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エンパイアウォー㉑~渦巻く心のままに

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー

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●描き出される螺旋。
 関門海峡の大渦の上、大帝剣『弥助アレキサンダー』と隠し将『豊臣秀吉』は猟兵たちを待ち受ける。
「全ては信長様の為に」
「フェンフェン」
 その言葉の意味を噛み締めながら。

●戦場は海。
「諸君! 聞いてくれたまえ! 弥助アレキサンダーの所在が判明したのだ!」
 第六天魔軍将図に記された魔軍将、信長を除いてはその最後の一人、弥助アレキサンダー。ゴッドオブザゴッド・ゴッドゴッドゴッド(黄金存在・f16449)は猟兵たちに、その発見の報を告げる。
「奴が待ち受けるのは関門海峡、その大渦の上! しかしそれだけではない! 戦いの場にたどり着くまでに越えねばならぬ困難はそれだけではないのだ!」
 まず、今回の戦い、その全ては海上で行われる。
 空を飛ぶか、泳ぐか、あるいは乗り物を活用するか。
 何らかの対策を講じなければ戦うどころではない。これは必ず考えねばならない。
「そこまでは良いかね? では、順番に説明していこう」

 まず第一に待ち受けるのは毛利水軍。
 彼らは、大軍勢を操るメガリス『大帝の剣』の能力によって猟兵が敵だと洗脳されており、敵意を剥き出しにしている。
「とはいえ彼らは一般人! 屈強な武士達ではあるが、戦えば倒す事は困難ではあるまい……しかし、それをしては江戸幕府の未来に禍根を残すやもしれぬ! できる限り殺したりはせずに無力化したり、突破する方法を考えてもらいたい!」
 操られているだけの毛利水軍に犠牲を出す必要はない。
 うまくやってくれたまえ、とゴッドは続けた。

 そして次に待ち受けるのは隠し将『豊臣秀吉』。
 秀吉は「フェン」としか喋れないが、それを聞けば誰であっても何を言っているのか理解できるそうだ。義と忠に厚い、武将の鑑みたいな事を喋っているとか。
「秀吉は対象を異形強化するメガリス『逆賊の十字架』の能力によって、スピードと反応速度を強化されている!」
 秀吉はその力をもって関門海峡の海上をゴムマリのように飛び跳ねながら、あらゆる角度からの弥助への攻撃を超高速で受け止めるという。
「彼を倒さぬ限り、諸君の剣を弥助アレキサンダ―へと届かせることはできぬであろう! 強敵ではあるが避けては通れぬ戦いだ! 心して臨んでくれたまえ!」

 秀吉を倒す事ができれば、ついに弥助アレキサンダーとの決戦に臨む事ができる。
「弥助は、メガリス『闘神の独鈷杵』の力によって発生した『関門海峡の大渦』の中心に浮遊しながら、3つのメガリスの力を高めている! そのメガリスの力が十分に高まれば天変地異の如き雷の大渦を呼び、諸君らは吹き飛ばされる事となろう……時間は奴の味方、短期決戦で臨むのだ!」
 また、彼の浮遊能力も高くは飛べるものではないようだ。
 加えて、弥助が生み出した大渦も、うまく使えばこちらが戦いを有利に運べるかもしれない、とゴッドは告げる。

「説明は以上だ! 重ねて言うが海上での戦い、普段とは違う思考が必要になる場面もあろう! だが諸君であれば、必ずや奴らを打ち倒す事ができるとゴッドは信じているぞ!」


納斗河 蔵人
 お世話になっております。納斗河蔵人です。
 今回はエンパイアウォー、弥助アレキサンダー及び豊臣秀吉との戦いです。
 下記の通り特殊ルールがあります。

 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 また、OP中でも説明した通り海上での戦いとなります。
 海上戦を可能とする手段を用意して臨むようお願いします。

 いずれも強敵ですので、しっかりと確認のうえ、ご参加ください。
 プレイングをお待ちしております。よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 関門海峡の海上に展開された毛利水軍は屈強な武士達。
 比較的平和な徳川の世にあっても彼らは訓練を怠らず、未だその戦力は大きい。

 しかし、それを利用されることになろうとは。
 彼らの力は戦争が終わった後の世にもきっと必要となる。
 だからこそ、猟兵も、毛利水軍も。
 無傷でここを突破できる手段を見つけ出さなくては。
星群・ヒカル
※アドリブ・連携歓迎

「見せてやるぜ、おれと銀翼号の新たな可能性を!」
宇宙バイク銀翼号を【武器改造】で耐水性に
銀翼号に【騎乗】し、海中を全速力で進んでいくぞ!
水中も無重力空間と似たようなもんだ
超宇宙学生服をヘルメット付の宇宙空間モードにすれば、酸欠になる心配もないな

落ちてくる物体や爆弾などあれば【第六感・逃げ足・早業】で回避
【地形の利用・視力】でなるべく船にとっての死角……即ち「船の真下」を選んで進んでいこう

『超宇宙・夢光見生誕』で召喚した「破裂すると強烈な光を放つ風船」を、走りながら海上に向かって放っていこう
きっと毛利水軍の目を惹き(或いは潰し)、海上を行く人にとっての助けになってくれるはずだ


エルネスト・ポラリス
さて、行きましょう……!
狼形態の俊敏性を活かし、船の間を飛び移っていきます!
『勇気』を持って敵中に突っ込み、『野生の勘』を活かして次に跳ぶべき先を『見切り』、駆け抜けていきますよ!

勿論、それだけでは勝てません。
指定UCを使用、船の一部を光に変えてしまって、浸水させていきましょう!
水軍なら、船が沈んでもある程度泳げはするでしょう。
しかし、その状態ならば、私たちに構う暇もないはず!

予兆で見た、弥助アレキサンダーの様子。
ええ、忠義という意味では、オブリビオンながら尊いものを持った人物なのかもしれません。
だからこそ!大帝剣で人の心を奪う所業を許すわけにはいきません!
早く彼らの下へ向かいますよ!!



 毛利水軍の数は多く、犠牲を出さずに正面から突破することは困難であった。
 故に、猟兵たちは頭を働かせる。
 その一人、星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は岩陰で何やら道具を広げ、宇宙バイク銀翼号と向き合っていた。
「見せてやるぜ、おれと銀翼号の新たな可能性を!」
 海上を進むことが難しいのならば海中を行けばいい。
 水中も宇宙と似たようなもの、と銀翼号はヒカルの手によって新たなる可能性を切り開いた。
 超宇宙番長は当然、宇宙での活動を可能とする超宇宙学生服を装備している。
 これがあれば、海中を進むことも不可能ではないはずだ。
 と、それとはまた他方、展開された毛利水軍の陣を見つめる目があった。
 エルネスト・ポラリス(赤く錆びつく月の下・f00066)は船の配置、陣容を確認し、道筋を探る。
 弥助アレキサンダーとそれを守る豊臣秀吉までたどり着く為の道筋を。
 
「さて、いきましょう……!」
 見ただけですべてを悟ることはできない。しかし、一歩を踏み出さなければ目的を果たすことはできないのだ。
 エルネストはその勇気を持っている。
 その身を狼へと変え、四つの足で駆けだした。
「見ろ! 狼がいるぞ!」
「こちらへ飛び移る気か!」
 メガリスによって操られた兵たちはその姿、意図に気付き弓を構える。
「放てーッ!」
 しかしその矢が届く一瞬前、エルネストは低く身を屈め、そのまま空中へとその体を躍らせる。
「次は……こっち! その次は……!」
 船上に居座る事の出来る時間はわずか。
 弓の狙いが向けられるよりも早く、一瞬の判断が必要とされるその芸当をエルネストは違い無くこなしていく。
 無論、船を乗り移るだけでは大渦にたどり着くことはできない。たとえ屈強な毛利水軍たちであっても大渦の上で船を操ることは至難。
 エルネストはそこにたどり着く為の足場を作る策を持っていたのだが……
「さすが、というべきですかね。隙が無い……!」
 矢は隙間なく降りそそぎ足を止める事はかなわない。敵陣深く潜り込んできたことでその隙はますます短くなっていく。
 と、そこで。
 海中より何かが現れた。
「あれは……風船?」
 
「よーし、銀翼号。絶好調だな」
 ヒカルは狙い通り、銀翼号に跨り海中を進んでいた。
 さしもの毛利水軍も海中から大渦を目指すという発想は持ち合わせておらず、見事に死角となっていた。
 ヒカルはそれでも海上に注意を払いながら悠々と戦場へと進んでいたのだが……
「おっと、こいつは……誰かが狙われてやがるな!」
 目の前に複数の矢が沈みゆく。こちらに気付かれたわけでなく、海上で誰かを狙ったものが海へと落ちたのだと察する。
「だったら……援護しねぇとな! 星の目、光の鍵、夢の扉よ、さあ開け!」
 ヒカルは『超宇宙・夢光見生誕(チョウウチュウ・ドリフトビッグバン)』を発動する。
 その力は夢の世界を観測し、現実離れしたもの……「破裂すると強烈な光を放つ風船」を作り出す!
「さあ行け、風船ども! 毛利水軍の目を惹き、会場を行く猟兵の助けになってやれ!」
 ふわり、と海面へと浮かび上がりゆく風船たち。
 それは文字通り、光明を見出させるカギとなる。
 
 矢の雨は止まらない。
 しかし、その中の一本が浮かび上がった風船の一つを撃ち抜いた。
「うわっ……!」
「クソっ、怯むな!」
 エルネストはその光から背を向けていたが、彼を狙っていた毛利水軍はたまらない。
 生まれた強力な光は彼らの目をくらませ、一瞬の隙間を作り出す。
「よし、今ならば……」
 次の瞬間、新たな光が生まれた。エルネストの『ラエティティアの証明を(リメンバランス)』が降り立った船の舵を聖なる光へと変換し、操る。
 その荒い船の動きに、乗っていた兵は海へと投げ出される。
「水軍なら、海に落ちてもある程度泳げはするでしょう。この隙に、進ませてもらいます!」
 エルネストは同様に何隻かの船の操作を奪い、兵たちを振り落とした。 
 
 そして……
「これは……大渦に引き寄せられているのでしょうか」
 操るものを失った船たちは一様に、沖へと流れゆく。その先に待ち受けるものは間違いない。
「予兆で見た、弥助アレキサンダーの様子。ええ、忠義という意味では、オブリビオンながら尊いものを持った人物なのかもしれません」
 いつしか毛利水軍たちの矢も届かなくなっていた。この先は常人に踏み入れる領域ではないという事だ。
「だからこそ! 大帝剣で人の心を奪う所業を許すわけにはいきません!」
 海上から、海中から。
 猟兵たちは関門海峡の大渦を目指す。 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

法月・志蓮
殺さない様に……か。難しい注文だがやってやるさ

海上は見晴らし良くて狙いやすいのはいいが……小舟だと高さが物足りないし波の影響を強く受けて狙撃しにくいな
ここは無力化がてら軍船を一つ制圧していくか

まず味方の動きに乗じて出来るだけ『目立たない』よう舟を進ませ、適当な軍船に発煙手榴弾をいくつか『投擲』して混乱させた所にアンカーワイヤーの『ロープワーク』で乗り込むぞ
煙の中で『暗殺』の要領で【軍隊式近接格闘術】を用いて死なない程度に無力化していく。時折閃光手榴弾での『範囲攻撃』も合わせて手早く済ませよう
船の制圧後、もし周りの軍船が対応してきそうなら甲板で愛用の対物ライフルでマストを破壊して動きを封じるか



「殺さない様に……か。難しい注文だがやってやるさ」
 波間を行く小舟の上でつぶやいたのは法月・志蓮(スナイプ・シューター・f02407)であった。
 狙撃手たる彼にとって海上における見晴らしのよさは利点にも欠点にもなりえた。
 遮るものがなく狙いやすいという事は、相手からも狙いやすいという事。加えて……
「小舟だと高さが物足りないし、波の影響を強く受けて狙撃しにくいな」
 実際に今、志蓮が乗っている小舟は戦いに用いるには少しばかり頼りない。
 ならば、と海上に浮かぶ船々に目星を付ける。
「ここは無力化がてら、軍船を一つ貰っていくか」

 ゆっくりと、慎重に。目立たないように志蓮は船を進める。
 と、そこで少し離れた場所から声が上がる。
 どうやら先に動き出した猟兵がいるようだ。
「だったらこちらには好都合。そっちの負担を減らす為にも手早く済ませよう」
 と、志蓮は事前に計画したプランを実行へと移す。
 発煙手榴弾のピンを引き抜くと、船上とは思えぬ安定した軌道で投擲。
 と、同時にアンカーワイヤーの狙いをつける。
 毛利水軍の目は他の猟兵に向いている。ならば躊躇う必要もない。
 煙が噴き出すと同時、志蓮は船上に降り立った。
 
「……思ったよりも、体は覚えているもんだな」
 そこからの動きは素早い。『軍隊式近接格闘術(クロース・クォーターズ・コンバット)』の前に、兵たちはなすすべもなく倒されていく。
 一人、二人と自由を奪い、海へと放り出す。これだけの船団ならば救助もされるであろう。
 周りの船も煙に包まれた船に向かって矢を射かけるわけにもいかず、すぐには動く事も出来ない。逆に言えば煙がはれるまでが勝負だ。
 志蓮は遅れることなく、迅速かつ正確に打撃を打ち込み、制圧。船の制御を自らのものとする。
「よし、ここまでは順調だ」
 ぐらり、と船が揺れる。向かうべき方向はわかる。
 しかし進むうちに煙は晴れた。船に乗るものが猟兵だけ、と確認した毛利水軍たちは弓を構える。
「……そして、その狙いをつけさせるわけにもいかない」
 志蓮は片手で船を操りつつ、もう片方の手で弾丸を放つ。
 その向かう先にあったものは、この場には似合わぬ風船。船の制圧の最中、視界の端に映る光の正体を彼は見逃してはいなかった。
 割れると同時に放たれた強い光の中を志蓮は進む。
 決戦の地へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:フジキチ

👑4
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「さすがだ、猟兵たち。だが俺たちを止めることはできねぇ」
「フェンフェン! フェンフェンフェン!」
 大帝剣『弥助アレキサンダー』が、隠し将『豊臣秀吉』が猟兵たちの姿を認め、口を開く。
 大渦には操るものを失った幾つかの船、そして猟兵に操られた一隻の船が波を受け、その船体を震わせる。
「フェンフェン、フェフェフェフェン!」
「わかってる、秀吉殿。奴らの相手は秀吉殿に任せる。何があっても俺は俺の役目を果たすよ」
 事前の情報通り、秀吉を倒さぬ限り弥助アレキサンダーに剣を届かせることはできない。
 二人にはその覚悟がある。
「フェン! フェンフェン!」
 全ては信長様の為に。その言葉と共に秀吉はその身を跳ねさせた。
 
 ※状況
 一章の結果により大渦には何隻かのコントロールを失った船と、一隻の猟兵が操る事ができる船が存在します。
 二章から参加される場合もこれらを利用して構いません。
 ただし、戦闘の結果によってこれらが破壊されたり、逆に利用される場合もありますのでご注意ください。
 また、マスターコメントにもある特殊ルール(先制攻撃)も確認をお願いします。
 
星群・ヒカル
※アドリブ・連携歓迎

海中のおれには気づいてるんだろ、毛玉猿野郎?
さあ、喧嘩の時間だッ!

引き続き海中で銀翼号に『騎乗』するぞ
奴は海中戦ができるわけではない
初手は腕を海中へ伸ばし、おれを捕まえ引きずり出す魂胆と見た
海面の泡の瞬間的な発生をよく見て、『第六感・視力・逃げ足』で回避だ

『ロープワーク』でその腕に超宇宙牽引ワイヤーを強く巻きつかせる
慌てて腕を引っ込めるだろうが、ワイヤーのもう片方の端にはおれの胴体が巻きついているんだ
捕まったのと大差ないって?だがおれの両手は自由だ!
『超宇宙・真正面墜星拳』で銀翼号を巨大な拳に変形・装着、勢いよく敵へ向かって引き寄せられれば、そのまま高速ラッシュで攻撃だ!


法月・志蓮
……さて、ここからが本番か。

ゴム毬のように跳ねる機動を『戦闘知識』と『第六感』を総動員して『見切り』、『逃げ足』を駆使して避けよう

秀吉の機動は狙いづらいが確実に当てられる情報は貰っている
弥助を狙えば、当たりに来てくれるんだろう?
とはいえあからさまに弥助を狙う素振りをすれば狙撃自体を邪魔されかねない
出来るだけ『目立たない』よう、秀吉に狙いを定めきれないフリをしながら『スナイパー』の経験を活かして脳内で弥助に対する狙撃演算を行う
そして秀吉が上手く間に入れるタイミングを見計らって弥助に対して【夜陰の狙撃手】だ
秀吉が上手く当たってくれたら、衝撃が残っている内に【早業】でひたすら追撃の弾丸を撃ち込むぞ


エルネスト・ポラリス
はい、人の姿に戻って。
獣の次は、人の力を御覧じろ、と。
ワイヤーでの『ロープワーク』を駆使して、船の間を飛び移りながら秀吉の攻撃を躱し……きれませんよねぇ。デカいロボがこんな早い奴の動きトレースって反則でしょ。
敵の攻撃を『武器受け』すれば、その勢いで海へ真っ逆さま。

ええ、その覚悟が『勇気』の見せどころ。
ここから先は、ただの根性と見栄ですね!

UC発動、海上を跳ねまわる貴方とロボの唯一の死角。
そう、海中から一気に飛翔し、金属片を纏った体当たりを仕掛けます!!

何が隠し将ですか!
こっちはお兄ちゃんであることを隠したことなんか人生で一度もありませんよ!!
その意地と見栄に賭けて、貴方は此処で跳ね飛ばす!!



「くそ、あのロボさえいなければ……」
 そうつぶやいたのは法月・志蓮(スナイプ・シューター・f02407)であった。
 彼の放った銃弾は、戦いの中で瞬く間に作り上げられた墨俣城型ロボに阻まれる。
 弥助アレキサンダーを守る、という秀吉の行動を逆に利用すべく隙を見ては狙いをつけているのだが、秀吉と同様に彼を守るべく行動しているロボの存在がそれを許さない。
 うねる波に、船が大きく揺れる。
 荒れ狂う渦の中、繰り広げられる猟兵たちと秀吉の戦いは膠着状態を迎えていた。
 
 秀吉にとってこの戦い、時間は味方だ。メガリスにパワーがチャージされ、その力を発揮すれば猟兵たちを容易く吹き飛ばす事ができる。
 だからこそ、彼はその身を投げ出してでも弥助を守る覚悟を決めているのだ。
「フェン! フェンフェン!」
「獣の次は、人の力を御覧じろ、とは言いましたが……獣にそう言われるとは一本取られましたかね」
 姿を狼から人へと変えていたエルネスト・ポラリス(赤く錆びつく月の下・f00066)は秀吉の言葉に苦笑する。
 ワイヤーを巧みに操り船から船へと乗り移る事で戦線の維持はできている。
 しかし、先にも述べたように時間は秀吉の味方。
 弥助に攻撃を届かせるためには何か一つ、大きな変化をもたらさなければならない。
「だからといって、こんなにでかいロボが早い奴の動きをトレースって反則でしょ」
 秀吉はその身を変化させ、跳ね回るように戦場を駆け巡る。
 時には猟兵たちが足場とする船に。ある時は巻き起こる渦の水面にその身を跳ねさせ、如何なる攻撃も弥助へは通させない。
 そして同様に墨俣城型ロボも本体に劣らぬ速度でその巨体を海上にそびえさせているのだ。
「フェンフェン!」
 迫りくる秀吉に志蓮から銃弾が放たれ、エルネストを狙った攻撃を止めさせるが、高い伸縮性を活かした防御で威力は殺される。 
 ダメージがない訳ではない。しかし、歴史の中で天下を取った男の戦いは見事で、さらにはロボと巧みに分散する事でそれを最小限に抑えていた。
 ちらり、とエルネストは渦の中心を見やる。
 その視線はその上に浮かぶ弥助を見たものではなかった。
 海中。この荒れ狂う渦の下で機会を待っているのだろうか?
 ここからでは、それを伺い知ることはできない。
 
「待つんだ……猟兵たちを信じてッ!」
 渦の下、海中で銀翼号に跨りチャンスを待っていたのは星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)。
 彼は毛利水軍にもその存在を気付かれずにこの大渦までたどり着いていた。
「毛玉野郎が、海中のおれに気付いていないはずはねぇッ! 必ず攻撃のチャンスは来る!」
 生半可な攻撃では奴には通じない。だからこそ、最大限の攻撃を加えられる一瞬を待つ。
 秀吉がヒカルを狙い、その腕を伸ばす瞬間を。
 砕けた船の破片が渦に落ちるのが見えた。
 
 ごくり、とエルネストが喉を鳴らす。
 足場にできる船も少なくなってきた。このままでは弥助を倒すどころか秀吉の突破も難しい。
「これは……賭けですね」
 しかし、待ち続けているだけでは先に進めないどころか敵の勝利を招く事になる。
「フェン……!」
「あなたの覚悟、見事です……私も覚悟を決めましょう。ここが私の勇気の見せ所」
 秀吉と墨俣城型ロボがその身をエルネストが乗る船へと迫らせる。
 その重量と大きさこそが武器、と船ごと沈めるつもりなのだろう。
 だが、エルネストは避けなかった。
「ここから先は、ただの根性と見栄ですね!」
 手にした銀の杖を掲げ、その攻撃を受け止める。だが、直撃こそ避けられてもそのパワーは一点で受け止められるものではない。
 船がみしみしを音を立てて崩壊する。
 エルネストはそのまま渦の中へとその身を投げ出された――
 
「来やがったッ! ついに、俺の待っていた瞬間が!」
 墨俣城型ロボは秀吉の動きをトレースする。
 秀吉が跳ねればロボも跳ね、秀吉が沈めばロボも沈む。
 秀吉は船への攻撃を受け止められたことですぐには離脱せず、そのまま攻撃を続けることを選んだ。
 故に、その身を衝撃と共に海中へと現したのだ。
「フェン!?」
 ヒカルは海上の泡の動きからその瞬間をついに捉えた。
「さあ、喧嘩の時間だッ!」
 それは一瞬の出来事。放たれた超宇宙牽引ワイヤーが秀吉の腕に絡みつく。
 この戦いで秀吉は初めて焦りを見せた。このまま海中に留まれば、残る志蓮が弥助へと銃弾を放つであろう。
 だからこそ彼は強引にでもその身を海上に引き上げる。

「フェンフェンッ!」
「動きが早いな。だからこそ読みやすい」
 秀吉の懸念通り、志蓮はこの好機を見逃すようなことはなかった。
 弥助を狙った弾丸を秀吉はその身で受け止める。
 さすがの秀吉も無理な体勢からの銃撃で一瞬怯みを見せた。
 その衝撃にヒカルが空中に投げ出されるも、ワイヤーの反対側は彼の胴にしっかりと結びついていた。
「ようやく捕まえたぜッ! 銀翼号、喧嘩形態起動!」
 銀翼号が巨大な拳へと変形していく。『超宇宙・真正面墜星拳(チョウウチュウ・タイマンメテオラッシュ)』のラッシュが秀吉へと叩き込まれる!
「フェエエエエンッ!」
 秀吉もそれを黙って食らうばかりではない。墨俣城型ロボにヒカルを挟み込むようにぶつけ、攻撃を止めようと加速する!
「フェンフェン! フェン! フェェェェェェン!」
「何が隠し将ですか! こっちはお兄ちゃんであることを隠したことなんか人生で一度もありませんよ!!」
 渦の中へと消えたかと思われたエルネストの声が響く。『されど錆びぬその意思は(ヒロイック・ザン・ドリーマー)』が彼の全身を錆びた金属片で覆う。
「その意地と見栄に賭けて、貴方は此処で跳ね飛ばす!!」
 海中より飛び出し、ぶつけられたその全身に墨俣城型ロボもその衝撃に動きを止め、渦に飲み込まれる。
「フェンッ!」
「この超宇宙番長の拳、骨の髄まで食らいやがれッ!」
 その間もヒカルのラッシュは続く。
 そして。
「悪いが、こっちも時間がないんでね。弥助を狙えば、当たりに来てくれるんだろう?」
 志蓮の『夜陰の狙撃手(ナイトハイド・スナイパー)』が弥助を狙う。
「フェン! フェン!」
 もはやロボはない。秀吉はその身を盾にするしかない。いや、この張り付いた男を盾にすれば。
「と、そう考えるだろうこともわかっている」
 続いて志蓮は弾丸を放つ。その弾はワイヤーで繋がれたヒカルの脇腹近くを通り抜け、秀吉に命中する。
「フェン……フェン! フェン!」
「へッ! おれはなにがあろうと殴り続けるぜッ!」
 ヒカルも動きを止めることはない。
 拳と、銃弾。その止まる事のない攻撃。
 一発、二発。攻撃が積み重ねられていく。
 それでも決して、秀吉は猟兵たちの攻撃を弥助へと通さない。
「フェン! フェン! フェフェン!」
 そして、隠し将『豊臣秀吉』はついにその動きを止める。
 その目は弥助アレキサンダーを見つめていた。
「フェン……フェン!」
 力を失い、だらりと垂れ下がった両腕。
 その体は大渦へと飲み込まれ、すぐに見えなくなった。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:みやこなぎ

👑5
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「見事だ、秀吉殿……本当に、見事だったぜ」
 弥助アレキサンダーは渦へと消えゆく秀吉を見つめ、つぶやいた。
 そして今度は猟兵たちを見やり、告げる。
「秀吉殿は十分すぎるほどの時間を稼いでくれた……その覚悟に報いる為にも、この力、かならず解き放ってみせるぜ」
 いつしか辺りには激しい風が吹き、雷鳴の音が響く。
 メガリスの力は戦闘の間も高まり続けた。”その時”は近い。
「さあ、来い。猟兵ども! 弥助アレキサンダーに、万にひとつの負けも無し!」
 

 ※状況

 秀吉との戦いで船の多くは破壊され、無事なのは操作されていた一隻だけです。
 それも弥助アレキサンダーとの戦いでは容易く破壊されてしまうでしょう。
 海上には船の残骸が浮かんでいますが大渦は激しく、足場とするには心許ないかもしれません。
 
 また、メガリスの力は高まり続けており、事態は切迫しています。
 遠からずその力は解き放たれ、そうなれば猟兵に対抗する術はありません。
 その前に弥助アレキサンダーを打倒してください。
 マスターコメントにもあるように、先制攻撃ルール、及び海上戦への対応をお忘れなく。
 プレイングをお待ちしています。
星群・ヒカル
この大渦大嵐、なかなかやるじゃねぇか
だが涼しい顔して人を盾にするタマは見下げ果てたもんだぜッ!

再び銀翼号に『騎乗』し海中を移動
渦巻く流れの途中に巨大化した肉塊を差し出されるのが一番困るな
流れに逆らうのは困難だ、ここは海底へ向かって『逃げ足・早業』、潜航する方向で行こう
渦の流れは海底の地形によって微妙に異なる部位もあるだろうから、『地形の利用・第六感・視力』で少しでも流れが緩く降りやすい場所を探りつつ行くぞ

勝負は一瞬で決めなければならないな
渦の中心を真上に見上げながら『ゴッドスピードライド』で空へ向かって超加速
ロケット打ち上げのように、重力に逆らって下から敵を穿つ!
「てめーは空に輝く星になれ!」


エルネスト・ポラリス
さっき海中に沈んだときに、大渦の流れは身をもって『情報収集』済み。
無理に流れに逆らうからいけないのです、弥助の周りを回るように動いて、残骸が沈む前に次に飛ぶべき先を『見切り』、海上を駆けていきます。
視肉も、渦の流れを利用して加速して振り切りましょう。

難を逃れたならUC発動。使う木材には困りませんね。
完成したのなら、真の姿でそれを引いて、渦の流れに乗りながら加速。
十分に勢いがついたなら、一気に弥助へ突撃!

――肉塊で、此方の闘志を奪いつつ防御されようが構いません。
魔法の犬そりは、私の意思がなくとも、貴方を『追跡』する!
私を盾に? ええどうぞ。
闘志が尽きても、この『勇気』だけは手放す気はないですよ!



「この大渦大嵐、なかなかやるじゃねぇか」
 星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)は秀吉と結びつけられていたワイヤーを切り離し、再び海中へと向かおうとしていた。
 しかしその前に、弥助には一言言っておかねばなるまい。
「だが、涼しい顔して人を盾にするタマは見下げ果てたもんだぜッ!」
「秀吉殿の覚悟を甘く見るんじゃねぇ。あの方は、ここでするべきことをした。俺はそれに応えるだけだ」
 その言葉にも動じない弥助。すべては信長様の為に。二人の覚悟はとうに決まっていたのだ。
 落下しながらヒカルは銀翼号を再びバイク型へと変形させ、騎乗。そのまま海へと突入する。
「さっき沈んだ時に、大渦の流れは身をもって体験しました」
 その姿を見送り、告げるのはエルネスト・ポラリス(赤く錆びつく月の下・f00066)である。
 再びその姿を狼へと変え、辺りに散らばる残骸の上を跳躍。
 その動きは渦の流れに逆らわず、円の動きで弥助の周囲を駆けまわる。
「さて、いきましょう……!」
 
「隠れたり駆けまわったり……それじゃあ俺を倒す事はできないぜ」
 弥助は左手の闘神の独鈷杵を握りしめ、言う。
 このメガリスがその力を発揮すれば彼の勝利。それは確実だ。だからこそ秀吉もその為の時間を稼ぐため、盾となった。
「だが、狙っているんだろう? 俺を倒すための一手を。それを待ってやるほど俺も甘くはねぇ」
 しかし、その前に倒されてしまえば当然それは不可能。
 障害は取り除かなくてはならない。
「まずはオマエからだ、狼の猟兵!」
 弥助は顔を上げ、エルネストへと目をやる。
 と、同時。首から下げられた逆賊の十字架が光を放つ。
 その光を受けた弥助は、左足を異形へと化す。超巨大肉塊『視肉』だ。
「さあ、避けられるか!」
 渦の上を浮遊しながら弥助はエルネストの行く手へと迫った。
 このまま進めばこの巨大な肉塊へと捕らえられる。が、そうはいかない。
 エルネストは渦の流れを見切り、加速する。
 この渦は弥助が作り出したものであったが、それを逆に利用し、動きに緩急を生み出す事で弥助の攻撃をかわしたのだ。
「ほお、やる……だが、俺はさっきも言ったぜ。お前の反撃を待つ気はないってな」
 視肉はなおも膨張する。枝分かれした肉塊は渦に漂う残骸を更に破壊していく。
「どうする、どんどん足場はなくなっていくぜ。そのスピードも、海に落ちたら活かせないだろう?」
 その言葉に、エルネストは答えない。その代わりに、彼はますます加速していく。
 そしてその速度が最高潮に達した時。
 エルネストは一吠え。弥助へ向かって一直線に飛び出した。 
「おいおい、正面から来るのがお前の策か? だったら……おしまいだ!」
 弥助は視肉をエルネストへと食らいつかせる。触れたものの闘志を奪う、巨大な肉塊を。
「これでお前はもう戦えない……」
「ええ、わかっています……しかし、闘志が尽きても、この勇気だけは……手放す気は、ない……ですよ……」
 実際、エルネストの闘志は既に奪われたか。その言葉にも勢いが失われていく。
 が。
「ぬっ……」
 弥助にとっては不幸な事に。いや、エルネストの狙い通りか。巨大な視肉の影から弥助へと、襲い来るものがある。
 それは、『めあて星へと手を伸ばし(トレノー・ド・ボヌール)』で作り出された空飛ぶ魔法の犬そり。
 彼は自分自身を囮に、この巨大な犬そりを弥助へと飛ばしていたのだ。
 その衝撃は大きい。たまらず、弥助の体は吹き飛ばされ、渦の中心へ。
「やってくれるじゃねぇか……!」
 
 そしてその瞬間を待ち望んでいたものがいた。
 銀翼号に乗り、海中へと姿を消していたヒカルは渦の流れに乗り、加速。そのまま渦の中心、深い海の底へと向かっていた。
「流れに逆らっちゃいけねぇ。逆にこれを、利用する!」
 超宇宙学生服を纏っていても水は冷たく、闇は深くなる。
 しかしそれは宇宙も同じ。超宇宙番長たる彼にとってそれは恐怖ではなく、むしろ力となる。
「もっと……もっとだ。もっと加速しろ、銀翼号ッ!」
 渦はさらに大きくなっていた。メガリスの力が高まっている証拠だ。
 ヒカルは海底が近づくにつれ複雑になる流れを掴み、銀翼号にその力を乗せる。
「見えたぜ! 今だッ! 『ゴッドスピードライド』!」
 勝負は一瞬。
 溜め込まれたエネルギーを放出し、重力に逆らい。
 まるでロケットのようにヒカルは、銀翼号は上昇する。
 凄まじいほどの水圧。しかしそれをものともしないほどのパワー。
 その先には、弥助アレキサンダーがいる……!
 
「てめーは! 空に輝く星になれ!」
 言葉と共に飛び出したヒカルは弥助の巨大な肉塊へと衝突する。
「しまった……ぐ、ぐおおお!」
 的は大きい。犬そりの衝撃に体勢を崩していた弥助に、その攻撃をかわす事はできなかった。そして勢いはなおも増し続ける。
 弥助の体が宙へと浮かぶ。視肉の力も直接触れなければ発揮することはできない。
 その体を持ち上げ、なおも上昇する。
「穿つ!」
 ヒカルが叫ぶと同時、肉塊が弾けた。
 逆賊の十字架が光を失い、弥助がその衝撃に弾き飛ばされ、海へと落下する。
 銀翼号に跨るヒカルの腕にはエルネストが抱えられていた。
 ほんの一瞬だけ嵐が吹き飛ばされたかのように静まり、再びうなりをあげる。

「やってくれるぜ、猟兵……逆賊の十字架は封じられたか」
 弥助は海面に打ち付けられ、ダメージを受けながらも体勢を立て直し、再び渦の中心に浮遊する。
 視肉は破られた。だが。
「大帝剣の名は伊達じゃねぇ。本番は、ここからだ」
 大帝の剣を手に再び闘志を燃やす。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

法月・志蓮
【むにー】
会話アドリブ歓迎

時間さえ稼げば、援軍が来るはずだ……!

先制攻撃は動体『視力』と『第六感』で『見切り』ながら、船と周辺の残骸という『地形を利用』した『ロープワーク』と『逃げ足』でひたすら逃げ回り、時には残骸を盾にして凌ぐ

遅い。けど……助かったぜ、しゃにむにー!

お頭が召喚した海賊船シャニムニーが来たら飛び乗り、反撃開始だ
勝手知ったる仲間共がいる心強さを感じながら愛銃を構える
【致命への道筋】で弥助の動きと急所を『見切り』、『先制攻撃』で動き出しを狙い撃って勢いを削ぐような妨害をしよう
支援狙撃は『スナイパー』の本分だ。キッチリ果たしてやるさ

お前の敗因はただ一つ。海を戦場に選んだ事だ、ってな


シノギ・リンダリンダリンダ
【むにー】
船がないのなら作ればいい
貴方の居る旅団はなんですか、志蓮さん?

大渦雷鳴轟く魔境の海域なれど、
海が戦場となれば海賊団しゃにむにー、おシノギさせていただきます
【幽玄な溟海の蝗害】で無敵の海賊船を召喚
36の海全ては私の庭です
『私の船』『私の仲間達』『私の海』
疑念を挟む余地がないほどに無敵の布陣
大帝の剣とやらでどうにかできるものならしてみなさい

言いながらも、ちゃんと相手の攻撃を見切り、運転技能で避けていきます
直撃さえしなければ船が墜ちるわけ…サメダディがいるなら心強いですね!

接敵したら銃で援護
フェイントだまし討ち呪殺弾

貴方の敗因はただ一つ。海を戦場に選んだ事、ですよ?


エミリィ・ジゼル
【むにー】
志蓮様だけにいい恰好はさせないぜ!
わたくしもいっちょ一肌脱ぎましょう

相手はおそらく足場である船を狙ってくるでしょう
なのでそのタイミングを『見切り』と『第六感』で見極め
攻撃と同時に船から飛び降りて回避
相手には退場したかのように見せかけます
バーチャルキャラなので呼吸なしでも問題ありません

そして頃合いを見て海中でUCを使用
呼び出すのは「すべてのサメの父」
通称サメダディ

サメダディはUDCアースのある邪神の化身であり、
またの名をリヴァイアサンともいいます

そんな最強海獣で海中から『だまし討ち』を使って奇襲攻撃
必ずや一泡噴かせてやるとしましょう

「あなたの敗因はただ一つ。海を戦場に選んだことです」


アリスティアー・ツーハンドソード
【むにー】
【アドリブ歓迎】
おいおい、大帝剣とは戦いたいって言っただろう?抜け駆けなんてズルいじゃないか志蓮

トウキに装備されて出撃
【ブレイクミラー・ホッパーション】を使って【戦乙女モリガン】とトウキを空中で跳躍させよう
モリガンの役割は囮。ユーベルコードを使うような素振りを見せる【フェイント】を掛けつつ防御に徹した【逃げ足】を披露してもらって、僕から意識を反らさせてユーベルコードを使う時間を稼ごう

成功したらユーベルコードを発動!
刀身に無敵鎧を纏い剛性と切れ味を上昇させる、これで大帝の剣とも互角に張り合えるはずさ

キミの敗因は二つ。海を戦場に選んだこと、そして僕がキミの剣よりも強かったことだ!


トウキ・ウィンター
ーー待たせたわね、シレン!
海賊団しゃにむにー、ここに参上!
行くわよアンタ等!ぶっ込みだオラァ!

敵の攻撃をおシノギちゃんの船で耐えて貰いつつ、
自身への攻撃は装備したアリスティアーで跳ね飛ばしたり、第六感や見切りで回避したり、避けきれない場合は覚悟や気合い、激痛体制で耐える

相手の攻撃が止んだタイミングで船から飛び降り、船の残骸やアリスティアーのアイテム、サメダディを足場にして宙をかけ弥助に怪力を用いた剣戟でのラッシュを食らわせる

アンタに万に一つも負けがないように、アタシ達にも億に一つもないのよ!
喰らえぇっ!

弥助、アンタ…良い漢だったわ。
でもね、海賊が海を舞台に負ける訳には行かないのよ。覚えときな。



 ただ一つ形を残していた船の上から、法月・志蓮(スナイプ・シューター・f02407)は銃弾を撃ち続けていた。
 猟兵たちが逆賊の十字架を封じる事ができた事に、彼のアシストが与えた影響は少なくない。
 それは一瞬の動きを止めたり、攻撃の瞬間をずらしたり……派手ではないがその役割を果たす事で彼らは結果を掴み取る事ができた。
「だが、豆鉄砲じゃあ俺は倒せねぇ。大技を放とうってんならそれよりも先に俺の剣が届くぜ」
「来るか……っ!」
 弥助は船へと接近、大帝の剣を振り下ろす。
 単純な攻撃ながら威力は絶大。
 動体視力と第六感を働かせてかわしたものの、最後の船はその一撃にはじけ飛んだ。
 渦を漂う残骸を、志蓮はワイヤーを用いて飛び移る。
 その戦いは一瞬でありながら永遠にも感じられるほど長く、苦しい。
(だが、もう少し……もう少しだけ時間を稼げば、援軍が来るはずだ……!)
 嵐は、雷鳴はなお激しく戦場を包む。
 
 スナイパーたる志蓮にとって本領はやはり遠距離戦。狙撃とはまた違った緊張は彼の体力を確実に奪っていた。
「そろそろ終わりにしようぜ、猟兵。秀吉殿のおかげだ……お前たちが万全なら、俺も危なかっただろうがな!」
 轟音が響く。眼前に迫った弥助は再び、天高く大帝の剣を掲げる。
 間に合わなかったか……? いいや、まだメガリスの力は高まり切ってはいない。
「覚悟しな!」
 弥助は志蓮へと接近する。その剣を叩きつけるために。
「くっ、せめて船が無事ならばやりようもあったろうに……」
 その時であった。荒ぶる風を突き破り大きな波が上がる。
「ちっ、ここにきて新手か!」
 弥助と志蓮の間に割り込むように現れたそれは巨大な船。
 攻撃を阻まれた弥助はそれでも、そのままの勢いで狙いを変え、現れた船へと大帝の剣を叩きつける。
 雷鳴よりも激しく轟音が響く。
 しかし、その船は止まらない。メガリスの力をもってしてもこの船を止めることはできない!
「船がないのなら作ればいい。貴方の居る旅団はなんですか、志蓮さん?」
 船上には四つの影。シノギ・リンダリンダリンダ(ロイヤルドレッドノート船長・f03214)が問いかける。
「志蓮様だけにいい恰好はさせないぜ! わたくしもいっちょ一肌脱ぎましょう」
 エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)がどやりと笑う。
「遅い。けど……助かったぜ、しゃにむにー!
 そう、その姿は超弩級電脳蒸気複合動力式死滅回遊海賊幽霊船『シャニムニー』! 志蓮が待ち望んでいた、仲間の到来だ!
「待たせたわね、シレン! 海賊団しゃにむにー、ここに参上!」
 トウキ・ウィンター(桃鬼・f01434)が船へと上がってきた志蓮へと声を駆けつつ、名乗りを上げる。
 その隣では戦乙女モルガンが剣を手に弥助を見つめていた。
「大渦雷鳴轟く魔境の海域なれど、海が戦場となれば海賊団しゃにむにー、おシノギさせていただきます」
 その船は『幽玄な溟海の蝗害(ウェイクアップ・シャニ・ムニー)』によって創造された無敵の海賊船。能力に疑念を感じると大幅に弱体化する、そんな力ではあるが……
「36の海全ては私の庭です。『私の船』『私の仲間達』『私の海』……疑念を挟む余地がないほどに無敵の布陣」
 なにを疑う事があろうか。まさしく今、この船は無敵。
 シノギはキャプテンジャケットをはためかせ、弥助へと宣言する。
「大帝の剣とやらでどうにかできるほど、ヤワではありません」
 
「大したもんだ、確かにこの船を破壊するのは簡単にはいかねぇ。だがな!」
 さしもの弥助もまさか大帝の剣が通じないとは予想もしなかったか。一瞬だけ怯んだ様子を見せるも、再びその身を宙へと浮かび上がらせる。
「船ってのは、人が操らなきゃあ動かせないもんだぜ!」
 船そのものは破壊できずとも、船上にいる猟兵たちならば別。そう言わんばかりに弥助は剣を振り上げる。
 猟兵たちの取った対応は様々だ。
 トウキは大剣を手に跳躍、割れると強烈な反発力を生み出す鏡、ブレイクミラー・ホッパーションを利用して大帝の剣から逃れる。
 戦乙女モルガンもまた同様に跳躍、そのまま反撃すべく構えを取った。
 何度もこの技を見てきた志蓮はその威力、範囲についても既に知っていた。故に最小限の動きで躱すべくタイミングを見計らう。
 次の瞬間、シャニムニー号が震える。船そのものに損傷はない。しかし、大帝の剣の巻き起こす衝撃はすさまじく、抑えきるのは難しかった。
 シノギは舵を取る。荒れ狂う渦はさらに激しさを増し、無敵の海賊船も油断すれば転覆しかねない。
 と、そんな中……
「あーれー」
「エミリィ!」
 揺らいだ衝撃か。エミリィが船から振り落とされる。その声にはあまり緊迫感はなかったが……
「まずは一人! この荒れ狂う海に落ちれば猟兵といえど、そう簡単に上がっては来られないだろうさ!」
 降り立った弥助はなおも行動を続ける。
 斬りかかってきたモルガンを左の腕で薙ぎ払う。直撃こそ避けたもののその体は甲板の上を跳ね、壁へとぶつかった。 

「散々逃げ回ってくれた上にこんな隠し玉たちを連れて来るとはな。いい加減決着をつけようぜ、兄さん」
 剣を構え、弥助が次に狙いをつけたのは志蓮。
 しかしその剣が彼に届く事はなかった。
 ずん、と剣と剣がぶつかる音。
「おいおい、大帝剣とは戦いたいって言っただろう? 抜け駆けなんてズルいじゃないか志蓮」
 そこに居たのはトウキ。しかし今の声は彼のものではない。
 その言葉を発したのは、今まさに大帝剣とぶつかり合っていた剣……アリスティアー・ツーハンドソード(王子気取りの両手剣・f19551)である。
 戦乙女モルガンもブレイクミラー・ホッパーションも彼女の操るもの。
 モルガンを囮に弥助のユーベルコードを放たせることで、自らの力を高める隙を見出していたのだ。
「誘われたってことかい……!」
「そういう事! さあ、剣と剣の勝負といこうか!」
 アリスティアーは既に『アリスナイト・イマジネイション』を発動し、その身を無敵の鎧……いいや、刃で包んでいる。
 大帝剣と互角に渡り合える。その確信がアリスティアーを強くした。
「トウキ、気張れよ!」
「わかってるっての! ぶっ込みだオラァ!」
 アリスティアーを操るトウキもまた気合を入れなおす。弥助の左足へのダメージもあり、つばぜり合いは互角。だが、この船には仲間がいるのだ!
「勝手知ったる仲間がいるってのは、心強いもんだ」
 小さく笑った志蓮の援護射撃が飛ぶ。『致命への道筋(クリティカル・スタンス)』は弥助の動きと急所を的確にとらえ、その動きを阻んだ。
 数発の銃弾が腕に、脇腹に命中する。
「ちっ……!」
 そこで初めて弥助は飛び退り、距離を取った。ここまで退く事のなかった彼であったが、ここにきてその姿勢に揺らぎを見せることとなる。
 そしてそこからが、猟兵たちの反撃の始まりであった。
 
 海賊船が大きく傾く。渦はさらに大きくなり、嵐もさらに荒れ狂う。
 シノギのラッパ銃から、志蓮のライフルから銃弾が放たれる。
 大帝の剣で防ぎながらも弥助は徐々に船のへりへと追い詰められていく。
「やってくれるじゃねぇか。だが、もう終わりだ! メガリスの力は解き放たれる!」
 雷鳴が響く。ついにその時が来たというのか。
「いきますよ、みなさん」
 しかしそこでシノギは動じることなく大きく舵を切る。海賊船は今にも天と地を反転させようとでも言わんばかりに、側面を海へ近づける。
「海に落とそうったって無駄だ! たとえどんな状況でだって……」
「今です、サメダディ!」
 その瞬間、渦の中心から巨大なウミヘビのような生物が飛び出し、その牙を弥助へと突き立てる。
 海に落ちたはずのエミリィの姿が”サメダディ”の上にあった。
「先ほど海に落ちたのは作戦だったのです」
 彼女は落下を装い海中に潜んだ。バーチャルキャラクターなので呼吸なしでも問題ありません、とは彼女の弁だ。
 それはともかくとして、海中で彼女が何をしていたのか。『ちょー強いサメの術(チョーツヨイサメノジュツ)』により、無敵のサメ、「すべてのサメの父」を召喚していたのだ。通称サメダディである。
 サメダディはUDCアースのある邪神の化身であり、またの名をリヴァイアサン。……これサメかなぁ?
 とにかく、呼び出されたサメダディはこの必殺の瞬間に弥助へと食らいついたのだった。
「ふふふ、一泡吹かせてやりましたね!」
「ぐ、ぐおおおお! 負けるかよ! もう一手なんだ!」
 弥助の体が海へと投げ出される。
 大帝の剣が、逆賊の十字架が、闘神の独鈷杵が光を放つ。
 しかしその力を解き放たせる訳にはいかない!
 
「やらせるかァっ!」
 アリスティアーを手に弥助を追い、船から飛び降りるトウキ。サメダディの背を駆け、弥助へと迫る。
 十字架が大きく跳ね上がる。ほんの小さな的、荒れ狂う船。そんな状況でも志蓮が放った弾丸は、正確にメガリスの一つを撃ち抜いた。
「こういうのはスナイパーの本分だ。きっちり果たしてやるさ」
 その姿に志蓮はつぶやき、なおも弾丸を放つ。
 シャニムニーも止まらない。渦に逆らい、その身を跳ね上げる。シノギの握る舵はすさまじい勢いで回り続ける。
「総員、衝撃に備えてくださいね」
 海賊船の船体が弥助の行く手を阻む。次の瞬間、ぶつかり合った衝撃が船と弥助を揺らす。
「ぐっ……だが、メガリスの力は高まった! 俺にはもう万に一つも負けはねぇ!」
 それでもなお、弥助は止まらない。
「アンタに万に一つも負けがないってんなら……アタシ達にも負けは億に一つもないのよ!」
 しかしトウキがついに弥助の懐へと入り込む。
「喰らえぇっ!」
 無敵の海賊船で海を行き、無敵のサメダディの背を駆け、無敵のアリスティアーを手に。
「やれっ! トウキ!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」
 超高速の『Rush(ラッシュ)』でアリスティアーを大帝の剣へとたたきつける。
「そんなもので、俺達の忠義が砕けるかぁっ!」
 雷鳴は、嵐はさらに激しくなる。今にも弾けんばかりの力が辺りに広がる。
 力が解き放たれるのが先か、弥助が倒れるのが先か。
 決着は、ほんの紙一重。
  
 ぴしり、と音がした。この嵐の中でさえ、全員の耳に聞こえた。
「ば、馬鹿なっ……メガリスが……!」
「弥助、アンタ……良い漢だったわ。でもね」
 自然、全員の言葉が揃う。
 
 ――弥助アレキサンダーの敗因はただ一つ。
 海を戦場に選んだこと――!
 
 大帝の剣が砕け散る。嵐が、少しだけ弱まった気がした。
「そして、僕が君の剣よりも強かったことだ!」
 アリスティアーが付け加える。
 
 
「……すまねぇ、信長様、秀吉殿……俺は……!」
 弾丸が闘神の独鈷杵を撃ち抜き、海へと没した。
 ぐらり、と弥助アレキサンダーの体が揺らぐ。
 メガリスを失い、銃弾を、剣を、拳を、牙を叩きこまれながらも最期の瞬間まで彼は諦めなかった。
 
 それまでの嵐が嘘のように空は晴れ渡り、大渦も落ち着きを取り戻す。
 海賊船は静かに風を受け、ゆっくりと海原へと漕ぎ出していった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月22日


挿絵イラスト