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エンパイアウォー㉑~デッド・オア・アライブ

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー

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 それは異様な光景だった。
 関門海峡の海上に敷き詰められた数多の軍船。
 その軍船の上では、多くの武士たちが殺気を抑えることなく昂っている。
 だが、妙に静かなのだ。
 軽口を叩くどころか誰一人として声を発さない異様に静かな戦場。
 武者兜の奥からのぞく眼だけが爛々と光り、戦いの時は今か今かと待ち焦がれているようだ。
 ――敵よ、来るがいい。
 この場の全ての武士たちは一つの意思で統一され、オブリビオンによって支配されていた。

「フェン! フェフェン!」
 数多の軍船によって守られた後方海域を縦横無尽に飛び跳ねる黒いゴムマリのような謎の物体がフェンと啼いた。
 その物体の描く軌道は正にゴムマリが地面に跳ね回るかのごとき異常である。
 通常ではありえぬ機動力をみせるそれは、オブリビオン以外の何物でもない。
「フェン! フェン!」
「成る程、流石は秀吉殿だ。少しでも地の利を得るべく余念がない」
「フェフェン!」
 海上を跳ね回るゴムマリを『秀吉殿』と呼んだのは黒い肌の渡来人だ。
 片頬に十字傷をもった偉丈夫――その名を『弥助アレキサンダー』という。
 弥助は『メガリス』と称される渡来人の至宝を手に海上に浮遊していた。
「ああ、心得ているさ。ここが俺たちの正念場なんだ。全ては信長様の為、俺は秀吉殿を盾にしてでも役割を果たす!」
「フェン! フェン!」
 弥助と秀吉が互いに呼応しあう。
 そこには確固たる信頼があり、何者にも断てぬ戦友の絆があった。
 尚もゴムマリのように飛び跳ねる秀吉の足元、海の様子に変化が起こる。
 メガリスを起動させた弥助を中心に巨大な渦が広がってゆく。
「『大帝の剣、逆賊の十字架、闘神の独鈷杵』……この至宝をもって、俺たちは信長様の力となる!」
 弥助は三種のメガリスの力を高めながら、いずれ現れる敵へと闘志を燃やした。

●関門海峡決戦
 世界中から猟兵が集まるグリモアベースに一人の女が現れた。
 電脳ゴーグルで表情を隠したグロリア・グルッグは空いているスペースに陣取り電脳空間を展開する。
「新しい敵の居場所が判明しました! お集まりください!」
 グロリアは猟兵が集まってくると一礼し、電脳空間に海の上の映像を映し出した。
「海か」
「はい。この海域に存在する敵勢力は『毛利水軍』です。もっとも、彼らはオブリビオンの支配下にあり、『大帝の剣』と呼ばれるものに洗脳されているようです」
「して、彼らの処遇は?」
 戦闘条件を確認してくる歴戦の猟兵に、グロリアは少しだけ口ごもった。
「……デッド・オア・アライブ。彼らの生死は成功条件に含まれません。私情を申せば何とか無力化をお願いしたいところですが、彼らもまた屈強なサムライなのです。洗脳により死をも恐れぬ死兵と化した彼らは、我々猟兵には及ばないとしても決して侮れる相手ではないでしょう」
「では斬るか。武士の情けというものよ」
「そこは、現場の判断にお任せします。今回の作戦は彼らの後ろにいる、二体のオブリビオンを撃破することが主目的となっています」
 グロリアは電脳空間を操作し、海上を飛び回る黒いゴムマリのような物体と、海上に作り出された大渦の中心に浮遊しているオブリビオンの姿を映し出した。
「ゴムマリのような敵は『豊臣秀吉』、大渦の中心にいる敵は『弥助アレキサンダー』だと確認されました。アレキサンダーはともかく、豊臣秀吉という武将が隠されていたようですね。秀吉は自らが盾になると決めているようで、アレキサンダーへの攻撃を全て肩代わりしようとしています」
 二体のオブリビオンによる連携作戦。
 一方が身を挺して時間を稼ぎ、その間にもう一方が目的を果たすというシンプルかつ効果的な役割分担である。
 猟兵はこの連携を打ち崩し、敵の狙いを阻止せねばならない。
「アレキサンダーは『メガリス』と称される渡来人の至宝を使い、この大渦を天変地異の如き雷の大渦へと変化させようとしているようです。万が一それを許してしまうと、幕府軍の皆さんに甚大極まりない被害が出てしまいます。そうすると呪詛の発動に必要な人員が減り、戦況は魔王信長へと傾いていくでしょう」
 そこでグロリアは言葉を切り、映像を大渦の方へと向けた。
「秀吉は海の上を我が物顔で飛び回りますけど、アレキサンダーの方はあくまでも水の上を浮遊しているだけっぽいですね。あまり高くは飛べないようです。……だとしたら、この大渦を戦闘に利用できれば有利になるかもしれません。私は騎兵なので加速に便利かなって思いますね」
 敵が作り出す大渦をこちらが逆に利用する。
 作戦や工夫は必要だろうが、うまく決まれば多大なアドバンテージになるかもしれない。
 メガリスと呼ばれる至宝を操る弥助アレキサンダーは恐るべき強敵だ。
 これに打ち勝つためには、使えるものは何でも使うくらいの覚悟がいるだろう。
「今回は全ての作戦を通じて海上での戦いになります。飛べる人は飛ぶなり、泳げる人は泳ぐなりで、海上戦の用意がいるかもですね」
 海の上という特殊な環境での戦いは相応の準備が必要となるものだ。
 創意工夫を凝らし自分にとって有利となる戦い方が出来れば、作戦もうまく行くだろう。
 グロリアはもう一度頭を下げ、猟兵たちの健闘と無事を祈る。
「毛利水軍の人たちのことも気になりますが、優先順位はオブリビオンの撃破の方が上回ります。……どうか豊臣秀吉と弥助アレキサンダーを倒し、エンパイアウォーに勝利してください。よろしくお願いします」
 そうしてグロリアは猟兵たちを戦場へと送るのであった。


宝野ありか
●戦闘について。
 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

●戦争形式について。
 1章は冒険となります。
 毛利水軍の生死は作戦の成功に含まれません。
 皆殺しにしても判定は成功ですが、江戸幕府の未来に禍根を残すかもしれません。

 2章はボス戦です。
 秀吉はフェンとしか言いませんが不思議と何を言っているか理解るようですフェン。
 秀吉は弥助を絶対に守るメイン盾なのでこれを倒さないと弥助には挑めません。

 3勝はボス戦です。
 メガリスについては謎の超古代兵器みたいなイメージで大丈夫だと思います。
 弥助を倒せなかった場合、雷の嵐が吹き荒れて猟兵たちは吹っ飛ばされます。

●マスターより。
 どうもお世話になっております、宝野ありかです。
 今回は通常とは形式の変わった戦争シナリオをお送りします。
 3章構成となっておりますので、継続参加された時は真の姿が解放できるかもです。
 判定は厳しめで行きますので、苦戦や失敗をすることもあるでしょう。
 なお海の上で戦うことになるので対策は必須とします。

 それではよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

👑3
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

宇冠・龍
由(f01211)と連携
私は陽動と囮となって他の方が行動しやすいようにします

今を生きる方が相手ならば、救うべきでしょう。無血開城が望ましいですが……海上ではそうもいかないでしょうね

私は【談天雕竜】で百隻の幽霊船を召喚、船団を対面させることで毛利水軍の進行を一時的にでも食い止めます
相手が一般人であれば、船が傷つくこともないでしょう
百隻の船団に白旗をあげてくだされば上々。しかし洗脳状態ならば捨て身で向かってくる可能性も高い

船を指揮している間、威嚇射撃くらいで私自身は戦闘行為ができません
できるとすれば、難破したり海に落ちた方を引き上げるくらい
海に落ちた方を全員拾い上げる勢いで救助活動していきます


宇冠・由
お母様(f00173)と連携

私は空飛ぶヒーローマスク
荒波だろうと私には関係ありませんわ

そしてこの小さな身体は隠密行動に長けています
お母様が敵艦隊を引き付けている間、こっそりと忍び寄りましょう
(さて、水軍というからには、指揮をしている方がいるはずです。まずはその方からですね)
あの大きな旗を掲げている船が怪しそうですね

地獄の炎は出さすに船へと潜入
とりあえず偉そうな方を見つけたら【智天使の抱擁】で目くらましと洗脳効果を打ち消した後、お母様の操る船へと一緒にテレポート
一緒のテレポートが難しそうなら、とにかく船を次々飛び回って回復光を照射して洗脳を解いていきます


大豪傑・麗刃
この大豪傑麗刃は…いわゆる変態のレッテルをはられている…

たしかに日頃は思い当たるフシもなくはない。だが此度は故郷サムライエンパイアの危機。
ネタ一切抜きのシリアスで行くのだ(本気?フリ?さあ)

さて一般兵を倒さずに突破しなきゃならないと。ならば高速で抜けるのみ。
そしてわたしには超高速で動く手段がある。

(スーパー変態人2発動!)

とはいえさすがにこの数を正面から抜けるのは無理。
そんなわけで高速で飛び回って【残像】ばらまき敵兵を混乱させるのだ!残像に【フェイント】や【存在感】のせることでさらに強化!そして隙を見せた敵に片端から【武器落とし】かける事でさらに混乱!
こうして無理やり突破口作って突撃なのだ!



 自ら陽動作戦の囮役を買って出た宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は先行する他の猟兵たちを見送った。
 その中には娘や知った顔も含まれており、彼らと共に戦えることを誇りに思う龍。
 互いに命を預け合いながら戦場を駆け抜ける関係を戦友と呼ぶ。
 ならば今、我々の前に立ち塞がる毛利水軍の船団も、そういった戦友たちの絆で結ばれているのだろう。
 こちらの事情、あちらの事情。戦場においては決して相容れぬ立場の違いを想い、龍は物憂げにため息をついていた。
「……今を生きる方が相手ならば、救うべきでしょう。無血開城が望ましいですが……海上ではそうもいかないでしょうね」
 オブリビオンによって洗脳された毛利水軍のサムライたちは屈強な戦士だと聞く。
 彼らの死をも恐れぬ勇猛さ、鍛錬を怠らぬ勤勉さ、何より己の命を捨ててでも主に尽くすその忠義。
 それらを実感として知る龍のため息は深い。
 理想的な戦士として磨き上げられた彼らは、正しく死に物狂いで戦い続けるだろう。
 龍はユーベルコードを発動。
 談天雕竜にて召喚された百隻の幽霊船が瞬く間に海上を埋め尽くした。
 呼び出した幽霊船に戦列を組ませる傍ら、龍は毛利水軍の動向に目を向ける。
「百隻の船団に白旗をあげてくだされば上々。しかし――」
 目立った反応はない。
 いや。
 一斉に黒い影のようなものが空に放たれたと思いきや、それは矢の雨となって幽霊船団へと降り注ぐ。
 毛利水軍の矢による先制攻撃だ。
 矢の数は数百あるいは千を越えるか。龍は冷静に敵の攻撃規模を見極める。
 矢の雨が着弾する。何割かが燃え上がったのを見るに、相応の数の火矢が放たれていたようだ。
 炎上しようとする火矢を眺めていると、ふっとその火が消えた。
 いかにサムライが射る矢であろうと、龍の幽霊船を傷つけるまでには至らなかったようだ。
「――洗脳状態ならば捨て身で向かってくる可能性も高い。敵ながら天晴ですね」
 第二射が放たれ、毛利水軍の船団が動き始めた。
 海上戦における決め手は接舷してから相手の船に乗り込む移乗攻撃であることが多い。
 海賊よろしく勇猛果敢に船を駆ってくる相手に龍は称賛の念を禁じ得ない。
 龍は威嚇射撃を空に放って矢の雨を散らせた。
 双方の船がぶつかるまではしばらくの時間がかかるだろう。
 仲間を先へ進めるための陽動としてはこれ以上ない展開である。
 龍は毛利水軍の足止めと並行し、彼らが海に落ちた場合の救助活動を念頭に置きながら幽霊船団を指揮していた。


「私は空飛ぶヒーローマスク。荒波だろうと私には関係ありませんわ」
 母の呼び出した幽霊船団と毛利水軍の戦いが始まるのを空から見下ろす宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)。
 由は矢の雨を掻い潜りながら毛利水軍の船へと意識を向けた。
 小柄な由は隠密行動に長けていると自負しており、事実その通りになっている。
 敵対している毛利水軍は目の前に現れた百隻の幽霊船団にかかりきりで、空を飛ぶ由のことは目に入っていないようだ。
 洗脳状態にあるとはいえ彼らはサムライ。闘争本能の塊のような彼らが目下最大の脅威に集中するのは当然の流れといえた。
 母である龍の作戦がうまく噛み合った結果である。
「お母様が敵艦隊を引き付けている間、こっそりと忍び寄りましょう」
 母に感心するのもそこそこに、由は自分の役割へと切り替える。
 別に張り合っているわけではない。娘として母に後れを取るわけにはいかないだけである。
 一軍を相手取ったのが母であるのなら、一軍を相手にするのに匹敵する戦果を挙げるのが娘であろう。
(さて、水軍というからには、指揮をしている方がいるはずです。まずはその方からですね)
 これだけの規模の軍団を率いているのだ、指揮官が不在だとは考えられない。
 オブリビオンによる洗脳がいかに強固であろうと、現場判断という高度な選択までは縛れない。
 すなわち、陣頭指揮を執る指揮官がいるのだ。
 世の諺に『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』というものがある。
 物事の効率の良い手順を言い表した言葉だが、これを逆転させることも可能。
 馬を止めるために将を射る。一軍を率いる将を止めることで、一軍の動きを止めてしまうのだ。
 戦術的には要人暗殺に近いものだが、今回はそれで人助けをしようと思う由であった。
(あの大きな旗を掲げている船が怪しそうですね)
 空から見て回った毛利水軍の中でも一際大きな旗を掲げている船に目星をつけた由。
 サムライとは地位や格を表現するために派手さを好む節がある。
 敵味方の入り乱れる戦場で、味方からの視認性を高めるという意味もあるのだろう。
 周りの船と比べて装備が豪華だとか、旗が大きいとか、そういう船こそ指揮官の船である可能性が高い。
 とはいえこれは由にも賭けである。降りた先に指揮官がいるかどうか、不確かな未来に向けてのダイブ。
「女は度胸! でございますわ!」
 とぅ、と勇ましく降下する由。
 派手めの船へと着地し、とりあえず偉そうな格好をしたサムライがいないかチェック。
 地獄の炎を抑えていたこともあり、まだ発見されてはいないようだ。
 これ幸いと由は物陰を巧みに利用しながらチェックを進めていく。
 すると一人、明らかに周りとは違っている者を見つけた。
 船にいる多くのサムライが弓を構えているのに対し、その者は弓を持たずに抜身の刀を構えているのだ。
「斉射構え! 放て!」
 その号令と刀が振るわれた後に続き、周りのサムライが一斉に矢を放った。
 近くの船からも矢が放たれており、この刀持ちが指揮官の一人であると見てもよさそうだ。
(あの方ですわね。メガリスとかいう武器の洗脳がどれほどのものか……)
 由は物陰に隠れながら精神を集中させる。
 指揮官と見定めた者のいる空間へと意識を注ぎ、そこへ跳ぶためのロジックを組み立てた。
 いまこそ跳躍の時。
「これ以上の被害は認めませんわ――!」
 深い集中により極短距離のテレポートを成立させた由が指揮官の頭上に出現する。
 この場にいる誰もが反応できない空隙を突き、由がユーベルコードを発動した。
 智天使の抱擁。
 大いなる天使が遍く人々に慈愛を与えるかのごとき光が由から放たれる。
 それはいかなる傷、いかなる呪い、物質の損害すらも完全に回復させる光だ。
 神の御業を思わせる回復光が周囲のサムライたちを照らし、メガリスによる洗脳を解きにかかる。
 固唾をのんで由が見守る中、半数ほどのサムライが膝を折った。
「ぐっ、頭が割れるようだ……」
 彼らの様子を見るに、回復効果は半分ほどいったところだろうか。
 あと数回やればこの船を解放できそうだが、全ての船にそうするわけにもいかないのが実情だ。
「あなたを名のある武人と見て協力を要請します! 海に落ちたお仲間がいれば助け合ってくださいませ!」
 大事なことだけを手短に伝え、由は次なる船へと意識を向けた。
 そうして由は智天使の抱擁で跳び回り、次々とサムライたちの洗脳を解いていった。


「この大豪傑麗刃は…いわゆる変態のレッテルをはられている…」
 龍のいる幽霊船の甲板にずぶ濡れの大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)が現れた。
 頭にはワカメをかぶっており、その手には立派なカニが握られている。
「あら、大豪傑さん。いまご到着されたのですね」
「うん、頑張って泳いできたのだ」
 突如として現れた麗刃に驚くこともなく、いたって普通に反応する龍。
 そんな龍に見守られた麗刃はワカメとカニをぽいっと海へとリリースした。
 ちょっと皆に遅れて到着した麗刃が泳いでいたらぶわっと幽霊船が現れたのだ。
 これは乗り込むしかないと乗り込んだ先に仲間がいたのは願ってもない幸運だろう。
 麗刃はびしっと見た目を整えながら意気込みを口にした。
「たしかに日頃は思い当たるフシもなくはない。だが此度は故郷サムライエンパイアの危機。ネタ一切抜きのシリアスで行くのだ」
「まぁ、シリアスな大豪傑さん……」
 不思議な言葉だと言わんばかりに感心する龍。
 龍の相槌に気を良くした麗刃は両手を腰だめに構え気合を入れ始めた。
「さて一般兵を倒さずに突破しなきゃならないと。ならば高速で抜けるのみ。そして、わたしには超高速で動く手段がある!」
 はあああああっ!!!
 ドンッ、と衝撃波が生まれそうな勢いで気を高めた麗刃は全身から青白いスパークを伴う金色のオーラで包まれた。
「ふぅ…これがスーパー変態人2なのだ」
 シュインシュインシュインとオーラを輝かせながら悠然と歩く麗刃。
 自信に満ち溢れた表情の下には早くこのシリアス展開を終わらせてお笑いに走りたい精神でいっぱいである。
 1カメが麗刃をアップで撮り、2カメはやや引いた構図で麗刃の歩く姿を、3カメで麗刃の向かう先にある毛利水軍との引きを撮った。
「あら、何だか懐かしい尺伸ばしの気配が」
「それ以上いけないのだ」
 ただ歩くだけで絵になることもある。それは決して1シーンでの引き延ばしではないのだ。
 麗刃の前に立ち塞がるは毛利水軍。その数は多く、正面突破は分が悪いと見える。
 スーパー変態人2と化した麗刃には超高速度で飛翔する能力があるが、それは戦闘機のような操縦性だ。
 毛利水軍を避けて飛ぼうものなら、ちょっと飛ぶだけでどこまで飛んでしまうか分からない。
 さりとて正面突破を試みて、超高速で船とぶつかるのは何かとマズい。
 折衷案として導き出されたのは、いい感じの速度で飛んでいい感じに毛利水軍の船に乗り込むという作戦だった。
「ではわたしは行くのだ。とぅ!」
「ご武運をー」
 飛び去る麗刃に手を振る龍であった。
 最高時速5000キロを越える超高速の飛翔能力をぎり制御した麗刃が毛利水軍の船に乗り込んだ。
「おわっとっとっと! いくらなんでも早すぎるのだこれ!」
 ききーっと片足で滑りながら態勢を整える。
「むむっ、何奴! 囲め囲め!」
 いきなり飛び込んできた麗刃に反応したサムライたちが包囲しにかかる。
 素早い対応と一糸乱れぬ連携に囲まれた麗刃はふふんと笑った。
「何奴かと問われればこう答えよう。そう、わたしが『大豪傑さんちのちょっとあの、変わった子』である、と……!!」
 麗刃から放たれる圧倒的な存在感。
 あまりの迫力と説得力、そして何よりもオブラートに包んだ優しい表現で名乗りを上げた麗刃にサムライたちが目をそらした。
「あれ? どうしたのだ? どうして皆目をそらすのだ??」
 誰かが大きめの咳払いをした。
「ええい! どんな事情があろうと構うものか! たたっ斬れェ!」
 お、応と気後れしながらも次々と刀を抜いたサムライたちが麗刃に切りかかる。
「ふっ、遅いのだ!」
 麗刃はものすごく制御した高速の身のこなしでサムライたちの刃を避けまくる。
 気を抜くとうっかり空に飛び出しそうな飛翔能力。
 それを抑え込んだ姿は、傍目には直立不動で足だけが見えないスピードでかさかさしている光景だった。
「な、何だこいつは……!?」
「ふ、増えるぞこいつ……!?」
「違う、残像だ! 本体を叩け!」
 巧みなフェイントを織り交ぜた麗刃は特殊な歩法で残像を生み出していた。
 オーラのスパークを放ちながら残像を増やしていく麗刃にサムライたちは混乱のドツボへと叩き込まれる。
「そこっ、隙ありなのだ!」
 混乱した隙を突いた麗刃が手刀を放ち、サムライの手から刀を叩き落した。
「ぐ、ぬかった! 俺の刀ぁ!」
 床を転がった刀を先に拾ったのは麗刃である。
「ほほぅ、これは…なかなかの…業物…」
 剣豪でもある麗刃は拾った刀が割と良品だったことに感心した。
 きっとお金をためて、腕のいい職人に頼んだ一品なのだろう。もしかしたら家宝かもしれない。
 ここ一番の戦いに持ってくる、武士的には相棒のような大事なものだ。
「く、返せっ、この野郎!」
 飛びかかってきたサムライをひらりとかわし、麗刃はうむと首を縦に振った。
「刀とは武士の魂。粗末に扱うことはできないのだ」
 麗刃はふんっと力を入れると、手にした刀を根元まで床に突き刺した。
「人も刀も海に落ちたら大変なのだ。ここに置いておくから安心するのだ」
 船の床とは頑丈な素材でできているものだ。
 それをいとも容易く、刀の根元まで深々と突き刺すのは並大抵のことではない。
 刀の扱いに長けた者として、サムライたちは麗刃の実力を魂で理解した。
 麗刃はより一層と場をかき乱すべくサムライたちの武器を叩き落して回り、無理やりこじ開けた突破口から突撃するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

チトセ・シロガネ
大量のシップを渡って向こうへ行くヨ。
伝説のサムライがかつてやってた八艘ジャンプの再現だヨ!

というわけで船の帆柱や甲板にクローアームで【グラップル】、【怪力】と【地形の利用】で船の重みを最大限に活かして振り子の要領で自分をスイングして【投擲】、【空中浮遊・念動力】を駆使して次の船に着地、これを繰り返してアフロサムライさんの元へ向かうヨ。

UC【霹靂閃電】のちょっとした応用ネ。
いつもは敵を振り回して投げるけど、今回はそれを自分にやる感じ。

問題はフルパワーで振り回すから船が大きく揺れるくらいはあるカナ。
最悪、帆が折れてしまったりしたらソーリーネ。


ヴォルフラム・ヴンダー
――ヒトの姿でいるよりは、獣の方が勝手が良さそうか

戦場までは波間に隠れながら泳いで移動
会敵後は【夜想の魔獣】で漆黒の巨大な四足獣に変身
※紅眼。この形態では人語は話さない

異様で敵の眼を惹き
獣の身軽さとバランス感覚を活かし、飛び石のように船団を飛び移る


一般人の攻撃が毛皮を貫くとは思えんが
「残像・見切り」で回避に徹し
「激痛耐性・生命力吸収」で凌ぐ

狙うは牙や爪を使っての船の破壊・転覆
「殺気」を放っての海賊どもの無力化だ
それでも戦いを挑む者があれば、容赦なく海へ突き落とす
海賊を生業とする者たちであれば、死にはせんだろう

敵に囲まれた猟兵が居れば「かばい」活路を開く
その他、参戦する猟兵への共闘は積極的に行う



 波間に隠れながら泳ぐ人影がひとつ。
 ヴォルフラム・ヴンダー(ダンピールの黒騎士・f01774)は海面ぎりぎりに顔を出し、目立たぬように泳いでいた。
 幸いなことに同席した猟兵たちが敵の目を引いてくれている。接敵するにはまたとない機会だろう。
 毛利水軍の監視を掻い潜り、ヴォルフラムは船へと乗り込むことに成功した。
(――ヒトの姿でいるよりは、獣の方が勝手が良さそうか)
 ヴォルフラムはユーベルコードを発動し巨大な四足獣に変身した。
 夜想の魔獣。
 漆黒の毛皮を持つ異様な魔獣が現れたことで、船の上には言い知れぬ緊張が走った。
 魔獣の紅い眼を通してサムライたちを見るヴォルフラム。
 唸り声すら発さぬ漆黒の獣を前に、サムライたちは怖気づくどころか弓を向けてきた。
「化生まで出てきたか! 我が弓で仕留めてくれる!」
 一斉に放たれた矢を、ヴォルフラムは獣の身軽さで難なくかわした。
 そのまま揺れる船の上を絶妙なバランス感覚で駆け抜け、異様な獣の姿をこれでもかと見せつける。
 俊敏な獣の動きを捉えられる者はいなかった。
 無理もない話だ。船の上を駆け回る巨大な魔獣との戦いなど、誰も想定していなかったのだから。
 そもそも自軍の船に乗り込まれること自体が劣勢を物語っている。
 海賊衆とも呼ばれた毛利水軍の面々にとっては噴飯ものの失態だろう。
 敵の攻撃を見切り、残像を見せることで手玉に取るヴォルフラムは敵の苛立ちを嗅ぎ取った。
 怒り、焦燥。そういった激しい感情を抱いた時こそが最も危険である。
 ヴォルフラムは足を止め、全方位に向けて強烈な殺気を放った。
 小さな火がより大きな炎に飲み込まれてしまうように、サムライたちの怒りはヴォルフラムの放つ殺気にかき消された。
「ぐ、おのれ、化け物めが……!」
 殺気に耐えられたのはただ一人。その一人が刀を抜き、果敢にもヴォルフラムへと切りかかる。
 だが。
「ば、馬鹿な! 斬れぬ!」
 満身の力で振り下ろされた刀は、ヴォルフラムの毛皮によって完全に止められていた。
 魔獣の毛皮は一般人の攻撃を通すとは思えず、実際にもヴォルフラムが思っていたように刃を受け止めたのだ。
 これでは戦いにならんなと、ヴォルフラムは手加減しながら目の前にいたサムライを海へと突き落とした。
(海賊を生業とする者たちであれば、死にはせんだろう)
 彼らは海賊とも呼ばれた海の男だ。この程度で溺れ死ぬようなヤワな鍛え方はしていないだろう。
 ヴォルフラムは突き落とした者から意識を切り替え、効率的な船の破壊方法を模索する。
 船というものは構造的に木の箱を川に流すのと似ている。
 つまり水辺に面している個所を壊されると容易く沈んでしまうのだ。
 敵の多くを無力化したヴォルフラムは船の側面へと移動し、その外装を爪牙でもって破壊する。
 何も沈没させる必要はない。これ以上戦うことができなくすればそれで十分なのだ。
 ヴォルフラムは大雑把に船を破損させると、次なる船に飛び乗り制圧していった。


「ん~、皆ガンバってるネー! ボクも負けていられないヨ!」
 意気揚々と毛利水軍の船団へと向かっていくのはチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)だ。
 チトセは大量の船を次々と渡っていくという、かの伝説のサムライがやってのけた逸話を再現すべく気合を入れた。
(その名も八艘ジャンプ! 舞ってみせるネ!)
 八艘跳び。それは最高にクールなアクション。
 ひしめく船団を華麗に突破するのはさぞかし気分のいいことだろう。
 船団へと近づいていくチトセの目に、船の上で暴れている漆黒の魔獣――ヴォルフラムの姿が映った。
 彼はサムライを相手にするのではなく、船の破壊をメインに動いているようだ。
 その姿にチトセの光子頭脳が閃いた。
 敵の船団を突破するだけでなく、道すがら船を壊していく。
 それはこの後に控える強敵との戦いに水を差されぬようにするためでもあり、敵の追撃を封じる妙手だろう。
 ナイスな作戦だと思ったチトセは八艘ジャンプをフルパワーでやると決めた。
 チトセは船に接敵するやいなやクローアームを伸ばして帆柱をがっちり掴む。
「行くヨ! 霹靂閃電! 落っこちないようにファイトー!」
 クローアームで掴んだ帆柱ごと船を自分の方へと引き寄せるチトセ。
 尋常ならざる怪力がそれを可能とし、船体が大きく傾き始めた。
「パワーは十分ネ!」
 体感的にはサーカスで行われる空中ブランコのようなものだろうか。
 チトセは振り子の要領で自分をスイングし、次なる船へと飛び移るとクローアームを伸ばした。
 空中浮遊と念動力を駆使して制御されたチトセの身体に、帆柱から船の重みが伝わってくる。
「ワンモア! まだまだ行くヨー!」
 先ほどと同じように船を自分の方へと引き寄せパワーを貯めるチトセ。
 そこで異変が起きた。
 クローアームで掴んだ帆柱が根元から折れたのだ。
 とっさにアームの位置をずらしたチトセは、あちゃーという顔つきになる。
「ソーリーネ。帆が折れてしまったヨ」
 メインマストである帆が折れると、船の推進力は大幅に低下する。
 ならばそれはそれで作戦的にオッケーなのではとチトセは思うようにした。
 チトセさんはいつだってポジティブなのだ。
「ゴートゥーアフロ! 待ってなさイ、すぐにそこまで行くからネ!」
 十分に貯めたパワーを活かして自分の身体を前へと投げ出し、チトセは新たなる船へとクローアームを伸ばした。
 あちこちで混乱が起き、毛利水軍の足並みは乱れに乱れていく。
 その最中を、チトセは華麗なる八艘ジャンプで駆け抜けていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:フジキチ

👑4
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大豪傑・麗刃
敵は巨大ロボを出してくるらしいのだ。
わたしは確かに変態だが、あんなでかいのに一撃を受けたらただではすまない事ぐらいはさすがにわかっているのだ。ここはギャグマンガ世界ではないのだ。
ならばまずは回避に専念する!

スーパー変態人2状態のわたしは高速で飛び回れる。ならばやることは機動性を活かす事なのだ。
んで空中を【ダッシュ】しながら【存在感】を伴う【残像】をばらまき【フェイント】をかける!質量を持った残像という奴なのだ。持ってないけど。ともあれこれで敵の初撃をはずした瞬間がチャンス!右手に刀2本!左手に脇差2本(実際はバスタード・ヒーローソード)!これで一気に敵本体に突撃をかけ必殺の攻撃を繰り出すのだ!


チトセ・シロガネ
あのでかい図体はロマンの塊だケド、こちらの邪魔になるネ。
ボクはあのロボットを相手するヨ。

今回は足場が無いから【空中浮遊】で海上を移動。
武器はアシュラユニットのクローアームを使うネ。

ヤツの近接攻撃を【見切り・第六感】で見極めて【武器受け・オーラ防御】で受け止め、【カウンター・グラップル】でお城をキャッチするネ。

キャッチ後は足場が無い海上だから、【念動力】で踏ん張れそうな力場を作って【怪力】で引っ張り込むヨ!
これはッ!マグロの一本釣り以上にボーンが折れそうヨ。

引っ張り込める体制が出来たらUC【霹靂閃電】を発動!
一気に引っ張って【投擲】で秀吉に投げつけるヨ。
ロボットともども海のもずくになるネ!



●墨俣一夜城
 豊臣秀吉の逸話に『墨俣一夜城』というものがある。
 とある合戦の折、一夜にして城を作り上げたという有名な話だ。
 しかしその真偽は不明とされ、文字通りの一夜ではなかったと見る向きも強い。

 ――だから、というわけではないのだが。
 スーパー変態人2状態でいた大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)に油断はなかった。
 事前の情報により敵は巨大ロボを出してくるらしいと予測できていた。
 いくら麗刃が変態を自負していようと、巨大ロボの一撃を受けてしまえば即座に玉砕してしまうだろう。
 そう、ここはいつものギャグ世界ではなく、シリアスな合戦場なのだ。
 大豪傑家は先祖代々武人の家系であると豪語するように、麗刃もまた一角の武人であり豪傑であった。
 常在戦場の武人たらんとする者が合戦場で気を抜くなどありえないと言っても過言ではないだろう。
 麗刃の視界を埋め尽くさんばかりの巨大なロボの拳が間近に迫っていた。
(……まずは回避に専念するのだ! ……のだ! ……あれ?)
 麗刃の意識は冴え渡り、迫りくるロボの拳の関節部分が見えるほど研ぎ澄まされていた。
 ロボとはすなわち、オブリビオン豊臣秀吉がいつの間にか召喚していた墨俣一夜城型のロボットである。
 その巨大ロボがすでに殴り攻撃をしかけており、今まさに麗刃を粉砕せしめんと拳を唸らせていた。
(か、体が動かないのだ!?)
 ゆっくりと、スローモーに近づいてくる巨大ロボの拳。
 それがはっきりくっきり見えているというのに、麗刃の体はぴくりとも反応しない。
 麗刃に起きているのは極限状況における過集中。
 走馬灯、であった。
 麗刃は流れるように消えていく数々の記憶の断片から起死回生の一手を模索する。
(残念! わたしの冒険はここで終わってしまったのだ!)
 豊臣秀吉の先制攻撃はあまりにも速すぎた。
 繰り返すが麗刃に油断はなかった。ただ、相手が天下人と呼ばれた武将だった。
「フェン」
 鳴き声は遠く、手向けの言葉と共に墨俣ロボの拳が麗刃を――。

●巨大ロボット一本釣り
「――お城をキャッチするネー!」
 仲間の麗刃へと迫っていた墨俣ロボの拳を、間一髪で受け止めたのはチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)だ。
 チトセは空中を浮遊しながら、展開したアシュラユニットからクローアームを伸ばして墨俣ロボの拳をがっちりと掴んでいた。
「お、重ッ! オーラ防御、全力で行くネ!」
 巨大ロボットの超重量で押し込んで来ようとする敵のパワーを、チトセは出力全開のオーラ防御で何とか耐える。
 刹那の攻防。
 力の拮抗は薄氷の上でダンスするように踊り狂い、その軍配はチトセの技巧に上がった。
 ……実際のところ、チトセにも豊臣秀吉がいつ、どうやって墨俣ロボを召喚したのか分かっていなかった。
 第六感に導かれるように動いてみた結果がこれなのだ。
 気が付いたら敵の攻撃が完了していて、間一髪で仲間が粉砕されるのは阻止できた。
 もう一度同じことをやれと言われても出来ないだろう。
 だがチトセは千載一遇の幸運を掴んだ。ならば今度はこちらの番である。
「でかい図体はロマンの塊だケド、こちらの邪魔になるネ! ほらほらボクが相手するヨ! 神妙にお縄につくネ!」
 チトセは念動力で足場を作り出し、ぐっと腰を据えて巨大な墨俣ロボの一本釣りにかかる。
 怪力に物を言わせて右に左に墨俣ロボを揺さぶりながら重心を崩していく。
 気分はクローアームを釣り竿に見立てたマグロの一本釣りである。
 しかし相手は巨大なロボット。クローアームにかかる負荷は尋常ではなく、ともすれば内蔵のボーンが折れてしまいそうだ。
 チトセは熟練の釣り師もかくやといった竿裁きで墨俣ロボと渡り合った。

「た、助かったのだ! ありがとうなのだチトセちゃん!」
「ノープロブレム! こっちはボクにお任せヨ!」
 間一髪のところを助けられた麗刃が丁寧に感謝を伝え、チトセが気さくに応答した。
 リアルタイムに状況が変わっていく戦場では助け合いの精神が重要となる。
 クローアームで墨俣ロボと格闘しているチトセを援護すべく、麗刃はスーパー変態人2をもう一段階先へと進ませた。
 ユーベルコード・スーパー変態人2発動。
「今のは怖かった……怖かったぞーー!!!」
 麗刃の全身から放たれる青白いスパークの量が増え、金色のオーラが爆発する。
 もう早くこのシリアスを終わらせたいという強い心が麗刃の戦闘力を爆発的に増大させた!
「ともあれ初撃をはずしたのが痛恨のミスなのだ! 会心の一撃を決めてやるのだ!」
 麗刃は右手にサムライブレードを2本、左手に脇差ブレードを2本の四刀流となる。
 ちゃきっと刃音を鳴らし、麗刃が飛翔ぶ。
「フェン!?」
「成敗ー!!」
 超高速で飛翔した麗刃が豊臣秀吉にすれ違いざま一閃する。
 都合四つの剣が閃き、麗刃の刃が豊臣秀吉を深々と切り裂いた。

 豊臣秀吉が麗刃による斬撃を受けたことで墨俣ロボの制御が甘くなった。
 このチャンスを逃すようでは賞金稼ぎで身を立てることなどできはしない。
 チトセの眼が鋭く光る。
「オッケー! ダンスの時間ネ!」
 クローアームのグラップルで掴んだ墨俣ロボの巨体を、チトセは強引に自分の方へと引っ張り込んだ。
 ユーベルコード・霹靂閃電が発動する。
 何十トンもあろうかという巨大なロボットが、クローアームによって釣り上げられた!
 ぶおんと大きな音を立てて宙づりにされる墨俣ロボ。
 チトセはアームの調整と敵の位置を計算し、ベストな態勢と怪力でパワーを溜めている。
「ロボットともども海のもくずになるネ! クローアーム、シュートヨ!」
 豪快に振り下ろされたクローアームから墨俣ロボが投擲される。
 超質量攻撃と化した墨俣ロボが飛ぶ先にいるのは豊臣秀吉だ。
「フェ、フェン!?」
「サヨナラネ、おサルさん!」
 信じられない物を見たと叫んだような鳴き声に、チトセはグッバイと別れを告げた。
「フェーン!」
 斬られた隙を突いて投げられた墨俣ロボを回避することはできず、豊臣秀吉は自らが召喚したロボットに押し潰される形で海面に叩きつけられた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:みやこなぎ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

チトセ・シロガネ
ボクは闘神の大渦へ飛び込んでいくネ!

【念動力】で加速させた【空中浮遊】でアフロのユーに向かいつつ、
飛んでくる雷は【電撃耐性・オーラ防御】によるバリアと【見切り・武器受け】で雷槌をスラッシュして防ぐネ。
ボクだってサムライ、これくらいピースオブケーキ、ヨッ

雷槌を防ぎ切ったタイミングでUC【六爪抜刀】を発動。
ライデンユニットの武装全開放と【脚部バーニア】によるさらなる加速をもってアフロのユーの懐に飛び込んで【空中戦】を挑むネ!

雷を操るのはユーだけじゃないヨ!
6つの光刃を獣の爪のごとく展開、
雷の【属性攻撃】をのせて【早業・鎧無視攻撃】で一気に踏み込む!
アフロのユー、いざ、勝負ネ!



●大帝の剣
 関門海峡に大渦を生み出していた弥助アレキサンダーは旧き盟友が倒されたことを知る。
「ゆかれたか、秀吉殿……。いずれまた、何処かで。俺はいまここで信長様に忠を尽くすッ!」
 弥助がメガリスの起動率を高め、大渦をさらにさらに押し広げていく。
 いまや大渦は奈落の如き大穴と化し、その膨大なエネルギーをメガリスへと注ぎ込む力場となっていた。

●白銀の剣
 勢いを増して回転する大渦へと飛び込んでいくのはチトセ・シロガネだ。
 目指すは大渦の中心に浮遊している弥助アレキサンダー。
 チトセは念動力によって空を飛び、加速しながら弥助へと切り込んでいく。
「アフロのユー、いざ、勝負ネ!」
 弥助の特徴的なアフロを指し、チトセが勝負を挑んだ。
 敵は魔王信長の忠臣、弥助アレキサンダー。相手にとって不足なしの大物である。
 弥助は真正面から勝負を挑んできたチトセに顔を向けると獰猛な笑みを浮かべた。
「その意気や良し! 受けて立つぞ白き猟兵よ! 闘神の独鈷杵よ嵐を起こせ!」
 弥助が独鈷杵を横から縦へと構えなおした。
 メガリス『闘神の独鈷杵』起動。
 がちりと世界に秘められた鍵が開かれ大いなる闘神の雷が吹き荒れる。
 瞬く間に世界は様相を変え、足元に渦巻いていた大渦は無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』へと変化していた。
「これがメガリスだ! 耐えられるものなら耐えてみな!」
 弥助は独鈷杵を操り渦潮から破壊の雷槌を放った。
 だが。
「ボクだってサムライ、これくらいピースオブケーキ、ヨッ」
 剣が閃き、放たれた雷槌を切断した。
 チトセは雷槌の軌道を見切っていたのだ。
 雷を斬るという離れ業をやってのけたチトセに弥助が目を見開いた。
「雷切とはやってくれる! だがまだだ!」
 弥助は握りしめるように独鈷杵からエネルギーを絞り出す。
 より強力に起動されたメガリスが天地を覆わんばかりの雷嵐を呼んだ。
 吹き荒れる雷嵐の中をチトセは進む。
 雷槌の直撃は避け、ほとばしる稲妻を全力のオーラ防御で何とか凌ぐ。
 不可避の軌道で放たれた雷槌を切り払ったチトセを死角からの稲妻が貫いた。
「うぐっ、こっちも、まだまだ、ネッ!」
 巨大な雷の塊である雷槌さえ直撃しなければ雷撃耐性で耐えられる。
 それでも無数の稲妻を避けきることは難しく、チトセは浅からぬ痛手を負わされた。
 チトセは念動力を限界まで振り絞って加速する。
 ここで止まるわけにはいかないのだ。速さを失えばそのまま海の藻屑にされるだろう。
 ゆえにチトセは前進する。
 雷槌を斬り、稲妻を斬り、雷槌を避け、稲妻に耐えた。
 自らの手で血路を開いたチトセに好機が訪れる。
 雷嵐の効力圏を突破し、弥助を間合いに捉えたのだ。
「オーケィ、ライデンユニット、オールドロー!」
 チトセは6本の光刃を搭載するライデンユニットを武装全開放モードへと変身させる。
 ユーベルコード・六爪抜刀。
 六刀流となったチトセは脚部バーニアを吹かして一気に弥助へと斬りかかる。
「雷を操るのはユーだけじゃないヨ! さあさあ、いざ尋常に勝負ネ!」
「六刀流だと!? くそっ、傾きすぎだろそりゃあ……!」
 烈火の如く光刃を叩き込むチトセに弥助は対応しきれない。
 弥助の恐るべき技量で四つの刃を防いでも残る二つの刃が襲ってくるのだ。
 チトセの雷刃連撃による猛攻は途切れることなく弥助を追い詰めていった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

宇冠・龍
由(f01211)と連携
真の姿開放、瞳が青く輝きます

さて、海上は渦潮に支配され、遮蔽物や足場がありませんからそれをまず整えましょうか
【魚質竜文】で不可視の霊を召喚し、内1体に騎乗
剣の範囲外である遥か上空から、残りの霊を指揮します


先制攻撃や反撃の可能性も踏まえ、9体の霊で剣の直撃を防ぎ回避しつつ、残った霊に呪詛と毒属性を帯びさせ攻撃

両手剣で重いということは攻撃直後は隙が大きいということ
隙を突いて一体でも霊がその身に喰らいつけば呪詛と毒が侵食していき、動きを確実に鈍らせます

そして毒は炎の勢いをより強める特別性です
娘の炎でたっぷりと燃えてください


宇冠・由
お母様(f00173)と連携

私は空飛ぶヒーローマスク
空中戦は大得意です

身体の修復ができるブレイズキャリバーでも、大帝の剣は避けたいところ
まずは自由に空を飛べる私が相手をおびき寄せ、燃える身体で挑発しながら攻撃をかばい引きつけます
「その可愛い髪容、秀吉ヘアというのでしょうか? 私の炎で燃やして差し上げますわ」
敵は重い得物を持っての空中戦、私の方が加速と回避性能なら上ですもの

回避優先で立ち回りつつ、お母様の霊が相手の動きを鈍らせたら反撃に転じます
懐へと一気に飛び込み、【百火繚乱】の極、海底摸月ですれ違い様斬りつけます

炎を消すには海に落ちるしかありません
しかし海へと行けばお母様の魚が待ち構えています



●乙女心とアフロ侍
 浅からぬ痛手を負ってなお大渦を維持している弥助アレキサンダー。
 遠目にもよく分かる特徴的なヘアスタイルをした弥助のもとへすぅっと飛んできた宇冠・由が声をかけた。
「もし、そこなお侍様。つかぬことをお聞きしたいのですが」
 まるで道でも尋ねるかのような他愛なさ。
 命の奪い合いを是とする戦場において、由のあどけない仕草は弥助の虚を突くのに十分な効果を発揮した。
「……なんだ、お前は。ぼうぼう燃えやがって」
 反応してきた弥助の一挙手一投足を見逃すまいと由は神経を研ぎ澄ます。
 ぴりぴりと肌で感じるのは弥助から放たれる無言の殺気だ。
 この場合、剣気と呼ぶのが相応しいかもしれない。
 由が特に注意を払っているのは弥助が背負った大きな両手剣。
 銘を大帝の剣という。
(身体の修復ができるブレイズキャリバーでも、大帝の剣は避けたいところ)
 大帝の剣とはメガリスと呼ばれる謎の古代兵器であり、うかつに触れてはならない未知の脅威だ。
 由は弥助との距離を保ちつつ、用心深く敵の出方を伺った。
「私は空飛ぶヒーローマスク。空中戦が大得意な宇冠・由と申しますわ」
 弥助の剣気が膨れ上がるのを横に流し、由は無駄のない仕草で一礼して見せた。
 その姿に舌を打つ弥助。
「調子が狂っていけねぇ。……信長様は好きそうだけどよ。弥助だ、別に覚えなくてもいいぞ。どうせここで終わるんだからよ」
 由への返礼として名乗り返してきた弥助。
 弥助から放たれるのは、話はここまでだという強い拒絶と明確な敵意。
 由もまた弥助をオブリビオンと認め、油断のならない強敵であると認識した。
 由は弥助から目を離さず両手で頭を三角形になぞるようなジェスチャー。
「ところで。その可愛い髪容、秀吉ヘアというのでしょうか? よろしければ私の炎でぼうぼうと燃やして差し上げますわ」
 無言でキレた弥助が大帝の剣で由へと斬りかかる!

●母の心娘知らず
「由ったら、どこでそんなものを覚えたのかしら」
 弥助アレキサンダーとの激しい空中戦を繰り広げる娘を見守りながら真の姿を解放した宇冠・龍が呟く。
 母の心配事は娘の戦いぶりではなく、その前の挑発的ジェスチャーにあった。
 挑発は効果覿面だったが、それゆえに教育的な意味でとても心配だ。
 大の大人、それも名立たる立派なアフロ侍を無言でキレさせた由の挑発技術。
「いけない子だわ……」
 瞳を青く輝かせた龍はさきほど召喚を終えた不可視の霊に騎乗し、遥か上空まで高度を上げていた。
 十分な距離を取ってしまえば大帝の剣といえどただの重く大きな剣に過ぎない。
 龍は残る9体の霊を弥助へと差し向けた。
 ユーベルコード・魚質竜文。
 浮遊する不可視の魚の霊が呪詛と毒を宿して敵へと殺到する。
 見えない魚の霊の侵攻を直前に察知した弥助が苛立ちを隠さず咆えた。
「何かいるな! 妙な気配がしやがる!」
 空中戦で翻弄してくる由を大振りの一撃で遠ざけ、弥助は大帝の剣を虚空に叩き付けた。
 両手剣型メガリス・大帝の剣発動。
 世界という現象そのものを破壊するかのように振動の波が生まれた。
 メガリスによって起こされた破壊の波紋に魚質竜文の霊たちが侵入する。
 導き出された結果は霊体の破壊。
 弥助の攻撃によって魚の霊のうち5体が消滅した。
 大帝の剣の純然たる破壊力に背筋を凍らせる龍だが、けしかけた魚の霊はまだ残っている。
 龍は魚の霊を弥助の死角へと回り込ませ、時間差を作りながら攻撃させた。
 弥助は死角から喰らい付いてくる魚の霊を的確に斬って捨てる。
 が。
「くそっ、討ち漏らしたか!」
 生き残った1体が弥助に喰い付き呪詛と毒を流し込み始めた。
 両手剣型のメガリスを振るうということは攻撃後の硬直時間が長いということである。
 不可視かつ群れをなして襲ってくる霊体とはすこぶる相性が悪かった。
 龍は魚の霊が振り解かれないように集中し、弥助へと呪毒を流し込み続ける。
「呪いは手足を縛り付け、そして毒は炎の勢いをより強める特別性です。娘の炎でたっぷりと燃えてください」
 確実に敵の動きを鈍らせてから仕留めるという、堅実かつ的確な龍の作戦勝ちといえた。

●炎の剣
 得意とする空中戦にて弥助と戦っていた由。
 回避重視での立ち回りは功を奏し、本来であれば格上であっただろう弥助を相手に一歩も遅れを取らないでいる。
 それでもやはり弥助は強かった。うかつに間合いに入ろうものなら空間ごと破壊されてしまいかねないのだ。
 必然、由は攻めあぐねていた。
 状況を変えたのは龍からの支援攻撃である。
 龍の放った魚の霊体が弥助に喰らい付き、その呪毒をもって敵の動きを鈍らせた。
「さすがですわ、お母様!」
 待ちに待った反撃の好機に全身から火炎を噴き上げる由。
 由は二振りの火炎剣を合体させ、一つの大きな剣へと変形させた。
 燃え盛る炎の剣をたなびかせて由が飛ぶ。
 弥助までの接近は一呼吸を要さない。
 一気に懐まで飛び込んだ由がすれ違いざまに剣を振り抜いた。
「――――ごめんあそばせ」
 百火繚乱・海底摸月。
 極至近距離から放たれた由の超高速かつ大威力の一撃が弥助を痛烈に切り裂いた。
「ぐあああああ! 畜生、消えない炎だと……!!」
 由の炎が龍の呪毒に引火し弥助が業火に包まれる。
 全身を火だるまにされ、弥助はもがくようにのたうち回っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月30日


挿絵イラスト