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エンパイアウォー㉑~アレキサンダー討滅戦

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #弥助アレキサンダー

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 長門より南、西海道と山陽道を隔てる関門海峡に弥助アレキサンダーは陣取っていた。
 彼の眼下には『大帝の剣』によって洗脳された毛利水軍がいずれ来る猟兵達を迎え討たんと船首を揃えていた。
「信長様の為にここで猟兵を討つ。準備は良いか、秀吉殿」
「フェンフェンフェン」
「俺の方も万全だ。さあ正念場だ!」
 二体のオブリビオンはそれぞれにメガリスを持つとじっと猟兵の到来を待つのだった。

「と、まあそんな感じで向こうは準備万端で俺たちが来るのを待っているというわけだ」
 そう言ってウィルトスは持ち込んだスクリーンに関門海峡の地図を映し出す。
「今回注意すべきことは複数ある。まずは洗脳された毛利水軍だ」
 スクリーンでは関門海峡が長門よりに拡大される。
「まずはこの毛利水軍を突破する必要がある。だが猟兵ほどではないにしろ、屈強な武士達だ。無傷での無力化には苦労するだろう。手段や方針は各自に任せる」
 まあ、皆殺しにすれば将来に禍根を残すかもな、とウィルトスはそっと付け加えると次の説明を始める。
「次に戦う相手は豊臣秀吉となる。先に弥助を倒して洗脳を解きたい所だが、秀吉は『逆賊の十字架』というメガリスを所持しているようでな、反応とスピードが強化されている。このせいで弥助への攻撃は全て秀吉によって阻まれてしまう」
 だから先に倒す必要があると言葉を続ける。
「最後に目的の弥助アレキサンダーだが、『大帝の剣』『逆賊の十字架』『闘神の独鈷杵』の三つ全てのメガリスを武器として使って戦ってくる。シンプルに強い相手だ」
 そう言いながらスクリーンの画像を切替、関門海峡の中央を映し出す。
「今回は誰を相手取ろうと戦場は海上となる。いくらかの工夫は必要だろう。秀吉は海面を跳ねるように移動するし、弥助に至っては大渦の中心で浮遊している。心してくれ」
 ウィルトスはそう言って締めると猟兵の転移を開始するのだった。


峯雲
 このシナリオは戦争シナリオ云々。
 どうも峯雲です。
 魔軍将ということで判定が厳し目になります。頑張ります。
 皆様のプレイングをお待ちしております。

 大帝剣『弥助アレキサンダー』および隠し将『豊臣秀吉』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 冒険 『毛利水軍を突破せよ』

POW   :    邪魔する船をひっくり返すなど、力任せに毛利水軍を突破します。

SPD   :    毛利水軍の間隙を縫うように移動し、戦う事無く突破します。

WIZ   :    毛利水軍の配置、天候、潮の流れ、指揮官の作戦などを読み取り、裏をかいて突破します。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

コトト・スターチス
いろいろやることが多いですが、がんばっていきましょう!

ねこへんしんして、空を飛びますにゃー!
(黒猫耳尻尾と天使の翼が生える)
少しの間飛び回って【情報収集】して、水軍の動きやパターン等のデータを分析して指揮官を見つけ出しますにゃー!

少しでも水軍の攻撃をの手をゆるめるため、上空から太陽を背にして【残像】を残しながら指揮官の元に最大速度で突撃し、メイスでぽかりと【気絶攻撃】しますにゃー!
「ごめんなさい、お休みしていてくださいにゃー」
絶対死亡させないように十分気をつけますにゃ!
指揮が乱れたら一気に他の方々もぽかぽか気絶させますにゃー
最後にメイスの癒しの力を開放して、気絶はそのまま怪我だけ癒しますにゃー



 関門海峡の波間に浮かぶ毛利水軍の舟。指揮官たる武将の元に統率されたそれは、本来の敵である筈のオブリビオンの支配下となり、猟兵の行く手を阻んでいた。
「これが洗脳というやつですにゃ?」
 関門海峡を挟んだ長門側の岸にてそう独り言を呟くのはコトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)だった。
 予め知らされていた情報によって洗脳されているということは知っていたが、こうも従順にオブリビオンに従っている姿を見ると戸惑いを覚えるのであった。
「正気に戻るにゃ!……と言っても聞く耳持たずのようですにゃ」
 どうにか洗脳を解けないかと声を掛けるが、彼女が漏らした言葉の通り説得の声が届いた様子はなく、敵意をコトトに向けているのであった。
 一切隠すことなく向けられるその敵意に少しばかり怯むコトト。しかし、猟兵の責務を果たすべくその身に宿す奇跡を起こす。
「へんしんっ! 聖天使猫モードですにゃー!」
 その声と共にコトトの姿が球状の光に包まれる。その光はやがて人型へと収束していく。完全に光が晴れた時、そこには可愛らしい黒い猫耳と尻尾、そして天使の翼を生やし、右手にメイスを携えたコトトの姿があった。
「いくですにゃ!」
 コトトはそう呟くと、新たに生えた天使の翼を広げ風に乗るのだった。
 そのコトトの動きに対処すべく、海上の舟からは鉄砲の弾が放たれるが、コトトはその全ての弾丸を悠々と回避しながらジッと何かを探すように旋回する。
 コトトが探しているのは毛利水軍の指揮官。指揮を見出せば毛利水軍の無力化が容易になるとの考えからのものだった。
「見つけたですにゃ」
 海上で探していては時間がかかったであろうが、空から俯瞰することによってコトトは素早く指揮官を発見することに成功する。そして直様直上へと昇っていく。
 そのコトトの姿を追って空を大きく見上げるように顔を向ける毛利水軍。だが彼らに視界には太陽の強烈な光が突き刺さり、その思わず目を閉じてしまう。
「いかん、空を見上げるな!」
 指揮官がコトトの狙いに気づき声を上げるが既に指揮官の周囲の兵は太陽を直視したことによって視界を封じられていた。そして指揮官もまた一瞬ではあるが眩しさによって思わず目を反らしてしまう。
 コトトにとってこの一瞬の隙はまたとない絶好の機会であった。
「ごめんなさい、お休みしていてくださいにゃー」
 その言葉が届いたのは果たしてメイスによる打撃が入る前だったか後だったのか。残像を残す程の速さで行われた突撃は指揮官に抵抗する時間も与えずに気絶させることに成功する。
 指揮官が倒れた後に残るは未だ、太陽による悪影響によって視界が著しく制限された毛利水軍。
 コトトは舟を渡りながらそのメイスで水軍を次から次へと気絶させていく。その際に癒しの力でもって傷を癒すことを忘れないのはヒーラーとしての嗜みなのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神宮寺・絵里香
≪心情≫
・弥助は分かるがアレキサンダーはどこから出てたんだ?
 まあいい。余計なことは気にしないことにする
・洗脳された水軍か。まあ問題はあるまい。水場はオレのホームグラウンドだ。
≪戦闘≫
・UCを使い水上を自在に走り回ることで船に接敵しながら、毛利水軍をボコして回る。砲撃は走り回って躱す
・海の水を水蒸気に変えて霧を作り、それを足場(地形の利用)して敵の船に乗り込む
・水軍は雷属性・麻痺を付与した黒剣による薙ぎ払いで無力化。敵には痺れて動けなくなってもらう
・敵の攻撃は第六感で見切り、危なさそうなのは武器受けして対処する。
「さあ…怪我したい馬鹿からかかってこい。掛かって来ないならオレから行ってぶん殴る」



 下関の浜に一人立つ神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)の眼前には指揮官が討たれたことによって指揮系統が混乱している毛利水軍の姿があった。
「指揮が乱れているのは好都合だな」
 そう呟く絵里香からは有る種の自信が感じられた。それもその筈だった。彼女が祀る神は水に縁ある神。その御業を操る巫女一族の出である彼女にとってはホームグラウンドといっても過言ではないのであった。
「大いなる水を司る白蛇の名の下に、水よ我が支配下となれ」
 絵里香の口から溢れるように紡がれた呪は、足元の海へと吸い込まれるように消えていく。一見何の代わり映えもないが、すでに全ての準備は整っていた。
 ふっ、と少し息を漏らしながらそっと、しかし踏みしめるように足を海面へと乗せる。唯では直ぐに沈んでしまう筈のその足は、大地を踏みしめるかの如く、確かに海面を支えとしていた。
「さあ…怪我したい馬鹿からかかってこい。掛かって来ないならオレから行ってぶん殴る」
 それは雨冠乃巫女から毛利水軍への宣戦布告。だが只人では成し得ぬその在り方に気圧されたのか毛利水軍の動きは固く、固唾を飲むばかり。
 動きがないと見ると絵里香は宣言通り、毛利水軍の船へと駆け出していくのだった。
流石に敵が向かってくるとあれば、毛利水軍も迎撃のために動き出す。本来ならば船や陸の陣幕へと向けられる砲を引っ張り出し、水上を走る絵里香へと向ける。
「それではオレに当てることは不可能だ」
 その動きを察知した絵里香は素早くジグザグと照準をあわせられないように素早く水上を移動する。
「撃てえ! 体勢を崩すのだ!」
 毛利水軍はそれを歯噛みしながら見つつも砲を打ち込み波を荒れさせることで動きを止めようとするが、因達羅(インドラ)神の御業を操る絵里香にとって波の多寡など障害には成り得ない。
 砲弾が水面に叩きつけられるころによって上がった大きな水柱をそのまま霧へと変えると、関門海峡一帯を白く染め上げるかのように海面を這わせる。
「こ、この霧は一体なんなんだ!」
 目の前の光景が一変する様を見て大きく動揺する毛利水軍をよそ、絵里香は一番近くの船へと辿り着いていた。
「海を走れるといっても、船縁は高さがある! 上から突き殺せ!」
 船上からは聞こえるその動揺を隠しきれぬ声に絵里香は言葉を思わず漏らす。
「霧とて水だろうに、なぜ歩くことが出来ないと思い込んでいる?」
 絵里香はその言葉の通り霧を踏みしめ駆け上がると、船縁で各々の武器を握りしめた武士の頭上を飛び越えて船内へと入り込む。絵里香の右手には雷属性が付与された黒剣が握られており、一振りすればその剣先が描く軌跡にいた武士は痺れ、倒れ伏す。
「数で勝るのだ! 囲んで叩け!」
 誰かが叫んだその言葉に後押しされ、武士達は囲むように絵里香へと襲い掛かるが、絵里香はそれを舞うかのように躱し、直様切り返す。
 それを繰り返すこと数回、彼女の周囲には多くの武士が倒れ伏していた。
「やれやれ、これを何回も繰り返すと思うと骨が折れるな」
 そう言葉を漏らすが、彼女からあふれる戦意は衰えることがなかったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『隠し将『豊臣秀吉』』

POW   :    墨俣一夜城
自身の身長の2倍の【墨俣城型ロボ】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    猿玉变化
自身の肉体を【バウンドモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    グレイズビーム
【腹部のスペードマーク】から【漆黒の光線】を放ち、【麻痺】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:フジキチ

👑4
🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神宮寺・絵里香
●心情
・豊臣秀吉ねぇ‥木下でも羽柴でもないのか。信長に仕えているのに。。
・強敵相手だ、油断はしない。
●先制攻撃対策
・UCを使えないと戦いようがないので、毛利水軍から奪った船で移動
・敵の先制攻撃を第六感で見切り、直撃コースを武器受けで逸らして対処
その際に薙刀に纏った雷・麻痺属性で痺れを付与する。逸らし切れないダメージは、オーラ防御と苦痛耐性で対処
・高速詠唱からUCを発動して戦闘。強化は攻撃。水の上を歩き地の利を得ながら戦う
・敵のUCの弱点は同じ行動を取ること。ロボの関節に負荷があってもな。
膝に短槍を槍投げしたり、海水を凍らせてリーチを伸ばした薙刀等で関節を狙いロボを破壊。倒した後は本体に薙ぎ払い



 戦の喧騒が途絶えた水面の上、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は毛利水軍から奪った船に乗っていた。彼女が目指すは水軍を越えた関門の渦。そこには弥助アレキサンダーとそれを守護する豊臣秀吉の姿があった。
 二人の魔軍将、その中で先に狙うは豊臣秀吉。彼女の知る歴史での姿とは異なり黒い体毛に覆われたその獣を倒すべく、漕手を失い波に揺られ流される船を渡り歩いていく。
 如何なる奇襲にも対応せんと周囲を警戒しながら進んでいく絵里香。もう何隻目かも分からない船に渡り移ろうとした、その時、絵里香の頭上に影が差してきたのだった。
「不意討ちかっ!」
 判断は一瞬、絵里香は手にしていた短槍を素早く頭上に向かって構え、影を作り出した存在を見上げる。
 彼女が見上げた先、そこには小さなお城のような、しかし3mを越え4mに達するほどの大きさの手足の生えたロボット、【墨俣城型ロボ】が今まさに彼女のいる船に降ってこようとしているのだった。
「くっ」
 絵里香は掲げた短槍でその質量攻撃をなんとか脇に受け流し、その際に雷・麻痺属性でロボに痺れを付与することを忘れなかった。しかし、その勢いそのものを殺し切ることは出来ずに船には大きな打撃が加えられ、、甲板には大きな穴が空き、沈没し始めていた。
 このままでは沈む、そう判断した絵里香は次の船を求めて周囲を見渡す。そんな時、ある種場違いのような声が彼女の耳に飛び込んでくるのだった。
「フェンフェンフェーン!」
 それは不意討ちを詫びる言葉であり、この先には行かせないという覚悟を示した言葉。それは先ほど絵里香が渡ろうとしていた船から聞こえるものだった。
「なるほど、そこにいたのか」
 ならば、と絵里香はその身に宿る奇跡を発現させる。
 ――大いなる水を司る白蛇の名の下に、水よ我が支配下となれ。
 素早く詠唱された其の祝詞は絵里香に力を与える。
 一つは水を自在に歩く力。その力を以て彼女は水没しかけた船から水面へと足を踏み出した。
「フェンフェン!」
 隙きあり、秀吉が叫び大きく跳ね上がる。そしてその動きに対応するように絵里香の背後で大きな水柱が上がる。それは先に船を突き破り水に堕ちた墨俣城型ロボが秀吉の動きに反応して絵里香を今度こそ押しつぶさんと水面に浮上してきたのだった。
 そして秀吉は水面に立つ絵里香の元へと突進し、ロボもまた絵里香の背後から挟み込むように突進する。
「そのユーベルコード、既に見切った」
 しかし絵里香は動じることはない。正面から向かい来る秀吉を見ながら、薙刀の先をそっと水に漬ける。次に引き上げたとき、その薙刀の先は氷によって大きく伸びており、氷で出来た刀身はガラス細工のように輝いていた。
 ふっ、と息を少し吐くと絵里香は一切後ろを振り返ることなく薙刀を振るう。そしてその氷のシノギは過たずロボの関節を切り裂いていた。
「動きをトレースするのであれば、見るのは片方だけでいい」
 そう言う彼女の視線は迫りくる秀吉から逸らされることはなく、ただその感触だけでロボの関節を破壊することに成功していた。こうなれば秀吉の行動は無策な突進と何ら変わりはなかった。
 絵里香は氷の刀身を水に戻し、取り回しを良くすると薙刀を大きく回し、正面の秀吉の胴体を切り裂き、薙ぎ払う。その身に深手を追い、体勢を崩した秀吉は反撃出来ずに絵里香の脇を転がっていく。
 そして絵里香の背後では関節を破壊された上に、秀吉が吹き飛ばされたことでイレギュラー動きをすることになった墨俣城型ロボが崩れ落ちるように自壊しているのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

氏神・鹿糸
メアリーアンブレラの日和花をさして[空中浮遊]。
風の精霊の力も借りつつ[空中戦]ね。

影みたいなカタマリに、スペードマーク……何だか嫌ね。不吉だわ。
先制攻撃に対しては[全力魔法]を込めて張った[オーラ防御]を展開して防御。
注意して相手の狙いを見つつ、[見切り]で躱して。隙を狙っていきましょう。

隙が見えたら[高速詠唱]でUCを発動。
敵を中心に海から水流を巻き上げるわ。
そのまま水流に嵐を加えて。氷の檻に閉じ込めて動きを封じるわ。

オマケに鎚矛で攻撃。
[怪力]を込めて氷の上から一発叩き込むわ。
アナタ、何て言っているか分からないのよ。
猿は過去の海に還って、ゆっくり寝ていると良いわ。

(アドリブ他おまかせ)



「フェンフェン、フェンフェンフェン!」
 この身未だ滅びず、ならばこの先通ること能わず、『豊臣秀吉』はそう言いながら威嚇するかのようにその身を大きく震わせる。
 『豊臣秀吉』は先程自身に手傷を負わせた猟兵が離脱していくのを尻目にしながらも隙を見せることはなかった。これまでの合戦で集まった情報から猟兵が一人で動くことはないと知っていたからである。
 そしてその様子を氏神・鹿糸(四季の檻・f00815)はメアリーアンブレラの日和花を差し、宙を揺蕩いながら見下ろしていた。
「直近の危機は去ったというのに油断はないのね」
 右へ、左へ。風に揺られながらそう評す。毛に覆われた四肢を持つ獣を見つめるその瞳からは明らかな敵愾心が見て取れた。
「でも視野が狭いわ。先程の猟兵に釣られて頭上への注意がおろそかになるなんて」
 そう呟きながら鹿糸は『豊臣秀吉』との距離を狭めていく。どんどん、どんどんと。
「花は時として頭上で咲くもの。それでは大事ことを見落としてしまうわ」
 未だ気づくことの出来ない『豊臣秀吉』をからかうかのように、嘲るかのように鹿糸はクスクスと笑いながら風に吹かれた花弁のように宙を舞う。
 そしてもう少しでユーベルコードの射程内に『豊臣秀吉』を収めようかというその時、野太い声が突如として戦場に響く。
「秀吉殿、上だ!」
 それは関門の渦にて浮遊している『弥助アレキサンダー』による警告の声だった。
 今まで左右前後の周囲を警戒していた『豊臣秀吉』はその声を聞いてハッと上を見上げ、鹿糸の姿をようやく見つけるのだった。
「もう少しだったのだけれどもね」
 その声音には少しの残念が込められていたが、今までと同じようにどこか余裕のある声音だった。
「フェン!」
 ――不覚。
「フェンフェン」
 ――されど致命にあらず。
 『豊臣秀吉』はそう言うとその身に刻まれた黒いスペードを宙に浮かぶ鹿糸の方へと向ける。
「フェンフェーン!」
 グレイズビーム、とそう『豊臣秀吉』が技名を叫ぶとそのスペードから漆黒の光の束が放出される。その光の束、ビームは時折稲妻のような迸りを見せつつ、鹿糸へと迫っていく。
 だが鹿糸に焦りはなかった。その身にオーラをまとって防御を固めるとその身を風に任せるのだった。
「知らないのかしら、宙に舞う綿毛を力尽くでは捕まえることが出来ないのよ?」
 漆黒のビームは確かに鹿糸に命中していた。しかし、当たった側からフワッと軽く押しのけられたかのようにビームから少し遠ざかる。その後を追ってビームが再び鹿糸へと届くが、ダメージを与える前に再び離れていく。
「さあ、いつまでそのビームを放つことが出来るのかしら?」
 ビームを撃てなくなった時が最大の好機。鹿糸はビームの当たり方を見切りつつ、時折風の精霊の力を借りて自身のユーベルコードの射程に『豊臣秀吉』を収め続ける。

 その時はさほど時間も掛からずに訪れた。力尽きたのか、はたまた息継ぎの如くサイド発射するためのインターバルだったのか。スペードマークから放たれるビームが突如として収まったのだ。
 それは明確な隙、この機を逃すまいと鹿糸は高速で詠唱しエレメンタル・ファンタジアを発動する。
 海へと働きかけられたそれは水流を巻き上げ、『豊臣秀吉』の周囲に嵐のよう纏わりつく。そして次第にその温度を下げ、動きを停止させていく。完全に隙を突かれた『豊臣秀吉』はさしたる抵抗も出来ずに氷の折へと閉じ込められる。
 こうなってしまえば痛打を浴びせるのは花を手折るよりも容易かろう。
 そうして鹿糸が取り出したるは鎚矛『薊』。その鎚矛に持てる限りの力を込めると、それを氷の上から『豊臣秀吉』に叩きつける。
「アナタ、何て言っているか分からないのよ」
 それはどこまでも冷え切った声で、ただただありったけの敵意が込められていた。
「猿は過去の海に還って、ゆっくり寝ていると良いわ」
 その底冷えするかのような言葉と共に再度槌矛が氷漬けの『豊臣秀吉』へと叩きつけられる。その一撃は氷を砕き、『豊臣秀吉』に取り返しのつかない痛手を与えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

織部・樒
【ザフェルさん(f10233)と行動】
連携・アドリブOK

何と、あれが太閤秀吉殿ですか
何とも珍妙な姿になってしまって……

船は毛利水軍から拝借し私が漕ぎましょう
この世界の船なら慣れていますし、
元が陶器故か泳ぐのは苦手ですから
必死で操舵します

敵の行動を注視し、攻撃の兆しを確認
攻撃の動きを確認次第ザフェルさんに声を掛け
【高速詠唱】を併用し七星七縛符を発動
漆黒の光線が発射される前に封印を狙います
封じれなかった場合は【オーラ防御】に期待

ザフェルさんが移動した場合は可能な限り着地地点を推測し
船を移動させ彼を拾います
その間も敵の動きからなるべく目を離さず
攻撃される際は防御優先し出来る限りUCにて防ぎます


ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と共闘
連携・アドリブOK

どう見ても毛玉だが強敵なのは間違いねぇな
油断せずに行くぜ

船上で【力溜め】をして敵を迎える
敵の攻撃に意識を集中して備え、回避行動や槍による【武器受け】で防御
防御に成功したら【カウンター】攻撃を試み、【範囲攻撃】技能を活かしてUCを発動。どんなに早く動こうと捉えてやるぜ!

また攻撃に転じたら船の操舵を樒に任せ、敵との距離を詰めて
槍による【鎧砕き】や【部位破壊】といった攻撃もUCと合わせて行う
場合によっては他の船や海上の残骸なども【地形の利用】で足場とする
いざという時は【捨て身の一撃】も厭わない

さあ、勝負と行こうか、秀吉さんよ!!



 砕かれた氷塊は飛び散り、水面を大きく揺らし、波を生み出す。波は大きくうねり、漕手のいなくなった船を揺らしていく。
 その荒れ模様となった海を小舟が一艘、波の間隙を縫うように進んでいく。
「あれが太閤秀吉殿ですか」
 何とも珍妙な姿になってしまって……。そう言葉を漏らすのは織部・樒(九鼎大呂・f10234)。彼女は毛利水軍から拝借した小舟を手慣れた様子で漕ぎながら秀吉の方へと顔を向けていた。
「どう見ても毛玉だが強敵なのは間違いねえな」
 樒の呟きに言葉を返すのはザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)。彼はYildirimを長槍として携え、船の操作を樒に任せて舳先に立つと、自身もまた『豊臣秀吉』の方へと視線を向けていた。
 その視線の先、『豊臣秀吉』は氷漬けになり身動きが出来なかった影響で水に沈むも、素早く飛び出すとその身をぶるりと震わせて水を切ると臨戦態勢を取っていた。
 身体からは赤い血はとめどなく流れ落ち、その曲がった重心からはどこかに大きな負傷をしている様子が見て取れる。だが、その立ち姿からは其の場を退く気配など微塵も感じ取れず、猟兵を先へ進ませないという断固たる意思が伝わってくる。
「いいぜ、ここで退かれてもそれはそれで興ざめだ」
 その『豊臣秀吉』の姿に触発されてかザフェルの槍を握る手にも自然と力が籠もる。
「さあ、勝負と行こうか、秀吉さんよ!」
 その言葉が届いたのか否か。そう言い切ると同時に『豊臣秀吉』がザフェルを視界に捉え大きく身体を震わせる。それは攻撃の兆候。
「攻撃、来ます!」
 振り向きざまにその兆候を察知した樒がザフェルに警告しながら護符を投げつけ、七星七縛符で『豊臣秀吉』のユーベルコードを封じようとする。だがそれよりも早く『豊臣秀吉』から漆黒の光線、【グレイズビーム】が放たれるのだった。
「これぐらい、余裕だぜ!」
 小舟へと殺到する漆黒の光線。だが舳先に立つザフェルは不敵に笑うとその手に握っていたYildirimの穂を突き出す。
 グレイズビームは穂に触れると、上下左右の区別なく滅裂に分かたれ散らされていく。散らされた先で海面を揺らし、ザフェルと樒の居る小舟を揺らすも、それだけ。猟兵どころか小舟にすら損害を与えることは出来なかった。
 そして数秒の後、光線は『豊臣秀吉』の意思とは裏腹に途絶えることになる。
「お待たせしました!」
 既に櫂を握り直していた樒の視線の先、『豊臣秀吉』の腹部のスペードマークにはいつの間にか護符が貼られていた。
 『豊臣秀吉』は何が起こったのか瞬時には理解できず、次の動きが一瞬遅れる。それはザフェルにとっては十分な隙だった。
「我が黒竜よ、捉えし影を曝せ!」
 視界から漆黒の光線が失せるのと同時にザフェルは空を覆い尽くす程の黒い幻影のようなドラゴンを呼び出し、『豊臣秀吉』へと攻撃させ、自身は小舟を強く蹴り、大きく跳躍する。
「フェンフェンフェン!」
 虚を突かれた形となった『豊臣秀吉』は距離を取ることで態勢を立て直すべく、背後に大きく跳躍する。だが幻影のドラゴンがそれを妨害するように空中で『豊臣秀吉』へと襲いかかる。
 身動きの取れない空中で啄まれ、その身を爪で傷つけれらた『豊臣秀吉』が落ちる先は海上に浮かぶ船の残骸。更にはザフェルのすぐ目の前だった。
「おかえりってな!」
 ザフェルは大きな弧を描くように槍を振るい、『豊臣秀吉』の巨躯を薙ぎ払う。
 『豊臣秀吉』は両前足で辛うじて槍の一撃をガードすることに成功するも、右前足はあらぬ方を向いており、その身は海へと叩きつけられる。これこそが致命の隙で、絶対の好機だった。
「そこだっ!」
ザフェルは残骸を蹴り出し、その身を『豊臣秀吉』の直上へと飛ばす。そして槍の穂を真下へと向け、落下しながらに大きく突き出す。
 そしてザフェルは大きな水飛沫を上げながら『豊臣秀吉』と共に海中へと姿を消したのだった。

「大丈夫、でしょうか?」
 小舟の上、樒は船縁から海面へと手を差し伸べながらそう言った。
「いや、死ぬかと思ったぜ。秀吉を倒したのは良いが槍が抜けなくてな」
 その差し伸べられた手を握り、小舟へと引き上げられながらザフェルはそう言葉をこぼす。ずぶ濡れになりながらそう言うザフェルの手には槍が握られており、何とか手放さずに済んだということが分かる。
「これで一段落、と言いたいところだがまだ大物が残ってるな」
 そう言いながらザフェルは海の先、渦潮が起こっているであろう方向に目を向ける。
 その先では『弥助アレキサンダー』が静かに猟兵を待ち受けているのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『大帝剣『弥助アレキサンダー』』

POW   :    大帝の剣
単純で重い【両手剣型メガリス『大帝の剣』】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    逆賊の十字架
自身の身体部位ひとつを【触れた者の闘志を奪う超巨大肉塊『視肉』】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    闘神の独鈷杵
自身からレベルm半径内の無機物を【無尽蔵に破壊の雷槌を放つ『闘神の渦潮』】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:みやこなぎ

👑5
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

香神乃・饗
魔将軍、討ち取りにきたっす!
平和なサムライエンパイアに災いはいらないっす!遺させはしないっす!

香神写しで武器を増やしておくっす

肉になった部位攻撃を食らわないように殺気に注意し、動けないフェイントをかけておびき寄せ、今波に浮かんでいる船や残骸など色んな足場を渡り、素早く移動して避けるっす

サーフボードや、同じように使える板を使って苦無を刺して念でも動かし加速し波にのり地形を利用して攻防に生かすっす

それでも足場に不自由するなら、念で浮かせた苦無を足場に宙を駆けて動きを読まれないようにフェイントをかけつつ死角に回り込み剛糸で絞め苦無で暗殺を狙うっす
余った苦無は一斉にけしかけてフェイントに使うっす


鳴北・誉人
お前の言うとおりだよ、饗
禍根は遺さねえ
平和な世界にてめえはいらねえ

先制は受け切るより回避に専念する
弥助の動きを見切って、浮いてる船の瓦礫やらを足場に逃げ回る
俺自身オーラで防御、飛んでくる瓦礫があれば斬ってしのぎ切る
逃げが間に合わなければ、オーラを纏わせた武器受けでいなせるように気合入れる

――散れ
先制をしのいだらUC発動
花弁を目くらましにし脇差で斬りかかる
これなら饗のフェイントの手助けにもなるだろう
饗に気が向くようなら
殺気噴いて恫喝し俺に注目させ、可能な限り庇う
「よそ見してんなよ
饗の作った苦無の足場も利用し立ち回る

二回攻撃で手数増やし休む間もなく斬る
「花びら全部が刃だ、逃げらんねえから覚悟しろよ


神宮寺・絵里香
●心情
・最後の魔軍将か。いざ、尋常に勝負!
●先制対策
・暫定の足場として大きめの毛利水軍の船に乗る
・敵のUCの一撃を第六感と戦闘知識から見切り、武器受け(雷・麻痺)して逸らして対処。攻撃の余波についてはオーラ防御(雷)と苦痛耐性で対処。足元を破壊されて落下しながら高速詠唱でUC
●戦闘
・UCを唱えてから直ぐに更なる真の姿を解放。八岐大蛇化
・高速詠唱で水属性の全力魔法を八つの首で唱えて水の槍を作る
 それをUCの三態操作で氷の槍にして槍投げで飛ばしたり、水のブレスで
 薙ぎ払いをして攻撃する
・敵の攻撃は第六感で見切り、足元を凍らせて渦の勢いに乗って加速したり、自在に歩く力で留まるなどの地形の利用で対処


氏神・鹿糸
友人も倒れて、いよいよの壇上ね。
最後の、一夏の海遊びを始めましょうか。

日傘で【空中浮遊】。風の精霊の力も借りて浮きながら【空中戦】に備えるわ。
先制攻撃に対しては【早業】で適宜躱したいけれど…避けることが難しいものは【高速詠唱】で氷【属性攻撃】。【全力魔法】で渦潮を凍らせるわ。
躱しきれないものは、【電撃耐性】で耐え抜しましょう。

…友と戦うことも、主人に仕える忠義も大したことね。
でもそれは、過ぎ去りし人の歴史の中。
過去の海に戻りなさい。

炎の【全力魔法】を日傘から放つわ。
過ぎた人間に、手向けの花よ。
無事過去に戻せたら、手向けのヒマワリでも海に投げてあげましょうか。

(アドリブ連携歓迎)



●同舟、その行方

波間に数多の木片を抱え、白波が立つ海を一隻の船が進んでいく、それはかつて毛利水軍のもので、
「今は俺達の足代わり、というわけっすね」
 毛利水軍から奪った安宅船の甲板にて香神乃・饗(東風・f00169)は言う。それは独り言ではなく周囲にいる猟兵に向けられたもので、それに応答する声があった。
「そうだな。だが俺達の思い通りに動いている訳ではねえ。あの渦に引寄さられてやがる」
 思惑通りではあるが、と船首に足をかけながら鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)はニヤリと笑って言った。彼の視線の先には関門海峡の中心の大渦があり、そこで腕を組みながら浮遊している『弥助アレキサンダー』の姿があった。
「あれが最後の魔軍将、か……」
 甲板からもその姿は見ることができ、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は思わず言葉を漏らす。
彼女の言葉の通り、七人の魔軍将のうち既に六人は討たれ、残るは『弥助アレキサンダー』のみ。それだけに猟兵の士気は高まっていた。
「平和なサムライエンパイアに災いはいらないっす!遺させはしないっす!」
「お前の言うとおりだよ、饗。禍根は遺さねえ」
 平和な世界にてめえはいらねえ、と『弥助アレキサンダー』を強く睨みつけながら、誉人は、猟兵は闘志を燃やす。
「友人も倒れて、いよいよの壇上ね。最後の、一夏の海遊びを始めましょうか」
 乗り合わせた四人の猟兵の最後の一人、氏神・鹿糸(四季の檻・f00815)は潮風に髪をたなびかせ、いつでも飛べるようにその手に持つ傘を開きながらぽつりと言う。
 船は空を漂う雲のようにゆっくりと、されど着実に『弥助アレキサンダー』へと近づいていくのであった。

●海上の激突者

「くっ、分断されたか!」
 思わず呻くように言葉を紡いだのは絵里香。甲板を蹴り、その身を宙に浮かした彼女の視線の先では先程まで相乗っていた船が黒く焼け焦げ、原型を留めぬ姿になっていた。同船していた饗と誉人は別の船へと退避し、隣では落下していく絵里香とは対照的に傘を差しながら鹿糸が優雅に飛んでいるのであった。

――戦闘の始まりは突然だった。
それは奇襲と呼ぶのが相応しいだろう。『弥助アレキサンダー』自身は一切微動だにせず、ただ浮遊しているだけだったにも関わらず、それまでただ白波を立てていただけの周囲の海水が突如として渦潮へと変わり、雷撃を放ち始めたのだった。
それを事前に察知出来たのは絵里香と鹿糸のみ。半ば直感だけで反応した二人はそれぞれ回避しようとその身を大きく宙に浮かせる。
 それからほんの僅かに遅れて饗と誉人の二人が反応し、迫り来る雷撃から逃れようとするが、船は渦潮の中へと引き込まれ、逃げ場はほとんど無かった。
「――凍りなさい!」
 だが二人がそのまま雷撃に飲み込まれることはなかった。
 先に死地を脱していた鹿糸によって高速で編まれた魔法が渦潮の一部を凍らせていたのだった。
「助かったっす!」
 その凍った渦潮を踏みしめ、饗と誉人は足場となりそうな他の船の残骸へと渡っていく。二人が足場を確保した後ろでは一度は凍った渦潮が再び雷撃を放ちはじめ乗ってきた船を焼け焦がす。
「奇襲とは中々いい性格をしているじゃねえか」
 ギリっと歯ぎしりをしながら誉人は『弥助アレキサンダー』の方を睨みつける。その視線の先、弥助は意外そうな、しかし納得したような表情を浮かべていた。
「あの奇襲を回避するとはな。だが秀吉殿を倒した手前当然か」
 弥助はそれまで組んでいた腕を解くと、その背に負う大きな剣、『大帝の剣』を握ると猟兵へと向けて大上段に構える。
「行くぞ、猟兵。その身を海へと還してやろう!」
 その言葉と共に振り上げた剣を海へと叩きつけ、大波を起こす。それは壁のようにせり上がり、そして雷撃を発する渦となって猟兵へと襲いかかるのだった。

「水を操るか……だがそれはお前だけの専売特許ではない」
 宙に身を踊らせ、その身が落ちるまでの間、絵里香は高速詠唱でもってユーベルコードを発動させる。
――大いなる水を司る白蛇の名の下に、水よ我が支配下となれ。
それは水を歩き、三態を操り、浄水する力。
 電撃を放つ荒ぶる渦潮はその力と対抗し、拮抗し、ただの海水へと還っていく。
 それを確認すると絵里香は落下しながら人の姿を捨て、その身を八つの首を持つ大蛇、八岐大蛇へと変化させるのだった。
 その八つの首は見掛け倒しに非ず。それぞれの口で詠唱するとある口では水の槍を作り、凍らせて発射し、またある口では水のブレスを解き放つ。そしてそれぞれは弥助の逃げ場をなくすように緻密に計算され襲いかかる。
「くっ、この程度で!」
 弥助はそれまで座していた渦の上から回避のために移動を余儀なくされ、その後を追うように渦もまた移動していく。
 そこまでしてなお、回避仕切ることは出来ずに皮膚を裂かれ、体勢を崩すのだった。

 絵里香によって海が支配され、雷撃を放つ渦潮が消えたことで、水に浮く足場から足場へと渡る二人には接近する余裕が生まれていた。
「今がチャンスっすね」
 弥助の意識が絵里香一人に向けられている今が好機と二人は一気に距離を詰める。
 先にたどり着いたのは香神写しによって苦無を複製していた饗だった。饗は手頃な板を見つけるとそれに苦無を何本か刺し、念力で操作することで渦潮の影響を抑えつつ素早く接近することが出来たのだった。
「そこっす!」
 そしてそのまま一直線に苦無を突き刺そうとする。
「甘い!」
 弥助のカウンターが飛んでくる。それは弥助の左腕を巨大な肉塊に変え、素早く伸張すると薙ぎ払うように振るわれる。
 だがその攻撃が饗に当たることはない。一直線に突撃するのはフェイント。大ぶりな攻撃を誘い、それを回避する。巨大な肉塊による攻撃は回避できてもされに近づくことは困難であった。一人ならば。
「待たせたな」
 饗が板をサーフボードの様に使って接近する傍らで設置していた苦無を踏んで、誉人が弥助へと近づいていたのだった。
――散れ。
 その言葉とともにユーベルコードが発動する。それは誉人の握る刀を白アネモネの花弁に変え、花が風に吹かれて散るように、風に巻かれる雪のように周囲の空間に漂い、満ちる。
 それは外から中を覆い隠すカーテンのように弥助の視界を制限する。それはどうあがいても注意を引くもので。
「よそ見してんなよ」
 そう言う誉人へと否応無しに注目してしまう。
 花弁は絶えず動きながら、弥助を翻弄し、切り刻む。それは巨大な肉塊と化した左腕も例外ではなく、むしろ肉塊となり防御力が落ちたことでより一層ズタズタに切り裂かれる。まともに機能しないほどに。
 それこそが饗に必要だった致命の隙。死角から詰め寄ると剛糸を巻きつけ締め上げる。
 弥助は苦しむ様子こそ見せるが、それでも力尽きる様子はない。
「締め上げても効果が薄いのは折込済みっす。だから――」
 苦無を振り上げ、それを首筋へと差し込む。
 ――それは確かに人体にとっての急所を傷つけた。だが、それはあくまで人の身にとっての急所。
「ここで終わる訳にはァアア!」
致命傷を負ったと判断すると弥助はその全身を巨大な肉塊へと変化させる。
それは言葉に表すことすらも厭うほどの見にくい姿で、ただただ周囲のものを飲み込まんとしていた。
「離れるぞ!」
 誉人の判断は一瞬、先程の雷撃の経験を生かして素早くその場から後退する。
 しかしどうしたものかと、考えこもうとした矢先、声が上空から降ってきたのだった。

「そこで動かないことね」
 傘を開き、渦の遥か上方に浮かぶ鹿糸は弥助を見下ろしながら二人に言葉を向ける。
 その視線は二人ではなく、肉塊と化した弥助に向けられており、その表情には言語にし難い思いが込められているようでもあった。
「……友と戦うことも、主人に仕える忠義も大したことね。」
 それは先程までの戦いまでを見ての評価であり、そう言うだけのものが彼女には見えた。
「でもそれは、過ぎ去りし人の歴史の中。過去の海に戻りなさい」
 それは慈悲か、憐憫か。それは彼女のみが知り得ることであろう。
 鹿糸はその手に握る日傘を弥助だったものに向けると全力の炎を放つ。
 それは防御力の下がった弥助を一瞬で包み込む。それはさながら火葬のようであった。
 そして空からはひまわりの花がそっと落ちていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年09月03日


挿絵イラスト