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牙は静かに町を喰む

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 その町は恐怖に包まれていた。人々は夜ごとに一つずつ増える死体と、それがヴァンパイア配下の手の者であること以外を知ることはできない。死体と元に残されているのはこれまで殺害された人間のカウントだけ。それ以外は年齢も性別も意識的にと言っていいほどにバラバラであり、人々が恐れることを楽しんでいるかのようだ。
 これだけの事が起こっていても、彼らはこの町を出ることはない、いやできない。緩慢な死と言えども、これより外にある町には良い明確に暴力的な領主が治めているのを知っているからだ。
 斯くして町は嬲られる。そのうちにこの街は恐怖によって滅んでいくのだろう。


「……って言うのが今ダークセイヴァーにある町の現状だ。襲撃は受けている、だけどそれがどんな時にどんな所で行われているのかが分からない」
 アルミィ・キングフィッシャー(人間のシーフ・f02059)は猟兵達を前にそう説明する。
「この住民たちを守るためにアンタ達がやらなきゃいけないことがある。敵の出本を探すこと、そして住民たちを避難させ安全の確保をして安心させること。大まかに言えばこの2つだが、どちらもそれなりに考えることが多い」
 彼女は立てた2つの指を下ろす。
「敵の出現ポイントを押さえている限り、住民の安全は確保されるだろう。意図的なのかなんなのかは分からないがどこか町の中のどこか一点から現れているようだ。ただそれがどこかは分からないから、足で調べる他に保護した住民から情報収集して探ったほうがより早い決着を付けられるだろう」
 そのためには住民の信頼を得ることも肝要であると彼女は言う。情報を尋ねる際も具体性を持った質問なら確度の高いものが得られるとも。
「それらが終わったら出元に乗り込んで、大本を叩きに行って欲しいんだけど……気をつけてくれ。どうもそう簡単な感じがしない」
 敵と戦う前にもう一つ何かが待ち受けているようだ。
「アタシが今言えるのはここまでだ。行ってきな、猟兵(イエーガー)」


西灰三
 いつもお世話になっています。
 西灰三です。
 今回はダークセイヴァーでの冒険をお送りします。

 第一章はオープニングにある通り。
 第二章は第一章クリア後のキャラクターのいないリプレイで詳細が出る予定です。
 第三章はおそらく今回の敵との戦闘となります。

 以上です。
 それでは皆様のプレイングお待ちしています。
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第1章 冒険 『戦禍からの撤退』

POW   :    身をもって村人を庇ったり、力づくで村人を避難させる

SPD   :    隠れ道をさがし出すなど、技能を活用して村人を非難させる

WIZ   :    頭脳や魔法を活用し、村人を避難させる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セルマ・エンフィールド
【SPD】使用

吸血鬼の享楽のために生きていくことができる村……私もそんな都市で暮らしてきたので、他人事とは思えませんね。

まずは避難場所の確保を行いましょう。吸血鬼に知られておらず、一時的でも大勢が安全に隠れられる場所を見つけておきたいところです。

ただでさえ薄暗いこの世界、そのさらに物陰になり暗闇になっているところを『第六感』とスコープの『暗視』機能を用いて探索します。目的は避難できそうな空間ですね。洞窟などの閉所が見つかればベストです。
安全が確保できたなら他の猟兵に場所を伝え、一時的な避難地とします。

何が起きるかは分かりませんが、まずは一つずつ、私にできることをやっていきましょう。




 セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)町を静かにかける。彼女が探すのはこの町の住民達が安心して隠れられる場所。望むなら大きな空間のある洞窟などだが、町の人間を収めるにはやはり高望みと言って差し支えないだろう。だがそれでも一時的に彼らが逃れられる場所を必要とするのは変わらない。……この町には不安が溢れすぎている。
(「……他人事とは、とても」)
 この世界はそういった地域が無数にある。セルマの生まれ育った街もその一つだった。ならば猟兵となった彼女が為すべき選択は一つしかない。
「森? ……いえ林、ですね」
 彼女の視界に入ったのは町外れにある木々の群れであった。そこからは草が線を引くように生えており、かつてここを倒れた木々が通ったあとだと分かる。彼女はこの林に踏み込む前にスコープを目元まで下げて、慎重に木々の間を縫って進んでいく。
「………」
 時折吹き抜ける風が木々とその枝葉を揺らす。音は囁きにも似ているが、けれどそこに意思のある声は聞こえない。枯れ枝をゆっくりと踏みながら進む中で、ここには長年人が立ち入った形跡がないと彼女は判断する。そこから彼女は木々を引きずった跡を追い、開けた場所がないかを探す。
「……ここなら」
 そこはかつて伐採が頻繁に行われていた所なのだろう。切り株と打ち捨てられた丸太が転がってはいるが、それなりに人が集まるには十分なところだ。生憎と天を塞ぐものはないが、天幕を張れば雨くらいは防げるだろう。彼女は行きに付けて行った目印を逆に辿り、他の猟兵達に場所を伝えに行く。
(「何が起きるかは分かりませんが、まずは一つずつ、私にできることをやっていきましょう」)
 密やかなる戦いは、こうして幕を上げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーレイラ・モンクスフード
「もう、既に亡くなっているのですね。これ以上の被害を食い止めなくてはいけません。」

身代わりを立てるにも、逆襲撃にしても次の被害者の予測をしないといけませんね。

化け物と接する可能性は低いので、一般人になるべくユーベルコードを向けないために、今回は使用しません。

「地図と被害者の亡くなっていた場所を教えてくれませんか?」

おそらく、場所がキーになるのかな?生贄と儀式の線で調査です。
まずは地図で被害者の場所が、魔方陣や図形にならないかチェック。

図形的に何も浮かび上がってこなければ、亡くなった建物や場所が何の施設、役割か、また過去になにかあったかを聞き込んで、他猟兵の方に共有てきるようにします。




(「もう、既に亡くなっているのですね……」)
 アーレイラ・モンクスフード(ダンピールのクレリック・f02061)は町の石畳の上を歩く。目地の間に砂埃が詰まっているのか、歩を進めるたびに僅かに足元が汚れる。ともかくも今の状況では情報が足りなさすぎると彼女は人々を訪ねて歩く。
(「あまり外に人がいない……。無理もないですか」)
 民家の中に人がいる気配はある。だが、その多くが息を殺しているのが感じられる。話を聞くだけでも骨が折れる仕事となるだろう。
「あの、すみません」
 アーレイラは角を差し掛かった所で背を向けて歩いていた男に声をかける。瞬間、男は背中をビクリと震わせた後、硬直する。……この世界は猟兵の事を知らない。この町で見知らぬ人間から声をかけられるという事は、今起こっている事と彼の頭の中で容易に結びつくのだろう。
「驚かせてしまい失礼いたしました。少しお伺いしたい事があるのですがよろしいでしょうか」
 彼女がそこまで言ってようやく男は振り返る。男の視線からは警戒の色は消えてはいないが、とりあえず話は聞く姿勢となっている。
「……ああ」
「ありがとうございます。……地図と被害者の亡くなっていた場所を教えてくれませんか?」
「……そんな事を調べてどうする?」
「これ以上の被害を食い止めようと考えています」
 男は彼女の返答に少しだけ目を見開く。すぐに元に戻ったが。
「地図はない、必要なら自分で書け。それと俺が知っているのは死体があった幾つかの場所だけだ。全部じゃない」
「それでも十分です」
 男はそう言って指を向けては場所と死んだ人間を口にする。
「あそこの路地で死んでいたのは糸紡ぎの女だ。あっちで死んでたのは子供だ、どこかの職人の弟子って話だ。あとそれから……」
 一通り男は言い終えると、用は終わったというようにそそくさとその場を後にする。その後、アーレイラは簡単な地図を作りながら事件があったという場所を記していく。途中出会った住民にも同じことを聞いて更に書き込んでいく。
「……特に図形を描いているわけではない、ですが……」
 改めて見直せば町の外縁部より中心部の方で殺害が起こっている頻度が高い。疑惑は外ではなく中にあると彼女は目星を付けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と連携して当たる

【POW】を軸に村人を庇ったり、力づくでも避難させる

「オレたちは味方だ。信用してくれと言っても難しいだろォが、少なくともあんたらを襲う意思はないぜ」
気さくに笑いかけて警戒させないよう留意

「フラウ・レイヴァス、彼に温かい茶でもあるか? 少しは寒さも和らぐだろう」

奴か、奴らか、いずれにしろイイ趣味してやがる
恐怖でもてあそぶとはなァ

村人には貴族や役人などお偉いさんが越してきたりしないか
住民が近づかない場所や建物の心当たりを尋ねておく

「フラウ・レイヴァス、手分けして当たるか? 一人でも多く助けたい」

他の猟兵もいるだろう
共闘できればイイんだがな


フィラメント・レイヴァス
ザザ・クライスト(f07677)と連携

ささ、行こうか…どうにも、面白くなっているみたい

【SPD】で避難をしつつ
情報収集や良い感じの経路がないか探ってみるとしようか

「ほら、少し温まってごらんよ。
ハーブティーだから、リラックス効果もばっちり!」
これでも薬学には詳しいんだよ、と自信たっぷりに

「…この町で最近変化したことはないかな?
何か町全体に関わる場所とか、人とかね」
残忍な手口、実に奴ららしいじゃないか
尻尾を上手に隠しているとなら
確実に寝座があるに違いない

「ザザがそうしたいなら、手分けしようか
何かあったら、わたしの傀儡も手数に入れるよ…合図を頂戴」
頼りにしているからね、と悪戯な笑顔と共にウインクして




 町の中、若い男女が数少ない道行く者を呼び止める。空まで暗いこの世界に置いては、不釣り合いにも感じられるほどに二人の持つ雰囲気は擦れてはいないように思える。男の方はザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)、女の方はフィラメント・レイヴァス(ダンピールの人形遣い・f09645)である。
『ささ、行こうか……どうにも、面白くなっているみたい』
 フィラメントがここに赴く前に童顔の騎士に呟いた言葉。この町で起きている事の真相は闇の中だ。それに辿り着く為には元からの住人に接触しなければ手がかりさえ掴めない。
「オレたちは味方だ。信用してくれと言っても難しいだろォが、少なくともあんたらを襲う意思はないぜ」
 顔を知らなくともその口元に浮かぶ笑みが、自身を害するものでは無いと中年の女がようやっと飲み込む。その様子を見た男は振り返り相棒へと声を掛ける
「フラウ・レイヴァス、彼女に温かい茶でもあるか? 少しは寒さも和らぐだろう」
 その言葉にフルネームで呼ばれた女は、小さく頷き異世界から持ってきたのであろう飲料を納める筒から、簡素な器へと中身を注ぐ。
「ほら、少し温まってごらんよ。ハーブティーだから、リラックス効果もばっちり!」
 これでも薬学には詳しいんだよ、と自信の表情を見たのは中年の女にとって久方振りだったのか初めてだったのか。それは知る由もないが、女は差し出された熱持つ茶に口をつける。するとそれまで滲んでいた警戒の色が緩んでいく。それを認めたフィラメントは機を見て尋ねる。
「……この町で最近変化したことはないかな? 何か町全体に関わる場所とか、人とかね」
「なあ、あんた達は知っているんだろう? 今、この町で起きてる事を。……悪いけど私はあんた達が知っている以上の事は多分知らないよ」
「この町には貴族や役人とかは越してきたりはしていないのか?」
「そういった連中なら私達と同じさ。いつ自分の番が来るか怯えて家に引き籠もっているよ」
 人が殺され続けている。それ以外に変わったことは無いと女は言う。
「もう、良いかい? 力になれなくて悪いね」
「いやその前に。……御婦人、オレ達の仲間が一先ず安全な場所を確保している。そっちへ避難してくれないか?」
「……本気でこれを何とかするつもりかい?」
 その女の問いにフィラメントは先程と同じような、自信に満ちた表情で返す。それに促されるように女は林の方へある即席の避難所へと向かう。彼女を見送り二人は目を合わせずに言葉をやり取りを行う。
「奴か、奴らか、いずれにしろイイ趣味してやがる。恐怖でもてあそぶとはなァ」
「残忍な手口、実に奴ららしいじゃないか。尻尾を上手に隠しているとなら、確実に寝座があるに違いない」
 フィラメントの言葉を聞き、ザザは頭を搔く。
「フラウ・レイヴァス、手分けして当たるか? 一人でも多く助けたい」
「ザザがそうしたいなら、手分けしようか。何かあったら、わたしの傀儡も手数に入れるよ……合図を頂戴」
 分かった、とザザが答えるよりも早く彼女は歩き出す。そして数歩進んだ所で振り返り、一言を残してから改めて離れていく。
「頼りにしているからね」
 悪戯な笑顔とウィンクを残された男は、軽く息を付いてから彼女とは別方向へ歩き出す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
【—morgen—】のメンバーと参加を

これ以上の犠牲は出すわけにはいかんからな
住民の避難を最優先に考えて動こうと思う

皆と通信機を使いながら手分けして村人をセルマが見つけた避難場所へ移動する様伝える
基本説得は避難場所へ着いてからと考えてはいるが
不安を訴えたり難色を示す者が居た場合は、自分たちが元凶を倒しに来た旨、そしてその後戻ってくれればいい事を丁寧に説明しよう
見知った者が襲われる事が続けばやはり恐怖や警戒心は強くなっていることだろうからな
無理には動かず、警戒を解きながら動ければ…と、そう思う

どれだけ動けるかは分らんが…少しでも被害を食い止める助けになれるように努力しよう


弦月・宵
旅団【—morgen—】のメンバーで参加だよ

通信機で連絡を取り、手分けして町を巡回
避難予定地に遠い所から始めて、全員に声を掛けるよ
・オレ達は猟兵で解放活動をしている
・集団なら狙われない、安全な場所を確保した
・話があるからに集まってほしい
領主と決着をつける。圧政を終わらせる
・町へのルートは1つだけ。敵の姿や影を見てない?場所を教えてよ

誘導、説得の際は上記順で話して避難してもらう
情報収集は大事だけど、避難優先。
避難してくれないなら…
「オレはあなたから離れない」
あなただけでも守りたいから。
けど、そうなったら家族や友人は守れないからね。
避難先の方が安全だけどね。
って、強引に着いて行って守るよ(POW)


一駒・丈一
旅団【—morgen—】の面々で参加する
チームプレイで村人の避難を実施し、安全を確保するのが我々の勤めだ。

仲間と通信機で連絡を取り合い、手分けして村全体を漏れなく巡回し
見つけた村人を都度避難所に誘導。
誘導時は村人の安全にも留意。

誘導後、避難所に集まった村人に
「我々が事件の元凶を断つ。それまでこの場に留まってほしい」旨をコミュ力を活用して説得。

説得時には、下記も合わせて伝える。
「近く、再び被害者が出るかもしれない」
「過去は一夜一人の被害なので、集団で過ごせば狙われる確率が下がる」
「次は、貴方やその周囲の人が対象かもしれない」

前段の避難時に村人が渋る場合は、その場で上記の説得し誘導。
臨機応変だな。




 この世界にはない道具、通信機。それを持ち込んで離れた仲間達と情報交換をしながら【—morgen—】の者達は住人たちの避難に当たっている。
「こちらザッフィーロ。思ったよりはスムーズに避難が進んでいる」
 被っているフードと手にした通信機がややミスマッチにも見えるザッフィーロ・アドラツィオーネ(ヤドリガミの聖者・f06826)が、機械越しに現在の状況を他の仲間達へと伝える。
「丈一だ。そちらの動きは確認した。こちらも順調だ。おそらく先行した猟兵達の情報が住民達に伝わっているんだろう。宵が先に避難所に行っている。俺達も一旦そちらで合流しよう」
 一駒・丈一(金眼の・f01005)が通信を一旦落とす。通信機を使えることで誘導を効率的に行うことができている。ただ、今後も同じように使えるかどうかは分からない、それでも今回は可能であった事に安堵し、彼は出会った住民を所定の場所へと案内する。林の中の避難所に付いた時、既に多くの町人達が不安気な面持ちで佇んでいた。とりあえず猟兵達に導かれて来たものの、その判断に確信が持てていないようだ。
「一駒おにーさんも来たな」
 弦月・宵(マヨイゴ・f05409)が外からやってきた丈一を見る。その隣には先に到着していたのだろうザフィーロの姿もあった。そのザフィーロは切り株に腰掛けている老人と視線を合わせて言葉を交わしている。
「なあ、これから儂らはどうなるんじゃ? そもそもお前達は何なんじゃ?」
「ご老人、我々はこの町で起こっていることの元凶を倒しに来たのだ。その全てが終わったら町へ戻っていても構わない」
「……その元凶も分からぬのにか?」
「……不安ならオレはあなた達から離れない」
 見慣れぬ剣を背負った宵を見て、老人は一旦言葉を切る。
「ともかく俺達猟兵が事件の元凶を断つ。それまでこの場に留まってほしい。過去の状況から見るに一夜一人の被害なので集団で過ごせば狙われる確率が下がる」
「お前達のやりたいことは分かる。しかし、屋根も壁もないここにはいつまでもいることはできん」
「だから早く解決するために詳しいことを知りたいんだ」
「俺達は町の中に潜んでいる何かが原因だと言うところまでは掴んでいる」
「この地図の点の付いた所の近くで何か見たって人を知らない?」
 先行していた猟兵が記していた地図をザフィーロは広げ、宵が尋ねる。流石にそこまでは分からないと老人は首を横に振る。避難民の一人一人に訊くしか無いかと彼女がため息を付いた所で、一人の少年が彼女の服の袖を引く。
「……ん?」
「……ねえ、お姉ちゃん達は何とかしてくれるの?」
「ああ、そのために来た」
「……さっき、何か見てないかって言ってたよね。僕、見た、と思う」
 ざわりと、周りの人間の目が少年へと向く。無論猟兵達もだ。何か言いたげな周りの者を丈一が目で制して、少年の次の言葉を待つ。
「……夜遅くに眠れなくて、カーテンの隙間からなんとなく外を見たんだ。そうしたら」
「そうしたら?」
「隣の誰も住んでいない家の扉が開いて、そこから何か大きいのが出てきたんだ。……そのまま怖くなって、それで……」
 少年はそこまで言って言葉が詰まる。おそらくずっと一人で秘密を抱え込んで来たのだろう。猟兵達はこの証言を元に次の作戦へと移行する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『霊廟』

POW   :    大胆に進む

SPD   :    慎重に進む

WIZ   :    冷静に対処する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 少年に示された空き家。猟兵達はその扉のノブに手をかけると、存外に簡単に開く。そして彼らの目についたのは地下へと続く落とし戸だ。それは開かれており、その中は闇を湛えており踏み込まなければ何があるかは分からない。ここでグリモア猟兵の言葉を彼らは思い出す。
『それらが終わったら出元に乗り込んで、大本を叩きに行って欲しいんだけど……気をつけてくれ。どうもそう簡単な感じがしない』
 おそらくこの先に事件の元凶が居るのだろう。猟兵達は意を決して闇の中へと足を踏み入れた。
セルマ・エンフィールド
【SPD】
第一段階は成功、ここからが本番……そして、私たち猟兵の本領です。

スコープの『視力』、ナイトビジョンの『暗視』機能を用いて他の猟兵が明かりを持っていても見通せない遠くを中心に注視し慎重に進みます。

闇に溶け込む敵の不意打ちか、あるいは罠か……なにがあるか予測がつかない以上、【絶望の福音】の予知めいた『第六感』を頼りにしていきましょう。

居るかは分かりませんが、こちらが発見するより先に敵に見つかれば危険です。
できる限り『忍び足』で進み、もしも敵に見つかった場合、何かをされる前にマスケットの射撃による『暗殺』を。
無音での暗殺は得手でないので、任せられる人がいればそちらに任せます。




「……第一段階は成功、ここからが本番」
 集まった猟兵達の中で最初に落とし戸へ近づいたのはセルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)。ここから先で起こることこそが猟兵の本領だと言うように、愛用のマスケットを構えゆっくりと闇の中へと足を沈めていく。
「………」
 彼女が入ってまず気がついたのは臭いだ。腐臭……血肉が腐った臭い。ここでは何かの生物の死体がある。それを察した彼女は銃を構えナイトビジョンを覗き込む。
「何か、居る?」
 僅かな光を拾う装置を通して見る空間には、今の所目立つような箇所はない。だがそれも視野が狭まっているからかと彼女は思い直し銃と共に頭を振る。だが。
「……!」
 足元を何かが動いた。即座に後ずさって今自分がいた場所を見れば、大きめの鼠が逃げるように遠ざかっていく。……今、鼠が咥えていたのは何かの骨に見えたが果たして。セルマが息をつくと同時に、鼠が逃げていった方からガチャリと鈍い金属音と鼠の悲鳴が上がる。
「……!?」
 直ぐ様に彼女は銃を構え直してその場所を見る。そこには壁から突き出した槍のようなものが鼠を貫いていた。
「罠、ですか」
 おそらくこの道の到るところにこのようなものが仕掛けられているのだろう。セルマは気を張り詰めながら静かにゆっくりと歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

アーレイラ・モンクスフード
「黎明たる者よ、どうかこの町の方達に光の加持を」

信頼して、期待して貰ったのです。祈りを決意に、闇の中へ参りましょう。

ユーベルコードで星霊を召喚し全周囲に配置し、不意打ちを警戒しつつ、明かりにして進みます。

道が狭いなら、先行させて索敵させながら進みます。

迷宮状になっているなら、行き止まりや、来た道の印を付けて道を分かりやすくします。

倒されたら敵や罠を警戒、倒せる相手なら倒しますが、一筋縄でいかない相手なら無理はせず、引いて情報の持ち帰りを優先します。

敵が単体なのか複数なのか、巨大な生物なのか何かの群体なのか何も分かっていませんからね。

そして、この根城の周りに被害が集中した理由も、あるのでしょうし



「黎明たる者よ、どうかこの町の方達に光の加持を」
 瞑目し、そして瞼を開いたアーレイラ・モンクスフード(ダンピールのクレリック・f02061)も歩を進める。この中に満ちる闇を払うために。
「巡り廻る星の子ら、数多にして独りなる者よ、その一握を我が前へ」
 彼女が軽く握った手を、聖句――或いは星句か――と共に開けばそこから瞬くような星界を拠り所とする精霊達が溢れてくる。だがその彼らの持つ光はそれこそ闇夜の中で陰影を表す程度のか細い星の光に等しい。彼らの光の届かない闇へと気を払いつつ、アーレイラは精霊を自らの前に集め歩き出す。
 ――星が、弾ける。
 始めは一つ、次は二つ。音も無く光は散っていく。先行く者の言葉では多数の罠がこの道に仕掛けられているとか。幸いにして、或いは不幸にしてこの道は一条ではあるようだ。ただそれを知らないものを食らう罠が数えるのが面倒になる程に用意されているだけだ。
「これは一筋縄は行かないようですね」
 存外に道も長い。この周辺での事件が多かったのも、夜の内に都合の良い標的を探す時間が限られていたからでは、と彼女は推論する。全ての星が尽きた後彼女は一旦戻り、詳しい状況を後続の猟兵達に伝えに戻る。

成功 🔵​🔵​🔴​

コエル・フーチ
【WIZ】
地下に入る前に、できる限りの情報は集めておこう
町人達にこの空き家の元々の持ち主のこと
そして地下に心当たりがないか聞いてみよう

そうだ、避難場所に屋根や壁がないんだったな
全員分は無理かもしれないが、小さな小屋をレプリカクラフトで作っておこう
すぐに解決する、悪いがもうしばらく待っててくれ。

情報を得られたら、空き家へ
地下に入る前に空き家の中も調べておこう、何かあるかもしれない
そうだ、地下は暗いみたいだから村からランタンでも借りてきた方がよさそうだな




 時は少し遡る。場所は避難所、そこでコエル・フーチ(指先の熱・f08889)がレプリカクラフトで簡易的な小屋を作る。それほど大きなものではないが、体の弱い老人などが雨風を防ぐには十分な大きさだろう。
「これで少しはマシになるだろうよ」
 コエルはタバコを一服し、直ぐ様に火を消した後に小屋の中へと入る。
「ここはどうだい?」
「お陰さんで少しは寒さを凌げる。ありがとう」
 頭を下げる老女にコエルは一つ聞きたいことがあると口を開く。
「そう言えば私の仲間達が行っているあの空き家、なんか詳しい事をしらないか?」
「さあ、私にはとんと……。なにせこの町は古いもんでねえ。昔から残ってる家に皆勝手に住んでるから……。それこそ大昔はヴァンパイアの居城でそれを潰した跡に作られた町だとか」
 もしかしたら、その時の遺構がまだ機能しているのかもしれない、と彼女は思った。
「……助かる。ああ、あとランタンを一つ借りていってもいいか?」
 そして彼女は例の空き家にいる猟兵達と合流する。この先に居るものがヴァンパイアかその眷属であると言う情報を携えて。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と連携して当たる

フラウはミスに相当する言葉

【POW】を軸に大胆に進む

「フラウ・レイヴァス、オレが先を進むから遅れてついてきてくれ」

オレは囮だ
会敵すれば戦うだけだが、離れていれば奇襲を受けてもフラウは後の先をとれる

照明を使って目立つのもいとわない
モチロン注意・警戒は怠らない

「さしずめ死体置き場ってことかねェ、プンプン臭うぜ」

第六感を働かせて探る
戦闘になればバラライカで攻撃
近接戦ならバラライカで受け止めてアレスで零距離射撃
弾丸を蛍光ペイント弾にして狙いやすくする
命中したら、
「ミス・レイヴァス! 標的は丸見えだ、一気に叩くぜ!」

最悪は【戦場の亡霊】で戦闘を継続


フィラメント・レイヴァス
ザザ・クライスト(f07677)と連携

【SPD】を重視、慎重に行こうかな

「了解だよ。大丈夫、何かあっても…わたしのフォローがある。君は大胆に行くといいよ」
囮役を買って出てくれたザザに対し告げる
進む道中は忍び足で彼の後ろに付いて
背後や罠の警戒
罠がありそうな場所に気付けたら
彼に知らせ、傀儡に罠を調べさせながら進む
経路も覚えておけるよう記憶しておくよ

「まだご馳走とは言いづらいけれど、ーー食事だよ。」

戦闘になれば「女郎蜘蛛」で傀儡を操り
攻撃で牽制や足止めを指示
近接はザザに任せて、
自分は傀儡で彼の戦闘を支援する

「やっぱり君は頼もしいね。さあ、大詰めのようだよ…わたしの傀儡の出来をたぁんと、刮目してね」




「フラウ・レイヴァス、オレが先を進むから遅れてついてきてくれ」
「了解だよ。大丈夫、何かあっても……わたしのフォローがある。君は大胆に行くといいよ」
 ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)はすぐに戦闘状態に入れるように、短機関銃のロックを外しいつでもトリガーを引けるように携えている。その脇を固めるようにフィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)がこの霊廟に潜むものに注意を払う。この罠だらけの道に明確な敵がいるという情報は未だないが、警戒することに損はない。ザザはいつでも武器を前方へと構えられるように、大胆に歩を進める。
「……待って。その先の敷石、少し浮いてる」
 フィラメントが明かりを携えた女郎蜘蛛の傀儡にその石を慎重に押させれば、隠された虎挟みが空を噛む。赤錆びた鉄の歯は何も挟まっていない事を感知する機構でも付いているのか、ゆっくりと元の位置へと戻り、その凶々しい姿を床の中へと隠してしまう。
「助かる、油断ならないな」
「他にも沢山仕掛けてあるみたいだし、警備は罠に任せているのかも」
「このプンプン漂う嫌な臭いは?」
「何かに食べられた残り香かな」
「死体置き場じゃなくて食堂だったか」
 ザザはフィラメントとこの場所についての知見を交わす。彼らが踏み込む前にも怪しんだ町人が足を踏み入れて人知れず犠牲になっていたのかもしれない。その姿が無いのは既に食われてしまったのだろう。虫か鼠か或いはまた別の生き物がいるのかもしれないが、ともかく掃除はそれらに任せているようだ。
「ここまでの道は分かれたりしなかったから、罠を仕掛けるために効率的になってるんだと思う」
「……いい趣味だな。よほどここの主は根暗なんだろう」
「手勢自体は多くない、かな」
「そうだな。俺なら罠にかかった所をクロスボウか何かで攻撃している」
 おそらく敵は少数だろうと判断した二人は、まず罠を避けながら進む事に専念し先を目指す。その時こそ自分達の力を示す時と信じて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

一駒・丈一
旅団【—morgen—】の仲間と一緒に行動
仲間と連携しつつ進む。

俺はSPD重視だ。
罠だらけだし、足下や壁など、要警戒だな。
先が開けてそうな所は灯りを消し、敵との鉢合わせを警戒。

罠発見時は、解除は勿論だが、罠の作り方を注視。
罠の特徴から、多少の設置傾向が分かるかもしれん。
鼠が加えてた骨も気になる。骨を見つけたら調べよう。


行軍の過程で、技能「追跡」を使用し、犯人の足跡が無いか確認。
それを追跡すれば敵に辿り着ける可能性がある。
頻繁に事件を起こしているならば、多少の痕跡があるかもしれんし、
足跡などの数で敵が単独か否か分かるかも知れん。

敵の特徴等が分かる痕跡が無いかも併せて確認だ。

あとは、第六感頼みだ。


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
旅団【—morgen—】のメンバーで参加

光源にランタンを持って行く
メンバーとは声の届く範囲でなるべく離れぬ様行動を
何があるか分らん故、気を付けて進んでいこう
先頭は罠に強いキアに任せる
俺も手伝えればいいのだが…器用な技能がないからな。申し訳無い

その分辺りに変わったものがないか、不自然な点がないかを気を付けつつ
皆の視界をフォローする様に光源を持ちながら歩こうと思う
『世界知識』に掠るものがあればいいのだが

敵を見つけた場合は仲間に知らせ、みつからぬ様ランタンの遮光板を降ろし敵の様子を伺おう
戦闘の際は穢れの影で攻撃、拘束を試みる
何か情報を引きだせればいいが…どうだろうか


キア・レイス
旅団【—morgen—】のメンバーと参加

「すまない合流が遅れた、指示があるならば従う」

先ずスカウトドローンを召喚、広くない空間で多数出すと動きの邪魔になる、3機だけ呼び出し周囲を警戒させる

大分暗いが眼帯の魔術で強化された視力で仲間の位置がわかる程度に先行、聞き耳や忍び足も駆使し罠や敵を警戒する
敵がいたら減音器付きの自動拳銃で暗殺
罠使いの知識と目の良さで罠がないか注意し、あるなら後続や帰りを考え装備のナイフ類と鍵明けや破壊工作の知識で解除や破壊、無茶な場所にある物もクライミング技能でよじ登る

倒すべき敵の痕跡を仲間が発見したらそれを追跡、少しでも敵の情報が知れそうなものがあるなら潜入して盗みだそう


弦月・宵
旅団【—morgen—】のメンバーで参加

腰に下げるランプと、足元を確かめるために棒を持参

オレは探査能力少ないか、皆の注意の声を聞き逃さないようにして進む
【野生の勘】で、足元だけでなくて壁や天井も警戒するね
「オレの野生の勘がひをふく!…言ってみたかっただけだよ」
足跡を辿るようにして動いて、
見た目で分からない所や、罠を解除しないと進めない時は棒で探ったりつついてみたりする

何か敵の特徴や得物が分かるような情報を拾えるといいんだけど
あと罠の種類も、出来る限り見ておく。オレたちの侵入を、敵に報せるものがないかどうかが心配なんだ
時間をかけすぎず、足並みを乱さないようにも注意する
怪我したヒトには【UC】使用




 【—morgen—】のメンバーは最初の小屋の入り口から大分深いところまで来たと感じている。それは単純な移動距離を考えてのものでもあったが猟兵としての勘に依るところも大きい。
「……罠が多いな」
 キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)がツールナイフを道具として使うのは何度目だろうか。罠に明るい彼女が見つけ次第、無力化する事によって猟兵達は安全に進むことができている。彼らの少し先には彼女の呼んだスカウトドローンが3体ほど警戒しているが、敵に襲われた気配はない。やはりここの脅威、或いは防衛機構は罠が主なのだろう。
「不器用で済まない、私に手伝えることがあれば良いのだが」
「問題ない。これは私の領分だ。……光を少し上げてくれ、……そう、助かる」
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(ヤドリガミの聖者・f06826)がランタンを手に彼女の手元に光を当てる。キアが魔術具で視力を強化していると言えども光源があることに越したことはない。そんな彼女が罠の対応に当たっているのを一駒・丈一(金眼の・f01005)と弦月・宵(マヨイゴ・f05409)が興味深そうに覗いている。その視線に気がついたキアは二人に尋ねる。
「何か気になることでも?」
「罠の設置傾向から何か分からないかと思ってな」
「オレ達の侵入を敵に知らせるものとかない?」
 キアは手元から目をそらさずに彼らの疑問に答える。彼女の手は罠が再度発動しないように忙しげに働いている。
「……アラームの類は今の所無いな。全てが入った者に傷を与えるものだ。……あと、全体的に作られてから相当の時間が経っているようだ。それでも殺傷力に変化は無いみたいだが」
 つまりはここを通る者を生かさないという代物。丈一が足跡を確認する限り、事件を起こしている存在はこの罠の位置を全て把握しているようだ。そして出入りの度に避けて通っていると思われる。そう丈一が判断する一方で宵が視線を上げて訝しげに睨んでいる。
「……なんとなく天井の方も気になるんだよな。オレの野生の勘がひをふく!」
 宵が持っていた長めの棒で天井を突く。その彼女を不思議そうな表情で見るのはザッフィーロ。真顔で見つめる彼に対し、宵は慌てて否定する。
「言ってみたかっただけだよ。……って、え?」
 がしゃり、と何かが落ちてきた音と共に宵の持っていた棒が軽くなる。改めて見直せば、棒から先が落ちてきた鎖付きの刃物に切り落とされている。刃物は耳障りな音を立てながらブラブラと揺れている。
「……上も注意だな。キア、そっちが終わったらこちらも頼む」
 丈一は溜息をつくと改めて進行方向を見る。その視界の端に何か白く小さな物が映る。彼はここの主が行き来しているであろう足跡の上を踏んで進み、見つけたものを拾い上げる。
「……骨、か」
 男には見覚えがあった。人の指のそれ。いつかは分からないが確かにここで人が死んだのだろう。ただこの場所を鑑みる限り自ら望んだ死ではない事は明白だ。
「団長、祈りを」
 丈一は彼に持っていた骨片を渡し、ザッフィーロは略式の祈りを捧げる。それは聖職者としての側面を持つ彼の役回りなのだろう。
「そろそろ行こう。あまり時間もかけられないし」
 宵の脳裏に避難所で出会った老人との会話が浮かぶ。一刻も早く、不安の元を絶たねばと。
「そうだな、私も手を早めよう」
 キアはそう言って手早く次の罠の解除の為に壁を足がかりに、ぶら下がっている刃物の対処を行う。そういった事を何度繰り返しただろうか。緩やかな曲がり角に差し掛かった時に、向こう側から微かな光が届く。
「……終着点か」
 丈一が小さく呟いた。直ぐ様にザッフィーロがランタンのシャッターを閉じるが、気づかれてはいないだろうか。キアは何も言わずに拳銃を手にし、宵は背中の太刀の柄に手をかける。キアがこれ以上の罠が無いと判断すると猟兵達はこの霊廟の出口に向かって進み始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が最奥に付いた時、ここの主が振り返る。
「先程から賑やかな音が聞こえると思ったら、あの道を通り抜ける者がいるとはな」
 その言葉は鎧兜越しに放たれた。かつて人々を裏切りヴァンパイア側へ付いたという騎士、それがオブリビオンと化した存在だ。
「余程の手練か或いは幸運の持ち主か。どちらにせよ、ただの好奇心でここまで来たわけではあるまい」
 騎士は剣を抜き猟兵達に切っ先を向ける。
「そろそろこの上の住人達の恐怖にも飽きて来た。次はお前達の顔を恐怖に竦ませてやろう」
 殺意と言うよりは悪意の剣を手にした騎士が猟兵達に襲いかかる。
ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と連携
他の猟兵とも協力する

【POW】を軸に前に出て壁役として行動
攻撃がフラウ・レイヴァスや他の猟兵に行くようなら「かばう」
「支援射撃」で援護、「戦闘知識」を駆使して周囲に指示を飛ばす

「数的優位を活かさねェ手はないぜ、囲んで殲滅だ!」

奴は人型、背中に目はねェ。死角を突くぜ
敵の攻撃は「武器受け」でしのぎつつ、喰らうなら「激痛耐性」で耐える

「"薔薇"には気を付けろッ!」

第六感を働かせて注意
全方位攻撃を警戒しない手はないだろうが!

「クッソ、強ェ! 上から目線なだけあるってか!」
「勇気」を持って前へ、負傷にも俺の「覚悟」は揺るがない

最悪は【戦場の亡霊】で戦闘を継続


セルマ・エンフィールド
真の姿の片鱗によりスコープを覗く左目が赤く染まっています。

マスケットのスナイパー技能、スローイングナイフの投擲技能で他の猟兵の援護射撃を。
敵を暗視で見失わないようにし、軍馬を召喚しているときは軍馬を優先で、そうでないときは腕や頭部を狙い気を散らします。

UCを使っていないのでそこまで威力はありませんが……それで私から気を逸らすようなら【凍風一陣】で痛い目を見てもらいましょうか。

フォーリングローゼス使用中は武器を手放していますし、見切りで避けつつ機会があれば反撃も狙いたいところです。

貴方たちは常にそうですね。私たちを敵ではなく家畜や玩具としてしか見ていない……その傲慢、後悔する暇は与えません。


フィラメント・レイヴァス
ザザ・クライスト(f07677)と連携
他の猟兵とも協力出来る場面があれば

【SPD】重視の攻めで攻撃や回避行動を行う
近接戦闘はザザに一任し、ユーベルコード【女郎蜘蛛】の行動範囲に適した距離を考えながら戦闘する

「ザザ。申し訳ないけれど、わたしは回復は不得手なんだよね。だから、少し無理をさせてしまうだろうけれど、頑張っておくれ。ーーその分、特別な痛みを奴にお見舞いしてあげようね」

「フェイント」や「地形の利用」を駆使しながら、鋼糸&ワイヤーを使って敵の行動を妨害する
ザザの実戦知識や感を頼りにしつつ、自分も臨機応変に戦況を見極める

「女郎蜘蛛には特製の毒も仕込んである。迫り来る恐怖を得るのは君の番だよ」


コエル・フーチ
問答無用か、分かりやすくていいな
そうだな、私もシンプルにお前を倒させてもらう

ショットスピリッツを構え
ダブルバレルに2発の「熱線の雨」を装填し【2回攻撃】
【念動力】で動きを阻害した上で、時間差【フェイント】を入れ
「熱線の雨」を発射する
【誘導弾】で90本の熱線【属性攻撃】で集中攻撃だ。

フォーリングローゼスで薔薇の花びらが撒かれたら
【範囲攻撃】で撃ち落として被害を軽減する。

騎士を排除したら、町人に確認した後で必要ないのなら
地下道と、騎士がいた場所を破壊してしまおう
また、良くないものが住み着くといけないからな。


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
旅団【—morgen—】の皆と参加

俺は後衛で行動を
味方の援護を中心に立ち回ろうと思っている故、後衛で皆の行動を把握できる位置に居ようと思う
攻撃は基本的にはstella della sera…鎖を伸ばし鞭状にしたメイスにて遠距離攻撃
可能ならば『二回攻撃』を出来る様なるべく試みる
手数を増やしダメージを少しでも多く与えられたならばその分皆が怪我をする機会も少なくなるだろうからな
前衛に敵の攻撃が当たりそうになった場合は【穢れの影】を即座に放ち敵の動きを封じる攻撃を
その際は出来る限り長く拘束できればと思うが
解けそうな場合は味方に解ける旨警戒を伝えよう

なるべく皆が怪我をせんよう援護的に動ければ、と思う


一駒・丈一
旅団【—morgen—】の仲間と一緒に連携だ。
俺はSPD重視で前衛


先ず前衛の位置に切り込む必要がある。
会敵後、断罪用の杭である『贖罪の道標』を不意打ち気味に『投擲』し
その後、透かさず妖刀『介錯刀』を抜き放ち『早業』にて敵眼前まで一気に踏み込む。
これで前衛位置まで切り込めよう

後は早業と『2回攻撃』を繰り出し、同じく前衛の宵の一撃毎の隙を、俺が早さと手数で補おう
敵に隙あらば『咎力封じ』を放つ。
総じて、敵の隙を刺し味方の隙を補う。これが俺の職責だ。
後衛にはザッフィーロとキアが居る。心置きなく立ち回ろう


morgen砦の猟兵達が、貴殿の飽きを武を以て晴らして進ぜよう
対価として、骸に還って頂くがな
では参る


アーレイラ・モンクスフード
「お騒がせして申し訳ありません。ですが、直ぐに静かになると思いますよ。貴方は倒れ、街に平静が戻る形で。」

ユーベルコードでブラックキャバリアを使った段階での攻撃を担当します。

「2倍ほどの馬に自身を合わせて3倍ですね。被弾面積という言葉をご存知ですか?」
私も知らなかったのですけどね。
体力まで増やせていないならそれなりに被害を与えられるでしょう。


聖水のパイルを呼び出し、馬諸共目がけて射出。更に武器を銃形態にして乱射し弾幕を厚くします。

銃撃とユーベルコードの二回攻撃で、更にパイルのタイミングを少しずらすフェイントも含め、斬り払うなど防御行動を行っても有効打を叩き込めるように意識して攻撃します。


弦月・宵
旅団【—morgen—】のメンバーで参加

真の姿の開放で羅刹紋が頬や背中まで広がるのを感じて得物を握る。
前衛に立って【UC:羅刹旋風】で『おびき寄せ』
『力を溜め』たら、絶対に『鎧砕き』で矜持ごとぶっ飛ばしてやる。

外れても構わないし、得物を抑えられたらニヤリとしちゃうな。
『騙し討ち』『捨て身の一撃』『カウンター』さて、どれで攻めようか。
何より、敵の隙を狙ってるのはオレだけじゃない。
遠慮なく打ち込んでって伝えてあるから、組み合ってる時は、 それと気づかれないように後ろを気にしない。

馬上からの攻撃は避け辛いだろうから獲物で受け止める。
足を狙って減速させたら、距離を詰めて叩き込む、超接近戦スタイルだよ


キア・レイス
旅団【—morgen—】のメンバーと参加

アサルトライフルと身体装着型カノン砲を持ち込む。
先制攻撃でカノン砲を適当な部位に撃ち込んだらしばらく身軽になるために暗がりにカノン砲を放り投げ、もう使わないと印象付ける。
その後は若干他のメンバーより後ろの方に立ち、アサルトライフルで援護射撃。
騎士の攻撃にそれなりに付き合ったら他の猟兵から離れ目立たないように忍び歩いてカノン砲の元へ。

「放り投げた程度で狂ってくれるなよ」

右手首に装着し突き出すように構え【ホークアイ】発動、暗殺の好機に頭部へ叩き込んでやる。
反動で手首が折れないか心配だが折れたくらいの痛みなら慣れている、もし敵がまだ動くようならそのまま追撃だ。




 鞘か剣を抜いた騎士は直ぐ様にその鞘目の前へと掲げている。キア・レイス(所有者から逃げだしたお人形・f02604)が轟音と共に放ったカノン砲の弾丸が目前にまで迫っていたからだ。不意打ちにも近いその砲撃はこの空間を揺らすが、騎士の動きを少しばかり留めるのに収まる。だがその僅かばかりの時間に猟兵達はそれぞれの得意とする間合いに移動する。
「最初の挨拶にしては騒々しいな」
「お騒がせして申し訳ありません。ですが、直ぐに静かになると思いますよ。貴方は倒れ、街に平静が戻る形で」
 アーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)は表面だけの謝罪の言葉を述べる。
「礼だけは弁えているようだな。だが、それだけだ」
 騎士は手綱を引くように逆手を動かせば、その足元から漆黒の軍馬が現れる。直ぐ様にその馬を走らせて猟兵達に突撃する。
「させるか!」
 その速度が上がる前にザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)が立ちはだかる。
「クッソ、強ェ! 上から目線なだけあるってか!」
「後方からの援護があるとは言え、この我の前に無謀にも前進するとはな」
「無能な働き者とは呼ばれたくねえモンでな! ……数的優位を活かさねェ手はないぜ、囲んで殲滅だ!」」
 短機関銃を盾のように構えた彼は言う。セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)のスローイングナイフや一駒・丈一(金眼の・f01005)の杭の投擲が敵の勢いを削いだものの、簡単に選択できる行動では無いだろう。そして彼に意識が向けられている間に丈一を始めとした【—morgen—】の仲間達が騎士に殺到する。
「行くぞ」
 丈一が介錯刀を手に騎士の逆手側から切り込む。騎士はその防御しにくい攻撃が届く前にガントレットを突き出しダメージを最小限に留める。
「隙あり!」
 正面に気を取られた騎士の背後から弦月・宵(マヨイゴ・f05409)の痛烈な斬撃が決まる。それは鎧を深く切るくらいにまでとどまるが。刃は届くことを示している。
「小娘……!」
「今だ!」
 宵は叫ぶと同時にその場から身を翻す。その言葉に一番最初に反応したのはザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)。彼のか足元から粘度を持った影が溢れ出してくる。
「赦しを求めぬ者には何も出来ぬ。……生きる限り纏わり積もる人の子の穢れを今返そう」
 それは彼がこの世界で今まで受け持ってきたもの、生み出してきたのはオブリビオン。かつて人々が被ってきたそれを、生み出してきた者へと返す。
「この我に触れるな!」
 やはりその剣も超常の物なのだろう。形すら留めぬものを切り裂くと同時に、周りの猟兵達も振り払う。その騎士に対してキアのアサルトライフルが火を噴くが、無数の鉛玉は耳障りな音を上げて鎧を鳴らすだけだ。だがそれさえも目くらまし。その間に手ひどくダメージを受けたザザの手をフィラメント・レイヴァス(シュピネンゲヴェーベ・f09645)が引く。
「ザザ。申し訳ないけれど、わたしは回復は不得手なんだよね。……少し無理をさせてしまったね」
「この程度、どうって事はねえさ」
 そう言う彼だが痛みは耐えられても傷が無くなるわけではない。それでも彼は戦いが終わってないと立ち上がる。
「……その傷の分、特別な痛みを奴にお見舞いしてあげるよ」
「頼んだ」
 キアの援護射撃で態勢を整えている時間の間、これまで間で術式の準備のできたアーレライとコエル・フーチ(指先の熱・f08889)がそれぞれの力を顕現させる。
「星界の力よ、睥睨する世界を回天せよ。祈り輝く雨となれ」
 まず騎士に向かって放たれたのは星の光を伴った聖水の杭。祈りによって生み出された水の矢は次々と敵の赤黒い鎧に穴を穿っていく。
「そっちが問答無用ならこっちもシンプルに相手してやるぜ」
 彼女が構えた銃からは無数の熱線。こちらも鎧に命中するがそれだけでは済まされない。。
「伏せろ!」
 高熱が残った水を蒸発させる。それもただの蒸発ではなく「爆発的に広がる」蒸発だ。急激に気化した水は衝撃波を伴って中心にいた騎士と軍馬を打ち据える。
「2倍ほどの馬に自身を合わせて3倍ですね。被弾面積という言葉をご存知でしたか?」
 ……私も知らなかったのですけどね、とはアーレイラの弁。この爆発では騎士も無傷では済んでいないだろう。
「これなら私の出番は……、ザザ?」
 呼び出した女郎蜘蛛に警戒させた状態で、フィラメントがパートナーの様子がおかしい事に気付く。
「クソっ、オレの血が勝手に……!」
 先程の突撃の際に開いた傷口から血が流れ出し、爆発の中心へと向かっている。それが何を示しているのか分からない猟兵達ではない。
「……っ!」
 即座に今だ湯気と水煙の残る場所に向けてセルマが引き金を引く。だがその弾丸は水煙の中から突き出された凶々しい刃によって弾かれた。
「……良くもやってくれたな。改めて礼を言おう。暇潰しの相手と侮っていた」
「俺達の武が貴殿の飽きを晴らしたのなら何よりだ」
「礼だけでは物足りぬな、賢しい鼠共にはこの剣にて首を落とす褒美をくれてやろう」
「こちらこそ、対価を頂きたい。……躯に帰るという対価を」
 幾つかの拘束具を丈一は放つがそれは簡単に切り捨てられる。果敢に踏み込むが返す刀で彼自信も吹き飛ばされてしまう。騎士が彼に止めを刺そうとしたところで、大きな声で背中から声をかけられる。
「こっちだ!」
 再度の宵の後方からの一撃。今度は難なく防がれるが、そのまま間合いを近くに保ったまま武器を風車のように振り回す。彼女の体には羅刹紋が何時もよりも大きく広がり熱を持っている。これが彼女の真の姿なのだろう。
「それがお前の本性か。先程よりも鋭い技、期待しているぞ」
「抜かせ!」
 そうは言うが互いに動き出すには難しい。どちらの攻撃もまともに受ければ無事では済まない。
「……一人で戦っているんじゃねえぞ」
 その均衡を破ったのはザザ、というよりはその彼が呼び出した戦場の亡霊だ。彼の代わりに動くそれと同じように、フィラメントの代わりに動く女郎蜘蛛が両脇から騎士を挟み撃ちにする。
「女郎蜘蛛には特製の毒も仕込んである。迫り来る恐怖を得るのは君の番だよ!」
 不意打ちにも近い三方からの攻撃、まずは見切りやすい宵の攻撃をなんとかいなし、毒を含むという女郎蜘蛛の一撃も剣でかろうじて防ぐ。だが最後の銃弾だけは切断面のある鎧の背後からまともに受けてしまう。即座にフィラメントが銃弾の衝撃で揺らいだ相手の体にワイヤーをかけ、動きを不自由にする。
「ググっ……!」
「これ以上皆を傷つけさせません」
 ザッフィーロはstella della sera、夕方の星と呼ぶメイスの打突部を伸ばす。いわゆるフレイルという形状だがこれを剣で防ぐのは難しく、鎧に対しても相性の良いとされている武器だ。彼がこの武器で牽制している合間にアーレイラとコエルが魔力を持った弾丸で援護射撃をしていく。ここに来て騎士は自らが劣勢であると確信する。
「……放り投げた程度で狂ってくれるなよ」
 彼らの攻撃に騎士が引き付けられているその最中、キアは先程捨てたカノン砲を再度拾い上げ、その照準を騎士の兜へと合わせる。
「……邪魔さえなければ外さない」
 そしてそれは今。彼女の鷹の目による砲撃は狙い過たずにその箇所へと届く。
「ガッ……!?」
 響く再びの轟音。どうと倒れる鎧騎士。だがここで猟兵達は勝利を収めたとは慢心しない。そしてその予想の通り騎士は立ち上がる。恐ろしい程の耐久力である。
「貴様達……最早、遊びとは言わん、このまま塵芥と成り果てるがいい……!」
「"薔薇"だ! 気を付けろッ!」
 ザザが何をするかを察して周りの警戒心を喚起する。その言葉が伝わると共に騎士の禍々しき剣が、やはり禍々しい赤色の薔薇の花弁となり部屋一面に広がろうとする。
「……分かっているさ」
 コエルがタバコを咥えたまま口元を歪める。そして引き金を引けば拡散して放たれる火矢がその花弁が広がり切る前に焼かれ散っていく。そこから漏れた花弁も猟兵達に止めを刺すには至らない。
「ば、馬鹿な。この我がこのような鼠共に……」
「貴方たちは常にそうですね。私たちを敵ではなく家畜や玩具としてしか見ていない……その傲慢、後悔する暇は与えません」
 狼狽える騎士をスコープ越しに覗くセルマ。引き金を引く直前にその左目が赤く染まる。彼女が真の姿の片鱗を現すと同時に放たれた弾丸には極寒の冷気、魔を貫く鋭さ、風の如き速さが束ねて宿っている。その魔弾はこれまでの戦いで罅の入った兜を貫通する。
「……よかったですね、『寒い』と思う暇もなくて」
 頭部を中心として凍りついた騎士はもう何も言うことは無く。ただただ冷たく沈黙するだけの存在となった。
 その後この場所はコエルの助言によって破壊され封印される事となる。斯くしてこの世界の闇の一つが払われる。猟兵達は次の戦いに向かうため、この地を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月05日


挿絵イラスト