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牧羊猟兵団、参上!

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「わたくしは経験したことはないのですが――」
 と前置きしてから、グリモア猟兵のシズル・カンドーヤ(ヒーローマスクの戦場傭兵・f10880)は言った。
「――牧羊、というお仕事も、気苦労の耐えない生業のようですわね。
 アックス&ウィザーズのある農場で、ほとんどの羊と施設の全半壊、さらに人的損害をも含む、大事故が発生するという予知をいたしましたの。原因は天変地異ではなく」
 オブリビオン、である。
「と言っても、妙なのですわ。その日農場に来るのは、アルラウネの群れなのですけれど。
 確かに驚異的なオブリビオンなのですが、施設を壊すほどのちからがあるかと言えば……否、ですわね。
 わたくしの予言にないオブリビオンが発生するのかもしれません。それとも単純に、見落としていたのでしょうか……?」

 ともあれ、アルラウネを放っておくことは出来ない。まずは、そちらの排除から始めてほしい。
 農場から西へしばらく行ったところに、アルラウネの大規模な生息地(コロニー)がある。逆を言えば、そこ以外にアルラウネは存在しない。
 これを撃滅した後、大事故の真の原因を突き止め、排除するといった作戦になるだろう。リスクが大きすぎるため、農場内でのオブリビオン迎撃は非推奨となる。

「原因はオブリビオンということははっきりしておりますので、アルラウネと真犯人と、この双方を排除できれば、この事件は解決ですわ。
 先程も申し上げましたが、牧羊というのは気苦労の耐えない生業。加えてどうやら農場主さまは、お風邪を召していらっしゃるご様子。
 これをお助けするのも人の縁、ですわ。
 お声を掛けていただければ、わたくしもお手伝いをさせていただきますわ♪」
 と、シズルはスカル柄のバラクラバからのぞく目をキラキラさせながら言うのだった。


君島世界
 こんにちは、はじめまして。
 マスターの君島世界です。
 今回は、ある農場に襲来するオブリビオン「たち」の撃退をお願いいたします。

 シナリオに関する補足事項はありません。
 皆様のプレイングを、お待ちしております!

 シナリオ運営中に、リプレイの書けない時期が発生することがあります。
 その場合はこちら↓でアナウンス致しますので、ご覧いただければ幸いです。
( https://tw6.jp/scenario/master/show?master_id=msf0016885 )
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第1章 集団戦 『アルラウネ』

POW   :    ルナティック・クライ
【聞く者を狂わせるおぞましい叫び声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    スクリーミング・レギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【マンドレイク(アルラウネの幼生) 】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    リパルシブ・シャウト
対象のユーベルコードに対し【それを吹き飛ばす程の大音声 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】
弟のフォルセティと行動を共にする
「まずはアルラウネを確実に掃討しておかないとな」

■行動
Flying Broom GTRを駆ってアルラウネのコロニーに飛び込み
「一気にいくぞ、これでも食らえ!」
ウィザードミサイル(炎の属性攻撃)で焼き払う
その際、2回攻撃を繰り出しアルラウネのリパルシブ・シャウトを
引き出させる
「今だ、フォルセティ!」
こちらのUCが相殺される間に弟のUCで一気に止めを刺す

「さて、シズルの言っていた真犯人の手掛かりは掴めないかな」
時間があればコロニーの周りを捜査する


フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】
「ひゃー、草原を駆け抜けるのって気持ちいいねー」
宇宙バイク(Flying Broom GTS)で草原を駆け抜けて
アルラウネのコロニーへ

【行動】()内は技能
「わわ、フィオ姉ちゃん待って待って」
フィオ姉と一緒にコロニーに飛び込みアルラウネを掃討するよ
フィオ姉がウィザードミサイルで焼き尽くしている間は
(力溜め)で待機する!
「はいはーい、ボクに任せてよね!」
姉の合図をもって(高速詠唱×全力魔法×属性攻撃<火>)で
カラミダド・メテオーロをアルラウネに叩き落すよ

「そういえば農場主の人、風邪ひいているって言ってたよね」
解熱剤とか滋養に効く薬草とかがあれば摘んでおくよ



アックス&ウィザーズの大地を、2台の宇宙バイクが行く。これらの美しい曲線は、空飛ぶ箒の名を持つ傑作シリーズ独特のものだ。
 かたやXターボを搭載し、加速性能に優れた『Flying Broom GTR』。
 かたやVターボを搭載し、高速走行を可能とした『Flying Broom GTS』。
 この2台が並び走らせているのは、ソルレスティアの姉弟だ。
「ひゃー、草原を駆け抜けるのって気持ちいいねー、フィオ姉ちゃん」
 と、つかの間のドライブに歓声を上げているのは、GTSに乗るフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)。弟のほうだ。
「目的を忘れるなよ、フォルセティ。まずはアルラウネを確実に掃討しておかないとな」
 そっけなく返すのは、GTRを駆る姉のフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)。彼女が油断なく目を凝らしていた先に、ついに目標地点であるアルラウネのコロニーが見えてきた。
「左前方、10時……53分といったところか。あまり遅れるなよ」
 と、フィオリナは車体をバンクさせ、その姿勢のままで一気にギアを上げる。索敵速度から戦闘速度へ、咄嗟のスピードチェンジはGTRの得意とするところの一つだ。
「わわ、フィオ姉ちゃん待って待って」
 フォルセティも一瞬遅れて操作をするが、その姿は後方彼方に縮こまっていく。ちらりと一瞥して、フィオリナはコロニーへと、突っ込んでいく……!

 その頃コロニーでは、点呼を終えたばかりのアルラウネたちが、上官らしき個体
の訓示を清聴しているところだった。
 いわく。
「~~~~~~~!(今回の作戦では、諸君らにかの牧場に独占された『柔らかな土』を奪還してもらうことになる! いいか、これは正義の戦いだ! 略奪ではないことを肝に銘じよ! しかし! 障害の排除においては『at any cost』、いかなる代価を払うことになろうとも! これを遂行してほしい!」
「~~~~~~~!(サー・イエス・サー!)」
「~~~~~~~~~~~~!!!(声が小さい! 実(タマ)落としたか!)」
「~~~~~~~~~~~~!!!(サー! イエス・サー!)」
 というようなお決まりのコールアンドレスポンスを、この地域のアルラウネ独特の金切り声でやっていたようだが、当然のように――。
 グオオオォォォン!
「一気にいくぞ、これでも食らえ!」
 ――乗り込んできたフィオリナによっていろいろ台無しにされるのであった。
「~~!(て、敵襲! 敵襲ー!)」
「~~、~~……~~~~!(慌てるな、まず体勢を……ぐわああぁぁぁ!)」
 上官らしき個体がまず真っ先に倒された。フィオリナの放つ85本のウィザード・ミサイルが、他にも多くのアルラウネをなぎ倒していく。
「追加、行くぞ……!」
 さらに炎の矢を召喚するフィオリナの前で、一体のアルラウネがいそいそと、上官らしき個体から実をもぎ取り、自分の毛髪状の葉へとくくり付けた。野戦任官か何かのつもりだろうか。
「~~~!!!(怯むな、横隊を組め! リパルシブ・シャウトで応戦するぞ!)」
 耳障りな金切り声に、表情を歪ませるフィオリナ。その声が何を言っているのかはわからないが――。
「……ッ! 今だ、フォルセティ!」
「~~~~~~~!!!!(リパルシブ・シャウト、てェーッ!)」
 ――何を意味するのかは、想像がつく。
 横一列に並んだアルラウネの大音声が、一斉にフィオリナのウィザード・ミサイルをかき消していく……その直後。
「はいはーい、ボクに任せてよね!」
 いつの間にかそこにいたフォルセティが、『聖箒ソル・アトゥース』を構えた!

 ――説明しよう。
 GTSが加速に優れているのに対し、GTRは最高速度で勝っていることは前述の通り。
 確かに一時は離された。が、充分な距離の直線さえあれば、GTRがGTSに追いつくのは自明の理、容易いことである――!

「悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎。
 ――カラミダド・メテオーロ!」
 高速詠唱、全力魔法。一瞬の隙を突くのに、これほど適した技法はない。
「~~~~~~!(じ、次声吸気! 急げ!)」
 間に合わない。空を割って、灼熱の巨大隕石がコロニーに落ちてくるのを、例の野戦任官済個体は呆然と見上げ……。
 CaBoooooooooom!
 衝撃と熱波とが、あまねくコロニーをさらっていった。グラウンドゼロにいた個体は、ほぼ全滅。見渡しても、生き残ったアルラウネはいないように――。
「姉ちゃん……」
「ええ、来なさいフォルセティ。どうやらまだ終わってないようだな」

 ――まだ、いた。

 ぼこっ、ぼこっと、発芽するようにあらたな個体群が現れる。
 ほとんどはマンドレイク、アルラウネの幼生だ。あわせて成体も、姿を見せた。
 アルラウネは金切り声で、何かしらの会話をしているらしい。マンドレイクの方は、これはまだ生長が終わってないからか、こちらにもどうにか聞き取れる声で。
「ヤ」
「ヤロウ」
「ヤロウブ」
「「「「ヤロウブコロシテヤール!」」」」
 そう言っていた(甲高い声で)。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

立花・桜華
今回の元凶が何なのか気になるけど、まずはアルラウネを倒しちゃおう
可能なら皆で連携して確実にかつ素早く倒していくよ!

【アルラウネとの集団戦】
叫び声には注意かな
先ずは先制攻撃として投擲用ナイフを敵へ投擲して攻撃、隙を窺うよ。毒使いとして毒をナイフに塗っておく
その後は残像によるフェイントを交えつつダッシュを用いて高速移動を行う
一気に敵の懐に飛び込めたら鬼震脚(ユーベルコード)で攻撃を仕掛け、周囲の敵ごと敵の生息地を粉砕するよ!
「羅刹の力見せてあげる!」

第六感と野生の感を用いて敵の行動を予測し、叫び声を使う前に素早く離脱して回避またはダメージの軽減を狙う
敵は多数、ここはどんどん倒していこう!



「――フッ!」
 トタタタタタン!
 妙な声を上げるマンドレイクは、次の瞬間、頂点からナイフを生やして倒れていった。駆けつけた少女、立花・桜華(羅刹のシーフ・f05787)の牽制がもろに入った形だ。
「いろいろ気になることはあるけど、まずはこいつらを倒しちゃおう!」
「ヤロウブコロシテヤール!(甲高い声)」
「甘いわ!」
 数を頼りに、全方向から押し寄せてくるマンドレイクたちを、桜華はまるですべて見えているかのようにかわし、避け、いなしていく。緩急を巧みに織り交ぜた彼女の歩法には、ある種の幻惑要素があるのかもしれなかった。
「ヤロウ!(甲高い声)」
「それはわたしの残像よ!」
「ブコロシ!(甲高い声)」
「残像!」
「テヤール!(甲高い声)」
「あ、今のは危なかった。結構やるわね!?」
 と、懐に飛び込んでくる桜華を、アルラウネたちもただ見守っているわけではない。10で足りなければ20、30とばかりに、新たなマンドレイクを生み出していく。
「~~~~!!(生産、生産、再生産! ここが正念場だぞ、同志!)」
「ひとつくらい桁が増えた所で、その程度!」
 ぽこぽこと発芽するマンドレイクたちを前に、桜華はさらに加速した。敵陣を突破し、ド真ん中に至った所で急制動……速度を、下向きのベクトルに捻じ曲げる!
「羅刹の力見せてあげる! せーのっ――」
「~! ~~~!!!?(ま、まさかヤツの狙いは!?)」
「――『鬼震脚』!」
 ドッグオオオオオォォォォォン!
 単純な力任せの踏みつけが、コロニーの薄い地表をめくりあげ、さらに下、岩盤層までもあらわにした。地中に隠れていたアルラウネは言うまでもなく、打ち上げられたマンドレイクたちも、その衝撃で次々と砕け、土に帰っていく。
「ヤ……ヤロウブ……ガクッ(甲高い声)」
「~~~~!(我が方のバンカーごとだと!)」
「~~! ~~~!(最早このコロニーの放棄もやむを得まい。ならば!)」
 すると――空気が変わった。何がどう、とは説明が難しいが、桜華に取ってそれは、全力での離脱を選ばせるのに充分な契機ではある。
「な、なに……!? わたしの勘が、ここにいちゃいけないって叫んでる!」
 だから、自分はそうした。でも、それだけじゃ足りない。
 あそこにはまだ、味方の猟兵たちがいる!
「みんな、そこから離れて、足を動かして!」
 叫びながら、アルラウネたちの位置取りを見渡せば、ようやく予感の意味が理解できた。等間隔。おそらく、自分たちの最大威力攻撃の範囲を理解した上で――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコ・ベルクシュタイン
アルラウネ、とな。植物の魔物か。
其れが牧羊施設を襲うというのも些か不可思議に思えるが…
いや、今は仕事に専念しよう

戦場は必ず事前に知らされたアルラウネの生息地と定め
農場での迎撃などの別手段は決して取らないようにする
共に戦う猟兵が居れば互いに有利となる立ち位置となるよう心掛けたり
声を掛けてなるべく協力体制を取っていきたい
こういう時俺のような者でも「鼓舞」の技能は活きるだろうか

攻撃は【花冠の幻】を使用、「高速詠唱」が活かせればなお良し
可能な限り多くの敵を巻き込めるようにギリギリまで踏み込んで発動
但し退路は必ず確保しておく
花弁の量には自信があるが、反撃で吹き飛ばされてしまったら苦笑いだな



「避難ルートを指定する。こちらだ!」
 アルラウネに応戦しながらも、常に退路の確保を忘れていなかったニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)、猟兵たちに告げる。
 コロニー内を埋め尽くすルナティック・クライの破壊から逃れるには、その効果範囲が重複するであろう部分を避けた上で、いったんそこから離れる他ない。皆が四方八方に動けば、はぐれた猟兵が各個撃破にあってしまうだろう。
 その予防のための集団行動だ。続々に避難ルートをたどってくる猟兵たちに、ニコは重ねて言葉を投げ掛ける。
 ――俺のようなモノの言葉が、本当に皆の心に届くかどうか、わからないが――。
「このようなオブリビオンを、決して牧場に近づけるわけにはいかない。例え真犯人ではないとしても、確実にここで食い止めよう、みんな――」
 その言葉が、終わるか終わらないかのうちに。
「~~~~~~~~ァァァァアアアア!!!!!!」
 アルラウネの叫びが、まるで人の断末魔のように聞こえた。一斉に耳を押さえる猟兵たち。口を開けて、対大音量防御の姿勢をとる。
「ケェイアアアアアアアアアア!!!!!!!」
「く……!」
 それでも、狂声は容赦なくその精神を削っていく。摩滅していきそうな意識の中で、猟兵たちは、そしてニコは――!

「――反撃を、開始する」
 ――言った手前、俺が真っ先に始めなければ、な。

 ごぽ、と溢れる鼻血をぬぐい、ニコは魔導書『Blauer Himmel』を紐解いた。
 前に出る。駆け出す。霞む目をどうにか見開いて、先程の退路とは真逆に、死地をこそ見出だした。
 そここそが本命。こちらから崩しにかかることで、敵の狙いを逆手に取る!
「夢は虹色、現は鈍色、奇跡の花を此処に紡がん。花冠の幻(レインボー・フラワーズ)!」
 ばらばらと頁を踊らせるBlauer Himmelを、ニコは頭上に投げ上げる。表表紙と裏表紙が合わさると、丸く、虹色の薔薇となった。
 十重二十重に、花開くと同時に散っていく。散りながらもまた花開く。
「花弁の量には、自信がある」
 言葉にたがわぬ大量の花びらが、周囲にいたアルラウネたちを包み、柔らかさのうちに切り裂いた。そうして確保した安全地帯に、仲間の猟兵たちも移動してくる。
「繰り返しになるかもしれないが。確実にここで食い止めよう、みんな!」
「「「おう!」」」
 ニコのこぶに、今度こそ応える大音声が上がるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャサリン・エンスレイヴ
・作戦

1.事前に他参加者に「先行して生息地の破壊」を試みる旨を通知し、各個撃破を依頼。

2.精巧な模造銃を二丁用意。
 両手にそれぞれ握り、ウィザードロッドは背中に括り付けておく。
あたかも「銃」を用いたユーベルコードの使用を匂わせる。

3.他参加者より僅かに先行。
 生息地に着き次第、「狙い撃つ!」と銃を構えてフェイクを行なう。
 敵がPOWかWIZで対処したら占めたもの、後退し攻撃の回避を試みる。
 フェイクの成否に関わらず、次ターンで紅い世界を生息地の中心部に発動。
フェイクが通じるようなら見破られるまで続ける。

4.農場方面へ敵が逃げ出し、かつまた他参加者の包囲網をすり抜ける場合は、自身で対処を試みる。



「好機到来っ! 狙い撃つ!」
 背を伸ばして、いち早く飛び出したのはキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)だ。二丁拳銃を構え、敵陣の只中へ……ではなく。
「さあ、俺を見ろアルラウネ。さもなくばヘッドショットだ!」
 背中を見せないようにその周囲をこれ見よがしに走り回り、敵の注意を引きつける。なぜならば――。
「~~~~~~!(くっ、敵方に優れた軍師がいるようだな……)」
「~~! ~~! ~~!(アラート(警戒せよ)! アラート(観察せよ)! アラート(応変せよ)!)」
 ――何を言っているのかは相変わらずわからないが、さすがにこうまで警戒されている中に突っ込んでしまっては、仕込みが露見してしまうからだ。特に背中。
「ブッコ?(甲高い声)」
「ブッコ!(甲高い声)」
 背筋の伸びた良い姿勢で駆け巡ることしばし。新手のマンドレイクたちがその姿勢をまねっこしはじめた所で、キャサリンは悟る――機は、熟したと。
 両の手に携える拳銃を、彼女はおもむろに空高く投げ上げた。
「ククク……」
「~~~~!(バカな、自分の武器を捨てるですって!?)」
「~~。……~~~~!(ノリいいわねあなた。……だけど、あの力の胎動は?)」
「~~~~~~!(背中よ! やっぱり背中に何かあるわ!)」
 アルラウネたちが身振り手振りで表現するように、キャサリンの背中が明らかに発光しはじめていた。にやりと笑うキャサリン。
「今更気づいてももう遅い! ターイラー・ターザンメ・ウォウアリフ・イェーター!」
 詠唱中に気を利かせて飛び出してきた(ように見えた)のは、キャサリンの背中に隠されていた名杖『ウィザードロッド+』である。
 お気づきの方もいるだろう。そう、これまで彼女が見せていた姿勢の良さは、銃撃と見せかけて敵の回避行動を撹乱するための欺瞞工作であったのだ! さて、効果の程はと言えば――。
「(上々!)」
 ――そういうことになった。
 ともあれ、アルラウネたちにとって初見のユーベルコードが、なんの妨害もないまま発動したのは事実である。もはや術者本人にも押し留めようもないくらいに膨れ上がった『単純な力』が、杖の先端に凝縮されていく。されきった。
「紅い世界(アカイセカイ)ッ!!!!!!!!!」

 その日。アルラウネたちは思い知ることとなる。
 重ねられすぎた轟音は、無音にも等しいことを――。

 先の攻撃で岩盤まで露出されていたところに、さらにキャサリンの地形破壊攻撃が加わるのだ。岩は石になるまで崩れ、石は砂になるまで砕け、砂は蒸発して無に返るまで壊れていく。
 その上にいたアルラウネたちも、同様の――とまでは行かないが、それでも相当の被害を被ることになった。立っていられずに倒れ、地割れに巻き込まれるもの、乱れ飛ぶ石礫に意識を刈り取られるもの、地面を垂直に揺らす衝撃に弾き飛ばされ、空の彼方へと消えていくもの……。
「……ん?」
 なんとはなしにその行方を見ていたキャサリンの視界を、ふと新たな飛行物体が横切っていった。飛行機雲を作るほどの速度。

 それが、進路を変えてまっすぐこちらへ飛んでくるのを、猟兵たちは目撃した。

「そうか……あれが。あれが『真犯人』」
 同じく落ちてきた例の二丁拳銃(模造品)をキャッチしつつ、キャサリンは呟く。
 戦いは、これからが本番だ!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


アルラウネのコロニーを壊滅させた猟兵たちの前に、新たな敵が現れた。
 あれこそは『真犯人』! 放っておけば農場を壊滅させるであろう、強大なオブリビオン――ワイバーンだ!
 相当の高度で飛ぶワイバーンを、戦闘の余波でこちらに気づかせることができたのは、まさしく幸運と言えるだろう。
 今こそ決着を付けるべく、そして農場の平和を守るべく、猟兵たちは武器を構える!
ニコ・ベルクシュタイン
…な、何やら大惨事となってしまったようだが、上手く元凶を炙り出せたようで何よりだ。
後は奴を倒すだけなのだな、ならばもう一息頑張ろうか。

出来れば此の双剣で直接斬り掛かりたかった所だが
其れが叶う距離まで降りてくるのを待つのも惜しい、
「高速詠唱」を駆使して可能な限り早く、先手を取るべく
【精霊狂想曲】で攻撃を
「属性攻撃」「全力魔法」の力が活かせるなら其れも併用する
喚び出すのは「炎の竜巻」、何処に居ようとも逃さぬ炎の渦を
けしかけてくれよう

ワイバーンブラストには備えるしかないが、俺が動きを封じられている
まさに其の隙を突いて誰かが攻撃を仕掛けてくれれば幸いにて、
どんな時でも常に味方との連携を意識していこう


トゥリース・リグル
アドリブ・連携歓迎。
【スカイステッパー】と【ジャンプ】で効率的に上空に向かって移動。
そして、【錬成カミヤドリ】で複製したダガーで【先制攻撃】を行います。
その後は複製ダガーを操作、自身と合わせて【2回攻撃】を行い、ヒット&アウェイを心がけます。
スカイステッパーで上空に移動したり、翼を攻撃することで飛行能力を削ぎ、なるべく上を取るように心がけて相手の攻撃を封じます。
それでも相手から攻撃が飛んできたら【見切り】で回避を優先します。

「空を移動できるのが、自身だけだと思ったら大間違い、ですよ」



 ぱらぱらと、未だに砂つぶてが落ちてくる中で。
「な……にやら、大惨事となってしまったようだが……」
 先程の衝撃でズレた眼鏡を定位置に戻すのは、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)だ。大事なフレームに傷一つなく、クリアな視界を取り戻したニコは、きらりとレンズを光らせる。
「上手く元凶を炙り出せたようで何よりだ。後は奴を倒すだけか」
「へえ、ずいぶん落ち着いているんですね。来てますよ? ワイバーン」
 トゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)が、台詞の意味とは裏腹に、こともなげに言った。
「お前こそ、良く肝が座っている。……さて。
 当意即妙とは行かないかもしれないが、ここは連携攻撃を提案したい」
「ええ、いいですよ。何で行きます? そちら『も』接近戦ですか?」
「いや――ああ、了解した。タイミングはお前に合わせよう」
「了解。では、そういうことで」
 と、トゥルースは空を見上げた。ワイバーンが落ちてくる空。鋭い爪牙が、それらをばらばらに引き裂いている。風の泣く音――。

 ――それを、僕の18歩で止めて見せる。

 トゥルースは大地を蹴った。跳び上がる。薄膜に似た大気を突き破って、さらにそれを踏みつけにする、『スカイステッパー』の妙技!
 2、3、4歩。彼女のジャンプは、わずか4回でワイバーンとすれ違える高度にまで達している。……だが。
 ワイバーンはそれを観察し、理解し、迎え撃つ。
 その鋭い爪牙で空を裂くのを止め、そして、トゥルースのいた空間を引き裂いた。
「ゴォオオアアアアア!」
「トゥルース!」
 思わずニコが叫ぶ先で、ワイバーンが毒を帯びた尾を踊らせる。先端、恐ろしく鋭利なその部分で、攻撃を受けたトゥルースにとどめを刺すべく――。
「――空を移動できるのが、自身だけだと思ったら大間違い、ですよ」
 いや。否。トゥルースは健在だ。そもそも、とどめを刺されるような攻撃など、最初から食らっていない。
「(5歩目、間に合いましたね)」
 あの瞬間、トゥルースは、すれ違うのではなく並走……並跳を選んだ。狙ったものか偶然か、そうすることでワイバーンダイブの回避を行えたのだ。
「グルオォ……!」
 喉奥に威嚇音をこもらせるワイバーン。懐からナイフを取り出して、トゥルースは意識を白熱させる。集中。
 ――これより行うは、わずか13歩の演舞奉納。眼下の陸地へ駆け上る、さかしまの十三階段――!
「こっちッ!」
 ザンッ!
 まずは翼を。切り抜けた先、トゥルースが虚空に掴むのは、己自身であるナイフ、その複製体だ。気づけば既に、数多の刃がワイバーンを取り囲んでいる。
「ギャオォオオオアアアア!」
 ザザザザザンッ!!!!
 意思を持つように宙を舞うそれらが、不規則こそを唯一の規則として、ワイバーンに殺到した。13、14、15歩……己の限界も近いと、トゥルースは思考する。
 だから。
「――了解している。巻き込まれるなよ」
 最後の一歩は、この空域からの脱出に使った。これにて18歩、無駄なく完遂。
 ニコが不敵に笑う。それも一瞬、真一文字に結ばれた口を開き、朗々と語られるは、精霊への狂乱命令。
「荒れ狂え精霊よ、汝らは今こそ解き放たれん!」
 座標指定は、落ちてくるワイバーンの鉛直直下。そこに現れて渦を巻く竜巻が、まるで仕掛け花火のように、一斉に着火、炎上した。
「何処に居ようとも逃さぬ炎の渦をけしかけてくれよう。はああぁっ!」
 捻じ曲がって立つ『炎の竜巻』が、その口中にワイバーンを飲み込む。先の攻撃でできた傷口から漏れるワイバーンの血が、またたく間に攫われて灰となっていった。
「へえ……。すごい破壊力ですね、ニコさん」
「そちらこそ、よくぞかわしたものだ。が――」
 バンッ!
 炎の竜巻を蹴り破って、ワイバーンの爪が抜け出した。そのわずかな隙間を、ワイバーンは目をぎらぎらと光らせながら通り抜ける。
 こちらに向ける敵意・悪意・殺意は、まさしく破壊の化身そのものだ。戦いは続くことを悟り、猟兵たちは身構えた。

「――どうやら、やっこさんは健在のようだな」
「いや、やっこさんて」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キャサリン・エンスレイヴ
・作戦

a.まず、ユーベルコード使用条件を満たす。
 つまり他参加者がドッタンバッタン戦闘する最中、食事をする事になる。
 手持ちの食料で準備を整えたうえで、対象を敵に変更。
 両手を合わせて「いただきます」。

b.「見ろよ。霜降りの脂がキラキラ光ってうンまいぞ~♪」
 敵の攻撃は軽いフットワークで避け、突き刺すための爪を、攻撃を予想するための眼を、咆哮するための喉を喰いちぎる。

c.語る。
「どうした、何を驚いている?
 人間が弱いと誰が言った? 人間に勝てると何を根拠に思ったんだ?
 調子に乗るなよ、蜥蜴が! お前、空を飛ぶ事すら異常な身で――
 人間を食い物にするだけの塵屑が、喧嘩を売るなど片腹痛いぜェッ!」



 一方その頃!
 キャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)は、上機嫌で食事の支度をしていた!
 別にどこか遠い平和な場所でというわけでもなく、もちろん今さっきワイバーンがギャースカ言いながらパワーダイブを仕掛けてきていた、まさにこの場所で、である!
「フンフンフフーン……よっし、できた!」
 異常な――というより、ほとんど魔法的な手際の良さで、次々と料理を仕上げては平らげていくキャサリン。大丈夫、このくらいなら猟兵にとってはごく見慣れたフツーの光景だ!
 中華料理屋にあるような例のクルクル回るテーブルには、山の、海の、陸の、そして異世界の珍味が矢継ぎ早に乗せられて、そして尽くキャサリンの胃に収まった。その料理数、これで31……そして!
「さて、と」
「ギィイエエエエエエェェェ!」
 キャサリンは席を立ち、背後に着地したワイバーンに向き直った。目を血走らせ、鼓膜を震わせる咆哮を上げる竜に、ぱん、と両手を合わせ――。
「いただきます」
 まだ食うのか……そう思う猟兵もちらほらいる中で、キャサリンは行動を開始する。突きこまれるワイバーンの爪の一撃を、自然に、ふらりと避けて。
「この世の――全ての食材に感謝を込めて……」
 例のテーブルが木っ端微塵に破壊される。だがその程度で、彼女の食事が終わらるわけはない!
「グオァウ!」
 前蹴りの挙動を羽ばたきで後ろに引くワイバーン。キャサリンはそれを読んでいたかのように、体線に沿って追いすがっていく。
 既にユーベルコード『暴食のベルゼブブ』によって、キャサリンは捕食生物めいた身体を一時的に手に入れていた。今もなお自身の体細胞が、成長の『壁』を超えて、捕食者としての身体に進化していくのがわかる。
 しかし――足りない。足りない!
「ガ――!?」
 ワイバーンは威嚇の咆哮を止める。止めたことに対し、翼竜の脳はふと疑問を覚えた。何故……何故、自分はそうしたのかと。
 それが怯えによるものだと理解したのは。
「……喰ラウッ!」
 己の喉笛に喰らいつくその人間の残像に、心を塗りつぶされたからである。
「あぎゃああああああ!!!」
 絶叫を上げるワイバーン。キャサリンは食い破って吐き捨てること無く、口の端からぶらぶらと垂れ下がる肉片を、軽く噛みちぎって見せた。
「霜降りとはいかねぇか……でも見ろよ。キラキラ光ってうンまいぞ~♪ おまえ」
「コ……キ、ギ………………!」
 己の肉……狩りの獲物を掲げて笑う生き物がいる、とワイバーンは認識する。
 痛みは初めての経験だが、とワイバーンの文字にならない意識が顕在化する。
 その行為なら。
 その行為なら私だって何度もしてみせたぞ、と、その心に対抗心が生まれていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

立花・桜華
ワイバーン!真犯人は竜だったんだね
竜だけあってかなりの力量みたい。油断せず頑張っていこう!

【ワイバーンとの戦い】
自分の眼下の敵の攻撃を回避してくるのはなかなか厄介かな
でも攻撃は『急降下』を起点にしてくるみたいだから
まずはナイフの投擲で攻撃をしつつ敵の攻撃のタイミングを第六感や野生の感で予測、見切りと残像によるフェイントを用いて攻撃が当たったと見せ掛ける事で隙を誘ってカウンターを狙い、持ち前の怪力による剣刃一での閃一撃を叩き込み、返す刃で2回攻撃を狙う
ワイバーンの甲殻は堅いかもしれないけど怪力による鎧砕きで削り、毒使いとして毒を付加したい
「そう易々と食べられると思った?残念!」



 手負いの竜。世界多しと言え、これほど恐ろしいものもそうそうないだろう。
 立花・桜華(羅刹のシーフ・f05787)は、この危険な状況にあざやかな微笑を浮かべ、周囲の猟兵たちに語りかけた。
「さあ、ここからだよみんな! 油断せず頑張っていこう!」
「グァオオオオオォォォォォォ!」
「まずはわたしからっ!」
 ワイバーンの返す咆哮を、切り裂いて桜華が突進する。己の『感』を全開にし、敵の挙動を読む――尻尾のなぎ払いからの、急上昇!
「させないよー!」
 回転方向は反時計。右方向に進路を傾けた。このまま飛ばせてしまっては、急降下からの強力な攻撃を許すこととなる。故に。
 ――チッ!
 桜華は横っ飛びからのナイフ投擲で、その回転軸を攻撃した。とん、とハンドスプリングで姿勢を整え、わずかにワイバーンが足踏みしたところを、さらに攻める。
 スピードをわずかに落として。
「バァオアアアア!」
 その絶好のチャンスに――とワイバーンは考えた――強烈な前蹴りが叩き込まれた。ワイバーンからしてみれば、小賢しい小動物に身体能力の差からくる暴力というものの違いを教え込んでやった、そのつもりである。
 爪先に引っ掛けるだけだ。それだけで、どんな生物もズタズタになる。生物というものは、なんとも脆く、柔らかい……しかし。
 しかし、伝わってくる血と肉の感触がまるで嘘のように朧げなのは、これはどうしたことか。その疑問には即座の答えが返された。
「当然、避けたからだよねっ!」
 緩急制御、要は急停止からの急加速。桜華が仕手魅せたのは、まさにそれだ。ワイバーンが蹴りをブチ込んだのは、高速で動く人体が一瞬だけ止まることによって、観測者の感覚内に浮上する、桜華の残像である――!
 桜華は、ここでトップスピードとなった。
「たああありゃああああああああ!!!」
 その身が振るうのは、ごくごく小さな刃である。竜の牙にも、爪にさえ、長さ大きさでは敵うことはないだろう。しかし、鋭さでは、決して引けを取らない。
 そして鋭さとは、時に刃の物理的限界を超えて発揮されるものだ。
 ズ――ザンッッッッ!
「ケアアアアアアアアァァァァ!」
 両手で突き立てたナイフを引き毟るようにして、桜華はワイバーンの甲殻を破る。まだ足りぬと見てもう一度。力任せにその部分を切り裂き、剥がした。
「開いた所に――うわわわっ!」
 ダメ押しの毒攻撃は、さすがに振り払われる。桜華自慢の脚による締め付けも、ワイバーン内部の筋肉の隆起と、単純な遠心力との相乗効果には歯が立たない。
 頭を切り替え、即座の離脱を選択する桜華。それを悟っていたか、ワイバーンは追撃を仕掛けてこず、しかし憎々しげにこちらを睥睨する。
「へへ、そう易々と食べられると思った? 残念!」
 桜華は敵の悪意に涼やかな言葉を返す。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルセティ・ソルレスティア
【WIZ】
ワイバーンとは以前戦ったことがあるので経験を踏まえて攻撃するよ
まずはダメージを蓄積させることだね

【行動】()内は技能
Flying Broom GTSに乗る(騎乗、操縦)
戦闘に入ったら(先制攻撃)でイスベル・ウラーノを発動
あくまで囮のUCだからダメージは気にしない

フィオ姉ちゃんのアイギスの盾が決まったら再度攻撃
「ボクに任せてよね!」
(高速詠唱)でカラミダド・メテオーロを(全力魔法)で叩きつける
もっちろん(2回攻撃)にするよ!
「えっへーん、今のは効いたでしょ?」

すぐに(ダッシュ)で距離を取って防御態勢をとるよ


フィオリナ・ソルレスティア
【WIZ】
「なるほど、ワイバーンが真犯人だったわけね」
フォルセティと共にワイバーンに挑む

■作戦
ワイバーンの攻撃を相殺で封じながらフォルセティに
上空からのUCで攻撃させる

■行動
引き続きFlying Broom GTRに騎乗して戦う
フォルセティとは散開して的を絞らせない
(技能:戦闘知識や空中戦を駆使)

フォルセティのPOW型UCでガードのワイバーンダイブを誘い
攻撃モーションに入った瞬間、
アイギスの盾でUCを相殺(技能:高速詠唱×全力魔法)
「今だ、フォルセティ!」

攻撃後はすぐさま距離をとり反撃に備える
「眼下の獲物を狙うのは得意でも上空からの攻撃に弱いわね」



「グゥゥゥ、バアアォアアアアアア!」
 ゴオオォォッ!
 口角泡を飛ばしながら、強引な羽ばたきで地面から剥がれ行くワイバーン。その凶暴な飛行を、慎重に見極めようとする姉弟がいた。
「……なるほど、ワイバーンが真犯人だったわけか」
「ワイバーンとは以前戦ったことあるし、その時の経験が活かせるね、フィオ姉ちゃん」
 姉のフィオリナ・ソルレスティア(サイバープリンセス・f00964)と、弟のフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)。と、宙をのたうつワイバーンの挙動に見慣れたものを感じて、フィオリナは咄嗟に飛び出した。
「え!?」
 呆然と……算段が違うと、その背中を見るフォルセティ。
「フィオ姉ちゃん! まだボクの囮――」
「想定より早い!」
 Flying Broom GTRでの単騎突撃。それは確かに、ワイバーンの注意を引いた。ここの展開は、フォルセティ言う所の『想定』通りだが。
「(ひとつ、工程を飛ばしてしまっている!)」
 本来――こちらは本命の一撃の前に、2つ、自分とフォルセティで『下方からの反応』を仕掛けるつもりだったのだ。
 それが1つになった。
 レシピの全てに理由があるように、全ての行動には意味がある。それを知るフィオリナの背中に冷たい汗が這い降りた。
 でも、やるしかない。フィオリナは覚悟を決めた。何故なら、私が行うのは――。
「ゴォオオアアアアア!」」
「その技はもう見ているッ!」
 ――弟を守護るための、防御の技だからだ!
 上空からのワイバーンダイブに対し、フィオリナは掌を向ける。それと同じサイズの、しかし瞬く間に空を覆わんばかりに拡大する光の盾が生まれた。
「エスクード・デ・エイギス!」
 ギャギャギャギャギャギャッ!
 光の盾に食い込まんとするワイバーンの爪が、神経ごと削り取ってくるような騒音を立てる。ワイバーンを跳ね返すのと、盾が消滅するのとは、ほぼ同時であった。
「フォルセティーっ! ここで何もしないのはっ、無しだ!」
「く――打つよ、フィオ姉ちゃん!」
 体制を崩したワイバーンが、空中で縦に一回転……気づかれた。構わず、フォルセティは詠唱を完成させる。
「落・ち・てええええぇぇぇぇーっ!」
 フォルセティはワイバーンの背中めがけて、本来の本命――灼熱の巨大隕石を差し向けるユーベルコード、カラミダド・メテオーロを放った。
 それは数多の存在を否定して余りある、超巨大質量と超高熱……しかし。
「シュィイイイイイイ!」
 警戒の叫びを上げながら、ワイバーンは空域を離脱する。その位置を、隕石が素通りにしていった。
 かわされてしまった……威力もさることながら、抜群の命中精度をも誇るはずの、カラミダド・メテオーロが。
 運か、相性か。それとも単に見破られていただけか。フォルセティが答えを出す前に、フィオリナが彼を、Flying Broom GTSごと引っ掴んだ。
「ほら、もたもたしない! もう仕掛けてるんだろ!?」
「う、うん……2発目、行くよ!」
 フォルセティが指を上に振ると、落ちていく隕石が魔法のように消えた。代わりに、新たな隕石がワイバーンの直上に召喚される。高速で後ろに下がり行く視界の中、今度こそはと、念入りに座標を設定して……。
「今だ……今だ、フォルセティ!」
「悠久に揺蕩う無限の星屑よ。星柩満ちて此へ集うは漆黒の紅炎!」
 数瞬前と同じ光景――デジャヴュは、そこで終わった。隕石はワイバーンの翼を食み、自重を以て地面へと叩きつける。
「ギョアアアアアアア!」
 それは数多の存在を否定して余りある、超巨大質量と超高熱。そんなものを二度も召喚した負担は如何ほどのものか。姉は知らずのうちに、弟の身体を支えていた。
 地平線の此方が、燃えている――。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

田抜・ユウナ
隕石とはまた、ド派手ねえ。

遠く離れたところで、風を受けて乱れた長髪を整えながら、呑気に呟く
対するワイバーンは健在、と。よく生きてるわねぇ。
……ま、仕込んでたのが無駄にならずに済んだ。
パンッと柏手。両手で複雑な印を結び【レプリカクラフト】
造るのは、この世界では珍しくもないであろう「魔術仕様の仕掛け罠」
《目立たない》ように地面に刻んでいた魔法陣が起動。
地中から樹の根みたいなものが飛び出し、墜落したワイバーンを大地に縛り付けようとする。

私にできる手伝いはこの程度。後はがんばって、ね。
ヒラヒラと手を振りながら背を向ける。

*アドリブ歓迎



 光と、音と、風と。
 その順番で、田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)の長髪が、さらりと乱れた。軽く指先をすき通すと、赤い瞳をすがめる。
「隕石とはまた、ド派手ねえ。そういうのも嫌いじゃないけど」
 余波に踊る砂粒を踏みならし、両足を肩幅に。
 内観。観測。測量。量定。
 定めしは魔術。こなたならぬかなたに、見えぬ指先を落とす術だ。
「対するワイバーンは健在、と。よく生きてるわよねぇ、あれで。
 ……ま、仕込んでたのが無駄にならずに済んだ」
 最後の一画をつるりと記す。丁度そこに、隕石にあえぐワイバーンが激突した。
「専心――」
 ――パンッ。
 柏手を打つ。音の余韻が消えぬ内に、ワイバーンが目標座標からずれぬ内に、ユウナは加えて複雑な印を結び、魔術を編み上げた。
 おそらくこれは、ありふれたものなのだろう。似たような物を、どこかで見かけたこともある。即ち、バネとゼンマイと、また重力と張力とに依らぬ、魔術仕様の仕掛け罠だ。
 幾条もの樹木の縄が、噴出するエーテルの速度で跳ね上がる。
 巻き付く。
「……グゥアアアアオオオ!」
 悲鳴が、光景に遅れて聞こえた。その頃にはもう、ワイバーンは文字通りがんじがらめにされている。まだ足りぬと、ユウナは遠く指筆を走らせた。
「絞めろ……!」
 上から下に。天空から大地に。いましめの方向性を揃える。いたずらに、もてあそぶために抑えつけるのではなく、狩ると意思を持って唯一の獲物を捕らえる為の、罠の力だ。
「ギィイイイイ!」
「生意気ね。まさか自分ひとりだけが、力の担い手だと?」
 ワイバーンがこちらに気づき、遠距離ながらに射すくめてくるような視線を飛ばしてくる。ユウナはそのまぶたをきつく閉めた。
「力にも色々あるのよ。色々ね。
 けど少なくとも、好き放題にばらまくようなそれに、私は負けない」
 大人しくは……ならない。あきらめるような生き物でもないらしい。いつかはこの束縛をやぶり、自由に空を飛ぶようになるだろうと、感触でわかる。
 けどその瞬間は、永久に来ない。
「……私にできる手伝いはこの程度。後はがんばって、ね」
 ユウナはひらひらと手を振り、この場を去った。
 もはや一顧だにしない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三蔵・迅
ワイバーンが動きを封じられている内に少しでもダメージを与えます
農場を守る為にもこれ以上暴れさせはしませんよ

両手を高く空へ掲げて、サイキックブラスト
避ける様子を見せるならワイバーンの目の前で高圧電流の火花を散らして、目くらましと参りましょう
翼も含めて全身痺れさせてあげます

それでもワイバーンが空へ飛び立つというなら
つるぎを深く突き刺してでも、地上へ再度落とします
肉を斬れないようななまくらでもね、硬い鱗を砕く位は出来ますよ
電流通す鉄の剣の一撃、どうぞ喰らっていってください



「動きを封じられている内に――」
 三蔵・迅(遠き夕の灯・f04775)が、雷電の斥力で駆ける。電荷の跡をちりちりと残す軌道は、まっすぐに、一文字の直線を描いていた。
 狙うはワイバーンの顔面。触れればどこであろうと電撃を流し込めるのが、このユーベルコード『サイキックブラスト』の利点でもあるが、迅はそれ以上を狙っている。
「グ……ォオオ!」
「これ以上、暴れさせはしませんよ!」
 両掌を打ち合わせると、目をくらます光量がさらに眩くなる。迅はそれを天高く掲げて、ワイバーンの視線を上に誘導した。
 その、一瞬。
 わずかに上がる、ワイバーンのあぎと。
「(――潜り込む!)」
 一瞬だけ高圧電流を止める。と、残光がワイバーンの網膜を灼いている所を、無光の掌が下に抜けていくことになる。再稼働。
 す、と迅のてのひらがワイバーンに触れる。急所である喉から脳に向けて。全身へ。
「――アアアアアギャアアアアアアアアアアア!」
 超高圧の電撃が流れる。それらはワイバーンの肉を焦がし、血を沸き立たせ、神経を暴れさせた。死に物狂いの、本来のスペックを超えた筋肉の痙攣が、仲間の樹縛を引きちぎろうとする。ならば。
 再度、迅は己を射出した。斜め上方、この敵をして最も警戒すべき部位である翼に向かう。すれ違いざまに、その腱を狙って、『つるぎ』の一刀を走らせる。
 しかし――斬れない。この『つるぎ』はなまくらだ。重いだけの、形だけのもの。
 するとワイバーンの白熱する意識が、その鈍重な一撃に勝機を見出した。このニンゲンは、詰めで誤った。刺さらず、抉れもしない爪に、恐れることはない、と。
「グ、ギョアアアアア!」
「……それでも、です」
 それでも迅には、この武器を携える意味があった。これは鈍重で、剣の形をしていて。
 なにより迅の手に良く馴染んでいる。故に――。

「――肉を斬れないようななまくらでもね、硬い鱗を砕く位は出来ますよ」

 パギャ――と、甲虫を潰すような生体破砕音。下から現れたワイバーンのピンク色の肉に、着地した迅が両掌を向ける。放電。
 もはや声帯すらも痙攣させているワイバーンが、呼気だけの悲鳴を上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
む。やっこさん、まだ息があったか。
だが今なら此の双剣も届きそうだな、容赦無く行かせて貰おう!

「ダッシュ」で勢いをつけ「地形の利用」で足場になりそうな岩などを蹴り
ワイバーン目掛けて思い切り飛び上がり
【時計の針は無慈悲に刻む】で斬り掛かる
双剣の切っ先を向ける間も惜しい、思い切りが肝要かと
一度ぶちかまし、なおも届くなら「2回攻撃」で追撃を

ワイバーンブラストは継続して警戒
着地の瞬間を急降下で狙われぬように、また爆風に対しては
「オーラ防御」での可能な限りの被害軽減を試みたい

皆の攻撃の積み重ねで、お前もそろそろ疲れたろう。
いよいよもってお休みの時にて、ご退場願おうか!

※アドリブ歓迎です



「む。やっこさん、まだ息があったか。」
 吐く息がある。ならば、吸う息もあるということだ。
 生命が続く兆候の一つ。それは、眼前のオブリビオンに対し、許容し得ないものである。
「今なら此の双剣も届きそうだな――」
 ニコは、両の視線と双の針剣、よっつの鋭い刃物をもってワイバーンを捉えた。
「ギィ……グ……」
 ワイバーンは、これまでの猟兵たちの猛攻で、ほぼその命を尽きさせていた。
 肉は爆ぜ爪は折れ、翼に力なく、牙を閉じる顎はだらだらと血をこぼしている。
 が……倒す、殺すというのは、その状態に敵を貶めるということではない。
 殺すとは、殺すということだ。その意気地あって、猟兵たちはここにいる。
 まして見逃せば、『この状態』に貶められる無辜の命が増えるとあれば。
「――容赦無く、行かせて貰おう!」
 地を蹴る。ニコの身体が過ぎた跡に、一瞬遅れて砂煙が立つ。草原が、同心円状の荒波をしぶかせていく。それほどまでの速度。
 加えて大地を味方にする術を、ニコは会得していた。それは例えば、地面のコブを斜めに踏み抜いて、力のベクトルを効率よく前方に向ける技術でもあり、また味方の攻撃の影響で新たに作られた地形の隆起を、使い捨てのジャンプ台に見立てる観察力でもあった。 対して――ワイバーンも、覚悟を決める。
 己はここで滅びると知った。あの猟兵が、己を滅ぼすと悟った。
 だから、己もアレを滅ぼすべしと心得た。
「アアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァ!」
 最期まで無事に残った器官――心臓を、ここで消費する!
「く……その力! 警戒が必要か――」
 その拍動は、地面を通じてニコにまで届いた。こちらのテンプを直接揺さぶってくるような、雄々しくも極めて不快な力。
「――否!」
 真価を発揮される前に、断つ。この一瞬でニコが下した結論は、それであった。
 ニコは見立てどおりに、ジャンプ台から宙へ跳ぶ。ワイバーンの狙いは解っていた。こちらが切り結んでから着地するまで、短い短い生と死との間隙を耐え抜き、諸共に世界ごと、爆風で砕くつもりだ。
 どちらも決め打ちである。事此処に至って、臨機応変など叶うはずもない。
 それからの顛末は、約束事のように、時計が時計回りに回るように進んだ。
 ニコの双剣が、心臓に向けてワイバーンを切り開く。身を捩るワイバーン。構わず、血まみれになりながらも、ニコは脈動するそれを刻む。一回、十回、百回。全ての腱を断ち、全ての血管を切り離す。ワイバーンはここで絶命する。絶命し、死ぬまであと――。

 ニコはワイバーンを再殺した。

「時計の針を進めるのは、こちらとしても日常でな。
 時間の使い方で俺と張り合うには、経た年月が違いすぎる。そういうことだ」
 ニコはもう一度動いていた。ワイバーンの両目、延髄、双翼。
 それで決着である。命の抜けきったワイバーンの肉体が、その裡に溜め込んだ衝撃のちからの暴散によって、消し飛んでいく。
 何一つ――この世界の何一つ、かつてのように破壊し得ぬまま。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『中世のお仕事!(羊飼い編)』

POW   :    威圧感で狼を追い払ったり心を通じ合わせる

SPD   :    狼から羊を守る装置を作ったり素早く羊を避難させる

WIZ   :    羊を守る魔法や狼を追い払う魔法を使う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「オーオーカーミーダーーーーーーー!」
 朝一番。あっちのほうで少年が叫ぶ。正直者として知られるその少年の、嘘偽りのない必死の叫びは、牧場の全員を飛び起きさせた。
 果たして狼の一群が、舌なめずりしながら牧場の羊たちを狙っているではないか!
 起きろ猟兵! 立ち上がれ猟兵! いつもならマサクゥル(皆殺しの)まさかりで果敢に立ち向かっていく牧場主は、今日に限って風邪で寝込んでて使いものにならないぞ!
キャサリン・エンスレイヴ
・作戦

1.SPDで対応。
 ユーベルコードで狼を仕留める。
 【情報取集】を用いて他参加者との連携を図りつつ、仕掛けた罠に狼を追い込むよう要請。
割いてもらえた労力に見合う貢献を試みる。

2.当然、ユーベルコード使用以外にも自身で動く。
 事前に用意した爆竹や【属性攻撃】で追い立てたり、手持ちの食料を罠への経路に置いて誘導を行なう。
それらが稚児にさえ劣り、一笑に付される手段というなら、狼の足にしがみついてでも羊たちを守る。

3.事後は遠方に散ったであろう羊たちを集め、牧場の人々への引き継ぎ。
 その後は他参加者の労をねぎらって食事だ!
 その前に【料理】だ!
 食べて見ないか?案外いけるぜ、狼肉ソーセージ。



「フフフ……」
 腕を組み仁王立ちのキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)である。
 彼方に見るは、牧場の柵の外で、キャサリンが仕掛けた食料に喰らいつく狼たち。
「……教えてやるぜ、Booby(まぬけ)」
 ぱちん、と指を鳴らす。すると、各所にしかけられた爆竹が都度発火、例の餌以外に目を取られていた狼も、同じ一箇所に集めていく。
 それでも様子見をするような賢い、あるいは愚鈍な狼は、黒尽くめの長身ブロンド猟兵が何かの棒を持って追い立てているようだが――さて。
「執念ってのはこういうことを言うんだ!」
 言って、キャサリンは神経を集中させた。イメージするは、ある殺傷機械群だ。
「オーダー!」
 と、一匹の狼が、仕掛けられた肉にかぶりつく。それだけのわずかな動きで、すべてのスイッチが連動して入った。
 ギャギャギャギャギャギャ!
 数万本の細かな鉄杭が、口を開けた機械群から発射される。当然、そこにいた狼はミンチも同然の有様となった。
「うわ……すっご……」
 その様子を見ていた牧童たちが言葉を失う。そんな彼らに、キャサリンは笑顔で振り向いた。
「よし、じゃあ羊たちのことも面倒みようぜ。今の騒ぎで散った連中も、集めてやらないとな。な?」
「……あ、はい! それは僕たちの仕事です!」
「OK。ただ、遠くに行き過ぎた羊は、危ないから俺に任せとけ」
 と、三々五々動き始める牧童たちに声を掛けるキャサリンであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

三蔵・迅
狼を追い払うのも仕事とは…牧羊って意外とハードなお仕事なんですね
草を食む羊さんたちを遠くからのんびり見守っていよう、などと思ってたのですが残念です

狙われている羊たちの避難を手伝いますよ
農場の奥、あれば羊舎など安全な場所へ羊たちを誘導
群れから離れそうな羊がいたら、時間も惜しいので念動力で浮かせて移動させますね

もし狼の一部がこちらへ来た時は
蝋燭の火程度の「ブレイズフレイム」をばらまいて
何をしようと消せない火でじわじわプレッシャーを与えましょうか
ささ、火傷する前にお早く逃げて下さいね



 牧歌的、という形容がある。
 どんな世界を見回しても、その言葉が似合うのは、まさにここ、牧場だけである。
 そんな光景を期待していた三蔵・迅(遠き夕の灯・f04775)であったのだが――。
「狼を追い払うのも仕事とは……。牧羊って意外とハードなお仕事なんですね」
 広い広い牧場を駆けずり回りつつ、迅は嘆息した。寄ってくる狼の一団を炎で撃退すると、野太い声がそれに答えて言う。
「そうだぜ兄ちゃん! 羊をみんな舎に入れるまで、ボサッと昼寝なんかできると思うなよ!」
 声の主は、迅よりずっと年若い、おそらく十代前半であろうある牧童であった。
 聞けばその牧童は、むかし大声を出しすぎたせいで喉を潰してしまったらしい。幼い顔立ちに似合わないその声質に、迅は感慨深くうなずく。
「けどまあ、それが終われば昼寝タイムだ! やろうぜ兄ちゃん!」
「ええ! 離れた仔は、私に任せて!」
 迅は念動力を用いて、群れからはぐれた羊を捕まえた。怯えた声を上げる羊を、なるべく優しく、急いで親元に戻す。
「なんだそれ兄ちゃんカッケー! ウィザード? ウィザードなのか?」
「ふふ、それとはちょっと違いますよ」
 意味ありげに微笑む迅であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
【空】

狸っぽい色合いの狐姿にて参加
人語会話不可能


可愛いもふもふ羊さんをいじめるヤツは赦さない
もふもふの敵は、俺の、敵!
……ハッ!おおかみさんも、もふもふ…

狼追い払おうと羊との間に割って入り
きっ!と睨ん(だつもり)で
尻尾をぼふっ!と膨らませ
…しゃ…!(空気が抜けたような音)
今の?威嚇。っていう顔で振り返る
おお、常盤、流石
管狐へ前脚ふりふり挨拶

狼が諦めぬなら
二本足立ちで両手を広げ身体を大きくみせつつ
再度、威嚇!
しゃ…?
こ、コノ、真面目に、やる!
抗議のあんよちたぱた
…あ、楽。
其の儘引っ掴まりつつ
もうココの羊に手出すんじゃないぞと
背の毛逆立て恫喝威嚇で手助け


羊をおうちへ
びーすとますたーの実力見せてやる


神埜・常盤
【空】
羊君たちを狼から守れば良いのだね
人の役に立ってこそ陰陽師というもの
式神共々尽力しよう

あ、さつま君
狼相手に狐姿ではあぶな――
(膨れる尻尾に口を覆い)かわいい
否、良い威嚇だねェ

さァ、狼君たち、早く逃げないと
美味しく料理されてしまうよ
ねェ、コノハ君?
僕はステーキが良いなァ

僕は簒奪者に捧げし狂宴で
物理的に狼を追い払おうか
少し脅かしてやれ、管狐

さつま君の可愛すぎる万歳に和みつつ
コノハ君には自分だけ
たぬ尻尾もふもふ狡いと抗議

狼を追い払った後は羊をお家へ戻したく
でも僕、動物に好かれないのだよねェ
コノハ君はもふもふ見守る姿勢だし
あァ、そうだシズル君(f10880)
彼等を家へ戻すの手伝ってくれないかね?


コノハ・ライゼ
【空】の仲間と

おぉー、絵に描いた様な羊飼いの世界
狼追っ払うのね、楽勝~と
たぬちゃん(f03797)に続いた先で炸裂する威嚇(?)
後ろから聞こえるかわいいの声
ぶは、と噴き出し笑うのを隠しもせず膨らむ尻尾をもふもふしに

モチロン狼君の事も忘れてないさ、と万歳たぬちゃん持ち上げて
そうだねぇ、ジンノ(f03797)はどんな調理がお好み?
【月焔】を小さな炎に分散し
牧草地を焦がさぬようゆらーり追い立てるようか
ふふ、美味しく焼かれたい子はいるかなあ?

無事追い払えたら羊ちゃん達を送り届けようか
オレもうっかり食べちゃうといけないから、プロにお任せしよう
もふもふの群れを後ろから眺めてたいだけナンて事は、ナイよ



 ……此の世には、野山を駆ける禽獣あり。人家に伏せる畜獣同じくあり。
 しかしてこのたぬき、その何方にも非ず。
 もとより、たぬきですらなかった。
 狐です。それだけは今のうちにはっきり言っておきたかった。あと猟兵。
「―――――――!」
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は、牧場の柵をひらりと飛び越えた。着地してでんぐり返し。くるくるくるぽんと立ち上がって。
 すると狼がいた。その口元には、野生の臭いと吐息の水蒸気を漂わせている。
「めえええぇぇぇぇ……」
 不安そうによびかける美人の羊に、さつまはゆらり尻尾を振って、心配ないぜときざに返す。もふもふは正義。もふもふは愛。天地を満たす無二の真実である。
 もふもふの敵は、俺の敵。さつまはそう心に刻んだ。しかしよく考えれば、対する狼もまたもふもふではないだろうか。そう考えると、あっちはあっちでワイルドで悪くない。こっちはこっちでキューティで素晴らしいし。
 もふもふヴァーサスもふもふ。ワイルドミーツキューティ。板挟みであった。
「さーて、お仕事お仕事……おや?」
 そこにおっとり刀で現れるは、三十路の長身、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)だ。かちゃかちゃと鳴る竹筒を、まだだまだだと抑えつけ。
「あ、さつま君。狼相手に狐姿ではあぶな――」
「――――――しゃ」
 今のさつまはドシリアスであった。葛藤に身を焦がせば、結局たずきはままならぬ。選ばねばならぬ。切り捨てねばならぬ。
 なぜ世界はもっとシンプルに、もふもふにならないのだらう――。
「――さつま君、悩んでるね?」
「ぃよーう。どしたどした、たぬちゃんもジンノも」
 今度はコノハ・ライゼ(空々・f03130)も現れて、[空]の三人面子勢揃いである。ほとんど物見遊山気分でいるからか、緊張感はまるでない。
「お。……やる気だねたぬちゃん。気が変わったのが見て取れるようだ」
 主観では無限にも思えた葛藤の末、さつまが出した答えはキューティであった。ワイルドはまたの機会に!
「ウーーーーーー!」
 うなり声とともに、さつまが狼に見せた決意とは。

 ぼふっ!
 それはそれは、おおきくおおきくふくらませたしっぽであったとさ。

 四肢を大きく広げ、高く掲げた尻尾を膨らませる。体を大きく見せるのは基本だ。大きさイズパワー。大きさイズジャスティス。もふもふイズトゥルース。
「ぶふーーーーーー!!」
 コノハは思いっきり吹いた。隠しようも悪びれもなく吹いた。
 だってあれ。だって、あれーーーーー!
「か、かわい……い、否、いい威嚇だねェ」
 口元を覆うことで、常盤はかろうじて三十路の体裁を保った。
 そんな二人に、さつまは「今の? 威嚇だよ?」と言う表情で振り返る。ところでたぬ――きつねの表情とは、一体。
「た、たぬちゃんそれキープ! キープでお願いします!」
 辛抱たまらなくなったコノハは、柵を飛び越えてさつまの尻尾に飛びついた。
「うぁん!」
 勢い余ってさつまとコノハ、二人してころころ転がって、いきつく先はドラゴンスクリュー式尻尾抱きまくら状態。すなわちヘヴンであった。
「お、オレたちももふもふさせろー! がおー!」
 というのは紛れもない幻聴だが、さて狼が殺到してきたのは事実である。頬を緩ませっぱなしのコノハに、さつまはてちてちと後頭部を叩いて知らせようとする。無為だった。
「こらこら狼君たち、無粋だよォそれは」
 常盤さんならなんとかしてくれる。管狐に定評のある常盤さんなら。
 そんな言外の期待に答えるように、常盤は竹筒の封を下に向けて開いた。滑り落ちてくる管狐を握って放り投げ、式とする。
「さァ、狼君たち、早く逃げないと美味しく料理されてしまうよ。
 ねェ、コノハ君? ――コノハ君?」
 その頃さつまは、コノハを諦めていた。腰から下を動かせないので、しかたなく背筋力を用いた背反らしの姿勢で、両前足を広げた威嚇の姿勢を取る。力尽きてぱたんと地面に倒れる。復活して背反らし威嚇。また力尽き。また復活。
 そこをコノハがちょいと掴み。
「モチロン狼君の事も忘れてないさ」
「しゃ……?」
 バンザイ姿勢のさつまを、コノハは立ち上がり持ち掲げる。このもふもふが目に入らんか。ばーん。
「ふふ、美味しく焼かれたい子はいるかなあ?」
 コノハは周囲に、月焔の分割火弾を生成した。万が一にも牧草を、あとさつまのもふもふを焦がさぬように、細心の注意を払う。
「それはそれとして。ジンノなら、どんな調理がお好み?」
「んー、僕はステーキが良いなァ」
「ちなみにわたくしなら、スープにいたしますわね。ええ、まるごと」
 と前兆無く割り込んできたのは、常盤が前もって呼んでいた傭兵、シズル・カンドーヤ(ラジカル・レディ・f10880)だ。目がキラッキラしている。
「では、狼どもの巣へ追い込みますわよ!」
 戦端を切るシズルを追って、狐火と月焔の二重奏が空を走る。
 さつまは応援した。効果は抜群だ! 途中で管狐に前足を振ったせいでバフが途切れたりもしたが、びーすとますたーの名に違わぬ働きをしたと言えよう!
「めえええええぇぇ♪」
 羊は嬉しそうに鳴き、狼の居なくなった平和を称えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月01日


挿絵イラスト