エンパイアウォー⑨~死中の活を灼く焔
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「サムライエンパイアでの戦いも、月半ばへと掛かったわけだけれども、皆さん、怪我とかはしていないかしら?
今は暑い時期だし、過度な無理は禁物よ」
休む時は全力で、ね。と、猟兵たちを迎えるポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)。
「――と言いながら、なのだけど、今回皆さんに赴いてもらいたいのは、熱波地獄の儀式が行われている山陽道周辺なの」
侵略渡来人・コルテスが、幕府に叛意を持つ長州藩の毛利一族を手駒にし、多くのオブリビオンを生み出して、幕府軍の迎撃準備を整えているようだ。
「長州藩士を生贄にして、骸の海からオブリビオンを呼び寄せているようね」
手駒ひとつ、その中身は凄惨なものだ。
「『山陽道周辺の気温を極限まで上昇させ、進軍してくる幕府軍を、熱波によって茹で殺す』という非道な作戦が決行されようとしている。
現時点でも、山陽道の平均気温は、夜間でも高いみたい。
儀式が果たされれば、平均気温が五十度を超える殺人的な暑さとなるわね」
サムライエンパイアで平均五十――湿度がくわわれば呼吸も容易ではない。
「それに、コルテスの策略は熱波だけでは無く、同時に『南米原産の風土病』も蔓延させ、幕府軍に死をもたらすものなの。
けれど、この風土病のウィルスは、極度の高温でなければ死滅する種類らしいから『熱波を生み出しているオブリビオン』を撃破できれば、風土病も阻止できるわ」
猟兵たちが向かうオブリビオンの軍勢――相手は大火蜂だ。
バチバチと激しい火花のような羽音を出しているので、現場はある意味においてとても賑やかなはずだ。
「大火蜂たちは何かを守るように、動いているみたい。
山陽道へ赴いた誰かが目にしているかもしれないわね。恐らくは報告に上がっていたエネルギーを蓄えた霊玉かしら。
とりあえずは撃破を最優先に、――頑張ってきてね。
よろしくお願いするわ」
そう言って、ポノは猟兵たちを送り出すのだった。
ねこあじ
『このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります』
ねこあじです。
人数によりますが、採用不採用が出てくると思います。
なるべく頑張りますが、ご了承ください。
それでは、よろしくお願い致します。
第1章 集団戦
『大火蜂』
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POW : 種火
【自身の身体】が命中した対象を爆破し、更に互いを【火事の炎】で繋ぐ。
SPD : 延焼
【周囲の炎が燃え広がること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【火事】で攻撃する。
WIZ : 不審火
自身が戦闘で瀕死になると【炎】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
篝・倫太郎
【華禱】
考えても仕方ねぇか……
つか、夜彦……無茶すんなよ?
拘束術使用
射程内全部の敵に鎖で先制攻撃
俺自身は華焔刀でなぎ払いの範囲攻撃
刃先返して2回攻撃
拘束術の攻撃にも自身の攻撃にも衝撃波を乗せてく
以降は拘束術と華焔刀での攻撃
フェイントも織り交ぜてタイミングをずらしたりして
攻撃を読ませ難くするのも忘れずに実行
夜彦の死角へのフォローも拘束術で行う
可能なら夜彦に向かう火の攻撃も鎖で撃ち落とす
敵の攻撃は見切りと残像で回避
間に合わない場合はオーラ防御で防いでカウンター
夜彦を信じてねぇ訳じゃねぇ
でも、不得手は不得手だ
だからこそ、ぜってぇ炎の攻撃は通させねぇし
連中の好きにもさせねぇ……
きっちり仕舞いにしようぜ
月舘・夜彦
【華禱】
彼等が何を守っているのか
それが分からなくとも、このままでは人々の死に繋がる
……倫太郎殿、私は大丈夫ですよ
生きてきた世界が戦地になる事に何も思わない訳にもいきません
今も人々が危機に瀕しているからこそ、我々が出来る事をやらなくては
ダッシュにて接近、先制攻撃・早業にて斬り込む
攻撃は2回攻撃併せなぎ払いにて一掃
敵の炎に関する攻撃は残像・見切りよる回避
敵の負傷を目視で確認し、瀕死の状態であれば距離を取り
抜刀術『神風』にて遠距離から攻撃
得手不得手を理由に戦いを避けるつもり等ありません
例えこの身が、簪が火に触れる事になろうとも
ですが……彼自身はそれを好しとはしていないようで
彼には、助けられていますね
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瀬戸内海側を通る山陽道。
有事の際には、適宜路線の変更がなされ、ルートの取り方は複数にあった。
サムライエンパイアの地に降り立った猟兵たち。熱を存分に含んだ空気が包みこむ。
夏、どころの暑さではない。
本来ならばそろそろ処暑の訪れを感じる時期であるにも関わらず、地下水すら温くなるこの『熱』。コルテスの手駒の仕業に違いない。
「彼等が何を守っているのか……それが分からなくとも、このままでは人々の死に繋がる」
月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の表情も、声も、常とは変わらぬそれであったが僅かな憂いが含まれている――気配を感じ取ったのか、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は目を向けた。
同じ高さの目線。
その間にも、バチバチと大火蜂の飛翔する音が聴こえ、倫太郎は今だ気付かぬ遠くの敵へと視線を戻した。
何かを、恐らくは霊玉を守っているであろう大火蜂。
「考えても仕方ねぇか……つか、夜彦……無茶すんなよ?」
彼に何と応えたものか、と一拍。夜彦は考える。二人が立つ場にまで伝わる熱波は、我が身をびりびりと灼いてくる。
既に周囲の土は干上がり、植物は力をなくし、木の幹もまた変色している――。葉がひらり舞うのは、風のせいではなく、熱が煽る大気のせいだ。
「……倫太郎殿、私は大丈夫ですよ」
一丸となり歩を進める幕府軍。彼らへ助力する一般庶民。
宿場はいくつもあるが、数万となる軍を迎える地の労力は大変なものだ。
「生きてきた世界が戦地になる事に、何も思わない訳にもいきません。
今も人々が危機に瀕しているからこそ、我々が出来る事をやらなくては」
彼らの力を無駄にしないためにも、猟兵たちは各地へと出向く――疲労を覚えるのは、達成感と共に、でいい。
今は駆け続けるのみだ。
バチバチバチ、バチバチバチッ。
無数の羽音が鳴り響き、様々なものを妨害している。
距離感、集中力、その音を避けたのか殺されたのか、虫一匹見当たらぬ灼熱の場。
そんな大火蜂の群れへ先制攻撃を仕掛けるは【華禱】の二人だ。
「縛めをくれてやる」
初手、ユーベルコード・拘束術を発動させた倫太郎が、災いを縛る見えない鎖で敵群を攻撃する。
衝撃波がのったそれは飛翔する敵を乱し、次々と見えぬ鎖が捕らえていった。
反動か、倫太郎を中心に引きこまれるような動きを一瞬見せる大火蜂たち。
彼が華焔刀をなぎ払えば、敵の焔が突風に煽られた炎のように鋭い一線を描く。
一方。
接敵した夜彦が斬り込む。敵一体を起点に速駆けのまま斬り上げ、斬り落とし。再度下段から。
止まらぬ一刀が敵陣を切り崩す。
バチバチバチっ!
倫太郎の攻撃を受け、特攻してくる大火蜂たち。
バチバチとどこか制限されたような動きで飛び交い、旋回し、その余波は夜彦へも及ぶ。
(「夜彦を信じてねぇ訳じゃねぇ」)
けれど――不得手は不得手だ――。
「だからこそ、ぜってぇ炎の攻撃は通させねぇし――連中の好きにもさせねぇ」
倫太郎が腕を振るえば、見えぬ鎖が動く。その軌道は体勢を崩す大火蜂の群れで見て取れた。
分断されるかのように開かれる戦場。
大火蜂を目で追い、一度納刀した夜彦が踏みこむ。
(「得手不得手を理由に、戦いを避けるつもり等」)
当然、無い。例え、我が身が、簪が火に触れることになろうとも、だ。
だが倫太郎はそれを好しとはしていないようだ、というのを感じる夜彦。
(「彼には、助けられていますね」)
戦場にて応える手段など只一つ。
腰を据え、上体を前傾するとともに、一気に夜禱を抜き放った。
「是は空さえも斬り裂く刃也」
抜刀術『神風』の見えぬ斬撃が周囲の炎の残滓を完全に消し、大火蜂を斬り刻む。
バチッ――羽音が弾け、小さな爆発。
更に鋭い一閃が焔を払う。
反応した他の大火蜂たちが渦巻く焔を、羽撃音と共に一斉に広げた。
炎海と変移しゆく戦場に、次なる猟兵の力が叩きこまれていく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
星群・ヒカル
※アドリブ・連携歓迎
あっつ!!えっここ本当に地球?宇宙船育ちにはこたえる環境だぜ……
だがここでめげては超宇宙番長の名折れだ!さあ、喧嘩と行こうか!
超宇宙バイク『銀翼号』に『騎乗』し、対抗して光子エンジンをふかし、敵を『存在感・パフォーマンス・挑発』で惹きつけるぜ
火が飛んで来づらいように、『地形の利用』でなるべく風上にいよう
『ロープワーク』でワイヤーを木に引っ掛けて方向転換したりするような『逃げ足・早業』で攻撃を避け、敵を翻弄しよう
敵の隙を『視力・第六感』で感じ取ったら
超宇宙学生服を『火炎耐性』のある宇宙空間モードに切り替え接敵
勝負を一瞬でつけにいくぞ
『超宇宙・真眼光波動』で一気に殲滅だ!
「あっつ!!」
サムライエンパイアの地に降り立った星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)を、熱い空気が包みこむ。
大地は干上がろうとしていて、植物は萎れてしまっている。木の幹は変色しかかっているほどの暑さだ。
「えっここ本当に地球?」
本来ならばそろそろ処暑の訪れを感じる時期であるにも関わらず、この暑さ。元凶はコルテスの手駒に違いないだろう。
「宇宙船育ちにはこたえる環境だぜ……」
早速額から伝い落ちる汗をぬぐいながら、「だが」とヒカルが呟く。
バチバチバチと羽音鳴る方へと、猟兵たちが向かい始める。
先制攻撃に、初手、斬りこんでいく者――猟兵としての力を行使しようと準備し始める者。
「ここでめげては超宇宙番長の名折れだ! さあ、喧嘩と行こうか!」
超宇宙バイク『銀翼号』に騎乗したヒカルがスロットルを回す。
光子エンジンをふかせば、反応した物質と反物質が光を噴射し、伴う音が辺りに響き渡った。
バチバチバチッと羽撃く音をかき消すように。
――バチッ!
音に反応し大火蜂たちがヒカルの方を向いた。
その時にはもう銀翼号は走り出している。
風上を選び敵陣側面を突っ切れば、釣られるように数体の大火蜂が音の元を追う。
大木の真下を通ったヒカルが超宇宙牽引ワイヤーを太枝へと巻き付けると、銀翼号は大きく旋回するように――まるで空に急カーブがあるかのように、駆けた。同じ軌跡を辿る大火蜂たち。
その時、仲間の攻撃に突如として炎海と化した場がヒカルの眼下に現れた。
熱風が彼と銀翼号を煽る。
「おっとッ」
銀に輝くボディに炎筋が映りこむ。
魔改造した超宇宙学生服がヒカルの全身を包みこみ、彼を灼く熱波を閉ざす。
同じく熱風に煽られやや体勢を崩しながら突っ込んでくる大火蜂たち。
「勝負を一瞬でつけにいくぞ」
愛用のバイクに語りかけるヒカル。
光子エンジンがふかされ、着地の衝撃を和らげると同時に相棒は駆けた。大火蜂たちの背後を取る。
『……!』
バチバチッと羽撃音と共に振り返る敵の群れ。
「その目に焼き付けろ。これが……超宇宙番長の輝きだッ!」
ガントバスに与えられた星写す魔眼から、魔力光波動が放たれた。
燃え広がらんとする炎を払い、かき消す光波。刹那に放射した光は強く、すべてのものを無差別に攻撃する。
『ギィィィ……!』
ドンッと弾け、爆発する大火蜂。
「よしッ!」
拳をぐっと作りヒカルはガッツポーズ。
羽撃く音がヒカルの周囲から一掃され、僅かな静寂――強い火花のような音は離れた位置から聞こえてくる。
「おっと、まだまだいそうだな――行くか、銀翼号!」
成功
🔵🔵🔴
二天堂・たま
夏は暑い。山道は暑い。火の近くは暑い。
よし、クーラーの利いた喫茶店に行こう。それかエベレストの山頂だな。極寒最高。
とりあえずUC:アルダワ流錬金術で周囲の無機物を雪に変えて操作しよう。
雪は断熱効果が高く、氷より熱を遮断してくれる。
雪ウサギならぬ雪ケットシーになれば快適快適。
そういえば敵は火蜂か…。
攻撃も同UCを使おう。
雪を操作し、吹雪を起こして火蜂を”ぎゅっ”と握りこむのだ。
雪が解けて水になり、火を消してしまおう。
不審火や延焼も雪で沈下できるしな、雪は偉大だ。
泉宮・瑠碧
…火は、怖いが…被害の放置は出来ない
…精霊達よ、力を貸して
僕は主に杖を手に
水と氷や風で鎮火や攻撃をしていく
燃え難くする為や気温の対策に
周囲へ冷気と水の気配も強めよう
攻守に第六感を研ぎ澄ませ
特に仕留め損ないには注意
瀕死になる大火蜂には水の刃を放って即座に仕留める
人が居らず蜂の数が多い所へはエレメンタル・ファンタジア
中でも炎が酷い所を優先に水の竜巻
合間に
水の塊を放つ鎮火や風の流れを閉ざして消火
蜂達へは水の刃での属性攻撃で
複数なら刃を増やして範囲攻撃
蜂の勢いや延焼を防ぐ事を意識して動こう
被弾へは見切り
回避不可なら水の守りによる火炎耐性とオーラ防御
大火蜂に悪意は無いかもしれないが討たせて貰う
…すまない
山陽道。
瀬戸内海側に位置する五街道のひとつ。
サムライエンパイアの地に降り立った猟兵たちを、存分に熱を含んだ空気が包みこむ。
陽炎を起こす大地――干上がりかけていて、植物は萎れてしまっている。
カカッと照りつける太陽を仰ぎ、二天堂・たま(神速の料理人・f14723)は呟く。
「夏は暑い。山道は暑い。火の近くは暑い」
青みがかった灰色の毛並みがじりじりと熱を含み始めているのを感じた。
これはいけない。どうにかせねば。
ぽふりと手を打つ、たま。
「――よし、クーラーの利いた喫茶店に行こう。それかエベレストの山頂だな」
ケットシーならではなお口を開けて、ぱあっとした表情をする、たま。
直ぐに出来そうなのは……。
「ちちんぷいっ! と」
片腕を上げ、小さくジャンプすれば猫鈴もとい、ケットシーの鈴が軽やかな音を立てた。
瞬間、周囲の無機物が雪となり、白の景色がやってくる。
「空気や石を雪に変えたのか……涼しいな」
近くにあったはずの石が雪塊になっているのを見て、ほうっと安堵の息を吐く泉宮・瑠碧(月白・f04280)。
儚げだった水精霊の力が、少しずつ取り戻し始めたようだ。
精霊杖を片手に、手をかざせば冷気と水の気配が強くなる。
「極寒最高」
瑠碧に向かって、にいっと笑むたま。その毛には雪が纏わりつき、雪ウサギならぬ雪ケットシーの出来上がりである。
「雪は断熱効果が高く、氷より熱を遮断してくれる」
「――成程」
例をあげれば、かまくらだろうか。瑠碧は頷いた。
だが――。
戦場は炎の海へと変移していた。
(「……火は、怖いが……」)
瑠碧の青の瞳に、燃え盛る炎が映りこんだ。
バチッ!
と、大きな火花の音に、ハッとして瑠碧が目を向ける。
(「被害の放置は出来ない……精霊達よ、力を貸して」)
ぎゅっと杖を握り、祈る。
「風の精霊よ」
願うは、風の流れ。
たまと共に歩いてきた方向から、ざあっと強風が吹き、冷風が拡がらんとする炎を押し返す。
そして炎渦巻く上空へ水の竜巻を放った。
『ギイイイイイイッ!!』
バチバチバチバチと羽撃く音が散開する。中心にいた二体ほどが逃げられず、その身が爆発した。
降り注ぐ熱と炎が瞬時にして消え去る。
「そういえば敵は大火蜂か……」
ほとんどにおいて閉じているたまの目が薄く開かれる。覗くは緑の瞳。
気付き、接近してくる大火蜂たち目掛けて手を広げ、たまは吹雪を起こした。
ごうっ! と雪が吹き荒れる。
たまが手をぎゅっと握りこめば、吹雪くそれが旋回し縮小されていく――圧はそのままに。
『ギイッ』
ばしゅっと白煙をあげ、雪塊に閉じ込められる大火蜂。
瑠碧と交代するように、雪の力は解けた水となり、鎮火するものへ。
炎の拡大を阻害する方へ力を傾け始めた瑠碧は、周囲の気温を変化させていく。
熱波吹き荒れる大地を癒すように。
猛暑の時から、処暑の夕暮れ、秋の気配を感じる夜の気温へ。
「しばらくは大丈夫だろうか」
瑠碧が呟けば、たまは頷いた。
「敵数を減らすチャンスだな」
前衛を担う猟兵たちが、力を取り戻したように攻撃を仕掛けている。
そのまま広げていくように、アルダワ流錬金術を行使するたま。
「不審火や延焼も雪で沈下できるしな、雪は偉大だ」
『ギイイィ』
バチバチバチと羽撃く音が僅かに上から聞こえてくる――焔を散らしながら戦線を離脱しようとする敵へ、瑠碧が水の刃を繰り出した。
ばしゅっ! と再び小さな爆発音。再び白煙が起こるなか、大火蜂が掻き消える。
「大火蜂に悪意は無いかもしれないが――討たせて貰う。
……すまない」
そう呟いて、瑠碧は複数の水の刃を敵陣へと放った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
この暑いのに
さらに熱波地獄とか
考えるだけで死にそうだ
西海岸でバカンスがしたい
気候が良いから大富豪がたくさん住んでるネ
大火蜂とか
見た目に暑苦しい
バチバチ音がうるさい
霊玉を守っているのなら
恐らくは群れの中央にあるはず
そこを目指して攻撃していこう
そうソヨゴに告げ
Scythe of Ouroborosを袖口から滑るように取り出し構える
不審火に対応して出来る限り集中してすぐにとどめを刺す
火はBullet proof vestで防御する
UCを自分の周囲に展開
同時に多数の敵に攻撃されないようにこれでコントロールする
霊玉を見つけたら確保しよう
蜂が取り戻しに来るなら好都合
さあ来い
城島・冬青
【アヤネさん(f00432)と】
本当に見てるだけで暑くなってきますね
西海岸はそんなに良いところなんですか?
アメリカ…西海岸…夏…水着……そしてサメ…すみません、B級映画に一瞬トリップしかけました
目の前にいるのはサメではなくハチなのに
これも暑さのせいですね!
はい、どんどん数を減らしていきましょう!
それ殺虫剤ですよー(【衝撃波】をどーん)
更に負傷したハチを【傷口をえぐる】で追撃
一体ずつ確実に減らしていきます
ハチと繋がりたくはないのでハチの身体には接触しないようにします
【ダッシュ】と【残像】で回避!
無理な時は【武器受け】で対応
虫は本能で行動する分、どう動くのか読みやすいですね
とはいえ油断は禁物で!
バチバチバチバチ。
(「この暑いのに、さらに熱波地獄とか……」)
バチバチバチバチ。
侵略渡来人・コルテスの暴虐に侵される山陽道。
バチバチバチバチ。
大量の火花の音――否、大火蜂の羽撃く音がアヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)の思考を阻害する。
「……すごい音ですね」
「……そうだネ」
すっと入ってきた城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)の声は、まるで涼風だ。アヤネは頷いた。
バチバチバチバチ。
音が火花を散らし、ますます場の温度を上げる。
「西海岸でバカンスがしたい」
呟けば、花髑髏を構えようとしていた冬青がこてりと首を傾けた。
「西海岸はそんなに良いところなんですか?」
「気候が良いから、大富豪がたくさん住んでるネ」
アメリカ……西海岸、と連想ゲームのように次々と思い浮かんでくるものを上げ始める冬青。
今、セレブがキャッキャッとしている映像が脳内に流れている。
「……夏……水着……そして、サメ……――すみません、B級映画に一瞬トリップしかけました」
そう言った後に脳内に流れるのはサメ映画のBGMだった。
「目の前にいるのはサメではなくハチなのに――これも暑さのせいですね!」
心配無用。大火蜂の激しい主張の音は、冬青の連想をすぐにかき消してしまう。
「霊玉を守っているのなら、恐らくは群れの中央にあるはず」
アヤネの袖口から影が滑り落ちてくる――掌へと至った影が形を成し、大鎌の姿へ。
「そこを目指して攻撃していこう」
「はい、道を切り開きつつ、どんどん数も減らしていきましょう!」
炎海へと変じた戦場が、駆けつけた猟兵の力で涼しくなる。
されど召喚に応じた新たな炎が、猟兵たちの行く手を阻もうとする――そんな敵陣を散らすは、ウロボロスの大鎌であった。
二メートルにも渡るScythe of Ouroborosが旋回する。
手中の長柄から鎌先端。腕力では無く、遠心に身を寄せ、流れ舞うように敵を払うアヤネは常に視線を巡らせ、弱った敵を見つければ鎌先を走らせた。
斬り裂けば上空での爆発に火花が落ちてくる。だがBullet proof vestがアヤネの身を包み守っていた。
彼女の周囲ではエレクトロレギオンで召喚した小型の戦闘用機械兵器が、敵陣に応戦している。
「それっ! 殺虫剤ですよー」
花髑髏をなぎ払う冬青。衝撃波に煽られ吹き飛ばされる大火蜂。小さな焔が乱れ舞う。
起こる小爆破は撃破寸前だった敵のものだ。
殺虫剤(衝撃波)を散布する冬青。彼女目掛けて上空から特攻してくる大火蜂。
「わわっ、上からー」
大火蜂が冬青を捉える――が、残像であった。
『ギイイ――ッ!?』
大火蜂が鳴いた瞬間、花髑髏が敵を一刀両断。焔が弾けた。
「虫は本能で行動する分、どう動くのか読みやすいですね」
ダッシュで避け、敵死角へと回っていた冬青がにっこり笑顔で言う。
バチバチバチッ! と大火蜂が旋回すれば、炎が渦巻いているようだ。
「――とはいえ油断は禁物で!」
空へ向かって衝撃波を放つ冬青。煽り、さらに踏みこんでの一薙ぎが飛翔力を奪う。
一体ずつ確実に。
猟兵たちの攻撃に、数を減らしていく大火蜂たち。
集う動きから散開しようとする動きに逃さぬよう、より包囲を強める猟兵。
その時、キラッと光るものがあった。
霊玉だ。
富士の噴火のエネルギーを蓄えたそれは、焔のなか、揺らめく。
それを持ち逃亡しようと、飛翔する敵を見つけたアヤネが機械兵器を繰り、その動きを阻害する。
大鎌を翻し、敵胴を払った。
「ソヨゴ!」
「はい!」
花髑髏が霊玉を砕く――他の猟兵が最後の一体を倒した時であった。
瞬間、圧するような熱波が無くなり、まだ熱は残るものの明らかな空気の変化。
残暑として続く温度ではあるが――そのうちに深まる秋の気配が、この地を平常へと戻してくれるだろう。
敵を一掃し、儀式を阻んだ猟兵たちは次なる戦場へと向かって行く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴