エンパイアウォー⑧~貪り喰らう屍人
「グルァアアアア!」
「な、なんなんだてめえ!」
鳥取城近くの山中、山賊どもの住処。
ねぐらにしていた廃寺に、突然襲い掛かってきた水晶屍人達。
「ひっ……く、来るな! ぐああああ!」
「あ、兄貴ぃ!」
年嵩の兄貴分は食いつかれ、囲まれる。
「て、てめえ! 食うんじゃね……。」
ギロリ……水晶屍人が視線を上げた瞬間。
「に、逃げろぉ!」
彼らは逃げていった……近くで一番頑丈な建物、鳥取城へ。
「……別に、この人達が死んでも気にはしないけど。
そっちに逃げられると、困るの。」
ぬいぐるみを抱いたまま状況を説明したと思えば、冷たいことを言う編堵。
それはそれとして、作戦の説明を開始した。
「鳥取城に、敵のボスの安倍晴明がいて、そいつが水晶屍人っていうのを作ってる。
今度、もっと強いのを作るために、物を食べさせないで閉じ込めて死体を作る気でいるの。
人間の肉も食べて、生き延びようとしたような、そういう死体が材料。
……なんか、昔はこのお城でも、そういう事があったみたい。
その時の霊と、作った死体で出来上がるんだって。」
淡々と、世間話でもするかのように説明をする編堵。
幼い彼女には、まだ理解ができていないのか、それとも……。
「それで、みんなにはその住処に行って、敵を倒してほしいの。
10体くらいいるから、全部倒してね。
で、あと……山賊たちがそこから逃げ出そうとしてるから、止めてほしい。
お城まで行っちゃうと、材料になっちゃうから。」
お願いします、と首輪に手をかけると、廃寺へのゲートが開いた。
ヨグ
ヨグです、戦争シナリオ第8弾をお送りします。
水晶屍人を退治し、村人を守ってください。
なお、4~6名程度のプレイングを来た順に採用し、書き上げる予定でいます。
それ以上のプレイングが集まった場合、採用できない可能性がありますが、ご容赦ください。
=============================
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
第1章 集団戦
『水晶屍人』
|
POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クリミネル・ルプス
「【遺体】を使うオブリビオンかぁ……」
張り付いた様な笑顔の裏にあるのは迸る様な怒りの感情と冷酷な殺意。過去において母親が『そう』されたコトへの憤り。
戦闘中、戦いながらも、戦場全体や仲間の状態に常に気を配ります。
「匂うで…アンタの…動きが!」
水晶屍人の「屍人乱撃(SPD)」に対し、ユーベルコード「嗅ぎ分けるモノ(パッシブ・フレグランス)」を使うことで、回避します。
「水晶閃光(WIZ)」は視覚ではなく『嗅覚』で対応。
最大の目的は早く敵の群れを殲滅することです。
ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
山賊に関しては死なない程度に攻撃圏から吹っ飛ばしておく。
鈴木・志乃
く、そ、体が
(エンパイアウォー70戦越えにつき疲労が祟っている)
……それでも還すと決めた
必ず貴方を、骸の海に
よいしょ
(念動力で周囲の器物を動かし、山賊を囲むようにぐるっと配置)
……痛いよう、屍人さん
(全力で山賊と屍人の間に割って入る。噛まれようが切り裂かれようが気にしない。知った事ではない)
これだけの至近距離なら何の問題もないもの
……光の鎖を念動力で操って縛り上げるよ
まったく、この手の依頼ずっと同じ技使ってるなぁ
愚直、馬鹿野郎、大変結構
ああ、痛い、痛い
この痛みは貴方の痛みか
祈り、破魔を乗せた全力魔法UCで呪詛も怨念も屍人を動かす一切合切の術式をなぎ払う
もう、おやすみ
大丈夫、寝て、いいんです
梅ヶ枝・喜介
賊どもが襲われる、か!
へっ!しかたねぇナ!困ったときは御互い様ヨ!
おいオッサン!向こうに居る屍連中が見えるかい!
アイツらが噂の織田軍よ!
奴さんらの狙いはオッサンたちを鳥取城に誘い入れる事だ!
この辺で不逞を働いてんなら知ってんだろ!あの曰く付きの城をよ!
ちったあ肝が青醒めたかい?
どんな目に会うかわかんねぇだろ!ケツ捲って逃げっちまいねい!
ここはおれたちが受け持った!
あっ!それからよ!もう賊の真似事なんてするんじゃあねぇぞ!
畑でも耕してまっとうに暮らしな!
さぁてと!これで邪魔は入らねぇ!
あとはテメーら屍人をあの世へ叩っ返すだけだなァ!
木刀を上段へ構え!裂帛の気合いと共に振り下ろすのみ!
月藤・紫衣
飢餓による死、ですか…
飢饉でもないのに、そのようなこと、許してはなりませんね
まず敵を廃寺から退けましょう
【歌唱】による【誘惑・おびき寄せ】で敵を山賊から引き剥がし
【地形の利用】で山中に生えている木々を【高速詠唱】した風【属性攻撃】魔法の刃で切り倒して足止め、少々時間を稼いでる間に
山賊が城に行かないように【催眠術・言いくるめ】で鳥取城の中にはあの化け物でいっぱいになっている、自分たちがこの化け物を倒す間、廃寺の中に立てこもっておくように、と暗示をかけて廃寺に戻しましょう
彼らの身の安全を確保出来次第、【狂華乱舞】にて攻撃を
首や急所を狙って【部位破壊・2回攻撃】して倒しましょう
(アレンジetc歓迎)
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘/アドリブ可)
「山賊さん達も止めないといけないね」
フィオ姉ちゃんと一緒に水晶屍人と戦うよ
【行動】()内は技能
サングラスをかけてFlying Broom GTSに(騎乗)だね。
「まずは挨拶の一撃だよ」
(先制攻撃)からウィザード・ミサイルだね
水晶閃光には目を保護しつつグアルディアン・サトゥルノで相殺するよ
「これで砕けちゃえー」
最後は(全力魔法)のカラミダド・メテオーロを叩きつけるんだ
「それじゃあハンター放出!」
あとはフィオ姉ちゃんに任せて、フォルマ・ベンダバールで加速して山賊達を追いかけるよ。
見つけたら(コミュ力)で説得だよ
「この先は危険だから村に帰ろう」
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(連携・アドリブ可)
「私達で残りの水晶屍人を受け持てばいいのね」
■作戦
水晶屍人と距離をとりつつWIZ系UCで残存個体を撃破
弟との分担で山賊を確保&説得
■行動
「近寄ってくると厄介よね」
戦闘開始早々に[先制攻撃]で【エレクトロレギオン】を放ち、
水晶屍人に纏わりつかせながら時間稼ぎ
「なんとかなりそうだから先に行って大丈夫よ」
弟に山賊を追いかけさせつつ、引き続き水晶屍人と対峙
[全力魔法×範囲攻撃]で【フィンブルの冬】を唱えとどめをさす
すぐに【エキドナの鏡】で弟の側へ転送
[コミュ力]で山賊達を説得し村に帰す
「水晶屍人は全て倒したので大丈夫です。むしろ鳥取城の方が危険です」
「冗談じゃねぇや! あんなのとやりあってられぐぎゃああ!」
廃寺から出てきた山賊たち、その先頭を走っていた者が突然殴り飛ばされた。
「て、てめぇなにしや……ぐあああ!」
「邪魔や! どけ!」
元は庭だった広場に殴り飛ばしたのは、クリミネル・ルプス(人狼のバーバリアン・f02572)。
その勢いに、そのまま廃寺へ乗り込んでいく彼女へ抗議することもできずに転がる山賊たち。
「いっつつ……。」
「おぅ、生きてるかい?」
しゃがみながら山賊たちへ声をかける、梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)。
サムライエンパイアでもよく見る旅人の姿をした梅ヶ枝に、山賊たちも少し安心したように声をあげた。
「全くなんなんだよ今日は……兄貴が食われたと思ったら殴り飛ばされてよ。」
「へへ、運が悪かったな。それでなんだけどよ」
「よいしょっと!」
ズシン! と、周囲に落ちている岩を、廃寺と山賊たちの間に念動力で落とす、鈴木・志乃(ブラック・f12101)。
もう一生分の驚きをした……と言いたげな山賊たちの顔と梅ヶ枝を見渡し、
「続けて?」
「おう、わりぃな。でよ、オッサンらは中で見たよな……お仲間を喰ってたやつを。」
「あ、ああ……だから俺たちゃ、お城へ逃げようと。」
「それだよ、あのお城に行っちゃなんねえのさ。」
グルアアアア!
叫び声と共に、廃寺から出てくる水晶屍人たち。
ひえ! と腰を浮かす山賊たちに、別の方向からよく通る声が語り掛ける。
「今、お城にはあの化け物がいっぱいいます。行けば、同じ化け物にされてしまいますよ。」
月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)は、声に少しの催眠術を乗せて言い含めていく。
「ですから、あなた方はそこで待っていてください。」
「ああ……わ、わかった。」
「ここはおれたちが受け持った! だから安心しろよ!」
山賊たちが岩の影に隠れるのを見て、木刀を手にする梅ヶ枝。
真剣なまなざしに変わり、水晶屍人へ斬りかかっていく。
「近寄ってくると厄介よね。」
「うん、まずは挨拶の一撃だよ!」
距離をとりつつ、魔力で生み出した小さな機械兵をぶつける姉のフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)と、足止めされた水晶屍人へウィザードミサイルを放つ、弟のフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)。
それでも無理やり山賊の側へ迫ってくる水晶屍人……その肩の水晶が光をあげる。
「へへーん、来るのは解ってたよ!」
フォルセティがサングラスをかけながら前に飛び出し、魔力で生み出した虹色に輝く盾を展開して遮る。
光が収まったとき、盾の影から現れたのは、白銀の衣装へ変わったフィオリナの姿。
「氷の檻に、閉じ込めてあげる!」
詠唱と共に放たれた氷雪の竜巻に巻き込まれ……前に出ていた水晶屍人が凍り付く。
「まずは1体ね。」
「よーし、この調子でいこう!」
「あっ……。」
山賊たちの前でふらりとよろめく鈴木。
「お、おい、ねーちゃん?」
「いや、大丈夫……大丈夫。」
心配する山賊たちに応えるが、これまで水晶屍人を何度も退治してきた彼女の体は、限界に近い。
そんな様子の鈴木を見逃すはずもなく、水晶屍人が襲い掛かる。
「……痛いよう、屍人さん。」
何度も何度も、水晶屍人の爪に切り割かれながら、同じように抱きしめて浄化してきた。
「……あれ?」
だが……今は、痛みはない。
「おらぁ!」
鈴木に掴みかかる寸前で、クリミネルの拳が水晶屍人を吹き飛ばしていた。
「大丈夫か? あんた。」
「うん……ごめんな、さい。」
でも……と言いよどむのを聞いたクリミネルだったが、水晶屍人が起き上がるのを匂いで察した。
「手短に頼むで。」
「この方達を、成仏させたい、です。」
「……そうか!」
鍬で殴り掛かってくるを見ずに、鍛えられた足で蹴飛ばし、
「遺体をこうして使うっちゅうのが、ウチも許せなかったんや。……こいつらの最後は任せるで。」
遺体を弄ぶ者に対する怒りに、張り付いたような笑顔になっていたクリミネル。
かつて母もそのように……それを正しく葬れるなら。
「ありがとう……ございます。」
鈴木は動けなくなった水晶屍人へ抱き付き、まばゆい光に包まれ……後には、安らかな顔の遺体だけが、鈴木の腕の中に残っていた。
「さぁてと。テメーら屍人をあの世へ叩っ返してやるぜェ!」
「ええ、行きますよ。」
木刀を大上段に構えつつ、水晶屍人の群れへ突っ込んでいく梅ヶ枝。
渾身の勢いで振り下ろし、相手の振るった爪ごと叩き潰すと……周囲に、桜の花びらが風に舞うのが見えた。
「狂い咲く華よ……舞い、踊れ。」
月藤の言の葉に合わせ、季節外れの桜の花は刃と化して襲い掛かる。
首や足の筋を狙うそれが吹き荒れた後には、立ち上がる事も出来ずに倒れ伏した水晶屍人たち。
「やるねぇ旦那!」
「いえ、それほどでも。さぁ、トドメといきましょうか。」
「よーし、いっくよー!」
気が付けば隣にいたフォルセティが、またがっていた箒・聖箒ソル・アトゥースを水晶屍人へ向ける。
「ふふ、それでは動けないようにしましょうか。」
「邪魔しちゃいけねえな!」
魔力の集積を感じ、月藤は倒れ伏した水晶屍人が立ちあがらぬように、さらに桜の花びらの嵐を巻き起こす。
そして梅ヶ枝が飛び退るとともにフォルセティの詠唱が終わり、灼熱の隕石が降り注ぐ。
「これで砕けちゃえー!」
辺りが灼熱に包まれ、土煙が止むと……水晶屍人がいた場には、黒い灰だけが残っていた。
「あんたらも、この辺で不逞を働いてんなら知ってんだろ? あの曰く付きの城をよ!」
「ああ……むごい殺し方をした、って話だ。」
落ち着いたところで、どうやって水晶屍人を作るのか? という話を山賊たちへ聞かせていた梅ヶ枝。
「俺たちも、そうなってたってことか。」
「そーそー。」
「ですから、皆さんを行かせるわけにはいかなかったんです。」
フォルセティとフィオリナの言葉に顔を見合わせ、青ざめた顔になっていた。
「せやから、ウチらには感謝してもらいたいもんやで。」
「……最初にぶん殴られた時は何事かと思ったけどな。」
「はは! 緊急事態や、仕方ないやろ!」
豪快に笑うクリミネルにつられて、笑顔が戻ってきた。
「ま、せっかく拾った命だ。もう賊の真似事なんてするんじゃあねぇぞ! 畑でも耕してまっとうに暮らしな!」
「へ、へへ……そうだな。」
梅ヶ枝の言葉に、バツが悪そうに顔を合わせ……そうしようと決めたようだ。
「つ、次へ……。」
一人、先にグリモアベースへ戻った鈴木。
一人でも多く、水晶屍人となった彼らを……その意志だけで動いていた。
しかし、猟兵達の働きにより、水晶屍人の群れは着実に数を減らしていっている。
後は数えるほどとなったが……まだ、残っている。
猟兵達は、また次の戦場へ向かう……この戦いが終わることを祈って。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵