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サンベリーナの休日〜花游ぶ水庭

#スペースシップワールド #【Q】 #お祭り2019 #夏休み

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●おやゆびひめの探検譚
 ――南国の花咲き乱れる緑の楽園を、大きな花が流れていく。
 密林に迷路のように張り巡らされた水路には、夏のひかりがきらきらと差し込んでいた。その眩しさは、太陽の季節に不足なきほど。
 形も色も異なる大きな緑の葉が、ところどころで傘をさしかけて、熱っぽい陽射しを程よく和らげてくれる。大きな花の上にちょこんと座ったきみたちは、大らかな森の懐をのんびりと――時に唐突な急流や大渦やスコールに大慌てしたりしながら――冒険するのだ。
 まるで小さくなったみたい? それは正しくもあり、間違いでもある。
 小さくなったのではない。木々や草花、きみたちを包み込むこの森のすべてが、大きいだけなのだ。
 ささやかな悩みごとや憂鬱なんて、この空と緑のもとでは砂粒のようにちっぽけなもの。水路を巡り、洞窟を抜け、太古の遺跡を抜けて、流れる花の船が海へと辿り着くころには――楽しい探検の一時が、きっと吹き飛ばしてくれているはず。
 水満ちる森の名は『サンベリーナ・ガーデン』。きみたちの冒険心、探検欲を満たす小さな旅が、ここにはきっと待っている。
 ――ああ、けれど、気をつけて。海へ至る道はひとつではない。
 道を違えたら最後。駆ける急流に戦いて、銀の飛沫を道連れに、流れの果てからまっさかさま――、
 なんて危険も、もしかしたら。どこかに隠されているかもしれないから!

●花游エクスプロレイション
「花に乗って、探検……だって。ね、みんなも。いっしょに、行かない?」
 そわそわと身を揺らして、声を少しだけ弾ませて。トトリ・トートリド(みどりのまもり・f13948)はおずおずと、チラシを差し出した。
 宙に浮かぶリゾートシップ『サンベリーナ号』。まるでひとつの世界のように、果てない海やビーチが広がる船の中に、高台に広がる熱帯の森を利用したアトラクションゾーンがあるという。
「サンベリーナ・ガーデン……おやゆび姫の庭、って意味、みたい。大きな、花のフロートに、乗って……水路を探検、できるんだ」
 チラシの文句に思わせる、極端な巨大植物ばかりという訳ではないらしい――が、栄養がいいのだろうか、普通の木々や草花も確かに強く大きなものが多く、『おやゆび姫』の気分というのも充分頷けるという。
 大きいの、いいね、と微かに目を細め、トトリはええととたどたどしい説明を続ける。
 浮き輪のように浮かぶ花のかたちのフロートは色とりどり、形もさまざま。ひとつのフロートにふたりまで乗り込むことができる。
 森をゆく水路は網目のように枝分かれして、どこに何があるかはわからない。流れに手をさし、進路を変えて――あるいは流れに押し流されて、思わぬ方向へ向かうことも――進む先には、数々の難所が待ち受けている。
「たとえば? ええと……」
 つっかかりながら読み上げることには。
 太古よりこの地に伝わるという、魔法の遺跡を通り抜けたり。
 唐突に降り出す痛いほどのスコールに、転覆の危機を乗り越えたり。
 七色の水晶がちらちら煌めく、クリスタルの洞窟を潜り抜けたり。
 ぐるぐるとフロートを巻き込んで進路を見誤らせる、大渦から脱出したり――などなど。
 その全てを本物と信じてやまないシャーマンズゴーストは、琥珀色の目をきらきらと輝かせている。
 これは『アトラクション』。全てが本物、という訳ではないけれど。どれが本物と思うほどにはよく作り込まれた世界。
 そして何より、夢見ることは楽しいから。余暇の一日くらい、現を忘れてみてもいいかもしれない。
「それから、ね。最後に、滝から飛ぶ、んだ」
 ――なんて?
 ふこふことのどかな笑みの気配漂う爆弾発言に、思わず仲間達も目を剥いた。ぱちりと瞬き、トトリは慌てて説明する。
 それは希望者のみのスペシャルルート。通常なら穏やかに海へ下りゆくはずのフロートには、とびきり危険な近道――流れの尽きる崖っぷちから海へ飛び込む、スリル満点のコースが存在するらしい。
 不思議な力で守られているため、万に一つも危険はないとのこと。夏の暑さも吹き飛ぶほどのスリルを求めるなら、試してみるのもいいかもしれない。
 戦いの日々に元来、休む暇などないものかもしれないけれど。それが叶う日がつくれるのなら、時々は、皆に笑ってほしいのだと。
 言葉にならないそんな思いを色にして、トトリはカラフルな水を空へと撃ち出した。
 飛沫が描いたグリモアの輝きに包まれて、猟兵たちは短い夏の旅に出る。


五月町
 五月町です。
 志稲愛海MS宅のティモールくんがご案内する、『サンベリーナの休日〜花笑う天庭』との合わせシナリオです!
 リゾート船『サンベリーナ号』の昼のイベントとなります。志稲MSのシナリオとは別の時間帯になりますので、両方ご参加頂くことも可能です。
 戦争のさなかではありますが、ちょっぴり(?)ジョイフルなひと休みで気分を変えていただけたら幸いです。
 お目に留まりましたらよろしくお願いします。

 ※8月19日朝8時半よりプレイングを受付します。それ以前にいただいたものは流れる可能性が高いです。
 ※このシナリオは【日常】の章のみで、オブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。

●シナリオについて
 POW/SPD/WIZは参考程度に。
 お花のフロート(浮き輪ボート)に乗っての水路の探検が楽しめます。
 【探検のギミック一つ、もしくは滝ダイブのどちらか一場面】の描写が主となります。
 お誘いがあればトトリがご一緒します。

 メインとなるのは花溢れる森のフィールドに広がる水路です。
 トトリがご案内したものの他、こんな場所を通りたい、ギミックがあったら楽しい! というものを、ある前提でプレイングをかけていただいて大丈夫です。危険なもの、極端に雰囲気にそぐわないものはふんわりマスタリングします。

 滝ダイブの待つデンジャラスゾーンは、希望する方のみの絶叫系。
 フロートから投げ出されての、開放感とスリルに溢れる海辺の飛び込みが楽しめます(不思議な力に守られているので、危険はありません!)。

●注意
 飲食喫煙不可です。飲食についてはティモールくんのシナリオで食べ歩きが楽しめますので、そちらでぜひ!
 公序良俗に関する判定は厳しめです。内容によってはリプレイに反映しない場合があります。予めご了承ください。

●ご参加について
 今回はフロートが二人乗りなため、【1〜2名様】でご参加ください。
 迷子防止のため、お連れ様の名前とIDの記載をお願いします。
 また、お二人でご参加の場合、プレイングの送信日(朝8時半更新)と送信時間帯をできるだけ合わせていただけるよう、ご協力よろしくお願いいたします。

 それでは、どなたにも眩しい夏の思い出を。
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第1章 日常 『猟兵達の夏休み』

POW   :    海で思いっきり遊ぶ

SPD   :    釣りや素潜りに勤しむ

WIZ   :    砂浜でセンスを発揮する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

チロル・キャンディベル
キトリ(f02354)と

この青いお花
金色のキラキラでキトリみたい!
これにのるのよ

ちっちゃなおひめさまのお話…
ならキトリも同じおひめさまね!
だっておんなじ世界を見てるんだもの

ふわあー
おっきなお花が頭の上に並んでるのをじっと見て
すごいすごい!
これがキトリの見てる世界?
ちっちゃなチロの手じゃ、のばしてもとどかない
チロの見てみたかった世界

うさぎさん!
本当、ソルベみたいにおっきくてふかふかなの
もっとおっきな動物さんが来ても、チロはなかよしになるのよ(えへん

キトリがツバメさんみたいに?
チロにはいつだってソルベがいるからさみしくないけど
でも、キトリだってずっとずっといっしょなの
みんながいればだいじょうぶ!


キトリ・フローエ
チロ(f09776)と

おやゆび姫はね、お花の中から生まれたちいさなお姫様
だからきっとあたしよりもちいさいお姫様ね
でも、普段のあたしが見ているような世界を
チロが体験できるってことだと思うの
それってとっても素敵なことだわ!
ふふ、あたしがお姫様ならチロもお姫様よ

…元から小さいあたしにはすごく大きな世界だけれど、チロにはどうかしら?
ほら、見て?ソルベと同じくらいのうさぎさん(のオブジェ)がこっちを見てるわ!
うさぎであんなに大きいのなら
ライオンやゾウはどれくらい大きいのかしら!

…ねえチロ、寂しかったらいつでも呼んでね
おやゆび姫を王子様の元へ連れて行ってくれたツバメみたいに
いつだってチロの隣に飛んでいくわ



●おやゆび姫の世界
 入口に待ち受けるのは、たくさんの花、花、――花。
 色も形もとりどりのそれらに目を輝かせはしたけれど、爽やかな草原の彩を水着に纏ったチロル・キャンディベル(雪のはっぱ・f09776)は、迷うことなくひとつを選んだ。
「この青いお花、金色のキラキラでキトリみたい! これにのるのよ」
「それでいいの? わかったわ、じゃあ行きましょうか!」
 ぱたぱたと背に閃く自分の翅と同じ色に、キトリ・フローエ(星導・f02354)はほんのりはにかんで、ふたりの探検の船の船首に腰を下ろした。
 走り出す船の傍らに、ぱしゃぱしゃと水音が躍る。それに心地好く耳澄ませながら、キトリは妹のようなチロルに、知る物語を語り聞かせる。
「おやゆび姫はね、お花の中から生まれたちいさなお姫様。だからきっと、あたしよりもちいさいお姫様ね」
 でも、ここはその視線をなぞって作られた森。だからここなら、人の大きさをとるチロルにも、自分の見ている世界が体験できるということだ。
「なら、キトリも同じおひめさまね! だっておんなじ世界を見てるんだもの」
「ふふ、あたしがお姫様ならチロもお姫様よ」
 ほら、見て、と示す頭上に、進むたびに光を燈す大きなホタルブクロの花が。それは小さなキトリはもちろん、チロルもすっぽり中に入ってしまえそう。
「ちっちゃなチロの手じゃ、のばしてもとどかない……」
 こちらを見下ろす大きな花をふわあー、と口を開けて見つめるチロル。
「あ、ほらほら、あっち! ソルベと同じくらいのうさぎさんがこっちを見てるわ!」
「本当、ソルベみたいにおっきくてふかふかなの!」
「うさぎであんなに大きいのなら、ライオンやゾウはどれくらい大きいのかしら!」
「だいじょうぶ! もっとおっきな動物さんが来ても、チロはなかよしになるのよ」
 えへん、と胸を張りながら、チロルは次々に現れる大きなものたちに瞳を奪われては、きらきらと輝かせている。
 流れゆく花が見せてくれる景色は、チロルがずっと見てみたかったもの。お姉さんのようなキトリがいつも見ているのは、こんな世界なのだ。
「……ねえチロ、寂しかったらいつでも呼んでね」
 夢中なチロルの肩に腰掛け、キトリは微笑んだ。
 おやゆび姫を王子様の元へ連れて行ってくれたツバメみたいに、いつだってチロの隣に飛んでいって――幸せの方へ、手を引いて連れ出してみせるからと。
 小首を傾げ、チロルはその言葉を胸に留める。チロルにはいつだって大好きなソルベがいるから、寂しくない。でも、
「キトリだってずっとずっといっしょなの。みんながいればだいじょうぶ!」
 その笑顔はいつだって、キトリに幸せをくれるけれど。――心の安らぎを貰ったのは、今日はキトリの方だったのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バレーナ・クレールドリュンヌ
■ リル(f10762)
アドリブOK

桜のフロートで一緒に。
普段なら一緒に泳ぐのに、こうしてぷかぷか浮いて水を進むのも楽しいわ。(隣にいる存在が、心許せる仲というのも)

クリスタルの洞窟の色彩に、驚きと歓喜に満ちた瞳に、瞬きを映して。
すごいわ!こんなに綺麗な宝石達が出迎えてくれるなんて!本当にリルの言う通り、虹色のお星様のよう!
もしも、星に手が届くなら……リルと一緒に見つけられたら、それはきっとどんな色でも宝物になるわ。

急流に驚いて、思わず悲鳴をあげて。
ぷかぷかはいつのまにか、ゆらゆらに。
ぎゅっとリルの腕にしがみついて、細身ながら、頼れる男の子の存在に身を任せて、ずっと胸の高鳴りを感じながら。


リル・ルリ
■バレーナ(f06626)
アドリブ歓迎

桜の花のふろーとに二人乗り
水があるのに、泳がなくていいなんて不思議だね、バレーナ
ゆらゆら水の上を進む、游ぐのとは違う不思議さと新鮮な感覚に笑顔が零れる
どこの道を冒険しようか

辿り着いたのはクリスタルの洞窟
みて!すごく綺麗
虹色の星空みたいだ
キラキラ、光る水晶に手を伸ばす
掴めない光だけど
つかまえるなら、君は何色がいい?

そのまま洞窟をぬけて、嗚呼流れがはやくなってきた
あはは!すごい、速いね!
僕は流れ速いの好きなんだ
バレーナ、よくつかまって―
触れる彼女の手に瞳瞬き
なんだろう
照れる

大丈夫
振り落とされないようにつかまえとく

滝から真っ逆さま!
ほら、もう大丈夫!楽しかったぁ



 淡く色づく大きな桜のフロートの上、ふたつの魚の尾がひらひらと楽しげに揺れている。
 白薔薇とさざなみを水着に纏ったバレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)の傍ら、リル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)は水面を覗き込んで小首を傾げた。
「水があるのに、泳がなくていいなんて不思議だね、バレーナ」
「普段なら一緒に泳ぐのに、こうしてぷかぷか浮いて水を進むのも楽しいわ」
 それが心許せる相手なら尚更だ。微笑むバレーナに、泳ぐことなくゆらゆらと水上を進む感覚を楽しみながら、リルも零れる笑みを返す。
 ――そんなふたりの人魚の頭上に不意に兆した影は、洞窟の入り口。
 光の中からくらやみへ、視界のすべてが奪われたと不安を感じたのは一瞬のこと。
「……まあ、すごいわ! こんなに綺麗な宝石達が出迎えてくれるなんて!」
 慣れた目に光を返したのは、あちらこちらに群生する大きな七色の水晶の柱たち。傍らに、水底に、そして頭上にも、きらきらと瞬くそれはまるで、
「みて! すごく綺麗、虹色の星空みたいだ」
「本当ね、虹色のお星様のよう!」
 花の上から手を伸ばしてみても、僅かに届かない。かろうじて指先に落ちる虹のひかりも、掴むことはできないけれど、
「もしつかまえるなら、君は何色がいい?」
 無邪気に問う少年に、娘は目を細める。もしもその輝きに手が届くなら、リルと一緒に見つけられたなら。それはどんな色でもきっと、この日の宝物だと。
「きゃあ!?」
「わっ……?」
 不意にぐらりと傾いだフロート、突然速度を上げる流れ。そう――探検と言うからには、危険だってつきものだ。
 悲鳴を上げるバレーナに、あはは、と解けたリルの声が洞窟に響く。流れが速いのは好きだと愉しげに笑う、旅の道連れのきみは、とても頼れる男の子。
「バレーナ、よくつかまって――」
「ええ……!」
 フロートに、というつもりだったのだが。しがみつく腕、頼られる感覚にぱちりと瞬いたリルの照れも、薄暗い洞窟内を駆け抜ける水にあっという間に押し流されて。
「大丈夫、振り落とされないようにつかまえとくから、ね」

 悲鳴と笑い声の合唱は、洞窟を抜けるまでこだまする。
「ほら、もう大丈夫! 楽しかったぁ」
 夏の光の下、にっこり綻ぶリル。ほっと撫で下ろしたバレーナの胸にとくりと、音が鳴った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
リュカさん(f02586)と滝ダイブ

スコールに大渦に
様々な荒波を我々と共に乗り越えた花の浮き輪は
歴戦の海賊船か
航海の女神の化身か
労いに花をぽんと一撫で

急速に滑り出す船足は
終わりを知らせるもの

寂しさを感じるけれど、なんて
感傷に浸るより先――まみえたのは、ひらけた霄

おやと思う間もなく空へ投げ出され
瞬き、ひとつ

天を游ぐ浮遊感
吹きあがる風
頬を打つ水の雫

無意識に目を巡らせ
手を伸ばして探す、少年の姿

指先を掴んだところで
盛大な音を立てて飛び込む海の青

水中で顔を見合わせ
吹き出しそうになるのを堪えて
慌てて水面へ

一足遅く降って来た浮き輪が
二人へまた派手な水飛沫を掛けたものだから
耐え切れずに笑い出す

なんて爽快な、夏


リュカ・エンキアンサス
綾お兄さん(f01786)と
お兄さんがまたロマンチストなこと言ってる…
まあ可愛いとは思うけれどもね。なるべく強そうなのが俺はいいな
え、そういうものじゃない?…そう

お兄さんと一緒に乗り込んで、水路に繰り出そう
基本(命の危険がない)スリルのあるものは好きだから、滝へと突っ込む
爽快だな…っと、
お兄さん、ほら、掴まって(手を伸ばして、繋いだ
…っ(ので、受身をすっかり忘れてた

お兄さんの手をつかんだまま顔からダイブする
…鼻に水が入った
けど顔を上げたときにお兄さんと目があって、
思わず顔を見合わせて
お兄さん、変な顔…って、わ
フロートからも盛大に水をかけられると
あー濡れた濡れた
なんて、鼻痛いんだけど思わず笑って



 スコールに大渦に――様々な荒波を共に乗り越えた花の浮き輪は、歴戦の海賊船か、航海の女神の化身か。
 ささやかなる冒険行に色を乗せる都槻・綾(夜宵の森・f01786)に、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は呆れ半分笑い半分、
「お兄さんがまたロマンチストなこと言ってる……」
 綾がぽんと叩いた大きな花を、改めて見下ろしてみる。まあリュカだって、この『船』は可愛いとは思うのだが。
「なるべく強そうなのが俺はいいな。……あ、お兄さん、あれ。もしかして、そうかな」
 迷宮のような水路の途中、蔦の絡んだ意味ありげな水門を見つけたら――それが特別な水路のしるし。入り口で貰った大きな花のついた腕輪をふたり翳せば、鎖された道は拓かれる。
 穏やかなリュカの瞳がきらり、期待に輝いた。
 スリル上等、命の危険のないものならば、恐れる理由なんてリュカにはない。少しずつスピードを上げゆく流れに、最後の一瞬を期待するこころは楽しく追い詰められていく。
 その一方で。休息に滑り出す船足が知らせるものは、すなわち終わり。上がる速度に比例して綾の心に高まるものは、寂しさ。
 大きな花が、緑の廂が、見留める暇なく左右を駆け抜けて。森に遮られていた視界が、不意に――ひらく。道が、尽きる。

「――!」
 花にしがみつこうとした手が甲斐なく離れ、水の珠とともに空を舞う。頼るものなき体と上昇気流に浮遊感を感じたのは一瞬のこと、――落ちてゆく!
「爽快だな……っと、お兄さん、ほら」
 うっすら笑ったリュカが掴まって、と伸ばした手に、綾の視線が巡る。空中で届いた手に満足して、だからつい、忘れた。
 ――迫る水面の衝撃を、どう受ければいいか。
「……っ」
 バシャ―――ンッ!!
 心の備えなんてご破算で。豪快に上がった飛沫の音が一瞬、水の深さに遠のいて、浮かび上がれば瞬く間に近づいて。
「……鼻に水が入った」
 潮の味とつんと刺す痛みに、顰めた顔がふたつ、水面に並ぶ。見合わせたらつい、
「お兄さん、変な顔……って、わ」
 一足遅く降ってきた花から、忘れないでと盛大に飛沫を浴びせかけられて。また濡らされては、笑み零す。
「あー濡れた濡れた」
「ふふ……ああ、なんて爽快な、夏」
 とかとかと歌う鼓動は漸く落ち着いて、けれど鼻の奥にはじんと痛みが残る。それさえもなんだかおかしくて。
 再びよじ登った花の上、ごろりと転がったふたりは空を仰ぐ。――あんな夏の頂から落ちてきたのだと、口の端を上げて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェレス・エルラーブンダ
やくそくごとをひとつ、ひとつと聞いては頷いて
煤だらけだったからだをきれいにして
水にはいるためのふくを貸してもらった

トトリ
あ……、……『あそぶ』がわからないから
おしえて、ほしい

あの日から、みどりいろがすきになった
きょうは、あお
眩すぎて目を覆って逃げてしまいそうになるけれど、

――!

ことばを探すうち
急に訪れた浮遊感に思わず目を見開いた
そらとうみ
ふたつのあおが混ざる、その中心へ

大きな音を立ててみずのなかに落ちれば
毛がしなって情けないすがたになってしまった

『たのしい』も『すてき』も
しらないし、いらない
そう、確かにそう思っていたのに

もういっかい、と
気付けば強請っていた自分のことを
不思議に思うことはなかった



●望みのいろ
 怖くない人間――優しい人たちの中で、少しずつ関わりに慣れてはきたけれど、約束事を伝える知らない人の声はまだ、フェレス・エルラーブンダ(夜目・f00338)にとって気安いものではなかった。
 それでも懸命に頷き、聞いて、シャワーで煤を濯ぎ、水着を借りて、自分から呼んでみる。
「トトリ。あ……、……『あそぶ』がわからないから、おしえて、ほしい」
 瞬いた琥珀色の目が、笑った気配がした。
「うん、遊ぼう」
 花のフロートに乗り込めば、短い探検の旅へ。
 みどりいろが好きになったいつかを思い出す。水路満ちる森にもその色が溢れて、少し心が浮き立つよう。けれどそれより心を惹き付けたのは、新しい色。
「きょうは、あお」
「うん。水の青も、きれいだね」
 空から降る光も、行く手に満ちる水の反射も、影の中に棲んでいたフェレスにはただ眩しくて。好きなのに、好きだから、逃げてしまいたくなる。
 けれど水門を潜って先行けば、疾くなる流れがそれを許さない。目の前には水の青、突如広々と開けた空の青。そして、
「――!」
 言葉を探す暇もない。突然頼るものなく投げ出された流れの果て、ふた色の青、ただそれだけを瞳に映して落ちていく――、
 ……ばしゃん! 高らかな音が震わせた耳を、こぽこぽと水音が埋めた。
 尻尾も髪もしんなり濡れて情けない姿だけれど、『たのしい』も『すてき』も知らないしいらないと、前は確かに思っていたけれど。
「トトリ、……もういっかい」
 思いきり息を吸った喉が、そう紡ぐ。溢れた望みを不思議に思わなかった自分に、今はまだ気づかないまま。
 そんなフェレスに綻んで、トトリはこくりと頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
くろりんと(f10471)

向日葵のフロートに乗って

うわぁ!くろりん、見て見て!
お花も木もおっきいよ!
わくわく、ドキドキが止まらないね!
どんなところに連れてってくれるんだろう?

うわわ!沢山雨降ってきたよ!
わわー!わ、落ちちゃう!
くろりんっ助けて!

あ、洞窟だ!れっつごー!
くろりん、洞窟の中ひんやりしてて気持ちいいね!

滝の音がする!まさか、ここが噂の!
くろりん!一緒にダイブしよ!
えへへ、大丈夫大丈夫!
だめだったら俺が助けるから!
さぁ、行こうっ!(手を繋ぐ)
せーのっ!ダーイブ!!ひゃー!

ぶはっ!あはは、楽しいっ!
くろりん、大丈夫?
わわ、くろりんどーしたのっ?
あはは、俺の髪の毛ぐしゃぐしゃ!
お返しだー!


華折・黒羽
クラウン(f03642)と

いつも以上にはしゃぐ様子に
溜息ひとつ

はしゃぎ過ぎると落ちますよ

仕掛け潜ってきた中で手足やフードさえ水浸し
洞窟の涼しさは心地よく目を細めた
─かと思えば唐突な声と掴まれる手

…は?

なんの準備も出来ぬまま投げ出される滝の上
浮遊感の後に襲い来る落下
猫の本能で不安定な態勢を持ち直しながらも
派手な音と共に水中へ

束の間の後
盛大な飛沫を上げ陸へとあがったその息は上がり
楽しげに大声で笑う連れに注ぐ鋭い視線

…はぁはぁっ、手を繋いで落ちるとか、あぶな…っ

小言を言うも尚笑うクラウンの頭に伸ばす両手
仕返しとばかりにぐしゃぐしゃと
いつもの落ち着きは何処へやら
年相応の子供の様な戯れがそこにはあった



「うわぁ! くろりん、見て見て! お花も木もおっきいよ!」
 選んだ花は大輪のひまわり。その花を思わせる金の瞳を輝かせ、クラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)はフロートの上から身を乗り出した。
 道化師らしい明るい黄色のポンチョを後ろから引っ張って、華折・黒羽(掬折・f10471)は溜息をひとつ。
「はしゃぎ過ぎると落ちますよ」
「あはは、ごめんごめん! ねえくろりん、わくわく、ドキドキが止まらないね!」
 揺蕩う花は、どんなところに連れていってくれるんだろう――眩い期待に心躍らせるクラウンと、水場の心地好さに心和がせながらも冷静な黒羽。でこぼこなふたりの旅は、唐突などしゃ降りや真っ暗な洞窟を協力のもとに(?)潜り抜け、沈没の危機を乗り越えて――望む者にしか開かれない水門へ。
「……あっ、滝の音がする! まさか、ここが噂の!」
「……? 噂?」
「くろりん! 一緒にダイブしよ!」
「……は?」
 ぐいと掴まれた腕。掲げたふたつの手に嵌められた花の腕輪、それがスペシャルコースへの鍵だと知らぬまま、黒羽はにっこり笑うクラウンの笑顔とともに、水門の先へ吸い込まれていく。
「――っ、クラウン」
「えへへ、大丈夫大丈夫! だめだったら俺が助けるから!」
 加速する流れ。待ち受けるものを知らない黒羽の毛並みを、ざわりと逆立たせる予感がある。この先には、危険が、
「さぁ、行こうっ! せーのっ! ――ダーイブ!」
「……!!」
 掴まれたままの手、ひゃーっと傍らに流れるクラウンの歓喜。確かなものはそれしかない空中で、落ちてゆくからだを知覚した瞬間、黒羽は猫の本能で態勢を立て直す。立て直そうとする。
 ああ、けれど、繋いだ手が邪魔をして、
 ……ばっしゃ――ん!!
 ふたり固まって落ちれば、上がる水柱もふたり分。飛沫から逃れるようにフロートに上がった黒羽を、クラウンの弾けっぱなしの笑い声が追いかけてくる。
「……はぁはぁっ、手を繋いで落ちるとか、あぶな……っ」
「あはは、楽しいっ! ほら、くろりん、大丈夫だったでしょ……ってわわ、どーしたのっ?」
 ぐしゃぐしゃぐしゃ、とクラウンの濡れた頭を目一杯掻き乱す。なんだか無性にそうしてやりたくなって。
「あはは、俺の髪の毛ぐしゃぐしゃ! やったなーくろりん、お返しだー!」
「この……っ、……あっ」
 不安定なフロートの上でぐしゃぐしゃ、ころころじゃれ合えば――そう、結果は火を見るよりも明らかだ。
 ひまわりの上から転がり落ちて、おやゆび少年たちは再び水の中。
 ぷはっと水上に顔を出したその顔は、程度こそ違ったけれど、夏空に似合う笑みの色で満たされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

岡森・椛
水着コンの水着で参加

楽しそう!
精霊アウラも私の肩に捕まって眼をキラキラさせてる
トトリさん、よかったら一緒に乗りませんか?
OKを貰えたら私もアウラも大喜び

凌霄花のフロートに乗って出発
大きな木々や草花をわぁと眺める
トトリさん見て、あのお花すごく綺麗!
右に行く?それとも左?と、相談して流れ着いた先は…

ポツリと空から溢れてくる雫
ここは…スコールエリア!
バケツをひっくり返したみたいな大雨にびっくり
アウラは私に引っ付いて雨に流されない様に必死
トトリさんも気を付けて…!

雨を抜けて青空と再会
ほっとするし、雨上がりの太陽はすごく眩しいね
アウラが優しい風で私とトトリさんを乾かしてくれる
面白かった!
トトリさん有難う



●おやゆび姫のさいわい
 溢れそうな花とフリル、それから青から紅へと色移る紅葉を彩りに。岡森・椛(秋望・f08841)は
「トトリさん、よかったら一緒に乗りませんか?」
 ぱちぱちと瞬いた臆病なシャーマンズゴーストは、恥ずかしそうに、けれどうん、と頷いた。椛の肩で喜ぶ精霊アウラは、少し興味を惹いたようだ。
 帽子を彩る凌霄花と同じ、やわらかな橙色の花のフロートでいざ発てば――大きな草木の森が、ようこそと椛を出迎える。
「トトリさん見て、あのお花すごく綺麗!」
「わ、ほんとだ……あ、あっちの、も」
「あっ、さっそく分かれ道ですよ。右に行く? それとも左?」
 迷うふたりはアウラにお任せ。優しく起こした風で左の道へ促され、向かった先は一見平穏な水路だけれど――ぽつり、
「……雫? ……あっ、もしかして」
 前触れもなくざあっと叩きつけるスコールは、まるでバケツをひっくり返したよう。
 流されまいとしがみつくアウラを庇いながら、大慌てで水を掻き出して。気をつけてと声を掛ければ、帽子でせっせと水を汲み出すトトリは案外楽しそうだ。
「……はあ、やっと上がりましたね……! 雨上がりの太陽はすごく眩しいね」
 びしょ濡れになった麦藁帽子の落とす影から、青空を仰ぎ見る。上を見ることも難しい滝の雨の先では、夏空はいっそう爽やかだ。
 優しいアウラの風が、流れる雫を乾かしてくれる。心地好さに目を細めつつ、
「ふふっ、面白かった! トトリさん、有難う」
「……うん、椛も、アウラも……ありがと」
 トトリもちょっと楽しかった――と、おずおずと笑う気配に、椛とアウラも花咲くようににっこり、微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

瀬名・カデル
【明花】
アドリブ◎

アレスと一緒にサンベリーナ・ガーデンに!
2人とも水着だよ、アレスのは格好いいね!
剣も一緒なんだね、ボクもアーシェと一緒なんだけど相棒はやっぱり一緒だよね!

帽子を飛ばされないようにぎゅっと掴んで、おやゆび姫の気持ちでとっても綺麗なお庭をアレスと一緒のフロートにのって進んでいくよ。

けれど、だんだん水の流れが速くなって…!
急にぐらぐらしてきたから危ない、どうしようって思っていたけどアレスが手を差し伸べてくらたからボクはぎゅうって掴まるよ。
いざとなったらボクは飛べるんだけどアレスとはぐれちゃうから、それなら一緒にこの流れと戦う(?)んだよ!

無事に乗り越えた時2人共きっとずぶ濡れだね!


アレクシス・ミラ
【明花】
アドリブ◎

友人のカデルさんと遊びに来たよ
君もその水着、よく似合っているね
…おや、今日はアーシェも一緒なのかい?
相棒…うん、赤星も大事な相棒だ
相棒とは一緒にいたいよね

カデルさん、その可愛い帽子は飛ばされないようにね
彼女の様子を微笑ましく見ながら進んでいく
景色を楽しむ余裕はありそうだ…と思っていたら
段々流れが速く…?う、わっ!?
急流下りかこれは!?
っカデルさん、僕に掴まって!アーシェも離さないように!
カデルさん達を片手で支え、もう片手でフロートを掴む

フロートが花弁舞う庭を駆け巡っていく
回って
跳ねて
水飛沫にかかって
花吹雪に流されかけて

これはずぶ濡れになるな…!
…でも、とても満ち足りた気分だ



「ああ、これは失礼を。お預けしていいのかな」
 腰の剣を申し訳なさそうに見つめていた係員の視線が、アレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)の穏やかな笑みにほっと綻ぶ。浮かぶフロートを万一がないようにと、
 大事な相棒をよろしく、と『赤星』を預け、お待たせしたねと傍らのレディを振り返る。
「ううん、大丈夫! ふふ、アレスの水着、格好いいね!」
 瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)の素直な賛辞に、ありがとうと微笑んで。
「君もその水着、よく似合っているね。……おや、今日はアーシェも一緒なのかい?
 大事な相棒にぎゅっと頬寄せ花に乗り込む少女を、微笑ましげに見守って。――いざ、探検の旅に出発だ!
「カデルさん、その可愛い帽子は飛ばされないようにね」
「あ、そっか! うん、しっかり掴んでおくね」
 麦藁帽子をぎゅっとかぶり直したカデルに頷いて、暫しはのんびりとおやゆび姫の旅路。長閑な道行きにひらひらと、カデルの纏う花色のパレオが美しくはためく。
(「景色を楽しむ様子はありそうだ……、おや?」)
 頬に当たる風がふと強くなった気がして、アレクシスは辺りを見渡した。穏やかに流れていた風景が、少しずつ早く通り過ぎていくような――、
「段々流れが速く……? う、わっ!?」
「わあっ、急にぐらぐらって……!」
 左右の分岐から流れ込んだ水が、突如ふたりのフロートを押し上げる。
「急流下りかこれは!? っカデルさん、僕に掴まって! アーシェも離さないように!」
「うん! ボクも一緒にこの流れと戦うんだよ……!」
 ぎゅっと腕に掴まった傍らの少女に腕を回し、アレクシスはフロートにしっかりと体を据えた。次に来るものを見定めようと瞠る瞳に、鮮やかに躍る花のいろ。
「……! カデルさん、見て!」
「! うわぁ……!」
 猛スピードで駆け抜けるそこは、花弁舞う水路庭園。回って、跳ねて、きらきら輝く飛沫を浴びて。
 掴めない水流に悲鳴を上げ、歓声を上げて。跳ねるこころに、吹き荒れる花吹雪のなんと鮮やかで眩しいこと。
「……っははっ、これはずぶ濡れになるな……!」
「ふふっ、ほんとだ! ――あっ見てアレス、あそこから抜けられそう!」
「! よし、行こうか!」
 昂揚するこころは満ち足りたもの。懸命に水を掻き、流れからの離脱に挑むふたりの顔を、兄妹のようによく似た笑みが彩っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【紫崎・宗田(f03527)】と

すごーい、ほんとに大きい植物ばっかり
流れ任せも冒険だよね!

<洞窟>

見て見て紫崎君!この水晶光ってるよ!
綺麗だなぁ…まるで虹の欠片みたい
暗い世界を彩る幻想的な光
明かりが無くても全然困らないね

赤色は、紫崎君の色
僕はオレンジかな?
ピンクは無いですぅー!そして女は余計だ

おやゆび姫は道中一人ぼっちだったけど
こんな風にわくわくした事もあったのかな

(僕が今楽しめてるのは
 紫崎君が隣に居るからかもしれないし)

【心情】
光の下に踏み出してから
紫崎君との思い出が増えていく
この水晶のように色鮮やかな記憶が
暗い世界を塗り替えるように
僕の心を埋め尽くしていく

人はこれを、幸せと呼ぶのだろうか


紫崎・宗田
【栗花落・澪(f03165)】と

草花って栄養さえ行き届いてりゃ
ここまでデカくなるもんなんだな…

で、おいチビ
どうすんだ?ルート
わかった…なら俺も漕がねぇぞ

<洞窟>

確かに…結構深い洞窟みてぇだが
水晶が明かり代わりになってて助かるな

あ?赤?
…あぁ、炎使うからか
赤の入った服確かによく着るな
お前はピンクだろ、女みてぇだし

…俺は童話なんざ知らねぇし
おやゆび姫の原作なんざ欠片も理解してねぇが
救いの無い人間なんざいねぇ
問題は、その救いに気付けるかどうかだ

少しでも周りを見渡す余裕があったんなら
ワクワクまではいかねぇとしても
姫さんも救われはしたんだろうよ

ほら、カーブ
曲がるからバランス崩さねぇよう掴まってろよ



「すごーい、ほんとに大きい植物ばっかり」
 こちらを覗き込むように出迎えた巨大な花々に、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は背中の翼をはたはたと躍らせ、目を丸くする。
「栄養さえ行き届いてりゃここまでデカくなるもんなんだな……」
 面白がるように、呆れたように。頭上の花を見上げる紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)の眼差しが、澪を振り返る。
「で、おいチビ、どうすんだ? ルート」
 目の前には分かれ道。行く先を決める分岐点ではあるけれど、
「流れ任せも冒険だよね!」
 行き当たりばったりも楽しいと断言する少年に、宗田もわかった、と漕ぐ手を止める。
 かくして辿り着いたのは――くらやみのなか。花が進んでいった洞窟内に、一瞬視界を奪われてにひやりとするも、
「わあ、見て見て紫崎君! この水晶光ってるよ!」
「……おお。明かり代わりになってて助かるな」
「綺麗だなぁ……まるで虹の欠片みたい」
 林立する色とりどりの水晶群は、しっとりと沈んだ暗がりの中、道を伝えるようにきらきらと幻想的な光を伝わせている。これなら明かりがなくても困らないねと目を瞠り、澪はひとつ、ふたつと色を数える。
 ぐねぐねと曲がり、洞窟水路は先が見通せない。声の反響からすると随分と深そうだと、見えない進路に目を凝らす宗田と水晶を見比べて、澪がぽつり。
「赤色は、紫崎君の色。それに僕は……オレンジかな?」
「あ? 赤? ……あぁ、炎使うからか」
 確かに赤の入った服はよく着ると頷いて。――ついでに異議もひとつ、
「お前はピンクだろ、女みてぇだし」
「ピンクは無いですぅー! そして女は余計だ!」
 少女のような身形はしていても、オレンジのパンツに羽織った黒いラッシュガードのその姿は、れっきとした少年だ。
 急にぐらりと揺れたフロート。上がる歓声が膨れっ面を吹き飛ばしてしまう。次々に現れる知らない風景の楽しさに、ふと澪は思う。
「おやゆび姫は道中一人ぼっちだったけど、こんな風にわくわくした事もあったのかな」
 自分の隣には今、宗田がいるけれど。――なら、彼女は?
「さぁな。……俺は童話なんざ知らねぇし、おやゆび姫の原作なんざ欠片も理解してねぇが」
 ぶっきらぼうな話しぶり。けれど語られる言葉は今日も、優しさに満ちている。
「救いの無い人間なんざいねぇ。問題は、その救いに気づけるかどうかだ」
 少しでも周りを見渡す余裕があったなら。心躍らせる大冒険とまではいかなくても、
「姫さんも救われはしたんだろうよ。ほら、カーブ」
 曲がるから掴まってろ、と頭の上に乗った掌に頷き、澪は花のフロートに手を添えて――そっと宗田に身を寄せた。
 宗田の開いてくれた光。その下で増えていく彼との思い出は、暗い洞窟を彩る水晶のよう。くらやみを塗り替えて、鮮やかな色で心を埋め尽くしていく。
(「人はこれを、幸せって呼ぶのかな」)
 チビ、と呼ばれて上げた顔。影と虹色の果て、現れた出口の光がしらじらと、澪の思いを照らし出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セリオス・アリス
【撚糸】
アドリブ◎
マジで小さくなったみてぇ
顔を輝かせ花に乗り込む
ほら、マリア。来いよ
マリアに向かって手を差し出し
…っと!あぶねえなぁ
飛び込んできたマリアを抱きしめ楽しげに笑う
お前も案外おてんばだよな
そら、これで安心だろ
後ろから抱えるように座り
そんじゃ出発だ!
流れる景色を眺めながら満面の笑みでマリアを覗きこみ

ハッ―!すっげぇ
以前水中でみた景色とはまた違う
きらめく光が反射して―
…マリア、見てみろよ
スッと存外に優しい手付きでマリアの髪を掬って
こっちも、宝石みたいだ
綺麗だな
なっ?っと宝物を見つけた少年のように嬉しそうに小首を傾げる
ははっよくそんな言葉がポンポン出るな
まあ、悪い気はしねぇ
ご機嫌で髪を梳る


マリアドール・シュシュ
【撚糸】
アドリブ◎
フロートの形お任せ

水路探検だなんて素敵!
ふふ、セリオスったらまるで紳士様のようね

セリオスの手を取りぴょんと飛び乗ろうとし体勢崩す
咄嗟に掴まる

ひゃっ
ついあなたと一緒に行けるのが嬉しくて、はしゃぎすぎてしまったのよ

セリオスの前へ座る
振り返り微笑
草木や彩の花を眺め
蝶がひらひら
魔法の遺跡に触り危うく幽閉されそうになるも回避
宝石の洞窟へ

水面に映る二人
圧巻な光景に目輝かせ

此処はとっても落ち着くの(クリスタリアン故
…!
まぁ!何だか照れてしまうのだわ
セリオスだって綺麗よ
夕暮れ時、空が深い蒼に覆われて月光の黄金色と熔ける
原石の眸のような

本心からの言ノ葉に照れ笑み
礼を言う

最後まで楽しみましょう!



●おやゆび姫の憧憬
「マジで小さくなったみてぇ……ほら、マリア。来いよ」
 游ぎ来るフロートは、大きな大きなネモフィラの花。目を輝かせ、一足早く乗り込んだセリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)のエスコートをと伸ばされた手に、マリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は蕾が綻ぶように笑った。
「ふふ、セリオスったらまるで紳士様のようね。――えいっ」
「……っと!」
「ひゃっ!?」
 マリアドールが飛び込んだ先は、ゆらゆらと頼りなく揺れるフロートで。大きく傾いだ花を強引に抑えつけ、片腕に少女を抱き留めて、セリオスはははっとそれすらも楽しげに笑う。
「あぶねえなぁ。……お前も案外おてんばだよな」
「つい。あなたと一緒に行けるのが嬉しくて」
 はしゃぎ過ぎてしまったのだと、罪なくころころ笑うお転婆娘を、抱えるように前に座らせる。
「これで安心だろ。そんじゃ出発だ!」
 繰り出すふたりの進路には、大きな草木のお出迎えに、ひらひらと影落とす巨大蝶、妖しげな罠に満ちた魔法の遺跡。さまざまな不思議が満ち溢れていた。
 中でも――不意に遮られた陽のひかり。瞬いたふたりに息を呑ませたものは。
「――すっげぇ」
「……! すてきだわ」
 水底で見たまるく、淡いいろとはまた違う。くっきりと尖鋭な光の塔のように、周囲にそそり立っては鮮やかな色彩を返す、美しい水晶群が広がっていた。
「此処はとっても落ち着くの」
 水晶の体を持つ故か。ちらちらと呼び掛ける光に目を細めたマリアドールへ、答えようと開かれた口が――何かを見つけて止まる。
「セリオス?」
「……マリア、見てみろよ」
 思いがけない優しさで攫った銀の髪のひと掬い。石英のような煌めきが、他の水晶たちの色をやわらかく映すのを、
「こっちも、宝石みたいだ。綺麗だな?」
 稚く嬉しそうに。こんな近くに宝物を見つけたと、小首を傾げて笑う青年が笑えば、
「まぁ! 何だか照れてしまうのだわ」
 ばらいろの頬を両手で包み込んだマリアドールは、振り仰ぐセリオスの眸に目を細める。
「ありがとう! でもね、セリオスだって綺麗よ?」
 喩えるならそう――夕暮れ時の空。月光の黄金色と溶ける、深い深い蒼を原石としたような。
 夢見るような語り口に、ははっ、と笑い声が零れた。年頃の少女の言の葉の、なんと詩的なことだろう!
「まあ、悪い気はしねぇ。――濡れた髪をお梳きしましょうか、姫君」
「ふふ、お願いいたしますね、紳士様」
 その身に生まれ持った宝石をかわるがわる七色に染めながら、ふたりは洞窟を越えてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティモール・アングルナージュ
あ、トトリー!
ね、お花に乗って探検一緒行こー!
べ、別に一人じゃちょっぴり怖いなー…とか思ってないよ!
だってボク紳士だから!(強がる

わぁっ、お花のフロート可愛い!(きゃっきゃ
大きな植物見ることあまりないから興味深々にきょろきょろしちゃう
密林って、森みたいにいっぱい植物あるけど何だか賑やかな感じだね!
でも自然いっぱいなのボク大好き!
トトリといると落ち着く感じに似てる…って、ボク落ち着いてない!?

なんて話してたら…あれ?
水路が途切れてるように見えるん…って、わー!! 滝っ!?
わたわたしてる間に、豪快にダイブ!

(ぷはっと水面から顔出し)トトリ大丈夫!?
びっくりしたけど、でもすっごい楽しい!(きゃっきゃ



「べ、別に一人じゃちょっぴり怖いなー……とか思ってないよ! だってボク紳士だから!」
 えへんとそらした胸に、『紳士だから!』は強気のおまじない。でも一緒行こー! と元気に誘うティモール・アングルナージュ(時計仕掛けのマンゴー・f08034)に目を細め、頷いたトトリはまた一つ学んだ。――紳士は怖がらない。
「わぁっ、お花のフロート可愛い! 密林って、何だか賑やかな感じだね!」
「うん……ティモ、あっち、もっと大きい、よ」
「わぁ、ほんとだー!」
 きょろきょろ、きゃっきゃ。楽しい水路の旅に、ティモの視線は興味の赴くままに忙しい。普段見ることもない大きな植物、たくさんの緑。えへへ、とつい笑みが零れる。
「自然いっぱいなのボク大好き! トトリといると落ち着く感じに似てる」
「……? ティモが落ち着いてるの、見たこと、ない……元気な、とこしか」
 小首を傾げるトトリに、がーんっ、と衝撃のティモール。
「えっ、ボク落ち着いてない!?」
「ティモ、ティモ、そろそろ、くる」
「えっ、何がー?」
 スペシャルゾーンの水門も、少しずつ早くなる流れも、衝撃の事実のうちに一気に通り抜け、ふたりの乗ったハイビスカスが目指すのは、
「水路が途切れてるように見えるん……って、わー!! 滝っ!?」
 そわそわわたわたする二人を、流れは勢いよく涯てへ投げ出して――、
「わあー!?」
 ばしゃ――んっ! と高らかに上がる水飛沫。華麗に水を掻き、ぷはっと水面から顔を出したティモールを、海底から湧き上がった泡が擽っていく。
「トトリ大丈夫!?」
「うん、へいき」
 ティモは――と訊き返す必要はなかったと、トトリはふわっと笑う。頬をちょっぴり上気させ、朗らかに笑う顔。一目瞭然だ。
「びっくりしたけど、でもすっごい楽しい!」
「うん。ティモは、紳士だから、ね」
 ――そう、紳士とは怖がらないものだから!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユキ・スノーバー
絵本で読んだ事がある、おやゆび姫のお話みたいな所に迷い込めるって聞いて!
浮き輪で流されてる事多かったから、水に浸からずにゆらゆらするのも良いねっ

案内で言ってた飛ぶって、何だろなんだろーっ?
気になる気になる挑んじゃうーっ!だって冒険にスリルはつきものだもんねっ♪
(何だか雰囲気怖くなってきたような、と思わずふるりと震え)
えっ、え…何か、雨降って何か雰囲気険しくなってきた、ような?
?(急に水無くなっt)…えっ
ふ ゆ ぅー?!(悲鳴が出そうでお口チャックしたいし、でも花弁に捕まってなきゃ怖いしで手の位置が迷子感)
涙出ないけどーっ?!
(あっ、そういえば花弁から投げ出されちゃうんだっけ?!ひぇえええーっ)



「ほんとだっ、絵本の中の世界みたいーっ!」
 ひとり元気に探検のユキ・スノーバー(しろくま・f06201)、まっしろ大きなプルメリアに乗って、ゆらゆらと水路を往く。
 思い返せば、今年の夏は浮き輪で流されていることが多かったから、濡れることなく水に浮かんで漂うのは、ほんの少しリッチな気分も味わえて――楽しい。それに、
「案内で言ってた飛ぶって、何だろなんだろーっ? 気になる気になる挑んじゃうーっ!」
 そう。ミステリアスな水門に花の腕輪を掲げ、速い流れに身を預け――辿り着く先に何が待つのかを、ユキは知らないのだ。
「冒険にスリルはつきものだもんねっ♪」
 わくわく感に身を任せ、てってれてれてれー♪ と機嫌よく歌いなどしながら――ふと、翳った頭上に首を傾げる。
「……あれっ、何だか雰囲気怖くなってきたような?」
 追い立てるように降り始まる雫が、いっそう不穏で。
「えっ、え……何か、雨降って雰囲気険しくなってきた、ような??」
 とかとか歌う胸を押さえ、なになにと辺りを見渡すユキ。ひゅっと風切る音が耳を震わせ、突然森が拓けたかと思うと――水がなくなった。
「? ……えっ」
 時間が止まったような気がした。空中で。――空中?
「ふ ゆ ぅー?!」
 落ちる。落ちていく! 手が足りないーっ、と何故かユキは思った。きゃあーっと零れる悲鳴をお口チャックしたいし、怖いから花に掴まっていたいし――わたわたと迷う両手はどちらもできずに空を掻く。
「涙出ないけどーっ?! あっ、お花……ひぇえええーっ!」
 ――スリルどころではなかった!
 体から離れ浮かび上がった花を見送り、華麗なダイブ!
 ばしゃ――んっ、と立ち上がった華やかな水柱。くるくると目を回して浮かび上がったユキを助けるように、旅の相棒のプルメリアがふわり、傍らに舞い降りた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メーリ・フルメヴァーラ
オズ(f01136)と

お花のフロート可愛いね!
これ何のお花かなってそわそわ(※お任せ)
今年新調した水着ではしゃいじゃう

あそこだ!と指差した先
大きなしゃぼん玉がいくつも浮かんでて
砂漠の海を思い出し笑う
中にお花がたくさん入ってるって視線動かすうち
オズが渡してくれた青いお花にぱちくり
可愛い!ありがとうー!

ふんふんここで出来るのは
水鉄砲でしゃぼん玉狙う遊びなんだね
最初は~…あれ!
狙うはオズに似合う向日葵みたいなお花
さっきのお礼って差し出すの

いっぱい撃ったら花が降るかな
虹色花色きらめいて
どんなものにも手が届く気分
視界に入るもの全部が
未知の輝きに満ちててとてもすごい!

次はあれ狙おうって
笑顔だって弾けるんだ


オズ・ケストナー
メーリ(f01264)と

メーリ、どれにする?
花に乗って
ほんとだ絵本みたいっ

わあっ
指す空に
しゃぼん玉とその中に浮かぶ花
トカゲを捕まえた、あの砂漠の海を思い出して微笑む

近くまでおりてきた玉をつつくと
ぱちんと割れて手の中に花
淡い青はメーリの色だから
はいっ、と渡して

メーリっ
わくわくと銃の名手である彼女を見る
たくさんの花の雨が降ったらきれいだもの
さあ、どれからねらう?

差し出された花がうれしくて
ありがとうっ

わたしもっ
狙って降らせた黄色い花
メーリにも似合ってるからうれしくなる

赤も、オレンジも
メーリに似合うの全部渡したら、いっぱいになっちゃうね
でも見たいからよくばっちゃおうか

弾ける笑顔に頬がゆるむ
たのしいねっ



「お花のフロート可愛いね、これ何のお花かな! ……ポーチュラカ? わあ、名前も可愛い!」
 朗らかな赤紫の花にはしゃぐメーリ・フルメヴァーラ(人間のガジェッティア・f01264)に、係員も思わずにっこり。
「ほんとだ、絵本みたいっ。これにしようか、メーリ」
「うんうんっ、そうしようオズ!」
 空色の水玉彩るオフショルダーに、水面のひかりを写し取ったパレオ。ツインテールを楽しげに揺らしたメーリの手をとって、礼儀正しく花の上へとご案内するオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は、物語の終わりに待つ王子様のよう。
「……あっ、あそこだ! 見て、オズ!」
「わあっ、しゃぼん玉! なかになにか入ってるみたいっ」
 ふわふわと高みから花の行く手へ降りて来る、うっすら七色の光の珠。――ふと、
「ね、オズ、思い出した?」
「うんうんっ、わたしも思い出しちゃったっ」
 言葉にしなくてもわかるのが楽しくて、ふたり肩寄せて笑う。砂漠の海、トカゲとの追いかけっこでも大活躍したんだ――。
「! 中にお花がたくさん入ってる!」
「ほんとだっ。あ、これ」
 近づいてきたひとつの秘める色。つつけばたちまちぱちんと弾け、オズの掌に淡い色の花が舞い降りる。そっと撫でて、差し出す相手はもちろん、
「淡い青はメーリの色だから、はいっ」
「わあっ、可愛い! ありがとうー!」
 さっそく髪に一輪とめて、ふんふんと。どうやらここで出来るのは、水鉄砲でしゃぼん玉を狙う遊びのようだ。――それなら、
「さあ、どれからねらう?」
「最初は~……あれ! オズにさっきのお礼!」
「わあっ、メーリすごいっ。ありがとう!」
 ――ぱちん! 大きな泡が真上を通りかかった瞬間を狙って降らせた掌ほどのひまわりは、見事オズの掌へ。
「……ね、いっぱい撃ったら花が降るかな」
「メーリっ!」
 ひそやかな問いかけに、オズの瞳も煌めいた。銃の名手の腕前を知っているから、わくわくと躍る心が止まらない。
 シャボンの雫とともに虹色花色、たくさんの色が雨と降ったら、きっと――きれいだから。
「よしっ、わたしもっ」
 勢いづいて撃った一射が降らせた黄色が、ひらり、メーリの髪に着陸して。似合ってるねとまた笑う。
「ふふ、オズ、今ね、どんなものにも手が届く気分!」
「うんっ、たのしいねっ」
 ぱちん、ぱちんと花降るたびに、ぱちん、ぱちんと笑顔も弾ける。きみに似合う花、ぜんぶよくばってふらせちゃおう――そんないたずらな気持ち。
 撃ち落とした花色の代わりに、色づく笑い声で森を飾ろう。夏空へ上る歓声は、陽射しよりもっと眩しく輝いていた。

 サンベリーナ号に鮮やかな歓声――ときには悲鳴も――を響かせて、おやゆび姫たちの探検行は日暮れまで続く。
 そして、真夏の太陽と別れたあとは。
 夜の楽しみもいっそう鮮やかに、そのあとを引き継ぐのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月24日


挿絵イラスト