後を託す。
「後は任せたぜ!」と言ってハイタッチの構えを取る。
「さっきの戦いで苦戦した奴もいるだろう。まずは余力ありまくりの俺が先陣を切るぜ」
先程直前まで獣との善戦を繰り広げ、そのまま扉を蹴とばしたゼット・ドラグ(竜殺し・f03370)が初めにヴァンパイアと対面する事となった。
「ヴァンパイアっすか。生憎白樺の杭は持ってきてないっすけど仕事はこなすっす。」
ひょっこりと銀鏡・瑠香(人間のグールドライバー・f00346)も後ろから顔を覗かせる。
「……下等生物がどれだけ集まろうと同じ事……面倒だ、纏めてかかってくるがいい。」
尚も余裕の姿勢を崩さないヴァンパイアは挑発するように人差し指でこっちに来いと仕種をみせる。
「それじゃあ遠慮はいらねぇな…元々する気もねぇけどよぉ!」
先手を仕掛けたのはゼットのヴァリアブル・ウェポンだ。再び召喚した左手の甲の剣が、真っ直ぐ相手の腕を狙う。それを援護するように、ゼットは部屋のソファーの陰からライフルを撃って牽制をしていた。
「ふん…この程度の傷しか与えられずに、我輩に敵うと思っていたのか……愚か者め。」
確かにゼットの内臓兵器はヴァンパイアの腕に届いたが傷はまだ浅く、瑠香のライフルも丈夫な翼によって薙ぎ払われた。そして血で書いた誓約書の赤い光が至近距離にいたゼットに定められ、淡々とルールが宣告された。
「クルーエルオーダー。『我輩より頭を高くしてみろ。然もなくば剣の雨を受けよ。』……チャレンジしてみてもいいがね……我輩は小さくて愚かな生き物が大嫌いなんだ。お前に避けられたら、あのチビ娘に当ててもいいかもしれないな。」
2メートルは優に超える長身のヴァンパイアが翼を広げて嘲笑する。それでもその場でジャンプをするなどという浅知恵を行うなら、羽ばたき更に上位に立って見せても仲間を狙ってもよいのだと。しかし、ゼットはそんな宣告を鼻で笑い飛ばす。
「悪りぃがそんなルールはごめんだぜ!俺は自由だからなぁ!」
代わりに仲間へ被害が及ぶなら迷わず破ってやる。無数に召喚され剣の先が、床を踏みしめガードの構えを取るゼットに向かう――。
「ゼットさんっ!こっちっすっ!」
覚悟を決めたゼットの体が勢いよく宙に浮かんだ。先程から敵の標的にならないよう触手を使って死角を移動し続け、隙を見て作っていたワイヤーの仕掛け罠を利用して、自分とゼットの体を天井近くまで持ち上げたのだ。そこは勿論ヴァンパイアの頭より高い場所、行き先を失った剣は粒子となって消滅した。
一瞬の出来事に反応出来なかったヴァンパイアは憎らしげに奥歯をギリリと噛みしめる。戦闘の序盤早々に、無傷で敵の手の内を知れたアドバンテージは大きい。上手い事連携を決めた二人は机の上に飛び降り、ハイタッチを交わした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ワズラ・ウルスラグナ
五体満足では帰れないか。
望む所だ。そうでなくては困る。
最高の戦いを見せてくれ!
俺の技能は全て戦いの為に有る。
今回は転用するまでもなく、それらを全てぶつけられる。
出し惜しみは無い。此処まで来て油断も無い。見下されようと構わん。俺からは最大の敬意を以って殺しに行くだけだ。
防御系の技能は自身のみならず、仲間を守る為にも用いる。
かばい、盾や武器で受け、怪力で弾き返す。
俺は暴れる事しか出来ん。策を弄する者が居るならそれを守るのが俺の策だ。
無論、隙在らば鎧砕き等を用いて全力で攻撃する。
『黒風鎧装』と愛剣『暴風龍サルヴァ』を用い、更に地獄の焔を乗せて嵐の如き一撃を捧げよう。
リグレース・ロディット
(※現在あるイラストは真の姿ですので参考にしないで下さい)
はははっ。自分で世界の頂点とか高貴とかいうの?自分に言い聞かせないと落ち着かないのかな……下等生物はどっちなのだろうね?……この感情は仕事に必要だから良いよね……バーカバーカ。
【POW】ユーベルコードのサイコキネシスをで契約書を書けないように妨害してみる……だから手を狙って攻撃しようと思う。
それでね、装備のドロップシャドウで僕の影をヴァンパイアの死角になっている場所から攻撃してみようと思うんだ。
練習する前の本番だからちゃんとできるかわからないけど頑張るよ。
「はははっ。自分で世界の頂点とか高貴とかいうの? 自分に言い聞かせないと落ち着かないのかな……下等生物はどっちなのだろうね?まんまと『上』も取られちゃってさ。」
「……っ、調子に乗るなよ、小僧っ。」
扉の陰から戦闘を見ていたリグレース・ロディット(夢の音・f03337)がバーカバーカと挑発してみれば、元々プライドの高いヴァンパイアの中でも一際自尊心が高そうな男は、嘲笑の台詞に激昂し、深紅の爪を振りかざして襲いかかってくる。
「俺は見下されようと構わん。最大の敬意を以って殺しに行くだけだ。」
庇うようにその腕を止めたのは、ワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)の戦獄の龍翼だった。堅牢な黒竜の翼で受け、怪力で弾き返す。
「俺の技能は全て戦いの為に有る……『黒風鎧装』!」
ワズラがユーベルコード放てば、その巨躯を完全に包み込む程の大きな漆黒の旋風で覆われる。しかし、その漆黒にも遮られる事のない契約書の光は、ワズラを捕らえた。
「クルーエルオー……ッッ!?」
ヴァンパイアがルールを宣告しようとする最中、見えない何かが誓約書を弾き飛ばした。ワズラの背からリグレースがサイコキネシスを放ったのだ。
「貴様、目障りだっ。」
中断されたオーダーの代わりに、腰から豪奢な刀剣を抜いて横に薙ぐ。だが、どんな反撃であってもリグレースを狙う攻撃は当たらない。何故ならワズラが守るから。暴れる事しか出来ない自分は、策を弄する物がいるならそれを守るのが自分の策なのだ。
ワズラが愛剣『暴風龍サルヴァ』でヴァンパイアの刀剣を受け切れば、援護するようにリグレースは自分の影から低い軌道で影無しの矢を穿ち、ヴァンパイアの脚を貫いて足止めをする。どちらかに注意が向けばどちらかが隙を付く。即席の共闘は、ワズラが振るった地獄の焔を乗せた嵐の如き一撃で締められた。
「ドロップシャドウ、練習する前の本番だからちゃんとできるかわからなかったけど、成功して良かったよ。」
「ぐ、ぅ……。貴様……貴様等……っ。」
胸を撫で下ろすリグレースの横で、大ダメージを負って壁によろめく敵をワズラは静かに見据えていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・ハシュマール
「君が領主の吸血鬼かい?初めまして、ステラ・ハシュマール。君の命をもらう存在だよ」
獣相手の時には影が薄かったし、そろそろ僕もエンジン駆けて行かないとね。
開幕早々炎血のミケランジェロを使用して、二刀流になったあと、猛攻を仕掛けるよ。
具体的にはツイン・ヘル・レクイエムでの乱舞になるかな。怒涛の14連撃を体に炎と共に刻み込んでやる。
反撃に来るルールと言うのがどんなものが来るかわからないのが不安だけれども、何が来ても良いように、回避の準備はしておくよ。
「あなたはワタシの芸術の一部になるんだよ、誇らしく思いながら眠りなさいな!!」
桑原・こがね
獣の相手を切り上げても問題なさそうだったら急いで領主の部屋に向かうわ。クライマックスに間に合わないなんて最悪だもの。
もう始まっちゃってるかしらね、惜しい、名乗りを上げそこねたわ。
部屋に入ったら領主に向かって一直線!と言いたいところだけどタイミングってものがあるわね。うっかり同士討ちなんてしたら冗談じゃないし、領主が攻勢に出たタイミングに合わせて踏み込んで思いっきり刀を振り下ろしてやるわ。「そこだ!」って感じにね。
逆にこっちに攻撃が向いたら全部切り落としてあげるんだから。当たらなければ意味はないのよ。
「君が領主の吸血鬼かい?初めまして、僕はステラ・ハシュマール。君の命をもらう存在だよ。」
苦しげに呼吸を荒げるヴァンパイアに休まる隙は与えない。ステラ・ハシュマール(炎血灼滅の死神・f00109)は高らかに名乗った後、早々に己の炎血を解放すべく詠唱を口にする。
「業炎に抱かれ、鮮血に沈み、我が内に住まう紅蓮の醜き炎血よ。我は剣とし汝を携えん。」
愛する炎を武器に纏えば二刀のツイン・ヘル・レクイエムに姿を変えて、ステラの両の手にそれぞれ収まった。それに応じるように、ヴァンパイアもまた同じように魔の言の葉を紡ぐ。
「我に流れる暗黒の血よ。我が剣に宿り皆殺しの刃となれ。踊れ踊れ、獲物の血潮を飲み干すまで。」
ステラと同じ自身の血液を操るタイプの能力を持ち、かつ自分の方が格上である事を誇示するように。彼女の二倍、三倍と宙に浮かせた刀剣を複製し続け、その数は十倍まで膨れ上がる。
「我輩から誓約書を奪い、手が届いた所で……勝てると思っているのか?たったの二刀で、どこまで耐えられるかな。」
「当たり前だ!あなたはワタシの芸術の一部になるんだよ、誇らしく思いながら眠りなさいな!!」
数多の剣先を向けられたとしてもステラは怯む事無く、真っ赤に灯る炎の瞳で睨みつけた。次の刹那、剣と剣が火花を散らす。ヴァンパイアは指揮者のように腕を振り、ステラは全身を使って舞い踊るように刀を操る。念力により縦横無尽に襲いかかってくる刀剣達を次々と薙ぎ払う。いくら払っても落としても剣が交わる音は止まらない。ついに連撃が間に合わず、流れを断つように刃がステラの目前に迫る――。
「そこだ!」
何者かの声と共に、刀剣は空中で静止した。
一刻前、獣を撒き終えた桑原・こがね(銀雷・f03679)は領主室に向かって館内を走っていた。
「もう始まっちゃってるかしらね、惜しい、名乗りを上げそこねたわ。」
クライマックスに間に合わないなんて最悪だ。二階の奥でどったんばったん音がするから、もう戦闘は始まっているのだろう。階段を二段飛ばしで駆け上がれば、扉が開かれたままの領主室内の様子が見えた。仲間の猟兵に次々と襲いかかる刀剣と、それを操るヴァンパイアの邪悪な笑みが、こがねの視界に映る。そのまま勢いを殺さず部屋に踏み込み、雷の如き剣刃一閃を放った。
「そこだ!」
「ッ、グゥアアアアアッ。」
予期していなかった一撃を振り下ろされたヴァンパイアは、肩口から胸元にかけて鮮血の花を咲かせた。操り手の意識が痛みに集中すれば、刀剣も静止せざるを得ない。だが直後、血走る眼がこがねを捕らえ、残りの刀剣は行き先を変えて彼女へ飛ばされた。
「人間めぇ……邪魔を、するなぁ!」
「間に合って良かったわ……全部、切り落としてあげるわよっ。」
こがねはサムライブレイドとルーンソードを構えて、豪奢な剣と対峙する。先程より我武者羅に飛ばされているのか、軌道が読みやすい。丁寧に狙いを定めて振り払い、宣言通り全ての刀剣を壊し終えた。
成功
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ジニア・ドグダラ
『敵対存在を、認識しました……来たれ、死霊よ!』
・【高速詠唱】で素早く【リザレクト・オブリビオン】を発動し、死霊たちを召喚します。死霊騎士は盾役に、死霊蛇竜は攻撃役として攻め立てようとします。もし苛烈な攻撃を行う猟兵がいる場合は邪魔にならないように場所取りに気を付けるよう指示し、援護に徹させます。
「……酷く、嫌な予感がしますね」
・その間、自身は後方にて待機しておき、なんとなく嫌な予感(【第六感】によるもの)がするため、攻撃を避けれるようフック付きワイヤーを手に逃げられる準備を行っておきます。
碧海・紗
絶望、それは希望を知っているからこそ。
手薄になってる今が狙い目、ですね。
目的地を目指すまでには少ないけれど複数の獣がいるみたい…
鈴蘭の嵐を使用して、纏めて足止めを。
綺麗な花弁…けれどご注意を。油断大敵、ですからね?
領主を見つけたならば、容赦は致しません。
私は仲間の皆さんの援護をしましょう。
万一。生き残りの獣がいるかもしれませんし、
不意を突かれないよう周囲を警戒。
又、攻撃は逆に隙をついたりワンテンポ遅れの攻撃をしてみるのもいいでしょう。
アナタを倒して、村人の方々に希望を。
怯えるものの存在がない世界を。
「何故だっ、何故邪魔をするっ……。何故、闇の世界の支配者である我輩が、ここまでの屈辱を受けなければならない……っ。」
武器を奪われ壊され、傷を負わされ自らの血を流すなど、悪い夢を見ているようだ。夢なら覚めてくれと首を振るが、乱れた髪が頬に張り付くだけで、目の前に続々と現れる猟兵達が消える事はない。
「アナタを倒して、村人の方々に希望を。怯えるものの存在がない世界を、取り戻す為に……。」
獣に注意を払って領主室に辿り着いた黒翼の天使、碧海・紗(闇雲・f04532)は醜く取り乱すヴァンパイアと向かい合っていた。獣の囮として働いていたジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)が、残りの獣は他の猟兵達が引き受けてくれているから、生き残りの獣の乱入は心配はしなくて大丈夫だと告げる。
「敵対存在を、認識しました……来たれ、死霊よ!」
ヴァンパイアが項垂れている内に、ジニアは高速詠唱によるリザレクト・オブリビオンで死霊達を召喚した。死霊を使役する間戦えなくなる自身を護る為に死霊騎士は盾役として置き、悪しきオブリビオンにとどめの一撃を放とうと死霊蛇竜を飛びかからせる――。
しかし、それは何者かによって遮られた。死霊蛇竜は突如何かの衝撃を受けたかのように弾き飛ばされ倒れたのだ。紗とジニアは目を合わせる……自分には見えなかった、我々猟兵の目には捕らえられない何かがこの部屋にいる。
「ふ、はははははっ。見えざる者は恐ろしかろう?恐怖に打ちひしがれながら、死に向かうと良いっ。」
身体は動かせぬまま、狂ったようにヴァンパイアは笑う。その影がない事に、二人は気付いた。恐らくこれは敵の技のひとつなのだろう。何処から襲ってくるかも分からない攻撃をどう良ければいいのか……。冷や汗が背を伝う。鼓動が高鳴る。何か、とても、とても、嫌な予感が……!
第六感に従ってジニアは即座にフック付きワイヤーで天井へ飛んだ。特別打ち合わせをしたわけではない。しかし、ジニアのその行動は何かを避ける為の動きだと紗は捉えた。それならば……。
「対象はジニアさんがいた場所、その空間です。鈴蘭の嵐!」
花が揺らげばそこに風は在る、例え姿が見えなくても。紗が放った無数の白い花びらで埋める一定の空間の中に、不自然な空白が生まれた。それはジニアの影からジニアに向かって飛びかかろうとしていた透明な蝙蝠だった。
「綺麗な花弁…けれどご注意を。油断大敵、ですからね?」
「ギャアアアア!!」
鈴蘭の嵐を受けたのは蝙蝠だが、悲鳴を上げたのはヴァンパイアだった。この蝙蝠は使役しているだけではなく、乗り移るように感覚も共有しているようだ。
「……では、終わりにしましょう。」
花びらが消える前にジニアは淡々と終幕を宣言し、控えさせていた死霊騎士が蝙蝠を二つに切り裂いた。
断末魔の悲鳴が館中に響き渡る。ヴァンパイアは苦悶の表情でのた打ち回り、いつの間にか戻っていた自身の影にズブズブと溶けるように取り込まれて行く。そうして影も形も、消え失せた。我々はダークセイヴァーの世界を脅かしていたオブリビオンの存在をひとつ、消す事に成功したのだ。
成功
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第3章 日常
『人々の笑顔の為に』
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POW : 食料の運搬、建物の修理など力仕事をする
SPD : 村々を巡って困っている人を探す
WIZ : 明るい歌や踊りで元気づける
👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
悪政の限りを尽くすヴァンパイア領主は、猟兵達の活躍により倒された。しかし、ここでめでたしめでたしと終わりにするわけにはいかない。覚えているだろうか。今回の依頼は、村の復興も手助けし、本当の意味で彼らを救う事を目的としている。どうか、彼らに光を。
ステラ・ハシュマール
一件落着と言うところだね。それじゃあこの暗い村に明るい未来を灯す篝火をつけようか。
「皆さん、邪悪なるヴァンパイアは討ち滅ぼされたよ、共に賛美歌を歌おう!」
こっそり隠し持ってきてたバイオリンで、明るい一曲を奏でるよ。
ミュージックファイターじゃないから、そんなに威力はなくとも、明るい気分にはなってくれると思うよ。
「さあ、一緒にこの喜びを表現しよう!」
もし楽器や歌う人がいるなら、その人の曲調に合わせて、一緒に演奏するよ。
音楽はみんなで楽しむもの、一人じゃ寂しいもんね。
さあ、皆で歌い奏で祝おう!
ワズラ・ウルスラグナ
戦いは終わったが、ある意味これからが真の戦いだな。
村へ向かい、復興を手伝わねばならん。
倒壊した家屋の撤去や修理し、怪我をして居る者の代わりに労働する。
戦う以外に能の無い俺だが、この怪力だけは割と役に立つのではないかと思っている。
言ってくれれば力になろう。好きに使ってくれ。
俺は戦いが好きだ。
全ては戦いであり、生きることも戦いだと思っている。
だから、こんな過酷な世界をそれでも必死に生きていた村人達を尊敬している。
ヴァンパイアを討ったのは猟兵の勝利だが、耐え忍んできた村人達の勝利でもある。
だから共に勝利を祝わせてくれ。
リグレース・ロディット
終わった。よかった。お疲れ様ぁ……いや、まだ仕事は終わってないんだよね。ここの村を本当の意味で助けるまでが仕事だから。もう少し頑張らさせてね。
【SPD】力仕事ができるほどの能力はなくて、楽しませれるような特技もない……少し歩いて回るね。ほら、困ってる人がいるかもしれないし……装備の『導きの銀』で困っている人探してみようかな、使わなくても見つかりそうだけど。えっと、できそうなことがあれば手伝うよ……けど、もう困っている人がいない方が嬉しいのだけどなぁ。生きているから仕方ないか。
僕に出来る事なら何でもするよ。ユーベルコードの『サイコキネシス』とか持っている技能を目一杯使って手伝うね。
ジニア・ドグダラ
「……あの、何か困ったことはありますか?私、少しは器用なので、何かありましたらお申し付けください」
狙うステは【SPD】
・もう一人の自分を呼び出しつつ、村人たちに困っていることを探します。
・自分は倒壊した家屋の修理や、怪我した人の代わりに働いたり、慣れない異世界の道具を使いつつ、料理を作り振る舞ったりします。
・もう一人の自分は、鎖を使って家屋の補強を行ったり、食料探しに釣りに行ったりしてきます。
※アドリブ、他者との協力歓迎です。
桑原・こがね
よしよし、領主を倒せて良かったわ。でも、これで完全にめでたしめでたしってわけじゃないものね。こう見えても力仕事は得意だから、なにかできることがあると思うの。でも、どこから手を付けていいか……。手当たり次第に聞いて回るのが良いかしら?そうだ、困ってる人を探している猟兵がいたら聞いてみましょう。必要な仕事を聞いて回る人と分担して手を動かしたほうがきっと効率が良いもの。私の連絡先を伝えて連携すれば、きっと協力してくれるわ。
矢羽多・景
柄じゃないし、自分の事でもないけどさ…
やっぱり平和が一番だよね。
まだまだこの世界には困っている人が沢山いるけど…
まずは目の前の事から片付けよう!
僕はPOWで村の復興に力を貸すよ。
水鏡円舞でもう1人の自分を呼んで、二馬力だ。
腕っ節は強くないけど、倍働けばすぐさ。
可能なら炊き出しでもしようかな?温かいご飯を食べて、元気を出してもらいたい…
本当にここが復興出来るかは村人さん達にかかってるしね。
小さい子には獣操笛でウサギや小鳥も呼んであげよう。
ほら、可愛いよ?触ってごらん。
「皆さん、邪悪なるヴァンパイアは討ち滅ぼされたよ、共に賛美歌を歌おう!」
村の入口でステラ・ハシュマール(炎血灼滅の死神・f00109)はこっそりと持ってきていたバイオリンで演奏を始める。毎日が葬式のような空気に包まれていた村では暫く耳にしていない明るい音楽に、村人達は怪訝な顔をして集まってくる。我々を絶望の底に突き落とした、あの恐ろしい領主を倒したなど、誰が信じられるだろうか。
村人達に証拠を示すように、力自慢のワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)と桑原・こがね(銀雷・f03679)、そしてサイコキネシス使いのリグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)は、領主の館の倉庫から持てる限り運んできた食糧樽を積んで見せた。それは村人達が汗水流して育てたにも関わらず領主に徴収されていた農作物だった。
「空になった領主の屋敷から持ってきてみたわ。元々は貴方達の物だもの。残りも運んで全部お返ししたいわ。」
「僕達猟兵は力持ちだったり能力持ちだったり、戦い以外にも色んな事が出来るよ。この村が再スタート出来るように、手伝わせて欲しいんだ。」
俺達の作物だっ、本当の話みたいだぞっ。村人はがやがやと騒ぎ始めた。ある者は信じられないと呆然と立ちつくし、ある者はこんな日が来るとはと泣き崩れる。
「ヴァンパイアを討ったのは猟兵の勝利だが、これは耐え忍んできたお前達村人の勝利でもある!よくぞこんな過酷な世界で必死で生きていてくれた。共に、勝利を祝わせてくれ!」
猟兵達の声掛けに、村を震わせるような歓声が沸いた。
「……あの、何か困ったことはありますか?私、少しは器用なので、何かありましたらお申し付けください。」
ジニア・ドグダラ(朝焼けの背を追う者・f01191)のもう一人の自分は、村人一人一人に声をかけて、困っている事や手を貸してもらいたい事を聞いて歩いていた。どんな些細な事でも構わないと丁寧に話を聞いて、壊れた家屋や荒された田畑の場所、怪我人の治療に必要な薬草の種類等をメモに纏める。そして救助活動の拠点とする事にした村の中心の広場へ調査役がメモ届けるのだ。それを見た実働部隊が自分が手伝えそうな所へ向かうという、こがねの分担活動案だった。村の損壊も人々の疲弊も激しく、どこから手を付けて良いか分からない状況だ。手当たり次第に聞いて回るよりもずっと効率が良いだろう。
リグレースもまた、助けが必要な人々を捜していた。モノクル型の高度演算デバイス「導きの銀」を使って村人たちの顔を見て歩く。どの人々も不安値が異常に高い。植えつけられた恐怖心はそう簡単に拭えるものではないのだろう。困ってる人がいない方が嬉しいと考えていたけれど……そうもいかないよなぁ、と独りごちる。自分にはこの不安を拭えるような特技はないけれど……でも!
「皆!広場に向かってみてよ。そこは今、僕達が拠点として使わせてもらってるんだ。炊き出しや音楽会をやってるよ。村の修復は僕達が働くから、皆そこでまずは元気になろうよ!」
僕に出来る事なら何でもするよ。期待しててと、少年は胸を張ってみせた。
その広場ではステラの演奏をBGMに、矢羽多・景(獣降しの巫女・f05729)とジニアの本体が炊き出しをしていた。闇に覆われた世界でも育つ農作物は今まで見た事もない種類ばかりだ。村の女性達にこの世界のレシピを教わりながら、大量の具材の鍋を中心にとにかく沢山の量の料理をこなしていく。ぐつぐつ煮込んで漂う良い香りに我慢の限界に達した人々が輪になって集まってくる。温かいご飯を食べて元気を出してもらいたい。本当にここが復興出来るかは村人さん達にかかっているしね。景は炊き出しを配りながら、頑張ったねお疲れ様と声をかけていく。
「それじゃあ、僕達はそろそろ力仕事に移ろうと思うよ。炊き出し係、任せていい?」
「はい、私はここで番をしていますね。もう1人の私は情報を集め終わったら、薬の確保や釣りに向かわせようと思います。」
景は水鏡演舞でもう1人の自分を呼べば、腕っぷしは強くとないけれど倍働いて復興に力を貸してくると 、損壊した家屋へ向かって行った。炊き出し係と広場の番を担ったジニアは、調査役が広場に持ち寄った情報を実働部隊へ伝える架け橋となった。
小柄な割に力仕事が得意だと言うこがねは、広場で情報を聞いて荒れた田畑を耕し直す手伝いをしていた。闇に負けない逞しい作物のおうちも元に戻してあげなくては。村の男達顔負けの鍬捌きでガンガン田畑を整備していく元気な少女の姿に魅せられて、ファンになった者は1人や2人ではないだろう。
「あたしの名前は桑原こがねよ!夢は有名になる事!皆、憶えておいてね!」
天を指さし、こがねは笑う。また何者かに襲われるのではないか。瀕死状態の村は生き返る事が出来るのか。不安になったらあたし達の事を思い出して欲しい。あたし達も付いているから。でも、あなた達ならきっと大丈夫だから。
リグレースがサイコキネシスで人の手でだけでは作業の難しい屋根の穴の修繕を、景が自分2人がかりで荒らされたままだった各家の掃除をこなす中、ワズラは黙々とより力のいる作業に勤しんでいた。倒されて道を塞いでいた木々や倒壊した家屋を解体した材木等を、再び材料として使えるものと処分する物に分けて運んで行く。戦い以外でもこの怪力は復興作業に割と役に立っている。あまりに立て続けに働き続けるものだから、見兼ねた村の長老とお付の者が少しは休憩も取って下さいと茶を持ってやってきた。厚意に甘えて共に材木に腰掛け一息つくとする。長老はあんなに恐ろしい敵に挑んで恐ろしくはなかったのかと尋ねた。 「……俺は戦いが好きだ。全ては戦いであり、生きることも戦いだと思っている。だから、こんな過酷な世界をそれでも必死に生きていた村の人達を尊敬している。」
ワズラは真に恐ろしい事は敵に挑む事ではないと首を振り、そして敬意を表して胸の内を告げた。
粗方の作業に切りが付いた所で、村人達から宴を開くので是非猟兵達も参加して欲しいと誘いを受けた。広場に設置されたキャンプファイヤーを囲んで、取り戻した作物の他、釣りや狩りで得た魚や肉も贅沢に使用されたご馳走が振舞われる。天に向かい堂々と立ち上る炎は、暗く沈んでいた村に明るい未来を灯す篝火のようだった。
「さあ、一緒にこの喜びを表現しよう!皆で歌い奏で祝おう!」
ステラは村人達を誘って好きな歌や踊りを披露してもらい、合わせるようにバイオリンを奏でた。音楽は皆で楽しむものだ。ミュージックファイターのような能力はなくても、人の手が生みだした明るい気持ちは人から人へ伝播していく。 獣操笛使いの景は演奏に交ざり、どこからか兎や小鳥も呼び寄せた。
「ほら、可愛いよ。触ってごらん?」
興味津々の小さな子供達へ見せるように、自分の膝上で寛ぐ兎を撫でる。リグレースとこがねは子ども達と一緒になってはしゃぎ、ジニアは料理を教わった女性の赤ん坊を抱かせてもらった。こんな小さな子どもまで耐えて頑張っていたのだ。自分達が救う手助けをした、命の重さが確かにそこにあった。
「猟兵の皆様方、この度は我々の村をお助けいただき、誠にありがとうございましたっ。」
村長を名乗る男が代表として礼を告げ、村の住人達は感謝を込めて一斉に頭を下げた。ワズラは俺達の力が必要な時はいつでも力になろうと、村長と握手を交わす。今日1日で復興作業は終わるわけがない。けれど、村人達はもう大丈夫だ。訪れた当初は陰っていた彼等の瞳には、力強い輝きが生まれていた。
今宵彼等は、君達という希望の光と出会ったのだ。頼もしい光に見守られて、村人達の新しい戦いの幕が上がる。
『村に光を~救済復興計画~END』
大成功
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