エンパイアウォー⑨~灼熱之礎
『第六天魔王』織田信長の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に集結した。
幕府軍はこれより関ヶ原で待ち受ける信長軍を突破し、さらに山陽道、山陰道、南海道の三手に別れて進軍しなければならない。
「これからみんなに行ってもらう山陽道には、侵略渡来人のこるてすさんの軍勢が待ってるよ」
葵絲・ふるる(フェアリーのシンフォニア・f02234)は集まった猟兵達へと順に視線を向ける。
「こるてすさんは、幕府に叛意を持つ長州藩の毛利一族を手駒にして、多くのおぶりびおんを生み出したんだ。
そのおぶりびおん達を使って、幕府軍を迎撃するつもりみたい」
オブリビオン達が幕府軍を打倒すその方法は、山陽道を灼熱の地獄に染め上げることだという。
「準備は着々と進んでいってるよ。
おぶりびおんは『富士の噴火のえねるぎーを蓄えた霊玉』を使って儀式を進めているんだ。そのせいで山陽道周辺の気温は夜間でももう35度を超えてる。
このまま極限まで上昇させて、進軍してくる幕府軍を熱波で茹で殺す……そういう作戦みたいだね」
このままコルテスの儀式が進めば、山陽道の平均気温は50度を超えるという。
「こるてすさんは山陽道を灼熱地獄にするのと同時に、『南米原産の風土病』も蔓延させるつもりだよ。
茹だるような暑さの中で、風土病まで蔓延していたら……どう考えても生き残れないよね」
ただ、この風土病のウィルスは極度の高温でなければ死滅する種類のものらしい。
そのため熱波を生み出しているオブリビオンを撃破することができれば、風土病も阻止できるはずだ。
それじゃあ、いってらっしゃい。
そう言ってふるるは両掌を捧げるように開いた。
静かに頷く猟兵達の瞳に、グリモアの淡い光が映り込む――。
珠樹聖
こんにちは、珠樹聖(たまき・ひじり)です。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●補足
8月20日までに必要成功数を達成できなかった場合、山陽道を侵攻する幕府軍が壊滅し、3万人が犠牲になります。
というわけで、少数決行します。
一人で3体前後を相手するつもりでプレイングをお願いいたします。
なお、霊玉を砕くプレイングは不要です。
●注意事項
お友達と合わせての描写をご希望の方、互いに【お相手様の呼称とキャラクターID】をご記載ください。
プレイングの自動キャンセル期限は『三日』となっております。極力タイミングを合わせてご参加ください。
以上、皆様のご武運をお祈りいたします。
第1章 集団戦
『大火蜂』
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POW : 種火
【自身の身体】が命中した対象を爆破し、更に互いを【火事の炎】で繋ぐ。
SPD : 延焼
【周囲の炎が燃え広がること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【火事】で攻撃する。
WIZ : 不審火
自身が戦闘で瀕死になると【炎】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
コノハ・ライゼ
まったく、このクッソ暑い時期にナンて事してくれんのかしらネ
ただでさえ暑苦しいトコに更に増えられたら厄介デショ
炎の召喚は封じさせてもらうヨ
『オーラ防御』纏い動きを読み『見切り』、熱と攻撃避けながら敵中へ
出来るだけ多くを巻き込める立ち位置へ踏み込み、【黒嵐】で仔狐達を喚ぶヨ
さあどんどんつかまえておいで
続けて『2回攻撃』で仕掛けるのは「氷泪」の雷
『マヒ攻撃』乗せた紫電を『範囲攻撃』で奔らせ、敵の動きを抑えようか
受ける傷も、術で削る命も好き好んでくれてやる訳じゃあないンでね
その分しっかり喰わせて頂戴な
「柘榴」で『傷口をえぐる』よう念入りに捩じ込んで『生命力吸収』
さあ次に喰われたいのはだぁれ?
「まったく、このクッソ暑い時期にナンて事してくれんのかしらネ」
山陽道を軽やかな足取りで進む男が一人。
次々襲い来る大火蜂の針をひょいひょいと躱し、敵の只中へ踏み込む――その表情は、実に不快そうだった。
「ただでさえ暑苦しいトコに更に増えられたら厄介デショ。
炎の召喚は封じさせてもらうヨ」
コノハの足下からするりと黒い管狐が現れた。小さな狐達が跳ねるようにコノハの周囲を駆け回る。
「さあどんどんつかまえておいで」
その言葉に応えるように、仔狐達のふかふかの尾がゆらりと揺れた。
仔狐達が巻き起こした旋風が、滑るように山陽道を駆けてゆく。風の渦は狙い澄ましたかのように、飛び交う大火蜂を次々に捕らえていった。
「はやいトコこの暑いのを何とかしないとネ」
僅かに眇められた右目の奥で、氷の如き青白の光が瞬いた。
迸る紫電が鎖の如く大火蜂を繋ぐ。雷が無尽に駆け巡り、連鎖するように真っ赤な体を穿ち貫く。
一回、二回、雷を受けた大火蜂達が、ひくひくと足を痙攣させ痺れたように地面へと転がった。
「受ける傷も、術で削る命も好き好んでくれてやる訳じゃあないンでね。
その分しっかり喰わせて頂戴な」
うっすらと笑みを浮かべ、コノハが柘榴を握り込む。
大火蜂の炎の色を飲み込んだ刃は、燃えるような艶を帯びている。
「それじゃ、いただきマス♪」
深く、抉るように突き立てる。
念入りにねじ込まれた刃に、大顎がカチカチと不規則に音を掻き鳴らした。
ずるずると吸い上げた命の色が、刃の溝を這い、ゆっくりと遡ってゆく。
「さあ次に喰われたいのはだぁれ?」
大火蜂の躯を顧みることもなく、コノハは次なる獲物へと視線を走らせた。
大成功
🔵🔵🔵
佳月・清宵
f03026
小町と
とんだ虫が沸いて出たもんだ
熱に当てられたか、うちの花にまで火ィついてんじゃねぇかよ
――悪ぃ虫が集らねぇよう、せいぜい駆除に努めるとも
フェイントと残像使い範囲の間や影を駆け
狙い定められねぇよう撹乱しつつ行動
弱った>手近な奴から狙う
一手撃破不能なら
毒仕込んだ手裏剣(遠)や暗い呪詛纏う刀(近)で目潰し視野対策
衰弱気味なら炎呼ぶ前に早業で2回攻撃重ね消す
情報収集と見切りで動作や矛先観察し致命回避
炎にゃUCで壁作り相殺~飲込み押返し狙う
送火代わりにくれてやる
小町一報時もUCで範囲牽制交代
これじゃ武士も形無しってもんだろ
見てらんねぇ
民草まで炎に焼べちまう前に――地獄ならぬ海の底へ、沈みな
花川・小町
f14015
清宵ちゃんと
※他仲間とも連携可
嗚呼、不快、不愉快
熱気と病魔を撒く虫だなんて、罪悪と災厄の塊じゃない
早く叩き潰さなきゃ、ね?
炎対策と全体牽制担当
即UC使用
衝撃波を範囲と※水属性攻撃で強化
敵炎なぎ払い打ち消すよう拡散
炎弱まる隙あれば
早業で※を闇齎す呪詛に変え目潰し(視野対策)>衰弱敵仕留めに
消耗時は一報し役交代
刀で直接敵斬り生命力吸収
身は神霊体にオーラ防御と火炎耐性重ね強化
敵動作探り情報収集
次の手や狙いの見切り叶えば、フェイント掛け撹乱し躱す
叛意とはいえ、元は志ある武士だったでしょうに
其がこんな姿に成り果てて、民まで地獄に焼べるなんてダメよ
彼岸たる骸の海には、貴方達だけでお行きなさい
「嗚呼、不快、不愉快。
熱気と病魔を撒く虫だなんて、罪悪と災厄の塊じゃない」
即座に薙刀を手に取り、花川・小町(花遊・f03026)神霊体へと変化を遂げる。
「早く叩き潰さなきゃ、ね?」
「とんだ虫が沸いて出たもんだ。
熱に当てられたか、うちの花にまで火ィついてんじゃねぇかよ」
勢いよく薙刀を振り回す小町に苦笑を零し、佳月・清宵(霞・f14015)は腰に差した刀をすらりと抜き放つ。
「行くわよ、清宵ちゃん」
「ああ――悪ぃ虫が集らねぇよう、せいぜい駆除に努めるとも」
ふっと口の端を引き上げ、清宵が駆け出した。襲い来る大火蜂を攪乱するように、自身の残した残像の影を縫い敵前へ迫る。
追い抜くように戦場を駆け抜けた小町の衝撃波が、先行する清宵の元へと徐々に集いつつある大火蜂達を横薙ぎにした。
じゅわりと水の蒸発するような音を響かせながら、大火蜂の体からもうもうと蒸気が上がる。
目の前で煙を上げる大火蜂の真中に、清宵はどっと妖刀を打ち込み横へ振り抜く。
飛び散った火の粉を視界の端に捉えながら、清宵は次なる獲物を追う。
打ち寄せる波のように放たれた小町の第二派が、大火蜂を闇へ誘わんとする。
ジジジと羽根を掻き鳴らしながら、何匹かの大火蜂が背を丸め始めた。
「おいおい、そこで何しようとしてんだ?」
素早く腕を振り抜き、清宵が手裏剣を放つ。
「送火代わりにくれてやる」
ぽつぽつと現れた狐火が、渦を巻くように集い大きな壁となる。
生み出された炎を遮るように聳える狐火の壁を打ち抜き、駆ける薙刀の一撃が大火蜂の首を刎ね飛ばした。
どっと足下に転がった蜂の首が、カチカチと顎を打ち鳴らす。
「叛意とはいえ、元は志ある武士だったでしょうに……其がこんな姿に成り果てて、民まで地獄に焼べるなんてダメよ」
「これじゃ武士も形無しってもんだろ、見てらんねぇ」
流れるように視線を落とし、炎燻る額へ妖刀を突き立てる。
「民草まで炎に焼べちまう前に――地獄ならぬ海の底へ、沈みな」
「彼岸たる骸の海には、貴方達だけでお行きなさい」
薙刀を構えた小町の視界の中、清宵は蜂の額から刃を引き抜き再び突っ込んでいく――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニィ・ハンブルビー
呼ばれて飛び出てボク登場ー!
平均気温が最大50度超?ぬるいぬるい!
炎の精霊と同化して【炎化】したボクを茹で殺したいなら!
溶岩とか太陽を持ってこいって話だよ!
むしろ溶岩浴やフレア浴で楽しんでやるって話だよ!
てことで最初からパワー全開!
炎化した翼を爆発させて自分を【吹き飛ばし】て急加速!
【ダッシュ】で敵の真っ只中に突撃して!
手近な大火蜂を問答無用でぶん殴るよ!
そのまま炎化で得た飛翔能力を活かして飛び回って!
敵の攻撃を回避しつつ隙を見てヒットアンドアウェイだ!
実体があろうがなかろうが!
炎化した拳とみなぎる【怪力】で正面から吹き散らす!
炎の扱いで!炎の精霊に勝てると思うなよ!
「呼ばれて飛び出てボク登場ー!
平均気温が最大50度超?ぬるいぬるい! 行くよ! 炎の精霊!」
炎化した翼を爆発させ、ニィ・ハンブルビー(炎の妖精・f04621)は猛烈な勢いで敵の只中へ突っ込んでいった。
手近にいた大火蜂を問答無用の全力でぶん殴ると、炎を纏いながらくるりと振り向く。
えへんと胸を張り、腰に手を当てる。
ばたばたと足をばたつかせる火蜂をびしりと指さしてやれば、周囲にいる火蜂達も動揺したように動きを止める。
「炎の精霊と同化して炎化したボクを茹で殺したいなら!
溶岩とか太陽を持ってこいって話だよ!
むしろ溶岩浴やフレア浴で楽しんでやるって話だよ!」
高らかにそう宣言したニィは、拳を振り上げ敵の只中を縦横無尽に飛び回る。
大火蜂も負けじと体当たりしようとするが、ニィはひらひらと身を躱してしまう。
ニィがひらりと舞うたび、炎の翼が赤い尾を引く。
灼熱の地に拳を振るうその様は、正に怒れる炎の妖精だ。
「炎の扱いで! 炎の精霊に勝てると思うなよ!」
炎化した真っ赤な拳と漲る力を余すことなく振るう。
ニィは次々大火蜂を殴り飛ばし、吹き散らしていった。
大成功
🔵🔵🔵
アース・ゼノビア
伊織(f03578)と
神に熱波に、病まで…
この地に馴染まないものばかり持ち込もうとするんだな、コルテス
ならば分水嶺の力を借り受け、挑もう
共有した情報と地形の利用で身を隠し
水属性を纏った拠点防御陣を作成
全力魔法エレメンタル・ファンタジアで氷の大雨を招来
火蜂の炎が容易に燃え広がらないよう
大気が正常に冷え、広く水が行き渡ったなら
UCを解除して伊織と同行
水の属性魔法を纏わせた剣と衝撃波で
互いの死角を作らないよう連携、数を減らしにかかる
俺も舶来のひとりに過ぎないが
ここには長く付き合っていきたい仲間達、人々や街がある
熱波に苦しんだろう皆が、安らぎを得られるよう
早急にお引き取り願おうか。
※他チームとの連携可
呉羽・伊織
f14634/アースと
水も緑も豊かな山陽に、火の花だの蜂だの――ひでーモン放ってくれたな
現世に地獄の再現なんざさせねーよ
予め世界知識で地理想定&共有
目潰しの毒と呪詛を武器に
遠は風切放ち
近は二種不規則に操り攻撃
地形利用で一気に距離詰め近い敵先制攻撃
から巻込回避に即UCでアースの元へ
解除迄は雨の間縫い風切
雨抜ける奴がいりゃ押返し牽制
解除後は連携し前へ
残像とUC移動にフェイント交え目を撹乱
敵陣観察し次手情報収集、見切り試みる
衰弱は最優先で叩き不審火対策
後は早業と2回攻撃で両目部位破壊しつつ削る
此の儘じゃ徳川どころか長州すら苦しめる――そんな結末は望んじゃいねーだろ
故郷すら地獄に呑む前に、彼岸へ渡りな
「水も緑も豊かな山陽に、火の花だの蜂だの――ひでーモン放ってくれたな」
目の前の敵に毒と呪詛を込めた刃で斬りつけ、ひらりと呉羽・伊織(翳・f03578)は後ろへ飛び退いた。
「現世に地獄の再現なんざさせねーよ」
蜂の尾が空を切る様を眺めながら、伊織は素早く腕を振り抜く。
放たれた手裏剣が風を切り裂き、大火蜂の腹に深々と突き刺さった。
「神に熱波に、病まで……。
この地に馴染まないものばかり持ち込もうとするんだな、コルテス」
アース・ゼノビア(蒼翼の楯・f14634)はその手に杖を握り締める。
伊織から得た情報は既に頭の中にあった。
じりじりと距離を詰めんとする敵を、翻弄しながら鮮やかに斬り捨ててゆく伊織。その姿を視界に捉えながら、アースは力を込め地面を穿った。
敵の炎の威力を弱めんと水属性の陣を張ると、続けざまに祈りを込めるよう天目掛け杖を掲げる。
「――ならば、分水嶺の力を借り受けよう」
冷涼なる風が吹き抜け、山陽道に暗い影が差す。
晴れ渡る空は唐突に翳り、厚い黒雲に覆われた。
「っと、そろそろ戻らねーとな」
ぽつりと頬を濡らした雨に気づき、伊織は目の前の大火蜂に風切を投げつけ、すぐさま時津風を呼び寄せる。
現れた大鳥の群が主を浚いアースの元へと運んでゆく。
――招来された山雨によって、山陽道は忽ち様相を変えた。
アースの持てる力の全てで以て呼び寄せられた氷の大雨は、荒々しく地面を叩きつけ、飛沫を跳ね上げる。
降り注ぐ水滴と、跳ね上がる泥と氷塊。
火蜂の炎は燻り、黒々とした煙を上げた。
「……このくらいでいいか」
「おー、随分涼しくなったな」
アースがユーベルコードを解けば、忽ち空は晴れ渡る。
大火蜂達はカチカチと顎を鳴らし、大きな体を揺する。
氷雨で下がった気温が、再びじわりじわりと上がってゆく――やはりこの儀式を止めるには、霊玉の破壊が必要なようだ。
水溜まりの出来た地面を踏みしめ、アースはアンロックを引き抜いた。
「俺も舶来のひとりに過ぎないが、ここには長く付き合っていきたい仲間達、人々や街がある」
凍てつく氷のような蒼の刀身が、ひたりと波紋を広げるよう微かな水音を響かせる。
「熱波に苦しんだろう皆が安らぎを得られるよう、早急にお引き取り願おうか」
内へ握り締め、打ち放つ。
放たれた衝撃波が、迫り来る大火蜂の細い胴を真っ二つに斬り割った。
アースの真横から迫る大火蜂の姿を認め、伊織が滑るように前へ出る。
羽根を断ちどうと地に落ちた躰を、風切で磔にしてさらに前へ――炎を広げんとした大火蜂が、伊織の残像を焼く。
「此の儘じゃ徳川どころか長州すら苦しめる――そんな結末は望んじゃいねーだろ」
目にも留まらぬ早さで鳥羽が迸り、音も無く大火蜂の眼を十字に切り裂いた。
「故郷すら地獄に呑む前に、彼岸へ渡りな」
互いの視覚を補い合い代わる代わる刃を閃かせ、アースと伊織は共に山陽道を直走る。
●
――猟兵達が無心で敵を薙ぎ続けたことにより、ようやく大火蜂は山陽道からその姿を消した。
ぼろぼろと崩れゆく骸の中に、猟兵の一人が小さな玉を見つけだす。
「あ! 霊玉発見!」
「こんなところにあったのね」
「そんなもの、さっさと潰しちゃいなヨ」
「それじゃ、遠慮なく――」
僅かに目を細め、刃を振り下ろす。
ぱきりと真っ二つに砕かれた富士の霊玉は、その瞬間――爆発的な焔をまき散らし、光の塵となって消えた。
大成功
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