エンパイアウォー⑨~暑くて黒くて熱い夏
関ヶ原を越えた徳川幕府軍は、3つの街道に分かれて島原へと向かう。
紀伊半島から淡路島、四国へと海を渡る、南海道。
四国地方の日本海側を、鳥取城下を経て通る、山陰道。
そして、瀬戸内海側を通る山陽道である。
瀬戸内海に面した諸国の気候は1年を通して安定し、過ごしやすいと言われるが。
「今、山陽道周辺が猛暑に見舞われてる」
話すだけでも暑そうに、団扇をぱたぱたあおぎながら、九瀬・夏梅(白鷺は塵土の穢れを禁ぜず・f06453)は説明を始めた。
「もちろん、夏だから、とか、天気がいいから、なんて話じゃない。
侵略渡来人『コルテス』の策だ」
それは、山陽道周辺の気温を極限まで上昇させ、進軍してくる幕府軍を、熱波によって茹で殺す、というもの。
そのためにコルテスは、霊峰富士を噴火させる儀式を行う傍ら、富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉を配下に集めさせていたのだという。
霊玉の力によって、既に山陽道の平均気温は35度を超えているが。
さらに儀式が進めば、50度まで上がると見られている。
「猛暑、酷暑、ときたら、その先は何て言えばいいのかねぇ」
夏梅は、考えたくもない、という表情を見せた。
熱中症に注意しましょうとか言う話じゃない、殺人的な暑さです。
「コルテスの策は暑さだけじゃない。
南米原産の風土病も蔓延させようとしているらしい」
暑さに耐えても、病が死をもたらす。
これによって、山陽道を進む幕府軍3万は壊滅してしまうだろう。
「そこで、儀式の核である霊玉を壊して来てほしい」
霊玉を破壊し、儀式を中断させれば、気温の上昇は止めることができ。
極度の高温でしか発生しない風土病のウィルスも、死滅させることができる。
だがしかし、儀式を行っているのはオブリビオンで。
ゆえに猟兵達にしかできない任務。
なるほど、と納得して、士気を高める猟兵達に。
夏梅は少し困ったような顔を見せた。
「私が見つけた儀式場は、長州藩の武家屋敷の1つでね。
そこでオブリビオン……ススワタリが霊玉を中心に集まって、儀式をしてる」
真っ黒な煤が集まったような妖怪は、家の中を煤まみれにしてしまうという、掃除泣かせな存在だが。
それが霊玉を持っている、ということは。
真っ黒な煤の中から霊玉を見つけなければいけないということで。
……見つかるかな、これ。
「あー……まあ、よろしく頼むよ」
夏梅は視線を反らして団扇を振ると、猟兵達を送り出した。
佐和
こんにちは。サワです。
これは大掃除の話かな(滝汗)
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
屋敷の中にはススワタリしかいません。
幾つもある部屋それぞれに、ススワタリが部屋中を真っ黒にして居ますが、霊玉がある部屋は1つだけです。
ススワタリを倒さないと、屋敷はどんどん煤まみれになり霊玉は見つかりません。
また、儀式のせいもあり、屋敷内は大分暑くなっています。
それでは、真っ黒な夏を、どうぞ。
第1章 集団戦
『ススワタリ』
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POW : まっくろくろすけの通り道
【対象が煤だらけになる集団無差別体当たり 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : かつての住処
【ススワタリがかつて住んでいた巨大な屋敷 】の霊を召喚する。これは【扉から射出した大量のミニススワタリ達】や【窓から射出した巨大ススワタリ】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 煤だらけ
【対象に煤が付くフンワリあたっく 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を煤で黒く塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:灰色月夜
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
木元・杏
猛暑、酷暑、……殺暑?
お掃除、うさみみメイドさんの本領発揮
屋敷に入って
ん、霊玉はどの部屋?
第六感働かせて目星を付けた部屋を一つずつきれいにしていく
……ん、ここはやっぱり【うさみみメイドさんΩ】
メイドさん全員に箒を持たせて
手分けしてお掃除(物理)していって?
ミニススは個々で箒で殴り、窓からの巨大ススは5体一組で力を合わせて殴り対応
本体は、メイドさん(こくり
本体同士、プライドを賭けて戦お
掃除するか、すすまみれるか
すすを見切り、掃除とみせかけフェイントで撹乱、ジャンプして脳天からおそうじパンチ!
メイドさん達が頑張る隙に
わたしもオーラ噴出
ススワタリ達をオーラで包み
手隙なメイドさんの元へ、ぺっと差し出す
夏の暑さを表す言葉は幾つかある。
「猛暑、酷暑……」
それを思い浮かべながらその武家屋敷に足を踏み入れた木元・杏(ぷろでゅーさー・あん・f16565)は、夏だから、という以上の暑さにこくんと首を傾げた。
「……殺暑?」
もはや『暑い』と言うより『熱い』状況。
その原因は、霊峰富士から持ち出された噴火のエネルギーの塊。
「ん、霊玉はどの部屋?」
早速、杏は、原因たる霊玉を探し始めるけれども。
廊下も、壁も、障子も、襖も、畳も、天井も。
「真っ黒……」
屋敷中が煤だらけになっていた。
どこまでが廊下でどこからが部屋なのか、境界が分からなくなるほどに。
その壁が、本当に壁なのか、障子なのか、襖なのか、直ぐに判断できないほどに。
聞いていた以上の、オブリビオン『ススワタリ』の所業。
杏は少し驚いたように金目を瞬かせて。
「……ん、ここはやっぱり」
でもすぐに、傍らのうさ耳付きメイドさん人形へ視線を向けた。
お掃除ならば、メイドの仕事。
そう答えるかのように、うさみみメイドさんは箒をぎゅっと握ると、主へとこくんと頷く動作を見せて。
「いってらっしゃい」
杏の言葉に、その姿を増やす。
複製されたうさみみメイドさんは、四方へ展開すると、それぞれにお掃除を開始した。
1体1体が着実に煤を払って、杏の周りがじわじわと綺麗になっていく。
その綺麗な範囲を広げ進めるように、杏はゆっくりと廊下を歩き。
途中で気になった部屋の前で足を止めると、うさみみメイドさん達は方向を変え、その部屋を隅々まで綺麗にしていった。
そうして掃除が進む中で。
不意に、杏の目の前に、別の屋敷が現れた。
屋敷の中の屋敷は、むろん、ススワタリが召喚したもので。
その扉が開くと、ミニススワタリが大量に射出される。
だが、杏は慌てず騒がず、それを真っ直ぐに見つめ。
周囲に展開していたうさみみメイドさん達の箒が唸る。
掃除(物理)とばかりに振り回される箒は、次々とミニススワタリ達を撃墜し。
続いて、窓から現れるのは巨大ススワタリ。
そちらは5体1組となって、集中的に掃除(物理)していく。
杏もそのオーラでミニススワタリを包むと。
「これもね」
ぺいっと差し出せば、お任せと言わんばかりに群がるうさみみメイドさん。
そうこうするうちに、本体であるオブリビオン『ススワタリ』が姿を見せた。
「本体は本体同士。
プライドを賭けて戦お」
こくりと頷いた杏に応えて、その傍らにずっといた、複製元であるうさみみメイドさんが初めて前へ出る。
その箒が掃除をするか。
はたまた、さらなる煤にまみれるか。
ススワタリとうさみみメイドさんは、睨み合うように対峙して。
動く。
振り撒かれる煤を見切り、間を詰めたうさみみメイドさんは、そのまま箒を振り抜いて掃除の動作を見せるけれども。
箒の風圧に逆らわず、流されるようにふわりと避けるススワタリ。
だが、それはうさみみメイドさんの思惑通り。
掃除はフェイント。箒を囮にして、うさみみメイドさんは既に高く飛び上がっていた。
上から狙うは、脳天お掃除パンチ。
潰されるようにして、ススワタリは、煤をまき散らして倒れ消える。
それでも、放たれた煤は残ったままだったから。
「……お掃除、再開」
杏は小さく息を吐いてから、うさみみメイドさん達と共に、屋敷の煤を払っていった。
成功
🔵🔵🔴
鳶沢・成美
やれやれ、ネッパはパシフィックリーグだけで十分なんですが、熱パじゃなくて熱波か
”火炎耐性”と暑さの耐性はあまり関係ないかもしれないけれど
これくらいの熱波になれば多少は効いてくるかもしれません
そしてススワタリですか、汗みずくで相対したくない相手ですね、べっとりくっつきそうで
とりあえず攻撃兼涼むということで【氷雪竜巻】を使用
”全力魔法”の”範囲攻撃”で部屋の中のススワタリを”2回攻撃”で念入りに攻撃
「多少は涼しくなると良いんですがねえ」
アドリブ・絡み・可 ””内技能
「やれやれ、ネッパはパシフィックリーグだけで十分なんですが」
鳶沢・成美(探索者の陰陽師・f03142)はあまりの暑さに顔を顰めた。
例えるのは、故郷UCDアースの熱い戦い、だが。
「熱パじゃなくて熱波か……」
何と言おうと、暑いものは暑い。
火炎耐性は暑さ対策には役立たないのかな、と思ってみたりもするけれど。
もしかしたら、火炎耐性で多少の熱波は防げていて、それでも尚暑いのか、と怖いことに思い至ってしまったり。
効いてようが効いてまいが、とにかく暑い。
さらに、周囲はススワタリによって真っ黒に染め上げられており。
暑さに流れ出る汗も黒くなっているのではないかと危惧する程。
いつも白いフェイスタオルをハチマキのように頭に巻いている成美だが、気付いたら黒いハチマキになっている、かもしれない。
暑くて、黒い。
せめてどちらかにして欲しいところですが。
諦めて進んだ先で、成美はある部屋に、煤をまき散らすススワタリを見つけた。
相手も成美に気付いたようで、煤を纏ったままこちらへと迫って来る。
これ以上黒くなるのも、煤まみれでさらに暑く感じるのも、勘弁してもらいたいところなので。
「舞え、氷の竜よ。アイストルネード……なんちゃって」
成美は、無数の細かい氷の粒を放つ。
それは竜巻となってススワタリへと襲い掛かり、その黒い身体を巻き込むと、振り回すようにして霧散させ。
さらにその周囲を、部屋中に溜まっていた煤を共に巻き上げて。
氷雪で白く輝いていた竜巻は、あっという間に真っ黒に。
そのまま部屋の外、屋敷の外へと竜巻は出て行った。
それを見送った成美は。
もう一度、大分煤が払われて、畳が、襖が、天井が、見分けられるようになった部屋をぐるりと眺め回す。
「多少は涼しくなると良いんですがねえ」
真っ黒よりは幾分涼しく見えるようになった部屋。
竜巻の氷雪で一時的に冷えた部屋。
だがしかし、すぐにまた押し寄せる、暑さ。
やっぱり霊玉をどうにかしないと駄目か、と思いながら。
成美は次の部屋へと歩き出した。
成功
🔵🔵🔴
紫谷・康行
病に倒れるのはどんな人だろうか
抵抗力や体力のないものだろう
俺は弱いものを守るために力を使いたい
強いもの
要領がいいもの
うまく世の中を渡っていけるもの
そうじゃなくても生きていけるようになればいい
煤なら吹き飛ばしてしまえばいいだろう
【イーゴーの見えざる刃】を使い部屋の中に風を吹かせて煤を吹き飛ばしながら霊玉を探す
屋敷の入口から扉を開けていき、そこに世界の果てから吹く風を吹かせて煤を飛ばし、風の刃でススワタリを倒していこうとする
「部屋は片付けないとすぐに汚くなるし
人が住まない建物はあっという間にダメになる
世界には住む人がいなくちゃいけないってことだね」
できれば仲間と協力して一気にきれいにする
また1つ、紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)は屋敷の扉を開ける。
入口から進む先で、扉を見つける度に開け放ち、外と中とを繋げて行って。
言霊で風の刃を呼ぶと、煤を外へと吹き飛ばす。
真っ黒だった屋敷が、少しずつ本来の姿を見せてきて。
風が吹くその時だけは、暑さが少し和らいだかのように感じる。
黒さも。暑さも。辟易するものだけれども。
康行の懸念はそれらよりも、熱波が広げるウイルスに向いていた。
(「病に倒れるのはどんな人だろうか」)
それは考えるまでもない。
抵抗力の低い者。体力のない者。
大人より子供であり。若者より老人であり。病気や怪我をした人だろう。
弱い者から蝕んでいく……病とはそういうものだから。
(「俺は弱いものを守るために力を使いたい」)
康行は、暑さよりも煤よりも、ウイルスを払うように風を呼ぶ。
強いものだけが。
要領がいいものだけが。
うまく世の中を渡っていけるものだけが。
生き残っていく世界ではなく。
弱いものも。
要領がよくないものも。
世の中をうまく渡れないものも。
共に生きていけるようになればいいと、願いながら。
世界の果てに吹いていた風と共に、康行は進んでいく。
「部屋は片付けないとすぐに汚くなるし、人が住まない建物はあっという間にダメになる……世界には住む人がいなくちゃいけないってことだね」
だから、と康行が対峙するのはススワタリ。
暑さを呼ぶ霊玉を守り、屋敷を黒くする煤を生み出し、そしていずれはウイルスを呼び込むであろう存在。
どこかぼんやりした焦茶色の瞳を、だが真っ直ぐに向けた康行は。
滅びゆくとある世界を思いながら。
再び、言霊を紡ぐ。
「星空も見えぬ世界の果て、辿り着くこと叶わぬイーゴーに吹く無慈悲な風よ。
全ての因果を絶つ決別の刃よ。
我が言葉に導かれ今ここに吹け」
風は喚ばれるままに康行の前へ現れると煤を舞い上げ。
そして、無音のままに刃となって、ススワタリへと迫り、その煤だらけの身体を切り裂き、霧散させた。
さらに、黒い残骸を屋敷の外へと押し出していく。
黒さを。暑さを。
弱き者から襲うものを。
康行の風は、押し流していく。
成功
🔵🔵🔴
草野・千秋
南米原産の風土病!?
そんなもの輸入してどうするんですか、まったく……
エンパイアの夏にそんなの致命傷です
そんなことしないさせない
なんだかほのぼのした見た目ですが
僕は舐めてかからない
いくぞ!(変身)
UCで敵勢力を蹴散らし
勇気をもってしてこの戦いに挑む
戦闘序盤は2回攻撃とスナイパーと範囲攻撃をメインに当てていく
敵体力がある程度削れたら全線に出て接近戦に挑む
怪力パンチキックをお見舞いしてやるぞ
敵の攻撃は第六感でかわして
避けられない場合武器受け、盾受け、激痛耐性で耐える
仲間はかばえるのならかばう
みなさんが無事なら
この鋼の身を差し出すことも厭わない
「南米原産の風土病!?
そんなもの輸入してどうするんですか、まったく……」
草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)の憤りが向かうのも、暑さや煤よりもウイルスに対してで。
「エンパイアの夏に致命傷です。そんなことさせない!」
思いの丈を宣言しながら、千秋は腰のtonitrus transformatioを輝かせた。
「いくぞ! 変身!」
そして、ポーズを取った千秋の身体を、随所に蒼いラインを刻んだ銀色のボディアーマーが覆う。
ヘルメットの下に、柔らかそうな茶色の髪と穏やかな緑色の瞳を隠し。
「断罪戦士ダムナーティオー推参!」
鋭い眼差しで、戦闘形態となったサイボーグはススワタリと対峙する。
黒くて丸くてふわふわして、なんだかほのぼのとした見た目の相手だが。
舐めてかかるような愚行は犯さない。
千秋は油断なく、本気で襲い掛かった。
全武装の一斉発射が流星群のように集まり固まっていたススワタリへと降り注ぎ。
その爆風を以って煤を払い避け、個別に散りばめさせる。
そこに千秋は接近すると、力強い拳を、鋭い蹴り足を、打ち込んで。
ススワタリを砕いて煤へと変えていく。
連続攻撃を受けたススワタリは、反撃とばかりに体当たりをかけてきて、千秋の身体を覆う銀色の輝きが黒く鈍るけれども。
それで千秋の……ダムナーティオーの勢いを止めることなどできはしない。
(「みなさんが無事でいられるのなら、この鋼の身を差し出すことも厭わない!」)
銃弾の雨でススワタリを蹴散らしつつ。
接近戦で着実にススワタリを潰していく。
辺りが煤に塗れ、床や壁の黒がどんどん濃くなっていっても、千秋はススワタリを倒す事に注力した。
煤の発生源を早く打ち倒せば、屋敷の汚れは止まるから。
そして何より、元凶である霊玉を早く見つけられるように。
千秋は迷いなく黒の中へ飛び込んでいき、次々とススワタリを倒していった。
成功
🔵🔵🔴
カーバンクル・スカルン
あーつーいーぞー! 屋敷の中まで真っ黒でアツアツに熱貯めてるなんてどうなってるのー⁉︎
というわけで、浴槽に水を貯めては沸騰させずにひっくり返して煤を流します。
それに気付いたススワタリ達が集まってきたらカタリナの車輪で拘束して、浴槽の中に突っ込んで犯オブリビオンの体自体もキレイにしちゃいましょう!
キレイにならずに窒息したとしても、それはそれで良し!
「あーつーいーぞー!」
巨大なカタリナの車輪に力なくもたれかかるようにして、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの咎人殺し・f12355)はぼやく。
「屋敷の中まで真っ黒でアツアツに熱貯めてるなんてどうなってるのー!?」
ぷうっと頬を膨らませて、怒って見せるけれども。
それで涼しくなるわけもなく。
「……よし。水責めにしよう」
据わった瞳で、カーバンクルはユーベルコードを発動させた。
「熱いか冷たいかは運次第!
だけど今回は冷たいのでお願いします!」
現れた浴槽には水がなみなみと入っていて。
それをそのまま、カーバンクルはひっくり返す。
溢れ出した水は、勢いよく流れ、沢山の煤とほんの少しの暑さを押し流していく。
まさかの水洗いをされた屋敷は、一部だけとはいえ、元の色を見せていたから。
「どんどん行くよ!」
カーバンクルは次々と浴槽をひっくり返していった。
煤は次々と流され、時折カーバンクルも水浴びをするように洗われて。
だが、その動きにススワタリ達が気付く。
かつての住処を召喚すると、その扉から、窓から、ススワタリが飛び出した。
綺麗になった屋敷を再び煤まみれにしようとするように。
そして、妨害するカーバンクルに襲い掛かるように。
その動きを見たカーバンクルは。
「オブリビオンもキレイにしちゃいましょう!」
太い棘を持ち、カーバンクルより大きなカタリナの車輪を回転させ、向かい来るススワタリを巻き込むようにして拘束する。
そして、車輪ごと、水の入った浴槽に叩き込むと。
水洗いされたススワタリは、綺麗になりすぎて、姿を消していった。
思っていたのとは違う結末に、カーバンクルはじっと浴槽を覗き込んで。
「……それはそれで良し!」
開き直ったように言い切った。
そしてまた、新しい浴槽が現れ、新たなススワタリが向かい来て。
カーバンクルの豪快な水洗いは続いていく。
成功
🔵🔵🔴
太宰・寿
うう、暑い…これは大変なことです…。
外も暑ければ、中はもっと暑いなんて…早くお掃除して、風通しを良くしましょう。
山陽道に住む人たちの為にも、早く解決しなくちゃ(白衣を腕まくり)
霊玉を探す為にも、お部屋の煤をどうにかしないといけませんね。
ふわふわした煤なら、液体(絵具)で洗い流すもとい塗りつぶしましょう!
煤で汚れた地面も、カラフルに彩ってしまいます『グラフィティスプラッシュ』
ススワタリさんにも、虹霓を振り回して応戦。マーブルカラーにしまおうと試みます。
霊玉が見つかれば、虹霓で叩き割りますね。
「うう、暑い……これは大変なことです……」
太宰・寿(パステルペインター・f18704)は非常に重い足取りで廊下を進む。
「外も暑ければ、中はもっと暑いなんて……」
普通は、直射日光が当たり地熱の影響を受ける外の方が暑いものだけれども。
この異常な暑さの元凶は、屋敷のどこかにある霊玉。
ゆえに外より暑い室内を、寿は俯き気味に歩いていく。
とはいえ、暑い暑いと言っているだけではいられないから。
「早くお掃除して、風通しを良くしましょう。
山陽道に住む人たちの為にも、早く解決しなくちゃ」
白衣の袖をぐいっとまくり、その細腕を露わにして寿はぐっと顔を上げた。
腕まくりは、涼をとるためであり、そしてやる気を表すものでもある。
それを証明するかのように、煤だらけの部屋を見回した寿の手に、モップサイズの絵筆がしっかりと握られる。
「ふわふわした煤なら、液体で洗い流すもとい塗りつぶしましょう!」
虹霓の柄についているボタンを押せば、カラフルな液体……すなわち絵具が、絵筆の白い毛を彩って。
そのまま振り回せば、黒い煤が色とりどりに塗られていった。
水辺のような水色に。木陰を思わせる緑色に。
青色と白色で涼やかな風を表せば。
落ち着いた静けさを紫色が添え。
赤色や黄色はアクセントとなり、対比として冷たさを引き立てる。
床を、壁を、天井を。寿は次々と塗り上げて。
どんどん黒色を追いやっていけば。
それに怒ったかのように、現れるススワタリ。
ふんわりと迫り来る漆黒を見て、少しだけ首を傾げた寿は。
「マーブルカラーにしましょう」
すぐに笑顔を浮かべ、虹霓を振るった。
繰り出すのはグラフィティスプラッシュ。
放たれた絵具はススワタリを捉え、そのまんまるで黒色な身体を白色に染め上げると、狙った通りの碧色と蒼色のマーブル模様を描き出す。
煤らしさを完全に拭い去られたススワタリは、そのまま力を失い消えていく。
そして、残った煤も同様に払ったそこに。
不思議な輝きを見せる、熱い暑い球体があった。
「これが、霊玉?」
察した寿は、すぐさま虹霓を振り下ろし。
鈍器と化した絵筆は、見事に霊玉を割り砕く。
これで、さらなる気温上昇は、異常な熱波は止められたけれども。
「……一気に涼しくはならないものね」
急激に気温が下がるものでもなく、屋敷はまだまだ煤で黒いから。
煤を飛ばす風の刃、氷雪の竜巻。箒を手にしたうさみみメイドさんや、煤の増加を止めていくサイボーグ。屋敷中を洗い流す浴槽の水。
それらの活躍を眺めて。
寿も、あと少しと虹霓を振るった。
大成功
🔵🔵🔵