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エンパイアウォー⑨~炎獄を駆る死風

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #堕ちた白虎

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 サムライエンパイアの戦争も、中盤に差し掛かっている。
 『第六天魔王』織田信長の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に集結した。
 ここからは関ヶ原で幕府軍を待ち受ける信長軍を突破し、さらに山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍することになる、が……。
「皆さんには、急ぎサムライエンパイアの『山陽道』へ向かって欲しいのじゃ!」
 ユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)は集まった猟兵たちに向けてぺこりと頭を下げると、少しだけ早口で言の葉を紡ぐ。
「山陽道に待ち受けている魔将軍、『侵略渡来人・コルテス』なのじゃが、幕府に叛意を持つ長州藩の毛利一族を手駒にして、多くのオブリビオンを生み出して迎撃準備を整えているという、情報が入りましたのじゃ」
 コルテスの作戦は『山陽道周辺の気温を極限まで上昇させて、進軍してくる幕府軍を熱波によって茹で殺す』という残虐非道なものだと、ユーゴは眉間を寄せる。
「数日前の時点で、山陽道の平均気温は夜間でも35度を超えておるのじゃが、このままコルテスの儀式が進んだ場合、幕府軍が進軍してくる頃には、50度を超える殺人的な暑さになっておりますのじゃ……!」
 ――まさに灼熱地獄!
 けれど、コルテスが仕掛けたのはそれだけではないと、ユーゴは瞳を曇らせる。
「熱波だけでは飽き足らず、どうやら同時に『南米原産の風土病』も蔓延させて、幕府軍に死をまき散らそうとしておりますのじゃ」
 幸い、この風土病のウィルスは、極度の高温でなければ、死滅する種類とのこと。
 そのため『熱波を生み出しているオブリビオン』を撃破できれば、風土病も阻止できると、ユーゴは集まった猟兵たちに真摯な眼差しを向けた。
「ですので、皆さんには長州藩士を材料にコルテスが生み出した『堕ちた白虎』の軍勢を殲滅して欲しいのですじゃ」
 正確には、長州藩士を生贄にして、骸の海からオブリビオンを呼び寄せたもの。
 このオブリビオン達は『富士の噴火のエネルギーを蓄えた霊玉』を使って儀式を行っているので、辺りが灼熱と風土病地獄と化す前に、堕ちた白虎の軍勢を殲滅して霊玉を砕き、コルテスの策略を阻止して欲しいと、ユーゴはもう一度頭を下げる。
「戦場は宿場町近くの街道になりますのじゃ。視界と広さは良好、戦いに支障がでるような障害物もありませんので、心置きなく戦って下さいなのですじゃー!」
 要するに、湧いて出るオブリビオンの群れを、片っ端から撃破する単純なお仕事。
 逆を言うと、熱波と風土病が広範囲に渡って一気に蔓延しやすい土地柄でもある……。
「最低でも1万人以上の幕府軍を魔空安土城に到達させねば、サムライエンパイアの存亡の危機にも繋がってきますのじゃ。山陽道を侵攻する幕府軍が壊滅しないよう、何卒宜しくお願いしますのじゃ!」
 そう、ユーゴは口を閉じると、すぐに琥珀色のグリモアを顕現させる。
 そして、猟兵たちを彼の地へと送り届けるのだった――。


御剣鋼
 御剣鋼(ミツルギ コウ)と申します。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●プレイング受付期間
 オープニング公開直後から、プレイングを受付いたします。
 14日18時頃には執筆に着手いたしますので、今週には完結の予定です。
 プレイングが多く集まった場合、ダイスで描写人数を絞らせて頂きますこと、
 予めご了承頂けますと幸いです。

●同行者につきまして
 単独描写の希望、旅団の仲間と行動したいなど、
 プレイングにご指定頂ければ、可能な限り対応いたします。

 ご一緒したい方がいる場合は【相手のお名前】を明記して頂けますと助かります。
 グループでご参加の場合は【グループ名】で、お願いいたします。

 皆様の灼熱地獄戦、心よりお待ちしております!
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第1章 集団戦 『堕ちた白虎』

POW   :    旋風
自身の身長の2倍の【3つの竜巻】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    飄風
【触れるものを切り裂く暴風を纏った突進】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    凱風
自身に【相手の動きを読む風の鎧】をまとい、高速移動と【かまいたちによる遠距離斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夜嵐・右京
人同士が争うのは、世の必定なのでしょう。
毛利が徳川をよく思わないことも、彼らなりの思いがあるのでしょうね…。

人の気持ちは、未だ理解できないことも少なくないですが。
わたしは、この国が好きです。ですから、わたしはわたしの「こころ」に従いましょう。

おいでなさい。
読み合いはそれほど得意ではありませんが、同じ様に動きを見切り、相手が放つ斬撃に合わせて札を飛ばします『百夜ノ呪符』
接近戦では花鳥風月を、遠距離では霊符を使い分け破魔の力を利用して応戦。
元は人と思えば、こころが痛みますが、今を生きる人達の為にも過去にお還り頂きます。



●山陽道に舞う夜の嵐
 普段は行商人や旅人らで賑わう街道は強烈な熱風に飲まれ、人の気配すらなく。
 白糸の髪を靡かせて駆け出す、夜嵐・右京(真白の守り刀・f18418)の視界の先で蠢くのは、旋風を纏った数多の『堕ちた白虎』のみ……。
 ――否。奴らに旋風という風情など、生温い。
 眼前で駆ける虎どもは長州藩士を生贄にし、骸の海から呼び寄せたもの。
 死せる骸であり残滓。その哀れな末路を想ったのか、右京は一瞬だけ瞼を伏せる。
「人同士が争うのは、世の必定なのでしょう」
 毛利が徳川をよく思わぬのも、彼らなりの想いや道理があったのやもしれぬ。
 本体は太刀の右京にとって、人の気持ちは未だ理解できぬことも少なく無いけれど、己の『こころ』に確かだと言えることが、1つだけあった。
「わたしは、この国が好きです」
 右京は白磁色の指先を胸元に添え、ゆっくり前を見据える。
 最初に嫌でも視界に入るのは死せる風を纏う虎どもだけど、次第によく整備された街道と、少し遠くにある色鮮やかな宿場町が見えてきて。
 どれも荒れてはいない。宿場町の人々も瀬戸際まで耐えている証に、右京の口元が少しだけ緩んだ。
「おいでなさい」
 ――ならば。わたしは、わたしの「こころ」に従うまで。
 恐れも無く短く告げた右京は、風舞う鳥が描かれた扇を即座に横にする。
 刹那。風の鎧を纏った虎どもが瞬時に間合いを狭め、鋭利な風の刃を右京に向けて一斉に解き放った。
「元は人と思えば、こころが痛みますが」
 むせ返るような熱気の中、音速のかまいたちが轟と空気を振動させる。
 右京は迫り来る風の刃を扇でひらりひらりと受け流しながら、もう片方の手に在る禍々しき空気を纏った霊符を、扇のようにざっと広げた。
「今を生きる人達の為にも過去にお還り頂きます」
 その禍々しさは、穢れは、かつては己を依代に封じていた、呪いの残滓。
 ――まずは、先頭を抑えないと。
 右京は狙い定めるように金の瞳を細めると、虎どもが放つ斬撃に合わせて宙に撒く。
 ふわり舞う呪符が仄かにぼぅと光ると同時に、右京の唇が鋭く言の葉を紡いだ。
「封じし穢れを、ここに解放する」
 呪詛を纏った霊符は、まるで意思を持ったかのごとく、手前の虎の群へ飛んでいく。
 忌々しげに唸り声を上げる虎どもに無慈悲に貼り付くと、瞬時にその身を呪縛した。
「迷わずお還りなさい」
 前衛の虎どもの動きを封ずるなり、右京は真っ向から斬り結ぶ。
 その手に在る扇を鋭く横に一閃。手前の虎が二つに割かれるや否や、横手から現れたもう1体に向き直ると、再三、呪符を広げて。

 炎獄を駆る死風に白磁色の夜の嵐が舞い、黄泉路へと送り返す。
 仄かに藤の香が漂う中。
 虎どもはその装束の裾すら捉えられず、瞬く間に数体が斬り伏せられたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルファ・オメガ
「がう、もふもふに茹で上げるだなんて…」
まさにぐつぐつにゃーにゃーな猫鍋な案件!

いけない、これはもふもふとしても見逃せない!
敵も虎なのがちょっと見過ごせないし
よーし、いくぞー!

こう言う時は、エレメンタル・ファンタジアの出番!
暴走も辞さない覚悟で全力魔法だー!
「いっくよー!霙ノ竜巻!」
霙を竜巻状にして正面からぶつけるよー
1本じゃなくて何本も竜巻を作り出して
熱波を相殺しながら白虎を攻撃だー
風を纏った白虎の攻撃は野生の勘で見切る!
それでも高速移動を竜巻で捉えるのは難しいかも?
「なら、こうだ!炎ノ疾風!」
炎を纏ったかまいたちで狙っていくよ
ちなみに暴走したら竜巻に巻き込まれます
「がうー?!」


クーナ・セラフィン
まったく非人道的な戦術を…
蒸し殺しだけでも大概なのにそこに疫病とかもう、悪鬼外道?
体力は熱に削られて弱った体に病気なんてどれだけ犠牲者出るのか考えたくもないし、さっさと始末しちゃわないとね。
…いやこの暑さ、私にもかなーり応えるというか。本気で。

可能なら連携して敵を狙う。
高速移動と鎌鼬に警戒、身軽に跳ねて飛び回るように回避しよう。
風の鎧には吹雪も花弁も直接当たらなければ問題ない…そう思ったかい?
風の鎧ごと包み込むようにUC発動、視界を封じる。
普段なら動きは読めるかもしれないけれど、これだけ邪魔者が飛び交ってる中で何が狙うべきか判断できるかな。
惑ったらそこに突撃槍の串刺しを。

※アドリブ絡み等お任せ



●山陽道もふゆでにゃんにゃん紀行
「がう、もふもふに茹で上げるだなんて……」
「まったく非人道的な戦術を……蒸し殺しだけでも大概なのに、そこに疫病とかもう、悪鬼外道?」
 アルファ・オメガ(もふもふペット・f03963)とクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)が揃って地面に視線を留めると、余りの暑さで地表近くの空気が陽炎現象のごとく、ゆらゆらと歪んでいて。
 この熱波に堪えても弱り切った所に風土病が襲い掛かる、まさに悪魔の所業ッ!
 その場合、想像を絶する犠牲者数になるに違いないと、クーナは羽根付き帽子の下の瞳を険しく細める、が――。
「……いやこの暑さ、私にもかなーり応えるというか。本気で」
「がう、これはもふもふとしても見逃せないね!」
 思わず、ぼそっと本音が出てしまう、クーナさん。
 けれど、アルファは「がうっ!」と力強く同意し、固い肉球もとい握手を交わす。
 まさにぐつぐつにゃーにゃーな猫鍋案件を前に、2人の足並みが揃った時だった。
『ガルルルル!!』
 同じネコ科(?)でも、ケットシーたちに迫り来る『堕ちた白虎』らは元気一杯!
 ――っていうか、余りにも理不尽過ぎませんッ?
 対するクーナが研ぎ澄まされた刃の如く藍色の瞳を据わらせ、白雪と白百合の銀槍を隙なく構えるのも、無理もない話だろう。
「さっさと始末しちゃわないとね」
 ――炎獄を運んで来るようなオブリビオンに、慈悲はない。
 先陣を切って駆け出したクーナは、魔力を高めようとするアルファを視界の隅に留めると、視線だけで「時間稼ぎは任せて欲しい」と告げ、前へ前へと疾走する。
 そして。瞬時に敵の一群に接敵すると強く地を蹴って跳躍。さらに手前の虎を足場にして飛び上がると、虎たちを惹きつけるように、しなやかに飛び跳ねた。
「よーし、いくぞー!」
 敵が虎の姿形をしていることに思う所があったのは、アルファも同じ。
 仲間が見出してくれた絶好の機会を生かそうと、アルファは暴走も辞さない覚悟で腰に下げた刀の鯉口を切り、素早くユーベルコードを練り上げる。
 膨大な魔力を受け入れた黒い刀身は瞬く間に冷気を発し、鋭利な突風を見舞った。
「いっくよー! 霙ノ竜巻!」
 鋭く薙ぎ払うようにアルファが刀身を振うと、クーナもまた大きく飛び退く。
 ――一閃。竜巻状になった霙(みぞれ)が敵の真正面から激しく衝突し、戦場をごぅと疾走する。
 そして、それは1本だけでない。
 幾つもの霙の竜巻が熱波を相殺するように街道上を躍動し、虎たちを飲み込んでいく、が。
『ガルルルル!!』
 しかし、虎たちも易々と倒れない。
 風の鎧を纏って竜巻を躱した虎の一部が、アルファを射程に捉える位置に高速移動し、凄まじい風の刃を繰り出したのだ。
(「高速移動を竜巻だけで捉えるのは難しいかも」)
 乱れ来る刃の嵐。
 野生の勘を持って回避に転じるアルファの茶トラの毛並みに、ちりちりと赤が滲む。
 ――その時だった。
 クーナが一迅の鋭さを持って、虎たちとアルファの間に滑り込んだのは――!
「風の鎧には、吹雪も花弁も直接当たらなければ問題ない……そう思ったかい?」
 凱風が唸る中、アルファの前に立ったクーナは、素早く銀槍を横に構える。
 その刹那。周りの気温がガクンと下がり、戦場にふわりと舞い降りたのは――雪だ。
「こんな趣向はどうだい?」
 銀の突撃槍から舞うように放たれた雪混じりの花吹雪が、瞬時に嵐と化す。
 激しく渦巻く花吹雪は瞬く間に虎たちを風の鎧ごと飲み込むと、凍結と幻惑を持って絡めとり、その動きをも封じてみせて。
「がうー!」
 その隙に態勢を立て直したアルファは素早く口の中で詠唱を転がすと、再び黒い刀身のサムライブレイドを構え、全力の魔力を乗せていく。
 先程とは異なり、黒き刀身は紅々と焔を発し、切先に纏う突風も剣呑に煌めいて。
「なら、こうだ! 炎ノ疾風!」
 アルファが軸足に体重を乗せて振り抜く刃が嵐を呼び、炎獄と化して吹き荒れる。
 地を舐めるように駆ける強烈な熱風が、焔の刃が、クーナの氷と幻惑に囚われたままの虎たちを容易く斬り裂き、焦がし、跡形もなく吹き飛ばす。
 同時に。虎たちの隊列も大きく乱れ、散り散りばらばらになっていく。
 ――そして、その隙を逃す猟兵たちでは、無かった。
「普段なら、動きは読めるかもしれないけれど――」
 宙を跳ねて飛び回っていたクーナも攻撃に転じるように、突撃槍を逆手に構える。
 すぐ真下の深手を負って動きを鈍くした虎に狙い定めると槍に重心を預け、そのまま首元目掛けて一気に降下、瞬く間に串刺しにしてみせた。
「これだけ邪魔者が飛び交ってる中で、何が狙うべきか判断できるかな」
 敵が倒れ伏す間も無くクーナは銀の槍を引き抜くと、その反動で後方に飛び退く。
 そして。軸足に強く力を込めると瞬時に間合いを狭め、真っ直ぐ銀の槍を突き刺した。
「がうー?!」
 アルファもクーナの立ち回りに合わせて魔力を解放しようとしたものの、属性と自然現象を合わせたユーベルコードは制御が難しく、逆に自身が生成した竜巻にぐるぐると洗濯機のように巻き込まれていて。
 暴走した竜巻に明後日の方角へ吹き飛ばされていくアルファに、クーナが瞳を大きく瞬いたのも一瞬、すぐにふわりと緩めた。
「うん、あの様子なら大丈夫そうだね」
 アルファの力量ならば、すぐに追い着いてくれるはず……。
 仲間を信じて前を見据えたクーナーは、次なる敵の一群を目指して銀の風になる。
 炎獄を駆る死風を少しでも多く、速く、黄泉路へと還すために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白波・柾
この夏はとりわけ暑く蒸しているというのに、
これ以上暑くなってしまったら熱中症どころの話ではないな……
そうなってしまう前に、防ぐこととしよう―――俺たちは、俺たちのやるべきことを

敵の飄風については敵から30cm以内の距離に入らないように注意しつつ
「戦闘知識」「地形の利用」で一斉掃射に有利な地形を選び
近接してきた敵は「なぎ払い」で「吹き飛ばし」ていき、
距離をとりつつできるかぎり敵をユーベルコードの範囲内におさめたい
「範囲攻撃」「マヒ攻撃」「傷口をえぐる」を添えた
【剣刃の掃射】で一斉にダメージを与えていこう

自分が攻撃されたならば「オーラ防御」で防御し
「カウンター」による「シールドバッシュ」で反撃する



●斬り裂く暴風と星砕き
「これ以上暑くなってしまったら、熱中症どころの話ではないな……」
 先に打ってでた猟兵たちの活躍もあり、街道に徘徊する『堕ちた白虎』の軍勢は、半分近くまで減少している。
 それでも、山陽道を包み込む灼熱にも似た蒸し暑さは衰えを知らず、白波・柾(スターブレイカー・f05809)は街道の様子を見据えるように、橙色の双眸を細めた。
「近くには宿場町もあるのか」
 最初に柾の瞳に飛び込んで来たのは、街道を自由に闊歩する風纏う虎たち。
 けれど、少し遠くには色鮮やかな街並みが広がり、おそらく瀬戸際まで猛暑に耐えているのだろう、どの建物にも荒れ果てた様子は見られない。
 ――ならば、やることは1つだけ。
「被害が甚大になる前に、防ぐこととしよう」
 ――俺たちは、俺たちのやるべきことを。
 柾は降り注ぐ隕石を砕いたと称される大太刀の柄に手を掛け、音もなく疾走する。
 戦いに向いていそうな場所に柾が視線を留めたのと同時に、先の猟兵たちの猛攻を受けて殺気立った無貌の虎の一群が、一斉に此方へと向かってきた。
「いざ尋常に、勝負だ」
 柾は腰を低く落として大太刀を構えると、接近してくる虎を薙払いで吹き飛ばす。
 まずは一閃。軸足に体重を乗せて、大きく振り払うように、もう一刃!
 その反動を生かしたバックステップで後方に距離を取った柾は、なるべく虎が多く集まる場所に狙いを定め、鋭く射抜くように、双眸を細めた。
「防御をとれ――受けて見せろ!」
 発せられた殺気と同時に柾の周囲に地域時代様々な刀剣が顕現し、瞬く間に嵐と化す。
 激しく渦巻く刃の奔流は、次々と虎たちの動きを縫い止め、深く突き刺さった刀身は傷口を抉るように、さらに身体の奥へ奥へと浸透していく。
『ガアアアアアア!!』
 けれど、虎たちも負けてはいない。
 横手から現れた1体が、激しい暴風を纏いながら、柾目掛けて突進してくる。
 それをいち早く察した柾は即座にオーラを高め、同時に白兵戦用盾を低く構えると、軸足に強く力を込めた。
 拮抗する実力。
 暴風纏う虎と盾がぶつかりあい、激しい火花を撒き散らす。
 押し勝ったのは――柾。
 柾は返す刃の如く盾で虎を強く殴打すると、その反動で後方に飛び退き、距離を取る。
 そして、狙い澄ますように、再び無数の刃を閃かせて。
 
 やるべきことは未だ沢山残っている。
 弱きを援け、強きを挫く、そんな刀で在れるように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉城・道明
伊織(f03578)と連携

武士たる者が化生の贄として散り、民草まで苦しめるか――何ともやりきれぬな
何れにせよ、堕ちたる存在は彼岸に送り返すのみ
地獄の道連れになど、させぬ

捕捉と同時に伊織と駆け、早業で刀走らせ先制攻撃
互いに死角補いつつ、残像駆使し敵の矛先や集中を乱す

風は武器落としの要領で断ち切れぬか試行
無理でも鎧無視攻撃で直接身を斬りに
瀕死>手近から集中

身はオーラ防御で固め、急所は武器受けで防ぎ耐久
見切り回避に繋ぐべく、俺は個の動きを観察
次手気配、癖や隙等読めれば随時共有
負傷は激痛耐性で凌ぎ、此処は譲らぬという覚悟で立ち続ける

この道を、黄泉路になどさせるまい
本丸へと至る道こそを、必ずや切り開く


呉羽・伊織
道明(f02883)と連携

俺は武士でもなけりゃ誇れるような志もない
ソレでも、まァ、譲れねーモンぐらいは――

武器に逆風の呪詛仕込
UCで速度と射程強化
この命を幾らか焼べて、何万も拾えるってんなら大儲け

捕捉次第同時に駆け、早業で風切放ち目潰し狙う先制攻撃
から、即刀による2回攻撃に転ず

以降も高速行動や間合の阻害に、目潰し&足の部位破壊を2回攻撃で狙う

道明とは死角補い合い
残像とフェイント交え敵の矛先や集中撹乱
見切り回避狙う為、俺は群全体の動き観察
次手兆候・癖・隙の情報収集&共有を随時
傷は激痛耐性で素知らぬ顔

――何だかんだでこの国は嫌いじゃない
テメーらなんざに明け渡すかよ

連中にゃ引導を渡してやろーか、道明



●二振りの旋風と刃が至る路
「武士たる者が化生の贄として散り、民草まで苦しめるか――何ともやりきれぬな」
 ――何れにせよ、堕ちたる存在は、彼岸に送り返すのみ。
 山陽道を縦横無尽に駆る無貌の虎どもに、吉城・道明(堅狼・f02883)は鋭くも澄んだ藍色の双眸を細め、瞬時に刀の鯉口を切る。
 眼前にはびこるのは、長州藩士を生贄にして、骸の海から呼び寄せた、残滓……。
 前を見据えたまま、道明は傍らでのらりくらり街道を眺めていた呉羽・伊織(翳・f03578)に凛とした背筋を向けると、それを視界の隅に留めた伊織は気さくな笑みを返し、2人は同時に強く地を蹴る。
(「俺は武士でもなけりゃ誇れるような志もない。ソレでも、まァ、譲れねーモンぐらいは――」)
 頼もしき友の毅然たる背を追いながら、伊織は少しだけ想いに耽る。
 寄る岸辺を失くして気紛れに彷徨う、浮雲のような己にも、確かなものが在る――。
 けれど、思考は一瞬で終わる。
 すぐに己の武器に呪詛を仕込むと、更に速度を上げるべく、自身にも妖刀の怨念を浸透させる。
 2人の気配に気付き、押し寄せてくる風纏う虎の数は、想定していたよりも少ない。
 伊織が「あともう少しってトコロか」と呟くと、道明は振り向かず、然りと頷く。
「地獄の道連れになど、させぬ」
 例え、自ら贄になることを望んだとしても、彼らなりの正義の結果であろうとも、決して許されるべき道筋ではない。
 道明は迫り来る虎どもに狙いを定め、流れるように、刀の柄に触れる。
 ――一閃。
 すれ違いざまに払うように奔らせた剣筋は、手前の虎に吸い込まれるように軌跡を描き、二つに分かつ。
 その骸が地に伏して消えゆく間も無く、道明は呼吸すら乱さず次なる敵影を凛と見据え、妖刀の怨念を纏った伊織もまた、更に疾駆する。
「この命を幾らか焼べて、何万も拾えるってんなら大儲け」
 ――反撃の隙など与えてやるものか。
 一迅の鋭さを持って間合いに到達した伊織は、低い態勢のまま『何か』を虎どもの目線の位置目掛けて、素早く腕を振り抜く。
「その代わり、と言ってはなんだ」
 抜く手も見せず宙を切るのは、呪詛纏う闇に染む暗器。
 衝撃波をともなう斬撃は、道明に迫らんとしていた手前の虎どもの目を一斉に潰す。
 確かな手応えを得た伊織は黒刀の鯉口を軽やかに切ると、更に一歩前へと踏み込んだ。
「このお代は高くつくぜ」
 ――命を削る代償に相応しいのも、また命。
 目を潰され、がらんと空いた虎の足元に、伊織は払うように一閃する。
 刃は狙い通りに届き、堅く鋭い音に赤が弾ける。
 けれど、伊織はそのまま踏み込まず、残像を残すように飛び退くと、すぐ手前の個体と斬り結んでいた道明に「後方から竜巻だ」と、声を荒げた。
『ガルルルッルルル!!』
 2人の背面から現れた虎は瞬時に距離を狭め、身の丈の2倍程もある竜巻を解き放つ。
 轟々と迫り来る暴風。
 地を舐めるように吹き荒れる竜巻は3つに分かれ、取り囲むように襲い掛かった。
「武器落としの要領では、断ち切れぬか」
 ――思考は一瞬。
 道明は竜巻を放つ敵の動きを然りと見据えたまま、素早く跳び退く。
 一撃目は辛うじて弾き返すものの、二撃目は残像を駆使して紙一重で避けてみせて。
 三撃目を眼前にした道明はオーラを高めて護りを固めると、即座に刀を横にして軸足に力を込めた。
「ならば、直接身を斬りにいくまで」
 強烈な竜巻を刃を持って受け止めた道明は瞬時に肉薄し、上段から斬撃を叩き込む。
 刀を通して骨を砕く感覚が腕に浸透する。次なる標的を狙うべく深く踏み込んだ道明は、視線の隅で激しい暴風を纏う虎の姿を捉えると、即座に警告を発した。
「伊織、手前の虎と距離を取れ」
 伊織が群全体なら、自身は個の動きを注視することで、互いに死角を補っていて。
 即座に意図を察した伊織が素早く跳び退くと、すぐ目と鼻の先の空気が振動し、凄まじい暴風の塊が残像だけを斬り裂いていく。
 それを見届けるや否や、伊織は振り向き様に呪詛纏う暗器を放ち目を潰し、ひらり黒刀を返すように足元を薙ぎ払えば、道明が傍らに迫るもう1体を同時に斬り落とす。
「中々きついモン放ってくれたな」
 陽炎で揺らめく地表が、焼けつく風が、砂埃が、伊織の頰をちりちりと刺激する。
 けれど、鼻孔をくすぐる土と風が運ぶ緑の匂いは覚えがある。――この国の匂いだ。
「テメーらなんざに明け渡すかよ」
 ――何だかんだで、この国は嫌いじゃない。
 伊織がぽつり言の葉を洩らした刹那、闇に染む暗器が意のままに宙を翔ける。
 深手を負った虎を斬り伏せた道明が視線だけちらり動かすと、そこには何時もの気さく気楽な笑みがあった。
「連中にゃ引導を渡してやろーか、道明」
「ああ、此処を譲るつもりはない」
 ――この道を、黄泉路になどさせるまい。
 僅かとはいえど、傷を負ったまま素知らぬ顔で笑う伊織に、道明もまた身に刻まれた痛みを嚙み殺し、不屈の覚悟をもって滑るように前へ出る。

 この街道は、敵の本丸へと至る道。
 ――必ずや切り開く。
 そう応えるように二つの流影は街道の旋風と化し、幾つもの剣戟を交互に煌めかせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コノハ・ライゼ
手が込んでンだか雑なんだか
この時期熱いってだけでも勘弁なのにねぇ

どんだけ湧くのか知らないケド、一体ずつ頂戴してくわネ
「柘榴」肌に滑らせ【紅牙】発動
対の牙振るい敵中に突っ込んでくヨ
一撃目に『マヒ攻撃』乗せ動き鈍らせたら
『2回攻撃』による2撃目で『傷口をえぐる』よう牙捩じ込み『生命力吸収』
しっかりその命、頂きましょうか

竜巻は軌道読み巻き込まれないよう『見切り』避け
『オーラ防御』で攻撃凌ぎ『激痛耐性』足しに痛みは知らぬふり
『カウンター』狙い『範囲攻撃』で柘榴の斬撃お見舞いするわネ

とはいえ本体が居なくちゃ碌な動きも出来ないデショ
コッチの攻撃は本体を優先して狙っていくヨ
喰いきれない位沢山、掛かっておいで



●山陽道に煌めく
「手が込んでンだか雑なんだか、この時期熱いってだけでも勘弁なのにねぇ」
 山陽道をぐるりと見渡したコノハ・ライゼ(空々・f03130)は、へらり笑みを浮かべ、磨いだ鉱石のナイフをくるっと一回転、逆手に持ち替える。
 街道を駆ける風纏う虎も味方の猛攻を受け、あと僅かという所まで達していたけれど、炎獄のような熱波は全く衰える様子は無く……。
「どんだけ湧くのか知らないケド、一体ずつ頂戴してくわネ」
 いずれにしろ、油断ならない状況が続いている。
 未だはびこる虎たちを射抜くように見据えたコノハは強く地を蹴って、駆け出す。
 ――同時に。
 ナイフを肌に滑らせると、柘榴に似た鈍く艶やかな赤を飲み込んだ刀身は、瞬く間に巨大な牙へと変貌した。
「喰いきれない位沢山、掛かっておいで」
 殺傷力を増した対の牙を軽く一振りし、コノハは虎の一群の只中へ踏み込む。
 まずは、大きく薙ぎ払うように、一閃。
 全てを喰らい尽くす勢いで大きく振われた斬撃は、致命傷には及ばぬものの、僅かに触れるだけでも縛めに囚われ、次々と虎たちの動きが鈍っていく。
 そして、その時を待ち侘びていたかのように、対の牙が本性を現した!
「――イタダキマス」
 手負いの虎に狙い澄ましたコノハは、脇腹に刻まれた傷口をえぐるように牙を捩じ込むと、そのまま深く押し込み、一気に生命力を吸収する。
 抵抗力を奪われたまま命を屠られた虎たちが次々と倒れ伏す中、後に残されたコノハは少し物足りなさそうに溜息1つ、陽炎で揺らめく地面に零した。
「こんなモンじゃ足りないわネ。――あら?」
 もっと大きな獲物を求め、コノハが戦場に視線を奔らせた時だった。
 攻撃に加勢せず、移動を繰り返していた個体の胸辺りに『何か』が光ったのは。
「あれは、霊玉カシラ?」
 思わず薄氷の瞳を瞬くものの、間違いないだろう……。
 数多の風纏う虎を狩り尽くし、ようやく顕現した本体――熱波を生み出す元凶とも言えるべき存在。
 ならば、己がやることは決まっているようなものだと、コノハは口元を緩めた。
「しっかりその命、頂きましょうか」
 霊玉を早めに壊すことができれば、虎たちは碌な動きも出来なくなるはず。
 ――まずは、先手必勝。
 獲物を狙う獣の如く迫るコノハに対し、迎え撃つ霊玉持ちの虎は身の丈の2倍にもなる竜巻を生成、たちどころに暴風が吹き荒れた。
「チョットは骨がありそうネ」
 地を舐めるように渦巻く暴風はコノハの眼前で3つに分かれ、一撃目は身を僅かに逸らして躱したものの、二撃目と三撃目は避けきれないと判断したコノハは、オーラを高め――愉しそうに笑う。
 体から弾ける赤が、痛みが、自分のものか対の牙のものか、もはや判然としない。
 それでもコノハは流れるように懐に滑り込むと、真紅に濡れたままの対の牙を、虎の喉元に突き立てる。
 そして。そのままずぶりと深く押し込むと、霊玉持ちを護る為に集まった数体の虎ごと巻き込むように横に奔らせ、一気に振り抜いた。
「これでチェックメイトネ」
 無数の赤が弾けると同時に、ぽろりと零れた霊玉が地面に転がる。
 コノハが迷いなく対の牙を叩き込むと、霊玉はあっという間に砕け、四散する。

 辺りの剣戟が止む頃には、蒸せ返るような熱波は徐々に和らいでいて。
 街道に、再び人々が賑わいを見せるのも、そう遠い話ではないだろう……。
 山陽道に降り注ぐ夏の陽射しと、仄かに駆ける夏の風に猟兵たちは瞳を細め、人知れずゆるりと踵を返すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月17日


挿絵イラスト