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エンパイアウォー⑩~瀬戸の花嵐

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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『オラオラーッ!!』
『ヒャーッハッハッハ!!最高だぜェ!!』
 おお、見よ!波を殴り返し力強く海をゆくかの船を!!
 あれこそは“大悪災”日野富子秘蔵の軍資金によって作り上げられた怨霊村上水軍操る巨大鉄甲船の一隻、『第三無敵極悪丸』である!
『ヒーッヒッヒッヒ!見ろよ、幕府どもの慌てよう!』
 全長およそ五三〇尺。常軌を逸した巨大さを誇り、サムライエンパイアでも最新鋭の砲をしこたま搭載した極めて強力なバトルシップだ。幕府の水軍とはパワーが圧倒的に違う!
「さすが村上水軍のアニキたちだぜ!」
 その護衛につくオブリビオンたちもグッと拳を握り快哉を叫ぶ!

「……というわけだ。お前たちには今から海に向かってもらう」
 グリモア猟兵、イリス・シキモリ(f13325)は告げる。
「といってもレジャーや海遊びに行くわけではない。戦乱だ。お前たち、村上水軍は知っているか?」
 村上水軍とは、サムライエンパイアにかつてその名を轟かせた、瀬戸内海を主な縄張りとする海賊である。
「信長軍六魔将、日野富子の手引きだ。あの女の提供した資金力により建造された巨大な鉄の船が南海道の海路に展開し、更に村上水軍の怨霊を呼び出して操船させることできわめて強力な海上戦力として幕府軍を妨害している」
 このままでは幕府軍に大きな損害が出るだろう。
 ……というわけで、猟兵たちの出番ということである。
「お前たちはこの怨霊村上水軍のうち一隻、『第三無敵無敵極悪丸』に乗り込んでこれを沈めてもらう」
 だが、当然一朝一夕に落とせるものではない。手順についてイリスは説明を続ける。
「まず前提として、この船は怨霊村上水軍の力で動いている。……村上水軍の念が宿っている限り、どれほど破壊しても瞬く間に復元してしまうのだ。除霊も有効ではないだろう。時間稼ぎにはなろうが、すぐに“補充”される」
 一見して無敵。難攻不落とはこのことだな、と呟いたイリスは、しかして話の続きを口にする。
「これを落とすには、村上水軍の軍旗を奪うんだ。船の中央、帆柱にたつ旗を奪え。そうすることで船は怨霊村上水軍の力は船に及ばなくなり、瓦解する」
 しかし。
「当然、敵の妨害があるぞ。怨霊どもは操船に集中しているから何かしてくるということはないが、護衛としてオブリビオンの群れが乗船している。まずはこいつらをぶっちめろ。そうすれば旗取りは容易にできるはずだ」
 ……というところで、イリスは一度言葉を切った。
「ではもう一度手順を説明する。まず、お前たちは船に潜入する。正面から乗り込んでも、水中から穴を開けて入ってもなんでも構わない。うまくやれ。次に、船内で護衛のオブリビオンどもを叩きのめす。然るのち、旗を奪取して帰投。うん。こう言ってしまえば思ったよりシンプルだな」
 そこまで説明して、イリスは猟兵たちの顔を見渡す。
「では、説明は以上だ。質問はないな。……健闘を祈る」
 そして、グリモアは輝く。


無限宇宙人 カノー星人
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 戦争、たのしんでいらっしゃいますか?我々カノー星人も引き続き侵略を進めさせていただきます。
 この度もあなたがたと旅路をゆけることに感謝いたします。
 よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『剛鬼武童衆』

POW   :    極武技・相撲
【敵の防具を打ち砕くほどの強烈な突っ張り】が命中した対象に対し、高威力高命中の【背骨折りの抱擁と、脳天から落とす投げ技】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    極武技・空手
【視線】を向けた対象に、【一瞬で間合いを詰め、拳・蹴りの百連打】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    極武技・柔術
【四肢と首を同時に極める関節技】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神羅・アマミ
ぬぅうう!
『第三無敵無敵極悪丸』…!
重要なことなので二回繰り返すとは、余程その難攻不落ぶりに自信があるようじゃのう!
しかしビーチフラッグ競技において無類の強さを誇り免許皆伝を得た(今適当に言った)妾に旗取り合戦を挑むとは笑止!

コード『箱馬』にて並み居る雑魚を飛び越え、旗目掛け一直線に飛ぶ…と見せかけつつ、踵を返して雑魚を蹴る!
旗目掛け一直線に飛ぶ…と見せかけつつ、踵を返して雑魚を殴る!

マトモに取っ組み合って相撲を取るならともかく、空中戦ならば妾に一日の長があり、彼奴らも旗を死守せねばならぬとあらば、のらりくらりと立ち回ることで囮としての役割は十分に果たせるはず。
これぞ盾キャラとしての本分よ!


サーズデイ・ドラッケン
現役時代が思い起こされるシチュエーションですね
ですがここは重力下、宇宙とは勝手が異なります
慢心せず、気を引き締めて…突撃です!

敵艦の形状を確認し、砲門の少ない方面からウェイブストライカーで海上を疾走
発射タイミングを見切って回避しつつ接近し、船上へミサイルを発射
乗船直後を狙われぬよう爆風を煙幕とし、ワイヤーガンとスラスターの併用で一気に船上へと昇ります

敵は近接格闘が得手のようですね
ならばこちらも盾を構え、スパロウを持ちます
白兵戦に付き合う…と見せかけ、サブアームで保持したウッドペッカーを発砲
相手の土俵で戦う理由はありませんからね
接近を許さぬ弾幕を形成して殲滅し、旗を奪いに行きましょう


フィロメーラ・アステール
「上から来るぞー! 気をつけろ!」
というわけで空から旗を【盗み】に参上する!
おっと、そんなに派手に動いたら警戒されるかな?

まあいいや!
【紲星満ちて集いし灯光】を発動だ!
光精を引き連れて大々的に空襲を仕掛けるぞー!

【破魔】の光を降らす【パフォーマンス】で存在をアピール!
陰気な船を明るくして味方を【鼓舞】しよう!
で、こっちを見た敵には閃光で【目潰し】攻撃だ!
もし飛び道具とかがあっても狙いが定まらない!

あるいはジャンプや連携で飛んでくるヤツもいるかな?
その時は【空中戦】でお相手!
【気合い】の【踏みつけ】で叩き返すぞ!

ひとまず支援に徹しておくけど!
少しでも敵の気が逸れたら【残像】の速度で旗を頂く!


桑原・こがね
どっちでも良いなら正面からがあたしの流儀!
小舟で近づいて正々堂々乗り込んで名乗りを上げましょう!
あたしを見ろォ!

海に村上水軍あれば
陸に桑原こがねあり
この世に未練があるにせよ
世に仇成すのは見過ごせぬ
あたしの剣技を目に焼き付けて
冥土の土産とするが良い!

うむ!
注目が集まったところで片っ端からやっつけていくわ!
突っ張り?お相撲さん?見た目はこどもなのにやるわね!

まずは腕を狙って行くわ。【武器落とし】!
この場合武器って両腕なのかしら。勝負の世界は厳しいからしょうがないわね!
まあ、落とすのが目的じゃないのよ。そうやって攻撃の手を緩めさせて反撃よ!


黒川・闇慈
「第三無敵極悪丸……頭の悪いネーミングセンスですねえ。クックック」

【行動】
wizで対抗です。
さて、水上の船に乗り込むわけですが、船上という限られたスペースで戦うのは魔術師として遠慮したいところです。ですので、もっと広い空間を使って戦いましょう。ずばり、空からです。
高速詠唱、全力魔法、呪詛の技能を活用しカース・ブーストを使用します。変身が完了したら空を飛んで空中から怨念火砲による砲撃を行いましょう。相手は集団のようですから、範囲攻撃の技能をもって広い範囲に呪力砲撃の雨を降らせましょうか。

「やはり魔術師の本分は遠距離戦ですねえ。クックック」

【連携・組み合わせ・アドリブ歓迎】


御鏡・十兵衛
連携・アドリブ歓迎

これがかの第三無敵極悪丸……第一と第二はどこいったでござるか。
うん、まあよい(思考放棄)

泳ぐのは嫌いではないでござるが、後で着物を乾かすのが面倒くさい故『水地法』にて水面の上を歩いてゆくことにしよう。
船のどてっぱらに刀でちょちょいと勝手口を作ってお邪魔するでござるよ。

さてさて、童の鬼の群れによる百連打、正面から斬り合うのも出来なくはないが、それはまたの機会に。此度使うは【流独楽】 打撃百連、その全てを余す事無く吸収し、一刀に集約しお返し致す。
水面を打つが如く、その拳が響くことはござらん。


アリルティリア・アリルアノン
電子の海をまたにかけるバーチャル海賊、キャプテン・アリル参上!
この船は今日からラブリーアリル号とする!

さて、アリルがあの無敵ナントカ丸に乗り込むのに、泳いだり小舟で近づく必要はありません
目標地点に味方さえいれば、ユビキタスリンカーでひとっ飛びだからです!
そこでグッドナイスブレイヴァーで使う撮影用のドローンを、船上に向かわせます
言うなればこいつも味方ですからワープできるはず!
もしダメだった場合は味方の猟兵が乗り込むのを待ってワープします

護衛は筋肉自慢みたいですから、キレてるキレてる!とか誉めながら撮影すればフォトジェニック・ステイシスに引っ掛かってくれるでしょう
動けなくなった所を一網打尽です!


才堂・紅葉
【アドリブ連携歓迎】

「この水着がまた役に立つとは思わなかったわね」

潜水から【メカニック】による潜入ガジェットで【迷彩、しのび足】にて潜入する。【学習力、先頭知識】で事前に【情報収集】した内部構造や敵編成を照会しながら隠密任務だ。
嫌がらせまでに機関部に【破壊工作】を仕掛けてから、旗取りに出る。
機関部の爆破に合せて突貫だ。
「手早く行かせてもらうわね」
【野生の勘、見切り、グラップル】の防御に【敵を盾にする】位置取りで敵の視線を切りつつ、100も200も来る拳や蹴りをいなして前進。
計算された動きでトップスを掠らせ、中身が零れる【パフォーマンス、恥ずかしさ耐性】を交え、一息に旗を奪って海に飛びこみたい。



『ヒャーッハハハハ!!』
『村上水軍は無敵だぜェ!!』
「すげェぜ、アニキたち!!」
 全長五三〇尺。それはもはや海に浮かぶ城塞と言って過言ではないだろう。“大悪災”日野富子によって組織された怨霊村上水軍が一隻、第三無敵無敵極悪丸が進む!(※本来は『第三無敵極悪丸』でしたが、オープニングでの表記ミスをプレイングにて突っ込まれたため『第三無敵無敵極悪丸』となります。ご了承ください)
 猟兵たちは幕府水軍の船上にて、やや距離を置いた位置からその威容を優れた視力や双眼鏡などで目視する。
「これがかの第三無敵無敵極悪丸……いや知らぬでござるが。というか第一と第二はどこいったでござるか」
 望遠鏡を外しながら、御鏡・十兵衛(f18659)は目を細めて首をひねった。
「ぬぅうう!第三無敵無敵極悪丸か……!重要なことなので二回繰り返すとは、余程その難攻不落ぶりに自信があるようじゃのう!」
 神羅・アマミ(f00889)は船上にて第三無敵無敵極悪丸の姿を目にしながら戦いの準備を進める。
「つよそうなのは理解できますが、頭の悪いネーミングセンスですねえ。クックック」
 黒川・闇慈(f00672)もまた術式に火を入れる。戦いを前に、猟兵たちを包む空気が静かに熱を帯びた。
「では、それぞれ得意分野もあるかと思います。二手に分かれて攻め入りましょう」
「上から攻めるか、下から攻めるか……ってところかしら」
 サーズデイ・ドラッケン(f12249)は火気管制システムを起動。武装を点検しつつ作戦を検討する。才堂・紅葉(f08859)も工作用の物品をチェック。それぞれの得意分野を確認しながら、2人は大まかに作戦を立てた。
「おっけーおっけー!なんとかするし、なんとかなるでしょ!」
「もちろんよ!あたしがばたばたなぎ倒してあげるわ!」
「いいですね!そーいう勢い、アリル好きですよ!」
 フィロメーラ・アステール(f07828)。桑原・こがね(f03679)。アリルティリア・アリルアノン(f00639)。女子3名は似たようなノリで通じ合いながらきゃいきゃいとはしゃぐ。
 以上、作戦に参加する猟兵たちは総勢8名。作戦前の短いブリーフィングを終わらせ、彼らは第三無敵無敵極悪丸と怨霊村上水軍へ挑む!
 
『……オイ、左舷!何かくるぞ!』
 “!?”
『なにィ!?どこの“テッポーダマ”だコラァ!』
 第三無敵無敵極悪丸を動かす怨霊村上水軍が、空中から接近する姿に気付く!
「クックック……私です」
 “!?”
 闇慈である!ユーベルコード、【カース・ブースト】により飛行可能である戦闘形態、呪力高励起体へと変身を遂げた彼は時速に換算し200kmを超える速度で飛ぶことができる。見下ろす位置どりのアドバンテージ!闇慈は背面の十字架――砲撃機構を内蔵した18式怨念火砲を構えると、眼下の第三無敵無敵極悪丸向けて砲撃を開始!甲板で黒く呪力が爆ぜる!
「やはり魔術師の本分は遠距離戦ですねえ。クックック」
「あたしもいくぜー!上から来るぞー! 気をつけろ!」
 反対側から光の軌跡を描いて襲来するフィロメーラ!星鍵が輝く。大気中を漂う精霊力と同調し、光精を呼んだ!
「光輝の縁を知るもの、集まれー!」
 【紲星満ちて集いし灯光】!この指とまれと集めた精霊の群れを引き連れて、フィロメーラは光の雨を降らせた!
『グアーッ成仏!!』
『グアーッ地獄行き!!』
「あ、アニキーッ!!」
 闇の色をした呪いが爆ぜ、破魔の精霊力が弾けて巻き込まれた怨霊たちが次々に消滅してゆく。護衛オブリビオンの悲痛な叫び!しかして怨霊たちは山のように補充要員がいるのだ。空いた穴もすぐに塞がるだろう。
「クックック……いくらでも修復される、ということは……」
 砲撃!呪力の砲弾が戦場で爆ぜる。火砲をいくつも巻き込んで連鎖的に爆発!そしてそれも瞬く間に修復されるも、それを再び闇慈の砲撃が襲った!
「何度でも壊せる、ということですね?」
 彼は第三無敵無敵極悪丸を、『いくら遊んでも壊れない玩具』と認識したのである。
 ――そして、襲撃によって生じた混乱は攻め入る隙として意味を成す!
「オラーッ!!」
 甲板の機材を蹴り壊しながら船上へ殴り込みをかけるのは神羅・アマミ(f00889)である!【箱馬】!虚空を蹴立てて『跳ぶ』ことで擬似的に空中を機動するユーベルコードによってここまで辿り着いたのだ。
「猟兵だ!」
「乗り込んできたぞ!旗を取らせるな!」
「よォしスモの準備だ!ドスコイ!!」
 しかし敵もただ手をこまねいているだけではない。力自慢の護衛オブリビオン、剛鬼武童衆の羅刹たちが迎撃のために集まり出す!
「フッ。ビーチフラッグ競技において無類の強さを誇り免許皆伝を得た妾に旗取り合戦を挑むとは笑止!」
 アマミは特徴的なギザ歯を剥き出しにしながら獰猛に笑う!
「逃すなよ!」
「ドスコイ!」
「アニキの弔い合戦だ!」
「ワクワクしてきたぜ!」
 わあわあと大騒ぎしながら集まるオブリビオン!
「いや集まりすぎじゃろおめーら!!」
 さすがに多すぎるわ!アマミはとうとうツッコミに回る!しかして実際1人で捌ききるには少し骨が折れる数だ。危うし!
「対象の現在地を確認――アクセス!」
 だがそこにまたしても新たな猟兵のエントリーだ!弾ける光と共に現れるのはアリルである。ユーベルコード『ユビキタスリンカー』は仲間のもとに駆けつける能力だ。待ち構えていたかのようなタイミングでアリルは戦場に加勢!
「電子の海をまたにかけるバーチャル海賊、キャプテン・アリル参上!この船は今日からラブリーアリル号とする!」
「なにィ!?」
「バカを言うなよ!第三無敵無敵極悪丸の方がかっこいいだろ!!」
 キャプテン・アリルの掠奪宣言にオブリビオンたちは口を揃えて猛反発!剛鬼武童衆たちの視線をアリルは一気に掻っ攫う!
「よし好機!」
 そこで飛び出すアマミ!甲板を蹴って跳躍!フラッグ目指してジャンプする!
「あッ!やめろ!」
「卑怯だぞ!降りてスモを取れ!」
 アマミに気づいた剛鬼武童が叫びながら追い縋る!
「ワハハ!それならちょいと遊んでやるわ!死ねーッ!!」
 ここでアマミは空中を蹴立て反転!身を翻しながら急降下の勢いを乗せた鋭い蹴り足をオブリビオンへと叩き込む!
「グアーッ!」
 見事にクリティカルな一撃を叩き込まれた武童は衝突の勢いに悲鳴をあげ、船上から海へと投げ出されそのまま爆発!
「兄弟ーッ!」
「クソォ、よくも俺たちの兄弟を!」
 仲間の犠牲にいきり立つオブリビオンたち!しかしその眼前にアリルが滑り込むように現れ、カメラアプリを起動!
「まーまー落ち着いてくださいよ!」
「落ち着けるか!」
「そんな表情じゃ筋肉が泣きますよ!!」
「筋肉が……?」
「ほら、いい身体じゃないですか!ナイス僧帽筋!あー、いいですね、ちょっとポージングしてもらえます?まずダブルバイセップス!フィロメーラちゃん、照明ちょうだい照明!」
「おっけー☆」
「隣のオブリビオンくんも!いーね、その三角筋!デカい!肩にちっちゃい安土城載せてんのかーい!」
「そこまで絞るには眠れない夜もあったんでしょー!」
「キレてるキレてる!ほら次サイドチェスト!」
 突然の誉め殺し!急にポージングを要求された武童衆は、しかして筋肉を誇るオブリビオンである。アリルとフィロメーラは彼らを煽てながら満更でもない連中にポージングを取らせ、そしてアリルのファインダー内に収めた!
「じゃあ写真いきまーす!3、2、1……パシャリ☆」
 しかし、これこそがアリルの狙いである!【フォトジェニック・ステイシス】!それは、カメラアプリに捉えシャッターを切った対象を、その瞬間のまま動けなくするユーベルコードなのだ!アリルたちの煽りに見事引っかかったオブリビオンたちは身動きを封じられる!
「むッ!!こ、これは……!動けない!」
「オラーッ!とどめじゃ!!」
「グアーッSNS映え!!」
 そこへアマミが鋭い蹴り足を叩き込みとどめ!武童衆たちはたちまち爆発四散する!
「これで護衛はだいたいやっつけ……」
「いたぞ!」
「ウオーッやるぜ!」
「ドスコイ!!」
 おかわり!!どたどたと足音を響かせながら、船内よりまたも武童衆が甲板へ現れる!
「まだいるじゃねーか!」
「全部やっつけるまで相手してやるしかねーぜ!」
 甲板の猟兵たちは引き続き戦闘態勢を取る。旗取りまではまだ少々時間が必要だ!
 
「むう。向こうはもうだいぶ派手にやってるみたいね!」
 こがねは上方より聞こえる戦いの音に悔しがる。こっちも派手にやらなくちゃ……!こがねはぐっと拳を握りしめた。
 こちらは下方より船へ向かうメンバーである。
「うむ。我々も急ごう。よいな、さあずでい殿」
 十兵衛は水地法の歩法にて水面を蹴立て、跳ねるように進みながら横目でサーズデイを見た。
「ええ。スピードを上げましょう。振り落とされないでくださいね――突撃ッ!」
 サーズデイは【ウェイブストライカー】にて海上をサーフィンめいて疾走する。推進動力搭載型可変機動防盾WMC-ハミングバードをボード状に変形させて機動するユーベルコードだ。小舟を漕ぐよりよほど速いし派手だ、という理由でこがねはサーズデイにしがみつくように同乗している。
「では、海賊流の波乗りを魅せるとしましょう」
「りょーかい!いくわよー!」
 仲間と共に海を行き、ドラッケン海賊団の一員として駆け回っていた現役時代をサーズデイは思い起こす。やはり『船』を攻めるのはいい。ハミングバードが水面に跳ねた。
『ダッコラー!!』
『ナメンナオラー!!』
 轟音!巨大な水柱があがる。第三無敵無敵極悪丸からの砲撃だ!猟兵たちの襲撃に勘付いた怨霊村上水軍からの反撃である!
「おお、これはなかなか……」
「いえ、問題ありません。このまま突っ込みます!」
 十兵衛は水面を蹴立て走る!同時にサーズデイはワイヤーガンを構えアンカーフックを射出!船体の横に突き立てながらワイヤーを巻き取り、スラスターを吹かす!v怨霊村上水軍は照準し、迎撃を企てていた!
『ヒャハハハ!撃ち落としてやるぜえ!』
『死に……』
 しかし、爆轟!船の下部から轟音と共に衝撃が走り、船体を揺らす!猟兵たちを狙った砲台の照準は乱れに乱れる!その隙に十兵衛が船の外壁を切り裂き、3人が内部へと突入する!
「この水着がまた役に立つとは思わなかったわね」
 紅葉の仕業であった。水着に着替えた彼女は潜水し、船底からの侵入を試みていた。爆発物を船底に仕掛け、爆破することで船に穴を開け、そこを侵入経路としたのだ。先の轟音はこの時の衝撃である。
「合流……より先にまずこっちの仕事をしなくちゃね?」
 紅葉は静かに息を潜めながら船内の通路を行く。破壊工作は彼女にとってお手の物だ。榴弾に時限装置を仕掛けた即席の時限爆弾などを仕掛けながら、彼女は甲板を目指す。
 一方、潜入を果たした3人は船内の通路を進み、甲板を目指す。
「いたぞ!」
「スモを取れ!」
 しかして、派手に突入した猟兵たちの姿をオブリビオン側が認識するのも早かった。敵の護衛オブリビオンは続々集まり始める!
「来たでござるな」
「では、迎撃しましょう」
「よォーし!ここはあたしがやるわ!」
 そこでこがねが前に出た。だァんッ!震脚めいた力強い一歩。こがねは不敵に笑みを浮かべ、見得を切る!
「海に村上水軍あれば、陸に桑原こがねあり!」
「なに!?」
「あれは……前口上だぞ!」
 性質上正々堂々とした戦いを好む武童衆は一度立ち止まり、構えを取りながら口上が終わるまで待機姿勢!
「この世に未練があるにせよ、世に仇成すのは見過ごせぬ……あたしの剣技を目に焼き付けて、冥土の土産とするが良い!」
 あたしを見ろォ!見事なパフォーマンスにオブリビオンの群れも感心する!
 しかしこれは単なるパフォーマンスではないのだ。【轟雷】。敵の前で目立つ、というあえて不利なアクションを行うことで彼女は気持ちを昂らせ、力を増大させることができるのである。派手な方がかっこいいからね!
「これがサムライエンパイアのカブキ文化ですか」
「ううん、ちょっと違うでござるが」
「2人とも、ぼさっとしてないで派手にやるわよ!」
 こがねは剣を抜きながら船内通路を駆ける。一気呵成!稲妻めいた太刀筋が奔った!
「元気でござるなあ。ではこちらも」
 猟兵たちが進む方向とは反対側の通路から、どたどたと足音が聞こえてくる。追加のオブリビオンだ。十兵衛は鯉口を切り、柄に手をかけた。
「いたぞ!」
「カラテで殺す!」
 角を曲がって現れた武童衆は猟兵たちの姿を捉えるや否や攻撃姿勢!素早く間合いを詰めにかかり、拳を放つ!
「おお、こわいこわい……正面から斬り合うのも一興ではあるが、それはまたの機会に」
 【流独楽】!十兵衛は放たれる拳の連打を脱力していなす。くるり舞うように拳を躱し、衝撃を受け流しダメージを最小限に緩和した。水面を叩くが如き手応えのなさに焦れる武童衆!
「では、そろそろお返し致す」
 閃。
 拳打の間隙を突き、カウンター。刃が疾る。
「グアーッ!」
「グアーッ!」
「ヤラレター!」
 オブリビオンたちは次々に真二つに分かたれ、爆発四散し骸の海へと還ってゆく!
「いい調子です。このまま進みましょう!」
 戦況は猟兵たちが圧倒!そのまま3人は進行を進め、そして甲板に至る!
「お、むこーも到着したみたいじゃな!」
「ククク……存外に早かったですね?」
「いえいえ、遅くなりました。では、旗取りと致しましょう!」
「「「させるかア!!」」」
 ここに7名の猟兵が甲板で合流!対してオブリビオンの戦力は既に大きく削られている。下から攻め込んだ猟兵たちによって船内にも残存戦力はなく、甲板にわずかな兵が残るだけだ。
『チクショウ!』
「撃たせませんよぉ」
 怨霊村上水軍が砲塔を動かし、甲板ごと吹き飛ばそうと猟兵たちに狙いを向けるもその砲塔を闇慈が砲撃し吹き飛ばす。
「憤ッ!破ッ!どうじゃ?捉えられるか?捉えられんじゃろー!」
「こいつッ!」
「逃げるな、正々堂々とスモを取れ!!」
「そちらの土俵で戦う理由はありませんからね!」
 跳ね回り挑発しながらヘイトを稼ぐアマミに注目する敵を、サーズデイが撃ち貫く!BAC-ウッドペッカー!銃口が吠え猛る!
「はーい撮りますよー!」
「撮影会!?あたしも撮りなさい!」
「はいはい、記念撮影は旗取ってからでござるよ!」
 反対側ではアリルがユーベルコードによって敵を妨害しながら、こがねと十兵衛の剣が踊る。
「……頃合いね!」
 ここで突入!これまで隠密行動を行なっていた紅葉である!紅葉は船内から甲板に勢いよく飛び出すと、甲板上の戦いを尻目に一気に帆柱へと走る!
「ま、待てッ!やらせるか!」
 気付いた武童衆が慌てて駆け出した!素早く踏み切り紅葉へと急速で接近しながら拳を放つ!
「残念だけど、相手してる暇はないのよ。手早くいかせてもらうわね!」
 【明鏡止水】!紅葉は口の端に薄ら笑みを浮かべながら、拳打を見切る。そして、わざと胸元に掠めさせた!いけない!中身がこぼれ出てしまう!!
「あぶな――――い!!」
 間一髪!そこに飛び込んだのはフィロメーラの操る光精たちだ!少年誌レベルでは描写のむずかしいセンシティブな箇所を光が覆い隠す!全年齢閲覧可能コンテンツの平和は守られた!
「ウッ」
 しかし直視してしまったオブリビオンはお色気耐性を持たぬために怯み動きを止める!計算通りだ。好機を得た紅葉は一気に帆柱を駆け上がり、村上水軍軍旗を奪取ッ!
「取ったァ!」
『アアアア――――ー俺達の旗がァ――――!!!』
 怨霊たちの悲鳴が響き渡る!そして、怨霊村上水軍とのつながりを断たれてしまえばいかに第三無敵無敵極悪丸が強力だとしても、ただの船だ!
「おや……もうおしまいですか」
「では、後腐れないように沈めてしまいましょう」
「えっ!?沈めちゃうの!?これあたしの船にしちゃダメ!?『雷鳴丸』って名付けるつもりだったんだけど!?」
「ラブリーアリル号ですよ!?」
「はいはい、我慢するでござるよー」
 猟兵たちはそれぞれ武具やユーベルコードを起動し、第三無敵無敵極悪丸に叩きつける!もはや怨霊村上水軍の力による修復能力はない。ずたずたに砕かれた船体は、あとは沈むのみだ!
「おーし撤収じゃ撤収!爆発オチがくるぞ!」
 注意を促しつつアマミが海に向けて駆け込んだ!猟兵たちが続いて退避し、そして爆発する第三無敵無敵極悪丸!
 
 ――こうして、鉄甲船の一隻が海の藻屑と消え、幕府軍を脅かす脅威がひとつ取り除かれる。
 だが、サムライエンパイア全土を巻き込んだ戦乱は未だ終わりが見えない。
 猟兵たちの戦いは、続く!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト