エンパイアウォー⑰~闇より出ずる煌めき
●陰と陽
「皆の活躍で、また一人大物の居場所が明らかになったよ」
グリモアベースの一角、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が集まった仲間達にそう声を掛ける。今回判明したのは、魔軍将が一人、陰陽師「安倍晴明」についてだ。
水晶屍人をばら撒いて蔓延させるなど、魔軍将の中でも一際ろくでもない動きをしていた黒幕は、現在鳥取城内部に居るという。
「例によって、倒してもすぐに骸の海から帰ってきちゃうみたいだけどね。少なくとも、何度も何度も倒し続ければ、この戦争中の暗躍は阻止できるはずさ」
ひらひらと指を振って、軽い調子でグリモア猟兵はそう続けた。
「憎むに値する敵なのは僕もよく分かるんだけど、相手は強敵だ、挑むなら、心はともかく頭は冷静にね」
安倍晴明はどうにも熱意に欠ける様子をしているようだが、それはある種の余裕の表れでもあるのだろう。戦闘となれば、猟兵では及ばない力量を以って、確実に先制攻撃を仕掛けてくる。
手にしている得物は、機械式の双剣。威力は高く、一刀を受ければ、次の一刀による追撃はほぼ不可避のものとなるだろう。また、先に見受けられた水晶屍人の群れをその場に呼び出す事も出来るようだ。先日のそれは、猟兵にとっては脅威にもならない個体だったが、彼の呼び出すものはその上を行くことだろう。そして、符を用いた陰陽術。五芒符の描かれたそれは、回避しても晴明に有利なように地形を書き換える効果を持つ。
「一筋縄ではいかない相手だと思うけどね……これ以上の被害を出さないためにも、この男は確実に叩いておくべきだと僕は思う」
この戦争を無事に終えたとしても、市井に被害を出しすぎては『成功』とは言えないだろうから。
そう付け加えて、彼は一同の前に、鳥取城へと続く道を開いた。
「それじゃあ行こうか、皆」
つじ
こいつ……顔が良いな……?
という感じのボス戦です。純粋に強力な敵ですので、下記注意書きをよく読んでご参加ください。
特に複数人で参加される場合は、全員に先制攻撃が行くことを忘れないようご注意を。
●ご注意
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●今回の戦闘について
陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
第1章 ボス戦
『陰陽師『安倍晴明』』
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POW : 双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:草彦
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
斬断・彩萌
――そう、普通に戦っても勝てるあいてぢゃない。だったらこっちは策を練るだけだわ
悪いけど黙ってやられてやるほどほどお淑やかでもない。寝るのは一矢報いてからよ
心は冷静に凪いでいる
もし水面が揺れることがあるなら、それは誰かの危機の時だけ
まぁ、それが嫌だから一人で来たんだけどね
●SPD
先制とはいえ、合体にはそれなりに隙が生まれるはず
その間に経験からくる【戦闘知識】で【武器受け】の準備
いざ攻撃を仕掛けられたらTraitorで水晶人形の一撃を受け止めるわ!
受け止めたならいざ反撃の時間
ありったけのサイキックエナジーを込めた光楼を、雑魚は無視して清明に向かって放つ!
貫け――心の臓まで!!
※アドリブ・絡み歓迎
九之矢・透
アンタの仕業か
退屈だか知らないけど
戯れでソンな事されちゃ迷惑だ!
先制攻撃を確認し即、応戦態勢
「蜂鳥」使用
UC発動前から攻撃を受ける事もあるだろうが
「野生の勘」を駆使して「見切り」回避に集中しよう
避けられないものは「武器受け」で耐える
特に複数体での包囲に注意だな
囲まれそうな時は「逃げ足」と「ダッシュ」で外へ
初撃を乗り切ったらUC発動のまま攻撃に転じる
清明を殴りに行きたいが
まずは水晶屍人を倒して道を作る
ルート上や合体しそうなヤツらを「スナイパー」「暗殺」で確実に
出来れば最低限の攻撃で
別に憐みとかじゃない
アンタを一刻も早く殴る為だ
「破魔」「フェイント」を使って一撃を
その為なら
多少の寿命なんか構うか
●光条
「どうされましたかな、このような所で。迷い子にしては遅い時間でございましょう」
「言ってなさい、私はアンタを――」
討ちに来たのだ。そう斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)が告げる前に、敵将、安倍晴明の周りに水晶屍人が沸き上がる。呼び出したのではなく、喚び寄せたのだろう、前触れなく現れたそれらは瞬く間に鳥取城の一角を埋め尽くす。
「送って差し上げます。お帰りになるがよろしい」
「(――そう、普通に戦っても勝てるあいてぢゃない)」
襲い来る無数の手に対し、彩萌はそう思考する。ならば策を練るのみだ、あの余裕に満ちた表情に、一矢報いるために。
幾度も戦いの場に身を置いた彼女ならば、心を凪いだ水面のように落ち着ける事も可能だ。いつも通りに身体を動かし、計算通りの結果に手を伸ばす。
足元からも這い出してきた水晶屍人には、さすがに対応が追い付かないが、『1』の攻撃などたかが知れている。対応すべきは一歩向こう、積み重なり合体を繰り返した『26』だ。
「――邪魔ッ!」
振り下ろされた巨腕の一撃を、拳銃の一つで受け、滑らせる。水晶によるものか、硬質化した腕と拳銃がぶつかり合い、甲高い音が城内に響く。重い一撃を受け流せば、後はもう一方の拳銃で――。
狙うは晴明一人。だが射抜くべきその対象は、薄い笑みを浮かべて水晶屍人の間に沈む。『2』や『3』、中途半端なサイズの水晶屍人が邪魔をして、射線が通らない。
その壁越しに標的に当てる腕を、彼女は持っている。だが、その一撃は安倍晴明を仕留めるに足るのか? 思考の合間にも足元に群がる屍人が、腕で、歯で、彼女の動きをその場に縛りつけようと迫り来る。
「うわっ、ちょっとそこ退いて!」
どん、と。横合いからぶつかられて彩萌が姿勢を崩す。
「ち、ちょっと!?」
「おや、もう一方。今日はよく子供が迷い込む日のようで」
水晶屍人に追われて飛び込んできた九之矢・透(赤鼠・f02203)に向けて、さらなる屍人が召喚される。城に渦巻く怨念が形を得たように、立ち上がり腕を伸ばすそれらを、透は絶妙のタイミングで跳んで躱す。
「よ、よし、逃げよう!」
「ええ……?」
囲みを作ろうと動く敵に、透は彩萌を連れて逃げを決め込む。
「存外に素早い……まるで鼠ですな」
「っさい! ……で、やっぱこれ、アンタの仕業なんだな?」
敵の手に捕まらないよう駆けながら、透は晴明を睨む。水晶屍人、この戦争で使われたそれらを、彼女もまた目にしてきた。
「退屈だか知らないけど、戯れでソンな事されちゃ迷惑だ!」
ぐ、と踏みとどまって、透は駆ける方向を強引に変える。引き抜いたダガーは、彼女が応戦体勢に入ったことを示していた。
『蜂鳥』。今までの逃げ足よりも格段に速く、踏み込んだ透は腕を伸ばしていた屍人の肩を斬り裂き、また別の個体の胸を一突きにする。一体ずつ、晴明に向けて敵を仕留めていく方針ではあるが、しかし。
――慣れていない、無駄の多い動きだと彩萌から見れば分かる。それでも敵に捕まらないのはユーベルコードによるもので、その手の単純な強化には大抵代償が付きまとう。
そう、彼女は考えているのだろう、「多少の寿命なんか」と。
「――ああ、もう!」
だから一人で来たのに。
凪の水面に波紋が生じるのを思いながら、彩萌は両手の拳銃を走らせる。
透へと手を伸ばしていた『26』の肘を、膝を、順に撃ち抜き、動きを止めて。
「首を狙って!」
「え、わ、わかった!」
彩萌の声に従って、透がダガーでその屍体の首を断ち切る。込められた破魔の力が、哀れな人形をただの骸へと変えた。
「次、そこの『4』!」
「これか!?」
さらに降下しながらの斬撃で、指示にあった個体の首が落ちる。それが横倒しになり、きらきらと照明を反射する水晶が退いた、そこに。
「光よ、貫け!」
彩萌の左手が閃く。注ぎ込まれたサイキックエナジーと共に、Traitorから放たれた一条の光が、奔流となって走る。
「――!?」
晴明の眼が一度、見開かれる。一瞬生じた隙間を通して、放たれた『光楼』は彼の胸部を撃ち抜き、風穴を開けていた。
「……ッ!」
最後の一息を胸の穴と、喉から吐いて、晴明の身体が倒れ行く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アーノルド・スカーヴァティー
…なんだアイツ?
殺さないと…だって、彼奴は…『もう死んでるのに』…
いやいや、オブリビオンなんだから当たり前だよな、うん
あいつの攻撃には【殺人芸妓・押花】を当てて対処するぜ
初撃さえ回避できりゃ続く攻撃は出来ないなら、最初の一撃を何としても防いで見せる!
水晶じみた身体してるし、効くわけなさそうだが、一応毒を剣に塗っておくが…期待はしてねぇよ
せめて後続の強い奴らが有利になるように腕とか手は持っていきたい…!!
こいつはここで殺さないといけないんだ…!
死者を冒涜するなんざ、絶対、間違ってるんだ!
●刃
「……なんだアイツ?」
どこかぼんやりとした目で、アーノルド・スカーヴァティー(欠片の死神・f19324)はその男を見る。水晶を纏う体に、その笑み。
「殺さないと……だって、彼奴は……『もう死んでるのに』……」
「異なことを。私達が骸の海から来ていることなど、もうご存知のはずでは?
「あ? ああ……そう、だよな」
いやいや、と頭を振って、アーノルドは我に返ったように、握りしめていた右手を緩めた。
「では、参りますよ」
わざわざ宣言するのは余裕の表れか、晴明が滑るように彼へと迫る。唸りを上げる双刃、その初撃を食らえば追撃は免れないだろう。だからこそ、この一太刀目を――。
「(――速い!?)」
渾身の一撃での迎撃を狙ったアーノルドだが、その一手を放つ前に、初太刀が彼の身体に喰らい付いた。回転する刃が皮膚を、肉を千切り裂いていく。
「他愛ない、ですね」
瞬間、晴明のもう一太刀が十字を描くようにして叩き込まれた。血風が城の壁を、床を赤く染める。
「この……ッ!!」
衝撃と苦痛に、白黒する視界の中でアーノルドは敵を睨む。
こいつはここで殺さないといけない。彼の中から自然とそんな声が浮かんだ。
「死者を冒涜するなんざ、絶対、間違ってるんだ……!」
飛びそうな意識の中、倒れそうな体に鞭打って、大鎌へと変形させた黒剣を振るう。
『殺人芸妓・押花』。不完全ながら振り下ろされた一撃は、晴明の左腕を確かに裂く。
「ああ、驚きましたね。終わったかと思いましたが……」
自らの負った手傷、そして流れ込む毒の様を一瞥して、晴明はアーノルドが倒れ行くのを見送った。
苦戦
🔵🔴🔴
御鏡・十兵衛
うむ。得体の知れぬ屍人共を操る妖術士……何とも得体の知れぬ。
あの澄ました顔を崩すのは中々に骨が折れそうでござるな…それでこそ、挑み甲斐があるというものでござるが。
ちぇーんそう剣は回転する微細な刃で削り断つ凶悪な絡繰り。
防御は至難。掠り傷すら致命傷になりかねぬが……某の見立てでは、アレは至近距離での取り回しに難がある筈。
死中に活あり。某はあえて前進しよう。
剣の軌道を『見切り』姿勢を低く、素早く奴の懐へ潜り込むことで回避を試みる。
成功したならば、それは同時に攻撃への好機をも意味する。
逃さぬよう、組み付きからの一刀を。
あ、無理そうだったら鞘のままぶん殴るでござる。案外斬るより威力は出るかもしれぬな。
皐月・灯
……そうか。あの水晶屍人の元凶はコイツか。
安倍晴明……いや、名前なんざどーだっていい。
興味があんのはたったひとつ……その面ブチ砕くってことだけだ。
オレの手はシンプルだ。
初撃、ヤツの双剣の軌道を【見切り】、【カウンター】で《断切ル迅翼》を叩き込む。
……そう簡単じゃねーってことは承知の上だ。
だが、二刀流だって剣は剣だ。オレを斬るために、必ず予備動作がある。
それがどれだけ短いのかは知らねーけどな。
――要は、オレがその隙を捉えられるかどうか、それだけだ。
【捨て身の一撃】? ……かもな。
――そんなにこの世に飽きたってんなら、黙って骸の海に沈んでろ。
叩き返してやっからよ……オレのアザレア・プロトコルでな!
●交錯
「……そうか。あの水晶屍人の元凶はコイツか」
「うむ。得体の知れぬ屍人共を操る妖術士……何とも得体の知れぬ」
何で二回言った? 思わず御鏡・十兵衛(流れ者・f18659)の顔を見る皐月・灯(喪失のヴァナルガンド・f00069)だったが、それを口に出すのはとりあえず堪えた。
「あの澄ました顔を崩すのは中々に骨が折れそうでござるな」
その分挑み甲斐はあるけれど、と言う十兵衛から先行するように、灯は敵の方へと歩を進める。
「なに、あの面ブチ砕いてやれば良いんだろ?」
橙と薄青、二色の瞳が、水晶を背負った男――安倍晴明へと向けられた。
「お喋りは終わりましたかな?」
ゆらりと前に出る敵の両手には、唸りを上げるチェーンソー剣が一対。回転する刃はただただ押し付けるだけで対象を食い散らかし、千切り取る事が可能な品だ。それ故に、予備動作は極小。最悪突き出すだけの動きになるだろうか。食らってしまえば避けられぬ二撃目で全てはお終い――。
それでも確りと見開いた眼で、灯はその動きを捉えられる方に、賭けた。
「――はッ!」
呼気に、思わず漏れた笑みが乗る。神速の刺突もかくや、という勢いで突き出された剣を、灯は半身になって躱した。しかしそれだけに終わらず、晴明は突き出した刃をそのまま真横に走らせる。まともに力の乗らないその即席の斬撃も、晴明の力量とチェーンソー剣という特性を考えれば十分に脅威になるもの。
しかしそれをも見切って、灯は唸る刃の下を潜り抜けた。そしてその動きのままに、右腕に術式を展開。言葉をかける隙間もない一瞬に、彼はその拳を乗せた。
――そんなにこの世に飽きたってんなら、黙って骸の海に沈んでろ。
「アザレア・プロトコル4番――《断切ル迅翼》!」
刃を振るって開いた身体、その下方から顎に向けて、光り輝くガントレットが叩き込まれた。
「なん、と。私の太刀を捉えますか」
呻く晴明の顔面に、迸る魔力によって大きな切り傷が刻まれる。たたらを踏んだ、そこへ。
「お次は某でござるな!」
刀を手に、十兵衛が飛びかかる。一見無謀だがそうではない、先のやり取りから着想は得られているのだ。
――防御は至難で、掠り傷から致命傷に即刻化け得る状況なのも事実なのだが。
「死中に活あり、というやつでござる!」
着地と同時に身を低く、十兵衛はあえて前へと踏み込んだ。剣の軌道を即座に見切り、すり抜けて、地を這うように低く、低く。飛び込んだそこは、懐。あの歪な機械剣の、死角となる場所だ。
「計算どーりでござるな!」
距離を取らせまいと組み付いて、十兵衛はそのまま刀へと手を遣る。そして、鞘から刀を引き抜いて――。
「無理!!」
残念ながら腕が一本足りない。引き抜くところまでいかなかった刀を、十兵衛は鞘ごと振り下ろした。
「何と……そのような真似を」
重い金属の塊での一撃が、晴明の額を割り、その身をふらつかせる。
「見たでござるか灯殿、あの面崩してみせましたぞ!」
「ああ、だが……一発じゃ足りねぇな」
拳を握り、さらなる魔力回路を走らせる灯と、今度こそ刀を抜いた十兵衛が、双方向から晴明へと襲い掛かっていった。
次なる交錯もまた一瞬。それにより、晴明はかなりの深手を負う事になる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ジャック・スペード
……ヒトをあんな異形にしても
何も感じないのか、お前は
召喚された水晶屍人は合体させたくないな
リボルバーから炎の弾丸を広範囲に放ち
なるべく其の数を減らして行きたい
もし合体した者が向かって来たら
その攻撃は刀で武器受けしてカウンターで切り裂くか
グラップルと怪力で受け止めて零距離射撃で反撃を
屍人の攻撃を凌げば、片腕を機械竜に変化させ本体へ捨て身の一撃
暴食の牙で鎧無視攻撃を行おう
――思い切り噛み砕いてしまえ、ハインリヒ
我が身の損傷は激痛体勢で堪え
空いた腕に持った刀でも攻撃を
刃に毒を潜ませて渾身の力で奴に刺し込もう
死者も生者もお前の玩具では無い
これ以上、弄ばれる人々が出ないように
お前は骸の海に必ず沈めてやる
フィン・クランケット
あなたが噂のセイメイ・アベノ!!
わー!顔がいいっ!!
はっ、いえいえ、そんなことで惑わされる私じゃありませんよっ
私の周りだって、顔のいい人たくさ…こほん!
さておき、食い止めさせていただきます!
先手はどうぞぉ
敵のUC発動直後、屍人を合体させるより早くこちらもUC発動
力の弱い内の方が凍らせやすいですからね
目につく敵は片っ端から氷付けに
障害物になるし、思考力の劣る敵ならこれで足止めできるはず
私はセイメイさんへの最短ルート上にいる敵を最低限に各個撃破して進みます
砕けるのが水晶なのか氷なのか分かりませんねぇ
セイメイさんと薙刀で一騎打ち
半分くらい凍っててくれてませんかねぇ?
ともあれ、せめて片腕砕くを狙って!
三寸釘・スズロク
また「持ち帰る」担当の方?
陰陽師ってのは人々を救ける職じゃねーの?
暇してるんならこの身体の呪いでもひとつ祓って欲しいもんだけど
なんてな
ヤバい相手には人形
『エレクトロワイヤー』スイッチオン、『バーゲスト』起動…
……
屍人共の攻撃は人形を前に出して庇わせる
その間に…『あいつ』のUCに頼るのは癪だが
【舞台袖の生殺与奪】で気配を殺して、屍人の群れに紛れてヤツに接近
至近距離でUC解除、[クイックドロウ]『Fanatic』連射でブチ込んでやる
多少の負傷は[激痛耐性]気に留めない
怒りなんて沸かねえ、『俺』じゃ愉しませてやれないかもな
何しろ不死ってのに同情するよ
空虚にもなる
せめて此処で存分に暴れとくか、お互いに
菱川・彌三八
冷静に、冷静に
わぁってら、ばかげた真似ァしねぇ
確実にぶちのめせるなら、待ちもすらぁ
出したなァ奴と同じ珍妙な刀
斬るじゃなく、削る
その硬そうな体にゃおあつらえ向きじゃねェか
使い方ァ…他とのやりとりから盗む
情報収集で見様見真似、振動は気合、後ァ俺の自力
数ァ仕方ねぇ、合体される前に先制攻撃だ
狙いはそれぞれの膝、もしくは首
基本は前方間合い内、範囲攻撃に麻痺と雷撃属性乗せて衝撃波叩っ込んで横凪に吹っ飛ばす
を、二重に
受け手は激痛耐性と気合、咄嗟の一撃で距離を
攻撃を見切るんじゃねェ、お前ェまでの道筋を、攻撃の通りやすさを見切って進むぜ
気取りやあがれ傾奇野郎
何度でも
お前ェが弄んだ命の数分
何度でも
ぶち折っちやらあ
アルバ・アルフライラ
死霊を操る点では同類とは
…不愉快にも程があるが
然し凝りもせず何度も湧くとは虫か何か?
屍も重ねられれば負担も増えよう
不意打ちに注意し【夢より這い出し混沌】で上空から強襲
数字の若い順に爪で捕え、踏み潰す
兎にも角にも数を減らす事が先決
ある程度屍を蹴散らし、晴明への道が開けたならば
周囲を撹乱しつつ接近、翼竜で攻撃
とはいえ私はオブリビオンを疎めど侮りはせん
竜の一撃が当たれば良し
晴明の攻撃を竜が受けたならば
注意が其方へ向いた隙に攻撃
損傷は避けられぬし
最初から私へ攻撃が向く事もあろう
故に攻撃の軌道を第六感で予測
致命傷だけは避け激痛耐性で気絶を凌ぐ
腕がもがれようと気さえ失わなければ
この刃は、魔術は届くだろうよ
●吼え猛るもの
「あれが噂のセイメイ・アベノ!! わー! 顔がいいっ!!」
「参ったなぁ俺よりイケメンじゃねーの。なぁアンタ、そんな暇ならこの身体の呪いでもひとつ祓ってくれねーかな?」
「なァに阿呆なことぬかしてんだ、てめぇら!」
敵を前にわいわいし始めたフィン・クランケット(蜜柑エルフ・f00295)と三寸釘・スズロク(ギミック・f03285)を、菱川・彌三八(彌栄・f12195)が一喝する。
「ああ、やっぱ駄目だよなぁ……」
「大丈夫ですよ、惑わされてるわけじゃありません! 私の周りだって、顔のいい人たくさ……こほん!」
「ああ、もう、勝手にしやがれよォ……」
調子が狂う、というように頭を掻いて、彌三八は改めて、敵である安倍晴明へと視線を向けた。だが、おかげで冷静になれた部分もあるだろうか。
「死霊を操る点では同類と言えなくもないか……不愉快にも程があるが」
死霊術士でもあるアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)の言葉に、晴明は不思議そうに小首を傾げた。
「解せませぬ。そちらの術と何が違うのでしょうか?」
そしてその言葉と共に、晴明の術が発動する。城中に蔓延る怨霊がその身を得たように、水晶屍体が群れを成して湧き出す。
それも先日と同様の存在だとすれば、素体はやはり誰かの死体なのだろう。
「あぁ、やっぱり気に食わねェな……」
吐き捨てるように言う彌三八に、ジャック・スペード(J♠️・f16475)もまた頷く。
「……ヒトをあんな異形にしても、何も感じないのか、お前は」
「はて、感じ入らねばならぬ何かが、これにあるでしょうか?」
心底思い至る要素がない、という相手の様子に、ジャックは敵への理解を放棄した。ならば相応に、やれる事をやるまでだ。
素早く拳銃を横に構え、薙ぎ払うようにして炎の弾丸を連射、纏わりつこうとする屍人の第一波を炎で包む。
「ではこちらも、食い止めさせていただきます!」
それから一歩遅れる形でフィンが『Valkoinen hautakivi』を発動、氷を生み出す花弁の嵐を展開し、合体が進む前の小さな個体を次々と凍らせていく。
「助かったぜ、それなら俺も――」
敵の初動を押さえられれば、自由に動ける部分も大きい。
『エレクトロワイヤー』スイッチオン、『バーゲスト』起動。スズロクの十本指が踊り、電子の糸に引っ張られて機械人形、『バーゲスト』が鉤爪付きの巨腕を振り下ろした。
一方のアルバは、『夢より這い出し混沌』、黒き翼竜を召喚し、それに乗って飛び上がる。そして、彌三八の手には。
「確実にぶちのめせるなら、待ちもすらぁ、な」
脈動のように、定期的に低く唸る、その剣が握られていた。
「それでは、片っ端から氷漬けにしていきますよー!」
氷の嵐を展開し、フィンは群がる屍体達を氷の彫像へと変えていく。目指すは敵将安倍晴明、薙刀を手にした彼女は、最短ルートを塞ぐ個体を斬り砕いた。きらきらと破片を飛び散らせ、屍体の彫像が崩れ行く。
「飛び散ってるのが水晶なのか氷なのか分かりませんねぇ」
破片が口に入ったらやだなぁ、みたいな感想を口にしながら進もうとするフィンに、機械人形が援護の手を回す。
「道作りなら協力するぜ?」
いつの間にやら姿を消していたスズロクの声が響いて、彼の操作に従った『バーゲスト』が組んだ両腕を叩きおろし、邪魔者を粉砕。
「まずは、兎にも角にも数を減らす事が先決だろう」
背中を襲われては敵わんからな、呟いて、アルバが黒竜と共に舞い降りる。まだ動いている個体を掴み取っては握り潰し、彼はピンポイントで邪魔者を排除していく。
「ああ、さっさとここを切り抜けて――」
大口径の拳銃で近づく敵の頭を吹き飛ばし、先頭に出たジャックがそれを見上げる。
「氷が届いてない箇所もある、か」
「新しく召喚された奴かも!」
フィンの言葉になるほど、と頷いて、ジャックは刀を両手で握り、迫る『18』の巨腕を受け止める。
「くっ――」
重い。そう感じたところで、それが一気に軽くなる。
「こちらも手を貸そう」
「ああ、助かる」
敵の背に舞い降りたアルバの黒い翼竜が、爪を突き立て、ジャックから引き剥がすように翼を打ち振るっていた。
自由を奪われたその身に一太刀浴びせて、ジャックはそのまま前へと抜ける。屍人達の壁を抜ければ、そこに居るのは敵将だ。
「――思い切り噛み砕いてしまえ、ハインリヒ」
『暴食に狂いし機械竜』。その右腕が形を変えて、黒い装甲の上に銀に輝く竜の頭部が生まれ出でる。大口を開け、凶悪な牙を見せつけたそれは、しかし。
「勢いに乗ったおつもりで?」
晴明の振るったチェーンソー剣に頭を押さえつけられ、がりがりと抉られながら地へとぶつけられる。体格差を物ともしない膂力を見せつけ、晴明はもう一方の刃でジャックの胴体を抉りにかかる。漆黒のボディに白銀の刃が食らいつき、凄まじい音と火花を散らす。
「ああもう、凍っててくれればよかったんですけどねぇ!」
それを阻止すべく踏み込んだフィンが、薙刀を跳ね上げてチェーンソー剣をジャックから外す。
「残念ながら、この身は動くようでして」
「はいはい、仕方ないですね」
言いつつ、フィンはそのまま接近戦に舵を切る。しかしその回転する刃は、まともに打ち合うには特殊過ぎる代物だ。
「ならば、止まっていてもらおう」
そこで、ジャックが再度前に出る。ひしゃげた右腕をそのまま盾代わりに、チェーンソー剣の片方を押さえ込むようにしながら、空いた手で握った刃を全力で突き立てた。
「死者も生者も、お前の玩具では無い。これ以上、弄ばれる人々が出ないように、お前は骸の海に必ず沈めてやる」
その場に縫い留めるように、晴明の右腕に刃が深々と突き立つ。そして。
「そこっ!」
追い打ちに振るわれたフィンの薙刀が、罅の入ったその右腕を叩き切った。
「――なんと」
やられましたか、と他人事のように言いながら、晴明が数歩後退する。逃れるような歩みと入れ替わりに、また何体もの水晶屍体が猟兵達の前に立ち塞がるが。
「よォし、掴めてきやがったあ!」
彌三八の手の内で、召喚したガジェットが大きく吠える。その形は言うまでもなく、晴明の手にしたものと瓜二つ。つまるところ、チェーンソー剣だ。
思い切り横薙ぎに振られたそれは神をも殺す歌を奏で、雷撃と衝撃波を伴って水晶屍体の群れを吹き飛ばす。道筋は開いた。
「ああ、物真似にしても、それでは片手落ちと言うものでは?」
「気取りやあがれ傾奇野郎! 今のてめぇには似合いだろうが!」
使い方は見様見真似。だがこれまで散々晴明が振るってきたことで、手本はいくらでも得ることが出来た。あとはセンスと気合の問題で、幸いこの絵描きはその両方に長じている。
突き出された刃は負傷した晴明の防御を抜け、その身体へと喰らいつく。
「はぁ! その硬そうな体にゃおあつらえ向きじゃねェか!」
ぎゃりぎゃりと回転する刃は、斬るのではなく削り取るようにして、晴明の身体に食い込んでいく。
「お前ェが弄んだ命の数分、何度でもぶち折っちやらあ!!」
自動の刃が食らいつくに任せて振り切れば、胴体を大きく削り取られた晴明が、バランスを保てなくなったようにたたらを踏む。
そこにとどめとばかりに喰らいつくのは、獲物をずっと狙っていた黒い翼竜と、スズロクの操る『地獄の猟犬』。急降下からの爪の一撃を狙う翼竜に合わせ、機械人形は仕込んでいた銃器を全て展開、一斉射撃に入る。
怒涛の連続攻撃は、しかし、五芒星の符による遠距離攻撃と、唸る刃で打ち破られる。機械人形を機能停止させ、黒竜を斬り伏せた晴明は、悠々とそこに着地する。
が、猟兵側は当然それも見越していた。竜に、人形に、攻撃が向くならそれで良いのだ。意識がそちらに割かれれば、それは『隙』と呼べるのだから。
楔を握ったアルバの腕が、その胸を穿つ。そして、『舞台袖の生殺与奪』、気配消しの業でとうの昔に姿を隠していたスズロクが、ついにそこに姿を見せた。
「『あいつ』の力を借りるのは癪なんだけどな」
別人格が腹の裡で笑うのを感じながら、彼は無造作に引き金を引いた。
「悪いけど、アンタに怒りなんて湧かねえ」
何しろ、不死だ。空虚にもなるだろう、同情、憐み、それくらいしか、この『スズロク』には向けられるものがない。
力尽き、骸の海へ帰っていくそれを見下ろして、彼は一つ溜息を吐いた。
「――どうだい、全力で暴れられたか?」
成功
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都槻・綾
f11024/かよさん
水晶の翼は
骸海の雫の結晶でしょうか
肌を刺す程の迫にさえ
必ず波紋の如き緩急の虚があるから
研ぎ澄ます第六感に響く警鐘や
身に着けたヒトガタの依代が震えて危難を報せるを逃さず
オーラ防御を自他共に展開
無駄なき指運びにて空に描く五芒星
属性攻撃力と破魔の力を高める祈りを編む
敵の符は外させずに迎撃
高速詠唱で謡う鳥葬、二回攻撃
ひとつ、
灼熱の鳳凰が五芒符を跡形もなく焼き
塵も残さず、地を裂かせもしない
焼き切れぬ際は身に受けオーラで痛みを軽減
ふたつ、
かよさんの作りし隙と機を過たず読み
先陣を追い翔けた火の鳥が
氷の如き水晶のひとへと食らいつく、反撃
幾度も黄泉還るあなた
自ら背負う海に飲まれて
朽ちて逝け
境・花世
綾(f01786)と
傷を受ける覚悟で敵に相対
襲い来る符を逸らさず“視”て
早業で掲げる裁曄で切裂き、
少しでも威力を削ぐ
綾の防御に包まれて尚、
呪詛がこの身を蝕んだとしても
きみのくれた護りが懐にあるから
魔はわたしをほんとうには壊せない
今は、痛みさえ飛び越えてみせる!
先の衝撃に散った花びらは、
ひそやかに敵を縛るカウンター
零れ出す幻惑の馨で攻撃後の隙を突き
夢の狭間に閉じ込めてあげよう
――綾!
火鳥の嘴が過たず刺さるよう
爛々と敵将を見据えて、
百花王をいっそう濃く馨らせる
この世界を守るために
弱さも怖れも抱えて進むひと達がいる
彼らを行かすと、生かすと、決めたから
どうか今は――あの海へとかえりゆけ
●
魔軍将、安倍晴明に、都槻・綾(夜宵の森・f01786)と境・花世(*葬・f11024)が相対する。背に負う水晶の翼の輝きに目を細めながら、綾は指を前へと突き出す。
宙に描かれるは五芒星。だが、同じ模様を描いた符を、晴明は既に放っていた。編まれた綾の祈りは、守護の力を二人にもたらす。しかし続く詠唱は間に合わない、そう綾は悟る。敵の符は、こちらの障壁をやすやすと突破してきていた。
「任せて。出来るだけ防ぐから」
二人の布陣は横並びではなく、前後。前に出た花世はその左眼と、右眼に宿した百花の王で襲い来る符を『注視』する。そして取り出した裁曄で以って、その符を迎撃、空中で両断しにかかる。
ひとつ、ふたつ、みっつ。晴明の手にから放たれたそれらを舞うように斬り捨てるが、しかし二人分全ては祓えない。ならば躱すべきかと言うと、それもまた得策とは言えないだろう。ゆえに二人はその身で、敵の攻撃を受け止めた。
衝撃が花世の花弁を散らし、符より生じた呪詛が、毒のように二人の身体を責め苛む。
その状態からいち早く脱した――否、止まることすらなく、花世はそこを駆け抜け、飛ぶ。彼女を守るのは外部の障壁のみではない。綾から贈られたそのヒトガタが、呪いを一時肩代わりしてくれていた。
「眠ると良い」
百花の王が敵を見据える。散り行く花弁と共に広がった甘い香りは、視線の先、晴明を包み込むように広がっていく。
その妙な雰囲気に警戒する晴明だったが、その瞳が一瞬、色を失う。
「――綾!」
ああ、そう、このタイミングだ。花世の声に応じ、負傷を押しながらも綾がそれを解き放つ。
「時の歪みに彷徨いし御魂へ、航り逝く路を標さむ」
描き出されるは灼熱の鳳凰。辺りを照らす眩い光を羽ばたかせて、その鳥は晴明の元へと飛んでいった。
風に乗って舞うその姿は、放たれた矢のように。鋭い嘴が、二人の敵を狙う。
「この世界を守るために、弱さも怖れも抱えて進むひと達がいる。彼らを行かすと、生かすと、決めたから、どうか今は――あの海へとかえりゆけ」
「そして幾度も黄泉還るあなた。自ら背負う海に飲まれて、朽ちて逝け」
祈りと共に濃くなりいく馨と、炎の鳥達が舞い、晴明に襲い掛かった。
炎の翼を反射する敵の水晶には、まだ余裕を残した敵の顔が映し出されている。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
笹鳴・硝子
【WIZ】
五芒符は敢えて受けます(オーラ防御・生命力吸収)
あちらの戦闘力を高めてやるのも業腹ですし
急所を庇ったりして備えても勿論痛いですけど我慢(激痛耐性)しますよ、お姉ちゃんですからね
「――【晶】、あのお綺麗な横っ面をぶっ叩け」
『おねえちゃんをいじめたなあ!』
【晶】(UDC・ざわつく影の獣の仔)には
精霊銃(水属性)の射撃(属性攻撃・スナイパー・援護射撃・2回攻撃・鎧砕き・武器落とし・カウンター)で援護
幾度斃しても骸の海から帰ってくるという彼は、疵の入ったレコードが同じ旋律を繰り返すのを思い起こさせる
「誰よりも何よりも……どのオブリビオンよりも、つまらない生に捕らわれているのですね、貴方は」
神籬・イソラ
同じ「まじない」を扱う者として
直接まみえたいと思っておりました
貴方さまも、その身に『呪い』を宿しておいでなのですね
かように心地良き場でお目にかかることができ、光栄にございます
いのちの名――セイメイを冠する御方
この場にて戦闘力を強化させるは厄介
符はあえてこの身に受けましょう
放つ瞬間の挙動を見極め『巫覡載霊の舞』を発動
女神のごとき神霊体へ変身し、攻撃の軽減を狙います
ナノマシンアーマーも多少の助けになれば
傷の回復は後に
なぎなたの衝撃波で敵の足止めを狙います
一瞬でも隙を作れ、他猟兵の契機となれたなら
場に満ちる怨念は、わたくしにとってはいとおしきもの
恨みつらみをこの身に降ろし、彼らの無念ごと挑みましょう
花咲・まい
【WIZ】
ははあ、陰陽師の方ですか。
これはまた、大悪災とはまた違った方向に厄介な方のようですね?
それに五芒符とは。
魔除けに使われることが多いですが……私は確かに羅刹ですけど、それを向けられるのは些か業腹というものです!
とはいえ、この場合避けるのはよくありませんですね。
軌道を見切り、お符は武器で受け斬る方向でがんばってみますです。
もし防ぎきれずとも、威力の落ちたダメージなら気合いで何とかなりますですよ。
その後は、こちらも【悪鬼万来】の力をお見せしますです!
決め手には欠けますが、他の方の助けとなるかもしれませんですから。
強敵であればこそ、協力して参りましょうです!
*連携、アドリブはご自由にどうぞ
●白黒紅
「かように心地良き場でお目にかかることができ、光栄にございます。
いのちの名――セイメイを冠する御方」
ひた、と独特の足音を立てて、神籬・イソラ(霊の緒・f11232)が敵将の前へと進み出る。身体が半ば水晶と化した陰陽師と、黒い流体状の、無貌の巫女が向かい合う。相手の姿を認めて、晴明は多少興味が湧いたとでも言うように片眉を上げた。
「これはまた、可笑しな形をなさっておられる」
「そう、見えますか。けれど貴方さまも、その身に『呪い』を宿しておいででしょう?」
イソラの指摘に、晴明は答えない。このような形に、このような存在に、『なり果てた』と晴明は評した。ならばこの人間としてはあり得ぬ姿も、望むものではないのだろう。
「同じ「まじない」を扱う者として、直接まみえたいと思っておりました」
「なるほど。でしたら、あの方も陰陽師なのですね」
その言葉に、傍らの花咲・まい(紅いちご・f00465)が反応する。先に戦った『大悪災』とはまた別方向に厄介だと、そう抱いた感想は、すぐにその場で証明されることになる。
「お望みとあらば、お見せしましょう」
晴明の広げた両腕に従うように、無数の符が猟兵達へと襲い掛かる。その表面に描かれているのは、五芒の星だ。様々な魔術、陰陽術で用いられるその印章は、魔除けに使われることも多いもの。
「……私は確かに羅刹ですけど、それを向けられるのは些か業腹というものです!」
物語に出てくる鬼のように、巨大な太刀を引き抜いたまいは、軽々とそれを振るって見せる。生じた剣風は自らを、そして仲間を守るために。斬撃によって、何枚かの符を空中で無効化。そして斬り捨て切れなかった多数の五芒符が、彼女等を穿つ。
選択したのは、回避でなく防御。迫る符を急いで躱したところで、それはまた地形に働きかけ、敵に有利な状況を作ってしまうだろう。
「――っく、あ……!」
笹鳴・硝子(帰り花・f01239)もまた、その身を晒した者の一人だ。防御のためのオーラを展開し、急所守った彼女だが、呪により全身を走るダメージはかなりのもの。
「我慢、しますよ、これくらい。お姉ちゃんですからね」
心配そうに問い掛けてくる『それ』に応えながらも、思わず彼女は膝を付いた。
そしていくつか符を落としてマシになったとはいえ、まいもまた同様のダメージを負っている。こと痛みを耐える事に関しては、硝子の方が得意だっただろう、走る苦痛に、彼女もまた動けないでいるそこに。
「角持つ者、やはり祓いたくなってしまうものですね」
低く唸るチェーンソー剣が振り下ろされる。無造作に命を絶つはずのその攻撃は、しかし振るわれた薙刀によって押し留められた。
「そのように仰るのですか、その姿になっても」
現れたのは、光纏う女神の姿。まいの稼いだ一瞬を活かし、巫覡載霊の舞を発動したイソラは、女神の如き神霊体へと変じて符によるダメージを軽減していた。
他の二人よりも早く復帰した彼女は、今度はこちらの番だと言うように、薙刀で以って晴明に挑む。
とはいえ相手が手にするのは回転する刃を持つ機械剣。まともに武器を合わせれば彼女の薙刀は両断されてしまうだろう。けれど、今の彼女ならば薙刀から放つ衝撃波での戦闘が可能だ。
縦に横に、かまいたちにも似た剣閃で、イソラは晴明を斬り捨てようと目論む。そう、実力的にそれには及ばずとも、牽制のためにも。
「貴方様が居られるからでしょうか、この場に満ちる怨念は、皆々声を上げています」
衝撃波から身を躱す晴明に、イソラはそう言葉を投げる。いとおしきもの、生者であった、死者の怨念、その恨みつらみを依り代としてその身に帯びた彼女は、光の中で黒く染まる。
「彼等の無念に、何か仰りたい事は?」
「いいえ。特に、何も」
全く無感動に言い放たれたそれに、相容れないものを感じ取り、イソラはその両腕に一層の力を込めた。
しかし、その動きは既に見切ったとでも言うように、晴明の剣がそれを打ち払う。たとえ女神の似姿になろうとも、その双刃は神をも殺すと唸り、歌う。
「――【晶】、あのお綺麗な横っ面をぶっ叩け」
『おねえちゃんをいじめたなあ!』
それは雷鳴。硝子の呼び声に応えて姿を見せたUDC、【晶】が、雷を纏う腕を広げて、晴明へと殴り掛かった。
「ははあ、妙な獣を連れておいでだ」
形を成したざわつく影の攻撃を、晴明はその水晶の身体で受け止める。スパークする紫電が水晶を眩く照らすそこに、『門』が開いた。
「強敵であればこそ、協力して参りましょうです!」
悪鬼万来。まいの開いたその扉からは、力が、呪詛が溢れ出し、敵である晴明の動きを縛る。
「私に、呪いを? またつまらぬことをなさいますな」
すぐにでも、この男はその身の自由を取り戻すだろう。その前に、大刀で、なぎなたで、UDCの振るう腕で、彼女等は連続で攻撃を叩き込んだ。
苦戦
🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
馮・志廉
軍勢同士の激突。為政者同士の争い。
そんな物に興味は無いが、水晶屍人は民衆を狙ったもの。
見逃す事のできない、討つべき敵だ。
自らも予知で見た、屍人による惨状を思えば、義侠心は滾る。
双神殺による先制攻撃をかわすために、チェーンソー剣の特性である、側面は動かない事を利用する。
『馮家身法』で剣の動きに従って身をかわし、機を見て『大力鷹爪功』の尋常ならざる指力でチェーンソーの側面を“つまむ”。
振りほどかれぬよう影の如く動き、離さない。上へ振り上げるならば、自らも逆立ちするようにピタリとついて行く。
回転刃の接触を恐れ、剣同士を近づける事は避けると見る。
隙を見て、取り出した飛刀を放つ。
狙うは、安倍晴明の眉間。
●
軍勢同士の激突、為政者同士の争い。それならば好きにやれば良い。馮・志廉(千里独行・f04696)はそう考える。しかし、水晶屍人は、民衆を狙ったものである。
彼自身も予知で見た光景、その惨状、それを思えば見逃すことのできる相手ではない。
陰陽師『安倍晴明』、それが討つべき敵の名だ。
神をも殺すと称された刃を前に、志廉はその身を晒す。逃れ得ぬ先制の爪牙。回転し、引き裂く凶悪な刃は、斬るのではなく押し当てるだけで致命傷を与えることが出来る代物だ。その刃の脅威は言うまでもないが、しかし。
その側面は、如何か。
馮家身法、身を軽く、それは舞う木の葉のように。唸り上げる刃からぎりぎりのところで身を躱し、それを『つまむ』。
親指と人差し指、そして中指。回転する刃の内側に添えられたそれは、驚異的なピンチ力でそれを押し留めた。
「何を、馬鹿な」
鼻で笑う事もせず、晴明はその刃を無造作に振るう。しかしその動きに影のように付き従い、志廉はその手を離さない。
「一体何の曲芸でしょうか、くだらぬこと――」
刃を降ろし、捻り、振り上げる。何のことはない。相手が手を離せば勝手に刃の餌食になるであろう、そのはずが。
「――!」
「当てが外れたか」
力を流され、追従され、終いには刃を摘まむ手を軸に、逆立ちするような姿勢で、彼は攻撃を避けてみせる。
「なるほど、これは」
面白い、などと、最後まで言わせるはずがなかった。
翻弄するような動きとは裏腹に、彼の胸は滾る義侠心で満ちていたのだから。
「――アァ」
すとんと落ちた飛刀が、晴明の眉間を貫く。
普通ならば、その程度では。しかしここまでの戦いの、炎が、雷撃が、斬撃が、削り取ったその身体には蓄積されていた。
「骸の海へ帰るが良い」
そして、二度と出てくるな。
崩れ落ちていくその身体を見遣り、志廉はそう呟いた。
猟兵達の手により、鳥取城は一時の平穏を得た。たとえあの男がすぐに帰ってくるとしても、これを繰り返せば、いずれ――。
成功
🔵🔵🔴