エンパイアウォー⑰~愁いの陰陽師
●嫌悪する羅刹
猟兵の奮闘によって日の下に現れたのは、陰陽師『安倍晴明』だ。場所は鳥取城。
武田信玄、風魔小太郎、日野富子――『第六天魔将軍図』に記されている名に三本の赤い線が引かれた。
未だ息のある、コルテス、上杉謙信に続いて暴かれた、安倍晴明だ。
「アタシ、たいていのヤツは『個性的だな』で済ますことができるんだが、コイツははっきり嫌いって思った」
黒い羅刹角の欠けた一本を、紫色に輝くグリモアが補完している。
転送の準備は整っている。
繋がる先は――サムライエンパイアは鳥取、安倍の眼前。
「心底ムカつく。ほんと、アタシも行って一発――いや、五発ぐらい殴りつけないと気が済まない」
羅刹は気炎を吐く。その怒りに呼応するようにグリモアは激しく輝く。
「ふざけてる、とにかくいけ好かない――なんて言ったか、アイツ、」
たわむれに、山陰を屍人で埋めてみようか。
信長にとって代わる、神の偽物でもこさえてみようか。
吐く言葉の陰湿さと陰険さとに羅刹は、嫌悪を露わに怒る。
「たわむれに……命をなんだと思ってる……ホント、ムカつく」
安倍は怨嗟渦巻く、飢え攻めの行われた鳥取城に陣取って、猟兵よりも先んじて攻撃を繰り出してくる。
「熱意というか、覇気に欠けるけど、やろうとしていることは、外道そのもの」
安倍自身、二振りのチェーンソー剣を持ち、水晶屍人を操り、怨霊すら己のものとし、猟兵に牙をむく。
そして、風魔や日野よりも格段に、力が強い。純粋な強さを誇る上杉と、どちらが上か――二人が直接戦わない限り分からないだろうが、安倍も相当に実力者だ。
「コレをどうにかする、するほかない、やんなきゃならない」
そのすべてを託すよう、羅刹角の紫の欠片も、すべて輝き出した。
「抜かるなよ、隙を見せるな、こんな無茶――頼めるのは、アンタらだけだ」
怨念垂れこめる鳥取城へ繋がった。
志崎・輝(紫怨の拳・f17340)は、強く一度頷く。
「アンタらを、信じてる」
●陰陽師『安倍晴明』
「此度の私の目的は、ただ『持ち帰る』事のみ。この世界はよく『似て』おりますゆえ、『業(カルマ)』の蒐集も興が乗りませぬ」
ひどくつまらなさそうに、男はゆっくりと目を閉じ、もう一度開ける。
すべてを諦念し、諦観し、深い嘆息を漏らす。
「不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない――斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょう」
そうして早々に結論付けて、もう一度ため息をついた。
ここに乗り込んでくるという猟兵は、義憤に燃えているという。
「その怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……」
心から望んでいるわけではない。
しかし、それでも、彼の唇はわずかに弓なりに歪んだ。
藤野キワミ
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================
このシナリオは難易度相当の判定をします。その覚悟でいてください。
猟兵のみなさま、どうぞ抜かりなく。
藤野キワミです。
さて、いろいろ思うところはありますが、ここはサムライエンパイアですよ。
プレイング受付は、当OP公開直後より開始します。
戦争シナリオですので、先着順での採用はお約束できかねます。
内容いかんで不採用を出す可能性があります。
集まったプレイング数、内容を見て再アナウンスを、マスターページおよびツイッター(@kFujino_tw6)にて行います。
気張っていきましょう!
さあ来い!
あっついプレイングを心からお待ちしております。
第1章 ボス戦
『陰陽師『安倍晴明』』
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POW : 双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ : 五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:草彦
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
香神乃・饗
できるだけ早く香神写しで武器を増やす
水晶屍人の召喚は一番側の水晶屍人を剛糸で締め敵を盾にして防ぎ暴れ始める前にすぐに離すかそのまま締め落とすっす
苦無を投げてフェイントをかけ、番号の少ないほうを狙って死角に暗殺していくっす
俺とは違う方向からも武器で攻めそこにも誰かいる風を装ってフェイントをかけ混乱を狙うっす
突破を優先し、隙ができれば一気に駆け抜けセイメイに力貯めた苦無で暗殺を狙い一撃を叩き込むっす!
この戦いもお前にとってはたわむれでしかないんじゃないっすか
埋まることのない虚無を抱えて滅べばいいっす!
たわむれに奪うものへにはお似合いっす!
奪ったものの痛みくらいは教えてやるっす!思い知るがいいっす!
タビタビ・マタタビ
晴明……このひと、許せない感じがするよ! ひしひしと!
晴明の【水晶屍人の召喚】に対して、ボクは……防御!
【武器受け】【見切り】【残像】【オーラ防御】【第六感】【激痛耐性】でひたすら攻撃をしのぐ。
攻撃を受けた以上、ボクは無事じゃすまないよね。でも、何とか立っていてみせる……!
そんなボロボロの体で反撃できるのか、って? 残念だけど、戦うのはボクじゃない。そう、お前と同じ手を使うんだ。
お前を討つのは……この子達だっ!
【ナイツオブネコチャン】で小型ネコ騎士達を召喚! 晴明を囲みつつ全合体! ネコ騎士王!
合体して巨大化した剣で、晴明を叩き切る!
これが! 命あるものの! 力だよ!
怨嗟が渦巻いている。
長身痩躯にはびこる水晶は、禍々しく、白い髪の奥で血色の双眸が、覇気の欠片もない、すべてを諦観したように淀んでいる。
「……このひと、許せない感じがするよ! ひしひしと!」
「っす!」
タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)の金瞳を見返して、香神乃・饗(東風・f00169)は頷く。
いけ好かない。
その無気力に、凶器を構えるさまも。
「屍人を操って、たわむれに人を脅かす――そんなの、許せるわけないっす」
「これは異なことを……なにを怒る必要がございましょうか。まったくもって、猟兵という存在は、理解に苦しみまするな」
「やっぱり許せないね!」
安倍は二人を静かに見返して、しかしそれ以上は口を開かず、召喚のための印を切る。
続々と生み出されてくる水晶屍人は、饗とタビタビへと雪崩れ込んでくる。
先兵は捨て駒――その奥で崩壊と再構築を繰り返し肩の番号を増やす屍人がいる。
その供給を止めなければなるまいて。饗は剛糸で一番にそばまでやってきては拳を振り上げてきたソレを締め上げる。
それは、饗の即席の盾となった。
向かってくるもう一体へとソレを投げつける。首に巻きついていた鋼糸を引けば、活動を停止させて、ぼろりと水晶は土くれへと還っていく。
饗の眉根が寄る。
ぞくぞくと肩から生える水晶の番号を上げていくソレに苦無を投げつけ、饗は走る。
饗の増やせる武器にも限界があるし、それは安倍にとってもそうだろうが、この数の差――力の差をまざまざと見せつけられる。
しかし怯んでもいられまい。
苦無を投げる。饗とタビタビのいない第三の方向からの投擲だ。
屍人どもが気を取られた瞬間に、饗は剛糸を奔らせソレを締め上げた。瞬間、背に衝撃。ひとつ舌を打って、振り返ることもなく、疾駆した。
これだけの数だ。敵の只中にいて無傷ではいられないが、強烈な痛打に息を一瞬奪われた。
「さあ、こーい!」
タビタビの声。そこに群がる水晶屍人の群れに、彼は凌ぎ切ることを心に誓う。
振り下ろされた拳は、素早く走って躱し、手にある剣で防ぎ、蹴り上げられた踵の軌道を読み取るも、受けた拳の衝撃で避けることもできずにタビタビは、腹に力を入れて、耐える覚悟を決める。
喉の奥で苦痛の声が漏れた。
しかし。
この負傷した体でもできることはまだある。
凌ぐと決めたのだ。いくらでも痛みに耐えて、振り下ろされる問答無用の攻撃を躱して、屍人どもの奥で――今、嘆息を漏らした安倍へと一撃をくらわせなければ気が済まない。
番号を着実に増やしていた水晶屍人が饗へと走りくる。
一番近くにいる屍人を鋼糸で絡め取り、投げつけ、進路を妨害――バランスを崩したそれへと飛び乗り、額に苦無を一刀突き立て、剛糸を首に巻き、締め落とす。
「きりがないっす」
「でも、ちゃんと減ってるよ!」
「そうっすね!」
長いマントを引きずるタビタビは、ぐっとつるぎを構え直す。その身は多くの傷を負ったが、まだ立てる。意識をもっていかれそうな衝撃もあった。それでも、タビタビはこうして立っている。
「……実に、しぶとうございますね」
「当たり前! お前を討つためにここに来たんだから!」
「かように負傷してなお、私を討とうとおっしゃるか」
ふっふっふ! とタビタビは笑う。
「残念だけど、戦うのはボクじゃない。そう、お前と同じ手を使うんだ」
つるぎの切っ先を安倍へと向け宣言。
「集まって、猫さんたち!」
高らかに声を張り上げ、怨念渦巻く城へと、その剣を突き立てる。
「この剣の元に!」
どこからともなく、にゃあにゃあと猫の鳴く声――水晶屍人の群れを掻い潜る、兜をかぶった、小さなネコ騎士軍団を召喚。
タビタビの号令で、安倍を取り囲む。
「みんな! やっちゃえ!」
「にゃん!」
続々と合体して兜に刻印された数字を増やしていく。
「――お前を討つのは、その子たちだ!」
巨大な剣は安倍へと振りかざされて、一瞬後それは、彼の水晶を砕き割る。
その隙に戦場をひっかきまわす紅色が奔る。
「お前が奪ってきたものの痛みくらいは教えてやるっす!」
タビタビの召喚し、作り上げたネコ騎士王の陰から饗が躍り出る。
水晶を砕かれ驚きに目を瞠っている安倍の額へ喉元へ心臓へ腹へ、饗は苦無を投げた。
それは彼の手にした剣によって防がれる――予想済みだ。
擲った場所に彼の姿はもうない。
「思い知るがいいっす!」
背後に回っていた饗の苦無が一閃され、安倍に赤い線が刻まれた。
「それを知ったところで、私にどんな利点がございましょう――毛ほどもありませぬ」
「利点? お前にとってたわむれでしかないんじゃないっすか」
「さようでございまする」
慇懃に一刀を加えた饗へと、血色の目を向ける。
戦闘態勢は崩さない饗は、気炎を吐いた。
「埋まることのない虚無を抱えて滅べばいいっす!」
迫りくる水晶屍人を苦無で斬り、強く安倍を睨みつければ、
「これは、ふふふ……滅びゆくのは、猟兵ではありませぬか」
「命あるものの力、みくびらないで!」
タビタビの一喝。そして振われたネコ騎士王の強烈な一閃――それは、安倍のチェーンソー剣によって弾かれた。
その隙に饗は、安倍との距離を詰め素早く、渾身の力を込めた斬撃を見舞う。
閃く斬光は、散った鮮血に遮られる。
「その姿、たわむれに奪うものにはお似合いっす」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
巫代居・門
ああ、あんた自信あるって顔してるな。
別に羨ましくなんかは無えけど、なんだ、まあ、気に入らねえ。
避けれるか?いや、俺なら無理だろ。
まあ、でも慣れた匂いのする相手だ。薙刀、忌縫爪の【破魔】で軽減しながら【呪詛耐性】耐えきれるか?
くそ……慣れたとか言って悪かったよ、そうだな、俺程度の奴が相手していいような手合いじゃ無いな、あんた。
でもまだ動く。
全身痛むが、まだ指先一つ動かせる。
【激痛耐性】で意識を保ち、割れた鏡を掌に転がす。
UC『不寝鏡』
今にも死ぬ弱っちい鼠だ。殺して見せろよ、安倍晴明。
不寝鏡の【呪詛】で【カウンター】だ。なあ、望みの死が見えるか?
基本不器用。
痛みは叫ばず、食い縛る。
「ああ、あんた自信あるって顔してるな」
ぼそりと呟くのは巫代居・門(ふとっちょ根暗マンサー・f20963)だ。
己の命を狙って猟兵が押し寄せているにも関わらず、余裕すら感じさせる無感動は、反対に彼の自信なのではないか。
慌てず、泰然自若として、その負傷すら受け入れて、薄ら笑みを浮かべている。
四肢から迸る水晶群も、安倍の生み出した【五芒符】も、門に不安を与える。
(「別に羨ましくなんかは無えけど、なんだ、まあ、気に入らねえ」)
「自信……そう、でございましょう、少なくとも、あなたを殺せる自信ならば、ここに持ち合わせてございます」
ずらり。
五芒符は容赦なく門へと投げ放たれた。
鋭い軌道――避けれるか? 否、間に合わない。《忌縫爪》による破魔の力を引き出す。その身に纏う。迫りくるのは、呪詛の塊――これを凌ぎきる。
「まあ、でも、慣れた匂いのする相手だ」
「ほお。ならば良いではございませぬか――力の限り、死してみればよろしい」
強烈な、燃えるような呪詛が門の体を駆け抜ける。
ぐうッと奥歯を食い縛り、息を詰め、この激痛を《忌縫爪》の破魔の力を発揮させてなんとか中和せんと足掻けども。
落ちた五芒符は地を割り裂き、その隙間からは業にまみれた怨霊が滂沱と流れ、その数は続々と増え続ける。
「……まだ、耐えるのでしょうか。苦痛に満ちた顔で、抗い続ける意味は、生憎と私には理解できかねまする」
「はっ……くそ……慣れた、とか言って、悪かったよ、……」
詰めていた息をそろりと吐き出す。
息に乗ってこの痛みが消えてゆけばいい――しかし、それは門の願望の域を出なかった。
「俺程度のやつが、相手していいような手合いじゃないな、あんた」
怨念をその身に纏い、痩躯から生える水晶を禍々しく輝かせる安倍は、一歩、門へと近づいた。
手にしたチェーンソー剣の刃が高速で回転を始める。
「でも」
苦痛に顔を歪めた門が、肩で息をしながら、喉を震わせた。
「ん?」
「でも、まだ動く――意味、分かるよな」
門の焦点が合う。しっかと安倍を正面から睨み据える。
大丈夫だ。
この痛みにもようよう慣れてきた。頭が回り出す。勝機を見出すための思考が固まり出す。
「まだ、俺は、指先を動かすことができる」
言いながら、彼の掌で転がるのは、割れた鏡だ。
か細いネズミの鳴き声がしたのは、そのとき。
安倍の血色の目が足元に流れた。ぴくりと眉が動く。
死に損なったネズミだ。痩せこけ、毛は抜け、目は淀む――今まさに命を終えようとしているネズミだ。
「殺してみせろよ、安倍晴明」
ぼそりと門は呟く。そう伝えれば、否応なくコレの死に様を浮かべてしまうだろう。
「なあ、殺したか?」
わずかに安倍の肩が動く――瞬間、ネズミは激しく一度、二度、肢体を引き攣らせ、絶命する。
黒く淀んだ視線に内包されるのは、非業の死、晴らせぬ無念、去りゆく苦痛、そうして茫漠たる喪失感――それは、無声の呪言。無数の刃となって安倍の体内を切りつけていく。
どす黒く重い呪いが安倍を包み、その衝撃で一歩、門から後退った。
成功
🔵🔵🔴
テラ・ウィンディア
さて…陰陽師の始祖か
ただ…水晶…か…そいつも大地の力…ならば
【属性攻撃】
大地と炎の属性を己と武器に付与
紅く燃える水晶を体に纏わりつかせる
初めましてだな
ハルアキラ、だったっけ
おれはテラだ
格好いいなその剣
この世界には馴染みが薄いけど
あんたはこの世界出身じゃないのかな
対双神殺
【戦闘知識・第六感・見切り】全てを動員してチェーンソー剣に対しての回避を試み…それでも追い込まれれば【串刺し】にて槍による迎撃件「槍」にチェーンソー剣を当てさせ
即座に手を放しての回避!
【空中戦・残像】て空へと避け切り!
元々一撃届かせるかギリギリだよなぁ!
メテオブラスト発動!
【踏み付け】で更に破壊力強化!
ちょいとは屈辱は感じたか?
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は大きく息をついて、安倍を見る。
背を、腕を、体内を――そのダメージは個々ではわずかであれども、着実に安倍を蝕んでいる。
(「さて……陰陽師の始祖か……水晶か、……これも大地の力、ならば」)
安倍は大きく咳き込んで、血を吐き捨てた。
「初めましてだな。おれはテラだ――格好いいなその剣」
「ああ、お見苦しいところを……されど、ようよう、愉快になってきたところでございまする――この剣を、お気に召していただけたようで、ふふ、さっそく錆にしてさしあげましょうぞ」
にこりと笑む。
その笑みに、テラは黒瞳をわずかに細めた。
「ここじゃあ馴染みが薄いけど、あんたはここ――サムライエンパイア出身じゃないのかな」
機嫌はよくとも、その言葉に彼は答えず、一足のうちに間合いを詰めてきた。
その早業にテラはひゅっと息を飲む。その身に染み込んだ戦いの経験が本能的に体を沈み込ませた。
躱していなければ、テラの体が真っ二つになってしまっているのではないか。
ぞわっと背筋が粟立つ。しかして、迫りくるのはもう一刀ある。体を華麗に反転させてテラの首を刎ねんと回転刃は唸る。
短く舌打ち。
その刹那のうちにテラは《星刃剣「グランディア」》を打ち当てる!
衝撃。散る火花。弾き上げられるグランディアの鋒鋩。安倍の体はさらに翻る。躱しきれない凶刃がそこにある。回避しきれない。背にある光輪が燦然と輝く。足裏が地を蹴る――チェーンソー剣は、中空に逃れた脛を掠めるように斬りはなたれた。
「――っ!」
斬りつけられた傷から、怨嗟が滑り込んでテラの体を蝕んでいく。
だが。
その一刀を意識を保ったまま耐えた。しかも、今、テラにとって絶好の中空だ。
「やる気になったのはいいな! 無気力なやつを蹴りつけるのは、どうかと思ってたんだ!」
大地と炎の力をその身に纏い、テラの黒は双眸に安倍の顔が映りこむ。
重力を操るに長けたテラが、一筋の流星となる。
中空で一回転、強烈なかかと落としを安倍の脳天目がけて墜とす!
「受けろぉ!!」
斬られた痛みに歯を食いしばり、それでもこの痛みのために、彼から逃げるときではない。
痛みをおして、流血を惜しまず、渾身の力を込める。
頭上からの強打に、果たして安倍は地に倒れ伏す――テラはその背に降り立ち、頭を踏みつけた。
「屈辱に、心は燃えたか?」
無気力に、すべてを諦観していた血色の目が、テラを射抜く。
「――ええ、あなたのおかげで、あなたを殺しとうございまする」
チェーンソー剣が、安倍の体の反転とともに下から横薙ぎに振われ――足元をすくわれ転かされる前に跳びあがって、逃げていた。
寸でのところで躱すことができた。
「あなたの、苦しみもがく顔を見とうございまする」
「イヤかな、心底!」
着地して、テラは槍をしっかと構えてみせた。
成功
🔵🔵🔴
鎧坂・灯理
【冥暗】
世の中すべてを甘く見ている目だ
率直に言ってクソムカつくな
斬殺してやる
召喚された水晶屍人の群れに【普都大神】
見えざる刃でバラバラにしてやる
合体されたら端から集中して刻む
手足から“削って”いってやる
屍人に集中して手が出せないと思っているだろう
バカな奴
そうやって世の中を甘く見ているから
いきなり刺されたりするのさ
私も『朱雀』で追撃しようか
ここは戦場だぞイキがり野郎
無感動を気取るなら洞窟の奥にでも転がっていろ
石ころモドキにはお似合いだ
(負傷歓迎、どんなに怪我をしても弱気にならない、顔や態度に出さない)
鳴宮・匡
【冥暗】
ヴィクティム、巽、鎧坂と
相手の召喚はどうしたってこっちより先んじる
水晶屍人へは他の味方の援護を兼ね
膝を狙った掃射で足止め
止めきれない分は動きを【見切り】、可能な限り回避
同種の相手と戦った時の【戦闘知識】も役立つか
避けきれなければ致命傷にならない部位で受ける
最悪でも足と右腕が動けばいい
各自のUC起動まで凌いだら反攻だ
多量に呼び出してくれるから視るのも楽だな
【確定予測】、二度と掠らせない
攻撃を回避しながら、頭を潰して数を減らしていく
合間に晴明へ牽制射撃を行い
こちらから目を切らせないよう引き付ける
屍人のお守りで精一杯か?
――悪いが、こっちは「チーム」なんでね
油断してると、後ろからバッサリだぜ
水衛・巽
【冥暗】
鳴宮さん(f01612)
ウィンターミュートさん(f01172)
鎧坂さん(f14037)
先制攻撃は第六感、覚悟、戦闘知識で致命傷に絞って避ける
幹部級相手に無傷で帰ろうとは思っていません
相手の初手をやりすごした後高速詠唱で【式神憑依・勾陳】を発動
鎧無視、鎧砕きで貫通力を上げ間髪入れず反撃に移る
破魔も乗せた刀で水晶屍人を片っ端から斬り捨てましょう
最前線で派手に立ち回り
屍人の合体を促しつつ誰よりもヘイトを稼ぎ
負傷は生命吸収で相殺します
同じ陰陽師として引導を渡してあげましょう
堕ちぶれた貴方を許すわけにはいかない
…なんて、言うと思いましたか
ただの無気力で凡庸なオブリビオン殿
負傷歓迎
ヴィクティム・ウィンターミュート
【冥暗】
では──状況開始だ
鎧坂、匡、巽!
攻め手はお前らだ、屍人の相手を頼むぜ
俺も念のため自己強化で備える。サイバネオール【ハッキング】、出力限界突破
──使うぜ、とわ。結界霊符使用、結界を展開
俺達の防御能力を高める。【激痛耐性】【オーラ防御】の結界だ、長く保つだろう
飛んできそうな攻撃は【見切り】【早業】で回避、あるいは結界で受ける
屍人の群れと混戦状態のドサクサで【迷彩】【忍び足】【目立たない】でステルスクローク起動、隠密行動
ホログラムも展開して【時間稼ぎ】
晴明の背後に回り込めたら【破魔】の力をナイフに宿し、【暗殺】で急所をブッ刺す
効いたかよ
お前よりずっと強くて、優しい──
最高の陰陽師がくれた力だ
安倍は、己に飽いていた。
だが、猟兵と相まみえ、言葉を交わし、力をぶつけあうことで――久方ぶりに、高揚していた。
心がじわりと燃えていく。
握る二振りの剣にも力が入る。
そうして、眼前に立ち、こちらを睨み据える紫瞳を見返す。
「――殺す気に、たとえやる気になったところで、世の中すべてを甘く見ている目だ」
その声は実に辛辣に、安倍を突き刺す。
「率直に言ってクソムカつくな……斬殺してやる」
「ははっ、尊大なる物言い。これは楽しみがひとつ、否、ふたつは増えてございます」
鋭利に尖る紫瞳は、安倍の言葉に惑わされることはない。
「では──状況開始だ」
ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は、安倍を見据え隣に立つ黒髪の男へと視線を投げる。
「ええ、粉々になっていただきましょう」
彼は、ちらりとヴィクティムを見、すらりと抜刀。《川面切典定》を構え、美貌に笑みを刻むのは、水衛・巽(鬼祓・f01428)だ。
彼の言葉に紫瞳を尖らせる鎧坂・灯理(不退転・f14037)もまた、不敵に笑む。
「了解。ミスタ・水衛。骨まで砕いてみせましょう」
「残骸は海に棄ててやろうぜ」
「残骸なんか残らないと思うけどな」
ヴィクティムが好戦的に口の中で「Crush」と歌うように繰り返せば、鳴宮・匡(凪の海・f01612)もまた、軽口を返す。
その手には、《BR-646C"Resonance"》が携えられている。
(「どうしたってこっちより先んじる――なら、やれることは限られる」)
匡は培った知識を総動員して、安倍の動向を掴む。
一歩踏み出す。その足元に五茫星の陣が展開された。
「これはこれは、とても、ああ、とっても、――懐かしい。はらわたが煮えくりかえる感覚でしょう、ふふふ」
安倍の唇が弓なりに吊りあがる。
続々と現れるのは、肩から水晶を生やした生ける屍の群れ。
やがて軍勢となって四人を飲み込んでいく。
匡は三人の背後から、屍どもの脚を狙い機動力を奪わんと、愛銃を掃射する――が、その進軍を止めることはできない。
(「サイバネオール――出力限界突破」)
己のシステムが強化されていくのを実感するヴィクティムは、鋭く吐息。
(「――使うぜ、とわ」)
友の名を唱えれば、思い出されるのは彼女の言葉――「簡易のものだが効果はお墨付きだ。困った時には頼りたまえ」
ふいうちのように蘇った言葉に、ヴィクティムは頬に笑みを刻む。
「これなら長く保つだろう」
結界が展開される。安倍の呪詛を跳ね返し、融かし、消し去る破魔の力が纏繞されて、練り上げられた強力な盾だ。
その結界に守られる巽はしかと眼前を見据える。隙は作らない。刀を体の前で構えれば、心は凪ぐ。覚悟は決まっていく。剣士としての勘は冴えわたる。水晶屍人の群れは、巽に拳を振ってくるが、その程度ならば躱してやれないことはない。
しかし、肩の水晶の刻印は徐々に増え続け、瓦解と再構築を繰り返し、力を蓄える一体がいた。
それは、匡の銃弾を受けてなお走り、その間合いに灯理をおさめる。
「バラバラにしてやる」
覚悟はできている。腹は決まっている。
彼女は見えざる刃の群れを構築し、その拳、脚、首、額、否、全身を切り刻む心づもりで解き放つ――しかし、視界が唐突にぶれた。
次いで襲ってくる衝撃。脳が揺さぶられる激痛。とんでもない膂力で殴り飛ばされ、灯理は昏倒した。
「鎧坂!?」
ちィっとヴィクティムが舌打ち、彼女を守り切れなかった結界の綻び――否、それを上回る水晶屍人の痛烈な攻撃だった。
単純な力負けに、ヴィクティムは灯理を振り返る。
彼女を背に庇うように、匡が陣取るのを見た。
アサルトライフルから放出される弾丸は、灯理を殴り倒したソレの膝を粉砕、崩れ落ちたところを乗り越えて、さらなる屍人が押し寄せてくる。
そのうちの一体の強烈な拳打が匡に迫る――後ろには灯理。防ぐほかない。
(「致命傷にならなきゃ、最悪、足と右腕が動けば、それで構わない!」)
左腕に衝撃。眉根を寄せて、その痛みに耐える。
「……そんなもんか?」
ぎりっと屍人を睨みつけ、ぐっと渾身の力で押し返し、
「こんなもんで、鎧坂を!」
匡の声は、巽にも届く。前線で水晶屍人の軍勢とひとり渡り合っている。
突き込まれる拳打の猛襲――吹っ飛びそうになる意識を繋ぎとめる彼の青眼に映るのは、肩の水晶の刻印。
何体もの屍人を吸収してきたものだ。
「なるほど、打ちどころしだいでは……!」
激しく咳き込みながらも、彼は水晶屍人から視線は外さない。
「魔軍将相手に無傷で帰ろうとは思っていません」
「さあ、反攻だ」
負傷覚悟でここに立っているのだ。腹に受けた拳打一撃、頬を掠めた拳打なんぞに、巽は怯まない。抜き身の刀を掲げ、「依り憑け、勾陳」と早口に唱えれば、その優美な古太刀に【凶将・勾陳】が降臨した。
匡もまたユーベルコードを発動させる。
「【確定予測】、二度と掠らせない」
その予測に無駄なものなんぞひとつもない。視得たすべてを糧とし力としろ――耳に残って消えない声に、彼は胸中で返事をした。
「ほお、よく動きますね」
安倍の声がした。が、無視。今はそれどころではない。
破魔の力をも纏繞した剣閃が、一体また一体と屍人を屠っていく。
刺突。その体を蹴って突き刺さった刃を引き抜き、振り返りざまに斬り上げる。返す刃で、その隣の屍人をも斬りつけた。
彼の剣舞にも似た立ち回りは、いよいよ鬼気迫る。
打ち込まれた拳打、蹴撃で受けた打撲痕が、見る間に失せていく。斬れば斬るほどに――屍人の活動できるエネルギーを根こそぎ吸収していくのだ。
彼の立ち回りの間を縫うように、匡の弾丸が突き抜けたのは、そのときだ。
「屍人のお守りで精一杯か?」
匡は安倍へと弾丸を放つ。水晶屍人の攻撃を掻い潜っての発砲だ。
肩に響く衝撃は、むしろ心地よい。
安倍を狙い銃撃し、すぐさま銃口を屍人へと向ける。
「悪いな、それは視えてるぜ」
額を打ち抜かれた水晶屍人がどうっと倒れる――水晶が割れ砕け散った。
それにばかり気をとられているわけにはいかない。
巽は、順調に屍人を屠り、匡もまた屍人を撃ち抜く。灯理の意識はまだ戻らないか――確かめたいが、安倍に背を向ける余裕はさすがにない。
(「匡、巽! 屍人の相手を頼むぜ」)
声に出せば気づかれてしまうだろう。
ヴィクティムは胸中で仲間に声をかけ、彼らの混戦に乗じて、その存在を希薄にさせる。
派手に暴れまわる巽。
安倍の注意を絶妙に引き続ける匡。
そして――
「その身に刻め、我が牙を――【普都大神】」
突然、放たれた衝撃波。
土くれへと還っていく多くの水晶屍人。
驚いた安倍は、匡の背後へと視線をやった。
振り返らなくても、それが誰の力なのか巽には分かったし、息を殺し安倍に近づくヴィクティムにとって、その派手な一撃は願ってもないものだった。
「……おはようございます」
「おう、おはよう、鎧坂」
にやりと笑んで匡。
目を閉じて大きく吐息した灯理の、次に開いた双眸は、強く激しく輝く。
「出遅れましたね、今から暴れます」
その声音に、安倍はにたりと嘲笑う。
「ああ、無理は禁物です――そこでおねんねしていなさい、永久に目覚めぬ眠りへと、私がいざなって差し上げましょうぞ」
「反吐が出る」
辛辣に灯理は吐き捨て、見えざる刃を操り、屍人の群れを崩していく。
その様子に、さすがの安倍の表情も曇る――が、いまさら後悔したところで遅い。
「――悪いが、こっちは『チーム』なんでね」
チェーンソー剣の駆動音が響き始めるも、匡の声がいやに鮮烈に響き渡る。
「油断してると、後ろからバッサリだぜ」
匡の合図――ヴィクティムはナイフに破魔の力を宿す。三人が派手に屍人との混戦を展開してくれたおかげで、安倍の意識の外へと逃れたのだ。
足音を消し、光の屈折すら操って、ヴィクティムの姿を認識しづらくさせる――そうして位置取った、安倍の背後。
安倍が気づいた瞬間には、ヴィクティムのナイフは閃いていた。
ぐっと腹を割く。
「効いたかよ。お前よりずっと強くて、優しい──最高の陰陽師がくれた力だ」
「最高の、」
ぐらりとよろめいた安倍は、最後まで言葉を紡ぐことはできなかった。
「生憎、それは私ではありませんが、貴方に引導を渡してあげましょう」
ヴィクティムに視線をやったとたんの、鮮烈な声音――血色の瞳が、そちらに移動したときには、《川面切典定》が光り奔って、チェーンソー剣を握っていた右腕が落ちた。
「バカな奴」
灯理は、悪態をつく。
「そうやって、世の中を甘く見ているから、いきなり刺されたり、斬られたり――」
灯理の腕輪が物理法則を無視して銃へと姿を変え――顔面蒼白の安倍へと銃弾を放つ。
「こうして、こんな私にまで、蜂の巣にされたりするのさ」
「……くう、ッ」
呻く安倍は喉が潰れたような声を漏らす。
「ここは戦場だぞ、イキがり野郎」
まだ頭部への衝撃は残り、こめかみは裂け派手に出血している。彼女はフラつく体に鞭打って、それでも仲間に心配させまいと己の矜持にかけて、安倍を憎々しげに睨みつける。
「堕ちぶれた貴方を、同じ陰陽師として許すわけにはいかない……なんて、言うと思いましたか」
灯理の銃撃が熄むか否かの瞬間に、彼は安倍との間合いを詰め直し、十二天将は軍神たる勾陳をその身に宿して、容赦ない一閃――安倍の胸を、深く深く斬り割った。
「貴方は陰陽師ではない――ただの無気力で、凡庸なオブリビオン殿だ」
どうっと斃れる。
巽は、刀を振って血糊を飛ばす。
彼の言葉に、安倍は返事をしなかった。
「無感動を気取るなら、そうやって洞窟奥にでも転がっていろ。もしくは、黙して骸の海に沈んでおけ。石ころモドキにはお似合いだ」
消えていく白い体を睥睨し、灯理は辛辣に吐き捨て、意地で保っていた意識を手放した。
「オイ、鎧坂っ!?」
その傾げて倒れゆく細い身体を、ヴィクティムは慌てて支えた。
「……よく、この怪我で」
匡の少し呆れた声――それでも、最後まで戦場に立ち続けた彼女に、労いの言葉を。
目を覚ましたら、そのとき匡が覚えていたら。
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鳥取城が、俄かに沈黙した。
成功
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