エンパイアウォー⑧~生存の道を切り開け
●死への一本道
鳥取城近辺に響く悲鳴は未だ絶えず。この山間の村にもまた、魔軍将・安倍晴明の魔の手が伸びる。
「ばっ――バケモンだああ!!」
「こっちだ! 早く逃げろ!!」
水晶屍人の群れが村に押し寄せ、村人はじりじりと村の端へ追い詰められていく。
とは言え、袋小路というわけではない。少々険しいが山道が伸び、村を捨てれば逃げ延びることができる。
「あああああ! この子だけは! この子だけはぁ!!」
まだ立ち上がることもままならないほどの幼子を抱きかかえ、水晶屍人へ命乞いをする母親があった。涙と恐怖で顔はぐしゃぐしゃになり、それでもなお泣き、喚き、この地獄からの救いを仏に希った。
母親に手を差し伸べたのは――水晶屍人だった。鋭い爪をずぶりと、背中の中央やや上に突き立てた。爪の先端は肉と骨をかき分け心臓を突き、母親は一瞬吐息ほどの、声にならない声を上げて絶命する。
水晶屍人は両腕を使い、死体となった母親を持ち上げ、喰いついた。肉は柔らかく、血液が地面にべちゃべちゃと撒き散らされる。力ない腕の中から幼子が真っ逆さまに地面へ落ちた。
ぎゅう、と潰れた声を出し、幼子は動かなくなる。母親を貪る水晶屍人の後ろから別の水晶屍人が顔を出し、爪を体の下に差し入れて幼子を拾い上げた。
体を包み込むように握る。そして小さな頭に噛みつき、砕いた。くちゃっと潰れた脳が口の中に広がり、脳漿がぷちゅんと弾けた。
喰われた母子を目の当たりにした村人達は呼吸もままならぬ程に怯え、腰を抜かしていた。嗚咽と吐き気が交差して襲い、気を失う者も出た。
まだいくらか精神を保てた者が彼らを引きずり、村人達は山道を辿り逃げていく。
その先には鳥取城がある。
そこは、「餓え殺し」が待つ死の城だった。
●
「水晶屍人です……水晶屍人が、また出ます」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は集まった猟兵達へ静かに告げる。
「他のグリモア猟兵の方々も同じような事件を報告していますので、概要は知っている方も多いかと思います。安倍晴明は人を閉じ込めて飢え死にさせる『餓え殺し』を行うことで戦力を増強し、幕府軍を皆殺しにしようとしているようですね」
餓え殺しのための人を集めるのが、水晶屍人の役目だ。近隣の村などを襲い、手近な人間を喰い殺すことで恐怖を植え付け、鳥取城へと追い立てる。少ない数で大量の人間を鳥取城へと移動させる合理的な手段だ。
「人の命を使い、さらに人の命を奪う兵器を作るなんてことを、許してはいけません! 絶対に、止めましょう!」
ロザリアは強く声を上げる。
「今回は鳥取城の近くにある山間の村になります。水晶屍人が村人を襲うところに駆けつけて、水晶屍人を倒せば任務完了ですね。地形の関係上、逃げ遅れている村人達を私達と水晶屍人が挟むような格好になってしまうため、先手を取っての奇襲などは難しいと思います」
任務の成否については現れた水晶屍人の全滅のみが条件ではあるが、当然村人の命も助けたいところだ。
「この村を救えるのは皆さんだけです。どうか、よろしくお願いします」
沙雪海都
●このシナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
沙雪海都(さゆきかいと)です。
台風が来ますけどネット環境が途絶えない限り書き続けます。
●概要
『水晶屍人』との集団戦です。
場所は山間の村です。猟兵達が到着したところから前方に逃げ遅れている村人が見え、そのさらに先から水晶屍人がやってくる。そんな情景をイメージして頂ければと思います。
左右は山です。そこを乗り越えて初手から側面を取る、裏に回るといった行動は時間の無駄になる(失敗or不採用)と思われます。
正面から普通にぶつかっていっても十分倒せると思いますよ。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『水晶屍人』
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POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィロメーラ・アステール
「水晶屍人はココで通行止めだー!」
両側が塞がってるなら話は早い!
ここで食い止めればいいってワケだろ?
【空中戦】テクと【残像】の【ダッシュ】でひとっ飛び!
村人を飛び越えて、敵との間に陣取るぞ!
そして【日輪の帷帳】を発動!
【破魔】の炎を連ねて、燃える【オーラ防御】の壁を作るぜ!
これは結界の炎だから、体力任せに通り抜けるとかは難しい!
【気合い】を入れた、より大きな炎で範囲をカバーする!
壁を作った後は逃げ遅れた村人や、通り抜けてくる敵に対処!
【念動力】で【グラップル】して【空中浮遊】させるぞ!
村人を安全圏まで運んだり、敵を壁の向こうに戻したりする!
というか敵は【投擲】しちゃっていいな、ポイポイ!
ヴィクトリア・アイニッヒ
陰陽師『安倍晴明』。
生命を弄ぶその所業、悪逆極まるとは、この事です。
…必ず、報いは与えます。その為にも、まずは目の前の人々を救わなければ…!
まずは、逃げ遅れた人々の救助を。
【コミュ力】【礼儀作法】【優しさ】【救助活動】を活かし、逃げ遅れた人々の動揺を少しでも抑える。
その上で、私から離れない様にとお願いしつつ…【かばう】様に前へ出て、屍人の群れと相対します。
UC『神威の光剣』。
虚空から無数の光剣を降らせ、敵の四肢を穿つこの業を…今回は、敵と民を遮る防壁代わりとして使用します。
光剣で防衛戦を敷き、そこを越えさせないように戦いましょう。
主よ。無辜の民を守る力を…此処に!
※アドリブ・連携歓迎です
●ホーリーファイアウォール
「両側が塞がってるなら話は早い! ここで食い止めればいいってワケだろ?」
「ええ。陰陽師『安倍晴明』……必ず、報いは与えます。その為にも、まずは目の前の人々を救わなければ……!」
「オッケーオッケー! うおおーパワーが湧いてきたぜー!」
びゅーんと一直線にフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が飛び、続いてヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)が駆けていく。
水晶屍人は最も惨いと言われる殺され方をした住民の怨霊を利用して生み出されたもの。
人と扱われず奪われた命を使い、またも人の命を贄に願望を成就させようとしている安倍晴明。その悪逆極まる所業に、ヴィクトリアは強い憤りを覚えていた。
フィロメーラが逃げ遅れている村人達の頭上を越えていく。途中、軽やかに宙でステップを踏み、残像を残しながら水晶屍人との間に陣取った。
体は小さい。しかし宙に残った残像で存在感が増し、水晶屍人はフィロメーラを認識して歩を止める。
『燃え盛る星の護りよー!』
両手を空へぐんと突き上げたフィロメーラの頭上に、守護結界の炎が合計五十一個、ポップコーンが弾けるように現れた。それらを操作し破魔の力も併せて練り上げ、燃えるオーラ防御の壁を展開した。
「これは結界の炎だ! 体力任せに通り抜けるとかはきっと難しいぞー!!」
フィロメーラが水晶屍人に立ち向かい押し留める中、ヴィクトリアは後方で村人達の救助を行っていた。
「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」
「わ、わしは大丈夫じゃが、あのバケモンを何とかしてくれぇ!!」
「わかりました。私達が必ず、この村を救ってみせます。……ここは危ないので、少し離れましょう」
ヴィクトリアは足腰が弱り、逃げるのが困難だった老人を背負い、子供や青年を励ましながら、一旦後方に下がっていく。相手に合わせた気遣いを忘れず、礼節を持って振舞うヴィクトリアの姿に村人達は落ち着きを取り戻していた。
「何が起こるかわかりませんから、できるだけ離れないようにしていてください」
村人達を背にかばい、ヴィクトリアが水晶屍人に向かう。間にはフィロメーラが作り出した炎の壁がある。その守りを、より強固なものにするために。
「主よ。無辜の民を守る力を……此処に!」
祈りを捧げれば、戦いの中で幾度となく敵の動きを封じてきた光剣が地上に降りてくる。ヴィクトリアは戦場を見据え、光剣を勢いよく空へ走らせた。そのまま水晶屍人へ殺到するかに見えたが、光剣はぎゅんと進行方向を下に変え、炎の壁の両側を埋めるように地面に突き刺さった。
「おぉ、光と炎が合わさって最強の壁だ! 村人も……大丈夫みたいだな!」
戦いの中で対応が必要なら念動力などを使っての対処も考えていたが、ヴィクトリアが統制をとっていたのでその必要もなくなった。
あとは決して壁を突破されぬよう、全力で守るのみ。
「ウウ……アアア……」
水晶屍人の肩に生えた水晶が輝き、半透明の霊体が滲み出てきた。自身を召喚した水晶屍人の頭上をくるっと一度回ると、二人が作った壁に向かって眩い閃光を放ってきた。
「眩しっ……けど何ともない!」
一瞬で世界を呑み込む光に、フィロメーラは咄嗟に目を瞑り炎の壁の後ろに引っ込む。光が破魔の力と相殺し、水晶屍人の攻撃を防いでいた。
「もっと炎を大きくして完全ガードだ! 気合いだー!!」
目をぱちりと開いたフィロメーラが炎をどんどん大きく広げ、上部まで手厚く守っていく。せり上がった炎に光は全く通り抜けることができなくなった。
すると、今度は力づくで突破しようと、水晶屍人が霊体と共に壁へと迫ってきた。
「絶対に、通しませんよ……!」
霊体が光剣の隙間を狙うところへ、ヴィクトリアが強く祈りを捧げた。光剣の間に薄い力の膜が生じ、霊体は弾かれ水晶屍人のところまで追い返される。
「近づくなー! ちーかーづーくーなー!!」
水晶屍人は炎の中へ腕を突っ込み破壊しようとしていたが、破魔の炎の強烈な熱量に耐えきれず引っ込める。そうして時間を食っている間にフィロメーラが念動力を飛ばして水晶屍人を掴み、奥へポイポイ放り投げて戦線を押し戻していた。
壁を抜けられず、猟兵達へも全く手が出せなくなった水晶屍人。
追い詰めた。あとは鉄槌を下すのみだ。
大成功
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グルクトゥラ・ウォータンク
【アドリブ共闘歓迎】
はてさて、出現位置が悪いの。こうなると策も打てんし攻撃手段も限られる。ゆえに、ここは古典的かつ正統派でいこうか。
UC起動。召喚するボールズは事前に【武器改造】で【スナイパー】仕様のものと迫撃砲仕様のものを用意。スナイパーが【先制攻撃】で先頭のゾンビの足を撃ち抜くことで流れのダマを作り、全体の走る速度を削っていく。そして村人を巻き込まぬよう注意しつつ迫撃砲で【範囲攻撃】を強化した『チープトイ』を射出、群れにダメージを加えていく。要は離れた場所から一方的に叩く。王道じゃな。
正直わしは今回村人の救助とか出来んからの。他の猟兵と組んで【援護射撃】をしていたいところじゃ。
七瀬・麗治
※闇人格・ロードとして登場。戦好きの狂暴な性格。
ああ、いい怨念に満ちているな。強い業の匂いがするぞ。飢え死には苦しいからなァ……。水晶屍人か。これを作った奴は余程お気にいりの作品らしいな。
「行くぞ。戦いの時間だ!」
【ファントムホース】を発動、黒い騎馬型のUDCを呼び出し、〈騎乗〉して戦う。村人を無視して敵陣に突撃し、体当たりで〈吹き飛ばし〉て強引に突破。倒れたところを、さらに蹄で〈踏みつけ〉て追い討ちをかける。
「まるで手応えが無いなぁ!ゴミがっ!」
黒剣を抜き、馬上から〈怪力〉〈鎧砕き〉の斬撃を振り下ろす。あの水晶を砕けば、力を奪えるのか?
●もはや蹂躙に等しく
「はてさて、出現位置が悪いときたか……こうなると策も打てんし攻撃手段も限られる。故に、ここは古典的かつ正統派でいこうかの」
グルクトゥラ・ウォータンク(サイバー×スチーム×ファンタジー・f07586)が戦場の地形を確認し準備を始めるその横を、七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)は脇目も振らずすり抜ける。
「ああ、いい怨念に満ちているな。強い業の匂いがするぞ。飢え死には苦しいからなァ……」
今の麗治は麗治ではない。多重人格者が保有する別人格。白銀の髪に狂気を孕んだ青眼。彼はロードと称される。
自分の世界に浸るロードを、グルクトゥラは黙って見送る。
(連携は……こっちが勝手に合わせておけば問題ないじゃろう)
あえて声はかけない。ロードのようなタイプは好き勝手に暴れさせたほうがよく動くと判断した。
「行くぞ。戦いの時間だ!」
ロードは自身の身長の二倍の黒い騎馬型UDCを召喚し、その背中へ飛び乗るとすぐさま脚を入れ走らせた。
他の猟兵が村人を誘導し、防御壁の一画に抜け穴を開く。ロードの覇道を塞ぐものは何もない――いや、
「邪魔だァ!!」
抜け穴の先。急に開いた部分から壁を通り抜けようとしていた水晶屍人に、UDCをぶち当てて敵陣へと突っ込んだ。成人男性と同程度の体躯の水晶屍人は重量と速度が掛け合わされた高威力の突進をまともに食らい、バラバラに砕けて飛び散っていく。唯一生えていた水晶だけがひび割れながらも形を残し、鈍い音を出して地面に落下し転がっていった。
「水晶屍人か。これを作った奴は余程お気にいりの作品らしいな」
見渡し、水晶屍人を確認する。強化型であるためか、数は多くない。
水晶屍人は侵入してきたロードへ、手にした鍬を両手で振り回し迫ろうとした――が。
「ちょいと派手にいかせてもらうぞい!」
壁の内側からの後方支援。グルクトゥラが召喚したボールズが低い位置からレーザー弾を撃ち出した。前に立っていた水晶屍人の足が撃ち抜かれ、後ろから殺到しようとしていた別の水晶屍人が急に止まったところへ突っ込んで縺れていく。
意気揚々と攻撃行動を起こしていただけに、鍬がガチガチとぶつかり合って、集団は一層混迷を極めていた。もはや絡まった毛糸玉状態。
これぞスナイパー。グルクトゥラが改造を施したボールズが敵の急所を的確に捉えていた。
「おいおい、まるで話にならんなァ」
互いの鍬や腕が引っかかり身動きがままならない水晶屍人の塊へUDCが真正面から突っ込み、吹き飛ばす。衝撃で強制的に縺れから解放された水晶屍人が散らばる中へ、ロードは再び脚を入れてUDCに駆け回らせた。
「一遍、土ン中から出直してこいこのゴミがっ!」
起き上がろうとしていた水晶屍人の真上でUDCは高々と前脚を上げ、全体重を乗せて踏み抜いた。直撃した部分は粉々になり、水晶屍人の体は爆発したかのように破裂四散していく。
「効果は出てるようじゃの。さて、わしももう一仕事くらいはせんとな」
グルクトゥラはスナイパー仕様とは別に改造したボールズを設置する。弾を敵陣へ空中から撃ち込む迫撃砲だ。そこへ『ガジェットボールズ追加武装『チープトイ』』を装填した。チープトイにも範囲攻撃能力強化の改造を施してある。
「離れた場所から一方的に叩く。王道じゃな」
敵陣と自陣は壁により綺麗に区分けされ、村人を巻き込む心配はない。グルクトゥラは射角を微調整し、ドン、と一発撃ち込んだ。
緩い弧を描き、壁を越えて水晶屍人の別集団の頭上に落ちた。たまたま振り上げていた鍬の先端に接触した直後、色々混ぜたものが一気に爆発し、周辺を爆炎が呑み込んだ。
爆発の衝撃で四肢が千切れた水晶屍人の体は爆炎の中で蒸発し、水晶も砕け溶けていく。跡形もなくなる、とはまさにこのことだ。
水晶屍人も残りわずか。ロードは最後の集団に目をつける。どうにか体勢を立て直し、鍬をまた振り回して連続攻撃を繰り出してきた。
「……その水晶が、力の源なのかァ……?」
ロードは黒剣を抜き、連続攻撃を高速で弾いていく。水晶は絶えず輝きを放っていた。
重い金属音が響き渡る。鍬と刃がぶつかり合い、火花が散った。互角の攻防を見せる中、ロードは怪力を発揮して一気に押し切り水晶屍人の鍬を上空へ跳ね上げた。
上体が起きて防御態勢が取れなくなったところへ、鎧を砕くほどの豪快な一撃を肩の水晶に振り落とした。水晶屍人が膝を折るほどの衝撃が水晶の一点に集中し、バキリと折れて落下する。
「アア……アアァァ……!」
水晶屍人は悶え苦しんでいた。水晶が屍人に与えた影響の正確なところは不明だが、弱点であることは確かなようだ。
「あっけない……もう少し手ごたえを感じさせろォ!!」
もう片方の水晶も砕き、最後に頭へ振り下ろし水晶屍人を叩き割った。脳天に走った衝撃が体を真っ二つに裂き、左右に広がって倒れていく。
「状況にあった策を選べば、こんなもんじゃろうな」
後方支援に徹するグルクトゥラが再びスナイパー仕様のボールズで水晶屍人を狙う。味方、敵、地形、状況、全てを把握し、織り込み、実行した支援が水晶屍人を封殺する。
放たれたレーザー弾がロードのUDCの足元を抜けて水晶屍人の足首を穿ち、動きが止まったところへ黒剣が襲い掛かった。
破片となった水晶が輝きを失った。水晶屍人の白目がぶるぶると震え、崩れ落ちたところにUDCの前脚が入り、腹に大穴が開いた。
グルクトゥラが動きを止めた水晶屍人をロードが粉砕――そして、制圧。全ての水晶屍人が倒れ、原形を残していないものもあれば、激しく損傷し転がされているものもあった。
その中に佇むロードは、まさにLordの風格だった。
大成功
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