エンパイアウォー⑰~命無き者を統べる者~
●グリモアベース
「皆さん、第六天魔軍将が一人、陰陽師『安倍晴明』の居場所が判明いたしました」
羅刹の角を頭巾から覗かせた少女……朝倉・くしな(鬼道僧・f06448)は君たちを迎える。
「決戦の地は鳥取城。餓死した人々の怨念が渦巻いている……と噂を聞き及んでいる城になります」
安倍晴明はそこで屍人を操り、山陰に水晶屍人の軍勢を集めているという。
このまま放っておけば、8月20日には山陰道方面軍が全滅してしまう未来が予知されている。
このエンパイアウォー、山陰道方面軍が全滅したからといってそれが敗戦となるわけではない。
だが死人を操る安倍晴明が生き残れば、戦争の後に暗躍する事は想像に難くない。
「ですが、ここで討ち倒してしまえば早い話です」
陰陽師『安倍晴明』は敵幹部の一人である。
その戦闘能力は強大。
そして分かっているのは、相手の使うユーベルコードの情報と、そして必ず相手は先制攻撃を行ってくるという事だけ。
「陰陽師である安倍晴明には占術によって奇襲や狙撃等は効きません。必ず安倍晴明のユーベルコードが先に攻撃してきます」
"相手のユーベルコードに対して、どのような手段で防ぎ、そして反撃するのか"それが重要である。
何も対策がなければ、一撃でKOされたり城から弾き飛ばされたりする事もあるだろう。
またそれは防御の術や補助の術等でも同じだ。なんの対策もないとユーベルコードの発動前に攻撃を受けてしまいかねない。
また幹部相手にユーベルコードをもっていかずにダメージを与える事もまず不可能だろうし、複数のユーベルコードを使用する隙も難しいだろう。
「勝機があるとすれば……こちらが用意しているユーベルコードによって相手のユーベルコードが決まる事です。そこを上手く活用してください」
それと。とくしなは付け足す。
「安倍晴明は、何故か……この戦争においての、いえ、そもそもこの世界での存在そのものへの熱意のようなものが感じられません。無気力感に苛まれているような……」
それが何なのか、今の情報だけでは分からない。
「何にせよ、安倍晴明を倒せるのは猟兵だけです。強敵ですが、ご武運を」
そしてくしなはサムライエンパイアへと繋げるのだった。
ナイン高橋
ナイン高橋です。
安倍晴明。この澄ました顔は遂に出てきましたね。
強敵です。幹部戦です。
厳しい判定が待っているかと思います。
特に先制攻撃をどうにかしないといけません。
どんなユーベルコードを使うかよりも、相手のユーベルコードに対してどう対抗するかが重要になるかと思います。
それではご参加お待ちしております。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦
『陰陽師『安倍晴明』』
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POW : 双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:草彦
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メイスン・ドットハック
【WIZ】
先制攻撃対策としては、五芒業蝕符を【視力】【情報収集】して、致命傷にならないようであれば電脳魔術による防御壁である程度防ぎ、駄目のようなら【第六感】【視力】【情報収集】を持って全力で回避する
パワーアップした阿倍晴明も回避の時に巻いていた【罠使い】【破壊工作】で創造した罠で【足止め】
先制攻撃を凌いだら、UC「G線上のアーリア」を阿倍晴明の近くに撃ち込んで重力空間を形成
動作が鈍っている隙に、日野富子戦で得た悪霊のデータを元に怨霊の情報を解析【ハッキング】【情報収集】
得た情報で電脳魔術で、怨霊を破壊する電脳爆弾を炸裂させる
さらに動きが鈍ったところを電脳ミサイルで【一斉発射】
アドリブ絡みOK
●
怨霊渦巻く鳥取城にて佇む白き人影があった。
「猟兵、でございますか」
ゆらりと振り向くその背には仰々しくも水晶が煌めく。
かの者こそが、第六天魔軍将が一人、陰陽師『安倍晴明』。その人である。
「あー、あんたが安倍晴明か。めんどーじゃけど。倒されてくれん?」
安倍晴明が前に立つのは一人の猟兵。
その名をメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。
周囲に感じる不気味な気配に顔をしかめながらも真っ直ぐに安倍晴明を見る。
「どうぞ。ご自由に。果たして貴女にそれが出来るのであれば」
慇懃無礼に。
その整った顔に笑みを張り付けて、安倍晴明は語り、そして放つ。
迫るは、ユーベルコード:五芒業蝕符。
霊力の籠ったセーマン印がメイスンの元へ高速で放たれ、招かれざる客である彼女をこの城より弾き飛ばそうとする。
「くっ!」
予め準備していた電脳魔術のショートカットで防御壁を張って耐えるメイスン。
だが、幹部級のユーベルコードは防いだだけでも多大なダメージを負わせてくる。
「やっぱ、陰陽師相手に第六感だけで勝負するのは分が悪かったじゃけぇ」
初撃は防いだメイスン。
しかし防御壁越しにゴーグルによって相手の攻撃のデータを収集していた彼女は晴明の攻撃がこの一撃で終わっていない事を悟っていた。
『ぐぉぉおおおおお!!!』
防いだセーマン印。しかしその余波が大地を斬り裂き、業(カルマ)の怨霊を溢れ還らせ、メイスンとそして安倍晴明の立つ場所に蠢いていた。
「はてさて……どれほど私の心を動かしてくれますのやら」
怨霊の力を得た安倍晴明はその力を増大させると、メイスンへと一瞬で肉薄。
更なる追撃を仕掛けようとチェーンソーを振りかぶる。
「爆発を避けられても、重力で動きを制限するけーのー」
しかして。ここまではメイスンの仕掛け通り。
電脳魔術の起動と同時に仕込んでいたG線上のアーリア(グラビトン・ムーン)の電脳重力爆弾を、自分の周囲も巻き込むように安倍晴明に対し爆破。
「ほう……魑魅魍魎どもが出て来れませぬか」
超重力が迫る安倍晴明を地面に押さえつけて時間を稼ぐ。
「日野富子戦で得た悪霊のデータを元に作った電脳爆弾じゃ、これでしまいにしたる」
相手の業より染み出ようとする怨霊すらもその重力力場に這いずり出てくる事は出来ず。
メイスンは動きの鈍った安倍晴明に対し電脳ミサイルを一斉発射しようとするが。
「面白き術ではございますが……常に下にしか力は発生しないようでございますね」
瞬間。
地面に刻まれたセーマンの印から実体化した妖気が鋭く発射され、重力力場を斬り裂き、そのまま天井にも五芒星を刻み込む。
「なっ、悪霊言うたら地面から這い上がってくるもんじゃろ!」
そして天井から沁み出てくる怨霊達。
霊体にも効果が出る重力力場は天井から出てきた怨霊達を重力で地面に加速させながら落としていく。
そしてそれを纏う安倍晴明は、かかる荷重負荷をものともせずにゆったりと力を増した状態で立ち上がる。
「こうなったら、撃つだけ撃たせて貰うじゃけぇ!」
もはや己のユーベルコードが破られたと悟ったメイスンは準備していたミサイルを一斉射撃。
その砲撃は安倍晴明を見事に撃ち抜けるも。
「それではまた会いましょう。猟兵」
怨霊を纏い強化した安倍晴明の攻撃に鳥取城を弾き飛ばされてしまうのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
こいつが危険な奴だってのはわかる。
けど、何だろう。
こいつから感じる「空しさ」は。
ともあれ、それも一緒にここで終わらせるまでだ。
行くぞ、シャーリー!
盾代わりの鉄鍋を構え、その後ろに『物を隠す』で大包丁を隠しながら敵に突っ込み、奴のチェーンソー剣を『盾受け』+『シールドバッシュ』で鉄鍋を叩きつける形で受け止め、鉄鍋に身を隠す形で囮にして連撃を躱す。
その隙に『料理の鉄刃』の『二回攻撃』を奴に叩き込む。
そう簡単には終わらないだろうけど、終わらせてみせる。
惨劇も、お前の退屈も。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
んー?一応幹部なんだよね、この人
その割にずいぶんとやる気なさそうなんだけど
ま、相手の事情はどーでもいいけど
戦場を所狭しと駆け回りながら【援護射撃】で突撃するウィーリィくんを援護しながら【ロープワーク】+【罠使い】で気づかれない様に足元にワイヤーを周囲に張り巡らす
晴明が屍人を召喚したらまとめてワイヤーのスネアトラップで絡めとって動きを封じ合体出来ない様にしてから屍人の身体を遮蔽物代わりにして【クイックドロウ】+【スナイパー】で熱線をお見舞いする
あなたの事情は知らない
ボクたちは、猟兵としてこの世界を守るだけだよ
月宮・ユイ
アドリブ◎
*身に<呪詛>宿し呪詛/呪操る
酷い怨念…
城自体に加え、彼の者の所業故でしょうか
屍の量産も戯れに過ぎない、と
[ステラ+ケイオス]剣槍形態:増殖変形、二刀流や投擲も
<第六感>併用全知覚強化<情報収集・学習>
<念動:オーラに破邪破魔の呪>込め纏い行動補助と耐性
【符】の初撃を念動で止め逸らし時間稼ぎ《不死鳥》召喚
破魔の呪込めた浄化の炎で符の迎撃と炎広げ怨念祓い喰らう
まずは強大な敵の強化を防ぐ事にのみ集中
<早業>接近戦挑む:防御優先
[ウロボロス]念を身に取り込み呪詛とし力溜め
一撃に懸ける
呪詛を破魔の呪に変換剣槍に充填
機を見てオーラ集中、片腕犠牲覚悟で一撃受け払い
炎も全て纏め乗せた渾身の一撃を
ヘンペル・トリックボックス
どんな顔で屍人を増やし続けていたのやらと、老体に鞭打って此処まで来ましたが──えらく精彩を欠いているようだな、大陰陽師。いい加減、輪廻転生なぞ辞めてしまえ。どの世界であろうとも、お前は知識欲の赴くままに災厄を撒き散らすのだから。
敵は幹部級。五芒符の直撃はダメージもさることながら、地形効果による超強化が厄介です。なれば──五芒符の射出タイミングと軌道を【見切り】、【高速詠唱】による【早業】で命中率の高いこのUCを発動。音の440倍の速度を誇る雷を以て、五芒符が効果を発揮する前にその全て、悉く撃ち落としましょう。
隙を見計らい晴明本人にもUC発動、【破魔】【属性攻撃】の【全力魔法】を叩き込みます。
●
「酷い怨念……」
元は呪物兵器であるヤドリガミ、月宮・ユイ(捕喰∞連星・f02933)は鳥取城を取り巻く怨念を感じ取り、顔をしかめる。
「城自体に加え、彼の者の所業故でしょうか」
そしてその怨念共がより多く、濃く、深く集まっている中心にいたのは、白き存在。
第六天魔軍将が一人、陰陽師『安倍晴明』。
「あぁ、これですか?何、戯れに溢れさせてみただけですよ」
猟兵の襲来であるにも関わらず、かの安倍晴明は気だるい感じで周囲に群れる怨念に手をかざす。
「屍の量産も戯れに過ぎない、と」
「そうですね……。山陰を屍人で埋めてみれば、如何様になりましょうか」
ユイの力のこもった瞳と言葉にも安倍晴明は何処か遠くを見るような瞳で受け答えする。
「どんな顔で屍人を増やし続けていたのやらと、老体に鞭打って此処まで来ましたが」
老紳士然としたミレナリィドール、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)はお道化た調子で杖を突いてやってくるとシルクハットを被り直し。
「──えらく精彩を欠いているようだな、大陰陽師」
先程とは一変。声を低くし鋭いまなざしで安倍晴明を射貫く。
「そう、見えますかね」
しかしヘンペルの眼光を受けても安倍晴明は退屈そうに答える。
「いい加減、輪廻転生なぞ辞めてしまえ。どの世界であろうとも、お前は知識欲の赴くままに災厄を撒き散らすのだから」
「こたびの私は、ただ持ち帰ることのみでございます」
「んー?一応幹部なんだよね、この人」
スク水海賊服姿で城入りしたシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)はそんな安倍晴明の様子に首を傾げる。「えぇ。第六天魔軍将を承っておりますよ」
「その割にずいぶんとやる気なさそうなんだけど」
「そうでしょうか。ならば、そろそろ楽しいお喋りも終わりと致しましょうか」
シャーリーとの問答の末、安倍晴明はその両手にチェーンソー剣を携え構える。
「ま、相手の事情はどーでもいいけど」
それに対し、シャーリーを始めとした猟兵達も己の得物を構え直す。
「こいつが危険な奴だってのはわかる」
炎の料理人、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は安倍晴明を見てそう漏らす。
「けど、何だろう。こいつから感じる『空しさ』は」
安倍晴明。
彼はどこか熱意というものに乏しいように感じる。
「ともあれ、それも一緒にここで終わらせるまでだ。行くぞ、シャーリー!」
「うん!やっちゃうよ!」
「安倍晴明……必ず仕留めます!」
「ここで終わらせてやる」
そして戦いの火蓋は切って落とされた。
●
「オン」
最初に動いたのはやはり、幹部級の力を持つ安倍晴明である。
彼は手をかざすとその先に巨大な五芒星が空間に刻まれ、そして猟兵に向けて放たれる。
(敵は幹部級。五芒符の直撃はダメージもさることながら、地形効果による超強化が厄介です)
「なれば──」
敵の攻撃に対し、まず動いたのはヘンペルであった、
彼は安倍晴明の初撃を注視。その五芒符の射出タイミングと軌道見切りると、高速詠唱と早業で先制攻撃してくる安倍晴明に対抗する。
「遍く帝釈天に帰命し支え奉る!其の権威を以て悪しきを尽く焼き滅ぼしたまへ!」
予知によって確定されている未来の一つ。
相手のユーベルコードの方が先に攻撃する。
こればかりは覆しようの無い条件である。
しかし、撃った瞬間にその攻撃に干渉する事は……理論上は可能なはずである!
「招雷!帝釈天招雷符っ!」
ヘンペルの向けた呪符の先より、迸る稲妻が音の440倍の速度で安倍晴明の印を結んだ腕を撃つ。
元より命中精度の高いこのユーベルコードは狙い通りに展開する寸前の五芒星に直撃。その魔性への特攻を持つ稲光にて術を滅しようとする。
「ほう……素早いですね。しかし、浅い」
しかし敵は幹部級。攻撃力を軽減されたとしてもそのまま力業で押し込まれ、五芒業蝕符が猟兵達へ向かって放たれる。
「ぬっ!撃ち落とせなんだか」
「いえ、十分です!」
前に出たのはユイ。安倍晴明の初撃を真っ向から受け止めんと己の呪詛の力を解放し、念動力の障壁を展開する。
(全知覚強化。データ収集。テリトリー展開。呪:破邪破魔をエントリー!)
ヘンペルによって得られた時間を使い、相手の術の性質を解析し己の呪いを選ぶ。
「ぐっ!!!?」
強力な幹部級の攻撃であったが、軽減された威力。解析した術式を用いて、ユイはその攻撃を耐えながら、ユーベルコードを起動する。
「(共鳴・保管庫接続正常、能力強化。無限連環具現化術式起動。概念制御、効果・対象指定、具現)舞え……」
業っ!とユイの腕が炎に包まれそのまま五芒星を弾き反らす。
概念兵装『不死鳥』(フェニックス)。
それは増殖す滅し喰らい癒し浄化す選別の炎を解き放つユーベルコードである。
「怨念祓い、浄化せよ!」
炎の鳥は羽ばたき、浄化の炎をもって五芒星に斬り裂かれた地より湧き出ようとする怨霊を焼き祓っていく。
「陰陽の術は防ぎますか……それではこちらは如何でございましょうか」
しかし防がれた安倍晴明もすぐさま第二撃を放ちにユイに肉薄し、チェーンソー剣を振りかぶる。
「しまっ……」
「甘いぜ!」
ユイを庇うように前に出たのはウィーリィとその手に持たれた鉄鍋であった。
盾代わりの鉄鍋を叩きつける形でチェーンソー剣を受け止めるウィーリィ。
ガリガリガリとチェーンソー剣の刃と鉄鍋の間で火花が飛び散る。
しかしウィーリィはすぐに嫌な予感がして鉄鍋を投げ捨てる。
「オン」
間一髪で放った鉄鍋が、もう片方の手に握られた≪呪詛≫により強化されたチェーンソー剣に真っ二つに斬り裂かれる。
だがこれで良い。
元より鉄鍋は囮であるのだから。
ウィーリィは鉄鍋の影に隠していた本命である大包丁を構えると、ユーベルコードを起動してチェーンソー剣を振り終えたところの安倍晴明に斬りかかる。
「そう簡単には終わらないだろうけど、終わらせてみせる。惨劇も、お前の退屈も」
斬。斬。と、二回攻撃が決まり、安倍晴明の身体に十字の傷をつける。
「果たしてそう簡単にいくでしょうか」
斬られた安倍晴明はしかし、まるで痛みなどを感じていないように平坦な声音でウィーリィの言葉に呪詛を返す。
「来なさい」
安倍晴明が召喚の符を持ち唱えると、周囲に突如として両肩の水晶に1と刻印された戦闘用水晶屍人が召喚される。
その数はなんと百余り。とてもではないが、斬撃や浄化、電撃が間に合うような数ではない。
「そうそう!そう簡単にはいかないんだよ!」
頭上から宇宙海賊の声が降ってくる。
水晶屍人の合間を縫うように戦場を所狭しと駆けまわりながらシャーリーがマスケット銃から熱線を放ち、安倍晴明の注意を反らす。
安倍晴明は水晶屍人を盾にしてその銃撃を避けようとしたが。
「悪いけど、それはこっちが利用させてもらうよ!」
ぐん、とシャーリーが空中にある何かを引っ張ると……いつの間にか張り巡らされていたワイヤーが水晶屍人の脚を絡め取って宙ずりにして安倍晴明の思惑から外す。
「まるで曲芸でございますね」
「合体さえさせなければ、ワイヤーでも十分に拘束できるもんね」
吊り上げられ、身動きの取れない水晶屍人達を見上げ、安倍晴明はふわりと感想を述べる。
「あなたの事情は知らない。ボクたちは、猟兵としてこの世界を守るだけだよ」
「呪詛充填、この一撃に賭けます!」
「研ぎ澄まされた刃と技に、料理出来ないものはない!」
「雷火招来!」
そしてこの時を好機と見た他のメンバーも含めて、逆に動けない水晶屍人を遮蔽物にして安倍晴明に全員のユーベルコードが炸裂すうる。
斬撃が、早撃ちの熱線が、魔性を焼く雷が、浄化の呪い受けし槍が、不死の陰陽師の肉体に突き刺さる。
「ぐふっ……。いけませんな。幾ら不死と言えども、斯様に傷つけてはまかり通るものもありませぬ」
安倍晴明はすぐさま傷を塞ぎ戦闘体勢を崩さないが、確実にその身には多大なダメージが入っていた。
「興がそがれました。この場は退散といきましょう」
「逃がすつもりはありませんよ!」
「貴女方の相手はこれらが致しますので」
すると安倍晴明はチェーンソー剣を縦横無尽に振るい、周囲に吊るされていた水晶屍人の足を断ち切る。
「なっ味方を斬った!?」
「いや……やつめ、合体させるために邪魔な部分をそぎ落としたな」
ボロリと足以外が地面に落ちていった水晶屍人達はそのまま互いに積み重なっていき、そしてその水晶に書かれる数字を急激に増加させていく。
「えー、そんなのあり!?」
合体した事で足も取り戻し、強化された水晶屍人数体が各自が猟兵へと飛び掛かっていく。
「くっ、こいつ、意外としぶとい……っ!」
「誠に勝手ながら、私の宴はここまでとさせていただきます」
猟兵達が水晶屍人の相手をしている内に安倍晴明はその姿を消してしまうのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
流観・小夜
ユウキ・スズキ、堕神・リカィと共闘
「駆動体α、行動開始します」
ユウキに振るわれる剣の攻撃に対し、狙撃銃を構え【スナイパー】で対象の手部を狙撃。火力が弱かろうと味方への狙いが逸れれば問題ありません。味方が攻撃を開始したのと同時に、接近し攻撃に備えます。
私に振るわれる剣に対し、味方が防いでくれることを信じ内部機構解放。
対象の目晦まし及び行動誘導のため、攻撃回数重視のマシンガンを【早業】で素早く展開、至近距離で顔面と腕部に向けて内臓弾全てを発射。
発射後は後方に【ダッシュ】し、敵の攻撃を回避。堕神さんが行動を開始すると同時に再度狙撃銃で【援護射撃】。対象部位は腕部を再度狙い、攻撃阻害を誘います。
ユウキ・スズキ
流観・小夜、墜神・リカィと出撃
「不死ね…まぁ、その憂うのは一向に構わんが……そのスカした顔が気に食わん」
初撃で接近し、小夜とリカィに先制UCへの対応を任せて渾身の拳を顔面に叩き込む。(UC)
後、小夜のUCの支援として、相手のUC発動に合わせ初撃に振られるチェーンソーに左腕の散弾を撃ち込み阻止。
「悪いな、小夜を攻撃するなら俺を殺してからにしてくれ」
小夜が攻撃している間に身を隠し(狙撃出来る位置)リカィのUC発動に際し、小夜と晴明の両腕を狙撃(スナイパー) リカィの攻撃を支援する。
「死ねない?なら黙って隠遁しとけ、屑野郎が」
堕神・リカィ
流観・小夜(f15851)、ユウキ・スズキ(f07020)と共闘
「セイメイ…! また合間見えることになるとはね。今回こそ、クリアさせてもらうわ!」
まずは【オーラ防御】で先制攻撃を耐える用意。ユウキと小夜が攻撃すると同時、UC発動
「疾風怒濤! 狂乱天鳴! 力の化身ここに降臨せよ! 黒き圧倒的ゲイム、スタート!」
二人が隙を作ってくれたら、怪獣のゲイムアーマーを纏い、攻撃のラッシュを放つ
二人の銃弾を避けようと速く動く晴明が、今この場で一番速く動く。ゆえに狙うは奴一人
【全力魔法】を駆使し、超高密度の火球でトドメを刺す!
「ガァアアアアア!! 外典/デュプリケイト・アトミカル・レイッ!」
※アドリブ歓迎です
●
数多の猟兵との戦闘を経て鳥取城の一室に佇むのは、大陰陽師『安倍晴明』。
彼はゆらりと来訪者へとその身を向ける。
「今宵は、お客人が多いですね」
「不死ね……まぁ、その憂うのは一向に構わんが……そのスカした顔が気に食わん」
隻眼の戦場傭兵、ユウキ・スズキ((元米国陸軍)少尉・f07020)は手袋をはめ直しながら安倍晴明の前に出る。
「申し訳ありません。この顔は生まれつきなもので……」
「訂正だ。そのいけ好かねぇ性格も気に食わねぇ!」
開幕早々にユウキは真正面から安倍晴明に向けて生身の方の拳を振りかぶって突撃を仕掛けにいった!
その拳には奇跡を具現化する力、ユーベルコードが輝き沸き立つが。
「わざわざ切られに参りましたか」
ユウキの拳が振るわれるより前に、安倍晴明はその両のチェーンソー剣が先制攻撃で斬りつけてくる!
「駆動体α、行動開始します」
だが流観・小夜(駆動体α・f15851)がそれを許さない。
来ると分かっている攻撃に対してならば……バイザー越しに狙撃銃を構え撃つ!
「……ほう」
速度と命中を重視した弾丸の威力は低い。しかしそれでよい。安倍晴明の斬撃が逸れ、ユウキは安倍晴明の初撃をギリギリで躱す事に成功する。
安倍晴明はその正確無比な射撃の腕と……そして己の動きを完全に読んでいた事に思案の顔を小夜に向ける。
「てめぇはとりあえず殴らせろ、話はそれからだっ!」
束の間。その顔面にユウキの渾身の拳が炸裂する。
ゴキ、と生身の拳が、生身ではない感触を感じながら、安倍晴明の顔面に拳がめりこ……まない。
「話をしようというには、少々手荒のように思えまする」
周辺の地形すらも破壊させる一撃。そのはずが、安倍晴明の顔には傷一つないままに拳を頬で受け止めていた。
「チッ、硬ぇ」
「この顔は、新たに生を受けてから一変もさせておりません」
そのまま安倍晴明はくるりと身を回転させながら今度はサポートに徹している小夜に向けてチェーンソー剣を振るいにいこうとする。
(来る……内部機構解放)
小夜は自らが狙われた事を察すると、回避……否、防御……否、攻撃回数重視のマシンガンを早業で素早く展開、至近距離で顔面と腕部に向けて内臓弾全てを発射し、目くらましとなる反撃を行う。
「これは手厳しい」
顔面に当たる銃弾を生身に見える顔のまま弾き無視しながら安倍晴明はチェーンソー剣を振り終ろすも、その攻撃は軌道が反れ、小夜に当たらず。
「ちょろちょろと五月蝿い方から払おうと思ったのですが、そちらを狙えば、次は貴方も邪魔をしてくるのですか」
「悪いな、小夜を攻撃するなら俺を殺してからにしてくれ」
先程は小夜の狙撃によってチェーンソー剣の攻撃を避けたユウキが、今度は左腕の散弾を小夜に向けて振るわれたチェーンソー剣に当てる事でその攻撃を阻止したのだ。
射撃後に素早くバックダッシュで後退した小夜は安倍晴明のチェーンソー剣の射程から確実に離れる。
「いえいえ。浅知恵を絞る様は実によい……おや」
そしてユウキと小夜が離れた事で空いたスペースに、堕神・リカィ(レベル0・f16444)がオーラを纏いながら飛び込んできた。
「セイメイ……! また合間見えることになるとはね。今回こそ、クリアさせてもらうわ!」
「はて、何処かでお会いしましたかな……生憎、烏合の衆までは顔を覚えきれませぬ故」
安倍晴明はリカィのユーベルコード発動の気配を感知して両手のチェーンソー剣をそれぞれ振りかぶる。
「させません」
「やらせるかよ!」
しかしここもまた小夜、ユウキ、リカィにとっては手筈通り。
一度は安倍晴明の先制攻撃を退けた小夜とユウキは揃ってしゃがんで足場を安定させながら狙撃銃と左腕の散弾銃で安倍晴明の両手のチェーンソー剣をそれぞれ撃って、相手のユーベルコードの発動を阻害する。
「再三、やられましたね……」
「疾風怒濤! 狂乱天鳴! 力の化身ここに降臨せよ! 黒き圧倒的ゲイム、スタート!」
二人のサポートを受けたリカィはユーベルコード:ホロプシゲイム/バトル・オブ・モンスターズを発動。
その身を怪獣の力を宿すゲイムアーマーを纏った姿に変化し、超攻撃力と超耐久力を得て、安倍晴明へ攻撃のラッシュを仕掛けにいく!
本来このユーベルコードは理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続けるために一対多数での戦闘を想定している。
今回のように仲間二人と敵一体に対して使うには、味方を巻き込んでしまいかねないリスクが伴うものである。
しかし。
「対象補足。援護します」
「死ねない?なら黙って隠遁しとけ、屑野郎が」
小夜とユウキは遠距離からの援護射撃に努め、安倍晴明は二人の銃弾を避けようと動く。
それ故に理性を失っていようとも必ずリカィは安倍晴明一人を狙う事になる。
「このような獣を、躾けるのは得意ではありませんよ……っ」
チェーンソー剣を使い接近するリカィを切り刻もうとする安倍晴明だが、後方からの狙撃がそれを邪魔する。
もしや、安倍晴明にもう少し余裕があれば見切られ、陣形を崩れていたかもしれない。
もしや、安倍晴明にもっと生に対しての執着があれば、無理矢理にでも贖ってきたかもしれない。
だが既に安倍晴明は出会った時より満身創痍。そのような余裕はなく、彼の熱意は冷めていた。
「ガァアアアアア!! 外典/デュプリケイト・アトミカル・レイッ!」
リカィの体内の魔力全てを込めた超高密度の火球による必殺技が炸裂すると、まるで傷付く様子の見えなかった安倍晴明の全身に罅が入る。
「ここまでですか……猟兵とやら……ふふ、思っていた以上に、私の心を動かす存在でございましたね」
ボロボロと崩れていく様を達観した様子で見つめていた安倍晴明は最後にそう言い残し、散っていった。
安倍晴明は幹部級のオブリビオン。すぐさま別の場所に骸の海より出てくるであろう。
しかしその内の一体はここに滅した。
確実に灼滅への一歩を刻んだ手ごたえを感じながら、猟兵達はこの場を後にするのだった。
大成功
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