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エンパイアウォー⑰~外道水晶、陰陽道に通ず~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明

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●鳥取城天守閣
 戦国時代、ある武将に行われた非情なる兵糧攻め。後の世で「鳥取の渇え殺し」と呼ばれた惨状があった鳥取城では今でも、こべりつくような怨念が渦巻いている。それを肴に悠然と立ち尽くす、水晶の陰陽師が一人。
「エンパイアの戦も、佳境の趣でありましょうか」
 彼こそが、織田信長が魔軍将が一人、陰陽師『阿倍晴明』。平安の大陰陽師ではあるのだが、その風貌は大きく人間離れしている。身体は水晶と化し、大きく水晶の翼も生えている。そしてその両手にはこの時代に似合わないチェーンソー剣が二本。
「此度の私の目的は、ただ『持ち帰る』事のみ」
 阿倍晴明にとってこの戦争の勝敗などどうでもいいことだった。ただの戯れ程度で行われている。山陰地方を水晶屍人で埋め尽そうとしているのも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えようとしているのも、すべては気まぐれ。ただ自身を退屈から解き放ってくれるものを求めている子供ようであった。
「猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……」
 その呟きは鳥取の夜空へと消えていく。陰陽師の悪魔の所業は止むことはない。

●グリモアベース・ブリーディングルーム
「皆、エンパイアウォーの奮戦、お疲れ様じゃのー。また魔軍将の一人の位置が判明したけーのー」
 そう言いながら電脳ウィンドウを開くメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。そのグリモア猟兵が映し出した画面には、いけ好かない表情で城下を見下ろす身体が水晶で出来た青年が映っていた。
「奴の名前は陰陽師『阿倍晴明』。どうやら平安時代の有名な陰陽師らしいが、本人かどうかは不明じゃのー。こ奴が今、山陰地方で猛威を振るっておる水晶屍人の大元になっておる術士じゃのー」
 今は因幡国、鳥取城。かつて苛烈な兵糧攻めの舞台となった場所ということで、怨念渦巻くかの場所ではさぞ屍人を作るには絶好の場所であったであろう。それを涼やかな表情で行う阿倍晴明の大した外道ではあるのだが。
「奴を倒すことで山陰の脅威を取り除くのが目的じゃけど、強敵には変わりないので気を付けてのー」
 戦争の他に狙いがあるようではあるが、メイスンは気にしない。敵として相手にするならば相手の狙いがなんであれ、倒してしまえば問題はないと考えるからだ。だが阿倍晴明は先制攻撃を仕掛けてくる。こちらがユーベルコードを放つ前に、相手のユーベルコードを放つことができるので、何も対策しなければ敗北は必至となる。さらに対策したとしても、勝てるかはわからないという実力者でもある。油断、傲慢は敵であると認識するのが得策だろう。
「じゃけど、猟兵諸君ならきっとこの気に喰わない顔をぶっ飛ばせると信じておるからのー」
 こういう飄々としたタイプをぶん殴ってKOしてやれ、というボクシングスタイルをかましながらメイスンは転移を開始する。水晶の怪物陰陽師が行う外道を、果たして猟兵達は止めることができるのか。それはこの激戦にて決まる。


ライラ.hack
 陰陽師と言えば、そう奴さ。
 どうもこんばんわ、ライラ.hackです。

 このたびはTWシリーズ参加者の方々ならばご存じの、陰陽師『阿倍晴明』との戦いとなります。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●特殊ルール
 陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 以上です。なお上杉謙信と同様に難易度は高いので油断されないようにご注意を。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:草彦

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

片桐・公明
いつもより真剣な表情を見せる公明

「最速で最短で、一直線に。」
手には妖刀、彼女の近くには守るように手形の兵装を携えて突撃

敵の先制攻撃はUCを駆使して回避と防御する
手形の兵装は壊れることを躊躇わず、道を切り開く
完全回避が目標だが致命傷でない限りは受けることもやむ無しとする
回避、防御はしているもののいつもより強引な気がする

接敵したら上段から一太刀
刀で接近戦を仕掛けるついでに言葉を交わす
「安倍晴明。何で父さんの寝物語の登場人物が居るのかしら。」
「貴方と私は初対面よ。けどね『外法を扱い、水晶の翼を持った白髪の屍王』の話は両親から散々聞いているのよ。」
「今度はこの地で何を企むか‼️答えろ『白の王』!!」



●外道水晶は悪魔のごとく嗤う
 鳥取城。怨念渦巻く地に存在する城の天守閣にて、水晶の身体を煌めかした男が一人。禍々しい異形の姿と、退屈そうな憂鬱の表情を浮かべる陰陽師『阿倍晴明』は山陰地方を地獄に染めるべく、水晶屍人を生み出すべく術の行使に邁進していた。
 だがそんな陰陽師を止めるべく、現れた猟兵。いつもより真剣な表情を見せる、彼女の名前は片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)。その理由は、目の前にいる阿倍晴明のせいであったが、今は戦いに集中するのみである。
「ほう、よくぞこの鳥取城においでなさいました。歓迎致しますよ、猟兵」
 退屈な水晶屍人を作る作業が中断されたことに、むしろ諸手を上げて歓迎する阿倍晴明。そんな余裕の彼に対し、公明の手には妖刀「血吸」、彼女の近くには守るように手形の兵装「雲長」「翼徳」を携えて突撃する。
 公明の突撃は戦略も何もなかった。ただ回避と防御を駆使する。そしてユーベルコード「殺人鬼の最適解」を発動させて、敵の挙動から最適な殺戮経路を算出し、行動を読んで回避する。防げないのなら雲長や翼徳を犠牲にするのもやむを得ないと考えていた。
 しかしそのユーベルコードを発動する前に阿倍晴明は先手を打つ。水晶屍人を瞬時に足元から瞬時に召喚させ、一斉に公明へと襲い掛かる。ユーベルコードを発動させる暇も与えない阿倍晴明の速攻であった。
 これに対し、公明は自身の能力を持って水晶屍人を対処する。血吸を振い、水晶を砕き、屍人の身体を引き裂く。死角から攻め込んでくる水晶屍人には雲長や翼徳の両腕をもって殴撃や防御で凌ぐ。だが手数は圧倒的に水晶屍人が多い。手に持った武器や水晶によって増幅された膂力によって、公明の身体に傷が刻まれる。そして手形の兵装の一騎、翼徳が水晶屍人の攻撃に耐えきれずに壊れる音が聞こえる。
 だが凌ぎ切った甲斐があり、ついに能力「殺人鬼の最適解」を発動させて、公明の動きが変わる。水晶屍人の行動を先読みして、まるで移動する先に置いてきたように斬撃を繰り出して、敵を蹴散らす。そして阿倍晴明への道を切り開き、一足を持って飛翔する。そして渾身の力を持って雲長を叩きつける。それを阿倍晴明は水晶の翼で防ごうとするが、衝突の瞬間、その水晶が砕かれる。だがその破片には同じく崩壊した雲長も含まれていたが。
「ほう、私の水晶翼を叩き割りますか。やりますねぇ」
 素直に賞賛を送る阿倍晴明に迫る公明の血吸の一撃。上段から放たれる一閃を阿倍晴明はチェーンソー剣で受け止める。あくまで余裕は崩さない阿倍晴明に対して、公明は口を開く。
「安倍晴明。何で父さんの寝物語の登場人物が居るのかしら」
 言葉を交わすとは思っていなかった阿倍晴明は刃を受けながら、少し面白いと思いながら問いかけに応える。
「おや、どこかでお会いしましたか?いやいや、物語というと創作物ですか?」
「貴方と私は初対面よ。けどね『外法を扱い、水晶の翼を持った白髪の屍王』の話は両親から散々聞いているのよ」
 かつて両親から聞いた物語。遥か彼方の世界の激闘の歴史。そこに出てきた強大なる敵。それにそっくりな人物がそこにはいた。公明はそれだけで問わずにはいられなかった。
「今度はこの地で何を企むか!答えろ『白の王』!」
 公明の咆哮にも似た問いかけに、阿倍晴明は表情が消え失せる。だがすぐに意地が悪い、そして邪悪な笑みを浮かべて公明に視線を向ける。まるで、面白い玩具を見つけた子供のように、楽しそうにしながら。
「どうやら私と似た方をご存じのようだ。では陰陽師『阿倍晴明』が代わりにお答えしましょう」
 そう言って公明の血吸を弾き飛ばし、阿倍晴明のチェーンソー剣が唸る。それは水晶の身体によって増幅されたものなのか、とてもその細腕から繰り出されたとは思えない、速く重い連撃であった。ギザギザの刃に切り刻まれ、公明の身体がぐらつく。
「カッ……ハッ……!」
「私の退屈を晴らせない相手に、目的を告げるとでも?」
 チェーンソー剣によって切り刻まれた公明は苦痛の声を上げる。そして躱した水晶屍人達が殺到してくる。こんな時に、と体勢を整える前に阿倍晴明の手が公明の頭を掴む。振り解こうとするが、公明の負傷による力の低下と、阿倍晴明の膂力によりそれは叶わない。阿倍晴明は薄ら嗤いを浮かべ、こう告げる。
「あなたがもっと興味深くなった時に、もう少し語ってあげますよ。それまで、御機嫌よう」
 そうして掴んだ公明の身体を力任せに、天守閣から外に放り投げる。まだサイキックの力が残っている故に、地上と激突する前に態勢は整えられる。だが敵はあまりにも強敵すぎた。そのことに公明は歯噛みしながらも、砕いた水晶の感触を噛みしめ、さらなる成長を誓うのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

シーザー・ゴールドマン
退屈かね? まあ、君達はオブリビオン。既に終わった存在だ。
何をしようとその感覚は消えないだろうね。

先制対策
オーラセイバーを片手に、魔力で質量を持たせた分身(残像)を展開しつつ間合いを詰める。
チェーンソー剣の攻撃を直感(第六感×見切り)で回避あるいは残像で受けてUC発動までの時間稼ぐ。
回避しきれない一撃は受ける瞬間を見切ってオーラセイバーを手放し、オド(念動力)で固定。
呪詛籠めの一撃をオーラセイバーをデコイとして受ける。

この段階で敵の先制UCは消化していると考えますので
次の瞬間、脚に『バベルの消失』の魔力を纏わせて渾身の蹴りをぶち込みます。
その後は再びオーラセイバーを具現化して戦闘。



●外道水晶は退屈を持て余す
「いやいや、中々に面白い。少しは退屈が紛れるかもしれませんね」
 破壊された水晶の翼を見ながら阿倍晴明は薄く笑う。思えば完璧なる存在となった今、このように心が動くことはなかったかもしれない。それほど退屈していた、とも言えるのだろうが、その日常を紛らわせるためにサムライエンパイアまで赴き、魔軍将なる役割を果たしているのだ。
 もちろん目的を忘れたわけではないが、阿倍晴明とて楽しむ権利はあるだろう。そんな暗い欲望を抱いている時、赤のスーツに身を包んだダンピール、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は現れる。そして一言、問いかける。
「退屈かね?」
 その言葉は阿倍晴明の現状を一言で表していた。ああ、退屈だとも。不死の肉体、次世代の種も残せ、さらに有り余る力もある。これを退屈と呼ばずに何と表現できるか。
「ええ、とても。貴方が晴らしてくれるのですか?」
「それは難しいだろう。君達はオブリビオン。既に終わった存在だ。何をしようとその感覚は消えないだろうね」
 阿倍晴明の表情が少し変わる。シーザーは皮肉とも言える言葉で阿倍晴明を表現する。まるで存在そのものが退屈するように造られていると言わんばかりの言葉に。
 確かにしっくりくる答えであったが、阿倍晴明はすぐに意識を戻す。シーザーはすでに戦闘態勢に入っており、間合いを詰めようと動いている。その赤き公爵にとって、言葉は無粋である。故に全力を持って仕掛けるのみ。
 言葉を持って惑わし隙を伺うかと思えば、行動を持って自分を粉砕しようとする。その態度に興味を得た阿倍晴明は直にその身体を刻まんと二振りのチェーンソー剣を起動させる。神を切り刻む自身のユーベルコード「双神殺」。阿倍晴明の身体能力の高さからか、先に仕掛けたはずのシーザーが攻撃する前に仕掛けられる。
 これに対しシーザーは片手にオーラセイバーを発現させ、さらに自身の魔力を持って質量を持たせた分身体を複製し展開。それによって、阿倍晴明のチェーンソー剣に挑む。
 初撃さえ当たらなければ強烈な攻撃とはならない。そうはわかっていても、阿倍晴明が繰り出す一撃は超常的な膂力によって生み出される暴力だ。猛然としたチェーンソーの刃をシーザーはギリギリのところで躱す。さらに襲い掛かるもう一方の刃はすでに分身体を切り刻んでいた。
「そちらが本物でしたか。次は逃がしませんよ」
 分身体を刻んで消滅させたことで、本物のシーザーを見極めた阿倍晴明。次こそはその身体を切り刻むと言わんばかりに唸るチェーンソー剣を振り下ろす。
「ああ、逃げる気などない」
 そしてオーラセイバーでチェーンソー剣を受け止める。そして衝突の瞬間、シーザーはオーラセイバーを離し、自身のオドの念動力にて空間に固定する。そして追撃に呪詛の籠ったチェーンソー剣はオーラセイバーを粉々に撃ち砕くのみで、シーザーは無傷で何とか凌ぐ。
「では消えたまえ」
 ようやく得た好機。シーザーはすかさず能力「バベルの消失(デウス・イーラ)」を脚に発動させる。魔力によって強化されたその脚から繰り出される蹴りは、まさしく轟撃。超高速かつ大威力の一撃を阿倍晴明の腹部にぶち込む。
 さすがの阿倍晴明もこれには苦痛に顔が歪む。水晶がひび割れる音も聞こえる。だが決して目は死んでおらず、シーザーを睥睨し、狙いを定める。その精神にシーザーは驚嘆しつつも、オーラセイバーは再び発動させてチェーンソー剣と切り結ぶ。
 そして追撃の呪詛のチェーンソー剣を食らって吹き飛ばされるシーザー。だが致命傷に至らず、身体はまだまだ動く。ならばここは深追いせずに冷静に戦果を確定すべきと判断する。熱くなりすぎず、常に冷静なシーザーらしい判断だった。
「私に追撃するチャンスでしたしょうに……ですが、いい判断ですね。それにしても久々に痛みを感じましたか」
 腹部に喰らったシーザーの一撃は確実に阿倍晴明の身体にダメージを与えていた。だがその痛みは退屈は程遠いもの。ならばむしろ愛おしくも感じるというもの。阿倍晴明は撤退するシーザーに感謝しつつも、これから来る猟兵達に願わずにはいられなかった。
「フフッ、もっと私と楽しませてくださいね」

成功 🔵​🔵​🔴​

ナミル・タグイール
どうせ作るなら水晶なゾンビより金ぴかなゾンビつくれにゃー!(猟兵とやらの怒り)
キラキラ水晶も綺麗だけど金ぴか黄金のが素敵だってわからせてやるマスにゃ。
・金ぴかアピール兼防具として呪い金ぴかな鎖を体に巻いていく

作戦はパワー勝負にゃ!
【野生の勘】で攻撃よんで
【怪力】【呪詛】でパワーアップした金ぴか斧で迎え撃つにゃー!
こっちは最初から呪詛籠めるにゃ。最強にゃ!
呪詛籠もってない最初のチェーンソーなんて破壊してやるにゃー!
呪詛付きは流石に強いにゃやばいにゃ…がんばって耐えるにゃ。
耐えながらUC発動して斧ぱわあっぷにゃ!
輝く金ぴか斧にゃ!負けるはずないにゃ最強にゃー!
【捨て身の一撃】ざっくりしにいくにゃ!



●外道水晶は煌めく黄金に微笑む
 猟兵の実力に徐々に興味が湧いてきた阿倍晴明。だがまだまだ退屈が晴れたとはまでは言い難い。だがここで水晶屍人を延々と造り続けるよりかはマシというものであろうということだ。
「どうせ作るなら水晶なゾンビより金ぴかなゾンビつくれにゃー!」
 そんな静かに笑みを浮かべる阿倍晴明の空間に、猟兵の怒りが炸裂する。その声の主の名前はナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)。黄金に事欠かない猫科キマイラではあるが、阿倍晴明はしっかりと見えていた。ナミルが抱える多くの呪いがあることを。
「ふむ、黄金ですか。残念ながら私は黄金の輝きより透き通る水晶の方が好みなものでして」
「にゃにー!キラキラ水晶も綺麗だけど金ぴか黄金のが素敵だってわからせてやるマスにゃ!」
 そうやって金ぴかアピールをするために装飾の鎖を身体に巻いていく。それを苦笑して見つめる阿倍晴明ではあるが、これはナミルの作戦でもあった。これは防具でもある呪いの鎖。一種の防御策でもあるのだ。そして挑むはシンプルなパワー勝負でもある。
「勝負にゃ!」
 そう言ってナミルは阿倍晴明に疾駆する。単純で原始的な突撃に苦笑しながらもチェーンソー剣を繰り出す。放つは神すらも呪殺する双撃である。
「呪詛籠もってない最初のチェーンソーなんて破壊してやるにゃー!」
 最初のチェーンソー剣が衝突した時、ナミルの黄金の斧はその身に宿る黄金から発せられる呪詛によって大きく威力が上昇していた。それを持前の勘で軌道を読み、うまく刃に合わせてチェーンソー剣を吹き飛ばす。腕ごと持っていかれる衝撃に少々驚いた表情を見せた阿倍晴明ではあるが、まだ片方の呪詛が籠った強烈な一撃がナミルに襲い掛かる。
 その一撃を受ければまずい。そう野生の勘が告げても阿倍晴明のチェーンソー剣を躱せるはずはない。覚悟を決めて受けるナミル。身に着ける黄金から発する呪詛を纏うナミルの斧を、鳥取城にこべりつく怨念から発せられる呪詛を乗せたチェーンソー剣の一撃。さすがに渇望と絶望渦巻く怨念の土地からのバックアップを受けているだけあって、ナミルの呪詛よりもランクは上であった。力は拮抗しても、呪詛の差で押し込まれ、肉に回転するチェーンソーの刃が食い込む。
 だが重傷でなければ反撃に映ることも可能。それのみを狙っていたナミルは能力「破滅の黄金斧(カタストロフ)」を発動させる。自身の身体や心が呪いの獣に浸食されていくが、その代償として黄金の大斧が破滅の力を宿し、呪いによって鈍い輝きを発する。
「輝く金ぴか斧にゃ!負けるはずないにゃ最強にゃー!」
 そして阿倍晴明の呪詛に塗れたチェーンソー剣を押し返し、ついに弾き飛ばす。だが冷静に阿倍晴明は片方のチェーンソー剣を繰り出す。そこにはさらなる呪詛を巻き込んだ刃がある。だがナミルは怯まない。自身の身など顧みない捨て身の一撃こそ、彼女の本領、獣の本領でもあるのだ。
 二つの刃はそれぞれの肉体を削り取る。阿倍晴明のチェーンソー剣はナミルの肩肉を削ぎ、ナミルの黄金斧は阿倍晴明の肋骨部分の水晶を砕く。まさしく痛み分けとも言える結果であった。阿倍晴明としては先の戦いで痛んでいた身体を狙われたか、という怪訝もあったが、それはナミルの計算ではなく野生の勘でもあった。
 そんな阿倍晴明を尻目にナミルは一撃を食らわせた後、突撃の勢いのまま、天守閣から逃げていた。一撃食らわせたのなら僥倖、後は他の者に任せるに限る。
「あっぶなかったにゃー!一瞬、あの世が見えたにゃー!でもざっくりしてやったにゃー!」
 そんな黒き呪いの獣は怨念渦巻く鳥取城を疾駆する。新たに鳥取城の怨念も取り込んだかもしれないが、かのナミルはそれに気づく素振りはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リューイン・ランサード
どう見ても凄く強いですね
逃げ帰りたい所ですが・・
水晶屍人を初めとして、暇潰しで全てを台無しにするあの人は許せません!

フローティング・ビームシールドを前面に浮遊、ビーム最大展開で【盾受け】
呪詛対策に左手の霊符と護符で【破魔】の力をビームシールドに籠める
【オーラ防御】全開の上、右手にエーテルソードを突き用に構える

と、可能な範囲で一度受けて反撃する体勢を構築

晴明が双神殺を使ってきたら、【第六感、見切り】でタイミングを見極め、翼を広げて【空中戦、ジャンプ】で全て捨てつつ飛び上がって初撃を躱す
その勢いで急降下して、UC発動&風の属性攻撃!

「これが僕の命を懸けた一撃です!」と晴明の顔面を思いっ切りぶん殴る



●外道水晶は義憤に首を傾げる
 身体が一部が崩れ落ちたとしても阿倍晴明に動揺はない。自身が不死の存在であることはすでに知っているからだ。ならば恐怖などない。だが痛みや戦いの刺激は新鮮である。それらに暗く仄かな喜びのようなものを感じている最中に次の猟兵が足を踏み入れる。
「どう見ても凄く強いですね。逃げ帰りたい所ですが……」
 そう言いながらも覚悟の瞳を宿しているのは人派ドラゴニアン、リューイン・ランサード(今はまだ何者でもない・f13950)である。その瞳に宿るのは何の感情か、少しだけ阿倍晴明は伺う素振りを見せる。
「今なら別に逃げても構いませんよ?私も少し機嫌がよくなってきたものですから」
 だがそんな余裕の阿倍晴明から逃げる素振りなどないリューイン。彼には戦いへの恐怖はある。だがそれでも逃げてはいけないことは心得ていた。
「水晶屍人を初めとして、暇潰しで全てを台無しにするあなたは許せません!」
 そう言いながらリューインはフローティング・ビームシールドを前面に浮遊させ、阿倍晴明との距離を猛然と詰める。もちろんチェーンソー剣を受ける為にビーム最大展開にしての防御対策である。
「そうですか、つまらない義憤に死ぬのであればそれも結構」
 そんなリューインに対して、阿倍晴明が仕掛けるはチェーンソー剣の双撃。神をも殺す回転剣の一撃、そして呪詛の一撃である。最初の一撃をビームシールドで受けきるリューイン。だがそれは前段階であり、次こそは本番である。鳥取城の怨念の呪詛を込めた回転刃がリューイン目掛けて飛んでくる。
 そんな極大の呪詛に対し、リューインは左手に用意してあった霊符と護符をビームシールドに貼り付け、破魔の力を高める。そうして衝突する二つの力。だが鳥取城の怨念はリューインのビームシールドを粉々に粉砕し、その身に迫る。だが右手に用意してあったエーテルソードでそれを受けきるリューイン。それでも止まらず押し込まれるが、その刃はさらに張り巡らされていた防御オーラを削り取ってようやく止まる。
 二重三重の防御策に感心する阿倍晴明だったが、一撃で殺せなければもう一撃で葬るのみ。そう思案し、空いた手のチェーンソー剣を繰り出す。だが二度食らえば後がないことはリューイン自身が重々承知していた。さきほどの攻撃で見極めたチェーンソー剣のタイミング。その瞬間、リューインは翼を広げ空中へと飛翔することによって回転する刃から逃れる。
 そして飛び上ったリューインを阿倍晴明が見上げた瞬間には、すでにリューインは急降下を始めていた。握り締めた拳には風のエレメントを宿すと共に、能力「震龍波」を発動。風と共に超振動した拳を阿倍晴明に叩き込まんとする。
「これが僕の命を懸けた一撃です!」
 リューインの渾身の、超高速・高威力の拳撃が阿倍晴明の頬に突き刺さる。脳を揺らす、そして頬骨を砕く音が聞こえる強烈な一撃が炸裂する。阿倍晴明の身体がぐらつく共に、その膝が地につく。リューインは確かなる手ごたえを感じる。だがそんな態勢にも関わらず、チェーンソー剣を繰り出す阿倍晴明。さすがのリューインもこれには驚き、翼を広げて天守閣外へと飛翔する。
「やり……ますね。正義……とやらも……侮れ……ませんね」
 頬の骨が砕かれ、顎も少々外れたようなのか、阿倍晴明は多少喋りにくそうである。だがその表情は楽しさに歪んでいた。その苦痛すらも退屈を紛らわせる要因として楽しむ姿に、恐怖を感じたリューインは深追いはせずに離脱をする。自分にできる精一杯はすでに行えた。ならば次の猟兵達に阿倍晴明を任せようと思ったのだ。
 だがしかし、その頼りなくとも正義の炎に燃える少年の一撃、確実に阿倍晴明の生命の水晶を削り取り、ヒビを入れることに成功したのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
では新鮮な驚異を提供しよう

避け得ぬ先制含む向けられる攻撃は纏う原理――顕理輝光『天光』にて確実に捉え見切り、『無現』『虚影』にて躱し、往なす

天楼で捕獲
本来戦域全てを覆う迷宮を『再帰』によって限定空間内で循環
目標及びそれを発生源とする攻撃のみを捕らえる球形の迷宮として行使
迷宮の難度と強度、及び捕獲対象の自壊速度を増強する

出口は自身に設定
原理を正しく読み解き解析すれば辿り着けよう

必然、自身は近距離で対峙する
攻撃自体も自壊させつつ、解法の異なる迷宮を多重展開し攻防双方を強化
必要な魔力は“外”から『超克』にて汲み上げ供給

堪能してくれ。その余裕があるかは知らんが



●外道水晶は迷宮に大いに驚嘆する
 外れた顎をハメ直し、水晶に汚染された手にて顎をさする阿倍晴明。口内には鉄の味が充満していたが、悪くない味であると彼は感じていた。そしてその味を堪能している間に、猟兵は姿を現す
「退屈か。では新鮮な驚異を提供しよう」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)。白と黒の色で構成されたサイキッカーの彼は何の表情を宿すまでもなく、阿倍晴明を見据えていた。その身体の周辺はありえない光が充満している。
「ええ、是非とも。私を驚かせるものであればよいのですが」
 そうして阿倍晴明が放つのは五芒業蝕符。当たっても地獄、避けても地獄のセーマン印の五芒符がアルトリウスに迫る。それを自身が纏う光の原理――顕理輝光『天光』にて確実に捉え見切り、また同じく纏う光である『無現』『虚影』にてまるで避けるように躱していく。だが地面に貼り付けられた瞬間、地面は裂け、鳥取城の業(カルマ)の怨霊が溢れ出す。その怨念こそ、阿倍晴明の能力を高めることになる。
 さらに怨念に溢れ出させようと五芒業蝕符を放つ阿倍晴明。だがこれ以上の強化はアルトリウスでも手に余る存在となる。手をかざし、能力「天楼」を発現する。
「惑え」
 その瞬間、阿倍晴明は鳥取城からアルトリウスの作りだされた迷宮「天楼」の中に転移する。突然の転移に阿倍晴明も驚嘆の声を上げる。そして阿倍晴明の水晶が少しずつではあるが砂のように自壊していく。
「なるほど、捕らえた対象を崩壊させる迷宮ですか」
「堪能してくれ。その余裕があるかは知らんが」
 念の為、五芒業蝕符を貼り付け地形を切り裂くが、迷宮の外に出る様子はない。壁を殴るものの、本来の威力とは程遠い威力となっている。つまりは攻撃自体も抑制されていることに他ならない。中々に興味深い迷宮である、と阿倍晴明は判断する。
「そうですか。では智慧比べと参りましょう」
 徐々に崩壊していく自身の水晶体には目もくれず、阿倍晴明は猛烈なスピードで進んでいく。道中で五芒業蝕符で怨霊で溢れさせさらに自身をパワーアップさせながら迷宮を攻略していく。迷宮であるならば出口はなくてはならない。ならばアルトリウス本人は出口にいるはずであるという根拠を確信していた。
 一方のアルトリウスも攻略していく阿倍晴明を逃さんと「天楼」をさらに構築していく。 原理を正しく読み解き解析すれば辿り着けるようにはしてある。そして攻撃はおろか、身体も自壊させて迷宮で朽ちていくのが「天楼」である。しかし膨大な迷宮、限定的にしたとはいえ、対象能力の縛りを強化した理、防御力を高めた迷宮壁、それらには途方もない魔力を必要とした。全力の魔法によって支え、さらに外から『超克』によって魔力を引っ張ってきても余力のない状態である。
 それでこそ、強敵である阿倍晴明を滅ぼすことができる。阿倍晴明が朽ち果てるのが先か、アルトリウスの「天楼」が破られるのが先か、まさしく持久戦の勝負であった。
 そして、勝負の決着は唐突に訪れる。アルトリウスの目の前に現れた存在、それは水晶翼の3分の1ほど崩壊した阿倍晴明であった。そこには享楽に興じ、それを終えた達成感があった。
「美しい理に支配された迷宮でした。ですが終われば虚しいものですね」
 アルトリウスの誤算があるとすれば、迷宮に捕らえ、阿倍晴明を弱体化したとしても、それでも鳥取城から吸い上げる呪詛の量が想像以上に多かったことに由来する。その怨念こそ、阿倍晴明を強化させる力となる礎であり、自壊しきる前にアルトリウスの迷宮を破ることができたのだ。
「いやいや、楽しかったですよ。楽しい時間をありがとうございました」
 そうして阿倍晴明から放たれた怨念に塗れた水晶の放射に巻き込まれる形でアルトリウスは天守閣外へと放り出される。受けた傷に反芻するものの、阿倍晴明に確実にダメージを与えたこと。それでよしと思いながら無表情でこれから迫りくる地面の衝突の対策を取るアルトリウスであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

月鴉・湊
退屈ならこの場所から去ればいい。
出来ないのなら俺があの世に送ってやるよ。

対策として奴が屍人を召喚してきたと同時に幻の俺を複数体出現させ分身したかのように見せかける。
前のやつが分身してるからな。また同じ手と思ってくれるだろう。

屍人が襲ってきてもそこにいる俺は全員偽物さ。
本物はすでに透明化して奴の隙を伺っている。
どんなに召喚しても相手が見つからなければ攻撃のしようがないだろう?

そして隙をついて俺の暗殺技で奴の首を狙う。
どうやらお前は恨みを買い過ぎたみたいだぞ。
そこにいる屍人達も俺の刀を通じて恨みを晴らしてくれと言っている。
恨むなら、俺を恨みな。



●外道水晶は暗がりの刃に微睡む
 さきほどの迷宮で崩壊が進む水晶翼を整え、阿倍晴明は次の猟兵を待ち望んでいた。次はどんな手段で自身の生命へと迫るのだろう、という心持ちを持ってして。それはまるで童心のようでもあった。
 そしてその男は来たる。月鴉・湊(染物屋の「カラス」・f03686)。「染物屋のカラス」と呼ばれる裏では名のある咎人殺しである彼は、人を殺し慣れた雰囲気を纏い、殺気を阿倍晴明へと向ける。
「退屈ならこの場所から去ればいい。出来ないのなら俺があの世に送ってやるよ」
 そう言いつつ、妖刀を抜き構える湊。そんな彼を薄笑いを浮かべた阿倍晴明は、心地よい殺気を放つ猟兵を迎え撃つべくチェーンソー剣を起動させる。
「骸の海からはいつでも這い出てこれる身でありますが、この場からまだ離れるわけにはいきませんので」
 そうして何の予備動作もなく、水晶屍人の大群を召喚する。その生気なき水晶に侵された死人は、湊の命を奪わんと殺到する。それに対し、湊は初撃は無数の攻撃を受けきり対応。それによって多少の手傷を負うも、何とか凌ぎ切る。
「こいつは不利だね。それじゃ、やろうか」
 そして湊が発現させたのは自らの分身体である。無数に出現した分身を見て阿倍晴明は表情を崩さない。その目はしかとその分身体の本質を捉えていた。さきほどの質量のある分身体とは違い、今回のは幻影にすぎないものであると。
「なるほど、要は全部潰せばよいのでしょう?」
 そして自身は分身には近寄らず、水晶屍人に処理させるように指示を出す。そして水晶屍人達は様々な攻撃手段で湊の分身を消し去っていく。一つ、二つと減っていく分身。そして最後の一人が残り、その首元に水晶屍人の牙が突き刺さる。
 だがそれはまたも捉えることができない幻であった。消え去った後には湊は完全に姿を消していた。これには阿倍晴明も目を見開く。これは湊の能力「咎に儚い幻想を映させよ」であり、幻の自分を作りだすと同時に、自身は透明化させるのだ。つまり本体の湊はというと―――
「残念だったな。それは俺だが俺ではない。お前自身の罪が見させたのだ」
 そして分身体を水晶屍人が消し去った時には透明化した湊は阿倍晴明の背後に回り込んでいた。そして阿倍晴明がチェーンソー剣を振る前にその手の妖刀「影楔」の刃は、喉へと突き刺さる。血が喉を駆け巡り、口内へと溢れてくる感覚に、阿倍晴明はせき込む。
「ゴホッ……!」
「どうやらお前は恨みを買い過ぎたみたいだぞ。そこにいる屍人達も俺の刀を通じて恨みを晴らしてくれと言っている」
 そして突き刺した首の刃を横一文字で薙ぎ払う。水晶体が砕け散り、文字通り首は掻っ切られた。夥しい血が舞い、阿倍晴明の命の感触を湊は確信する。
「恨むなら、俺を恨みな」
「いいえ、恨むなど。我が退屈を晴らしてくれる、愛しき刃ですよ」
 だが首を半分掻っ切っても阿倍晴明の瞳は死んでいなかった。水晶化された肉体は例え首を半分失おうと生存を可能としていたのだ。そして瞬時にチェーンソー剣を繰り出し、湊の身体を引き裂く。
 残り半分の首も斬り取ってやろうと思ったが、背後が迫る水晶屍人の大群に舌打ちし、これ以上は無理と判断し、阿倍晴明の間合いから一飛びし、距離を取る。そんな首を斬られた相手に対して、阿倍晴明は微笑みながら語る。
「おや、退きますか?あと一歩ですよ」
「……ここまでやられてはな。首を掻っ切って平然としている奴相手にはまだ準備が足りんよ」
 もはや水晶屍人に守られ、阿倍晴明の間合いに入るにも至難の技。それにこれからの撤退にもかなり傷を負うことになるだろう。その計算と覚悟から湊は力ある内に血路を確保しようと疾駆する。
 その計算はまさしく絶妙であった。咎人殺しの裏家業の直感が彼を生還へと導いた。阿倍晴明の命まで今一歩足りなかったが、無数の傷を負いながらも、湊はそこまで阿倍晴明を追い詰めたのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

月夜・玲
やあ晴明
相変わらず退屈そうな顔をしているね
それでも顔だけは良いんだから、憎らしいやら羨ましいやら…
ともかく、そろそろ退場願いたいんだけど…どうかな?

●戦闘
どれだけ大量の屍人を召喚しようとも、すし詰め状態じゃあ動きは取れない
つまり人が動ける程度の隙間はある筈
それさえあれば十分さ、私は【雷鳴・解放】を発動
雷の疑似UDCを身に宿し、『第六感』で敵の隙を察知しながら雷の如く高速で屍人の間を進んで行くよ
どうしても通り抜けられない場合のみ、『なぎ払い』にして道を作る
最短ルートで晴明までの道を進んであげる

晴明まで辿り付けば、雷の力を最大限にチャージした一撃をお見舞いしてあげるんだから!

●アドリブ・共闘等歓迎


クロエ・ウィンタース
貴様の情動なぞどうでも良い
オブリビオンは全て斬る
貴様も此処で骸の海に還るがいい

【SPD】アレンジ、共闘歓迎
>行動
立ちふさがるものは全て斬る
まずは屍人からだ
出し惜しみはしない。UC【黒】を使用
妖気を迸らせ超高速度で屍人の群れに飛び込む
「黒」で【フェイント】を織り交ぜた【2回攻撃】
足を狙うと見せて首
首を狙うと見せて肩の晶石
晶石を狙うと見せて背後の敵を次々と斬って捨てる
合体する個体は優先的に潰す
敵の攻撃は【見切り】、【カウンター】を当てる

片付けたら晴明だ
UC【黒】を維持したまま高速度で接敵
チェーンソーの攻撃は【見切り】
妖刀の【2回攻撃】を【フェイント】とし
土壇場で袖口から「藍凪」を抜き【2回攻撃】


アノルルイ・ブラエニオン
ハーッハッハ!
セイメイ!
good!

悪いオンミョージは灼滅だ!

水晶屍人とやらはエルフよりも早いのか!?
【ダッシュ】【ジャンプ】を併用して逃げる!

十分に距離を開けたらセイメイを視界に納められる位置に移動するぞ

セイメイ!
エルフの矢は視界に納められるものは全て射抜けるんだ!

サムエン風に行くぞ。ナムハチマンダイボサツ、別してはわが国の神明、ニッコー=ゴンゲン、ウツノ・ミヤ、ナス・ノ・ユゼン=ダイミョージン、願わくは、セイメイ射させて給ばせ給え。これを射損ずるものならば、ハラキリ=セップク上等、Yo。この矢外させ給ふな!
千里眼射ち!



●外道水晶は雷閃雨にて愉悦する
 首に負った手傷を止血しながら安倍晴明は現状を確認する。水晶翼は一部が叩き折られ、半分近くが崩壊。胸部には大きな損傷と、肋骨付近は抉り取られている。さらに頬骨は折れ頭蓋水晶にも損傷が見られ、首は半分ほど斬り取られている。猟兵達に付けられた傷は、決して軽くはない。だがまだまだ戦闘能力は健在であり、彼の退屈は完全に晴れ切っていない。
 そんな負傷の安倍晴明の前に現れたのはスペースノイドのメカニック、月夜・玲(頂の探究者・f01605)と、銀髪碧眼の人狼剣士、クロエ・ウィンタース(刃狼・f15418)、エルフの吟遊詩人射手、アノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)である。三人の猟兵は傷だらけになりながらも怨念を弄ばんと佇む安倍晴明に対し、油断はしない。
「やあ晴明。相変わらず退屈そうな顔をしているね」
 そう言い放ち、呆れた顔をしているのは玲だ。それに安倍晴明は興味深そうな反応を返す。
「おや、どこかでお会いしましたか?それとも、私ではない私とお会いしましたか?」
 そう、すでに玲は何度か別の安倍晴明と戦っている。別の戦場の話ではあるが、ある程度察しがつく時点で只者ではないと、警戒心も強くなる。
「……顔だけは良いんだから、憎らしいやら羨ましいやら。ともかく、そろそろ退場願いたいんだけど……どうかな?」
「それは貴方次第。少なくとも、もう少しで私は討てますよ?」
 真剣な玲に対し、未だ飄々とした態度を崩さない安倍晴明。もしかしたら、最後の瞬間までこんなふうではないかと邪推してしまうほどであった。
「貴様の情動なぞどうでも良い。オブリビオンは全て斬る。貴様も此処で骸の海に還るがいい」
「ハーッハッハ!セイメイ!good!悪いオンミョージは灼滅だ!」
 言葉を交わすなど無意味。そう言わんばかりにクロエは殺気を迸らせ、愛刀「黒」に手を掛ける。すでに臨戦態勢でいつでも安倍晴明に斬りかからんとする剣気を纏っている。そしてそれとは正反対に陽気な口調で殺意を飛ばしてくるのがアノルルイだ。二人のそれぞれの臨戦態勢、奏でる対の殺気を心地よく感じ、安倍晴明は微笑む。
「ええ、そうしましょう。私は還らず、貴方達が骸となる可能性もありますが、ね」
 そうして合図もなく安倍晴明は大量の水晶屍人を召喚する。瞬時に生み出された水晶の怪物達はノータイムで玲とクロエ、アノルルイに襲い掛かる。
 まず玲は大量の屍人を召喚しようとも、すし詰め状態ではないと判断し、人が動ける程度の隙間を見定める。そしてそこに活路を見出し、縫うように攻撃を回避するように挑む。対し、クロエの対処はシンプルだ。攻撃してくる水晶屍人を片っ端から斬り伏せる。そしてアノルルイは水晶屍人の身体を台座にしてうまく空中ジャンプをして初撃を躱そうする。
 すると三人がうまく連携するように機能する。まずクロエが斬撃で水晶屍人の手や足を斬り伏せる。もちろん手数は足りないが、そこは空中に飛翔したアノルルイの番である。空中から弓による射撃を敢行し、クロエの死角を埋める。そして間を縫って移動する玲はすれ違い様に水晶屍人を攻撃し、自ずと連携した形が生まれていく。
 そしてうまく攻撃をいなし、次は猟兵達の番である。まず先制を仕掛けるはアノルルイだ。十分に距離を取り、安倍晴明を視界に納められる位置に移動する。そして弓を構え、準備は完了する。
「セイメイ!エルフの矢は視界に納められるものは全て射抜けるんだ!」
 そして放たれるは無数の矢。アノルルイの千里眼射ちだ。これにて水晶屍人をハリネズミにしながら、安倍晴明にも矢が飛んでいく。それを水晶翼で弾き落とす安倍晴明。確実に阿倍晴明は遠距離から攻撃するアノルルイの姿を瞳に捉える。
「雷の疑似UDC解放。我が身よ、稲妻となれ!」
「いくぞ。『黒』」
 だがアノルルイが時間を稼いでいる間に、玲は能力「雷鳴・解放(ライトニング・リリース)」を、クロエは能力「黒」を発動させる。玲は疑似UDCの稲妻の力を纏い、クロエは妖刀の力を解放することで真の姿へと変化。
 そこからは圧巻である。玲は高速移動しながら稲妻を纏った斬撃を繰り出しながら、水晶屍人の隙間を縫いながら敵も薙ぎ払ってギザギザに敵陣を切り裂いていく。一方、クロエは高速移動と共に反応速度の上昇でフェイントも縦横無尽となり、首を狙ったかと思えば水晶体を、足を狙ったかと思えば首を落とし、手を狙ったかと思えば胴を両断する。そうして水晶屍人を高速に屠っていく。
 そして二人が阿倍晴明の前に出たのは、ほぼ同時であった。玲が雷の力を最大限にチャージした一撃を振りかぶり、クロエが妖刀を薙ぎ払いしようと構えている。それに対し、阿倍晴明はチェーンソー剣を振り下ろし、またノータイムで地面から水晶屍人を召喚しようと意識を傾ける。
「サムエン風に行くぞ。ナムハチマンダイボサツ、別してはわが国の神明、ニッコー=ゴンゲン、ウツノ・ミヤ、ナス・ノ・ユゼン=ダイミョージン、願わくは、セイメイ射させて給ばせ給え。これを射損ずるものならば、ハラキリ=セップク上等、Yo。この矢外させ給ふな!」
 そんな陽気な詠唱と共にアノルルイの渾身の矢が三人が衝突しようとする瞬間、射かけられる。神速の千里眼射ちは、玲やクロエの間を抜け、見事、阿倍晴明の額に突き刺さる。水晶頭蓋がひび割れると共に、脳漿にも食い込む矢尻。そしてそれは阿倍晴明の思考を、攻撃を止めるに十分な一打となった。
 無防備を晒す阿倍晴明に玲の渾身の雷の鉄槌が下される。全身を迸る雷撃。水晶を溶かし、砕くような稲妻が全身に駆け巡り、体外に放出されていく。身を焦がした阿倍晴明の身体を次は、クロエの妖刀が襲い掛かる。妖刀の連撃・瞬斬は阿倍晴明の両腕を見事に斬りおとす。そして最後にクロエは阿倍晴明へと飛翔する。首半分残っている部分、それを袖口から短刀「藍凪」を抜き弧を描くように抉り取る。雷で脆くなった水晶体は見事に崩壊。ついに阿倍晴明の首は胴と泣き別れとなり、身体は天守閣の地面へと転がり落ちる。
「……ハハハハ、お見事、ですね。まさか首を落とされる、とは」
 首だけになりながらも愉快に笑う阿倍晴明。その身体はボロボロに崩れ落ちて灰となって消えようとしていた。だが頭だけはただ猟兵達を見つめ、賛辞を送る。
「いい退屈凌ぎ、でした。では、また、お会いしましょう、猟兵……」
 そしてその言葉を発した瞬間、阿倍晴明の頭にひびが入り、崩壊し灰燼となって消失していく。そして阿倍晴明が召喚した水晶屍人も同じく崩壊していき、ただの屍となっていく。ここでようやくアノルルイも弓の構えを解き、玲やクロエも武器を収めていく。
 こうして陰陽師『阿倍晴明』は倒され、山陰地方の惨劇は回避された。残る阿倍晴明の戦力もわずか、大将である織田信長も目前と迫る位置に迫ってきている。猟兵達のサムライエンパイアの戦争も佳境へと入ろうとしていた。
 だが阿倍晴明が完全に滅んだかは、誰にもわからない。ただ彼の愉悦の表情が、猟兵達には少なからず不安に感じるものがあったかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月19日


挿絵イラスト