エンパイアウォー⑱~関ヶ原を舞う死風、決戦の狼煙
●掲示板
軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
●ベースにて
「おーう!集まったかオメェ等!」
集まる猟兵達の前に現れるグラディス・ドラモンド、人の言葉を繰る影の獣は語り始める。
「目標は上杉謙信」
サムライエンパイアの戦争も激化している中、敵幹部が自ら部隊を率いて幕府軍を迎撃しているとの事。
「軍神・上杉謙信……信長軍の中でも屈指の統率力と武力を持つクソ強ぇ敵だな!今回は奴さんの敷いている車懸かりの陣、こいつを掻い潜り首を狙わねぇといけねぇってわけだ」
困難な道だと言うことはグラディスも理解している、だがそれでもやらねばその先の道は開かれない。
「車懸かりの陣は奴が予め上杉軍に仕込んだ采配と隊列によって謙信の護り……蘇生時間を稼ぐ防御陣形だ。厄介極まりねーが今回は部隊を分けた侵攻で事に挑む。陣は別働隊が気張って止めてっからオメェ等には今言った通り謙信の首を取って欲しいのよ」
上杉謙信の持つ武器は12本の毘沙門刀で、水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の属性を持つ刀に加え、アンヘルブラック・ディアブロホワイトの二刀流を所持しているらしい。
「部隊の指揮も執っているからか他の幹部共の様に先制で殴ってくる事は無ぇ……が、それでも此方が有利になった訳じゃねぇのさ。守れば固く攻めれば怒涛。分かってると思うが全力で行けよ!」
ゲートを進む猟兵達の背中を見やり。
「気張れよお前らァ!!傷付き倒れても立て!進め!!吠えて足を踏み抜け!!敵の喉笛を喰らい勝鬨を上げるんだ!!笑って盃を掲げる為に生きて戻って来い!!!俺ァ待ってるからなァ!!」
敵は強大、全力を持ってその力を示せ。ここまで培った力が正義という事を見せるのだ。
グラサンマン
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
VS上杉さん家の謙信君です。あの刀強そうですねぇ、一本くれませんかね?
今回は他のボス戦と違い先制は無く、通常シナリオのボス戦と同じ扱いとなります。しかして強敵な事には変わりませんので判定は厳しめに参りますのでご了承ください。
断章等は入れないのでOP確認次第プレイングをお待ちしている状態となります。皆さんの格好良い可愛い素敵なプレイングをお待ちしております。宜しく御願い致します。
第1章 ボス戦
『軍神『上杉謙信』』
|
POW : 毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
上泉・祢々
目の前の壁を超え、次なる位階へと進む為
私の糧となってください12刀
まずはゆっくりと歩いて近づきましょう
ですがその歩みは一定ではなく緩急をつけて残像を生む
飛ぶ十刀の狙いを少しでも外し躱しやすく
全神経を目に集中させ迫る刀は太刀筋を見切り触れることなく回避して一歩ずつ前進
相手の間合いへ足を踏み入れ
増える両手の白黒二刀
次は相手の身体の動きを盗み加速しきる前に手刀で出鼻をくじきます
時折蹴りも混ぜ込み相手の注意を逸らしながら最高の好機を待ちましょう
右の刀を躱して振り抜いた今!
咄嗟にその手を掴み足を払い、カウンターで背負い投げてさしあげましょう
驚きました? こういうこともできるんですよ
そこへ追撃の踵落とし
遠呂智・景明
さて、分かってたことだが隙が見当たらねぇ。
その立ち振舞い威風堂々。
斬りがいがありそうだ。
風林火山、かの信玄公の旗印。
そこにゃ載ってねぇ本来の形。
残りの二つ、見せてやるよ。
久しぶりに使うんで制御は効かねぇが。
えれめんたるふぁんたじあ!
はっはっは!ド派手に吹き飛べ!
敵も迎え撃ってくるだろうが好都合、場を荒らせば
殺気を消し姿を眩ませる。陰のごとくな。
これだけド派手な状態だ直ぐにこっちは見つけられねぇだろう
後はこの大騒ぎに巻き込まれねぇよう見切りつつ、こちらの間合いまで攻め込むのみ。
動く時は躊躇い無く、雷霆の如し!
この距離なら、守ろうが反撃しようが俺は止まらねぇ。
テメェの致命の距離だ。
その首、寄越せ。
●剣嵐武闘
―――ウォォォォォォォォォ!!!
銃声が、刀と刀が打ち重なる音がする。
周囲に響く鬨の声と怒号と悲鳴が混ざる。
両の手に白と黒の二刀を携えた武人―――上杉謙信は怒りでも無く哀しみでもないただの無表情で眼前にまで来た猟兵達を見詰める。
『よもや此処迄攻め入られるとはな』
その言葉には感心も困惑も…侵攻された怒りさえも感じる事は出来なかった。あるのは厳然たる事実、軍略が折られたのならば自らの刀で斬り捨てるのみなのだ。
「さて、隙が見当たらねぇ。だがその立ち振る舞い威風堂々結構。斬りがいがありそうだ」
「相手が誰で何であろうと関係ありませんね、貴方という壁を超え次なる位階へと進む為…私の糧となってください12刀」
「相変わらずだな、先手は貰うぞ?」
「どうぞ、先輩といえども首は譲りませんが」
「はっはっは!言うじゃねぇか。―――そりゃこっちのせいふだけど…っな!!」
遠呂智・景明(いつか明けの景色を望むために・f00220)、そして上泉・祢々(百の華を舞い散らす乙女・f17603)の戦がここに始まる。
『車懸かりを抜けてくるだけの事はある。だが、それだけなのだ猟兵。うぬらはここで終わる』
「大口叩いてていいのか?ど派手に吹き飛べぇ!えれめんたるふぁんたじあぁ!」
言葉と同時に柄に手を掛けて謙信に接近すべく走り出していた―――と見せかけたフェイント、謙信が刀を持つ手に力を入れたのを確認した瞬間、景明は駆けていた足に力を入れて後方にバックステップ。周囲を浮いている精霊達の光が強く輝き、嵐の如き強き烈風、エレメンタルファンタジアを放つ。
『小賢しい手を使う、私の十二刀…風の力も備えている事は聞いておらぬのか』
謙信の横を浮かぶ刀…風の力を現出させて嵐を相殺させる。その場を荒らす事は出来たがそれも一瞬、軍神の余裕を崩すまでには至らなかった。
『続いて来るか』
「えぇ、先輩の奇襲が通じなかった以上、次の手番は私と決めてましたから」
烈風が相殺され晴れてきた視界、謙信が見たのはもう一人の猟兵である上泉・祢々。緩やかな速度で向かってくる祢々に違和感を感じながらもそれ以上の脅威は感じられず空を浮く十刀を差し向けて発射、彼女の身を貫く筈であった。
『当たらぬか』
ここで謙信が気付く、残像だ。祢々はただ近づく為に一歩一歩歩いているだけではない、緩急をつけた歩法は相手の視界を騙しズレを生じさせる。数センチ、いや、数ミリで良いのだ、それだけあれば軌道を見切り避ける事は可能。祢々が謙信の間合いに入る所迄来た。
『見事』
謙信がそう言うと同時に黒刀を上げようとしたその時―――
「かかっ!!」
―――陰の如くってな。
謙信が気付けたのはたまたまだったのだろう。首筋に感じる薄ら寒さが拭い切れずにいた所、自身の直感に身を任せ漸く景明の存在を識る事が出来た。出来たなら此方の勝ちだ、黒刀で迎撃するのみ―――
『むぅっ!』
「どこを見てるんです?」
黒刀を持つ手に痺れが起こる、祢々の手の刀によって。彼女の手足五体全てが刀にして肉体、その一撃は決して侮っては良いものでは無かったのだ。蹴りも織り交ぜた間髪入れぬ攻勢、そして…
「雷霆の如し…この距離ならてめぇがどう動こうが俺は止まらねぇ」
大蛇切、そして黒鉄の二刀で首を狙い剣閃を生み出し続ける。
『……っ!』
二人の狙いは通った、フェイントにフェイントを重ねた両名接近による波状攻撃、これにより十二刀の攻撃に制限を掛けると共に両者が得てとしている接近戦に持ち込めたのだ。
―――だが…
『見事だ、もし十二刀揃っていなければ私が膝をついていたな』
二人の戦法は間違っていない、間違いなくそれは謙信の隙を作り上げ必殺の間合いまで持ち込めたのだ!
『だが私とて軍神とまで呼ばれた者、負けるわけにはいかぬのだっ!』
「祢々っ!」
甘んじて景明の刀は受ける、被害無く勝てる相手では無い。祢々の蹴りを無理やり手で掴みそのまま上空へ放り投げ、腕に受けた一閃を筋肉で止めて景明の腹を蹴り抜く。
吹き飛ばされるヤドリガミの青年を見て謙信は…
『信玄の旗印、そして陰雷…名に負けぬ者よ…』
まだ立つか―――
無言で立ち刀を構える景明、その目は死んでおらずぎらぎらと輝く眼は今に斬りかかるという殺気を帯びている…。
『これにて終わりだ』
浮かぶ十刀の中の一振が景明を…
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『なっ!!しまったっ!!』
上空からの踵落としが謙信を…否、謙信の周囲を浮遊していた毘沙門刀の一つを叩き割る。
「先輩!」
「―――問題ねぇ…斬り落とした」
謙信の意識が外れたのは一瞬、だがそれだけで充分。
「さぁ…まだまだこれからだ…っ!」
謙信は未だ健在、しかして十二刀の中の二刀はここで墜ちた。血の匂いを乗せた戦はまだ終わらない。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
ヴィサラ・ヴァイン
【血生まれの群れ】で猛毒の細菌を作り出し[毒使い]で空気中に蔓延させるよ
謙信の高速移動でも、空気中にばら撒かれたら回避は不可能なはず
そうして細菌への対処を強要
都合よく火と薬属性の刀を持ってるし、細菌の弱点の熱処理、抗菌薬辺りを仕掛けて来るのかな
でもこの細菌は特別製でね
驚異的な速度で産まれて、繁殖して、死滅して、世代交代する様に調整してるの
つまり常に進化して耐性や弱点も変化し続けると
まあ両手の刀を含めれば12種。何かしらの弱点はあると思うけど…全部試してみる?
生物の多様性は12種には収まらないし、一つ試す間に細菌は進化を続けるけど
軍“神”と言えど、未来に進み続ける生者の邪魔はさせないよ
●死を運ぶ少女
『次の相手はうぬか……化生の身たる童よ』
「……失礼な人」
十刀となった謙信と対峙するは帽子を被った緑髪の少女、ヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)
『童とて容赦はせぬ、何をするか読めぬ以上早々に仕留めねばなるまい』
謙信は軍勢指揮も行っていた事もあり先制を狙った奇襲はしてこない。此方への警戒も強く刀を構えて出方を見ている。そしてそれこそが謙信の判断ミスとなるのであった。
「…………そろそろかな、回るのは」
『なにが言いた……ごほっ!!』
戦況は猟兵達へと傾きつつある、睨み合いが続いても仕方無しと浮遊している刀を発射させようとしたその時、謙信の口と先の戦闘で付いた腕の傷口から赤い血液が滲むように流れ落ちる。
『な、なにをした童……っ!』
「言う必要なんて無いと思うけど……一部ぐらいなら良いかな。私の力で猛毒を精製してこの空気中に放流したの」
───アニメイトブラッド
蔓延された空気の中、呼吸で体内に侵入し中から細胞を攻撃する。
『毒使いか……なれば……』
謙信はここに来て自らの判断ミスに気づく、相手の動きを警戒しむざむざ細菌が蔓延していくのを見過ごしてしまったのだ。咄嗟に炎属性の毘沙門刀を手に取り腕の傷を焼く。
「焼いて傷口を防いだんだ、熱くて痛そうだね。でも残念、それだけじゃだめだよ」
腕を焼く事によりこれ以上の出血を防ぎ火傷跡を作る事で傷口を防ぐ荒業、しかしヴィサラはそれをも折り込み済で冷静に謙信を見やる。
中を暴れる細菌を焼き殺そうとするも。精製された細菌は他に類を見ない程早く生まれて繁殖し、死滅する。つまりは世代を重ねてより効果的に細菌が調整されていくということだ。体内に残った細菌はその場で焼けて消滅するも、一欠片でも残っていれば繁殖し増えていく、火傷跡で傷口を封じてしまった今、体内で暴れ回る兵器となっていた。
『……成程、侮って心の隙をつかれたというのはこういう事であったか……』
「それは特別製のウイルス……その刀達を使えば何かしら弱点はつけると思うけどまた同じ結果になるだけだと思う。試すごとに細菌は調整進化していくしね」
冷静にここまで事を運んできたヴィサラ、相手は強大、ここまでやっても彼女は油断しない、してはいけない。負ける訳にはいかないのだから。
───だが、それは謙信も同じ事。
『負けぬ、屈さぬ……!私は……っ!越後の守護者よ!!!』
吠える謙信はヴィサラに向けていた刀を自らに向けて突き刺す。その属性は薬、自身と周囲……刀の力全てを使用して放出されるそれは蔓延していた毒素を消し去り、自らを蝕む毒の一部進行を阻害していく。消し去る訳では無い、あくまで抗体薬としての力を発現させたまでだからだ。
『まだ、まだ墜ちぬ』
「……軍“神”と言えど、未来に進み続ける生者の邪魔はさせないよ」
ヴィサラは静かに戦術を組み立てる、彼女自身の正義を成す為に。
薬の刀は朽ちて墜ちる。残る刀は九本、血風流れる戦場は次の局面へと進む。
苦戦
🔵🔴🔴
上泉・祢々
一本届いたのなら!
それを続ければいいだけのこと!!!
12の刀が貴方の自慢であるのなら私は上泉祢々(わたし)という刀で戦います!
ダメージ覚悟で拳と手刀、膝と足刀を使い宙を舞う残りの刀を折る
体力も集中力も今ここで出し切ります
決して折れず!
決して曲らず!
浮かぶ刀を砕き切ればもう残す所は両手の二刀
太刀筋は既に見切り
体捌き同じく把握
であれば後は覚悟とこれまでの鍛錬と経験が答えを出してくれる筈
先程と同じく出鼻をくじく超接近戦を続け好機を図る
できると確信したタイミングで肘と膝で太刀を受け止め手刀で刀身を折り
その折れた刀身を全力の正拳突きで相手の腹部へブチ込みます
祢々の進む道の邪魔をするな!毘沙門刀!
遠呂智・景明
残り何本だっけか、十本?
順繰りへし折ってやるよ、鈍共。
ここまでくりゃ多少の痛みなんぞ無視だ。
痛みで攻め手を止めることが何よりの愚策だからな。
まずは浮いてる奴らから。
黒鉄で敵の斬撃を受け止め、俺自身で敵の刀身を圧し折る。
小賢しい付属の力なんぞで、俺が止められると思うなよ。燃えてようが濡れてようが何しようが関係ねぇ。
俺ら刀は全力でぶった斬れば折れる。
所々で手足を狙う。そうすりゃ、こっちにばかり気は避けねぇだろ。
刀ばかりを狙って、こっちの動きを読まれるのは癪だしな。
残りは手元の二振。
黒い方はSSWを思い出すじゃねぇの。
なあ、黒騎士。
謙信公ごとあの時の敗北もぶった斬る。
首を寄越せ、軍神!
アリア・ヴェルフォード
忠義の士が、再び戦乱を巻き起こす火種になる?
そんなものは人道ではないでしょう。だから本物にはなり得ない。
扱うは白黒の聖剣二振り。
襲い来る刀を見切り、回避・受け流しながら進みます。
それでも間合いに潜り込むのは困難。
他の属性は駄目ですが光と闇だけは貴方を上回る自信があります。
頃合を見て空間を覆う闇を作り、その中で目眩ましの強き光を各所から放ちましょう。
一瞬でも隙があれば十分。
間合い・懐に潜り込んで、光の中で囮として敵の顔目掛けて邪聖剣を投げます。
それを弾かせ更に踏み込み、超至近距離で私の正義を放ちましょう。
偽者が悪いとは言いません。
ただ――、貴方には上杉謙信としての強さの本質(正義)がないのです。
●関ヶ原を舞う死風、決戦の狼煙
『……来るか猟兵』
腕は焼けただれ、口元からは赤い雫が流れ落ちる。元々の白い肌は青く屍人の様、三本の毘沙門刀は砕け朽ちている。しかしてその目その気迫は未だ衰えずに静かな殺気を眼前の猟兵達へ贈る。
「あぁ往くさ。残り何本だっけか、十本?」
「九本、一本は既に折られているみたいです」
「ほーん、ここまでくりゃ多少の痛みなんぞ無視だ、順繰りへし折ってやるよ」
「良いんですか?攻め方言っちゃって」
「あ?良いんだよ。やるこたぁ変わんねぇんだからな」
「ふふ……それでこそ先輩です」
衣類の端々は破れ口元は血を拭った跡、関節の節々は痛みで悲鳴を上げている、骨は無事だろうか、いや、今はその様な事を気にしている場合では無いのだ。景明と祢々、二人の戦は未だ終わっていない。
『認めよう、うぬらの強さを、執念を、渇望を、私の目の曇りを───』
───じゃあそのまま砕けてください
祢々の無駄の削ぎ落とされた動きは残像を残すが如く疾き動きで謙信を肉薄する。
『───認めよう、だからこそこれよりは私もうぬらに挑む者としてこの刀を振るうのだっ!!そうやすやすとこの謙信を、十二の剣を抜けると思うな猟兵っ!!』
「──っ!!一本届いたのならっ!それを続ければいいだけのこと!!!十二の刀が自慢と言うのならっっ!!私はっ!!」
「わたし【上泉・祢々】という刀で戦いますっ!!!!!!」
祢々の拳と手、膝と足、身体全てを刀として狙うのは宙を浮く七本の刀。体力、精神力……全ての使い時はこの時なのだ。
謙信の白き刀を手刀でいなし黒き刀と足刀で鍔迫り合う。
「楽しそうだなぁ!混ぜろや軍神!」
『あぁ来い強者よっ!私という挑戦者がうぬらに挑ませてもらうぞぉぉ!!』
景明の振るう黒鉄と白き刀がぶつかり合う音がする。
「今ァ!!!」
その隙を逃す祢々では無い。黒き刀をいなした力を利用し跳躍して宙の刀の一つを脚で挟み勢い良く地に叩き落とす。
先ず一つ……そして。
『ぬぅっっ!!』
「燃やそうが濡らそうが関係ねぇ、俺ら刀ってのは全力でぶった斬れば折れるんだよ」
───斬ッッッッ!!!
大蛇切の一閃は更に一つ毘沙門刀の一つを落とす。景明は刀なのだ、刀のヤドリガミだから……そうじゃない、大蛇切・景明は神をも切裂く刀。軍“神”が持つ刀と言えども何をどうすれば刀が折れるかを識る景明にとっては鈍でも名刀も関係無く斬るのみ。
『二刀落ちたか……っ!しかしまだ七刀残っているっ!』
だがここで怯むだけの謙信では無い。毘沙門刀の風の刃が技後硬直で僅かに固まっていた二人を襲い吹き飛ばす。
『今度は此方から参るぞっ!!』
時を置かず疾風が如き剣閃が立ち上がる二人目掛けて放たれた……その時!!
「遅れました……アリア・ヴェルフォード(謎の剣士X・f10811)……参戦しますっ!」
二人の前に降り立つ少女、アリアがこの決戦の最後の勇士として戦場に参陣する。
『援軍か……よもやここまで押し込まれるとはな……っ』
「……っ!忠義の士が、再び戦乱を巻き起こす火種になる?そんなものは人道ではないっ!だから貴方は……っ!本物にはなり得ないっ!」
『…………ならばどうしたっ!今此処に存在する私こそがっ!自身にとっての真実!行うべき事を行うまでよっ!!』
互いの白と黒の刀身が交差する。謙信の気合いの一撃がアリアの剣を押し込み弾く、このまま斬らねばなるまい。さもなければこの劣勢を返す事は出来ぬ、しかしこの剣───この思考が軍神の致命となった。
「はぁぁぁぁ!!!!」
「あぁぁぁぁ!!!!」
失念していた訳では無い。二人がこの隙を逃す筈では無いと確信していた、していた筈だが……一瞬迷ってしまったのだ。目の前のアリアを斬るか、襲い来る景明と祢々に対応するのか……どちらもしないと行けないと分かっていても迷ってしまった。これこそが軍神・上杉謙信の致命。
「もらったぁ!!」
「三本目折るぜ」
二本の刀達により甲高い鉄の音と共に二刀落ちる。
「お二人共目を閉じて!」
そして畳み掛ける様にアリアの二対の剣……邪聖剣から闇が辺りを飲み込み聖剣が光を放つ。
「他は駄目でも……光と闇ならば貴方にだって負けない!いや、上回るっ!」
『くっ……!まだまだぁ!!……なっ!』
邪聖剣を謙信の頭部目掛けて投げつける、光に目をやられたとはいえ弾く事ぐらいなら容易い……だがこれは陽動。重ねに重ねた陽動に遂に決定的な隙を見せてしまう謙信。アンヘルブラック、ディアブロホワイトを持つ手に力を入れて迎撃するがそれこそがアリアの狙い。
「輝ける光の奔流よ……っ!今こそ私の正義を───っ!!」
聖剣と邪聖剣の輝きが黒と白の二刀を飲み込み……そのまま謙信の手から朽ち果て墜ちる!
「アリアさん!後はっ!!」
「俺達に任せろっ!!」
全力を持って一番厄介である二刀を壊す。アリアの横を過ぎる景明と祢々、二人の咆哮は空を鳴らし地を揺らす。
「後三本……っ!」
景明の一閃が一刀落とす。
『うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!』
最早言葉も語らず残る刀を手に取って猟兵達に斬り掛かる、破れかぶれ……否、最期のその時まで彼は武人なのだ。
「決して折れずっ!決して曲らずっ!」
───祢々の進む道の邪魔をするな!毘沙門刀ォ!
祢々の一閃【手刀】が軍神の腕を砕き折る。
「偽者が悪いとは言いません……ただ」
───貴方には上杉謙信としての強さの本質(正義)がないのです。
アリアの最後の力、聖剣の光が更に一刀を落とす。
『まだだっ!!!まだ私は立って此処に居るぞっ!!!』
「黒騎士の剣、あの時の敗北を思い出すぜ。俺が斬りたかったがまぁ良い……今はお前しか見えないからな」
───その首を寄越せ、軍神!
────見事────
風林火陰山雷番外 雷・火
かつての好敵手の旗印と同じ名の剣技、その無数の斬撃が謙信の身体を刻み……首を刎ねる。
軍神・上杉謙信、彼の血が風に流れ舞う。
こうして戦場は終わりを迎えた。猟兵達は勝利の余韻も無く次の戦場へ向かうのだろう。生命が儚く散る戦はまだ終わりを見せない。進め、立て、吼えろ、生きてこの戦争を終わらせる為に力を示すのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵