エンパイアウォー⑥~和洋折衷兵器戦
●関ヶ原
かつて大軍が集いし原野に、またしても人々が大挙して集合する。
部隊につき総計256名。全員が右手に長槍、左手に大楯を構えていた。
その中央には指揮官の姿。行軍に合わせて前へ前へと進む。
だが見れば、指揮官の男は虚ろな顔をしていた。恰好そのものも、周囲を行進する農民兵たちと大きな差異はない。
彼の角帯には黒い鞘の刀が指されていた。何者かの手のように、碧い鬼火がその刀を囲んで浮かび、空中に跡を残す。果たして赤い布を巻いたのは誰なのか、一体何がそこに灯っているのか。知る者はいない。
ただし、明白なことはいくつかあった。
一つ、この大軍を攻略せねば幕府軍に勝機はないこと。
一つ、この部隊を操るのが奇怪な日本刀という、奇妙な事実。
そして、さらにもう一つ。
それにより、武具に人が使役されるという倒錯した状況が生じていることだ。
●グリモアベース
集合した猟兵たちを前にして、木鳩・基(完成途上・f01075)はため息をついた。
「それにしても、『ファランクス』ですか。また厄介なものが来ましたね……」
幕府軍は大きな損失なく関ヶ原に到達。ここには幕府軍を待ち受ける信長の軍勢が立ち塞がる。それを指揮している一人が大帝剣『弥助アレキサンダー』だ。
彼が所持する『大帝の剣』は広範囲への洗脳効果を有している。この剣の能力は畿内全域に影響し、農民たちが意思もなく手駒として動く有様だ。
大衆を引き連れ構築した、人海戦術的な陣形こそファランクス。右手で長槍を構え、左手の盾で自分の左隣の者を守るこの陣形は、幕府軍には突破できない。
手帳を読み上げて陣形の仕組みを説明し終えると、基は端的に要求する。
「みなさんには、ファランクスを崩してほしいんです」
ある種、無敵の陣形。果たしてどう崩壊させるのか。
ページをめくり、基は猟兵に手帳を突き出す。四角形の真ん中に点が打ってある、何かの図が書かれていた。
「アレキサンダーは剣の効果を保つために、陣形のちょうど中心にオブリビオンを配置しているそうです。つまり、このオブリビオンさえ倒してしまえば……一気にファランクスが崩れるんですよ!」
活き活きと話す基に、猟兵たちが視線を突き刺す。陣形の中心部をどう攻撃するのかという問いに、彼女は目を泳がせた。
「それは……そうですね。なんとかしてもらうしかないですね。そのために、猟兵であるみなさんに集まってもらったんですし。そういえば、兵士は元々農民の人たちなので、あんまり傷つけないようお願いします」
太平の世で不本意にも戦場に駆り立てられた農民たち。ファランクスを崩すことは彼らの解放にも繋がる。一見無茶な押しつけかもしれないが、猟兵ならではの打開策が見つかるはずだ。
ところで、と基は話を切り替えた。
「肝心のオブリビオンなんですけど……どうも、刀が統率してるみたいですね」
図の隣のページには、鬼火を纏う黒い鞘のイラストがあった。曰く、装備者の生命力を吸い取りながら力を与える呪いの刀であり、早い話が妖刀である。陣形の真ん中には男が立っているらしいが、その男も結局は傀儡だ。恰好から判断するに、洗脳された若い農民にこの刀が渡され持ち主を強制的に担ったのだろう。戦闘時は抜刀して襲ってくると思われるが、それは彼の意思ではない。
「他の農民と同じく直接攻撃は避けた方がいいですし、むしろ攻撃しても刀が壊れないとファランクスも崩れないので意味がないですね。刀を狙っていきましょう!」
助言を呟き、基は改めて猟兵に向き直った。
「そういや、大軍の中に突っ込むことにもなるんですよね。……思いっきりやれば、上手くいきますよ、たぶん。頑張っていきましょう!」
その鼓舞に根拠はないが、活力だけはある。それを受けた後、猟兵たちは関ヶ原の地へと送られていった。
堀戸珈琲
どうも、堀戸珈琲です。
刀、槍、盾。いろいろと集まってます。
●シナリオフレームについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●最終目的・シナリオ内容
『憑き刀』を討伐し、ファランクスを崩してください。
上手くファランクスを突破し、中央にいるオブリビオンに到達しなくてはなりません。
憑き刀には装備者がいますが一般人であり、憑き刀を倒さなければ解放されません。装備者の武芸の腕前は一般人よりちょっと強いくらいを想定してますが、関係なく憑き刀が強化しています。
●ファランクスについて
右手で長槍を構え、左手の盾で自分の左隣の仲間を守る陣形です。16×16の256人で構成されています。
構成員は一般人である農民です。一般人の殺害はシナリオの成否に関係しません。
●プレイング受付について
マスターページにて随時お知らせします。基本的にはオープニング公開から制限なく受け付けますが、状況によっては締切を設けます。
それでは、みなさまのプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『憑き刀』
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POW : 主喰いの武具
戦闘中に食べた【自身を装備している者の寿命】の量と質に応じて【纏っている妖気が増大し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 憑依カミヤドリ
【自身を装備している者の理性を侵食する】事で【装備者は凶悪な妖剣士】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 仮初の使い手
【装備者が戦えなくなると代わりに武人の死霊】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
イラスト:童夢
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠田抜・ユウナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
メテオラ・エルダーナ
罪のない人たちを操って戦わせるなんて許せませんけど、
陣形も強固だし、かと言って無差別攻撃するわけにも行かないし……
…「左手の盾で左の味方を守る」?
じゃあ一番右の人は…守られてないはず!
そこを突きましょう!
ファランクスへの攻撃に使うのは【属性攻撃】、水の魔法剣です!
【範囲攻撃】と合わせて足を掬うように強烈な水圧をぶつけて、隙間から一斉に転ばせちゃいましょう!
憑き刀の持ち主が見えたら【ダッシュ】【ジャンプ】で一気に距離を詰めて、
『サイコキネシス』で刀だけ無理やり引っ張り上げたところを魔法剣で叩き割ります!
(アドリブ・連携歓迎です)
●
足音と金属武具の打ち鳴る音が一帯を包む。威風堂々とした情景とは裏腹に、群を構成する人々の顔に生気はない。
その様子を、メテオラ・エルダーナ(まほうつかいキャット・f05337)は耳をぺたんと下げて眺めていた。
「罪のない人たちを操って戦わせるなんて許せません。けど――」
ひょこひょこと身体を揺らして観察する。人と人との隙間は盾に塞がれ、入り込むのは難しそうだ。
「陣形も強固だし、かと言って無差別攻撃するわけにも行かないし……」
ううんと唸る。左手の盾で左の味方を守るファランクスの特徴として、陣を裂くような方法は適さない。
そう振り返るうちに、メテオラの二又の尻尾がぴんっと立った。
「……『左手の盾で左の味方を守る』? じゃあ一番右の人は……」
視線は最右列へ。部隊の右端に立つ兵士たちは、何にも守られていない。
「あそこを突きましょう!」
突破口を発見し、メテオラはいよいよ部隊の前に躍り出た。
まずは正面から突撃。注意を引き付けた後、大きく右へと跳んだ。同時に手に取ったのは、親指サイズの宝石だった。
包んで握れば、両手には光の刃が現れる。
注入するは水の魔力。煌めく魔法の剣は次第に水泡を纏い、蒼く輝いていく。剣が水の属性を得たことを感じ取ると、メテオラは剣を大きく掲げ、交差させる軌道で振り下ろす。
「せーのっ!」
広範囲を呑むような水波が巻き起こった。強烈な波が兵士たちの脚を掬い、水圧で次々と薙ぎ倒す。連鎖して将棋倒しも発生する。
倒れていく兵士たちの中心には、黒い刀を差した男が直立していた。
「見つけました!」
一気に駆け出す。倒れた兵士たちを跳び越え、標的である妖刀に辿り着く。
接近するメテオラを認識し、装備者は素早く抜刀して彼女に斬りかかった。
「あなたの好きにはさせません!」
魔法剣を交差させ、攻撃を受け止める。硬く鋭い音が響き渡る。
力を入れて刀を押し返す。相手の体勢が崩れた。そこを見逃さない。
不可視のサイキックエナジーで刀を掴む。抵抗するも装備者は踏み込めず、妖刀は大きく宙へと放り投げられた。
メテオラは走り出し、跳び上がる。回転を交えつつも、剣への魔力注入も忘れない。形状を変え、魔剣はより鋭く尖った。
「受けてください!」
輝く刃が刀身を叩く。叩き割るという破壊の意志が籠った斬撃は芯を捉え、呪いを穿つ。
地面に激突した衝撃も併せて刃は欠け、柄にはヒビが入った。
成功
🔵🔵🔴
ラヴ・フェイタリティ
【アドリブ歓迎】
大体300人相手に少数で立ち向かう…こいつぁなかなかイカすシチュエーションだな。ヒロインパワーがメキメキ上がっていくのを感じるぜ。今のラヴ様をスカウターで測るなよ、弾け飛ぶぜ。
湧き上がるヒロインパワー、感じるのは異能の力。行くぜメア子、変身だ!(バンクシーン)
てわけで異能属性に目覚めたラヴ様はその力で空を飛ぶ。そのまま絶ち鋏を刀に飛ばしてあしらいつつ、ファランクスをエナジードレインで片っ端からしおぷ~にしていく。寝てろオラァ!
そんで最後は吸い取りまくったパワーを鋏に込めて一気に刀をぶち砕きに行くぜ!下手に手加減したらパワーアップとかするんだろどうせ!ラヴ様は面倒が嫌いなんだ!
●
前方に敵軍アリ。武器を構えて足並みを揃え、着々と歩を進めている。
壮観な眺めを目にして、ラヴ・フェイタリティ(怪奇!地下世界の落ちものメインヒロイン!・f17338)は口角を上げた。
「大体300人相手に少数で立ち向かう……こいつぁなかなかイカすシチュエーションだな」
脈々と、身体の内側から何かが湧き立つ。興奮とは異なるそれは、主人公的な人が定番の状況で引き出すヒロインパワーに他ならない。
「ヒロインパワーがメキメキ上がっていくのを感じるぜ。今のラヴ様をスカウターで測るなよ……弾け飛ぶぜ」
誰かに対してバシッと決めると、ピンクの背をしたヒメアルマジロ――メア子が腕を肩に現れた。
充填されたような感覚を覚え、ラヴは叫んだ。
「行くぜメア子、変身だ!」
メア子が肩から跳び、くるくると宙で回転。同時にラヴの身体も不可思議な輝きに包まれた。黒と紫を基調としたクールファッションと、雷撃に似た光を放つ巨大な絶ち鋏。
王道異能系ヒロイン登場。変身の勢いを保ち、ラヴは地を馳せる。
大群との距離が詰められていく最中、ぐっと踏み込む。大きく地面を蹴ると、そのまま空へ繰り出した。異能属性に目覚めれば、空くらいは飛べるものである。
「正義の超ヒロインのお出ましだぜ! ソッコーで片を付ける!」
ファランクスの頭上まで飛行する。地上の敵群に手をかざした。
「寝てろオラァ!」
異能、エナジードレインを発動。問答無用で活力を奪い取り、見境なく兵士を脱力させる。
無力化されたのは刀の装備者も同じらしい。しおぷ~と前のめりに倒れてしまった。
呆気ない、と思えたのも束の間。刀は腰元から抜け、ラヴに向かって飛んだ。よく見れば、薄く武人のような影が刀を掴んでいる。
「お前も飛ぶのかよ!?」
絶ち鋏を放り投げれば、複数本に分身する。そのまま鋭い鋏を途切れることなく刀へ飛ばした。
鋏が刀を相手する間もドレインを継続。またしても、自分の中に活力が溜まっていく。
「下手に手加減したらパワーアップとかするんだろどうせ! ラヴ様は面倒が嫌いなんだ! だからな――」
戻ってきた一本の鋏を掴み、空を蹴って刀へ肉薄する。吸収したパワーを鋏に注入し、振りかぶった。
「ここで一気にぶち砕く!」
痛烈な一打が妖刀を襲う。形は一瞬だけ、変形したように見えた。
「ま、当然だな。飛んでも刀は刀。飛ぶヒロインには勝てねぇぜ!」
墜落して地面で音を立てる刀を眺め、ラヴは笑みを浮かべた。
成功
🔵🔵🔴
フィロメーラ・アステール
「武具が人を操るか!」
武具と人を切り離すのがポイント!
そこが狙い目とみたー!
【迷彩】魔法の【物を隠す】効果で隠れ身!
【忍び足】の静かな飛行で接近!
多くの農民と、ボスを範囲に含むよう陣取る!
密集陣形だしいっぱい入るはず!
そして【はじまりを刻む地の新星】だ!
武具の無機物を【全力魔法】で【盗み】取るぞ!
本場ファランクス装備なら金属部分は多い!
まあ装備ショボくても、刃や金具はついてるだろ?
装備を取り上げ【武器改造】【防具改造】の魔力を注ぎ込み!
農民を捕縛したり押し退ける形に変形させ陣形を崩す!
あ、この流れはボスにも影響してるからな!
盗まれたり改造されないようファイト!
あたしの【気合い】に勝てるかな!?
●
カンッと冷たい金属音が鳴る。本場に寄せて造られた装備を担いで、兵士たちは進む。
「なるほど、武具が人を操る……そうか!」
小さな羽で羽ばたき、上空から敵を観察していたフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)が何かを思いついた。
「武具と人を切り離すのがポイント! そこが狙い目とみたー!」
ふふんと自信あり気な顔をしてから、意気揚々と戦場へと飛んだ。
種族上、見つかりにくい身体に魔法を重ねる。景色に同化し、さらに音と抑える忍び足の飛行を心がける。大胆不敵に、かつ慎重に。
ふと距離を測れば、兵士たちは目と鼻の先。ファランクスの密集性もあって、指揮官を含めた多くの人員が魔法の射程範囲内に入った。
機を伺う。気付かれてはいない。今がチャンス!
パチン、とフィロメーラは指を鳴らした。
「起きろー! 目覚める時間だぞー!」
音の発生を起点として、魔法は陣のほぼ半数を飲むように広がった。
槍の先端と装飾、大楯の金属板、その他諸々の金具類。それらが一斉に意識を持ったみたく動き出したのだ。ガチャガチャと騒がしく、兵士の代わりに行進する。
自律行動を始めた無機物へ、フィロメーラは魔力による改造を施した。飛び跳ね、転がり、体を捻っては元に戻って。その動作の幅は広がっている。
混乱する地表付近からすっと飛び出し、散逸する魔力生命体へ彼女は指令を出す。大部隊の隊長になった気分が味わえた。
「とつげーき! 陣形、崩せー! ……できれば優しーく!」
その一声で、明確な意図とともに金具たちは兵士へと向かう。各自は敵の脚に絡み付いたり、押し出したりして、古代の無敵陣形に隙を生じさせる。
そこを突いてフィロメーラは飛ぶ。乱戦状態になった戦場の中、それでも目標はすぐに見つかった。
装備者は既に拘束されていたが、妖刀は浮遊し、独りでに暴れ回っている。
「おお、効いてるね! さて、あたしの気合に勝てるかな?」
オブリビオンだろうが無機物である以上、魔法は有効だ。部品分解や服従に対し、抵抗しているらしい。
だが、勝手に陥落するほど甘くなかった。やがて刀の柄を死霊が握り、フィロメーラへ刀を振るう。
「元の形に戻ったかぁ。人が武器を操るって感じに」
悠々と剣技を回避して、彼女は人差し指で標的を示した。
「とつげーき! 今度はー……容赦なーし!」
声と同時に、幾多の影が刀に被さる。無機物の軍団だ。次々と重なって押し潰し、刃はその上から貫くように突き刺した。
金属の砕ける音がくぐもって聞こえた。
成功
🔵🔵🔴
レッグ・ワート
……、武具に人が何だって?
やり難い位置どりしてくれるもんだ。巻き込み流れ弾に自滅諸々含めて、使い手込み一般がなるたけ怪我しないように気を付けるよ。とりまドローン使って地形と陣形、他猟兵の立回り情報収集。俺はバイク運転して陣後ろに回って、列毎数人ずつカーボン糸の網で纏めて緩く転がしてこうか。槍は取り上げてひらけた方に放るぜ。
対刀では複製した鉄骨操作して、一般連中が参戦したり次の持ち手にされ難いようにする。円状に押し広げるなり柵にするなり戦況に合わせるよ。後は攻撃を鉄骨で武器受けしたり、刀で受けさせて傷みや取落とし狙いつつ位置調整。持ち手が解放されたら即救助活動に入るぜ。
道具が現役の生体使うなよ。
空廼・柩
…こんな大軍を突破しなきゃいけない訳?
結構な無茶振り――けれど、人が多いのは逆に好機か
揉みくちゃにされない様にだけ気を付けよう
息を殺し、混乱に乗じて
己の目立たなさを活用して敵陣へ
極力農民達の死角を縫う様にして素早く移動
危害を加えてきそうになったら【咎力封じ】で雁字搦めにして突破を試みる
無事に刀まで到達次第、刀の拘束に取り掛かろう
出来れば不意を打つ為にも死角に回り込むか
他の猟兵の行動に合わせて行動するか
…兎に角装備者から刀を引き剥がしたい
後は思い切り刃を折る気持ちで拷問具で殴りつけよう
攻撃されそうになったら拷問具を盾にするし
多少傷つけられようと激痛耐性で凌ぐ
…ったく、往生際の悪い
早く壊れろっての
久留米・圓太郎
【WIZ】
■心証
ファランクス?オレも何となれば使えるが、これで行くか!
■戦闘
【地形の利用、情報収集、コミュ力、世界知識、野生の勘】
で、侵入経路を考える
あと、これが利くかどうかはわからないけど
【殺気】で一般兵の戦意をそげれば良いのだが
■対憑き刀
一般兵を傷つけるのは大変だ。
【サモニング・ガイスト】で古代兵士の皆さんに包囲していただいて
【カウンター、属性攻撃、全力魔法、2回攻撃、範囲攻撃、援護射撃】で囲んで槍でぶん殴っていただく!
間違って「流れ弾」が出ると厄介なので、囲みの外側に【オーラ防御】展開だ
(オレもぶん殴るが、魔法使いの箒だけに、なんか火事を消してる風だな、これじゃ)
※連携アドリブ歓迎
●
雪原に見紛う程に白い野の上空を、一機のドローンが飛行する。
地上ではファランクス部隊が行軍を続けていた。これまで何度か猟兵の攻撃を受け、その度に陣形は整えられる。陣の中央には憑き物刀と持ち手の姿がある。相当な痛手を負っているはずだが、まだ堪えられるらしい。
部隊の進行先の近くで、高い野草に幾つかの影が身を隠していた。
「かったるい。やり難い位置どりしてくれるもんだ」
青白いモノアイを細く表示して、レッグ・ワート(脚・f02517)は吐き捨てる。ドローンから転送された映像を受け、頭部機構を傾けた。傍らにはバイクを停車させている。
同様に、空廼・柩(からのひつぎ・f00796)も隣で面倒そうに部隊を睨む。
「……こんな大軍を突破しなきゃいけない訳?」
結構な無茶振りだ。少数精鋭にも程がある。
だが、相手が多いのは逆に好機かもしれない。もしあの人混みに紛れることさえできれば、という仮定上の話ではある。とすれば、切っ掛けはどう作ろうか。
「なぁ、どうやってあの刀のところまで行く?」
独りで侵入経路を練っていた少年、久留米・圓太郎(自称魔法使いの一番弟子・f00447)が二人に呼びかける。参ったような表情で後ろ頭を掻き、三毛の猫耳をそわそわ揺らした。
「俺が突っ込んでも盾で防がれて終わりそうでさ。何かいい案ない?」
「確かに突破口は要るだろうね。けど、パス。さして陽動は得意じゃない」
圓太郎と柩の目は自然とウォーマシンへ向いた。
それまで空撮映像を眺めていたレッグは観念し、気怠く見返した。
「あんま頼られたか無いんだが。ま、仕方ねぇわな」
低姿勢のまま、乗り物の調整を始める。
「切っ掛けは俺が作る。別に指示は出さねぇが、然るべきタイミングで飛び出せ」
二人が頷くのを確認し、視線を敵軍へ戻す。
バイクに跨り、草の中から飛び出した。最高速で敵に姿を晒すと、速度を落とさず車体を斜めに倒す。カーブを切って陣の後ろへ。バイクの速度に重装備の兵士は対応できず、方向転換は間に合っていない。
列数人を纏めて取り込むように網を射出する。材質は強固なカーボン、常人の力で裂けはしない。手応えを感じて引く。平衡感覚を崩され、絡まれた者はそのまま引き倒された。手放した槍を後方へ放り、再度網を撃つ。
後方からの攻撃に遭い、兵士の意識が一斉にそこへと移る。指揮官の意識がそう連動させているのだろう。なんにせよ、隙を見せていた。
「さて、行こうかな」
揉みくちゃにされない様にだけ気を付けようと心に留めて、柩が地を蹴る。息を殺し、混乱に乗じて人群れに潜り込んだ。影の薄さはここでも活きた。
できる限り腰を屈め、彼らの視線と敵意がレッグに向いている間に中心を目指す。
しかし、万事順調なら策を練る必要などない。
敵の狭間を割って進もうとしたとき、脇に立つ一人の男が柩を見る。男は大口を開いた。
「……黙ってて」
猿轡を口へ放り込み、瞬時に手枷を掛ける。自律性を失って倒れるまでの間にさっさと奥へと進んだ。
柩が無事に突入するのを見届け、圓太郎も草陰から身を乗り出す。
手には黄と水色のリボンの付いた箒を持つ。敵部隊とそれを見比べ、少し戸惑った。
「ファランクス……オレもやろうと思えば使えるけど、まずはこれで行くか!」
改めて箒を掴み、後方を警戒するファランクスに突っ込む。元より備わっている対人との親和性や直感で、なんとなく危険な箇所を回避して人波をくぐる。
けれども、やはりそれだけでは上手くいかない場所もある。
少しばかり迷ったが、決心して首を縦に振る。圓太郎は、敵兵の肩に手を置いた。
「なぁ、どいてくれないか?」
顔は見せず、声だけで殺気を伝達する。ガクンと目に見えて震えるのが分かった。戦意を喪失させたところを、圓太郎は恐る恐る歩いた。
両者が中央の敵に近づいているのを、レッグはドローンから把握する。即席の作戦にしては上等だ。
網で緩く兵士たちを転がしているうちに、妖刀の前へ辿り着く。鉤状の手で掴んだのは強化鉄骨。初めて相まみえた奇怪な刀へ、乱雑に尋ねる。
「……なぁ。武具に人が、何だって?」
周囲をぐるりと視線を巡らせてから、握った鉄骨を複製して浮遊させる。宙に浮いた鉄骨の一部は曲げられ、地面に重ねて落とされる。戦闘空間を一般人から遮るための行動だった。
気に係るのは何よりも一般人の安全。ちらりと妖刀の装備者を見る。早急に引き剥がさねば。そう考える最中、敵は鬼の形相でレッグを襲う。並みの人間にしては速い。
ほぼ反射的に、突きを鉄骨で受け止める。
「道具が現役の生体使うなよ」
流れるように刀そのものを狙って鉄骨を振るうと、鉄の塊に殴られた刀が手許から落ちかけた。急いで距離を取り、追撃に備える。もう少し衝撃が加えられれば。
瞬間、刀身には縄が巻き付く。縄を辿る。装備者の死角、背中側で柩が縄を締め付けていた。レッグが派手に戦う間に背後に回り込み、生じた空白を突いたのだ。
「実際、刀の視認範囲なんか謎だけど……意識の外からの攻撃には、誰だって弱いものさ」
連続で手合いをしている刀はもう活力を失っていた。引っ張られると、刀は情けなく宙を舞った。解放された装備者が地面に伏せる前にレッグが動く。顔を見れば、かなり頬こけている。肩を掴み、ゆっくりと地面に寝かせた。区切りが着いたら適当な診療所に運び込むべきだろう。これ以上彼に負担を強いらせるわけにはいかなかった。
空中の迎撃するため、柩は右手で鎖を握り、棺を模した拷問具を構える。
ふと、刀はくるりと刃先を変える。突然の反撃に対応できず、驚きが声になって漏れた。そのまま刀は柩の左肩を突き刺した。痛みに悶え、柩は裂傷を押さえる。彼の白衣の一点が赤く染まった。
誰かを斬り捨てるため、それが起死回生の一撃を生んだのか。呪いの器物としての本領を露見させ、刀は低空を浮遊してまたしても柩に斬りかかった。
傷を押さえていた手を離し、柩は奥歯を噛んだ。肩の激痛が頭をくらくらと揺する。しかし、そんな痛みには慣れているところがあった。
「……ったく、往生際の悪い」
愚痴を吐く。離した手で鎖を掴み、棺を引っ張って斬撃の盾とした。痛みが左腕を走るが、神経は目の前の存在を破壊することに向けられていた。
拷問具を構え、地面から浮かせる。カウンターとして横に振るい、刀身の真ん中を狙って殴る。
全体重をかけて叩きつけられた衝撃。残っていた刃も砕け、遂に先端が折れて外れる。衝撃自体も殺し切れず、物理法則に従って刀は吹き飛ばされた。
「早く壊れろっての」
呪詛めいた言葉の後、地面に落下し、刀は微かに振動した。
そこへ影が被さる。ファランクスを潜り抜けた圓太郎は状況整理を済ませ、くるりと箒を持ち直した。
「今だったら、ある程度は好きに殴れるな……出てこい! 古代兵!」
胸に掛かった五芒星のペンダントに一瞬、光が灯った。
場に呼び出された複数体の古代戦士の霊が槍を構える。盾がないのが寂しいが、陣形を組めば最大効果を発揮するのは同様だ。
「囲んで叩け!」
圓太郎の指示に従い、古代兵は刀を包囲した。その後、手にした槍で一方的に殴り続ける。金属の軋む音が連続で響いて止まない。
万一に備えて囲みに結界を設けてから、圓太郎も殴打に参入する。一人だけ得物が箒であるために、鎮火作業をしているような気分になりかけた。しかし、一貫して手は止めない。増幅した魔力を溜め、大きく叩きつける。
しばらく経って、圓太郎が疲れを感じて様子を見た。傷が重なり、刀は見るも無残な姿へ変わり果てていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
宴・段三郎
さて、のう…このままオブリビオンにするには惜しい妖刀じゃ
【目的】
敵、妖刀の打ち直し
【行動】
わしは妖刀を鍛刀する刀鍛冶じゃ
刀は須らく救わねばならん
妖怪変化(オブリビオン)止まりでは、妖刀も悲しかろうよ
狙うは敵妖刀のみ
使用する妖刀は
号 『化生炉』
側面から化生炉で刃を交え、【吹き飛ばし】、【なぎ払い】、【武器落とし】を行い、敵の武器を熱せられた原料へと変える。
また、混戦にもちあいファランクスを崩す
そして化生炉専用ユーベルコード【地国炉開闢】使い、指揮妖刀を芯鉄とし、周囲に散らばった武器の慣れの果てを皮鉄とする巨大な妖刀を鍛刀し、敵妖刀を生まれ変わらせたい。
もし鍛刀できたら刀の号はお任せじゃ
●
関ヶ原のファランクス部隊と猟兵との戦いは、猟兵らの優勢で幕を終えようとしている。
遅れて参上した宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)は今一度、物陰から戦況を確認した。
盾の隙間から、鬼火を散らして浮かぶ刀が覗く。予知に存在した装備者は既に猟兵によって退避させられている。新たに農民を洗脳し直す余力も在らず、ただただ浮遊していた。
「さて、のう……このままオブリビオンにするには惜しい妖刀じゃ」
己は妖刀を鍛刀する刀鍛冶。あの刀が如何なる背景で漂っているかは知らぬが、刀は須らく救わねばならん。
「……妖怪変化止まりでは、妖刀も悲しかろうよ」
幾つもの刀を打ち、内在する有機的な情感と向き合う身として思う。口を固く結ぶと、背に携えた一本を抜いた。その号、『化生炉』。幼き童の身体に対して不釣り合いな大太刀は、刀身を白く煌めかせた。
愛刀を構え、段三郎は部隊の前に姿を現す。俊敏に側面へ回ると、横薙ぎに一閃。即座に抵抗した兵士に槍で突破を防がれた。刃が互いに競り合った。金属は擦れ、温度を増していく。
化生炉は橙に染まり、高熱を放出し続けていた。
「わしの邪魔をしてくれるな」
どろりと槍の刃が溶け出した。頼りを失い、敵兵は盾を突き出す。鎚みたく振られた大太刀が盾を斬ると、灼熱の熱波によって原型なく融解させてしまった。
当事者たち以外にも影響が及ぶ。手持ちの武器は成す術なく溶け、原料として辺りに流出する。地面には高熱の物体が広がり、立ちどころに混乱を引き起こす。
それに乗じて段三郎は人の群れを突き進む。
ばっと憑き刀の場所へと割って出る。妖刀の刃は欠け、ヒビが幾本も渡って入り、刀としての尊厳を失っていた。
「待っておれ。今に妖のしがらみから解き放ち、転生させてやろう……少し、痛むかも知れぬがな」
静かに語り掛け、化生炉を向ける。魂が削られる感覚の発生と、化生炉が火炎を吹いたのは同時だった。渦巻く炉の焔は妖刀を封じ込め、一塊の金属へと変貌させる。続けざまに、散らばった武具の成れの果てを放り込んだ。
段階を経て、段三郎は炎に包まれた巨大な塊へと化生炉を打ち下ろした。澄んだ音が空気を刺す。飛び廻って音を鳴らす度に煩雑さは取り除かれ、刃の形を成していく。
邪気は消え、研ぎ澄まされる。目を見開くと炎を払い、刀身を掴む。最早そこに悪しき魂は籠っていない。力を備えた純粋な巨大刀として、妖刀は再誕した。
「号は……後で考えるとするとしよう」
そも、この刀の能力も未知数だ。適した名前を授けるのはそれからでも遅くはあるまい。自分で引き取るか、幕府軍の者に渡すべきか。それもその時に決めればいいはずだ。
刃を布に包み、周辺を見渡す。農民たちは正気を取り戻したらしい。
今度はこの刀が彼らに平穏をもたらしてほしい。付けるならそうした願いを籠めた号だろうか、と段三郎は思った。
成功
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