エンパイアウォー⑧~哀哭の骸
いつもと変わらぬ日々を送っていた小さな村を襲う、突然の惨劇。
それを齎したのは、肩から巨大な水晶の柱を生やした屍人の群れだった。
逃げろ、と叫んだ大人が真っ先に喰い殺された。
子供を、子供を助けようとした母親を、駆けることも出来ない老人を、混乱のあまり逃げることさえ忘れてしまった青年を――屍人達は片っ端から捕え、喰らい、追い立ててゆく。
だが、村人全てを根絶やしにするのではなく、まるで見せしめのように殺したのは片手で数えるほど。
屍人の手から命からがら逃れた人々は、やがて追われるままに城へと辿り着く。
屍人がそれ以上追い掛けてくる様子はなかった。
ここならばもう安心だ。誰もがそう思っていた。
けれどもそこに安息はなく、更なる悲劇が待ち受けていたのである――。
●哀哭の骸
――けれども、それはまだ起きていない未来の話。
グリモアベースの一角で、フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)はその場に集った猟兵達にありがとうございます、と頭を下げる。
関ケ原から三手に別れ、進軍を続ける幕府軍。向かってもらいたいのはその中の一つ、山陰道沿いにある小さな村だとフィオリーナは告げた。
「山陰道の防御指揮官である安倍晴明は、現在、鳥取城を拠点として、猟兵と幕府軍を壊滅させる準備を行っています」
鳥取城はかつて有名な『鳥取城餓え殺し』が行われた場所であり、恨みの念が強く残っている。ここに近隣住民を集めて閉じ込め、餓死させることで――つまり、『鳥取城餓え殺し』を再び起こすことで、奥羽の戦いにおいて使用された『水晶屍人』の十倍以上の戦闘力を持つ水晶屍人を生み出すことが可能になるらしい。
「この強化された『水晶屍人』が量産された暁には、山陰道を通る幕府軍と猟兵全ての命を奪い尽くしても、有り余る戦力となるでしょう。……ですので」
それを止めて頂きたいのですとフィオリーナは静かに続ける。
「これより皆様を、水晶屍人が襲撃しようとしている村へ転送致します。屍人達が村へ突入する前に、入り口で迎撃をお願いしたいのです」
戦いが始まれば、すぐに村人達は逃げ出すだろう。よってすぐに戦いに持ち込めれば、水晶屍人の魔の手が村人に迫るより早くその意識を引きつけることが出来るはずだ。
「……この、水晶屍人達は。かの世界の戦国の世において、最も悲惨な最期を遂げたとされる、人々の怨霊を用いて生み出されています」
食料は何もなく、日々飢えに苦しみながらただ死を待つことしか出来ず。家畜や死んだ誰かの肉を喰らって生に縋りながらも、ついには一筋の希望すら見出だせないままに飢えて最期を迎えた人々の絶望たるや、想像を絶するものだろう。
その人々の怨霊となった魂が安倍晴明によって再び現世に引き摺り出され、同じように凄惨な終わりを罪なき人々に齎そうとしている。
「……悲劇を、惨劇を繰り返させないためにも、どうか、皆様の手で終わらせて下さい」
宜しくお願い致します。と、再度頭を下げたフィオリーナは、かの世界へと続く扉を開くのだった。
小鳥遊彩羽
ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
今回は『サムライエンパイア』での戦争シナリオをお届け致します。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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今回の相手となる強化型『水晶屍人』は全部で10体ほど。敵が村へとなだれ込むより先に現場に到着します。戦いが始まれば村人達は自力で避難しますので、村人達への避難誘導は必要ありません(が、声掛けなどありましたら反映させて頂きます)。
今回は成功度達成に必要な人数+若干名での採用となります。そのため個人でのご参加を推奨致しますが、ご一緒される方がいらっしゃる場合は【お相手の名前(ニックネーム可)とID】もしくは【グループ名】をご記載下さい。
技能を用いる場合はただ羅列するだけでなく、どのように使うか、どのような想いを込めて使うかをお書き下さい。なお、心情に重きを置いたプレイングを優先して採用させて頂きたく思いますので、皆様がどのような想いを込めて戦うかを、プレイングを通してこちらに教えて頂けたらとても嬉しいです。
それでは、どうぞ宜しくお願い致します。
第1章 集団戦
『水晶屍人』
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POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
火神・五劫
間に合うんだな?
まだ、村を救えるんだな?
未来を食わせぬ為ならば
俺は何処へでも行くぞ
村人が近くにいれば声を掛けておく
「さっさと逃げろ、俺達が必ず守ってやる」
多少なりとも『勇気』付けられるといいが
迫り来る敵へ向け
鉄塊剣に『破魔』の力を乗せ『なぎ払い』
足を止めさせるように動くぞ
一歩たりとも村へ踏み込ませてなるものか
守りは『第六感』にも頼りつつ敵の動きを『見切り』
『オーラ防御』と『武器受け』を駆使する
可能ならば仲間も『かばう』
敵の牙がこの身に食い込もうとも構わん
お前達も苦しかったろう…もう休め
傷口より放つ【ブレイズフレイム】を
敵の…犠牲者の御霊に捧ぐ送り火としよう
どうか、安らかに
※連携、アドリブOK
――間に合うんだな?
まだ、村を救えるんだな?
火神・五劫(送り火・f14941)の問う声に、間に合いますと確かに返る声があった。
ゆえに、五劫は迷いなく駆け出していた。
未来を食わせぬ為ならば、何処へでも行く。
それは五劫の心を滾らせる不退転の決意であり、誓いだ。
「さっさと逃げろ、俺達が必ず守ってやる」
掛けた声に力強く背を押されるように、小さな子供が走っていく。
母親らしい女性と手を取り合って避難していくその背を肩越しに見送り、五劫はすぐに目の前まで迫っていた水晶屍人へと向き直った。
「一歩たりとも村へ踏み込ませてなるものか」
鉄の塊が如き大剣に魔を破る力を乗せ、五劫は渾身の力を籠めて横薙ぎに振るう。
ごうと唸りを上げる風に圧され、屍人は思わずという風に後退る。
弾みで腐った脇腹の肉が刮げ落ちるのに、五劫は眉を寄せたが、それだけだった。
水晶屍人。生きた人間として凄惨な死を迎え、怨霊として現世に留まることしか出来なかった魂を利用されて創られたもの。
人として救うことの叶わない哀れな傀儡は、しかし、五劫にとっては“未来を喰らうもの”でしかない。
そして言うまでもなく、ただ一撃の風を受けただけで進撃を止めるような思考を水晶屍人は持ち合わせてはいなかった。
「グ、ルアァ、アアアッ!!!」
辛うじて人の形を保っていた口から獣の咆哮のような唸り声を上げ、屍人は五劫に牙を剥く。
身体はとうに腐りきっているというのに、強化されたと言われるその動きは予測していたよりも素早い。
五劫は直感に頼り回避を試みるも、屍人のほうが早かった。
「――ッ!」
咄嗟に剣で軌道を逸らし、守りの気を張り巡らせたものの、肩口を深々と食い破った牙の痛みが、瞬く間に全身を駆け抜けていく。
だが、五劫は敢えて屍人を振り払おうとはしなかった。食えない苦しみは五劫も知らぬものではない。もっとも、屍人だった者に宿る怨霊――彼らが怨霊になるに至った飢餓の苦しみは、想像を絶するものだろう。
「構わん。お前達も苦しかったろう……喰らえ。そして、もう休め」
まるで永遠に満たされぬ飢えを満たそうとするかのように喰らいついたまま離れない屍人へ、五劫は傷口から噴出した地獄の炎を纏わせる。
「オ、オオオオッ……!」
五劫の心の色を映したような紅蓮の炎が屍人を瞬く間に呑み込み、肉を燃やし、骨を灰に還していく。
パキリ、と、肩から剥がれ落ちた水晶もまた、炎の中に煌めきを残して。
「……どうか、安らかに」
炎は、まるで犠牲となった者の御霊に捧ぐ送り火のように鮮やかに激しく燃え上がり、――そうして屍人を灰になるまで燃やし尽くして、消えた。
大成功
🔵🔵🔵
太宰・寿
絶望を知った方達の魂が宿るというのなら、私は尚更村人を手にかけさせたくないです。
かつて自分が味わったことと同じ思いを、今生きる人にさせてほしくない…!
救える道を示して予知してくれたグリモア猟兵さんの思いに応えるためにも、ここで食い止めます。
虹霓を手に、村の入口に線を引くように絵具を撒きます『グラフィティスプラッシュ』
自身の強化もかねながら、ここから先には通さないと決めて。
水晶屍人と距離がある内は、Polarisにて一点に連続射撃。近づかれたら、虹霓に塗料を纏わせ衝撃を放つ程に振り抜いて応戦します。放たれる光は直視しないよう意識して迎え撃ちます。
絶望を知った人々の魂が宿るというのなら、尚更村人を手にかけさせたくはない。
太宰・寿(パステルペインター・f18704)は悲しげに瞳を揺らし、けれど、目の前の水晶屍人からは決して目を逸らさずに。
「かつて自分が味わったことと同じ思いを、今生きる人にさせてほしくない……!」
救える道を示し、それを予知してくれた娘の想いに応えるためにも、必ずここで食い止めると寿は心に誓っていた。
寿が手にするのは、自身の身の丈より少し短い程度の長い絵筆。
虹霓と名付けたそれを手に、寿は村の入口に線を引くように七色の絵具を撒く。
それは平穏な村と戦場を分かつ境界であり、ここから先には通さないという寿の意志の表れであり、そして寿自身の力を高める結界のようなものだ。
「負けません……!」
視界に映る水晶屍人の群れを見つめ、そのうちの一体に狙いを定めて、寿は北極星の名を冠した拳銃を構え、引き金を引いた。
パン、パン、と小気味良い音が何度も弾け、銃弾が屍人の足元に突き刺さる。寿の姿を捉えた水晶屍人の一人が、獲物と定めたようにゆらりと寿の元に向かってくる。
強化された水晶屍人の動きは速く、瞬く間に詰まる距離。けれど寿は動じることなく虹霓の絵筆に塗料を纏わせ、衝撃を放つ程に振り抜いた。
その時、屍人の肩から生えた水晶が、淀んだ光を放った。
「……っ!」
現れたのは水晶の霊。そこから放たれる眩い閃光に寿はきゅっと目を瞑り目元を手で覆う。
僅かな光でも刺さるような痛みが走るが、直視しないよう意識していたおかげで耐えられないほどではない。
怖くないと言えば嘘になる。けれど、背に守る人々を想えばこそ、寿は心に勇気のひかりが灯るのを感じていた。
「あなた達はこの世界にいてはいけません。どうか、安らかに眠って下さい……」
寿は毅然と前を向き、虹霓に想いの色を重ね振るい続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
枦山・涼香
餓えて死に、なおも悪の手先として使われるなどその嘆きは如何ほどか
すべて、ここに捨てていきなさい
わたしが焼き清めて差し上げます!
屍人の一体を確実に滅しましょう
狐炎疾走にて屍人の一群へと狐火を発し、敵を個々に分断するように
敵の合間へと撃ち込みます
抜いた大太刀を手に、孤立させた一体へ距離を詰めます
もとより無傷で切り抜けられるほど器用な質ではありません
致命的な一撃だけを確実に見切り、武器受けをし、好機を窺います
甘い一撃が飛んできたら己が身を犠牲に捨て身の一撃
すべての狐火をこの大太刀に糾合し、破魔の炎として歪曲斬を放ちます
あなたの嘆きは受け取りました
真なる悪を焼く業火と変えて、黒幕共に返すとしましょう
餓えて死に、浮かばれぬまま彷徨っていた魂が、今こうして再び繰り返されようとしている惨禍の担い手として利用されるなど。
その嘆きは、はたして如何程のものだろう。
「すべて、ここに捨てていきなさい」
村へ迫りくる水晶屍人の群れへ、枦山・涼香(烈華なる黒狐・f01881)は毅然と告げる。
「わたしが焼き清めて差し上げます!」
涼香は己の周りに浮かぶ青白い狐火を、自らの妖気を糧に激しく燃え上がらせながら放った。
黄泉路への道導。この世ならざる存在の全てを焼き尽くす――蒼い焔。
それを敵の合間に撃ち込んで一群を個々に分断させ、涼香は孤立させた一体との距離を詰めた。
「――参ります」
身の丈を超える朱の大太刀をすらりと抜き放ち、水晶屍人へ斬り掛かる。
肉ではなく、骨を断つ手応えがあった。確かに、斬った。
けれど元より痛覚を持たないであろう屍人はそれを気に掛ける様子もなく、涼香の華奢な身体を喰らおうと貪欲に掴み掛かってくる。
繰り出された爪を咄嗟に大太刀で弾き、涼香は後方へ下がって僅かに距離を取った。そして、息をつく間もなく再び仕掛けてゆく。
元より無傷で切り抜けられるほど器用な質ではない。だから多少の傷は構うことなくそのままに、急所を狙った致命的な一撃だけを確実に見切ることに精神を集中させつつ、涼香は好機を窺いながら激しく攻め立てる。
やがて、その一瞬は訪れた。
僅かに勢いを失くした甘い一撃の気配に涼香は我が身を顧みず屍人の懐に飛び込み、振るわれた爪に肉を抉られる痛みを感じながらも淡々と紡いだ。
「狐火よ、刃に集いなさい。我が妖気を糧として、いっそう燃え上がりなさい」
凛と響く声に従って、涼香の周囲を舞う全ての狐火が大太刀へと収束し、刀身を破魔の業火で包み込む。
「――是、理外の炎を以て、理を歪め断つ刃なり」
刹那、横薙ぎの鮮烈な一閃が、青白い尾を引いて屍人を斬った。
「オオオオオッ……!」
一刀両断。胴を真っ二つに断たれた屍人は蒼い炎に包まれながらとうとうその場に倒れ、崩れ落ちてゆく。
「……あなたの嘆きはしかと受け取りました」
大太刀を鞘に収めながら、涼香は静かに告げた。
「真なる悪を焼く業火と変えて、黒幕共に返すとしましょう」
大成功
🔵🔵🔵
ユノ・フィリーゼ
誰もが望まぬその未来を
まだ変えられるというならば―
剣を取ることに迷いはない
(これ以外の救いの術を、私は知らないから)
招かれた悲劇に終幕を
災いの招き人を罰するのはそれからでも、遅くない
視界の内に村人を見つけたら、
危険のない様、遠くへ逃げてと一声を
向き合う屍人へは剣と蹴撃でお相手を
見切りと残像、時には空中浮遊も利用し
可能な限り攻撃は回避に努める
一瞬の隙を見つければ、
盟約の歌を奏で鋼鳥を呼び
立ちはだかる彼等へと、嗾ける
これは私から彼等に贈る葬送歌
この子達が貴方達を眠りに導いてくれる
身と心を苛む苦しみも、もうすぐに消えるわ
だから、どうか、その歩みを止めて。目を閉じて
希望は、きっと其処にあるから
「危険のない様、遠くへ逃げて――」
視界に捉えた村人にそう声を掛け、ユノ・フィリーゼ(碧霄・f01409)は村へ迫りくる水晶屍人の群れ、その内の一体と対峙する。
襤褸切れのような、けれど服だとわかる布を纏い、両の肩から巨大な水晶の柱を生やした、骸。
この世界を襲う災禍の傀儡と成り果てた屍人達は、けれど誰ひとりとして、こうなることを望んではいなかったはずだ。
そんな彼等が、誰もが望まぬ絶望に閉ざされた未来をこれから齎そうとしている。
それをまだ変えられると知っているから、ユノは迷うことなく剣を取った。
まずは絶望の終焉を打ち砕き、この地に招かれた悲劇に終幕を。
――災いの招き人を罰するのは、それからでも遅くはない。
琴抱く銀の刃と淀んだ色を宿す屍人の爪が交差して、ギィン! と甲高い音を立てる。
飢えた本能のまま力任せに繰り出される乱撃の軌道を正確に見切り、躱して、ユノは的確に屍人の力を削いでいく。
目の前の獲物を捉えられないことに苛立ちを滲ませる屍人の拳が残像を抉るように貫いて散らし、驚愕したその隙にユノはふわり、軽やかに後方へと跳んでいた。
生じた一瞬を逃さず、ユノはそのまま竪琴の弦に指を滑らせ、唇に歌を乗せる。
水晶の骸を鮮やかな空色の瞳に確りと捉えながら、遊んでおいで、と奏でるは盟約の歌。
柔らかな、けれど確かな強さを秘めた旋律に乗って羽ばたいた美しき鋼鳥の群れが、愛らしく囀りながらも鋭い刃の翼で屍人へ襲い掛かった。
――これは、彼等に贈る葬送の祈りの歌。
過去は過去へ、在るべき場所へ。
そして、魂は空の彼方のその先へ。
(「……これ以外の救いの術を、私は知らないから」)
天を映す蒼穹を悲しげに細めながら、ユノは屍人が動きを止めるまで、全てが終わるその時まで歌い続ける。
ユノの澄んだ歌声に応えるように、鋼の鳥達は舞い踊る。無慈悲な刃を閃かせ、水晶の柱も肉も骨も、等しく斬り裂いていく。
「……この子達が貴方を永遠の眠りに導いてくれる。身と心を苛む苦しみも、もうすぐに消えるわ」
やがて力を失い、眠るように崩れ果ててゆく屍人へ、ユノは願うように告げた。
「だから、どうか。――その歩みを止めて。目を閉じて」
そうすればきっと、そこに希望を、そして安らぎを見つけることが出来るから。
大成功
🔵🔵🔵
尭海・有珠
蹂躙されるのなど見過ごせないな
その上、餓えるのも大事な人が目の前で死ぬのも…屍人となって彷徨うのも
私なら苦しい
自分が辛かった事を、平穏に生きようとする人に味あわせたくはない
村に入る前に接敵、撃退
今の内にお前達は逃げろと村人へ声かけ
早めに敵へ攻撃を仕掛け注意を自分へと向ける
誰かの肉を喰らうことだって耐え難いだろうに
敵の攻撃は剣と杖で遮りつつ、威力重視の炎の≪憂戚の楔≫で攻撃
高速詠唱と2回攻撃によって多段に撃ちこみ、威力は全力魔法・属性攻撃で更に強化
燃やしてやる、ここに留まらずに済むように
どこへなりといけるように…身綺麗な魂で逝けるように
先に逝った自分の師も、魂が歪まず逝けてるようにと思いながら。
罪のない無力な人々が蹂躙されるなど、見過ごせるはずがあるだろうか。
(「……私なら苦しい」)
生きるために必要な食事さえ出来ずに飢えるのも、目の前で大切な人が奪われ、そして、屍人となって彷徨うのも。
尭海・有珠(殲蒼・f06286)が重ねるのはいつかの自分。
平穏に生きようとする人々に、自分が経験して辛かったことを味わわせたくはない――その想いで、有珠はこの地に降り立った。
「今の内に、お前達は逃げろ」
凛々しくも柔らかさを帯びた声が、迫りくる異形――水晶屍人の驚異に、ともすれば押し潰されかけていたであろう村人達の背を押した。
村人達が無事に離れていったのを確かめた有珠はすぐに眼前の敵へと向き直り、改めて目にする屍人の凄惨な姿に眉を寄せる。
「……誰かの肉を喰らうことだって耐え難いだろうに」
目の前にいるのはまさしく、誰かの肉を喰らいながらも生き長らえることが叶わず、朽ちてこの地に縛り付けられた魂とその器にされた――生きていたひとだったもの。かつてこの地に生き、そして凄惨な最期を遂げた人々の怨念がかの屍人達を突き動かしているのだと思えば、一刻も早く終わらせなければと駆られるように飛び出していた。
海を抱く青の仕込み杖を振るい、有珠は水晶屍人の意識を引きつける。
「グガアアアアッ――!」
喰らいつこうとする飢えた牙を、肉を抉ろうとする鋭い爪を、有珠は澪棘と海昏――青の仕込み杖と藍の黒剣を巧みに振るって捌きながら、その間に詠唱を終えていた。
「来たれ、世界の滴――凝れよ、奔れ、『憂戚の楔』」
有珠は海を映した青の瞳で確りと屍人を見据え、膨大な魔力を注ぎ込んで生成された炎の杭を屍人の心臓へ打ち込んだ。
足りなければ二本、三本と立て続けに魔力を編み上げて、絶対的な破壊の意志と力で水晶屍人を、その全てを燃やし、浄化してゆく。
哀れな亡者の魂が、これ以上この地に留まらずに済むように。
何者にも縛られることなくどこへなりとも行けるように、――身綺麗な魂で、逝けるように。
「オオオオオ……!」
響く断末魔に有珠は唇を噛み締めながらも、決して目は逸らさずに。その身が朽ちて燃え尽きるまで見届けてから、静かに願いと祈りを捧げた。
(「――どうか、」)
先に逝った自分の師も、魂が歪められることなく綺麗な姿形のままで、逝けているようにと。
大成功
🔵🔵🔵
ライラック・エアルオウルズ
倒せど、倒せど、――数が多いな
迎える屍人の数が示す物が、
嘗て人が迎えた絶望の数だと思えば
彼等を哀れむ心もあるけれど
だからこそ、此処で終わらせなくてはね
続く絶望も、次ぐ絶望も
去る人にどうか無事で、と声を掛け
念の為に入り口を防ぎ乍ら
威力を強めるべく《全力魔法》を注ぎ、
《高速詠唱》で魔導書を花弁へと変え
対峙する数が多ければ、
多くを狙う《範囲攻撃》として放ち
少なければ水晶等を集中的に狙って、
極力《武器落とし》を試み有利となる様に
《第六感》で閃光の前触れは察知し、
迅速な攻撃での《カウンター》で防ぐ
弔い花にしては、足りなくとも
それでも、ささやかに、唯々祈ろう
どうか、静かな眠りを
――次の生は幸いに溢れる様に
倒せど、倒せど、――何処からともなく沸いてくる、亡者の群れ。
「……数が多いな」
ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)は小さく零す。しかもここに現れた屍人達はごく一部で、ここで惨劇の一つを食い止められなければ更にその数を増やし、文字通りの絶望をこの地に齎すことになるのだという。
肩に水晶の煌めきを抱く屍人達。それは見た目こそ同じでありながら、先日まみえた彼らよりも強化されているという、存在。
ここで迎えるその数が示すのが、嘗て人として生きた彼等が迎えた絶望の数だと思えば、彼等を哀れむ心もあるけれど。
「……だからこそ、此処で終わらせなくてはね」
続く絶望も、――次ぐ絶望も。終わらせられるのは、自分達だけなのだから。
去りゆく人々にどうか無事でと声を掛けつつ、ライラックは村の入り口を塞ぐように立つ。
一人、二人、と屍人の群れを数える内に、既にそこに収めるものを持たない空っぽの眼窩がこちらを見ているのに気がついた。
「僕の相手は、あなたかな?」
無論、答えが返るはずはない。だが、ライラックは目の前に現れた水晶屍人の一人に確かめるように問い掛けると、すぐさま煌めく星が散りばめられた魔導書の表紙をなぞり魔力を籠めた。
一撃に全ての力を注ぎ込む勢いで滑らかに詠唱を紡ぐと、開かれた魔導書の頁が風に煽られるように捲られ、端から淡く綻んでゆく。
暖かなる春に咲くリラの花びらが、真っ直ぐに屍人の肩に突き立てられた水晶目指して駆け抜けた。ライラックが届くようにと願った先、水晶と肩の境を優しく溶かす花弁が、まるで呪いから解放するように水晶を切り離す。
ごとりと、地面に落ちた水晶が一つ、砕けて転がる。
だが、まだもう一つ残る水晶に、屍人は昏い魔力を巻きつけた。
研ぎ澄まされた第六感がライラックに危機を告げる。同時に現れた水晶の霊が眩い閃光を放つより先に、舞い踊るリラの花弁がライラックの指先が示すままに水晶の霊を覆い隠した。
「やれ、危ない所だった。……さて、」
そうしてもう一度、リラの花達を空に放てば。まるで天から降るように屍人の上に積もる花弁が、全てを包み、解いてゆく。
凍えるような冬の終わりから、たくさんの命が芽吹く春へ。――新たな始まりへ。
リラ達が再び魔導書へ戻った時には、水晶も、相対していた屍人の姿も何処にもなく。
弔いの花には足りなくとも、それでも、ささやかに――ライラックは唯々、祈りを捧げた。
(「どうか、静かな眠りを」)
そして、――次の生は幸いに溢れる様にと。
大成功
🔵🔵🔵
呉羽・伊織
【清史郎(f00502)】と
怨嗟に馴染んだ身ですら、今のこの地の空気は酷くひりつく
ああ、こんな痛歎と無念を重ねるなんてあっちゃならない
頼りにしてるぜ、清史郎
信に応えてみせるとも
UC使い高速で敵前割込
余所見なんざ許さねーよう牽制に
「大丈夫。皆揃って平和な暮らしに戻れるよーに、ちゃんと守ってみせっから」
と言葉重ね後押しも
清史郎と連携し残像やフェイント混ぜ敵の目を撹乱
逆に敵の動きから癖や隙の情報収集
何か掴めば共有し見切りに繋ぐ
俺は自由な敵牽制>範囲で弱った敵撃破に
武器二種駆使し2回攻撃で腕と肩狙い
部位破壊や武器落としで被害軽減を
あの惨劇を、その手で招いてくれるな
お前達は、これ以上苦しまなくていいんだ
筧・清史郎
【伊織(f03578)】と
強化水晶屍人の量産も勿論、阻止せねばならないが
何より、この様な非道な行為を許すわけにはいかない
心強い友と、外道の目論みを打破してやろう
ああ、征こう伊織
敵の意識が向くよう派手に立ち回りつつ、村人に声を
「此処から先へは、俺達が屍共を1体たりとも通しはしない。落ち着いて避難を」
伊織と声掛けつつ、残像や見切り駆使し敵を攪乱するよう動こう
俺は【百華桜乱の舞】の範囲攻撃でより多くの敵を攻撃
水晶の霊ごと桜吹雪で蹴散らそう
敵全体が弱ってくれば伊織と連携し刀で確実に1体ずつ葬る
元はこの屍も人で在ったもの
だがこれ以上悲劇を生まぬよう、確りと在るべき場所へ送ろう
それがせめてもの弔いとなれば
これより訪れる惨劇が現実のものとなってしまったならば、多くの人々が餓死させられ、その怨念により数多の兵器が生み出されてしまうこととなる。
無論、それも阻止しなければならないことのひとつではあるけれど。
「……何より、この様な非道な行為を許すわけにはいかない」
静かな怒りを瞳に称えながら想いを吐き出す筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)に、呉羽・伊織(翳・f03578)はああ、と頷いてみせる。
怨嗟に馴染んだ身にすら、今この地に満ちる空気は酷くひりつくと伊織は感じていた。
「こんな痛歎と無念を重ねるなんてあっちゃならない。……頼りにしてるぜ、清史郎?」
「ああ、征こう伊織。外道の目論みを打破してやろう」
頼もしい友と肩を並べて戦えることは心強く。微笑む清史郎に伊織も笑みを返して。
信に応えてみせる――それは語らずとも互いの胸に灯る確かな想い。
「此処から先へは、俺達が屍共を一体たりとも通しはしない。どうか落ち着いて避難を」
「大丈夫。皆揃って平和な暮らしに戻れるよーに、ちゃんと守ってみせっから」
水晶屍人の悍ましい姿に竦み上がる村人達へ清史郎が掛けた声に、伊織も力強く笑み浮かべながら言葉を重ねる。
そうして、礼の言葉を残し村人達が次々に避難してゆく中、二人が放つ剣気に気づいた屍人達が二体、咆哮を上げながら駆けてくる姿が傍目に捉えられた。
「余所見なんざさせねーよ」
すかさず伊織は黒き妖刀が放つ怨念を身に纏い、一息に屍人達との距離を詰め――斬撃が生み出す衝撃波で牽制しながら屍人へ吐き捨てる。
清史郎も桜花舞う蒼き刀を手に、優雅でありながら派手な動きで屍人の狙いを引きつけるように立ち回る。
屍人達の動きは強化されていることもあって素早いものの、屍人であるがゆえに思考が伴わない、ごく単純なものだった。
敵の動きを注意深く探りながら戦っていた伊織はすぐにそれを見切り、武器を持つ屍人のさらなる牽制に。
残像で翻弄し、抜く手も見せずに投げつけた手裏剣で狙うと見せかけながら黒刀の一振りで屍人の武器を落とす。
その時、清史郎が相手取っていたもう一体の水晶が光を帯びるのを見て、伊織は鋭く声を上げた。
「来るぞ!」
「ああ、――躍り咲け、八重桜」
屍人の肩に生える水晶から霊が解き放たれると同時、清史郎は蒼き八重咲きの桜纏う神霊体へとその身を変じさせ、ひらりと扇を翻した。
桜吹雪を伴う衝撃波が、屍人達へ放たれる。風に舞う桜吹雪に呑み込まれるかの如く霊が掻き消え、水晶の柱に罅が入る。
「あの惨劇を、その手で招いてくれるな」
すぐさま、伊織が馳せた。冷ややかなる黒刀の一振りは音もなく、ただ静かに終焉を運ぶ。
「お前達は、これ以上苦しまなくていいんだ」
一刀の元に斬り伏せられた一体が、崩れ、倒れた直後。
「これ以上悲劇を生まぬよう、確りと在るべき場所へ送ろう」
元は人で在った屍人達が、その手を穢さずに済むように。
それがせめてもの弔いとなれば――そう想いながら清史郎もまた蒼刃を閃かせ、舞う桜の花弁と共にもう一体を、斬る。
――後に残るは静寂。
そして、空を翔けるように桜花を攫って吹き抜けていった風は、まるで屍人達の魂をも空の彼方へと導いたように感じられた。
大成功
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篝・燈華
あやちゃん(f10370)と
餓死したひとが屍人となって、同じ苦しみを生み出す……
そんな悲劇を、繰り返させる訳にはいかないよ
だってお腹いっぱい食べると、すごく幸せになれるんだ!
その気持ちをどうか、最期に思い出して欲しいんだよ
うん、あやちゃん、苦しまずに終わらせようね!
【稲荷寿司】を使用
身も心もお寿司になったつもりで立ち向かうんだ
護りを強化して、注意を引き付け盾になって
屍人さんの苦しみを、全身で受け止めてみせるよっ
屍人爪牙で喰らい付かれても、覚悟を決めて相手を離さずに
ひらり舞う、あやちゃんの戦いに見惚れつつ
霊符を放って援護するよ
無事に終わったら、油揚げをお供え
うん、お腹一杯の夢が見れてるといいな
浮世・綾華
燈華(f10370)と
飢餓っつーのは人間にとっちゃ
相当辛い死に方だったんだろうな
燈華の言葉にふと彼と食事をした時のことを思い出し目を細め
嗚呼。早く終わらせてやろう
先ずは一人か二人、柘榴石を揺らし誘惑で引き付け
高速攻撃には絡繰ル指で複製した鍵刀を割り振り行動阻害
「よし、燈華…って、いなりずし?」
燈華に一瞬目を奪われるも、いかんいかん
食われてんなよと思いながらも鍵刀を向かわせ
「美味そうだからってそっちばっかみてんな?」
鍵刀を操りつつ自身もそれを握り接近
衣をひらりフェイントを使い燈華と連携
護符で出来た隙を狙い傷口を抉る
最後に稲荷寿司、食う夢見られるんじゃねーかな…多分
供える隣、そっと手を合わせる
「飢餓っつーのは人間にとっちゃ、相当辛い死に方だったんだろうな」
ヤドリガミである身には、おそらくは体験のしようがない感覚。ゆえに想像を巡らせながらぽつりと零した浮世・綾華(千日紅・f01194)に、灰銀色の狐耳と尻尾をしょんぼり垂れさせながら、篝・燈華(幻燈・f10370)は悲しげに頷く。
「餓死したひとが屍人となって、同じ苦しみを生み出す……そんな悲劇を、繰り返させる訳にはいかないよ」
だって、と振り向いた燈華の緑の瞳には真剣な光が満ちていた。
「お腹いっぱい食べると、すごく幸せになれるんだ! その気持ちをどうか、最期に思い出して欲しいんだよ」
どこまでも真っ直ぐな燈華の言葉に、綾華はふと――以前彼と共に食事をした時のことを思い出し、紅色の瞳を柔らかく細める。
「――嗚呼。早く終わらせてやろう」
鍵刀の鎖をしゃらりと揺らしながら紡ぐ綾華に、燈華は大きく頷いてみせる。
「うん、あやちゃん、苦しまずに終わらせようね!」
綾華は耳元を彩る緋色の柘榴石を揺らし、水晶屍人を引きつける。
赤々と燃えるいのちの色が誘き寄せた屍人は二体。我先にと錆びついた鍬を振り回しながら掛けてくる屍人に、綾華はすかさず鍵刀を複製し、動きを阻むべく嗾けた。
――その、間に。
「じゃーん! とっておきの、稲荷寿司ー!」
燈華は干したての、おひさまの匂いがする稲荷寿司柄のお布団に包まり、稲荷寿司に。
けれどもこれは燈華の立派なユーベルコード。
自身の【移動速度】を代償に、自身の【防御力と射程距離】を強化する――つまりは身も心も稲荷寿司になることで、護りがものすごく強化される必殺技なのである。
「よし、燈華……って、」
――いなりずし?
あまりにも予想だにしていなかった燈華の姿に綾華は一瞬目を奪われながらも、いかんいかんと頭を振って。
「大丈夫! 僕が盾になるから、あやちゃんは気にせず攻撃を続けてっ!」
そして、宣言通りに。
稲荷寿司の風格を漂わせる燈華の姿を水晶屍人達が食べ物だと判断したかは定かではないが、屍人達にとって燈華と綾華、どちらがより攻撃しやすいか、喰らいやすいかは一目瞭然。
すぐさま標的を切り替えた屍人達が燈華へと牙を剥いた。
強靭な牙で噛みつかれても、鋭い爪を振り下ろされても、強化された守りの力――もとい稲荷寿司柄のお布団が全てを受け止める。
燈華は不退転の覚悟を持って、屍人達の牙も、そして彼らが抱いている苦しみや痛みも全力で受け止め、離さずにいた。
(「……食われてんなよ」)
思わず心の中で真面目に呟きながらも、綾華は鍵刀を屍人達へ向かわせ、自身もまたそれを握りながら距離を詰めた。
「美味そうだからって、――そっちばっか見てんな?」
「グルアアアッ!!」
食事の邪魔をするなとばかりに振り抜かれた腕が捉えたのは綾華が纏う紅の衣。
そのままひらりと身を躱し、綾華は鍵刀で斬り上げる。
舞うように戦う綾華の姿に見惚れていた燈華は、はっと我に返り自身も霊符を放って綾華の援護を。
「グアッ!?」
ささやかな閃光と共に爆ぜた霊符が生み出した一瞬の隙を逃さず、綾華は屍人の心臓を抉るように鍵刀を繰り出した。
二人は息を合わせ、屍人達を一人ずつ確実に、在るべき場所へと還していく。
やがて全ての屍人が倒され、村へと迫っていた驚異は無事に払われた。
燈華が屍人達へ大好物の油揚げを供えるのを見て、綾華はぽつりと。
「最後に稲荷寿司、食う夢見られるんじゃねーかな……多分」
「うん、……お腹一杯の夢が見れてるといいな」
現世では叶わなかった願いも、きっと、夢の中でなら。
静かに手を合わせる燈華の隣で、綾華もそっと手を合わせ、祈るように目を伏せた。
大成功
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