エンパイアウォー⑱~越後の虎の牙は12の毘沙門刀
上杉謙信、またの名を上杉輝虎。
有名な『謙信』という名は、出家後の法号であり、輝虎が正式な名である。
生涯、類稀なる軍働きで、何度も宿敵・武田家と激突した軍神。
故に、人は彼を『越後の虎』と呼んだ。
「軍神、龍、虎……色々な通称があるっぽいけど、とにかく、戦国時代で戦上手だったことは間違いないんだよね。それが今のサムライエンパイアに蘇ったら強敵なのは当然なんだよ……っ!」
UDCアースの書籍『上杉謙信の生涯』という題目を掻い摘んで読み漁っていたグリモア猟兵、蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)は、グリモアベースに集まってくれた猟兵たちへ、今回の予知の内容の解説を始めた。
「今回の敵は、魔軍将のひとり、上杉謙信だよっ! 謙信は今、関ヶ原で多数のオブリビオンの軍勢を引き連れて『車懸かりの陣』を組んで、多数の守護兵に護られて軍団を指揮しているよっ! 陣形の攻略は他の猟兵たちが頑張ってるから、みんなはその隙を掻い潜った先にいる謙信を直接叩いてほしいんだよっ!」
レモンの言葉に、また先制攻撃対策が必要なのか、と猟兵の一人がボヤいた。
それにレモンが首を横に振ってみせる。
「大丈夫っ! 謙信は『車懸かりの陣』を率いて巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ代わりに、先制攻撃能力を持っていないんだよっ! でも越後の虎は強敵だから、出合い頭に乾坤一擲のキツーイ一撃をぶっ放すくらいで丁度いいんじゃないかなっ?」
要は単純に力押しなのだが、そのままぶつかれば猟兵たちが押し負けてしまうだろう。
その理由が、謙信の持つ12振りの毘沙門刀の威力だ。
「水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の属性をそれぞれ持つ宙に浮く10振りの刀と、右手のアンヘルブラック、左手のディアブロホワイトの2振り、計12振りが謙信の攻防を支えているんだよっ! 何も考えずに真正面からぶつかったら、大怪我どころじゃ済まないからねっ!? きちんと毘沙門刀への対策は講じたほうが良いんじゃないかなって思うよ?」
謙信だけで一騎当千の実力の猛者である。
無策で突っ込むのは自殺行為に等しい。
レモンの助言通り、あらゆる手を尽くして自分の有利な状況へ持ち込むべきだ。
「みんな、先制攻撃を仕掛けてこないからって油断せずに、確実に攻略してきてねっ!」
レモンの激励とともに、黄金に輝くグリモアが、猟兵たちをサムライエンパイアの関ヶ原へ誘う!
七転 十五起
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
七転十五起、なぎてんはねおきです。
今回もよろしくお願いします。
軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
そして、このシナリオのリプレイは『戦場を掻い潜り、上杉謙信の眼前までやってきた』時点から描写致しますので、陣形を突破する行動などは不要です。
目の前の上杉謙信と12振りの毘沙門刀を如何に攻略するか、全力でプレイングを行ってくださいませ。
それでは、越後の虎との決戦、お楽しみくださいませ。
皆様の挑戦をお待ちしております。
第1章 ボス戦
『軍神『上杉謙信』』
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POW : 毘沙門刀連斬
【12本の『毘沙門刀』】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 毘沙門刀車懸かり
自身に【回転する12本の『毘沙門刀』】をまとい、高速移動と【敵の弱点に応じた属性の『毘沙門刀』】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 毘沙門刀天変地異
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
「上野・修介。推して参る。」
――恐れず、迷わず、侮らず
――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に
調息、脱力、敵を観【視力+第六感+情報収集】据える。
敵の体格・得物・構え・視線・殺気から呼吸を量【学習力+戦闘知識+見切り】る。
踏み込む、と見せかけて石を投擲。敢えて防がせて呼吸を乱す【フェイント+だまし討ち】
その間を突いて最短距離を【ダッシュ】で間を詰める
元より斬られるのは【覚悟】の上。
防御回避を捨て、刃を恐れず【勇気+激痛耐性】、左腕を捨ててでも懐に入る。
UCは攻撃強化。
【捨て身の一撃】による裏当てから寸勁の要領で更に一撃【グラップル+戦闘知識+鎧無視攻撃+2回攻撃】を叩き込む。
御剣・刀也
ふふふ。越後の竜
相手にとって不足なし!俺の今持てるありったけ、ぶつけさせてもらう!
毘沙門刀連斬を武器受け、見切り、残像、第六感で避け、捌き、受けつつ、着実に距離を詰めていく
焦らず逸らず、勇気でもって恐れることなく踏み込んでいき、自分の間合いに入ったら、カウンター、二回攻撃、捨て身の一撃のいずれかで、上杉謙信に渾身の一撃を打ち込む
「さすがは軍神。越後の竜と呼ばれるだけあるすげぇ武士だ。が、戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。さぁ、俺の一撃!受け切れるもんなら受けてみろ!!」
関ヶ原に佇む軍神・上杉謙信。
その超然たる佇まいはオブリビオンであるが故か、それとも彼が生前から身に付けていたものなのか。
対峙する2人の猟兵――上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)と御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、互いに謙信の強者の気配を感じ取っていた。
「上野・修介。推して参る」
名乗りを上げた上野は、ユーベルコード『拳は手を以て放つに非ず』を発動させる。
(――力は溜めず――息は止めず――意地は貫く)
このユーベルコードは、上野が平時から無意識下で行っている『基礎』であり、意識的に行うことで、補助的な効果を発揮する。
つまり、上野のこのユーベルコードは『ほぼ常時発動型』と捉えても過言ではない。
一方、御剣は愛刀の獅子吼を鞘から抜き払い、その切っ先を謙信へ向けて名乗りを上げた。
「真紅の荒獅子こと御剣・刀也だ! ふふふ、越後の竜! 相手にとって不足なし! 俺の今持てるありったけ、ぶつけさせてもらう!」
「良いだろう。猟兵の武とやら、この私に見せてみよ」
浮かぶ10本の毘沙門刀と両手の2本の毘沙門刀の切っ先が、上野と御剣に向けられた、
一触即発の中、上野は絶えず謙信の体格・得物・構え・視線・殺気から呼吸を量っていた。
(――恐れず、迷わず、侮らず)
(――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に)
謙信に隙はない。どの一瞬も猟兵へ必殺の一撃を放つほどの殺気に満ち溢れていた。
隙がないのならば、どうするべきか?
その答えを、上野は真っ先に行動で示した。
「……そこだ!」
上野は両脇を締めた状態で腰を低く屈めて突進!
疾い! 弾丸のような速度で、謙信との距離を詰めんと踏み込んできた!
だが謙信、これに12本の毘沙門刀を操り、迎撃の構え!
「猪武者か、勢いだけでは私を倒せぬぞ!」
12本の刃が上野へ向けて射出されたその時、上野が地面に落ちていた石を素早く広い、毘沙門刀の1本へ向けて投擲!
真っ直ぐに投げ付けられた石は、毘沙門刀の1本に命中し、一瞬だけ軌道を逸した。つまり、完全な円形で浮いていた毘沙門刀の陣形に、数秒間だけ穴が空いたのだ。
ここへ上野が飛び込んでくる!
「乱れたな……? 呼吸が乱れるのを待っていた!」
毘沙門刀の陣形の穴からダッシュへ駆け込んできた上野は、謙信の懐に入ろうと突っ込んできた!
「愚かなり! その手は見え透いておるぞ!!」
すかさず謙信は毘沙門刀を鋭角的に操り、上野を斬り刻まんと殺到!
そこへ間に割って入るのは御剣だ!
「させるか!」
獅子吼の峰で6連撃を弾き返す御剣!
通常ならば押し負けるであろう連撃だが、御剣は日頃の鍛錬によって高められた直感や防御の技能を駆使して、斬撃の被害を最小限に留めていた。
「俺が軍神の攻撃を受け止める! 修介とか言ったか? 軍神の動きが止まった瞬間に、その拳で軍神をぶん殴れ!」
「そのつもりですよ、刀也さん。勝機は絶対に逃しません」
「即興だが連携と行こうぜ! 付いてこいよ、軍神!」
御剣が毘沙門刀を押し返して更に前進!
すかさず6本の毘沙門刀が別角度から猟兵たち飛来するも、再び御剣が斬り払って傷を最小限に抑え込む! 上野は御剣の後ろで、毘沙門刀の陣形が崩れる瞬間を、今や遅しと待ち構える。
これらの猟兵たちの行動は、謙信にとって想定外であった。毘沙門刀連斬を受け止めるものがいるなんて思ってもいなかったし、ここまで押されるとも思っていなかったからだ。
「しかし、更に連撃数を増やせば耐えられまい!」
今度は空中に浮く10本の毘沙門刀が一斉に御剣へ向けて射出された!
しかし、これこそが御剣が望んだ展開!
「いけ! 修介!!」
「刀也さん、感謝します!」
10本の毘沙門刀が御剣の身体に容赦なく突き刺さる!
その御剣の後ろから飛び出し、上野は10本の毘沙門刀の脇をすり抜けてゆき、謙信の目の前まで肉薄!
謙信は両手の白黒の毘沙門刀をクロスしたまま身構える。
「なるほど、10本の毘沙門刀をあの剣士へ仕向けることで、お前が懐に潜りやすくなる算段か。だが甘いぞ、猟兵ども! この右手のアンヘルブラック、左手のディアブロホワイトがその目論見を打ち砕いてくれようぞ」
上野は最速・最短で猛ダッシュで一直線で謙信に突撃!
その愚直な攻め筋に、謙信は思わず口元を緩めてしまう。
「真の猪武者め。そのまま両断してくれる!」
謙信の2本の毘沙門刀が煌めいた途端、目の前の上野の左半身がズタズタに切り裂かれ、戦場に血飛沫が散布された!
それでも、上野は止まらない! 止まるどころか加速したではないか!
「左腕一本程度、アンタにくれてやる。代わりに俺は、アンタの命を奪う!」
上野の勇気と根性が全身に力をみなぎらせる!
遂に謙信の懐に潜り込んだ上野は、ボロボロの左腕をハンマー投げのように強引に振り回し、感覚がない拳で裏当てを敢行!
「なにっ!?」
傷付いた腕を鈍器代わりにして殴られた謙信は、意表を突かれて数秒の間、動きが鈍った。
そこへ駆け込んでくる御剣!
「さすがは軍神。越後の竜と呼ばれるだけあるすげぇ武士だ」
刺し傷だらけの身体を押して、死力を尽くしてユーベルコードを繰り出す予備動作に入る!
「……が、戦場では俺は死人だ。死人は死を恐れない。故に斬られても敵を殺すまで前に進むのさ! さぁ、俺の天武古砕流の一撃! 受け切れるもんなら受けてみろ!!」
御剣は愛刀の獅子吼を天高く振り上げると、上段の構えから持てる力を振り絞って謙信へ向けて振り下ろした!
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!! 天武古砕流がひとつ! 雲耀の太刀!!」
御剣の斬撃が謙信の胸元を鎧ごとばっさりと斬り裂いた!
天武古砕流とは、御剣家一族が戦国時代に火縄銃に対抗する為に作られたとされる剣術であり、その神髄は一撃必殺の剛剣。その威力たるや、一太刀で鉄兜や鉄鎧ごと両断すると言うのだ。
斬られて後ろに仰け反る謙信へ、上野が密着するほど詰め寄ってきた。
「鎧通しなら俺も使えるぞ……!」
無事である右腕に力を込め、切り裂かれた鎧へ掌を当てると、全体重を乗せて掌を謙信へ押し込んだ!
次の瞬間、謙信は馬に蹴られたかのように吹き飛んでいったではないか!
「やるな、修介。寸勁が使えるのか」
「ええ、攻撃特化の最大火力を打ち込んでやりましたよ。……うぐっ!? くそっ、左手が千切れそうだ……! 痛みも触覚も何も感じないのが余計にまずいですね……」
完全に感覚を失った左手を抑えながら上野が呻く。
「俺も串刺しになったからな、止血しないとやべぇ。此処は一旦撤退だな」
「あとは、仲間に任せましょう……!」
上野と御剣はすぐさま撤退すると、後方で緊急治療を仲良く受けるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
月凪・ハルマ
どうも、今までの魔軍将とは違う感じだな
……まぁ、礼儀として名乗ってはおくか
月凪ハルマ。一応、これでも忍びだよ
◆SPD
即座に【瞬身】使用
敵の攻撃はどうにか強化した技能と【武器受け】で凌ぎたいな
そして回避ついでにもう一つ
毘沙門刀の攻撃を見切れるようだったら、どれでもいい
【早業】で触れて【武器改造】の逆利用
その刀の切れ味や、属性を弱化してやる
……まぁ、言うほど簡単じゃないのは分かってる
そもそも攻撃を躱しきれるかも分からないしな
ある程度の負傷も【覚悟】はしておこう
そして当然、こちらからも仕掛ける
【忍び足】【迷彩】を駆使して【目立たない】様に敵の死角へ移動
手裏剣、旋棍、天墜を適宜使い分け、攻撃していこう
鍋島・小百合子
SPD重視
越後の軍神が相手か…そのような者にわらわの力が通ずるかわからぬが相手にとって不足なし!
「肥前の女武者・鍋島小百合子!刃を交えるのならばお相手いたす!」
名乗りの後UC「群制御動陣」発動
召喚した49人の女薙刀兵を戦闘知識活用にて指揮
4人ずつを合体させ合計12人に、回転する毘沙門刀の足止めを指示
わらわは残り1人を率いてこちらへ向かう毘沙門刀を残像で翻弄、薙刀で切り払いつつ(なぎ払い、武器受け併用)謙信へ真っ向勝負
相手の太刀筋と高速移動時の軌道から動きを割り出しすれ違いざまの一撃を加えていく(鎧砕き、咄嗟の一撃併用)
敵の動きが読めてきたら残った兵達を合体、連携して挟撃
目にもの見せてやろうぞ!
上杉謙信の目の前に躍り出た新たな猟兵2名。
魔導蒸気式旋棍(トンファーガジェット)を両手に握り込んだヤドリガミの少年は、謙信の佇まいに思わず息を呑む。
「どうも、今までの魔軍将とは違う感じだな。……まぁ、礼儀として名乗ってはおくか」
彼は化身忍者だ。忍者は戦う相手に礼節を払う。
故に挨拶は重要な戦闘儀式だと、古の書籍に記されているらしい。
「あ、ども。月凪ハルマだ。一応、これでも忍びだよ」
「我が名は不識庵謙信。またの名を上杉 輝虎だ。忍が堂々を姿を見せた上に礼節を払うとは、この謙信であっても驚いておるぞ。……で、隣の女武者、貴殿も名乗りたそうだが?」
謙信は視線を鍋島・小百合子(朱威の風舞・f04799)に移す。
(越後の軍神が相手か……。なんていう凄みであろうか! このような者にわらわの力が通ずるかわからぬが、相手にとって不足なし!)
その覇気に一瞬、背筋が凍り付くような感覚に見舞われるも、相手に気取られないように自分を鼓舞しながら名乗りを上げた。
「肥前の女武者・鍋島小百合子! 刃を交えるのならばお相手いたす!」
「良かろう。ハルマ殿に小百合子殿。我が12本の毘沙門刀が迎え討とう! 来い!」
謙信の誘いの一声に、猟兵2名はすかさず動いた。
鍋島はユーベルコード『群制御動陣(イクサニノゾミシウツクシキハナバナノグンダン)』を発動!
「49人の女薙刀兵よ、わらわの周りに陣を組み敷け!」
薙刀に1と刻印された女薙刀兵たちが4人1組で合体を開始。
4と刻印された薙刀を持った強化女薙刀兵12人を前に横1列で配置。
その後ろでは、合体していない女薙刀兵と鍋島本人が控える。
彼らの脇を擦り抜けて疾走するのは月凪だ。
「――集中しろ。もっと、深く……!」
自身の深層意識に訴えるかのような詠唱は、ユーベルコード『瞬身』のトリガーだ。残像・早業・見切りの技能が達人的に強化されると、影分身の如き残像とともに謙信の周囲を駆け巡る。
「まずはこれで……!」
先制攻撃は月凪、謙信の背後へ手裏剣を乱舞させて投擲!
(完全に相手の死角を取った、暗殺だ!)
残像に気を取られている謙信の背後に手裏剣数発が命中!
呻く謙信! 白い頭巾が僅かに赤黒く染まってゆく!
「なるほど、これは素早いな。だが、死角さえなくせば……!」
謙信の周囲に浮いている10本の毘沙門刀、そして両手の2本の毘沙門刀が揃って謙信の周囲で拘束公転しながら浮遊を始めた。
「これぞ毘沙門刀車懸かり! これで全方位の死角はなくなった! 喰らえ!」
月凪の足を止めようと、風と光と毒の刃が勢いよく射出された!
光と風の速さが毒を運び、直撃すればその足が止まりかねない!
だが、月凪の強化された技能は伊達ではない。
「剣筋は見切った。これでどうだ……!」
魔導蒸気式旋棍のスチームを解放!
噴射させることで膂力を増した鈍器は、飛来する光と風の刃を弾き返す。
迫る毒の刃には、加速用ブーストエンジンを本体に取り付けた大型のチェーンアンカー『破砕錨・天墜』を投擲! けたたましい金属音とともに、互いの武器が激突! 辛うじて月凪は謙信の攻撃を受け止めた!
だが、刃の毒は一瞬でアンカーの一部を錆びさせるほど強力だった。
「金属を腐らせるのか、厄介だな」
舌打ちする月凪はアンカーの回収を一旦諦め、再び戦場を走り回る。
(なんとか凌げた……! だが、これだと不用意に近付けないな……!)
謙信の周りを高速で振り回される毘沙門刀に接近するには、やはり毘沙門刀そのものの動きを止めなければならない。
だが、月凪にそれを行う手立ては乏しい。
(旋棍を盾にして無理やり突っ込むか? 多少の怪我は覚悟の上だ。だが……)
果たして、12本の刃をすべて受け止めきれるのか?
一瞬、月凪は迷ってしまう。
その時、共闘していた鍋島が動く。
「この時を待っておったぞ! 薙刀兵たちよ、突貫開始じゃ!」
横一列の陣形のまま、12人の女薙刀兵が突撃を開始!
これは、槍衾だ! 別の戦場ではファランクス陣形が猟兵と徳川軍を苦しめているが、これはまさにその意趣返し!
流石の謙信もこの槍衾を単独で防ぐためには、ひとつの手段しか残されていない。
「くっ! 毘沙門刀で12人を斬り伏せてくれる!」
回転していた全ての毘沙門刀を女薙刀兵たちへ向けて射出!
「堪えよ、皆の者! そのまま勇気をもって立ち向かい、時間を稼ぐのじゃ!」
合体強化した鍋島の女薙刀兵たちは、血気盛んに各毘沙門刀へ立ち向かう。
彼女たちは浮遊する刃を惹き付けながら、うまくいなし続けている。
となると、謙信の守りはこの瞬間、全てなくなった!
「ありがとう、女武者さん。お礼にこれら毘沙門刀は脆くしておくよ」
月凪が戦場を駆け抜けてゆくと、彼が触れた毘沙門刀に僅かな刃こぼれが発生する!
「武器改造の応用だ。改良ができるなら改悪も可能ってね。完全には無理だったけど……切れ味は相当悪くなったはずだ」
「かたじけない、忍の貴殿! 今こそ謙信を討つ好機ぞ!」
鍋島と傍らに帯同させている女薙刀兵は、12人の陣形を突破して謙信に飛び掛かった!
「この愛刀たる薙刀、竜王御前の錆となれ!」
袈裟斬りの斬り跳ね上げから逆袈裟の斬り下ろしが謙信に直撃!
そこへ月凪の魔導蒸気式旋棍がジェットを噴き上げて猛進!
「上杉謙信、覚悟――っ!」
背後からのトンファースマッシュが、軍神の脳天を強かに打ち据えた!
脳が揺さぶられて、謙信の足元が揺らいだ!
「駄目押しじゃ! 薙刀兵よ、全員合体!」
鍋島の傍らに控えていた女薙刀兵へ、陣形を組んでいた兵士が吸収されてゆく!
その薙刀には、49という数字が刻まれる!
「忍の貴殿よ、今一度、参るぞ!」
「そうこなくっちゃな! 行くぜ!!」
月凪の魔導蒸気式旋棍と、鍋島と女薙刀兵の薙刀の斬撃が、三方向から同時に謙信の胴体を打ち抜き、切り刻んでいく!
「が……はっ!?」
血反吐を吐き、その場で膝を付く謙信!
月凪と鍋島は、越後の虎にかなりの大傷を負わせたことを確認すると、毘沙門刀での反撃を警戒して戦線を素早く離脱するのだった。
トドメは、後続の猟兵が決めてくれると信じて。
大成功
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時雨・零士
戦国の軍神と戦えるとは光栄な事だな。だが、最初に言っておくぜ。
俺はかーなーり、強い!さぁ、上杉謙信、ひとっ走り付き合って貰うぜ!
ブラスターをバーストで連射して毘沙門刀を牽制しながら接近。
敵が反撃を仕掛けてくる瞬間に【アクセルフォーム】で敵のタイミングをずらして回避からカウンターのカオス・インパクト。
敵が態勢を崩した瞬間に更に【トライアドフォーム】へチェンジし、凍気で凍結させての雷撃・炎や飛行と風の鎧等、統合した各メモリの力を駆使して戦闘。
なんとか敵に必殺の隙を作り、全力捨て身覚悟の【捨て身、グラップル、力溜め、ジャンプ、ダッシュ】「トライアド・スマッシュ」を叩き込むぜ!!
上泉・祢々
12の属性を持つ十二本の刀……なるほどとても高く厚い壁ですね
ですが壁とは常に超えられる物
ええ、押し通らせていただきますよ
私の目指す物の為にも
飛んでくる刀の内素手で触れられる物は手刀と足刀で弾きます
それ以外は動きを見切り回避
一歩ずつ、一歩ずつ回避と武器受けを繰り返し前へ進みます
間合いへと足を踏み入れたらそこはもう死地
全神経を集中させて浮かぶ刀と両手の刀を避けて防ぎます
致命傷以外は仕方ありません
最後までこの身体が動けばいいのです
動ける程度に相手の一刀をわざと受け、油断した所に全力の貫手を相手首へと目掛けて突き刺します
ええ、そうです。この身を届かせるためにも肉を切らせて骨を断ちましょう
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
人軍一体…軍勢(カラダ)とあなた(アタマ)、両方斃さないといけない、ねぇ?
…なぁんだ、どんなトンチキかと思ったらそれだけ?なら、問題ないわねぇ。
だって…こっちはハナから、ぜぇんぶ斃すつもりなんだもの。
…とはいえ。あたし接近戦苦手なのよねぇ。真正面からってのはかなり分が悪そうねぇ。
弱点をある程度各種○耐性で補ってるっていってもあくまで「ないよりマシ」程度だし、斬られたらフツーに戦闘不能なのよねぇ。
それじゃ、せいぜいイヤガラセしましょうか。
あのいっぱいある刀、片っ端から●的殺で弾いて軌道逸らすわぁ。
攻撃の起点は基本あの刀みたいだし、〇援護射撃くらいにはなるかしらねぇ。
猟兵たちの猛攻により、上杉謙信へ瀕死の重傷を負わせることに成功した。
このまま骸の海へ軍神を帰すべく、3人の猟兵が躍動する。
時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)は、謙信を見据えるなり、盛大に大見得を切ってみせた。
「戦国の軍神と戦えるとは光栄な事だな。だが、最初に言っておくぜ。俺はかーなーり、強い!」
その傍らに控えるのは、深い青みがかった瞳をした黒髪のポニーテールの少女、上泉・祢々(百の華を舞い散らす乙女・f17603)だ。
上泉の武器は百華流……己の四肢から繰り出す手足の攻防だ。それを刀と見立てて相手を“斬る”のだ。いわば、彼女自身が一振りのサムライブレイドである。
「12の属性を持つ十二本の刀……なるほどとても高く厚い壁ですね。ですが、壁とは常に越えられる物です」
上泉はすかさず百華流壱之型『朔』……始まりにして終わりの型を構えた。
彼女の魔眼が謙信を捉え、その技量を我が物にせんと見極める。
謙信はそれに対して驕らず、けれども覇気を込めて告げた。
「では、貴殿はこの上杉謙信という壁を越えると、そう申すか?」
「ええ、押し通らせていただきますよ。私の目指す物の為にも」
「……ふむ、貴殿は良い目をしている。その信念、我が毘沙門刀が切り捨ててみせよう」
そんな謙信の言葉を、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)が遮った。
「あれだけ喰らってまだ立っているなんて、しぶといわねぇ? 人軍一体……軍勢(カラダ)とあなた(アタマ)、両方斃さないといけない、ねぇ?」
ティオレンシアの口元が愉悦で釣りあがった。
「……なぁんだ、どんなトンチキかと思ったらそれだけ? なら、問題ないわねぇ。だって……こっちはハナから、ぜぇんぶ斃すつもりなんだもの」
ティオレンシアが愛銃のオブシディアンに手を掛ける。
「そう簡単に潰れると思わないことだ。いざ決戦の時! 来い、猟兵!」
謙信も毘沙門刀の切っ先を猟兵たちへ向けた。
最終決戦が、幕を開ける。
「行くぜ、謙信! 変身っ!」
時雨はベルト型魔術装置『デオルム・ドライバー』を起動!
唸る電子音声が関ヶ原に響く!
『デオルム! マテリライゼイション! ライダーッフォームッ!』
メタリックなサイボーグ戦士へと変身した時雨ことデオルム。
熱線銃『デオルム・ブラスター』を連射(バースト)モードに切り替え、ダッシュしながら謙信へ連射!
「うおおおっ!!」
「む、これは!?」
謙信、すかさず炎の刃で熱線を受け止めた。
「……なるほど、他の刃であったら、溶解されていたであろうな!?」
接近するデオルムへ12本の毘沙門刀が殺到する!
だが、それをインターセプトする猟兵がいた。
「その毘沙門刀は、私の手刀と足刀で弾きます」
百華流漆之型『蓮』!
回転を加えた受け流しの動作は、属性を司る毘沙門刀といえど、上泉にかかれば生身の体を斬り刻むことは容易ではない。
刃を受け流され、一瞬だけ謙信の懐ががら空きになった。
「デオルム先輩、攻撃をお願いします!」
「任せろ! カオス・インパクト!」
カオスエナジーを込めた右拳の一撃が、謙信の鳩尾へ強かに突き刺さった。
「ぬぅ……!?」
たたらを踏む謙信は数歩後ろへ下がる。
しかし休む間もなく、上泉は無意識に百華流拾壱之型『椿』で貫手反撃、更に連撃を司る百華流拾之型『菊』で追撃の鋭いミドルキックを謙信へ見舞う!
「間合いへと足を踏み入れたらそこはもう死地。この手、この足が私の刀です」
上泉の攻撃ひとつひとつがユーベルコードだ。
触れたものは容赦なく切断してしまう!
一歩、また一歩とデオルムと上泉は謙信へ詰め寄り、着実に軍神へダメージを蓄積させてゆく。
「ぐ……っ!? このまま倒れてなるものか!!」
謙信は接近してきたデオルムと上泉の目の前で、毘沙門刀全てを旋回させるように、自身の周りで回転させ始めた!
ミキサーめいた刃の竜巻に、デオルムと上泉は容赦なく切り刻まれてしまう!
やむなく再び2名は謙信と距離を取らざるを得ない。
その攻防を後方から見守っていたティオレンシアは思案に暮れていた。
(正直、あたし接近戦苦手なのよねぇ。真正面からってのはかなり分が悪そうねぇ)
ティオレンシアはガンマンだ。狙撃が主な攻撃手段の彼女にとって、本来、剣士との零距離近接戦闘は想定外である。
(謙信の属性攻撃に対して、あたしは多少の耐性を備えているとはいえ『ないよりマシ』程度だし、斬られたらフツーに戦闘不能なのよねぇ。どうしようかしらぁ?)
とはいえ、このまま何もしないで手をこまねいているわけにもいかない。
(……とりあえず、嫌がらせに徹するわぁ)
愛銃を構え、狙うは毘沙門刀。どれでもいい、まずは刀身に当たらなければ意味がない。
「攻撃=防御の解除。そこを崩せば……」
ユーベルコード『的殺(インターフィア)』!
相手の攻撃の起こりを見切り、行動の起点を潰すように狙いすまされた先制射撃。
ファニングショットで高速連射された6発のトリプルコート特殊弾が全て、旋回する毘沙門刀の刀身を吹き飛ばした!
「ハイこの通り、なぁんてね?」
刻むルーン文字は『ユル』『ニード』『ティール』!
ティオレンシアは高速リロードからのクイックドロウ、2回目の『的殺(インターフィア)』全弾を発射!
「これは『終わりと始まり』、『打破する力』は『勝利を呼び込む』のよぉ?」
残りの毘沙門刀も軌道を逸らされ、あさっての方向へ飛んでゆく。
再び、謙信の守りは解かれた!
「っしゃぁ! さぁ、上杉謙信、ひとっ走り付き合って貰うぜ!」
デオルムのベルトがスピードメーターへ変化すると、電子音声が唸りだす!
『Start UP! デオルム! トップギアァッ! アクセルフォームッ!』
1000倍速まで加速可能なデオルムの連撃が、謙信の体を宙に浮かび上がらせる!
しかし、毘沙門刀がすぐに謙信の元へ戻ってきてしまう。
「だとしても、最後までこの身体が動けばいいのです」
致命傷でないのなら、むしろ身体を刻まれ、相手が近寄ってくることは上泉にとって僥倖だ。
その分だけ、必殺の一撃を叩き込みやすくなるのだから!
謙信は斬り刻まれながらも突っ込んでくる上泉に目を疑う。
「貴殿は、痛みを感じぬのか!?」
「痛みですか。一振りの刀である私にとって、痛みを感じて泣き叫ぶ前に為すべきことがあります。それは、これです」
素早く払われた両手が、旋回する12本の毘沙門刀を一気に砕いたではないか!
「なんだと……!?」
「百華流拾弐之型『水仙』の後の先狙いからの、破壊の百華流陸之型『牡丹』、加えて百華流捌之型『百合』の合わせ技……。鋼すら砕き、万物を効率よく破壊する2つの型にかかれば、仏門の刃だろうと何だろうと、物質ならば砕けないものはありません」
「よし、これで謙信は攻撃と防御を失ったぜ! なら、そろそろフィナーレだ……!」
デオルムが具現化させるは3種の魔獣のカオスエナジーを束ねる強化装置、トリニティ・トリガー!
「俺の全ての力を今ここに!!」
ベルトにセットされたトリガーから、2重電子音声が関ヶ原に轟く!
『『トリニティ・トリガー!』』
更に3本のクロスメモリを同時挿入!
『フェニックス!』
『ドラグーン!』
『リヴァイアサン!』
「超変身!!!」
ポーズを取ったデオルムの全身が、3色の魔力を取り込んで覚醒!
『シンクロフォームッ! デオルム! トーラーイーアードーッ!!』
炎と飛行、風と雷光、氷と冷気の全ての力を備えたサイボーグ戦士へと変身したデオルム・トライアド・フォーム!
「さぁ、お前の罪を数えろ……!」
謙信を指差した手をひっくり返した後、超必殺技を繰り出さんと爆ぜるように床を蹴った!
『ロストプロミネンスッ』
『カオスエクストリームッ』
『フロストブレイクッ』
『カオスエナジー・チャージ……!』
3種の必殺技のエネルギーが混じり合い、デオルムの右足の先で強大な混沌エナジーとなって空中で高速螺旋回転を開始!
円錐型の凶悪なエナジーとともに、デオルムは謙信へ急降下し、痛烈な必殺キックを放った!
「トライアド・スマッシュッ!!」
謙信の体を貫いたデオルムは、その勢いでスライディングで着地した。
だが、それでも謙信は立ち上がる!
「……刀が折れども、越後の虎の牙は最期まで不滅よ!」
折れた刀のわずかな部分を、目の前の上泉に突きつける謙信!
だが、それは銃弾によって弾かれた!
「だからさせないって言ってるじゃなぁい?」
ティオレンシアの妨害で、今度こそ丸腰になった謙信へ、上泉が分身を伴いながらすり寄ってくる!
百華流参之型『藤』の足運びだ!
「ええ、そうです。この瞬間、この身を届かせるためにも、肉を切らせて骨を断ちましょう」
百華流玖之型『芙蓉』にて全身に気を張り巡らせ、百華流肆之型『桜』でのハイキックで敵の虚を突き、己が身すら厭わない超攻撃の型百華流伍之型『菖蒲』の必殺の貫手が、謙信の喉元を深々と突き刺さった!
吐血する謙信は、掠れた声で上泉に声をかけた。
「――見…事、なり」
「軍神からお褒めの言葉を賜るとは恐悦至極。それでは、お覚悟を」
上泉は何の感慨もなく、そのまま手刀を振るった。
謙信の首が高々と関ヶ原の空へ舞い上がり、ススキの穂を揺らすそよ風に掻き消されるように、その亡骸は消えていった。
気が付けば、車懸かりの陣はすべて壊滅しており、関ヶ原も戦が終結しつつあるようだ。
猟兵たちは越後の虎の強さを胸に刻みながら、一路、天草へと向かうのだった。
目指すは、オブリビオン・フォーミュラ『織田信長』が待ち受ける『魔空安土城』だ……!
大成功
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