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エンパイアウォー㉑~黒獣を引き連れしアフロ大帝剣

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー

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 エンパイア・ウォーも佳境に差し掛かっている。
 馬関と門司と間にある関門海峡。そこに発生した大渦の上に、一人の男と獣らしきものの姿があった。
「秀吉殿、奴らが来たぜ! ここが正念場だ!」
「フェンフェン! フェン?」
 秀吉と呼ばれた獣が鳴いて応える。
 呼んだ男は肌が黒い渡来人。アフロ頭と色黒な肌の大帝剣『弥助アレキサンダー』である。
「ああ、大丈夫だ。大帝の剣、逆賊の十字架、闘神の独鈷杵……メガリスは、俺達渡来人の至宝。扱いは心得てるよ」
 それらの3種のメガリスは、渡来人の至宝らしいが……。

「フェン……フェンフェン!」
「それも、心得ている。俺も侍、秀吉殿の覚悟に口は挟まねぇ。秀吉殿を盾にして、万にひとつの負けも無いように全力を尽くすよ」
 会話しながらも、弥助は向かい来る猟兵達に対して構えをとる。
「フェンフェン、フェフェン」
「ああ、そうだな。『全ては信長様の為に』。これがまた言えるなんて、嬉しいねぇ……!」
 弥助は嬉しそうに笑い、猟兵達に向けて応戦を開始するのである。


 グリモアベース。
 続くエンパイア・ウォーの戦況は日々、変わっていく。
 百面鬼『風魔小太郎』、大悪災『日野富子』が倒れ、さらに新たな魔軍将が発見されたとの知らせが入った。
「大帝剣『弥助アレキサンダー』の居場所が分かったわ」
 エルフのグリモア猟兵、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が現状の説明を行う。
 大帝剣は関門海峡の大渦の上で、猟兵達を待ち受けている。
「ただ、今回はこの大帝剣だけを叩くだけではなくて、洗脳された『毛利水軍』を相手にする必要があるわ」
 船に乗って襲い来る彼らは大軍勢を操るメガリス『大帝の剣』の能力によって、猟兵を敵と認識して襲い来る。
 攻撃方法は、槍、弓といった手段であり、猟兵に比べれば弱いものの、屈強な武士達だ。
 可能であれば、彼らを殺さずに無力化し、助けてあげたい。

「その後、大帝剣の連れた隠し将『豊臣秀吉』との戦いとなるはずよ」
 この黒い獣のようなオブリビオンは、「フェンフェン」としか喋れることができないようだが、彼が何を言っているのかはわかるようだ。
 秀吉は、対象を異形強化するメガリス『逆賊の十字架』の能力によって、スピードと反応速度を強化されている。
 ゴムマリのように海上を飛び跳ねながら、あらゆる角度からの弥助への攻撃を超高速で受け止める為、彼を倒さねば弥助に攻撃することはできない。
「秀吉を倒せば、大帝剣『弥助アレキサンダー』と交戦が可能になるわ」
 弥助はメガリス『闘神の独鈷杵』の力によって発生した『関門海峡の大渦』の中心に浮遊しながら、3つのメガリスの力を高めている。
 水上を浮遊する弥助は、これらを使って攻撃してくるはずだ。
「……この大渦、戦いに利用できないかしらね」
 こちらも水上で何か利用できるなら、力を最大限に使って大帝剣の討伐に当たりたい。

 また、大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、確実に先制攻撃を仕掛けてくる。
 先制攻撃のタイミングで行う攻撃は、猟兵が使うものと同じ能力のユーベルコードだ。
 彼らに攻撃を加える為にはこの先制攻撃を防ぎ、反撃を繰り出す手段を考えねばならない。
 下手に攻撃することだけ考えて特攻でもしようものなら、相手にダメージすら与えられず、返り討ちに遭ってしまうことだろう。
 対策を講じても不十分であれば、苦戦に至る可能性もある。効果的な手段をできるだけ考えておきたい。

 一通り説明を終え、セレインは猟兵達へと告げる。
「水上での戦いで、いつもと勝手が違うこともあるけれど……。私は皆が勝利することを願っているわ」
 最後に彼女は戦場に赴く猟兵達を激励してから、メンバー達を送り出すのである。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。

 エンパイア・ウォー、大帝剣『弥助アレキサンダー』との一戦です。
 こちらのシナリオは、3章構成のボス戦です。
 以下の特殊ルールが適用されます。

●特殊ルール
 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 また、全ての章を通して「海上での戦い」です。
 海上戦に挑む上で、それなりの戦法があれば、プレイングボーナスが付与されます。

●シナリオフレームについて
 このシナリオは、「戦争シナリオ」かつ『3章構成』のシナリオです。
 「エンパイア・ウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●執筆予定
 できるだけ早く、全参加者一括執筆予定です。
 現状は、他作業の予定に組み込みつつ執筆中。今回は決着までは非常に短いので、章ごとに3~5名ごとに受付になるかと思います(受付した方は全員描写いたします)。
 仮に、最初の参加者失効前日(だいたい3日後くらい)まで待って3名未満の場合、個別判定による執筆の可能性が高まりますので、ご了承願います。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

👑3
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

化野・風音
ふむ……いささか厄介な状況ですね
ではメイドらしく、まずは後方支援に努めましょうか

霊符を繰って喚びだしたるは、黒煙を纏い、その姿を隠した妖獣の姿
これに騎乗して水軍の上空を飛翔し、抜けます
―――――ええ、ええ。お察しの通り、陽動です。
飛翔する得体のしれないものがいれば、さすがにみすみす見過ごされはしないでしょう
矢で攻撃してくるようなら他の猟兵の間接的な支援となります
わざと矢が届く程度の飛距離を保って【時間稼ぎ】
こちらへの攻撃は霊符で迎撃して

飛び回りながら鵺の発する妖声で毛利の一般兵に恐慌を撒きます
いかに敵の術の影響下とはいえ、戦意を保ち続けるのは難しいでしょう
士気が下がれば、それで十分……


郁芽・瑞莉
関門海峡の上で戦うだけでも厄介ですが。
毛利水軍を抜けて、更なる武将たる豊臣秀吉の護り、
そしてメガリスの力。
全てを突破し、打ち破りますよ!

スピードに緩急を付けつつ、飛翔で船の間を潜り抜けて。
推進装置である帆を叩き折ったり舵を壊して追撃不能にしていきます。
反撃は残像や迷彩で距離感を狂わせたりフェイントに使い、
空からの情報収集で陣や動きを見切って、
空中戦のノウハウと第六感も頼りにしながら避けていきます。
また、武器や術で海から水柱を壁として活用しますよ!

それでもガレー船の如く、
相手が追いかけてこようとする場合は黄色の符に雷の文字を浮かべて。
誘導弾如く制御された雷で範囲攻撃のマヒ攻撃をして無力化します。


メイスン・ドットハック
【WIZ】
操られておるだけとは哀れよのー
なら、手っ取り早く無力化して貰うのが一番かのー

毛利水軍が展開する関門海峡の空間を【ハッキング】【情報収集】し、レーダーのように現在位置を特定し、その潮流や進路から水軍の展開場所を予測・先回りする
そして先回りして、UC「電脳黒死病」を散布し、水軍や水夫が行動不能にするようにする
完全に感染が完了した水軍の船に乗り込み、航行機能を司る部分を電脳爆弾は吹き飛ばして航行不能にする
得た情報は他の猟兵とも共有して、共同して事に当たるようにする
また感染に抵抗した者があれば、電脳スタングレネードでやはり行動不能にしていく

アドリブ絡みOK


露木・鬼燈
いろいろと面倒な戦場だけど、僕ならイケルイケル!
<隠忍の見えざる手>を展開し、忍体術で海面を疾走。
沈みそうなときは念動手を足場にする。
敵の攻撃を回避しながら船に向かって前進。
回避できないものは魔剣と念動手を駆使して払い除ける。
そして船に飛び乗るですよ。
乗船後は手荒だけど後遺症を残さないように無力化するですよ。
具体的には電撃。
練り上げた気を属性変換で雷氣へ。
念動手も雷属性へ染め上げる。
スタンガンを参考に電圧は130万Vくらいで。
船上を駆け抜けながら次々と電撃の餌食へ。
気絶とまではいかなくても行動不能くらいにはなる、よね?
まぁ、こんな感じで制圧したら次の船へ。
次々と船を乗り移り大渦へ向かうっぽい!


ライヴァルト・ナトゥア
なんだかこうやってマジな戦場に出るのも久しぶりだなぁ
(【空中戦】【ジャンプ】で空中を飛び跳ねながら敵陣の奥へ奥へと進んでいく)
よっ、ほっと。流石にこの程度の攻撃でやられるほど柔じゃあないよ
(攻撃は手に持った鎌や鋼板を仕込んだブーツで弾き飛ばす。【2回攻撃】の手数で鎌は残像が見えるほどに速い)
さて、十分離れたかな?
(ほかの猟兵を巻き込まないように十分に距離をとったなら、UCを発動)
モーゼの奇跡じゃないが、海が割れるところを見せてやろう
(海面に向かって一閃。結構な体積を消し飛ばせば、元に戻ろうとする水が渦となって船を沈めてくれるだろう)
死なない程度に加減してあるけど、早めに引き上げてやってくれな!


ルベル・ノウフィル
今こそ僕のレアUCを使う時。
というわけでリザレクトオブリビオンで蛇竜と騎士を呼び、僕は蛇竜に騎乗、蛇竜には海を泳がせて騎士を念動力で空中に飛翔させましょう
騎士よ、僕や味方のために盛大に囮となりなさい
使うのが久しぶりで死霊ちょっと拗ねてます

第六感の導くまま、僕は潮を読んで目立たぬよう船に迫ります
槍も弓も第六感と早業で頑張って避けたいですね
もちろん防御もしっかりと。オーラ防御を巡らせた夕闇マントで防ぎましょう
蛇竜はいざとなれば空も飛べます
お困りの方が近くいればお乗せしましょう

人々に対しては、手荒な真似はしたくありませんから
騎士には手加減させ気絶に留めるよう指示
僕も妖刀にて気絶させるように努めますね




 本州と九州の間に挟まれる海峡、そこは、馬関と門司から一文字ずつ取って関門海峡と呼ばれる。
 その海上を、左手に狼のオブリビオンを封印した青髪のキマイラ、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)は空中を飛び跳ねながら移動する。
「なんだか、こうやってマジな戦場に出るのも久しぶりだなぁ」
 グリモア猟兵でもあるライヴァルトは久々の戦いとは思えぬほど軽やかに空中を飛び跳ねながら、敵陣の奥へと移動していく。
 海峡に発生した大渦の上に、倒すべき大帝剣『弥助アレキサンダー』の姿があるはずなのだが……。
 銀の妖狐の拝み屋、化野・風音(あだしのの怪・f11615)は霊符を繰って喚び出した妖獣・鵺に跨り、黒煙を纏ってその姿を隠す。
「ふむ……、いささか厄介な状況ですね」
 彼女はそのまま海峡上空を飛翔しながら、唸り込む。
 すぐに敵将を叩くことができぬこの状況に、猟兵達も頭を捻らせていた。
 ユーベルコード【転身再演 神霊閃】を使い、海上を飛翔する黒髪ポニーテールの和服美人、郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)。
「関門海峡の上で戦うだけでも、厄介ですが……」
 彼女もそう認識していたのは、弥助アレキサンダーの持つ3つのメガリスが要因として大きい。
 『闘神の独鈷杵』によって関門海峡の海上に『関門海峡の大渦』を発生させ、『大帝の剣』は船に乗る毛利水軍を操り、『逆賊の十字架』は弥助の連れる隠し将『豊臣秀吉』を強化している。
「毛利水軍を抜けて、更なる武将たる豊臣秀吉の護り、そしてメガリスの力……。全てを突破し、打ち破りますよ!」
「いろいろと面倒な戦場だけど、僕ならイケルイケル!」
 それでも、瑞莉が事態の打開をと気合を入れると、中性的な赤髪の青年、露木・鬼燈(竜喰・f01316)が忍体術で海面を疾走しつつ、軽い態度で依頼に取り組む様子を見せていた。

 まずは、猟兵を敵と見なして、襲い来る毛利水軍をどうにかせねばならない。
 安宅船と呼ばれる巨船をいくつも浮かべる水軍達は、程なく海上や空中からやってくる猟兵達に気づいて。
「敵、来るぞ!」
「弓部隊構え!」
 近づいてくるのが幕府から「天下自在符」を与えられた者達と認識できず、彼らはこちらに向けて矢を射かけてくる。
「操られておるだけとは哀れよのー」
 おかっぱの髪に眼鏡着用のクリスタリアン、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は手っ取り早く水軍を無力化すべく、自らの周囲に電脳空間を展開して情報収集に当たり始める。
 そして、やや遅れて駆け付けた藍色の髪を持つ人狼の少年、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)。
「今こそ、僕のレア・ユーベルコードを使う時」
 彼は発動させた【リザレクトオブリビオン】によって、死霊騎士と死霊蛇竜を呼び寄せた。
 使うのが久しぶりとあって、やや拗ねていた死霊達。
 次いつ出番があるかわからぬと感じていたのだろうか、心なしか張り切っていたようにも見えた。
 海を泳がせる蛇竜にルベルはメイスンと同乗し、騎士は空中へと念動力によって飛翔させていく。
「ではメイドらしく、まずは後方支援に努めましょうか」
 この海域で個々に動き回る仲間達の為にと、風音は水軍の上空目がけて飛んでいくのである。


 海峡へと展開する毛利水軍。
 猟兵達が思った以上にその数は多く、また、想像以上にしっかりとした大型の船に乗り込み、武装していた。
 その上空を移動する黒い煙。
 幼獣に跨る風音なのだが、怪しげな黒い塊と見た水軍は一斉に弓を構えて。
「攻撃開始!」
 次々に、上空へと放たれる矢。これぞ、風音の狙い通り。
「――――ええ、ええ。お察しの通り、陽動です」
 相手の攻撃を引き付けることで、風音は他の猟兵達を間接的に支援しようと考えていたのだ。
 わざと矢が届く程度の高度と飛距離を保ちながら、彼女は上空を飛び回って時間稼ぎ。
 命中しそうになる矢は、風音もしっかりと霊符で迎撃して手傷を負わぬようにしていた。
 その間、空中を飛び跳ねていたライヴァルトも、矢の雨を避けていく。
 だが、目の前には邪魔な矢が飛来してくる。
「よっ、ほっと」
 鎌を操る彼は残像が見えるほどの速さでそれらを切り払い、鋼板を仕込んだブーツで蹴り飛ばしつつ進んで。
「流石に、この程度の攻撃でやられるほど柔じゃあないよ」
 他のメンバーから大きく距離をとるように、ライヴァルトは移動していく。
 こちらは、船の間を飛翔していく瑞莉。
 遠方に気を取られていた水軍の船の間を潜り抜ける彼女は、推進装置である帆や舵を破壊し、船で追撃できないようにしていく。
「何をしている! 早く、奴を叩き落とせ!」
 水軍の長と思われる人物の怒号が海上に響く。
 そんな中、瑞莉は相手が繰り出してくる槍を残像、迷彩で相手をかく乱させ、フェイントを織り交ぜて避けてしまう。
 だが、相手も猟兵ではないとはいえ、歴戦の武士だ。戦場で培った優れた感覚を生かし、瑞莉を捉えようとしてくる。
 それを察した彼女もまた青い霊符を使い、術を組み上げていく。
 海上という場所を十分に生かし、瑞莉は発生させた水柱を壁とすることで水軍の攻撃を防いでいた。
 蛇竜に騎乗するルベルも直感の導くまま、潮を読みつつ目立たぬように水軍の船へと近づいていく。
 他メンバー達が動いてくれていることもあり、水軍の狙いがあちらこちらへとバラけてきている。
「騎士よ、僕や味方のために盛大に囮となりなさい」
 ルベルは宙へと飛ばす死霊騎士へと告げると、彼は喜び勇んで槍や矢を引き受けてくれる。
 それでも、ルベルへと飛んでくる矢や、突き出される槍が全くないわけではなく、彼もオーラ防御を巡らせたマント『夕闇』で自らの身を護っていた。
 その間、毛利水軍がいる空間をハッキング、情報収集していたメイスン。
「……あちらにお願いするのじゃ」
「了解です」
 蛇竜を指定の場所に移動するよう願うメイスン。
 水軍の展開場所を予測、先回りした彼女は、ユーベルコードを発動して。
「どんな生物じゃろーと機械であってものー、ウィルスからは逃れんけーのー!」
 メイスンが発するのは、空気感染する電脳ウィルス。
 それらがジャミング波を発することで、感染した人々の動きを一時的に麻痺させてしまうのだ。
 船へとウィルスが襲い掛かるのを見た鬼燈は、海面を疾走していく。
 忍体術で移動する鬼燈は【隠忍の見えざる手】も使っており、まれに沈みそうになる場合は、その念動手を足場にすることで海への落下を防いでいた。
 鬼燈も毛利水軍との距離を詰めており、槍や矢を受ける可能性は高まるが、彼は魔剣と念動手を駆使して払いのけていく。
 ちょうどメイスンが動きを抑えた船を狙って鬼燈は飛び乗り、ウィルスから逃れた水夫達を気絶させていたようだ。
 その時、丁度いい位置まで移動したライヴァルトが止まって。
「さて、十分離れたかな?」
 仲間達がいる付近はすでに無力化した船が混じっている。
 その為、彼は別方向に浮かぶ船数隻を狙って。
「モーゼの奇跡じゃないが、海が割れるところを見せてやろう」
 ライヴァルトは左手に施された封印を限定解除し、万象断裁せし蒼爪を海面目がけて一閃させていく。
 次の瞬間、海が大きく2つに裂けた。
「「「な…………!!」」」
 あまりの光景に、水軍達の視線が海上へと釘付けになってしまう。
 その直後、元に戻ろうとする水が渦となって。
「「う、うああああああああああっ……!」」
 それに巻き込まれた船が数隻沈んでしまった。
「死なない程度に加減してあるけど、早めに引き上げてやってくれな!」
 水軍へと呼び掛けるライヴァルト。
 壊滅状態にまで追いやられた水軍はそれに耳を貸す余裕もなく、仲間の救助の為にと右往左往してしまっていたのだった。


 ライヴァルトの一撃もあり、毛利水軍はほぼ総崩れにはなっていた。
 だが、それでも応戦を続けてくる船もあり、他のメンバー達が後詰めにと攻め込んでいく。
 まだ攻撃を続ける船へと、鬼燈が飛び乗って。
「手荒だけど、後遺症は残らないようにするですよ」
 彼は練り上げた気を雷の属性にして、一気に発する。
 戦場を駆け抜けながら、鬼燈は水夫達をスタンガン程度の出力に調整した電撃の餌食にしていく。
 気絶する者も多かったが、意識があっても体が痺れて動けぬ者も多かったようだ。
 空には、鵺に跨って飛び回る風音の姿がある。
 黒煙に紛れて飛び回りながら、その鵺の発する鳴き声で彼女は毛利の水夫達を恐慌状態へと陥れていた。
「いかに敵の術の影響下とはいえ、戦意を保ち続けるのは難しいでしょう」
 士気が下がれば、猟兵としては十分。命を奪おうとまで考える者はいない。
 瑞莉も相手の応戦が徐々になくなってきていることもあり、誘導弾のごとく制御された雷を一定範囲へと放ち、水夫達を麻痺させて甲板に転がしていた。
 メイスンも自らがウィルスを撒いた船の一つへと乗り込み、舵やマストといった航行機能に関わる部分を電脳爆弾で吹き飛ばしていく。
 ウィルスに抵抗して立っていた者には、同行していたルベルが騎士に手加減させて気絶させるよう指示を出す。
 彼自身も妖刀で峰打ちを叩き込み、水夫達の無力化に当たっていた。

「こんなところでしょうか」
 ある程度、水軍を無力化したところでルベルは刃を収める。
 だが、水軍には大きな被害が出ており、特に海に投げ出された者達の安否が気遣われる。
 船上に乗った者達は半数以上が動けずにいた。
 救出活動にも大きな影響が出てしまうはず。少なからず、死傷者が出てしまうのは避けられないだろう。
 すると、そばの船から鬼燈が跳躍して。
「大渦に向かうっぽい!」
 今回の戦いは、前哨戦でしかない。
 メンバー達はこの場を後にし、大帝剣と隠し将の待つ大渦へと向かっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:フジキチ

👑4
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 操られた毛利水軍達を無力化し、猟兵達は大渦の上にいる大帝剣『弥助アレキサンダー』の元を目指す。
 その色黒な肌、長身アフロの人影が見えてきたと思った矢先、黒いもこもことした毛並みの獣が飛び掛かってくる。
 生前、猿とも呼ばれていたとされる隠し将『豊臣秀吉』だ。
「フェンフェン! フェンフェン!!」
 オブリビオンとなった彼は人語を喋ることができなくなったようだが、言わんとしていることは何となくこちらにも伝わってくる。
 どうやら、弥助には指一本触れさせないと言っているらしい。
「秀吉殿、頼んだぜ!」
「フェンフェン!」
 対象を異形強化するメガリス『逆賊の十字架』の能力。
 その力によってスピードと反応速度を強化した秀吉は、猟兵達を全力で排除する気でいる。
 彼の動きはさながらゴムマリを思わせ、弥助への攻撃を全てシャットアウトしてしまう。
 他にも、秀吉は腹下に刻まれたスペードマークから漆黒の交戦を発し、相手を麻痺させてくる。
 また、3m余りある墨俣城型ロボを召喚し、相手に襲い掛からせてくることもあるようだ。

 先程に引き続き、海上での戦いとなる。
 うまくこの状況を生かし、優位に立ち振舞いたいところだが……。
「フェンフェン! フェフェン!」
 ――全ては信長様の為に。
 こんな姿になっても、義と忠に厚い武将の鑑である。
 だが、この戦いもまた、前哨戦。
 猟兵達は本命の大帝剣討伐の為、まずはこの隠し将の討伐へと臨む。
ルベル・ノウフィル
早業活用
※可能なら大渦に行く前に前章にて召喚済の死霊に人々の救助活動を命じ戦線離脱させておく

◆大渦で
念動力で戦場の空中に彩花をぐるーり、ぷかぷか、沢山浮かべます
敵攻撃を全力回避の方針
巨大ロボの予備動作を読み第六感の導きを得て避けます
地にあっても空にあっても僕は小回りの利く身
浮かせた彩花を主な足場とし、ロボの体も足場にしましょう
自身に念動力を使うのは不慣れですが、念動力で空中での方向調整や姿勢制御にも挑戦しますね
火事場の馬鹿力と申します、死にものぐるいでなんとかしましょう、為せば成る

避けながら隙を見て妖刀でロボの関節部位狙い鋏入れていきましょう
鎧無視攻撃と申します
硬い敵は得意でございますゆえ


黒鵺・瑞樹
アレンジ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

猿玉…ぇ、あれで猿認識なの?

UC空翔と【空中戦】で海上を駆ける。
なるべく【存在感】を消し【目立たない】ような隠密行動からの【先制攻撃】で【奇襲】【暗殺】攻撃。
逆に俺以上に奇襲かける目がある猟兵がいたら、俺が囮になってもいい。
一撃でも当たればいい、確殺できなくとも動きの制限狙いで【マヒ攻撃】、かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。

相手の物理攻撃は【第六感】で感知、【見切り】で回避。
回避しきれなものは黒鵺で【武器受け】で受け流し、それから【カウンター】を叩き込む。
それでも喰らってしまうものは【激痛耐性】でこらえる。


メイスン・ドットハック
【SPD】
秀吉、あれは猿、なのかのー?

先制攻撃に対し、電脳魔術で空間を【ハッキング】【情報収集】して、秀吉のバウンドを解析し、攻撃の軌道を予測
時間がないので完璧でなくても速さ重視で、あとは【視力】【第六感】【情報収集】を駆使して回避に集中

凌いだらUC【星の海を制覇せし船】で宇宙戦艦(機動性重視)を召喚
海上で動きにくいなら仲間の足場として利用して貰うのも可能
伸縮性と弾力性があっても関係ない熱線、ビーム機銃やレーザー砲で【一斉発射】する
秀吉の奇抜な動きを止めるために艦が破壊するのも覚悟だ自爆特攻するのも最後の手段として用意
艦を失ったら、逃げる秀吉を【足止め】するため【誘導弾】発射

アドリブ絡みOK


郁芽・瑞莉
相手の先制には体のマークを相手に向ける、
身体の動きからの見切り。
空中戦のノウハウと第六感による感覚、
残像と迷彩を合わせたフェイントも駆使して初撃を回避。
その後は海に潜ったり出たりを繰り返しながら、
潜った時に符を放ってデコイも作り、
吹き飛ばした水と共に同時に飛び出させるも。
弥助がいる所へと飛び、攻撃を妨害しようとしてきた所ををカウンター。
破魔の力を溜めていた十束剣の封印を解いて早業のなぎ払いで鎧を砕き。
2回攻撃の2撃目はドーピングで身体能力を更に上げて。
速度全開で自身を誘導弾となる様に符で調整しつつ、
ランスチャージで砕いた所目掛けて鎧無視の串刺し攻撃。
最後は衝撃波で味方の方向へ吹き飛ばしますよ!


露木・鬼燈
…秀吉?
そーなのかー。
あのフォルムと動き。
打撃は効果が低そうだよね。
斬撃にも耐性がありそうってゆーか弾力がね。
力を十分に伝達させては筋を通す。
これができないと斬れそうもないのです。
足場がなー。
今回は術で攻めるのがいいっぽい!
<骸晶>を展開して空中での魔法戦闘でいくです。
あれも一応は生物、雷撃が効くはず。
雷撃で狙い撃つっぽい!
って、先制攻撃かっ!
緊急回避からのランダム機動へ。
回避を続けながら撃ち返すけど、このままではキツイかな。
そんな時は環境を利用すればイケルイケル!
海水から霧を生み出し、影を投影することでデコイに。
さらに霧の塩分濃度を調整。
雷撃の軌道を操作してあらゆる方向から攻撃するのです。


燈夜・偽葉
出ましたね黒毛玉!
何言ってるのかさっぱりですが、ともかく倒してあげます!

…なんで豊臣秀吉はこんな姿なのでしょうね?

ロボなんてこのサムライエンパイア世界には似つかわしくないものを呼び出すとは…!
なんて言ってる場合じゃないですね!

見切り、第六感、戦闘知識で攻撃を感知して回避
残像やフェイントで狙いを甘くさせつつ
避けられなければ武器受け
海上へ跳んで空中浮遊
今の時間稼ぎから早業で「剣よ、嵐に臨みて」を発動
空中戦にて刀で斬りかかり、まずはロボを倒してしまいましょう

ロボを倒したら秀吉ですよ
私のスピードも上がっていますが、戦法はスピード勝負ではなく
他の猟兵と連携して追い込んでから狩りましょう、ですよ


ケイ・エルビス
★連携アドリブ台詞等大歓迎

POW

秀吉の城型ロボに対抗できるオレの切り札
戦術輸送機「アトラス」に搭乗して上空から参戦

爆撃する事を仲間に伝えておき
攻撃時は敵から離れてもらう



【先制攻撃対策】
早業の煙幕弾発射で上空広範囲をカモフラージュ
迷彩して目立たないようにして
敵真上にフェイントかけながら操縦して急上昇

攻撃を避け煙幕が晴れてきたところを
今度は同じようにフェイントかけながら急降下
カウンターで誘導弾のミサイル全弾一斉発射で
捨て身の一撃

発射後は距離をとりながら上空から仲間の援護役
機体が損傷した場合は退避



【サポート】
ピンチの仲間は援護射撃のガトリング砲や誘導ミサイルでかばい
時間稼ぎして敵の注意を引き付ける




 関門海峡、海上での戦いが続く。
 毛利水軍を倒した猟兵達は飛行、何かに騎乗するなどして水上を移動し、この場に現れた敵将の元へと向かう。
 そんな中、藍色の髪の人狼少年、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は海に落ちた毛利水軍の救出にと、先程の戦いで召喚させた死霊達へと人々の救助活動に当たらせ、戦線を離脱させるよう誘導させていたようだ。

 やがて、海上に発生した大渦へと近づくメンバー達はそこに立つ黒い肌、アフロ頭の大帝剣『弥助アレキサンダー』の姿を捉えた。
 だが、その前に跳んできた黒い玉が獣の姿へと変わり、猟兵達の前へと立ちはだかる。
「猿玉……ぇ、あれで猿認識なの?」
 相手が生前、『サル』と呼ばれていたことを思い出し、長い銀髪を後頭部で纏めた青年、黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)がその容姿に唖然としてしまう。
「フェンフェン、フェンフェンフェン!」
 つぶらな瞳に、腹下に刻まれたスペードのマーク。太い手足に長い尻尾。
 メガリス『逆賊の十字架』の影響なのだろうか、オブリビオンとなった隠し将『豊臣秀吉』は人外となり果てていた。
「……秀吉? そーなのかー」
「秀吉、あれは猿、なのかのー?」
 奇抜な服装を纏う赤髪の羅刹、露木・鬼燈(竜喰・f01316)はすんなりと受け入れていたようだったが、おかっぱの髪に水色の肌を持つクリスタリアン、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は首を傾げていた様子。
 そこに参入してきた長く白い髪を揺らす妖狐の少女、燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)は毅然と相手を見据えて。
「何か主張していますが、ともかく倒してあげます!」
 そうは言いつつも、偽葉も秀吉の容姿にはいささか疑問を抱いてはいたらしい。
「フェンフェン……フェン!」
 一方で、秀吉はその見た目や鳴き声に対し、心構えは真面目そのもの。
 ――全ては信長様の為に。
 オブリビオンとなり、異形の姿となり果ててなお信長への忠義を崩さぬ秀吉は、邪魔な猟兵達の排除へと乗り出してきたのである。


 海上を跳んでくる隠し将『豊臣秀吉』。
 黒い獣となった彼は、向かい来る猟兵達へと腹部のスペードマークから早速、漆黒の光線を発射してくる。
 正面からくる敵の挙動に注視していたグラマラスな戦巫女、郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)は直感でその光線が来ることを察して。
「……攻撃、来ます」
 仲間達へと呼び掛けるよう呟いた瑞莉は着用する『霊衣 神輝朧』で空中を飛び回り、さらに残像と迷彩を駆使して敵をかく乱する。
 それもあってか、秀吉はすぐ攻撃対象を瑞莉から別メンバーへと移す。
「あのフォルムと動き……」
 海上を跳びつつ敵を観察していた鬼燈はあれこれと、秀吉討伐の為に思考を巡らせる。
 猿玉形態を見るに、あの弾力は打撃を吸収してしまいそうだと判断する鬼燈。
「力を十分に伝達させては筋を通す。これができないと、斬れそうもないのです」
 斬撃ならしっかり叩き込めればいいのだが、何せここは海上。足場に難がありすぎて威力が出ない。
 結果、空中から術で攻めることにした彼は、ユーベルコード【化身鎧装<骸晶>】によって飛び上がった。
 その矢先のこと。前方から漆黒の光線が飛んでくる。
「……って、先制攻撃かっ!」
 前方からくる漆黒の光線を緊急回避する鬼燈はランダム機動へと移行しながら、長銃型魔杖を突き出して。
「あれも一応は生物。雷撃が効くはず」
 回避を続けながらも、鬼燈は秀吉目がけて雷撃を放っていく。毛並みが焦げているところから見ても、間違いなく効果はあるようだ。
 そこに、遅れてルベルが現れる。
 彼はすでに手製の札『彩花』をぐるーり、ぷかぷかと多数空中へに浮かべており、自らの身を守っていた。
 それでも、ルベルもしばらく、秀吉の発する光線によって防戦一方になっていたようだ。

 その間、メイスンは電脳魔術を空中に展開して浮かび上がっていて。
 この近辺の空間をハッキングした彼女は、情報収集を進める。
「フェン! フェンフェン!」
 一通り、光線を発射した敵は全身を黒い毛玉に変形させ、海上をバウンドしながら襲い掛かってくる。
 その軌道を予測して、回避しようとするメイスン。
 丁度、海上と空中を【空翔】で跳んでいた瑞樹も、体当たりしてくる秀吉を避けていく。
「よっと!」
 最初、瑞樹は目立たぬようにと隠密行動からの奇襲を仕掛けようとしていたのだが、他のメンバーに策があることを察し、自ら囮となっていたのだ。
 右手の『胡』と左手の『黒鵺』。
 2本のナイフを両手で操る瑞樹は飛んでくる秀吉の体を受け流し、その体に傷を入れる。
 しかし、相手の勢いを完全には相殺できず、手痛い一撃も食らった瑞樹は痛みを堪えていた。
 メイスンも速さを重視し、電脳空間ごと移動しつつ敵の直撃を避ける。
「当たるわけにはいかぬのー」
 出来るだけ速く、メイスンは敵の動きを察知しようとするが、まれに秀吉は思いもしない方向へと飛ぶ。
 その突撃を完全には避けられず、メイスンも猿玉にかすってしまうこともあったようだ。
「フェンフェン!」
 次はお前だと狙いをつけたのは、ここまで海を泳いできていた偽葉だ。
 一度、海面から高く飛び上がった秀吉は彼女目がけ、呼び寄せた【墨俣城型ロボ】を差し向けてくる。
「ロボなんて、このサムライエンパイア世界には似つかわしくないものを呼び出すとは……!」
 などと言っている場合ではないと判断した偽葉。
 秀吉の動きをトレースして動くそのロボットは、彼と同様に胸部から漆黒の光線を発射してくる。
 それに直撃すれば、体を麻痺させてしまう。
 海上で命中しようものなら泳ぐこともできずに、海へと沈んでしまうことだろう。
 残像、フェイントを生かして偽葉は相手の狙いを反らさせながらも海上へと跳躍し、そのまま空中を浮遊する。
 その時、上空に現れた輸送機「エアバスA400M」……通称『アトラス』。
 搭乗していたのはその持ち主である元軍人。額にサングラスをかけた気さくな男性、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)だ。
「爆撃するから、少し離れていてくれ!」
 仲間達が距離をとったことを確認したケイ。
 秀吉は墨俣城型ロボを巨大な猿玉へと変化させて特攻させていくのだが、先にケイが複数の誘導ミサイルを発射して迎撃する。
 それを浴びながらも突撃してくるロボットは、輸送機へと衝突……するかに思えた。
 だが、煙幕弾を発射しつつ上空に迷彩を施していた彼は急上昇し、強襲の一撃を損傷軽微な状態でやり過ごす。
「おっしゃ、反撃といくぜ!」
 ケイはそのままフェイントをかけつつ、墨俣城型ロボ目がけて急降下を始めたのだった。


 墨俣城型ロボを操る秀吉目がけ、突撃していく輸送船内のケイ。
 彼はまさに捨て身の一撃とばかりに、誘導弾のミサイルを全弾一斉発射していく。
 だが、敵も再度漆黒の光線を発射して迎撃しようとする。
 空中のあちらこちらで巻き起こる爆発を躱しつつも、ルベルが空中を飛来してきて。
「自身に念動力を使うのは、不慣れですが……」
 空中へと無数に浮かべた『彩花』を足場としながら、爆発と光線を避けるルベルはロボットへと近づいていく。
「火事場の馬鹿力と申します、死に物狂いでなんとかしましょう……為せば成る」
 ぶっつけ本番で、ルベルは空中で方向調整したり、姿勢制御を行ったりとルベルは慣れぬ念動力の挙動に四苦八苦し、ロボットの光線を避けていく。
 なんとか、ロボットへと取りついたルベルは妖刀『黒染』を手に、関節部目がけて切りかかっていった。
「鎧無視攻撃と申します。硬い敵は得意でございますゆえ」
 駆動部を深く切られ、ロボットの動きが明らかに鈍り出す。
 偽葉もまた仲間達に敵の注意が向いている隙に、黄昏色の嵐の刃を纏って飛び上がる。
「負けませんよ!」
 纏う刃だけでなく、偽葉は自ら手にする黄昏の太刀でロボットの体を深く傷つけていく。
 それらの攻撃によって墨俣城型ロボの全身のあちらこちらに亀裂が走り、回路がショートして爆発を起こす。
「フェン!?」
 さすがに、秀吉もこれにはロボットを放棄せざるを得ない。
 猿玉になった秀吉が離れたところで、墨俣城型ロボは大きな爆発を起こして四散してしまった。
「秀吉殿!?」
 ここまで静観していた弥助アレキサンダーだが、秀吉が劣勢なのを見て大帝の剣に手をかけて援護に動こうとしていた。
 その周囲には、海に潜ったり出たりを繰り返す瑞莉の姿が。
 彼女は海中へと潜ったタイミングで符を放ってデコイを作っており、それを使って弥助を牽制していた。
「させませんよ!」
 破魔の力を溜めていた『十束剣』の封印を解き、瑞莉は早業で刃をなぎ払う。
 これには、弥助もそう簡単に手を出せずにいたようだ。

 多少、呆けてきた秀吉目がけ、いつの間にか大型宇宙戦艦『暁』を呼び寄せていたメイスンが熱線、ビーム機銃、レーザー砲を発射していく。
「ほれほれ、弾幕からは逃げられぬでのー」
「援護するぜ!」
 距離をとりつつ上空に留まる輸送艦から、ケイが誘導弾を発射して秀吉を攻め立てる。
 そのおかげもあり、2人ともそれぞれの艦を突撃させることなく敵を攻め立てていたようだ。
 ケイやメイスンが仕掛ける間に態勢を立て直し、鬼燈は敵の周辺の海水から霧を生み出し、影を投影してデコイとしていく。
「海という場所を生かせば、イケルイケル!」
 霧の塩分濃度も調整し、鬼燈も雷撃の軌道を操作して様々な角度から敵の体を焼き払おうとしていた。
 砲弾に銃弾を浴び、いくら伸縮、弾力に優れる体を持つ秀吉とはいえ、全身が傷ついて血を流していたようだ。
 そこに近づく偽葉、瑞莉は速度を高め、秀吉を攻め立てる。
「戦法はスピード勝負ではなく、他の猟兵と連携して追い込んでから狩りましょう、ですよ」
 そう語り、黄昏色の刃を刻み込む偽葉の向こうでは、ドーピングで身体能力を高めていた瑞莉が攻撃を仕掛ける。
 さすがに弥助も身を固めてしまっていたこともあり、瑞莉は秀吉を再び狙い始めていた。
 符に自らを誘導弾となして敵を追い、彼女は薙刀『禍ノ生七祇』で突撃していく。
「フェ、フェ……ン!」
 猿玉となって突撃しようとする敵を、十束剣に持ち替えた瑞莉が串刺ししようとするが、秀吉も残る力でその一突きを避けて見せる。
 だが、瑞莉は衝撃波を伴う一振りを秀吉へと浴びせかけ、その体を大きく吹き飛ばす。
 その方向にいたのは、瑞樹だ。
 仲間達が気を引いている間に目立たぬよう移動していた彼は、両手の刃を煌めかせて。
「一撃でも当たればいい。確殺できなくとも、動きさえ止められれば……」
 そんな心持ちで仕掛けた瑞樹は、仲間達が付けた傷を深く深く、黒鵺で……自らの本体自身で抉っていく。
「フェ……フェ……」
 弱々しく鳴いた秀吉はついに、ぐったりとうなだれる。
 そのまま水中へと落下し、秀吉は戦場から姿を消していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:みやこなぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 隠し将『豊臣秀吉』を倒した猟兵達。
 彼らは海上を移動し、大渦の中心に立つ大帝剣『弥助アレキサンダー』へと近づいていく。
「よくも、秀吉殿を……!」
 海中へと視線を向けていた彼は憎々しげにこちらを睨みつけ、大帝の剣に手をかける。
 メガリス『大帝の剣』。
 先程、『毛利水軍』を惑わせていたのがこの剣だ。
 武器として振るっても非常に強力で、海をも叩き割ることのできる威力がある。
 だが、弥助の武器はそれだけではない。
 『逆賊の十字架』は秀吉を人外に変えていたと思われるメガリス。
 自らの体の一部を肉塊に変え、相手の闘志を奪った上で様々な攻撃が可能となる。
 例えば、腕を長く伸ばして相手を縛り付けたり、視界を塞いでトラウマを見せつけたり……。その能力の幅はかなり広いので、対応も苦慮することになるだろう。
 また、大渦を発生させているメガリス『闘神の独鈷杵』は、無機物を破壊の雷槌に変えて操作できる力がある。
 海上では無機物などと思うかもしれないが、先程の戦いで破壊された毛利水軍の船の欠片などが海上に浮いているし、海中にも多数沈んでいる。
 弥助はそれらを使い、こちらが仕掛ける前に攻めてくるはずだ。
 その先制攻撃にどう対処すべきかと、個々の猟兵達が考えていると……。
「さあ、行くぜ。『全ては信長様の為に』!」
 猟兵達が構えをとろうととるまいと、弥助はその排除の為にと身を乗り出し、襲い来るのである。
ルベル・ノウフィル
pow
人心惑わし戦いに利用するとは外道なり
お前は許しませんよ

念動力もレベルが上がり、使用慣れしてきたようにも思います
いざという時は利用できる足場を利用させて頂きつつ、基本は念動力で僕は海上を飛翔

◆対策
早業は全てに活用

1、単純で重い剣を予備動作を注視して全力回避

2、危機に瀕した味方いれば庇います
オーラ防御で被ダメ軽減、継戦可能な程度にわざと負傷
トラウマは敵を倒すより大事でしょうか?

3、前章で巡らせた彩花全てを敵に放ち敵の注意を引く

4、3の隙に痛悼の共鳴鏡刃を投擲
2で負傷していれば刃は鋭さを増している

5、3と4で注意を逸らした隙に本命のUC:遊戯
僕に手を差し伸べる人がいた、という記憶を捧げましょう


黒鵺・瑞樹
アレンジ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

秀吉戦と同様、UC空翔と【空中戦】で海上を駆ける。
残念ながらこれしかない。だから相手の攻撃は【第六感】で感知、【見切り】で回避しきってやる。
回避しきれなものは黒鵺で【武器受け】で受け流し、それから【カウンター】を叩き込む。
ふれた「者」って事はたとえ本体でも器物なら大丈夫って事だろ。

先制攻撃をしのいだ後は【存在感】を消し【目立たない】様に移動後【先制攻撃】で【奇襲】【暗殺】攻撃。
逆に俺以上に奇襲かける目がある猟兵がいたら、俺が囮になってもいい。
確殺できなくとも動きの制限狙いで【マヒ攻撃】、かつ【傷口をえぐる】でよりダメージ増を狙う。


露木・鬼燈
大帝の剣…あの威力はヤバいね。
流石に踏ん張りの効かない海面では受けられない。
特に振り下ろしはマズいね。
異形心眼で見切って回避しかないのです。
紙一重で、なんて欲張ると死ぬ。
少々大げさに回避するのがいいかな。
でもこれでは反撃の余裕はないっぽい。
少しばかり無茶をしないとチャンスは来ない、かな。
横薙ぎに合わせてふわりと刃の上に乗る。
そして忍体術で自重を消し、刃の勢いそのままに飛ばされて…
稼いだ距離で切り札を切る!
<火廣鐵>を創造し一体化。
ブースターを全開にしてシールドチャージからの近接戦闘。
こいつのパワーならイケルイケル!
バーニアを巧みに操り、攻撃をいなしてのカウンター。
確実に削っていくっぽい!


メイスン・ドットハック
【WIZ】
忠誠も義憤も大いに結構
じゃけど、それはそれとして倒させて貰おうかのー

先制攻撃は電脳魔術で避雷針を作ってデコイ展開
渦潮に飲まれないように、【視力】【情報収集】【第六感】を駆使して安全地帯、もしくは被害が少なそうな場所を探し回避に集中

先制攻撃後は、UC「隠れ家への小道」を破壊の雷槌の前に展開し、収納
電脳空間は循環する回廊のように設定して出口を閉じておく
目くらましに電脳ミサイルを【一斉発射】【誘導弾】し、弥助に接近
爆発で水飛沫を上げて弥助が濡れることも計算しておく
頃合いを見て、電脳ウインドウを開いて出口設定して、破壊の雷槌を弥助の方向に放出する

アドリブ絡みOK


郁芽・瑞莉
道のりは少々長かったですが。
秀吉の後を追っていただきましょう!!

空中浮遊と碧の符を両脚の下に貼って圧縮空気、
苦無に刻まれた重力制御の術による足場形成を使った空中戦を展開。

相手の攻撃に第六感で危険を察知、
ドーピングによる身体強化とジャンプ、ダッシュを駆使して
フェイントや残像で致命傷を回避。
また、茶の符を誘導弾として送り、金属の針を生み出して避雷針に。
神霊体の防御力と激痛や電撃耐性、オーラ防御で耐えて。

受けたダメージを攻撃力へと転換、更に溜めていた破魔の力の封印を開放。
カウンターでなぎ払いを見舞って相手の防御を砕いて。
早業の2回目の攻撃でランスチャージからの串刺し、
最後には衝撃波も叩き込みますよ!


ライヴァルト・ナトゥア
先程はお休みしたけど、復活したので遊ぼーぜ
(超巨大な肉塊に対し、速さで対抗する)
デカイは強い、それは道理だ。
だが、速いも強い
さて、アンタのデカさと、俺の速さ、どっちが強いか比べ合いといこう!
(UCを起動。空中も海上も蹴り飛ばして、分身が見えるほどの速度で移動する。【空中戦】【2回攻撃】の手数と【フェイント】を最大限利用して攻撃。飛翔する斬撃を織り交ぜてあらゆる距離で攻撃を加える)
いくらデカイって言ったって、近づかないと攻撃できないだろ?さぁ、こいよ!
(向かってくる相手の速度を利用して懐に潜り込む)
残念賞、だな。景品はこちらだ
(渾身の一撃で吹き飛ばす)
あの世で信長サンによろしく言っておいてくれよ




 関門海峡での戦いも大詰め。
 猟兵達はこの海域に大渦を生み出した大帝剣『弥助アレキサンダー』と対する。
 第六天魔王『織田信長』への忠義に厚い弥助は、彼を護るべく海中へと散った隠し将『豊臣秀吉』を見下ろして。
「よくも、秀吉殿を……!」
 悔しげに拳を握りしめ、彼はその怒りを猟兵達へと向けてくる。
 だが、猟兵達はさほどそれを気にする素振りもなく。
「忠誠も義憤も大いに結構じゃけど、それはそれとして倒させて貰おうかのー」
 電脳魔術を空間に展開しているアメジストのクリスタリアン、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は、さらりと流すように弥助へと言い放つ。
 そばには、ユーベルコード【空翔】で空中ジャンプをしている黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)の姿もある。
 瑞樹は両手にナイフを持ち、敵の出方を窺っているようだ。
 そこに、毛利水軍戦に参加していた全身青い衣装、ライヴァルト・ナトゥア(巫女の護人・f00051)がやってきて。
「先程はお休みしたけど、復活したので遊ぼーぜ」
 彼は自らの素早さを生かして応戦の構えだ。
 憎々しげにこちらを見つめてくる弥助は大帝の剣に手をかけ、猟兵達の威嚇をとその刃を怒り任せに海面目がけて振り下ろす。
「おおおおっ!!」
 直後、海が弾け、大きな渦が巻き起こる。
 その一撃はまともに受ければ、ただでは済まないだろう。
「大帝の剣……あの威力はヤバいね」
 中性的な容姿をした赤髪の青年、露木・鬼燈(竜喰・f01316)は冷静にその力を分析する。
 現状、海上を跳ぶ鬼燈。踏ん張りの効かない海面では、その衝撃を食い止めることはできないと判断して。
「特に振り下ろしはマズいね」
 どう対処すべきかと、次なる敵の一撃をやり過ごす方法を考える。
 幸い、他のメンバー達が次々とやってきて。
「人心惑わし戦いに利用するとは外道なり。お前は許しませんよ」
 念動力を使いつつ、海上を飛翔する青い髪の人狼少年、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)は、毛利水軍を操った弥助を糾弾した。
 互いに、考え方は相容れない。
 それを確認し合い、海の上で両者は対峙する。
 長い黒髪をポニーテールとした戦巫女、郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)は碧の符を両脚の下に貼って圧縮空気を使い、さらに苦無に刻まれた重力制御の術による足場形成を合わせて空中を動き回る。
「道のりは少々長かったですが、秀吉の後を追っていただきましょう!!」
 向かい来る敵、弥助アレキサンダーを迎え撃つべく、猟兵達は一斉に身構えるのである。


 相手は、信長軍の魔軍将の1人。
 下手に仕掛ければ、返り討ちに遭うことはこの場の猟兵達も重々承知しており、基本的は迎撃の構えだ。
「さあ、行くぜ。『全ては信長様の為に』!」
 大帝の剣を構えた大帝剣『弥助アレキサンダー』は、その長く重い刀身を片腕で振るって。
「おおおおおおっ!」
 攻撃を仕掛けてくる弥助の動きを注視していたルベルは全力で躱していく。
 だが、弥助はあまりにも速い。
 ルベルがいくら注視して早業で身を躱しても、敵は続けざまの一撃を加えてくる。
 さすがに二撃目は威力が落ちてはいるものの、オーラ防御してなお体をへし折られそうな一撃をルベルは浴び、顔を引きつらせる。
 痛みで念動力の集中が解け、落下してしまう彼だが、一撃を受けるのは想定内。
 海上に浮かぶ壊れた船の破片を足場に、ルベルはまた飛び上がって態勢を整え直す。
「もらうぜ!」
 弥助はさらに、鬼燈へと攻め入る。
(「紙一重で、なんて欲張ると死ぬ」)
 彼もじっと異形心眼で見極めて、少々大げさに回避していく。
 最初の一撃を食い止めたはいいが、弥助はさらに刃を振るってくる為鬼燈もしばらく回避に専念する。
「でも、これでは反撃の余裕はないっぽい」
 少しばかり無茶をしないとチャンスは訪れない。鬼燈もそう考えていた。
 弥助はその刃を横薙ぎに振り払うと、鬼燈はふわりと宙に身を躍らせてその刃の上に乗ってみせて。
「何……!?」
 弥助が驚く間に、鬼燈は『忍体術<絶影>』によって自重を消し、敵が振り払う刃の勢いに乗ってそのまま飛ばされ、距離をとっていった。

 初撃を外した弥助は、隙を伺うライヴァルトと瑞樹が素早く接近してきていたのを察して。
「やらせはしない!」
 弥助は『逆賊の十字架』を使用し、左腕を巨大な肉塊へと変形させていく。
「デカイは強い、それは道理だ。……だが、速いも強い」
 その狙いが自らに向いていることに、ライヴァルトは気づいて。
「さて、アンタのデカさと、俺の速さ、どっちが強いか比べ合いといこう!」
 彼は蒼狼の外装を纏ったまま、自らの左腕に施された封印を見据える。
「封印限定解除、此処に来るは大いなりし蒼き狼」
 ――地を駆け、空駆け、獲物を屠れ。疾くあれかし。
 詠唱を続ける間に、襲い来る肉塊はまるでモーニングスターのようになって振るわれてくる。
「《限定解放・天狼疾駆せし戦場幻景》」
 ライヴァルトはスピードアップして高くジャンプし、フェイント交じりの動きでその一撃を避けてみせた。
「なかなか面白い能力だな……だが」
 その肉塊から弥助がいくつもの肉槍を伸ばすと、ライヴァルトは右手と一体化した鎌と、左手の狼の爪を振るってその肉槍を一気に切り裂いていった。
 続いて、飛び込む瑞樹は空中ジャンプを続け、飛んでくる肉塊を躱す。
(「残念ながら、これしかない」)
 瑞樹は自分がとれる唯一の手段で応戦を続ける。
 近づいてくる肉塊は直感で感知し、しっかりと見切って避けようとしていく。
 それでも、弥助の肉塊はトリッキーな動きで襲いかかり、まるで布を思わせるように広がって瑞樹の頭に覆いかぶさろうとしてくる。
 優れた直感力を持つ彼でなければ、頭を塞がれて窒息させられていたかもしれない。
 肉槍をなんとか両手の刃で切り払い、瑞樹は肉塊の直撃を防いでいたようだ。

 弥助はさらに、メイスンと瑞莉にもほぼ同タイミングで別に仕掛けている。
「自由にはさせないぜ!」
 肉塊のうちの一片が『闘神の独鈷杵』を所持しており、海上に浮かんでいた毛利水軍の船の残骸を変化していたのだ。
 それらは、『闘神の渦潮』へと変換され、破壊の雷槌を放ってくる。
 すでに、電脳魔術を使ってきたメイスンは、周囲へと避雷針を作ってデコイを展開していく。
「渦潮に飲まれぬように注意せんとのー」
 メイスンは周囲の情報をできる限り集め、視力と第六感を駆使して安全地帯を探す。
 弥助も直感を生かしてはいるが、やはり視覚による情報を重視している。
 ならばこそ、メイスンは敵の背後を中心として陣取るように動いていたようだ。
 同じく、『闘神の渦潮』から放たれる雷槌に狙われていた瑞莉。
 自在とまでは言えぬが、空中をある程度動き回る彼女はこれまでにドーピングによって身体能力を高め、残像とフェイントを織り交ぜた動きで直撃を避ける。
 メイスンにも向いていた部分があった為、幾分か避けやすくなっていたはずだが、それでも全ては避けられない。
 瑞莉もそれは最初から織り込み済みだったようで、茶の符を誘導弾として送り、金属の針を生み出して雷槌の避雷針としていた。
「巫覡なるこの身に神祇を」
 打てる対策はフルに行い、瑞莉はユーベルコード【巫覡載霊 薙ノ舞】によって自らを神霊体とする。
 避けられぬ雷槌は持ち前の耐性と防御で耐え、弥助の猛攻を凌ぎ切った。
「……何。まだ、これからだぜ!」
 全てのメガリスに対策を打たれていたことに、弥助は目を見張っていたが、すぐに気を取り直してさらなる攻撃を仕掛けてくるのである。


 弥助アレキサンダーの持つ3つのメガリス。
 いずれも強力な武具を使いこなし、彼は猟兵達を攻め落とそうとする。
 メイスンは敵が放つ破壊の雷槌の前にユーベルコード【隠れ家への小道】を展開し、雷槌を収納していく。
 その上で、電脳空間を循環する回廊のように設定したメイスンは出口を閉じ、海に落ちながらも目くらましに誘導弾とした電脳ミサイルを一斉発射していた。
 メイスンは爆発によって上がる水飛沫によって、弥助の体を濡らす。
 合わせて、瑞樹が両手の刃『胡』と『黒鵺』で切りかかっていた。
「うおおおおおおっ!」
 主として弥助が使ってくるのはやはり、彼の二つ名ともなっている大帝の剣。
 その一本と右腕で軽々と操り、超巨大肉塊『視肉』となった左腕を盾となして攻撃を塞ぐ。
 なかなかに攻め入るのが難しい状況が続くが、合間にルベルも手製の札『彩花』を撒いていき、弥助の注意を引いてくれる。
 そこで、距離をとる他メンバーが何か画策していることに、瑞樹は気づいて。
(「そうか、それなら……」)
 瑞樹は自ら囮となるように立ち回りを切り替え、敵の動きを遮るようにして僅かに入れた切り傷へと抉るように切り込み、痺れを与えていく。
 さらに、ルベルが懐から短刀『痛悼の共鳴鏡刃』を投げつける。
 ルベル自身が傷ついていたこともあり、鋭くなった刃は弥助の脇腹へと埋め込まれた。
「そろそろよいかのー」
 頃合いを見たメイスンが電脳ウインドウを開く。
 そして、出口設定した空間より、先程収納した破壊の雷槌を弥助へと放出する。
「なんだと!?」
 さすがに、それは肉塊で防ごうとする弥助。しかし、メイスンが予め彼を海水で濡らしており、全身に駆け巡る電撃までは無効化できない。
 好機と判断した鬼燈が切り札を切り、自らの想像から【魔剣と騎士盾を持つ人型機動兵器】を創造した。
「化身機装……火廣鐵っ!」
 空中も海上も蹴り飛ばし、鬼燈は分身が見えるほどの速さで移動する。
「こいつのパワーなら、イケルイケル!」
 途中で彼は騎士盾を突き出して、肉薄した弥助へと体当たりしていった。
 弥助に攻撃させる暇を与えず、ライヴァルトと瑞莉が飛び込む。
 ライヴァルトは両腕の鎌と爪を使い、遠近からそれらの刃を弥助へと浴びせかけようとする。
 瑞莉は先程受けたダメージを攻撃力へと転換したのに加え、溜めていた破魔の力の封印を解放していく。
 やや無理な体勢から剣を振るってきたが、瑞莉は高めた力で薙刀『禍ノ生七祇』を薙ぎ払って。
「いきます!」
 その切っ先を突き出し、瑞莉は敵へとぶつかっていく。
 さらに、ライヴァルトが左腕の肉塊を鎌で深く切りつけ、敵を煽る。
「いくらデカイって言ったって、近づかないと攻撃できないだろ? さぁ、こいよ!」
「武将として、お前達と戦えたことは誇りに思うぜ……!」
 近距離から大帝の剣で切りかかる弥助へ、バーニアで飛び回る鬼燈が相手の剣をいなしながら『魔剣オルトリンデ』で切りかかり、相手の体力を削る。
 その合間に、ルベルが『星守の杖』に『彼に手を差し伸べる人がいた』という自らの記憶を捧げていた。
 それによって、封印が解けた杖は戦場の空を舞い海上を飛ぶ死霊の刃となり、弥助の体を傷つけていく。
「くうっ、これでは……!」
 肉塊で防ぐのも限界がある。
 自らの体を変化させたものに過ぎず、ダメージが重なれば、耐えられなくなって弾け飛んでしまう。
 そのタイミング、瑞莉が薙刀から飛ばす衝撃波が弥助の体を大きく切り裂いた。
「ぐふっ……!」
 口から血を吐く弥助の懐へとライヴァルトは潜り込んで。
「残念賞、だな。景品はこちらだ」
 速度を生かして突撃した彼は、右腕と一体化した鎌で渾身の一撃を浴びせかけ、大きく敵の体を吹き飛ばす。
「畜生、俺の……負けだ!」
「あの世で信長サンによろしく言っておいてくれよ」
 海に落ちた弥助はライヴァルトの言葉を聞き届け、秀吉同様に海へと落ちていった。

 弥助の討伐に合わせ、意識を取り戻した『毛利水軍』の面々が正気を取り戻す。
 猟兵達はここでの戦いが終わったことを実感し、残る信長の打倒に意欲を燃やすのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月24日


挿絵イラスト