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猫と砂の国の王

#UDCアース

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#UDCアース


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 窓の外から聴こえる波の音と、薄布を通して降り注ぐ穏やかな日差し。
 玉座と言うには質素な木の椅子に座った『王』が、椅子の下へ手を伸ばすと、

 にゃあん。

 手の先に、黒白のぶち猫が顔をこすりつけてきた。顎の下を軽く撫でてやるとごろごろと喉を鳴らしている。
 椅子の周りにはいつの間にか、何匹もの猫が集まってきていた。
 猫達を見る『王』の目は穏やかで……どこか虚ろで、とても寂しげだった。

●ネコと和解せよ
「南の島で猫とたわむれるシゴトがあるんだケド、どう?」
 キマイラフューチャーじゃなくてUDCアースな。とグリモア猟兵の三寸釘・スズロクは付け足した。

 現代日本は沖縄地方のとある島。海に面した街には家猫、野良猫問わずたくさんの猫が住んでいる。
 毎日、どこを歩いていても猫とすれ違うことができるそんな街、だったのだが、最近顔なじみの猫を見かけないとか、家猫が行方不明になっていたり、代わりに不審な人物が街をうろつくようになっているらしい。
 それにはどうも、不完全な形で顕現したUDC、すなわちオブリビオンが関わっているようだ。

「そのUDCは完全復活のために自ら、島の内外のゴロツキ連中を莫大な報酬金で釣って動かしてるみてーだ。んで連中に探させてるものってのがあって、その島の海岸に打ち上げられてるっつーいくつかのアーティファクト、あと、猫」
 UDCが求めるものが猫とは、猟兵達の中には顔をしかめる者もいたが。
「いやそれが、今回のヤツは猫を生贄にしてるワケじゃねーんだ。生贄目的で捕まってんのは、猫やアーティファクトを持って行ったゴロツキ達の方。猫は運ぶときもすげー大事に扱われてて、マジで可愛がるためだけに集めてるみてーなんだよな……」
 グリモアが視せた光景を思い出して、スズロクは首をかしげる。
 しかしいくら猫達には危険がなくても、いつ人間達を生贄とし完全復活の儀式を実行されるか予断を許さない状況だ。

「すまん、UDC本体の居るアジトの特定まではムリだった。アンタらにはまず街の猫サン達と仲良くなってもらって、ゴロツキを誘き寄せて情報を吐かせる。って事と、連中より先に海岸の砂浜からアーティファクトを見つけてきて、UDC組織に引き渡す事、こいつを頼むぜ」
 この時期日本は真冬だが、沖縄は過ごしやすい気温だ。天気もよく猫と遊ぶには良い日かもしれない。
「呑気なシゴトに聞こえるかもしんねーが、本命のUDCは多分、不完全でも結構強いぜ。気ィつけてくれな」
 猫好きなのに猫アレルギー体質で遊べないスズロクは、電脳のホログラムに黒猫の姿を映し出してちょっと寂しげに言うのであった。


呂色
 あけましてねこですね。よろしくおねがいいたします。
 本シナリオは猫にやさしい感じのシナリオになっております。
 危険な目に遭う猫さんは基本的にいません。
 のんびり楽しんでいただければと思います。
 ※非常に心苦しいのですが、ケットシーさん達は猟兵として同じように扱われますので何卒ご了承ください。

 1:ねことたわむれる。
 2:砂浜で宝探し。
 1章で仲良くなった猫さんが居たらついてきてくれるかもしれません。
 ※1、2章はゴロツキ達と鉢合わせして戦闘なり、吐けッ!吐くんだッ!なり、平和的に手懐けていただくなりしてもオッケーです。
 一般人相手ですので、後処理はUDC組織が大体フォローしてくれますが念のため対応方法にはご注意ください。戦闘の場合猫は逃げます。
 3:『王』との戦闘となります。猫は逃げます。
 基本は真面目ですが、場合によっては1~2章の雰囲気を若干引きずる可能性がある気がします。

 ※示し合わせがなくても、タイミングや内容次第で共同プレイングとして扱わせていただくことが多いです。
 ソロリプレイをご希望の方はお手数ですが、プレイング等に「ソロ」とか「共N」とか、何かその旨を書いておいていただけると助かります。
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第1章 冒険 『にゃんこ救出大作戦』

POW   :    罠や網を持ち、強引に捕獲する。

SPD   :    猫達と遊んで疲れた所を捕獲する。

WIZ   :    猫達を餌や玩具で手懐けて捕獲する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

八上・偲
※アドリブ歓迎

ねこちゃん!ねこちゃんと遊んでいいの?やったー!
すごい、海もきれいー!

ねこちゃん、何が好きかなあ。仲良くなりたいなあ。
落ち葉とか、長めの雑草とかあったら拾って振ってみようかな。
わたしもねこちゃんも、怪我とかしないように気をつけて。
ねこちゃんが嫌がらなかったら、撫でたり抱っこしたりしてみたい!
あっあっ、ヴェールは引っ張らないでー!

(ゴロツキに絡まれたら)
ねこちゃんを連れて行かれそうになったら抵抗して、
ねこちゃんと遊びたいんだったら一緒に遊ぼーって【コミュ力】を滲ませながらお誘いしてみたり。


メリュジーヌ・ヴィーブル
ねこちゃん!ねこちゃん?!ねこちゃんねこちゃんねこちゃん!!
メリュも!メリュもねこちゃんとあそぶー!!

あっ、でも、走って追いかけたりしたら、ねこちゃんこわがっちゃうね?

メリュ知ってる!ねこちゃんは動くものと、おさかなが好きなんだよ!
だから、クロ(ドラゴンランスのドラゴン態です)にしっぽぷんぷんしてもらって、ねこちゃんと遊んだり、近くのお店で買ったおさかなをあげたりするの!だいじょうぶ。メリュ、お買い物できるよ!
「こんにちは!ねこちゃんがすきなおさかなをください!」

あとね、ねこちゃんと仲良くなれたら、なでなでとか、よしよしとか、したいなあ……。一緒におひるねもしたいなあ……。



爽やかな潮風が頬を撫でる。ざざぁ……と寄せては返す波の音、歩道脇の階段を降りればすぐそこにターコイズブルーの海と水平線が一面に。そんなのどかな沖縄の景色が猟兵達を出迎えてくれた。
 その中に度々映り込んでくるのはもちろん、猫、ネコ、ねこ。ここにもそこにも。

「すごい、海きれいー! あっねこちゃんいる!」
「ねこちゃん! ねこちゃん?! ねこちゃんねこちゃんねこちゃん!!」
「ねこちゃん! ねこちゃん達と遊んでいいの? やったー!」
「メリュも! メリュもねこちゃんとあそぶー!!」
 目を輝かせてぴょんぴょこ跳ねている二人は八上・偲(灰かぶり・f00203)とメリュジーヌ・ヴィーブル(機械仕掛けのアムール・ピュール・f05714)。
 さっそく猫達とお近づきになるべくコミュニケーションを試みる。走って追いかけたりすると怖がってしまうかもしれないと、二人は逸る気持ちを抑えてそっと、道端の猫だまりに近づいてしゃがんで。
「ねこちゃん、何が好きかなあ。仲良くなりたいなあ」
 偲は枯れ落ちていたアダンの長い葉っぱを拾って、ぴろぴろと振ってみる。するとそれだけで近くの猫達はむむっ? と顔をあげ、揺れる葉っぱの先を首を動かして追いかけ始めた。特に興味を引いたらしいサバトラ猫が近寄ってきて、ていていと前足で葉っぱをつつく。ついでに、一緒にゆらゆら揺れている偲のヴェールも気になってしまったようでそっちにも前足攻撃が及んだ。
「あっあっ、ヴェールは引っ張らないでー!」
 この島は今はシーズンオフではあるものの、普段は観光客も多く、猫達は人馴れしていて初対面の猟兵達にも物怖じしないようだ。
「よーし、クロも一緒にあそぼ!」
 メリュジーヌはドラゴンランス『大牙槍ジョフロワ』をドラゴン形態にしてお友達作戦だ。クロが尻尾をぷんぷん振れば、さらに猫達は遊びたい欲をかきたてられる。一匹の黒猫がシンクロするようにお尻をふりふりすると、しゅばっとクロの尻尾に飛びついた! 若干ツメを立てられぎゃーと涙目になるクロ。しかし、猫達へのつかみはバッチリのようだ。

「メリュ知ってる! ねこちゃんは動くものと、おさかなが好きなんだよ!」
「おさかな! でもわたし達おさかな持ってない……」
「だいじょうぶ。メリュ、お買い物できるよ!」
 さらに猫達と仲良くなるべく、二人は地元の魚屋へ。猫達もその後ろをついていく。
「こんにちは! ねこちゃんがすきなおさかなをください!」
 メリュジーヌが元気よく挨拶すると、魚屋の主人は可愛らしい二人のお客さんにニコニコ顔で、島の猫達にやるならお代はいいよなんて言いつつまぐろの切り身を分けてくれた。
 おさかなの威力は絶大で、二人はあっという間にたくさんの猫に取り囲まれてしまった。もうなでなでよしよしし放題である。そんなさなか、偲が何者かの視線を感じてふと顔を上げると、二人と猫達をやや遠巻きに見ているややコワモテの男がいることに気がついた。
「……お兄さんもねこちゃんと遊びたいの? 一緒にあそぼー?」
 偲が無垢な瞳で声をかけてみると、男は色々な意味で不利を悟ったのか。ちょっと照れくさそうにしながら首を横に振り、そそくさと退散していったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アル・ディオール
よし、兎に角全力で猫さん達と仲良くなっちゃうよ
…これはお仕事だって事忘れちゃうかも

・【WIZで行動】
(動物と話す・優しさ・コミュ力)

先ずは軽く挨拶してご飯にでも誘ってみようか
怖がらせない様に話す時は同じ目線で

『沢山の種類の猫缶があるんだけど、良かったら如何?

慣れてきたら一緒に遊んじゃお
猫さんは飽き性だからね、猫じゃらしにまたたびに毛糸玉、好きそうなモノ沢山用意しておこう
『さ、次は何して遊ぶ?いくらでも付き合っちゃうよ

捕まえる時は友愛を込めてすりすりしてぎゅーってしちゃう
『へへ、離したくないな~

猫さんはやっぱりかわいいね
…アレ、ホントの目的ってなんだっけ?



おいしいごはんの力で猫達との交流を図る猟兵達はこちらにも。
 姿勢を低くして猫達と同じ目線で、優しく語りかけるのはアル・ディオール(へんてこエルフ・f06347)。
「沢山の種類の猫缶があるんだけど、良かったら如何?」 
 見目麗しい金髪エルフの少年にそんな風に食事に誘われたら、猫でなくてもほいほいされてしまうかもしれない、かはともかく。猫達は彼の言葉にぴくりと耳を立て、猫缶? 猫缶? と興味津々で続々集まってきた。
「喧嘩はダメだよ~、沢山あるからね」
 アルの纏うのんびりマイペースな空気は猫達にとって心地よいものであったようで、リラックスした様子でみんな猫缶を楽しんだようだ。
 お腹が満たされた猫達に、さらにアルは猫達が好きそうなアイテムでもって追撃をしかける。猫じゃらしやまたたびを眼の前で振れば猫達は次々に飛びつき、毛糸玉を転がせば皆揃ってあっちへこっちへ追いかけっこの大騒ぎだ。
「さ、次は何して遊ぶ? いくらでも付き合っちゃうよ」
 すっかり猫の輪の中心となったアルの膝の上は猫達の取り合いで大わらわ状態だったが、それを制した一匹のグレーの毛並みの猫がみゃーんと鳴きながらよじよじと服を登ってきた。アルは思わずぎゅーっと抱きしめて、愛おしげにすりすりと頬を寄せる。
「へへ、離したくないな~。猫さんはやっぱりかわいいね……アレ、ホントの目的ってなんだっけ?」
 ご満悦のアルだが、何か大事な仕事を忘れているような? と思い出しかけたのは一瞬で、その思考はすぐに再び、猫達のもふもふに沈んでゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒久根・ジジ
ねこねこねーこ!ボク猫目のキマイラだから親近感あるんだよね〜。…食べたりはしないよ?ホントだよ?

折角だから猫さんに懐いて貰いたいな〜。《WIZ》行動で、ボクお手製のフードを振る舞おう!サーモンフレークに、ふんわりミルクスフレはいかが?もっちろん、猫さんの食べれない食材はオールナッシング!たっぷり食べてごろにゃんしてくれたら、隙を見て捕獲用のカゴに入れちゃおう!
「ゴメンね、でもキミたちに悪ーい事のカタボウ、担がせたく無いんだ。」ボクの目なら、視線を合わせたらちょっとは安心して貰えるかな?上手く行ったらこの調子でどんどん進めるよ〜。まだまだいるみたいだしねっ。



「ねこねこねーこ! 美味しいごはんだよーッ」
 キマイラの料理人、荒久根・ジジ(ビザールイーター・f05679)も、特製の手作りフードを猫達に振る舞っていた。
 普段はキマイラ達へ向けて怪しげな食材でサイケデリックな、しかし美味なる料理をこしらえている彼女だが。今回用意したのは猫達が問題なく食べられる食材のみで作った、サーモンフレークにミルクスフレ。
 食を至上の喜びとする彼女が猫達のためにひと手間ふた手間も惜しまず丁寧に作った料理の数々は、猫達にとってもいつもと違う贅沢なご馳走だったに違いない。わーっと集まった猫達によって、またたく間にお皿は空になっていく。
「ボク猫目のキマイラだから親近感あるんだよね~。……食べたりはしないよ? ホントだよ?」
 ジジはいたずらっぽく言いつつ、金の瞳の瞳孔を細めて猫達に微笑みかける。猫の目を持ちおいしいごはんをくれる彼女は、猫達には頼もしいリーダー猫、姉御猫的存在に見えたかもしれない。
 お腹いっぱいでごろんごろにゃんと横になり始める猫達を、事前に猟兵達で示し合わせた安全な場所へ集めるべく、ジジは順番によいしょっと抱きかかえて捕獲用のかごの中へ。
「ゴメンね、でもキミたちに悪ーい事のカタボウ、担がせたく無いんだ」
 かごの中に入ったサバトラの子猫は返事をするようににゃあーと鳴いて、眠気に負けたのか欠伸をして丸くなった。この大きな姉御猫(※ジジ)のそばに居られればまたおいしいごはんを貰えるかも……なんて考えていたかもしれない。ジジの捕獲作戦は順調に進んでいったようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

絢辻・幽子
WIZでゆきましょう。

ねこ。それはふわふわであたたかな可愛い生き物……
カミサマが作り上げた至高のもふもふです。

とっても、すごーく楽しみで尻尾がゆれてしまいますね。

猫じゃらしに、ふわふわの毛玉、それと紐
それに、おやつのカリカリです。
ふふ。中にチーズが入ってるんですよ。

同じ目線になるために、寝転がりつつ、猫じゃらしをぱたぱた
私の培った紐さばきが役に立つとき
尻尾もぱたぱたしてしまいますねぇ…

『動物と話す』が一応つかえますが、どうでしょうね?
私は幽子ともうしますにゃん、あなたのお名前はなににゃん?

……にゃんはいらないですかねぇ。

一緒に遊んでくれる子がいたら、もう一押しのカリカリを、



「ねこ。それはふわふわであたたかな可愛い生き物……カミサマが作り上げた至高のもふもふです」
 万年睡眠不足でクマができている目をうっとりと細めて、他の猟兵達と同じく猫目線となるべく身を……しゃがむだけに留まらずもはや自分も寝転がってしまっているのは、絢辻・幽子(幽々・f04449)だ。
 黒ドレスを身に纏い、よく見れば美女の彼女が、南の島の街の片隅で猫達に囲まれ寝そべっている光景は傍から見ればなかなかにセンセーショナルかもしれない。しかしドレスの魔力で人の目からは隠されているお陰もあってか、そんなことは彼女も猫達もお構いなしに至福のごろごろタイムを楽しんでいるようだ。
 猫じゃらしをぱたぱたすると、猫達は狙いを定めぶんぶんと猫パンチを繰り出してくる。そんな様子が微笑ましくて、幽子の灰色しっぽも一緒になってぱたぱた動くと、またそれに翻弄されてしまう猫達。寝転がる幽子の背にも登ったりしている。
 お次は紐の先にふわふわ毛玉を取り付けたおもちゃを動かせば、猫達はくわっと見開いた目で一心不乱に動きを追いかける。私の培った紐さばきが役に立つとき……と巧みな動きで猫達を夢中にしていく幽子だが、もしかしてその培ったというのはヒトの首を吊るための……いや、今は深く考えないでおこう。
 沢山遊んでちょっと疲れたら、幽子が持参したチーズ入りのカリカリを振る舞っておやつ休憩タイム。
「私は幽子ともうしますにゃん、あなたのお名前はなににゃん? ……にゃんはいらないですかねぇ」
 ついつい語尾が猫言葉になってしまいつつ、猫達を撫でながら意思疎通を試みる。幽子のドレスと対照的な真っ白な猫が、にゃおにゃお鳴いてもっと遊んでーとねだってくる。
 ふふ、と顔を綻ばせつつ、ごろごろタイム第二ラウンドに突入する幽子と猫達であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
猫…猫か。あの生き物と触れ合えるのか…。…いや、そうではなく。
その、なんだ。いつ敵が儀式をするかわからんからな。
阻止する為だ。他意はないぞ

猫を見つけたら敵意が無い事を示すように視線を逸らしながら近づこう
いくら異種族といっても『礼儀作法』は大事だからな
近づけたら錬成カミヤドリで本体であるサファイアの指輪を複製し虫の様に動かしたりして興味を引こう
興味がひけたら缶詰を持参した故、おもむろに缶詰を開ける
…いい匂いだろう?怖くないだろう?怖くないと言ってくれ
『言いくるめ』る様、何度でも語り掛けよう

もしも撫でさせて貰えたならば『手をつなぐ』で肉球を…触らせて貰えれば嬉しい
ああ…本当に猫とは愛らしいものだな



(猫……猫か。あの生き物と触れ合えるのか……)
 小さくふわふわで愛らしいあの生き物達と。ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)はこれから起こる出来事に想いを馳せて……いやいや、そうではなく。と浮足立つ気持ちを抑え込む。
(いつ敵が儀式をするかわからんからな。阻止する為だ。……他意はないぞ)
 そんな彼の目の前に、気づけば好奇心旺盛な猫達が既にスタンバっていた。ザッフィーロが着けているストラの飾り紐が揺れているのに興味が湧いたのかもしれない。
 はっ、としてザッフィーロは猫達から視線を逸らす。目線を合わせないことは猫にとっては敵意のない気持ちの現れだということを、しっかりと予習済みである。彼は長身をゆっくりとかがめて猫達に近づいていくと、そっと手を広げ、錬成カミヤドリを使って自身の本体であるサファイアの指輪の複製を十数個ほど作り出した。
 ザッフィーロが念じれば指輪達はぴょんぴょんと、虫のように飛んだり跳ねたりする動きを見せた。陽の光を反射しながら動く指輪は猫達のハートをがっちり掴みくすぐったようで、次々と指輪を追いかけ始める猫達で彼の周囲は大騒ぎ状態となった。
 充分に猫達の興味を引けたとみたザッフィーロは、今度は猫缶を開けて猫達を落ち着かせる。
「……いい匂いだろう? 怖くないだろう? ……怖くないと言ってくれ」
 自身の身体の大きさや、迫力のある表情を上手く崩せないことを心配しているのか、繰り返し念押すように怖くないぞと猫達に告げるザッフィーロ。言葉や表情は不器用でも彼の好意はちゃんと伝わっていたようで、一匹の三毛猫が手袋へ鼻を近づけたり顔をこすりつけたりしてきた。
 彼が恐る恐る三毛猫を撫でてみると、気持ち良さそうにしている。さらに、そっと前足をとってみても……大人しくきょとんとしていた。
 ああ……本当に猫とは愛らしいものだな、と、眉間のシワを解した表情で彼はしばし、ふにふにと柔らかい肉球を堪能するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オクターヴィア・オパーリン
妾んこそが海を統べるに相応しき
オクターヴィア・オパーリィィン!(リィン!リィン!)(エコー)
であるっ!!

ユーデーシーが出てきては折角の海が台無しになるではないか!いかん!
(頭上の生物を指し)……この子は妾んの弟であるぞ!
同類などではない!安全である!

さてさて、まずは【バトルキャラクターズ】でネオンテトラーズ
(妾んの大好きなおさかなのキャラクターである)を
呼び出してな、ネコチャンをじゃらして仲良くなるのだ。
ナハハハー!完璧な作戦ではないか!

仲良くなったところでゴロツキーとかいうのが現れたら
一度身を潜めさせ、油断した隙を取り囲む!
ゆけっお魚ちゃん達!程よくツンツンして擽り、情報を吐かせるのだぁ~!



「妾んこそが海を統べるに相応しき……オクターヴィア・オパーリィィン!」
 リィィン! リィン……! 海岸に響き渡るエコー。
「……であるっ!!」
 高らかに海へと宣言したオクターヴィア・オパーリン(愛しきおさかなちゃん・f07078)。ファイアオパールの髪と純白のドレスが太陽に照らされまばゆい。
「ユーデーシーが出てきては折角の海が台無しになるではないか! いかん! ……ちなみにこの子は妾んの弟であるぞ! 同類などではない! 安全である!」
 オクターヴィアはその頭に乗っかっている生物……真っ白な子ダコを指し、近くにいたフォロー役のUDC組織一般エージェントにぷんぷん力強く説明した。エージェントはやや訝しげにしつつも、「はぁ……」と応えて一応納得したようだ。
 そうした所で早速仕事に取り掛かるオクターヴィア。バトルキャラクターズで大好きなおさかなキャラクターの群れ、ネオンテトラーズを喚び出して海岸の猫達をじゃらしにかかる。
 色鮮やかなネオンテトラーズが宙を泳げば、猫達はすぐに集まりかぶりつきで見始めた。ベシっと猫パンチを食らって危うく消えかけるネオンテトラーズ。
 そこへ、猫を追いかけてきたらしい男が息を切らして走ってきた。この男もまた捕獲用のかごを持っている。
「出たな! ゴロツキーとかいうの!」
 ネオンテトラーズを潜めさせると、猫達を背に男の前に立つオクターヴィア。
「え? どうしたんだいお嬢ちゃん……その猫はオジサンの飼ってる猫だから、ちょっと返し……」
「ウソをつくでなあーい! ゆけっお魚ちゃん達!」
 再び現れたネオンテトラーズが男に殺到し、腰とか腋とかをツンツンし始めた。
「ヒエッ!? 何!? やめて!」
「やめて欲しかったら、おぬしの知っていることを吐くのだぁ~!」
「すすみませんッ、俺はただ、猫とッ……黄金のスカラベってやつを! 探してただけでぇ!」
 情けない声をあげて悶える男と、暴れるネオンテトラーズ、それに飛びかかろうとするキジトラ猫……満足げなオクターヴィアの前でそんな和やかな光景がしばし繰り広げられていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日月・獏ノ進
猫…好きですよ、あの自分勝手なのにたまにガッと来る所とか。
そんな猫をゴロツキやUDCなんてヤバイのに渡せませんね。

まず【勇気】を持って島民に【情報収集】して猫スポットを聞きまわる。
そして猫を見つけたら【礼儀作法】として(小さい)体を(更に)縮めて
怖がらせないように近づき、丁重に保護していく。

もしゴロツキにあったら報酬の小遣い稼ぎの学生の振りをし、
襲ってきたら【見切り】まくって【存在感】を出しつつ
【アサルトウェポン】を取り出して「本物かどうか…試します?」と
脅し…もといオハナシして情報を聞き出す。
勿論撃ちませんよ、猫が怖がるじゃないですか。


スーリア・マクスティス
UDCも倒して、猫と楽しむですかー。これは面白そうです。

ビーストマスターの力を魅せる時が来たのかもしれませんね。
でも私が人狼なので怖がられないかが気になるところでですね。
怖くないですよー。本当ですよー。

猫達と遊んで疲れた所を捕獲する作戦。

獣奏器(オーボエ的な笛)を吹きながら猫を探します。
特に猫の種類に希望はありません。でも可愛いのがー良いですねー。仔猫とかね。
猫を発見し逃げられたらささっと【追跡】。逃がしませんよ。
高いところだって大丈夫ですよ。
強引に捕まえたりはせず優しく捕まえたい。
疲れたようであれば私のしっぽを寝床として提供するのですよ。

どんな猫に出会えるか楽しみ。
共同OK。アドリブ大歓迎。



日月・獏ノ進(陽気な奇策士・f00422)とスーリア・マクスティス(人狼のビーストマスター・f10916)は自らの足を頼りに、猫を探して街中を駆け回っていた。
「この辺りに、猫がよく集まるスポットはありますか?」
 獏ノ進が丁寧な物腰で島民達に尋ねれば、島民達は若いのに作法がなっていて偉いねえ、と言うような感じで快く教えてくれた。普通に歩いていては見つけられなさそうな猫集会場が民家の裏手にあったりして、ゴロツキ達よりも先回りして隠れた猫達を発見できている。
「ビーストマスターの力を魅せる時が来ましたね」
 さらにスーリアがオーボエのような獣奏器をぷおーんと吹いて歩けば、物陰に潜んでいた猫達もにゃにごとか? と顔を出してくる。すかさず獏ノ進が怖がらせないようにと、小柄な身体をさらに縮めて、出てきた猫達を丁重にそっと保護していった。黒白ぶちの手袋猫が、彼の燕尾服の尾を追いかけていつの間にかついてきていたり。

 順調に保護を進めていると、スーリアが人気のない小道の真ん中に一匹のキジトラ猫を発見。
 しかし同時に、道の向こう側から捕獲網を持ってこちらへ向かってくる、アロハシャツグラサンの怪しげな男と目があった。ぴしりと場に緊張が走ったのを察したのか、猫は大きくジャンプして道の脇の塀に飛び乗ると、さらに民家の屋根へと登り走っていく。
「あ! クソッ」
「むむっ、逃がしませんよ!」
 男は悪態をついたが、スーリアは脚力を活かして自分も塀へと飛び乗り、絶妙なバランス感覚でひゅるりらーと楽しげに獣奏器を吹きながらキジトラ猫の元へ。
「怖くないですよー。本当ですよー」
 人狼である自分を怖がらないかと心配なスーリアは、猫の側から寄ってきてくれるまではと辛抱強く、優しく声をかける。始めは身を固くしていたキジトラ猫だったが、笛の音色にも引き寄せられて徐々にスーリアと距離を詰め、ついに足元に擦り寄ってすんすん鼻を動かした。
「おお……すげえな、サーカス団員か何かか?」
「そういうあなたは、『あの方』の依頼で猫を探しているクチですか?」
 呆然とスーリアの様子を見ていた男に、獏ノ進が詰め寄った。
「ああ? お前らみてぇなガキ共にまでバイトさせてんのか、あの銀髪野郎……唯でさえ猫が見当たらなくて困ってんだ。学生には多すぎだろ、コレの報酬は」
 子供はとっとと帰んな、と獏ノ進の肩を突き飛ばそうと手を伸ばす男だったが、獏ノ進はするりとそれを躱し、対UDCアサルトウェポンを静かに抜いて突きつける。
「!? オイ……! オモチャで大人をからかってんじゃねえぞ!」
「本物かどうか……試します?」
 不敵に目を細める獏ノ進から発せられる気迫で、男は漸くただの学生ではないと察する。
「僕達はこの仕事のことは又聞きでして……『あの方』の居る場所、教えていただけますか? ……それと、あなたこそ、この仕事には手を出さない方が身のためですよ」
 淡々と告げる獏ノ進に男は震える両手をあげながら、件のUDCが居ると思しき建物の名前を叫ぶと、捕獲網を放り出して逃げていった。
 屋根の上に座ってその様子を眺めていたスーリアがおお~と小さく拍手する。彼女達はと言えばこの間にすっかり仲良くなっていたようで、もふもふの狼尻尾の上に丸まってまったりと目を閉じているキジトラ猫の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鷺宮・志乃
……化け物がねこさんを可愛がる?
そんなのありえない。ねこさんだってホントは嫌がってるはず。恐いはず
……じゃないと

ねこさんも島の人たちも……私じゃ怖がらせちゃうから。聞き込みやもふもふは無理かも
で、でも!ごろつきさんなら私のこともきっと怖がらないはず。うん

見かけたらお話してみよう

え、えと……はじめましてっ
……ぁ。よ、よかったぁ……わ、私のこと、怖くないですよね!?
うん。うん……!あ、あの…っ……聞きたいことがあるんですけどっ

私を怖がらない相手につい嬉しくなり、無意識に『恐喚』
見たものに【恐怖を与える】青白い火が垣間見えて

えと、ですね。ねこさんをどこに連れていったのか教えてもらえ……あ、あの?



(……化け物がねこさんを可愛がる?)
 鷺宮・志乃(青鷺火・f10858)は、今回の黒幕についてぼんやりと考える。
(そんなのありえない。ねこさんだってホントは嫌がってるはず。恐いはず)
「……じゃないと……」
 ――私は。
 そこで首を振って一旦思考を止め、志乃は為すべき事を思い出す。しかし猫達や島の人達には、怖がられてしまうかもしれない……。
(でも、ごろつきさんなら私のこともきっと怖がらないはず。うん)
 そんな一縷の希望を胸に、志乃が不審な人物とやらを探して暫く歩いていると、どこかから苛立ったような男の声が聞こえてきた。声のする路地へ入ってみると、携帯電話で誰かとやりとりしている、いかにもカタギではなさそうな白スーツの人物がいた。
「猫もブツも見つからねえってのはどういう事だ!? 猫なんか今朝はそこら中にいただろうが!」
『それが、網を用意して行ってみたらもう一匹も見当たらねえんで……』
「知るか、テメーらの探し方が悪いんだろ!」
 男はぎゃあぎゃあと怒鳴った後、電話を切る。咥えていた煙草の灰を落とすと、手元のメモらしきものを見て――、
「あ、あの、はじめましてっ」
「うおッ!? な、なんだテメー、いつからそこにいた!」
「……ぁ。よ、よかったぁ……わ、私のこと、怖くないですよね!?」
「……は? 何で……別に……?」
 多少驚いてはいる様子だが、自分を見ても逃げる素振りなどは見せない男に妙に嬉しそうにする志乃。
「うん。うん……! あ、あの…っ……聞きたいことがあるんですけどっ」
 この人ならお話できる。そう思うと嬉しくなって、昂ぶる感情に呼応するように――青白い火がぼう、と彼女の肩後ろに現れた。
「……え、何、それ……ゆ、ユーレイ?」
「え? えと、ですね。ねこさんをどこに連れていったのか教えてもらえ……」
「ひいぃ!! 来ないでくれ!」
 その青鷺火は、見る者に本能的な、得体の知れない恐怖を呼び起こす。眼の前にいるのはごく無害そうな普通の少女、にも関わらず。男は目眩を起こしたようによろけながら、路地を出ていってしまった。
「あっ、あの、待って……!」
 やっぱり、怖がらせてしまった。しゅんと俯いた志乃が見たのは、男が落としていったらしいメモだ。拾い上げて読んでみると、走り書きのメモと……男達が探していたと思しき「割れたアンク」の形を示した図が描かれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セシル・バーナード
猫はいいね。撫でているだけで心が和む。「誘惑」は猫にも有効かな?
物陰や狭いところを探して、隠れてる猫を見つけ出そう。
見つけたら猫じゃらしと煮干しをみせて、てなづける。
おいでおいでー。美味しいものはこっちだよ。
ごろつきが目を付けやすいように、表通りから見えやすいところで猫と遊ぼう。

おや、無粋なお客さんだ。まずは、後始末がしやすいように、わざと人気のないところへ移動する。
ごろつきはフォックスファイアで牽制して、ひるんでいるうちに「催眠術」でアジトの場所やどんな依頼人かを聞き出す。
猫を怖がらせないように、炎は指を鳴らして一気に消すよ。
必要な情報を吐かせたら、UDC組織に引き渡そう。後はよろしくね。



金髪を軽やかになびかせながら、こちらも路地を行くのはセシル・バーナード(セイレーン・f01207)。置いてある自転車のカゴの中やら、プランターの後ろやら、注意深く探せば音もなく隠れている猫達が見つかった。
「おいでおいでー。美味しいものはこっちだよ」
 猫じゃらしと煮干しで誘うのに加えて、セシルの潤んだ蠱惑的な瞳は猫達も虜にするのだろうか。一匹の白猫が彼に駆け寄ったのを筆頭に、猫達は続々集まってきた。
「猫はいいね。撫でているだけで心が和む……」
 陽の当たる大通りの広い場所に連れ出して、ほのぼのとセシルと猫達が遊んでいると、別の路地から白スーツの男が飛び出してくる。
「はぁ、はぁ……あ、何だよ、居るじゃねえか、猫……」
 セシルと猫達を見て、仲間に電話を掛けようとする男だったが。
「お兄さんも、僕達と遊ぶ?」
 猫達にとって無粋な客と悟ったセシルは、そう言って男ににっこりと微笑んでから再び路地へと入っていく。もちろん懐いた猫達も一緒にぞろぞろと。それを見た男は、せっかく見つけた猫が逃げる、と慌てて彼らを追いかけた。
 男が路地に入ってくると、待ち構えていたセシルはフォックスファイアを放つ。
「ひっ!? また火の玉!?? 熱ぃっ!? ごめんなさい!」
 何故か想定以上に怖がってひるんでくれた男を見て、セシルはパチンと指を鳴らし狐火を消した。その様子を猫達は思い思いの場所に身を隠してじっ……と見ている。
「お兄さん達の『依頼人』のこと……僕に教えてほしいな」
 セシルもまた、後ろ髪をさらりとかきあげながら男のことをじっと見つめる。男は彼の瞳から目が離せなくなり、次第に思考が混濁して、彼の求める情報を口が勝手に語り始める。
「……あの、男は……自分のことを『王』だと言っていた……エジプトの……いねぶへじ、がどうとか……」
 言うと、男はがくりと気を失った。
 セシルはUDC組織へ連絡して男の身柄を引き渡す。男が見たいくつもの「火」のことは、恐らく記憶操作によって消去されることになるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『不思議な砂浜』

POW   :    依頼なんて知るか! 俺は、私は、海で泳ぐぞ!

SPD   :    全て拾えば問題ない。ゴミも含めて素早く回収

WIZ   :    何かしらの方法で探索・探知

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


穏やかな昼下がり、猟兵達は街の裏手の砂浜に集まっていた。目的は保護した猫達を安全に囲っておくこと、そしてこの砂浜に打ち上がっているというアーティファクトを探すこと。
 猟兵達の情報収集により、アーティファクトの正体が判明している。まずは「黄金のスカラベ」……これは手のひらに収まる小さなサイズで、複数あるようだが、いくつかはゴロツキ達の手により発見され、UDCの元へ既に届けられている。
 もう一つは「割れたアンク」。古代エジプト十字を象った護符で、材質は謎だがひどく劣化して3つに割れてしまっているという。
 UDC組織により海岸の人払いは一通り済んでいるが、強欲なゴロツキ達は諦めずに乱入してくるだろう。猫達の安全にもある程度の警戒が必要だ。
 この砂浜には何故か他にも色々なものが落ちているので、探せば面白いものが見つかるかもしれない。
 猟兵達は猫達と共に、いざお宝争奪戦へと臨むのであった。

*****
 POW重視の猟兵さんも「泳ぐ」以外のプレイングをかけていただいて大丈夫です。
 今回の調査系判定は緩めなので、SPDやWIZが低くてもそちらも是非挑戦してみてください。
 勿論泳いでいただいても大丈夫です。
*****
セシル・バーナード
さてさて。砂漠の砂から一粒のダイアモンドを探すよりは簡単だろうけど。

まあ、ぼくは猫たちと遊んでいよう。「歌唱」でシンフォニック・キュアの歌声を響かせながらね。
ぼくの声が届く限り、その身に溜まった疲労を取り除く。
ついでに歌声に緩急を付けてメロディラインにバリエーションを持たせれば、単調な宝探しの気晴らしにでもなるんじゃないかな?

まあ、皆は頑張ってよ。ぼくが「パフォーマンス」して応援してあげてるんだ。
結果を出して当たり前だよね。そう思わない?

邪魔なおじさんたちが来たら、フォックスファイアの炎を横薙ぎに連鎖爆発させる。
ぼくが気持ちよく歌ってるのを邪魔しないでもらえるかな。
次に手を出したら消し炭だよ?



「さてさて。砂漠の砂から一粒のダイアモンドを探すよりは簡単だろうけど……」
 砂浜を眺めながら大きく伸びをしたセシルは、くるりと猫達の方へ向き直り。
「まあ、ぼくは猫たちと遊んでいよう」

 ―― ♪ ♪ ♪

 彼が胸元に手をあて息を吸うと、その口から歌声がこぼれ出した。幼さを残す中性的な声は陽気にのびやかに、聴く者たちを癒やすべく海岸へとこだまする。
 突如始まったリサイタルに、猫達も耳を立て目を丸くして興味深げにセシルの周りへと集まってくる。セシルは金の髪と狐尻尾を揺らし気ままに歩きながら、はじめはゆったりと穏やかに、次の章では楽しげなアップテンポで。時折猫達の方を向いて語りかけるように、大きく両腕を広げ楽しげに歌い続ける。
 しかし、セシルの歌声に癒やされていたのは猫や猟兵達だけではなく……人払いのUDC一般エージェントと、案の定それを押しのけて海岸へ入って来ようとするゴロツキ達まで、いつの間にかその辺でぼんやりと佇んでセシルの歌に聴き入っていた。
「……はっ!? こんな事してる場合じゃねえ、猫だ猫!」
 ゴロツキの一人が我に返ると、他のゴロツキ達も気がつき猫を捕まえにかかる。と、セシルが彼らへ向けて人差し指を立てた手をすっ、と横にひいた。その軌道に沿って狐火が生まれ、ゴロツキ達の近くで次々と爆発を起こす。
「そのまま静かに聴いていてくれたら良かったのに……ぼくが気持ちよく歌ってるのを、邪魔しないでもらえるかな」
 次に手を出したら消し炭だよ? とセシルは笑みを絶やさずに警告する。
「全く、エージェントのお兄さんお姉さん達も、ちゃんと仕事してよね。ぼくがこうして応援してあげてるんだから」
 少年に言われてUDCエージェント達も慌てて、狐火の爆発にひるんだゴロツキ達の撤収作業に取り掛かるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
…こんなに猫が…沢山…
なんとすばらし…いやいや
…猫を狙うゴロツキが来ると危ないからな
なるべく猫を囲った場所から目を離さぬようにしておこう

ちらちらと猫達を見ながら『第六感』と『失せ物探し』で黄金のスカラベと割れたアンクが落ちていないか砂浜を探そう
…途中ゴロツキにあったら片っ端からメイスで『気絶攻撃』を試みた後【赦しの秘跡】にて盲目的な狂信者へ変えアーティファクトを探させる事が出来れば嬉しい
…いや、これで俺は猫と戯れる事が出来ると等思ってないぞ?勿論俺も探すとも…。…探すとも?

アーティファクトを見つけたならば皆に報告後、まだないか再び探しに行こう
…時間は余らんだろうか?猫の肉球が呼んでいるのだが…


スーリア・マクスティス
猫でエジプトだとバステト神的で可愛い猫人風のUDCですかねぇ。

可能ならキジトラくん(他の猫達でも多いと楽しい)と一緒に散歩しつつアーティファクトを探しますよ。
宝探し頑張るですよ。
波打ち際なりテクテクとキジトラくんを追いながらゴミ拾いを行います。
運良く拾えたらキジトラくんを褒めるのですよ。
海水で濡れたら拭いてあげたりするですよ。

陸上にいるわけですからあの猫達がゴロツキ達に襲われないように警戒は必要ですね。
出てくるならランスをふるって戦闘です。ゴロツキ達を撃退したならアーティファクトを持っていないかも確認してあったら回収ですね。

海に出た方はお魚でも捕ってきてくれると猫さん達喜ぶんじゃ無いかな。


日月・獏ノ進
※共闘可
エジプトで猫、バステト神ですかねぇ…確か王の乳母と呼ばれてるとか。
なら猫を集めているのも納得…納得出来るのかなぁ?まあいいや。
手袋猫達には関係ない事ですしね。ねー?

それはそれとして、砂浜の探索は皆さんに任せて猫たちの安全の為の警護と言う名の保護エリアをうろうろして居ますか。効率的じゃないですね、闇雲に探すのも。猫狙いのゴロツキには【日月専用突撃銃】で威嚇。

猫の防衛をしつつ狙いは
周辺で何かを探してるのと探し終えたっぽいゴロツキ。
その上前をハネるのがヘタに探すより楽ですからね。
もし見つけたら猫を踏まないようにドラゴニアンらしい【空中戦】で
猛追して【魁隠】を突き付けて戦利品を頂きますか。



こちらも猫達の保護されているエリアのほど近く。
「猫でエジプトだと、バステト神的で可愛い猫人風のUDCですかねぇ」
「バステトは確か王の乳母と呼ばれてるとか。なら猫を集めているのも納得……納得出来るのかなぁ?」
 スーリアと獏ノ進が周辺警戒しながら、黒幕のUDCについての所感を語っている。
「まあいいや。猫達には関係ない事ですしね。ねー?」
 みゃーん。獏ノ進の足元にひっついていた黒白ぶちの手袋猫が、彼を見上げて返事をするように鳴いた。
「……こんなに猫が……沢山……」
 その傍で猫エリアから目が離せなくなっているのはザッフィーロだ。
「なんとすばらし……いやいや」
 これはあくまで、ゴロツキ達から猫を守るため。そう自分に言い聞かせながら、そろそろ砂浜の散策へと……ちらり。よし、異常なし。探索続行…………ちらり。あの三毛猫がしっぽをぴんと立ててこちらを見ている。待っていてくれ、探し終えたらすぐに戻って来よう。…………ちらり。
 この間探索距離3mくらいである。

 そうこうしている内、海岸の側から日焼けしたチャラい感じの集団が歩いてきた。観光客と思いきや、その手にはやはり捕獲用のかごやらを持っていて、砂浜を散策してきた帰り道という所だろうか。
「あ! こんな所に猫いっぱいいるじゃーん!」
「勝ったな。報酬倍額だわ」
 はしゃいで猫エリアに駆け寄る一団の前に、3人の猟兵が立ちはだかる。
「皆さん宝探し、お疲れ様です。申し訳ありませんが、戦利品は僕達が頂戴します」
「……お前達に猫を渡すわけにはいかない」
 したり顔の獏ノ進と、険しい顔で構えるザッフィーロ。スーリアも近くの猫達を退避させた後二人に並ぶ。チャラい集団は憤慨して、
「なんだお前ら! 報酬独占しようってのか!?」
「なあなあ喧嘩はヤメようよ、もし猫を傷つけたら報酬はナシってあの人も言ってたっしょー」
「ええ、それはご心配なく」
 獏ノ進はたんと地を蹴ると、ばさりとドラゴンの翼を広げ飛び上がった。
「ッえええ!? 飛んだ……ッぐへぇ!?」
 驚いて上に気を取られている隙に、ザッフィーロはメイスで、スーリアはドラゴンランスで峰打ちをかまし、集団を次々とオトしていく。
 獏ノ進も地上に降り立つと、最後の一人を小刀の峰で鮮やかに気絶させた。
「手間が省けましたね」
「もう少しだけ、手伝って貰うとしよう。――さあ、瞳を開けよ。汝の罪は赦された」
 ザッフィーロが気絶した者達へ手を掲げ唱えると。男達は白目をむいたままむくりと起き上がり、祈るような姿勢でひざまずいた。うち一人がポケットから何か取り出し、ザッフィーロ達へと捧げるように掲げる。きらきらと輝くそれは甲虫の形をしていた。
「成る程、これが黄金のスカラベですか……」
「良いだろう、引き続き探してくれ」
 ザッフィーロが命じれば、彼らは物申すこともなく従いふらふらと海岸を探し始める。これで俺は猫と戯れる事が出来る……などとはザッフィーロは決して思っていない。思っていないが、一仕事終えたので三毛の肉球の元へ帰ってちょっと休憩するくらいは、きっと許されるだろう。

「私達も探しに行きますよ、キジトラくん。……誰か海でお魚でも捕ってきたら、猫さん達喜ぶかな?」
 スーリアは元気いっぱいなキジトラ猫を呼び戻して改めて散策へ。ふと海を見ながらそんな事を呟いたら、うっかり「狂信者」達にも聞こえてしまったのか。ざぶざぶと海へ入っていくチャラ男の背中が見えた。沖縄とは言えまだ水温は低く寒そうだが、まあUDC職員もいるし大丈夫だろう……。
 気を取り直して、キジトラ猫の進むままに波打ち際をてくてくと歩いていく。やたらと物が打ち上がっているのでゴミ拾いも兼ねてのんびりと。
 するとキジトラ猫が波の引いた砂の上で立ち止まり、何やら砂をぺしぺしひっ掻いている。その内に波がざあ、と戻ってきてキジトラ猫の足が濡れた。びゃっと毛を逆立てて、びびびびと前足を震わせ水を払うキジトラ猫。
「あらあら、濡れちゃいましたね。……ん?」
 タオルを取り出して駆け寄るスーリアだが、キジトラの足元に貝殻ではない、何か緑色の金属らしきものが砂から飛び出ているのに気がついた。
 これはと思い砂を掘り返す。キジトラ猫も一緒に掘る、というか引っ掻いていると。出てきた金属の塊はゴロツキが持っていたメモに描かれていた、割れたアンクの破片と同じ形をしていた。
「おお! やりましたね、キジトラくんお手柄ですよ~」
 スーリアがよしよしとキジトラ猫を撫でると、キジトラ猫はよくわかっていなさげな様子でくるるる、と喉を鳴らすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アル・ディオール
えへへー猫さんもふもふ…
ん?何だっけお宝探し?頑張るよ、うん
えへへー猫s(ry

【WIZ】
(失せ物探し・第六感)
不自然に盛り上がってたり光ってたりする所はあるかな
怪しげな場所はちゃんと隅々まで調べないとね
後は直感を信じて探すのもいいかな
…適当じゃないよ

(動物と話す・情報収集)
『一緒にお宝探ししてみる?何か気になったら教えて欲しいな』
猫さんにもお願いしてみよっか
勿論ゴロツキに攫われないように周囲に気を配って傍で守るよ
無理強いはしないし危なそうならジッとしていて貰おうね

『えへへー猫缶まだあるけど食べる?

ゴロツキはユーべルコードを使う振りして脅しちゃえ
『全身槍で穴だらけにされたくないでしょ?…帰って



 アルも他の猟兵と共にビーチへとやってはきたものの、仲良くなった灰色猫達に構う(あるいは構われる)ので手一杯の様子だった。
「えへへー猫さんもふもふ……」
「あ、あのー…」
「……ん? 何だっけ、宝探し? 頑張るよ、うん。……えへへー」
 UDC組織職員がちょっと心配になったらしく声を掛けてきたが、彼はマイペースを崩さずもふもふ続行。猫は気まぐれ、遊ぶ気分の時には全力で遊ばねばならないのだ。
 しかしふと思いついたように、アルは灰色猫に話しかける。
「一緒にお宝探ししてみる? 何か気になったら教えて欲しいな」
 灰色猫が任せろ、と言わんばかりに砂浜へずんずん歩いていったので、ようやく彼も探索開始である。灰色猫はときどき立ち止まって砂の匂いを嗅いでいたり、小さな虫かカニでも見つけたのか突然地面をペシペシ叩いていたりと忙しい。アルは周囲を警戒しつつ、その様子を微笑ましげに眺める。
 しかし彼はぼんやりとしているように見えても、その直感は鋭かった。何気なく猫が匂いを嗅いで通り過ぎた場所が、どうにも様子がおかしいと気づく。沖縄の海由来の白い砂浜に、その部分だけ少し赤みがかった、まるで砂漠の砂が混じっているような僅かな色の変化があったのだ。
 その部分の砂を何度か撫でてみると、硬い感触があり。周りの砂を掘っていくと、それは別の猟兵が見つけていたのと同じ緑色、恐らく青銅製の割れたアンクの破片であった。
「見てみてー猫さん、いいもの見つかったよー」
 掘り出したアンクを灰色猫に見せて振る……と、人の気配に気づきアルは咄嗟に振り返る。
 堤防の上から、こちらの様子を伺っているコワモテ男が一人いた。ただ散歩しているように装っているが、明らかにチラチラと、猫を気にしている。
 猫を捕まえる気であれば問答無用、とアルは高速で詠唱を完了すると、周囲に光の粒が結集し鋭い槍をいくつも生み出した。
「全身槍で穴だらけにされたくないでしょ? ……帰って」
 先程までののほほんとした空気から一転、他を寄せ付けない冷たさを持った声で告げる。男は目の前で起きた不可思議な現象と、少年の声にビクリと驚いて、走り去っていった。
「……もう大丈夫。えへへー、猫缶まだあるけど食べる?」
 魔法の槍を消すと、灰色猫に向き直ってまたころりと表情を変えるアルだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八上・偲
ねこちゃん、ねこちゃん。
仲良くなれてうれしいなー。(もふもふ)

今度は海だー!
わたし、海に来たの初めて!綺麗だなー!
んっと、宝物を探せばいいんだよね。
探そう探そう。ねこちゃんも来る?
(ついてきても来なくてもにこにこ)

あっ貝がらだ!かわいい!(拾う)
あっカニさんだ!横にあるいてるー(眺める)

……だ、大丈夫!お宝さがし、忘れてないよ!
いろいろ眺めながら砂浜を歩いてたら、
探してるものも何か見つかるかもしれない、から!

(ゴロツキに絡まれたら)
あっまたあのお兄さんだ。お宝さがししたいのかな?
一緒にするー?って【コミュ力】を滲ませてみたり。


オクターヴィア・オパーリン
探索開始である!
エヅプトのキラキラしたやつと、
あとあと、妾んの宝物用の貝殻とかも欲しいぞ!

まずは見える範囲でフツーに探してみるが、
一部のみ見えている物が纏まって埋まっている等、
『広範囲を軽く掘って確かめる作業』が必要であれば
弱めに【衝撃波】を放ち、砂だけをパッと除けられると捗りそうであるな。
むろん、周りに人がおらぬかは気をつけるぞ。

呼び出したネオンテトラーズにも手伝わせたいが
こやつら、キラキラしてれば何でも拾ってきそうであるな~……。
まあ今はおさかなのヒレも借りたいので頼むぞ!
そうそう、ゴロツキーどもが乱入してきた場合は
速やかにつんつんの刑に処してやるがよ~い!

※アドリブは大歓迎である!



 偲は先程出会った、なんとなく毛色がお揃いな感じのサバトラ猫と一緒に砂浜を歩いていた。
「わたし、海に来たの初めて! 綺麗だなー!」
「ナハハハー! それはそれは素晴らしい! 存分に海と妾んを崇めると良いぞ!」
「!?」
 いつの間にか隣にいたオクターヴィアの大きな声に驚く偲。
「……んっと、とにかく宝物を探せばいいんだよね?」
「うむ。エヅプトのキラキラしたやつを探すのである!」
 オクターヴィアは再びネオンテトラーズを召喚、お宝を探すのだーと四方八方へ向かわせる。待ってましたとばかりにキジトラ猫がその内一匹をロックオン、追いかけて一緒に走っていった。偲もサバトラ猫をおいでおいでと手招き、一緒に砂浜を見渡して。
 と、近くで何かがキラリと光った。駆け寄って拾い上げたそれは、小ぶりでくるりときれいな形に巻いた白い巻き貝の貝がらだ。
「あっ貝がらだ! かわいい!」
「おおっ!? 良いな、妾んも宝物用の貝がらが欲しいぞ!」
「……これ、いる?」
「何、くれるのか!?」
「こっちにもいっぱいあるよ! 」
 虹色にゆらゆらと光る二枚貝に、耳に当てれば海の音が聞こえそうな大きな巻貝、真っ白な鹿のツノのようなサンゴの欠片。猫達と同じ目線で砂浜を見れば、そこには「宝物」が一面に敷き詰められていた。
「あっカニさんだ! 横にあるいてるー」
「うむ! なんとも愛らしい……はて、妾ん達は何を探していたのであったか?」
「あっ……だ、大丈夫、お宝探し、忘れてないよ!」
 つい色々と目を奪われてしまったが、仕事のこともちゃんと思い出す二人。
「しかし、見える限りにはそれらしきものはなさそうであるな。よし、少々離れておると良いぞ」
「?」
 偲がサバトラ猫を抱っこしてオクターヴィアから少し離れると、オクターヴィアはそやーっと両手を砂浜に向けて突き出す。すると風が巻き起こってオクターヴィアのドレスと偲のヴェールを少し揺らしつつ、目の前の砂浜の表面の砂がさーっと飛ばされていった。
 風が止んだ後には、砂の中に埋もれていた大小様々な漂流物が顔を出す。流木や、この国のものではなさそうな色付きのガラス瓶など大抵はガラクタのようだったが、その中に一際きらっと光るものがあった。
「これは! エヅプト!」
「虫さんの形のキラキラだ……!」
 その形といい小さい割にずっしりとした重みといい、オクターヴィアが聞いた話にあった黄金のスカラベに間違いないようだ。

 スカラベを手にぴょんぴょんと喜ぶ二人とサバトラ猫だったが、ふと偲は誰かの視線を感じ取る。堤防の方を振り向けば、魚屋の近くで出会ったあのコワモテの男が若干疲れた顔で、またこちらを見ていて目が合った。
「あっまたあのお兄さんだ。お宝さがししたいのかな?」
 彼の名誉の為に添えておくと、先程不可思議な現象に遭遇して命からがら、ちょうど逃げてきたところで、決して少女達を付け回していたわけではない。
「またゴロツキーか! いでよお魚ちゃん達、不届き者はつんつんの刑に処してやるがよ~い!」
「あっあっ、待って待って!」
 慌ててオクターヴィアを制してから、男へと駆け寄る偲。
「お兄さんもお宝さがし、一緒にするー?」
 また無垢な瞳で声を掛けられてしまったコワモテ男はやはり少しはにかみながら、偲の方へと近寄るとポケットに手を入れて……何か取り出して、偲へ差し出した。
 それは彼女達が先程見つけたものと同じ、金色の甲虫の飾り。
「コレ……君達集めてるんなら、あげるよ」
「えっ、いいの?」
「俺はもう……帰るから」
 色々な意味で戦意喪失してしまったらしいその男は、無愛想にそれだけ言ってまたそそくさと去っていってしまった。
「良かったのかな……でも、お揃いだね!」
「うむ、お宝ふたつゲットである!」
 笑顔の二人、その後ろでは、オクターヴィアの声で戻ってきていたネオンテトラーズが、サバトラ猫とキジトラ猫に見つかって再び追いかけっこが始まっている所であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

絢辻・幽子
SPDでいきましょう

アーティファクトですか……
にゃんこが遊んでどこかへ飛ばしたりとか
していそうですが

……ゴミをひろいつつ、探しましょうか。
にゃんこがゴミで怪我したら大変です。私偉い。
まぁ、濡れたくないので泳ぎたくないだけですが
だってほら、尻尾が濡れてしまいますし?乾かすの大変ですし。

トングもそうですが、ゴミバサミもついカチカチしてしまいますね?
ふふ。シーグラスとかあるといいですねぇ

ゴロツキさんたちには、私のお人形さんで脅かしてあげますね
でも、フォックスファイアの方が脅かすには丁度いいんですよね
髪を焦がすほどに近づけてさしあげましょうか。
ふふ。消すも灯すも私次第なんですよ?



 ゆらりゆらりと砂浜を行く幽子。その手にはゴミバサミと袋を持って、海岸の掃除がてら件のアーティファクトを探す。
 波打ち際を歩くと、少し高くなってきた波が足元に迫ってくる。尻尾が濡れてしまうと乾かすのが大変だと、足元をさらわれない程の距離を保って、波にあわせてふらりふらりと。
「にゃんこが遊んでどこかへ飛ばしたりとかしていそうですが……」
 秘密の場所に隠していたりしませんにゃん? と傍らを歩く白猫に問うが、白猫は知ってか知らずかとぼけ顔でにゃあんと鳴く。
 それにしても随分モノが多い砂浜だ。にゃんこが怪我をしたら大変と、ぽいぽいとゴミを拾っては袋に入れていく。カチカチ、楽しそうにゴミバサミを鳴らしながら。普段はそのテの道具で一体何をカチカチしているのだろうか……やはり深く考えるのはやめておこう。
 そうして辿り着いた海岸の端。堤防に上がる階段の後ろに、何やらカラフルなものが塊になって置いてあることに気がついた。
「あら、綺麗なシーグラスですねぇ。こんなに沢山……」
 見ればシーグラス以外にも、小さなメダル、鳥の羽や、おもちゃの猫じゃらし……
 すると白猫が、今来た道で拾ってきたらしい貝殻をぺいと塊の山の上に置いた。おもちゃの猫じゃらしを引っ掻いて、遊んでほしそうに幽子を見ている。
「ふふ、こんな所に宝物を隠していたんですねぇ」
 幽子が猫じゃらしを拾うと、その下から現れたもの……金色で妙につやつやとして、虫を象った形。傷一つ無く、他の猟兵の話にあったスカラベの特徴に一致していた。案の定というか、猫がエモノと間違えて戦利品にしてしまっていたようだ。
 その時、階段を降りてくる集団の声がした。幽子は反射的に階段の陰に身を潜める。手に手に網やカゴを持ったゴロツキ連中が、UDC職員の目を盗んで入ってきてしまったようだ。
「あいつら何だったんだ? 警察か?」
「猫を独占してる組織が居るってのは本当なん……え?」
 話していた男が急に言葉を失う。突如目の前に、目玉のない球体関節人形が上から降ってきたからだ。人形の糸の先は幽子の手に繋がっていた。
「ぎゃああああ!!」
「何だそれ!? う、うわ、こっちには火が!」
 他のゴロツキ達の目の前にはユラリと揺れる不気味な狐火が現れ、頬をかすめ髪を焦がしそうな距離で迫る。慌てて払おうとして、触れた火の熱さにまた叫び声が上がる。
「ふふ。消すも灯すも私次第なんですよ?」
 地の底から囁くような声で幽子がそっと声をかければ、ゴロツキ達は散り散りになって、階段も使わず堤防を駆け上がって逃げていった。
「……ふふ、お掃除完了ですね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

鷺宮・志乃
いいなぁ……私もきっと。いつか

遠くからねこさんと戯れる皆を眺めながら
スマホで【情報収集】しつつ探索

“いねぶへじ”は…Ineb hedj…都…猫やスカラベを崇拝…

そんな王の名前は…

…ううん。化け物は化け物
だから、どうでもいいよね?

意志に『恐喚』した青白い火に正体を隠すナニカを喚び出し

……ねこさんや皆を恐がらせないように空から探して
うん。この形。…よろしく、ね

アンクの図を見せて
皆とねこさんから離れた箇所をUDCで上空から捜索

…言うことは聞くんだよね
私から出ていって、ってお願いは聞いてくれないのに

…ぁ。ごろつきさん
そっちは……!あぁ、ごめんなさい…
ねこさんを守るためでもあるし…うん。仕方ないよね?



「いいなぁ……私もきっと。いつか……」
 他の猟兵達が猫とたわむれたり、行動を共にしているのを遠くから眺めて、ぽつりと呟く志乃。
 いつか自分のことを怖がらない猫と、どこかで出会えるかもしれない。淡い期待を胸に秘めつつ、スマホを取り出し今回の黒幕について調べてみる。
「“いねぶへじ”は……Ineb hedj……都……猫やスカラベを崇拝……そんな王の名前は……」
 イネブ・ヘジ――古代エジプト王朝の都市。その『王』は所謂ファラオと呼ばれる存在だ。長きに渡る古代エジプト史の中で多くのファラオが都市を治めて来たのだろうが、オブリビオンとなり蘇ってしまった此度の『王』が果たしてその内の誰かなのか、確定できそうな情報はないようだ。
「……ううん。化け物は化け物……だから、どうでもいいよね?」
 志乃がスマホをしまうと、入れ替わるように青白い火が現れる。それは瞬く間に、志乃と同じくらいの巨大な鳥のような姿となった。本当はあまり喚びたくはないが、目的のためには仕方ない。
「……ねこさんや皆を恐がらせないように空から探して。……うん。この形。……よろしく、ね」
 先程拾ったメモを青白い火に見せて、アンクの形を覚えさせる。火はゆらりと首を揺らすと、翼を広げるように形を変え、上空高くへ飛び立った。
「……言うことは聞くんだよね」
 ――私から出ていって、ってお願いは聞いてくれないのに。
 志乃は青鷺火を見上げ、大きくため息をつく。このままあれがどこかに飛び去って、もう戻ってこなければ、私も猫さん達と仲良くなれるのにと。
 青鷺火は上空を大きく旋回しながら、海上から堤防へと飛び……そこへ一人の男が通りかかった。例にならい、捕獲カゴを持っている。
「……ぁ。ごろつきさん、……え、待って、そっちは……!」
 青鷺火は男を見つけると、何故かスピードを上げ一直線に男へと向かっていく。
「ギャアアア!?」
 男が気づいて振り返った時には、青鷺火が既に目の前に迫ってきていた。逃げる間もなく男はその場に卒倒する。
「ああ……ごめんなさい……」
 倒れた男へ駆け寄りながら志乃は申し訳なさそうに。だがやり方はともかく、これは猫達を、ひいてはこの男自身を守ることにも繋がるはずだ。
 男の前に降り立っていた青鷺火が、そのクチバシに何かをくわえて志乃に差し出していた。それは青銅らしき金属でできた、割れたアンクの一欠片。どうやら男が懐に入れていたらしい。UDCとそれに関わるオブジェクト、何か引かれ合うものがあったのだろうか。
 複雑な表情で、志乃は青鷺火からアンクの欠片を受け取った。

 猟兵達がアーティファクト捜索を終える頃。
 UDC職員達は今回の件に関わったゴロツキ達に可能な限り記憶消去を施していったが、何しろ小さな島の出来事、ウワサが広まることを完全には抑えることはできず……
 人々が言うには。
 冬の天気の良い日、突如島から猫が消える。
 そして同時に島のあちらこちらには、恐ろしい火の妖怪、そしていくつもの鬼火や他の魑魅魍魎達が現れ……
 猫に悪さをする人間に、裁きを与えるのだと。
 ――この日、島にはそんな都市伝説が生まれた……かもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『イネブ・ヘジの狂える王』

POW   :    アーマーンの大顎
自身の身体部位ひとつを【罪深き魂を喰らう鰐】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    カイトスの三魔槍
【メンカルの血槍】【ディフダの怨槍】【カファルジドマの戒槍】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ネクロポリスの狂嵐
【腐食の呪詛を含んだ極彩色の旋風】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・綺里枝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 メインストリートから外れた住宅地、木々に隠されるように建つ古い平屋のアトリエがあった。
 建物の周囲にも室内にも、多くの猫がたむろしている。閉じ込められているというわけではなく、猫達も好きで此処にいる様子だ。
 西日射し込む部屋に猟兵達が踏み込む。その男は白紙のキャンバスの前で木の椅子に座って、膝に猫を乗せていた。
「猟兵……急に奴隷達の仕事が滞るようになったのは、貴公等の仕業というわけか」
 男は猫を降ろすとゆっくりと立ち上がり振り返る。白銀の髪に赤銅の肌、豪奢な金の飾りと木綿の衣を纏う姿……イネブ・ヘジの王。
「私は此処に、国を造るつもりだ。私と、彼女達のための、醜いもののいない国を。……ここにある護符は、未だたったの一つ……だが、私は諦めてはいない」
 部屋の空気が張り詰める。状況の異変を察した猫達、猟兵が連れていた猫達も含め、開け放たれた窓や扉から次々と飛び出し逃げていく。
 西日が部屋を赤く染め、ひどく乾いた風が部屋を通り抜けた。
スーリア・マクスティス
逃げゆく猫さんの為に侵入する前アトリエから離れた場所で前節でゴロツキ達が捕獲した魚を焼いておきます。キジトラくんに魚の番をお願いです。

窓から内部を伺い邪魔にならないように侵入です。出てくる猫達の邪魔にならないようにも注意です。
猫好きなだけはあり敵の攻撃もなかなか強そうだよね。
でも、そんな凶悪そうな鰐なんか出して猫達が怖がるじゃ無いですか!と指摘するですよ。
攻撃はドラゴンランスを装備して細かくついて攻撃です。
相手が室内の隅にいたり他の仲間に注意が行っている回避しにくそうなタイミングなどで【ドラゴニック・エンド】を狙います。

上手く成功させて猫達に癒やされたいですね。そう思いませんか?

アドリブ等歓迎


絢辻・幽子
猫を大切にする人に悪者はいませんけども

醜いものが何かはしらないけれど
言葉だけならあなたはいい人ね
悲しむ人がいない世界だとしたら素敵だと思うわ

そうしたら、咎人殺しも閑古鳥で必要なくなりそうね?

なぁんて……ここにで生活している人達が
危ない目に合う事になりますし、あなたはやっぱり悪い人よ。
狐の炎に焼かれて下さいな。

旋風で消せるような炎ではないとおもいますけど
尻尾がばさばさしますね……
そんなのんきな事言ってる場合でもないですよね。
飛ばされそうになった場合は、蜘蛛の糸で何とかします
こういうときのロープワークです。

壱の子を盾にする事も考えます
いつもごめんね、私の可愛い子。


オクターヴィア・オパーリン
ナハハハ!おぬしとネコチャンのための国!
――狂える王よ、何をのたまう。
そのために何を犠牲にするのか考えとうもないぞ。

さて。妾んの繊細な身体でまともに攻撃を食らっては敵わぬからな。
【クリスタライズ】にて目を欺き、距離を取ってから
【サモニング・ガイスト】による攻撃を行うぞ。
移動中は【念動力】で遠くにある物を倒し、居場所を悟られぬように。

――来ませ、来ませ、エレファンテイネの女王、
氾濫と豊穣の女神にして南端に立つ戦士サティスよ、
溢るる水の槍にてイネブ・ヘジの王を裁き給う!

呼び出した霊には正面から攻撃させよう。
囮となるも良しであるし、『王』に対して敬意は払いたいのだ。

※引き続きアドリブ大歓迎である!



 アトリエから少し離れた芝生の上。とある不憫な男達が海で捕ってきたばかりの新鮮な魚が、美味しそうな焼き魚になって猫達に振る舞われていた。アトリエの方から続々と猫が走ってきては魚に寄ってくる。
 魚を堪能していたキジトラ猫が不意に顔を上げて、にゃー、と鳴いた。長い尻尾を膨らませて今逃げてきた方角を見る。彼(?)だけではなく……他にも数匹の猫達が、ヒトには見えない何かを見るように、木々の奥の建物のある方をじっと見つめていた。
 彼らは待っているのだ。今日一日優しくしてくれた者達が、自分達の所へ再び戻ってくることを。

 風がガタガタと窓枠を揺らす。
 スーリアは窓の外を逃げていく猫達を見送ってから、『王』へと向き直った。ここを上手く片付けることができたなら、また猫達に癒やされたい。その思いはこの場の多くの猟兵が共感するところだろう。
「猫を大切にする人に、悪者はいませんけども」
「……同意しよう。彼女達を愛する者とは、戦いたくはなかった。……貴公等が猟兵でなかったのなら、理解しあえる道もあったのだろうに」
 幽子の言葉にうなずく『王』は、猟兵達も猫との信頼関係を築いていることを察したらしかった。静かに語りながらもその左腕は猟兵達へ向けて高く掲げられる。瞬間、彼を中心に旋風が巻き起こった。
 イーゼルごとキャンバスが倒れて吹き飛ばされ、すんでの所でスーリアがそれを避けた。身構えていた猟兵達だが、嵐のような風に激しく煽られる。
 幽子は赤い糸を梁にかけ結び、身体を飛ばされないように支える。細い糸のようでも、それは首を吊るにも耐えうる「蜘蛛の糸」だ。灰色尻尾はばさばさと暴れてしまうがいた仕方なし。
「……っ……言葉だけなら、あなたはいい人ね。あなたの造りたい国が、悲しむ人がいない世界だとしたら素敵だと思うわ」
 ――そうしたら、咎人殺しも閑古鳥で必要なくなりそうね?
「なぁんて……」
 幽子の困り眉は、自分の生業がお役御免になる世界を想像してか、はたまた。
 『王』の言葉とは裏腹に、その赤い風は明確に殺意を持って猟兵達を襲っていた。次第に砂が混じり……否、吹きつける先を恐ろしい早さで風化させ砂粒にしているようだった。猟兵達は肌にピリピリと痛みが走るのを感じる。

「ナハハハ! おぬしとネコチャンのための国!」
 部屋の中に高らかに笑い声が響く。だが、その声の主の姿は見えなかった。
「――狂える王よ、何をのたまう。そのために何を犠牲にするのか考えとうもないぞ」
 ガチャン! 『王』の後ろで天井から蛍光灯が落ちて割れた。風で落ちたのか?
「……どこにいる?」
「余所見はいけませんよ!」
 警戒の薄れた隙を狙い、スーリアがドラゴンランスを構え飛び込んだ。鋭く突き刺した先……『王』は咄嗟に左腕を大鰐の頭に変え、槍に噛みつかせて急所を外す。
「猫好きなだけあってなかなかやりますね。でも、そんな凶悪そうな鰐なんか出して猫達が怖がるじゃ無いですか!」
 大鰐が喉の奥で食い止めていた槍から、瘴気のようなものが溢れスーリアの頭上で巨大な形を為す。それはアーマーンに全く劣らない、凶悪な顎を持つドラゴンだ。『王』は若干なにか言いたげにしつつ槍を振り払い退こうとしたが、その前にドラゴンの牙が大鰐を襲った。
「クッ……!!」
 大鰐が消え失せれば、指と肉をいくらか削がれた腕から鮮血が散り、木綿の布を染めた。
「犠牲。彼女達も、ずっと犠牲になってきた。傲慢な人間達の犠牲に。この国に……人間は不要だ」
「……あなたはやっぱり悪い人よ」
 弱まった風の中を狐火が奔り、『王』に迫る。幽子が見る、彼の白く濁った目は、他の犠牲を厭わぬ狂気に支配されている。他ならぬ、傲慢な人間の狂気。
 肌を焦がす火を消し去るべく、再び風を起こそうと彼が何事か唱えかけたとき、別の詠唱が重ねられた。

 ――来ませ、来ませ、エレファンテイネの女王、
 氾濫と豊穣の女神にして南端に立つ戦士サティスよ。

 いつの間にか姿を現していたオクターヴィアが、遥か遠き古代から戦士の霊を喚び寄せる。レイヨウの角を飾った白冠を戴く、凛々しい女性の姿。『王』は驚きに目を瞠る。
「ヌビアの女王だと……!?」
「――溢るる水の槍にて、イネブ・ヘジの王を裁き給う!」
 『王』の真正面に現れた戦士サティスの霊は瀑流のごとく彼へと襲いかかり、その肩を槍で貫いた。
「……!! 我らの神すら操るか、猟兵……! 構わない。もはや私の信ずる神は、彼女達だけなのだから」
 よろめく『王』から、憎しみを湛えたかのような禍々しい魔力が溢れ出す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セシル・バーナード
奇襲は猫を巻き込みそうだから、正面からかな。
ファラオのオブリビオン、ここで片付ける。
話が通じるなら、「礼儀作法」をもって接し、少しでも情報を得たい。
集めてたアーティファクトが何でどうしたかったのか? ペラペラしゃべってくれれば楽なんだけど。

サウンド・オブ・パワーで仲間の攻撃力を高め、シンフォニック・キュアでダメージを回復。「歌唱」「パフォーマンス」で、より効果的に。
基本的には支援に専念するよ。

ファラオの攻撃の出鼻を潰せそうな時だけ、フォックスファイアで攻撃をかける。
どの能力も厄介だ。
回復が必要になったらシンフォニック・キュアを何度でも。UC封じも解除出来るかな。

火力不足なら、ぼくも攻撃に回る。


日月・獏ノ進
猫好きでもそういうのは居ますよねー…まあしゃあなしです。
敵同士として出会ってしまったんですから。
猫の王を決めてこの乱痴気騒ぎをさっさとお開きにしましょうか。

自身の周辺範囲に接近吸収技…接近戦タイプなんですかね?
なら【日月専用突撃銃】で基本は遠距離攻撃の【2回攻撃】で、
飛んでくる魔槍も撃ち落としたり、最低限の効果に止めていきますか。

そして【鳳凰羽織】の【存在感】を出してのウザったい射撃に焦れてきて
突っ込んできたら【勇気】を持って懐に飛び込んでの【接撃の計】で
鰐頭だろうが一発ぶち込んでやりますかね。


終わったら手袋を探して連れていってやりたい所ですが…
まあそれは手袋の判断で。猫は気まぐれですから。


アル・ディオール
王様の猫さんを見る目、優しかったね
可愛いよね、俺も好き

持久戦は恐らく相手の領分
ここは【荒れ狂う星光の槍】で【高速詠唱・2回攻撃・全力魔法】
手数に物を言わせてうつべし
王様は呪詛の術に長けてる感
【破魔】の力は痛いんじゃない?

『どうしてそんな悲しそうな目をしてるの?
何処か遠くを見つめてるみたい
それに彼女達って?猫さん?

接近戦は絶対回避
痛いし治療されたらヤだし

三魔槍に対しては【見切り・第六感】
最低でもすべて命中は回避したい
攻撃動作に注意

狂嵐の回避は無理かな…けど
【呪詛耐性・オーラ防御】で痛くても我慢

『優しい世界を作りたいんだね
けど、その為に誰かの命を犠牲にするのはやっぱり納得出来ない
甘い考えかもだけど



「王様の猫さんを見る目、優しかったね……」
 だが、今や彼は。猫を愛する者同士で、相対しなければならない状況にアルは悲しげに目を伏せる。
 獏ノ進は緩やかな笑みを絶やさず、しかし冷静な目で『王』を見ていた。
「猫好きでもそういうのは居ますよねー……まあしゃあなしです」
 敵同士として出会ってしまったからには、こうする他に道はない。それに猫達の王として君臨するには、目の前の男はいささか正気を失いすぎている。手傷を負い項垂れる『王』に、獏ノ進はすっとアサルトライフルを構えた。
「さっさとこの乱痴気騒ぎをお開きにしましょうか」
 ――ダァン! ダァン!! 鋭い銃声が響くその瞬間、『王』はくわと顔を上げ目を見開いて、無傷の右腕で振り払うような動作を見せた。バヂッッと音がして銃弾が爆ぜ、あらぬ方向へと飛ばされる。
(……ん?)
 先程の凶風とは違った手段で弾を避けた敵に、獏ノ進は訝しんだ。
 アルも『王』と十分に距離を保ちながら、この間に満身の魔力を集め迅速に詠唱を完成させていた。ゴロツキ相手に手加減したものとは比べ物にならない数の光の槍を広く展開し、手を翳す所作で『王』へと向けて放つ。
「ぐぅっ…!?」
 飛来し殺到する無数の槍は流石に躱しきれず、次々と掠め、突き刺さり、その薄衣を朱に染めていく。だが彼の側も反撃の準備を完了していたようだ。右腕を掲げれば、またあの呪いを孕む風が辺りを蹂躙する。
「……! どうして、そんな悲しそうな目をしてるの?」
 呪詛を跳ね返す結界を張って堪えながら、アルは訊ねる。
「何処か遠くを見つめてるみたい……それに彼女達って? ……猫さん?」
「……彼女達は、害獣を退け我々に寄り添い、多くの恵みをもたらしてくれる……それを理解しない愚かな人間共は、なんとも思わず彼女達を殺す……! 罪のない彼女達を!」
 何かを思い出しているかのような。焦点の合わない独り言のような『王』の嘆きに呼応して、極彩色が激しく明滅し猟兵達の視界を眩ませる。灼熱の砂漠の中、砂嵐に巻き込まれたような痛みと熱を覚えた。
「王様……優しい世界を作りたいんだね。……けど、その為に誰かの命を犠牲にするのはやっぱり納得出来ない」
 甘い考えかもだけど。アルは覚悟を秘め、風に閉ざされそうになる目を強く見開く。

 すると逆巻く風の中をかき分けるように、海岸でも聞こえていたあの声が再びアトリエ内に響き渡った。此度のメロディラインは力強く勇ましく、聴くものを奮い立たせる。猟兵達は身体が軽くなるような、身の内から溢れる力を感じた。
 歌を止め、セシルは風の中一歩前へ出ると『王』に向けて敬々しく礼をする。
「ぼく達は此処に来るまでに、『黄金のスカラベ』や『アンク』を見つけました」
「! ……貴様等が……簒奪者共め」
 呪いの風を弱めることなく、『王』は忌々しそうに少年を睨みつける。
「やはり、ファラオたる貴方のものでしたか」
「……こちらへ『戻る』時に、散り散りになってしまった。私は不完全な状態で、この場所に留まることを余儀なくされたのだ」
 太陽を運ぶ甲虫スカラベは、再生や復活の象徴として古代エジプトで崇拝されていた。同じくアンクも生命の象徴であり、死んだ人間に新たな生を与える力を持っていたとされる。オブリビオンにはこれ以上なくお誂え向きのアーティファクトというわけだ。
「だが、代わりはある……この島の奴隷達の肉体と……猟兵、貴様等の肉体とで補わせて貰う!」
 風がさらに殺意を持って猟兵達を襲う。部屋の壁や天井の表面まで劣化し、パラパラと崩れはじめた。
「……ッ、つまり、ファラオに力を与えるアイテムってこと、だよね。それだけわかればまあ十分かな。……さっき、護符はたったひとつ、って言ってたっけ」
 風から顔を庇いながら潜めた声で呟いたセシルの言葉に、獏ノ進は目をむいた。
「先程の、銃弾を弾いた力はもしや……」
「右手、ずっと袖の飾りで隠してるよね。……怪しいな」
 アルも気づいて狙いを定め、再び詠唱を開始する。セシルも嵐の音にかき消されないよう再度歌声を張り上げて、猟兵達に取り憑こうとする呪いの力を打ち消していく。
 『王』はと言えば、砂の嵐に紛れその端正な顔をグニャリと歪ませたかと思うと、先程は左腕に宿していたアーマーンの大鰐をなんと自らの頭の代わりとして顕現させた。手近な猟兵に噛み付いてその生命力を奪い取る魂胆か。
 獏ノ進は『王』の意識をこちらへ向けるべく、不死鳥の羽織をはためかせて彼へと走る。『王』はそれに気づくと濁った咆哮のような声を上げた。銃の弾などいくらでも跳ね返せるとばかり右手を払い、大きく口を開けて獏ノ進を迎撃する。
 大鰐の牙が獏ノ進の頭に今にも食らいつきそうな肉薄した距離で、獏ノ進は風避けにしていた羽織をばさりと放る。羽織に隠していた手に持っていたのは、小刀「魁隠」――その先は速かった。身を捻って『王』とすれ違い様に、大鰐の喉元を掻き斬る!
「ガ、ア……!」
 歌の力によって底上げされた猟兵達の力は、一層鋭く。光の槍が稲妻のごとく飛来して、怯んだ『王』の右手の先を貫いた。握りしめられていた掌の中から、血飛沫と共に黄金のスカラベが砕けて弾け飛ぶ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八上・偲
ねこちゃんには安全なところに行ってもらって、戦う!
(【拠点防御】感)

ねこちゃんを大事にする王様のこと、嫌いじゃないけど、
でも敵だから。やっつける。

『黒騎士を伴う残火の王女』で騎士を呼んで攻撃してもらおうかな。
ガイスト君、お願い!
わたし自身は『炎帝の審判来たりて』で【属性攻撃】の【援護射撃】したり、
【オーラ防御】と【鼓舞】で味方の猟兵さんの支援をしたり。

お仕事が終わったら、ねこちゃんともお別れかあ……。
せっかく仲良くなれたのに……さみしい。
でも、無理に連れて行っちゃったりしたらあの王様と一緒だから、
また遊びに来るねって言って、ちゃんと帰るね。
(仲良くしてくれたサバトラ猫を撫でて)


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
猫達は…無事逃げたな
猫達が沢山居る国…確かに幸せではあるが、見逃す訳にはいかんのでな
…邪魔させて貰う

戦闘時は基本【ジャッジメント・クルセイド】を使用
『二回攻撃』『高速詠唱』『全力魔法』『スナイパー』等持てる技能を使いながら体力を減らせれば幸いだ
呪詛は…【呪詛耐性】のある祭服が軽減してくれるだろう故、回避よりも攻撃重視で動こうと思う

ただ回復されるのは厄介だからな
頭部が変形した場合は回避できそうならば攻撃の手を止めて回避行動を優先できればと思う
敵の動きを常に気を付けながら行動するよう心掛けたい
又、依頼を共にしている味方の怪我が深そうな場合は可能ならば【生まれながらの光】で回復を試みようと思っている



 最後のスカラベすら失った『王』は、大鰐の首の喉元からごぼりと血を溢れさせる。
 呻く声しか発せなくなっても、それでも尚、残された手段として……あるいはもはや無意識に、怒りと憎しみの力だけで彼は旋風を起こし続けている。
 荒れ狂う嵐の中で、猟兵達がその全身を腐食させ血を滴らせるようなことにならずに済んでいるのは、歌の癒やしによるものだけではなかった。
 ザッフィーロがその身に宿す聖なる光によって、吹きつける呪いから彼らを護っている。当人は祭服の加護を受けて呪いを軽減しているが、光の使用による消耗は大きい。だがそれでも、彼の身体に刻まれた聖職者としての自己犠牲の精神か。表情をさほど歪ませることもなく戦線を支え続ける。
 ザッフィーロは、逃げた猫達の事を想っていた。この危険な戦闘に、彼等が巻き込まれるようなことがなく本当に良かった。
(「猫達が沢山居る国……確かに幸せではあるが」)
 その国では、猫を愛する人間達ですら排除されかねない。見逃すわけにはいかなかった。
 猫達の安全を第一に周囲を警戒しながら、薔薇の花をかたどる炎を放って牽制していた偲も同じく。
「ねこちゃんを大事にする王様のこと、嫌いじゃないけど、……でも敵だから」
 終わらせなければ。ザッフィーロが詠唱と共に、残る魔力を指先へ集める。
「ガイスト君、お願い!」
 偲が祈れば、生まれた昏い炎の中から黒い甲冑の騎士が、偲の傍らに侍るように現れると、槍を構え突撃した。嵐の中心で佇む『王』の胴を、正面から貫き縫い止める。
 ザッフィーロが指を向けると、二つの光の線がクロスを造り『王』へ降り注いだ。断罪を終えた黒騎士の姿が炎と共にかき消えると、『王』の頭は大鰐の姿から元の人間に戻っていた。風が止む。十字に貫かれたまま大きく身体を仰け反らせ、見えない空を見る。
 男の瞳は虚ろで、しかし表情は猟兵達が最初に見たときと同じ、穏やかなものだった。

 ……せめて、彼女達の平穏が、脅かされることのない未来に……

 男の身体が頭の先から、ざあと砂になって崩れ落ちながら消えていく。全てが消える直前、猟兵達はそんな声を聞いたような気がした。

 ―――

「これでねこちゃんともお別れかあ……」
 折角仲良くなれたのにと、サバトラ猫を抱っこしてぎゅっとしながら寂しげに言う偲。
 アトリエの地下に囚われていたゴロツキ達を解放した後、後処理をUDC職員達に任せて猟兵達は夜更け前の海岸で、猫達との別れの前のひとときを楽しんでした。
「手袋が良ければ、連れていってやりたい所ですが……」
 獏ノ進も手袋猫を猫じゃらしで遊ばせていたが、横からキジトラ猫が突撃してきて二匹のじゃれあいに発展した。その様子に苦笑して、
「まあ、猫は気まぐれですからね」
「ふふ、そうだね。キジトラくんも元気でね」
 スーリアが挨拶代わりにキジトラ猫の頭を撫でる。
「そう、だよね……無理に連れて行っちゃったりしたら、あの王様と一緒だから」
 名残惜しげに偲はサバトラ猫をそっと離して優しく撫でる。と、サバトラ猫はみゃーん、と返した。
「また皆で、遊びに来れば良いよ」
「ふふ。そうですねぇ……今度もまた沢山遊び道具を持ってきてあげますにゃん」
「ナハハハ! 海あるところ、妾んはいつでも現れるのだ!」
 セシルと幽子もそれぞれに猫達へ別れを告げる。オクターヴィアはやはり海に向かって高らかに叫んでいた。
 これで最後だからと再び三毛の肉球を存分に堪能するザッフィーロと、灰色猫のお腹のもふもふに顔を埋めるアルは言わずもがな。猫達と心と通わせるのにもはや言葉すらいらない様子の二人は、集合時間を若干……いやそこそこ大幅に超過するまで、猫とたわむれていたとかなんとか。

 猟兵と猫達の冒険は終わり、南の島には穏やかな日常が戻る。
 猫達は明日も変わらず、気まぐれな愛らしさを人々に振りまいていることだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月17日


挿絵イラスト