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エンパイアウォー⑰~術技、安倍晴明

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明

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●グリモアベース
「連日連夜で申し訳ないけど、新たな魔軍将、安倍晴明の居場所が判明しました」
 グリモアを片手に、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は猟兵達を見る。
 今回の舞台は鳥取城。城内はかつての戦で餓死した者の怨念が渦巻いており、危害こそ加えてこないが不気味な気配に満ち溢れている。晴明はそれら怨霊の渦の中心、天守閣似て猟兵達を待ち構えているようだ。
「高い実力を持つ清明はこちらの行動に対し、必ず先制して攻撃を行います。いつも通り、防御からの反撃が重要というわけね」
 安倍晴明が使ってくる主な攻撃は三つ。
 一つは手にしたチェーンソー剣による連続攻撃、双神殺。厄介なのはどちらか片方が当たれば発動できるという点であり、一撃目を避けたからと言って二撃目以降が安全だという保障はない。チェーンソー剣による攻撃全てに注意を向ける必要がある。
 次に水晶屍人の召喚。水晶屍人と言えば別の戦場で戦った猟兵も多いだろうが、清明が呼び出すそれは他のオブリビオンに与えられたものより遥かに強い。数は少なくともしっかり足止めをしておかなければ、数の暴力に押され攻撃を行うことは難しくなるだろう。
 最後に五芒符を放ち敵への攻撃と陣地の作成を同時に行う五芒業蝕符。業の上に立ち強化された清明は生半可な攻撃では傷つけることができず、逆に反撃で致命打を受ける可能性が高い。如何に相手の有利に立ち回らせないかが重要だ。
「今回は風馬小太郎の時と違って、拠点の方に仕掛けはないみたい。だから清明への対応に全力を注いで」
 裏を返せば、仕掛けを逆利用して猟兵の有利に立ち回ることもできないということでもある。相手の攻撃にどのように対応していくかが勝負の分かれ目だ。
 一通り説明を終えるとアンノットはゆっくりと息を吐き、真剣な瞳で猟兵達を見つめる。
「強敵との真剣勝負。自身の持てる全てで持って、全力で事に当たってください!」


マウス富士山
●陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●オープニングを見ていただきありがとうございます。今回マスターを努めさせていただきます、マウス富士山と申します。
 次なる相手は安倍晴明。特別なギミックは無く、純粋に強力な相手です。
 今回敵は先制攻撃を行うため、プレイングではユーベルコードに対する対抗手段と反撃方法を描写してください。また複数の猟兵で連携を行う場合は全員に対して先制攻撃を行います、その点を注意して連携を取るようにしてください。
 エンパイアウォーもいよいよ佳境!それでは、皆様のプレイングを心からお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:草彦

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神羅・アマミ
何かを知っているようじゃがその何かがわからねー以上何を言ってるのか妾にはさっぱりわからねー…!
こんがらがってきた!
とにかく!そのムカつく面、大義のために一発ブン殴らせるんじゃよッ!

拠点に仕掛けがないというようであれば、コード『板付』発動動作を伴いながらバカの一つ覚えのように猪突猛進で本体に仕掛ける。
…と見せかけ、全力で拳の一撃を放つのは目前の床板!
障害物がないならば、地形破壊効果によりこちらから作り出してやればよいという算段よ!
チェーンソーの一段目が自動追撃になるとあらば、彼奴も迂闊に動けば隙を晒すこととなる!

見事に急場の壁で凌げたならば、今度こそ奴のドテッ腹に本命のキツい一発をお見舞いじゃ!



●拳牙、城を食い荒らす
「何か知っているようじゃが、何を言ってるかはさっぱりわからん!!!!」
 天守閣に押し入ると同時に神羅・アマミ(凡テ一太刀ニテ征ク・f00889)は拳を固く握り締め、安倍晴明に向かって一直線に突撃する。避けることなど考えていないような全力疾走、ただぶつかるだけでも水晶の身体が砕けそうな突進を前に清明は緩やかに剣を構える。
「情熱的な方だ、今の私はそれほどの熱意は持てませぬ」
「うるせー!そのムカつく面、一発ブン殴らせるんじゃよッ!」
 清明の剣が音を立てて刃を回転させると同時に、アマミが高々と拳を振り下ろす。異形の剣とシンプルな拳、互いの武器が正面から衝突する……と思いきや、アマミの拳は刃の横を通り抜け、そのまま床へと向かう。
 最初からアマミの狙いは清明ではなく城の床板。自らの拳で床をめくり上げ、即席の壁にする算段だ。一段目の命中と追撃が一組になっているのならば、障害物を増やすことで攻撃の誤爆を誘発できるはず。
 握り締めた拳が床板に触れようとした瞬間、爆音と共にアマミの眼前を何かが掠めた。
 清明の振るった剣はアマミではなく、彼女が狙っていた床板を斬り裂く。空を裂いた拳はそのまま清明の空けた隙間に入り込み、殺せなかった勢いによってアマミの腕は肩まで床下に沈み込んだ。
「嘘じゃろ!?」
「素直な瞳、人を騙すことに不慣れと見えます」
 慌てて腕を抜こうとした矢先、回転していない刃がアマミの身体に当てられ、彼女はそのまま地面に押し伏せられる。
「ええ、このまま床を裂かねばならぬのですが……間にある肉が邪魔でございますね」
その一言と共に、刃が回転を始める。不気味な薄ら笑いを浮かべる清明の顔に、真っ赤な鮮血が飛び散った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

舞音・ミケ
死者はあなたの道具じゃない。
魂は弄んではいけない。
止める…わたしと、「みんな」で。

屍人は「みんな」…猫の霊たちに止めてもらう。
止められるのはほんの少しだけだろうけど。その隙を逃さず、短剣「ネコノツメ」での【早業】で懐に飛び込み斬る。
先制での各個撃破…それで初動を止められたなら。
みんなに引き続き妨害してもらいながら私はセイメイに向かい跳び、「元気な猫が来て遊ぶ」…皆の一斉攻撃で屍人ごとセイメイを裂く。

屍人が盾となるならその盾を弾いてもらって。
視界とバランスもできる限り奪ってもらって。
わたしは短剣を握りセイメイにぶつかっていく。
多少怪我してでも「爪」を深く突き刺そうと試みる。

あなたは、許さない。


月夜・玲
私の心が、心の奥底からこいつを許すなという想いが湧き出してくる…
安倍晴明、歴史上では良い陰陽師って感じなんだけどね墜ちればこうも外道になるのか…

●戦闘
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜剣
先に召喚された水晶屍人を両剣で『なぎ払い』、『串刺し』にして少し時間を稼ぐ
直接的な攻撃は『武器受け』『オーラ防御』でガード
稼いだその時間で【神器複製】を使用
Blue Birdの複製神器を50本精製し『念動力』で操る
半分の25本で水晶屍人達の足止めをして残りの25本と共に晴明に攻撃を仕掛けるよ
自身の周囲の複製は全て別の軌道を取らせて飛ばす
こちらの射程に入ったら攻撃出来る複製で一斉攻撃!



●青鳥、猫と駆る
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は妙な感情を抱えていた。
 心の奥底から、燃え上がるような黒い想いが湧き出してくる。確かに相手は戯れに死者を愚弄する外道だ、だがこれ程までに相手を憎悪できるほど自分はヤツと因縁があっただろうか?
 どこか逸る気持ちのまま剣を抜いた玲は、そのまま一息に天守閣へと飛び込む。
「セイメイっ!!」
 その名を叫び、相手が言葉を発する前に、玲は《RE》Incarnationを憎き敵に向けて突き出す。互いの視線が交差し清明の瞳が玲の顔を映すが、彼は何の感慨も無いように力なく剣を振るった。
 清明の身体から水晶の破片が落ちると、見る間にそれは膨れ上がり人の姿を取る。その数はおよそ五十以上、彼らはその身で玲の突き出した刀身を受け止めると数人がかりでそれを抑え込まれる。
「ッ!?」
 続けざまに抜いた二本目、Blue Birdを横薙ぎに振るう。その一撃を受けた屍人は大きく仰け反り、たたらを踏むように後退するが……倒れることはない。
 サッと玲の背筋に冷たいものが走る。《RE》Incarnationを捨てて新しく剣を抜くかと手から力を抜こうとした瞬間、場違いな明るい毛並みが彼女の視界を横切った。
「ニャア」
 それは霊だ。城内に犇めく怨霊ではなく、どこからかやってきた三毛猫の動物霊。猫達は屍人の群れの中を自由自在に走り回り、屍人の顔に飛び掛かって彼らの視界を塞いでいく。突然のファンシーな光景に玲が呆然としていると、突如として彼女の襟を引っぱられた。
「あそんでいいよ」
 玲の服を掴み、強引に屍人の群れから離した舞音・ミケ(キマイラのサイキッカー・f01267)がそう言って指を鳴らすと、彼女の影から一匹の猫の霊が現れる。動物霊に何を……と玲が思った瞬間、猫が弾丸のように勢いよく飛び出した。
 その動きは目で追うことすら難しく、体当たりを受けた屍人が次々と転倒していく。もしあの群れの中に居たら今頃玲も猫の大暴れに巻き込まれていただろう。
「あぶないから」
 それだけ言うとミケは再び群れの中に飛び込む、召喚した彼女本人は猫の無軌道な軌道を理解できるのだろう。
 だが、助けられた上に見ているだけというのは流石に猟兵の名が廃る。ミケのおかげで十分に時間を稼ぐことはできた、気合を入れ直すように短く息を吐いた玲が腕を振るうと、彼女の周囲に五十の剣が出現する。
「猫ちゃん、使いな!」
 召喚した内の半分、二十五本の剣を群れの中に飛ばすと猫たちは剣を足場にさらに複雑な軌道で屍人の間を飛び回る。大暴れする猫達によって屍人の陣形は乱され、清明へと続く道が開かれる。
 残る二十五本、攻撃用に待機させていた全てをその道に叩き込む。屍人達の間を擦り抜け、それぞれ別々の軌道で迫ってくる剣を見て清明が感嘆に目を開く。
「よもや、こんな術に押されるとは!」
 迫る剣を手にした二本の剣で弾く、火花と共に上空へ剣が舞い上がり……ふと、清明は屍人達の中にミケの姿がないことに気が付いた。
「…あなたは、許さない」
 弾かれた剣にしがみついていたミケが、短剣を構え勢いよく飛び出す。
 翼のような水晶を潜り抜け、ネコノツメが深々と清明の背中に突き立てられた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘンペル・トリックボックス
※ちょっとした因縁で偶に敬語が崩れます
……漸く相まみえたか。いや結構、お前は私を知らないし、私の知っているお前ではない。だがこれだけは言える──どの世界のお前であろうと、野放しにするべきではない。これだけは確かだ。

このレベルの術師が放つ呪符です、直撃すれば恐らく致命傷。さりとて避ければ超強化を許す羽目になる。発動されて厄介なのは地形効果による戦闘力の増強、であれば──『外させなければいい』。
五芒符の射出に対して【早業】でUCを発動。放たれる呪符の迎撃に式神の半数を回し、残りの半数を妨害に差し向け、手持ちの五行符を用いて威力をフルに相乗させた【破魔】【属性攻撃】による【全力魔法】を叩きつけます。


桐崎・早苗
仮にサムライエンパイアと関係がなくとも、その名を語るならば無視できぬ相手
強者と見込み挑ませていただきます

上から時計回りに木、火、土、金、水…つまり五芒星が表す五行に従い打ち消すことを試みます
式神:こちによる木剋土の相克と、退魔刀-玖式-による金剋木の相克、そして【第六感】や【戦闘知識】による勘所に、呪殺符による【呪詛】や退魔刀の【破魔】でも弱められましょうか
消しきれなければ【オーラ防御】と【武器受け】も

こちらも持てる全力を以て相対します

防ぎきれば、符術・滅気封命符陣を
過去より訪れし物の怪、その仮初の命、滅します!

足りない点は【覚悟】の上の【気合い】と【勇気】で補えれば

●晴明を「はるあき」と呼ぶ



●二人の陰陽師
「……セイメイ」
 その名を呟きながら、ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)はゆっくりと帽子を上げる。その瞳はいつもの紳士的なものではなく、敵と相対した戦士の目だ。そんな突き刺さるような視線を受けても、清明は少しも動揺しない
「さて、どこかで会いましたしたでしょうか。生憎知り合いが多いものでして」
「いや、私の知っているセイメイはお前ではない。だが、野放しにできる程お前を知らないわけでもない」
 複雑な因縁を感じさせる二人の会話に、桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)は思わず息を呑む。戦場は正に一触即発、不用意な動きをすれば即座に命を取られてしまいそうな緊張感に満ちていた。
(お嬢さん)
 視線だけでヘンペルが早苗に合図を送る。それを受けた早苗が短刀に手を掛けた瞬間、清明が動いた。
 描かれるのは星型の印。本来ならば魔除けなれど、あまりの強力さ故に現世を歪める模様が二人に向かって放たれる。外道であろうと振るう呪術は一級品、直撃すれば致命傷は免れぬ一撃に対し、早苗は迷いなく刀を引き抜いた。
「金は木を討ち、木は土を喰らう!」
 早苗が言い放った一言に、清明の表情が僅かに動く。
 当たれば致命傷。誰の目で見てもそう思える五芒の印を、早苗は正面から受け止めた。
 呪詛が身体を侵し、防ぎきれない衝撃が肉体を裂く。しかし、それでも早苗はその場に立ち続ける。
「私の五芒星、五行の並びに例えたか!」
 呪術とは、言ってしまえば見立ての技術である。憎い相手と見立てたものに釘を打ち込む、藁人形などがわかりやすい例だろう。早苗は清明の放つ五芒星を同じく星の印を描く五行相剋に見立て、その頂点に相反する自らの力を打ち込むことで相手の術を不完全なものとし受け止めた。
 対象の見立てに見立てを重ねる呪術戦、不完全ながらも自分と拮抗するその手腕に清明の身体が震える。
「興奮しているところ悪いが、こっちは二人だ」
 清明の攻撃が止まると同時にヘンペルが二百を超える式神を放つ。戦闘用に特化されたそれは早苗が受け止める五芒星に勢いよく突き刺さると、破裂するようにして自分ごと清明の術を消滅させる。
 まだ終わりではない。消えずに残った式神はそのまま清明の元へ飛んでいくと、その身を螺旋のようにねじり伸ばし、矢となって次々と清明に降りかかる。足を止めれば撃ち抜かれるような状況では、さしもの彼でも容易に術を使うことはできない。
「お嬢さん、いけますか?」
「は、はい…!」
 正面から術を受けた影響か足元をふらつかせる早苗をヘンペルが支えながら、二人は持てる全ての霊符を取り出す。
 敵は強大、おそらくこの一撃で倒しきることはできないだろう。それでも二人は確かな決意と共に札を放つ。
「安倍ハルアキ、その仮初の命――」
「――ここで灼滅させてもらう!」
 早苗の札が清明の身体に貼りつくと、彼動きが目に見えて鈍くなる。鈍重となったその身体に式神の矢が次々と突き刺さり、完全に身動きが取れなくなった瞬間、ヘンベルがその全霊を込めた五行符が閃光と共に炸裂した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

梅ヶ枝・喜介
アンタがセーメイかよ…一つ聞かせな!
なんで村の連中を屍人にしようとした!

その理屈が到底納得のいかないような代物だったなら!
おれァ怒りで髪が天を突くゼ!
見過ごせねぇ!叩っ斬る!

喧しいカラクリ仕掛けの剣がアンタの得物かい!
マトモに打ち合わせりゃ刀がダメになっちまう!

一太刀目の腹に右手の木刀を逢わせて払い!
二太刀目にゃあ万克符を柄に巻いた左手の妖怪刀で組み合わせる!

コイツぁ呪だろ!
ただの怪力任せじゃ荷が勝っちまうが、僅かなりとも呪を祓えりゃあどうだ!?

少しでも威力を減らせれば良い!
アンタは強え!妖怪刀も左腕もくれてやる!

凌ぎきったならば次はおれの出番ヨ!

片腕の不利は気勢で補う!
ぜぇええぁああああ!!


ルパート・ブラックスミス
その姿…成程、貴様が屍人を生み出してきたというわけか。
あれだけ死者を冒涜したのだ、報いを受けてもらうぞ……!

まずは敵の【先制攻撃】に合わせて【武器落とし】だ。
初撃のチェーンソー剣を【見切り】、振るう腕に大剣を振り下ろし阻止。
万一、二撃目が来る際は死角に待機させていた爆槍フェニックスに合図、【誘導弾】として使い【武器受け】。耐えろ、ニクス。

さぁここからだ。UC【炎抱きて白熱せし鋼肢】起動。
両足で踏みしめる地面を爆破する要領で【ダッシュ】、そのまま敵の懐に飛び込み肘打ちを叩き込む。
二の打ちなど不要、【捨て身の一撃】にて爆砕する!
我が【覚悟】と【怪力】を受けきれると思うなよ、外道!

【アドリブ歓迎】



●二人の烈火
「その姿、貴様が屍人を生み出してきたというわけか……!」
 静かな口調とは裏腹に、隠しきれない怒りを蒼い炎として燃やしながらルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は安倍晴明に詰め寄ろうとする……が、前に踏み出した騎士を梅ヶ枝・喜介(武者修行の旅烏・f18497)が片手で制する。
「……一つ聞かせな、なんで村の連中を屍人にしようとした!」
 庇い立てしたわけではない、ただ戦う前にその真意を知りたかった。喜介の投げた質問に清明は一瞬虚をつかれた様に目を見開くと、何やら考え込むように口元に手を当てる。
「さて……特に考えなどありませんでしたね。ただ飽いていたので、戯れにでもなればと」
「そうかい……なら、ぶっ飛ばす!」
 怒髪天を突き、ルパートが止める間もなく喜介は一直線に清明に向かって駆け出す。その様子を見て清明の表情に笑みが浮かぶ。
「そして貴方方猟兵の怒りは、乾いた私の心に潤いを与えてくれる!」
 異形の刃が音を立てて回り出し、飛び込んできた喜介に向かって振り下ろされる。当たれば肉を抉り飛ばす絡繰りの刃、その軌道を読んだ喜介は手にした木刀を横に払い強引に攻撃を弾く。
 続く二太刀目。呪詛が込められ一太刀目よりも強力になった回転刃の一撃に喜介は左手に持った強引に組み合わせた。多量の火花が舞い散り、喜介と清明の顔が照らされる。回転刃の勢いで喜介の腕は小刻みに震え、少しでも気を抜けば腕ごと弾き飛ばされてしまいそうだ。
 それでも、どうにかして片方の剣を抑え込んだ喜介の目に、三太刀目が映り込んだ。
「んなっ!?」
 双神殺は片方の刃を当てれば発動するユーベルコード、つまり刃が当たり続ける限り攻撃は無限に続く。迫りくる回転刃が喜介の喉に触れようとした時、黒い大剣がその間に割り込んだ。
「自らの戯れの為に死者を冒涜したというのならば……その罪、万死に値する!」
 ルパートが抑え込んだのは刃ではなく、それを振るう清明の腕。これにより清明の連撃を途切れさせてただけではなく、ルパートの身体が流れ落ちる鉛を浴びた刀身は触れているだけで清明の身体を焼いていく。
 互いが互いを抑え込む膠着状態。しかし状況が止まったということは、向こうはこれ以上の一手を持たないということだ。
「ニクス!」
 ルパートの叫びと共に、蒼い閃光が戦場を駆ける。突然の奇襲に清明は二人から距離を取って避けようとするが、二人の猟兵が怪力で清明の足を踏みつけて強引にその場に縫い留める。
 清明の胸に燃え上がる槍が突き刺さり、その衝撃で身体が大きく仰け反る。剣が離れ、大きく隙を曝した清明の胴に、ルパートの肘が突き刺さる。
「報いを受けてもらうぞ!」
 足元から炎が吹き上がり、残光を残しながらルパートの身体が清明と共に壁に叩き付けられる。その反動でルパートの身体が大きく軋むが、二人の攻撃はこれで終わりではない。
「ぜぇええぁああああ!!」
 雄叫びと共に、喜介渾身の一撃が清明の顔面に叩き付けられる。
 その衝撃は清明を通じ城に伝わり、天守の壁に巨大な亀裂が走った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

野良・わんこ
「数年ぶり二度目ですね、セイメイちゃん! どうも! 灼滅者です!」
セイメイの初撃は第六感、殺気で予測し、残像を囮にし、レーザーブレードの発光で目潰しし、念動力で威力減衰し、最終的に激痛耐性で耐えます。
「さぁ灼滅してやりますよダークネス! いつものいきますよ、キリングリッヴァイヴァー!!」
覚醒心基を使用して戦闘力を増加。
「さぁいきますよ、娑婆ちゃん!」
九死一生の日本刀でセイメイを2回攻撃、鎧砕き、属性攻撃、衝撃波、吹き飛ばしを使用して攻撃。
二撃目は一度目で負わせた傷を傷をねらうで居合斬りで攻撃。
「再生怪人の出番はすぐに終わるもんですよ。今回は潔く灼滅されてもらいましょう!」


才堂・紅葉
「思い切りぶちのめしたくなる顔って素敵ね」

戦闘方針としては自動小銃で牽制しつつ、避けられない先制を【情報収集、野性の勘、見切り】で銃身で受け流す。その際、仕込んだ指向性炸薬で【破壊工作、吹き飛ばし、部位破壊】し初撃を大きく弾いて、二撃目を妨害する。
二撃目はガジェット【ジャンプ】で間合いを詰め、上から【呪詛耐性】の鎖を巻いた掌の【グラップル、オーラ防御、属性攻撃、メカニック】で刃の無い峰を受け、UCで加重し上から潰しに行く。防ぎ切れない分は【気合い、激痛耐性】だ。

「左もあるのよ!!」

余力が残れば反動で回転し、先のUCの【二回攻撃】分で、紋章入りの掌を【鎧無視攻撃】を顔面に叩き込みたい。



●輝く刀拳
「数年ぶり二度目ですねセイメイちゃん!どうも灼滅者です!!」
「……香草か何かやっておられる?」
 のっけからこの世のものではない単語を使う野良・わんこ(灼滅者・f01856)に対し、清明は剣で自らの頭を指す。ノリわるーいとでも言いたげに口を尖らせるわんこに向かって清明が異形の剣を回転させた瞬間、無数の弾丸が彼に向かって放たれた。
「二人の関係はわかりませんが、加勢しますよ。素敵な顔をされていますしね」
 マズルフラッシュで顔を照らしながら、才堂・紅葉(お嬢・f08859)は清明との距離を詰める。ばら撒くように放たれる弾丸は牽制、片方の剣を盾にして身を守っているものの、下手な回避ができなくなった清明の懐へわんこが一息に飛び来む。
 射撃を足止めにしての突撃。単純だが効果的な連携を前に、清明は防御を捨てた。
 身体に突き刺さる弾丸を無視し、自らに迫るわんこに向かって十字に交差するよう二本の剣を振るう。どちらかでも当たれば即座に追撃が入り、逃れようと下手に避ければ味方の弾丸に当たる。
 相手がどう動いても傷を与えられる攻撃を前に、わんこの武器が激しく光った。
「これはっ!?」
 わんこの握るレーザーブレード、その刀身に纏わせる力をあえて拡散させることで発生した強烈なフラッシュに清明の目が潰される。不意を突かれた清明の剣の軌道が揺らぎ、その隙に距離を詰め終えた紅葉が振り下ろされる剣に銃身を叩き付ける。
 仕込んだ指向性炸薬が爆発し、小銃もろとも清明の剣を大きく弾く。残った一本をわんこが念動力で減速させると、鎖を巻いた紅葉の拳が刃のない腹に乗せられる。
『コードハイペリア、承認!』
 その叫びと共に剣が地面にめり込み、それを握っていた清明の姿勢が大きく崩れる。致命的な隙を曝した敵を前に、わんこがぺろりと唇を舐める。
「さぁいきますよ、娑婆ちゃん!キリングリッヴァイヴァー!!」
 叫びと共に抜き放たれた日本刀での斬撃に清明の胸が大きく斬り裂かれる。血の代わりに水晶の破片をまき散らしながらたたらを踏むように後退した清明は、そこで自分が剣を手放してしまっていることに気づいた。
 咄嗟に剣の位置を確認しようと清明が顔を上げると、輝く紋章の入った拳がその顔面に突き刺さった。
「本当に、思い切りぶちのめしたくなる顔って素敵ね」
 何かを砕く感覚を感じながら、紅葉は勢いよく拳を振り抜く。錐揉み回転しながら清明が飛んでいく先には、既にわんこが剣を構えて待っていた。
「再生怪人の出番はすぐに終わるもんですよ。今回は潔く灼滅されてもらいましょう!」
「……ですから、わけのわからぬことを」
「問答無用!」
 くぐもった声でツッコミを入れる清明を無視し、わんこは刀を引き抜く。
 放たれた居合は正確な軌道で一太刀目の傷をなぞり、更に多くの水晶をまき散らしながら清明は壁に突っ込む。ご満悦な様子で清明が飛んで行った先を眺めながら、二人の猟兵は地を払うように自らの獲物を振るった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ビスマス・テルマール
●POW
○先制対策
安倍晴明の動き
特にチェーンソー剣に細心の注意を払い

保険に『オーラ防御』と『激痛耐性』で備え

攻撃を『第六感』も頼り『見切り』『オーラ防御』で覆った『残像』を『ダッシュ』しつつ『早業』で作り撒き『地形の利用』もしつつ撹乱回避を試みます

そして隙見て『早業』でUC発動、見掛けだけ真の姿になり
クロマグロのなめろうスプラッシュビームショットガンを生成し『鎧無視攻撃』と『属性攻撃(聖)』を込めた『2回攻撃』の『零距離射撃』を撃ち込み

『早業』と『残像』を残した『ダッシュ』で離脱し様に『誘導弾』と『部位破壊(チェーンソー剣)』を併用した『一斉発射』をぶっぱなします。

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


春日・釉乃
チェーンソーの二刀流なら、第六感で相手の攻撃軌道を予測し
早業で盾受けのシールドスレイヴを一斉発射して、デコイにさせることで自分自身に攻撃が命中しないようにするよ

シールドスレイヴを囮にしたところで【光榮は我に歸す】で真の姿を強制解放! 強大なオブリビオンにはあたしも手段を選んでいられないから――


安倍晴明……よもやこのような姿に成り果てたとはな。全く…嘆かわしい
嵯峨の渡月橋と還るがよい

自身を幻影剣のように、残像を発生させながらダッシュで間合いを詰めて、残像とともにだまし討ちのカウンターによる鎧無視攻撃の乱舞で仕留めようか
最早、一片たりとも容赦すまい……『剣の花嫁』としてお前を滅ぼそう



●闇に堕ちぬ姿
 軽く頭を振りながら立ち上がった清明は、地面にめり込んだ剣を強引に引き抜く。
 奇策、呪術、力技、手を変え品を変え猟兵達はこちらに攻撃を仕掛けてくる。それが自らへの怒りから来るものであるのならば、戯れをした甲斐はあったということか。
 薄ら笑いを浮かべる清明の前に、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)が飛び出す。
(戦国時代にあの刃というのは気になりますが、悠長に観察はしていられません)
 自身の像を残しながら、ビスマスは清明を囲むように駆ける。砲撃は外せば舞い上がる煙で視界を潰される可能性があり、かと言って接近すれば剣の連撃で押し負ける可能性がある、故に残像による攪乱で敵の狙いを外す。
 その動きを目で追いながら、清明は静かに刃を回転させる。砲撃を行うならば足を止める必要があり、接近するのならば気配でわかる、どちらにせよ攻撃の瞬間に刃を差し込めば問題ない。
 自らを取り囲む無数の残像。まるで視界は無駄だと清明は静かに瞳を閉じると、自らの背後に向かって剣を振るった。
 駆動音を響かせながら清明の振るった刃が正確にビスマス本人に迫り、城内が火花で照らされた。
「……何っ!?」
 手に返ってる妙に硬い感覚に清明が振り返る。ビスマスの周囲に展開された浮遊盾、それが清明の刃を受け止め彼女を守っていた。
『י ה ו ה――Τετραγράμματον』
 四つの文字を唱え、純白のドレスに身を包んだ春日・釉乃(蒼薔薇のPrince・f00006)死角から飛び出す。残像の影に盾を隠し、防御手段は無いと錯覚させる二重の策。片方の剣を抑えられた清明の元へ、瞳を赤く輝かせた釉乃が駆ける。
「安倍晴明……よもやこのような姿に成り果てたとはな」
「全く……今日は覚えのない知り合いが多い日だ!」
 どこか喚起するように叫びながら振るったもう一方の剣が釉乃の身体を袈裟切りに裂くと、彼女の身体は霞のように揺らいで消える。
「残念ですが、そちらも囮です!」
 その言葉と共にビスマスの纏う装甲がその名の通りの七色に変わり、頭部がフルフェイスヘルメットに覆われる。そして盾の隙間からクロマグロの形をした銃を清明に押し付けると、躊躇なく引き金を引いた。
 散弾が放たれ、清明の身体が大きく弾き飛ばされる。大きく姿勢を崩しながら咄嗟に周囲を見回した清明の視界に自分を挟み込むように駆ける二人の姿が見えた。
「自在に二つの姿を使い分ける、私の知らない力……貴様達は一体!?」
 清明の言葉に、ビスマスと釉乃の口が僅かにつり上がる。
「通りすがりの――」
「――ただの猟兵よ」
 チェーンソー剣と太刀、二つの刃が清明の身体を交差し、水晶の破片が吹き上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロバート・ブレイズ
召喚された水晶屍人を鉄塊剣で受け、破壊する
その際、フック付きワイヤーで『晴明』本体を狙い、一気に接近を試みる
水晶屍人に囲まれたならば地獄の炎を噴出し、加速と威力を増幅させる
多少の傷は覚悟して
UC発動
自身の脚部を『水晶化・白骨化した人間の頭部』に変化させる
対象の水晶部分を喰らいながら生命力を増幅させ、強烈な拳を叩き込む
難しいならば頭突きで怯ませ、冒涜の言葉を垂れ流す
「貴様の為した事柄は成せずに否定された悪夢だろう。悪夢とは何れ覚める愚物だと知るべきだ。我々に必要な事柄は冒涜で、もはや闇は存在しない。解せる筈だ。暗黒どもよ」
言葉と同時に『対象が存在しない。殺された過去』だと再認識させ、恐怖を与える


レン・ランフォード
SPD・アドリブ等歓迎

戯れで世を乱すというのですか…
傲慢極まりなし…必ず叩き斬ってみせます!

放つは【童子切】
到着と同時に間合いを確認、射程内ならその中で「ダッシュ」で間合いを離して
打ち込む「時間を稼ぎ」ます(射程外なら走り寄ります)
その時、煙幕弾をばらまき「目潰し」
更に実現符で別人格を実体化、ライトをつけたスマホを渡し
攪乱のため別行動してもらいます

攻撃は「第六感」と「野生の勘」も動員して「見切り」
更に「残像」も置いて「フェイント」をかけ回避

敵全てを「薙ぎ払」える位置に立ったら
【童子切】をぶち込み「範囲攻撃」
振り切る前に手首を返して戻す「2回攻撃」を放ちます
諸共刎ねろ、童子切!



●闇の牙と光の刃
 水晶屍人を召喚したのは半ば無意識的なものだった。
 部屋中に広がる水晶屍人は清明を守るように展開し、本人は溢れる破片を止めるように傷口を抑える。なるほど、不死と言えどそれは不完全なもの、肉体そのものは滅びる可能性があるのか。
「俄然面白くなってまいりました……!」
 飽いていた心が満ち足りるのを感じながら、清明は吹き飛ばされる屍人達の姿を見る。
 怪異の中心だけあって、その力を大きく増している。迫りくる屍人を手にした剣で薙ぎ払いながらロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)は冷静に周囲を見回す。屍人達はどれだけ傷付けど立ち上がり、中には頭が砕けてなお動いている者もいる、これら全員を撃破するのは少々骨が折れるだろう。
 だが、そもそも怪異とは力で倒すものではない、その正体を暴き説き伏せるものだ。暴く時間が足りないのであれば、避けるのが無難だろう。
 破裂音と共に室内が煙幕に包まれ一つの影が飛び込んでくる。始めこそ屍人達は突然の目潰しに焦ったようだったが、煙の中で輝く光を機敏に感じ取るとそちらに向かって一斉に雪崩掛かる。
「ああくそっ、死んでるくせして反応がいいな!」
 ライトを点けたスマホを持ち、レン・ランフォード(近接忍術師・f00762)屍人達の隙間を縫うようにして室内を駆ける。今は荒い人格の錬、別の場所では幼い人格のれんが同じくライトを使って屍人達を引き付けていた。
 敵を陽動し、錯乱する、持ち前の速さで屍人達の間を潜り抜け翻弄していた二人は、やがて交差させるように部屋の一点に光を向けた。
「ッ!?」
 光を向けた先、眩い光に照らされた清明が思わず腕で光を遮ると、その腕にワイヤーが巻き付けられる。来るか。清明がそう感じた瞬間、渦のような不気味な模様が描かれた仮面が彼の眼前に迫る。
「貴様の為した事柄は成せずに否定された悪夢だろう。悪夢とは何れ覚める愚物だと知るべきだ」
「否否、いずれ覚めるとしても傷跡を残すからこその悪夢なのです。存在するだけで意味がある」
「……もはや闇は存在しない。解せる筈だ」
「ええ、ですから……私が新たな闇となりましょう!」
 目の前の男は自らの飽きを埋めることにしか興味がない。もはや問答は不要と判断したロバートは両足を水晶の頭蓋に変えると清明の両肩に喰らい付き、自らの額を相手の額に叩き付けた。
 仮面に皹が入り、渦の中心に深淵のように深く暗い瞳が見える。そして感情を感じさせない淡々とした声で、黒い男は白の男に告げた。
「ならば、今一度滅するといい」
 サマーソルトの要領でロバートが清明を空中に放り投げると、再び錬達の向けたライトが彼の身体を照らす。煙が晴れ、視界が開けた室内の中で、清明は同じ顔をした『三人』の忍の姿を見た。
「諸共刎ねろ、童子切!」
 三つの人格の一人、蓮は刀身の無い刀を居合のように引き抜くと、即座に収束した光の刃が展開される。
 振るわれた刃は屋根ごと清明を斬り裂き、上空の雲すら諸共に両断する。
 一瞬の静寂の後、怨念に溢れていた城内の天守に暖かな日の光が降り注いだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チガヤ・シフレット
是空(f16461)と出陣!
ハッハッハ、これはまた嫌らしい、いけ好かないやつが出てきたもんだなぁ?

今回も派手にぶっ飛ばそうぜ、是空

全身の兵装を起動!
奴が屍人を召喚してなんかやるってんなら、まずは手数で押してみるとするか!
【二回攻撃】で【一斉発射】の乱れ撃ち!!
撃って撃って撃ちまくれば死人の数も減って奴に銃弾が届くだろう!?
なんならミサイルぶち込んで【衝撃波】でドカンだ!

敵からの攻撃は義手義足で上手く捌こう
多少イカレても使い捨てだ

さぁ、余計な奴らが減ったぞ!
ぶちかましてやれ、是空っ!

是空の攻撃に合わせてこちらも突撃!

ガントレットの魔導コアを稼働!
フルパワーで極大の一撃をぶちかましてやろう!


無累・是空
チガヤ(f04538)と組むぞい

安倍晴明とはまたビッグネームじゃな!どれ、ちょいと念入りにぶっ飛ばすぞいチガヤ。

初撃は【オーラ防御】と利用できる地形があれば【地形の利用】で凌ぐわい!
運良く避けて業の怨霊が溢れたなら、【誘導弾】【範囲攻撃】『虹霓弓』でもってなぎ払おう!

厄介者を片付けたら225本の七色破壊光線集中砲火じゃ!
チガヤ相手に水晶屍人を召喚したらまた範囲攻撃で爆撃するぞい!
「ええい、手数が足らんじゃと!チガヤ、奥の手まで全部出して一気に行くぞい!」
「長引かせると押し負ける!今ここで焼き切るぞ!」



●天と智の極光
「安倍晴明とはまたビッグネームじゃな!」
「ハッ、知るかよそんなこと!ただいけ好かないやつが出てきたんならやることは一つだ!」
 屍人の群れは収まることを知らない、だが怯むことなく天守に飛び込んだ無累・是空(アカシャ・f16461)とチガヤ・シフレット(バッドメタル・f04538)は雑魚など目に映ってないとでも言うように、先に居る清明を真っ直ぐ睨む。

「ちょいと念入りに」
「いつも通り派手に」

『ぶっ飛ばす!』

 二人の声が重なると同時にチガヤは叩き付けるように大型バイクである鉄騎を地面に降ろす。室内で騎馬戦をするかと清明は両手の剣を構えるが、チガヤの狙いは全くの逆だ。
 鉄騎のカウルが開き、内部から伸びたレールに無数の銃火器やミサイルが並ぶ。チガヤ自身も両腕から銃身を展開すると、その照準を屍人の群れに合わせた。
「そっちが数で攻めんなら、こっちも手数で攻めるとするか!」
 ミサイルが煙の軌跡を残しながら射出され、一息遅れて残った銃火器も一斉に発射する。爆発は天守すらも吹き飛ばし、放たれる弾丸の衝撃で屍人達は次々と城外へと押し出されていく。一見すると状況は猟兵達の有利に見えるが……。
「長引かせると押し負ける!今ここで焼き切るぞ!」
 爆炎と煙に身を隠しながら是空は弓を構える。弾丸は有限、戦いが長引くほどその勢いは弱まっていく、故に最も勢いがある今押し切るのが最善の策だ。
 是空が弓を引き絞ると矢の先端に七色の光が収束する、その輝きを天に向けた瞬間、煙を突き破りながら五芒星の印が是空の眼前に現れた。
(清明の呪術!?)
 煙で視界を奪われ、爆炎で無数の光源があれど、是空の持つ七色の光がなお目立つ。それを狙って放たれた清明の五芒符に対し咄嗟に防御姿勢を取った是空の目の前で、片腕が宙を舞った。
「……チガヤ!」
「使い捨てだ、気にするな!」
 肘から先を失い、業の影響か不気味に変色した左腕を肩口からパージしつつ、チガヤは残った腕で屍人達への迎撃を続ける。彼女の咄嗟の行動により是空は清明の術を完全に防ぎきり、七色の光にも揺らぎはない。
『感謝する!……光よ、あまねく照らせ!』
 天に向かって放たれ矢は虹の軌跡を残しながら上昇し、やがて二百を超える無数の熱線となって清明の元へ降り注ぐ。障害物の無い上空から放たれた攻撃は正確に清明を追尾しその身体を貫こうとするが、彼の周囲に居た屍人達が身を挺して熱線を受ける盾となる。
「手数が足らんか……チガヤ、奥の手を出せ!一気に攻め込むぞい!」
「了解(イエッサー)!」
 残った右腕に黄金のガントレットを装着し、その拳を虹の光が降り注ぐ先へ向ける。六つの魔導コアが放つ限界を超えた輝きはこれから撃つ攻撃の威力をそのまま物語っていた。
 弾薬費、義肢の修理代、魔導コアのメンテナンス諸々……中々馬鹿にならない出費だが、目の前のいけ好かない野郎を倒せるのなら惜しくはない。
「持ってけ全部だ!!」
 溢れ出る魔力が極光となり、反動でチガヤの右腕が粉砕する。六つの色を束ね、純白となった魔力の輝きは射線上の屍人達を昇華させながら直進し、清明の身体を呑み込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

天道・あや
【芋煮艇】でGO!

安倍晴…めい?…あれ?何か格好が現代ぽいというか…着物とかじゃないしチェーンソー持ってる!?……別人?……ま、いっか!個々にいるって事は過去って事だし水晶人増やさない為にも倒すのみ!

まずはチェーンソーの一発目は【ラジカセ】を盾に防ぐ!そして続いてくる本命の二発目は動きを瞬時に【見切り】、【レガリアス】をフル稼働させてチェーンソーを踏み台に【ジャンプ】して避ける!
そして跳躍して途中身体を反転させて天井を蹴り【これがあたしの想いの乗った重い一撃!】(属性攻撃(氷)、鎧砕き)

そして更に!リックさんの力であたしの未来にかける想いを先生さんに貸す!皆の未来の為に過去をぶっとばして!


黒影・兵庫
【芋煮艇】で参戦します!
ようやく姿を現したなクソ野郎...!奥羽と山陰の人たちの仇を晴らさせてもらうからな!
【皇糸虫】に粘着性の【蠢く水】を浸して武器の警棒に巻き付けた後
1撃目を【見切り】【第六感】【ダンス】【武器受け】で武器で受け止め
【皇糸虫】をチェーンソーに絡ませて回転を止め
2撃目は【念動力】【ロープワーク】で1撃目のチェーンソーの【皇糸虫】を俺の武器に纏わせ近づけて
【衝撃波】でチェーンソー同士がぶつかるように仕掛けます!
(【教導姫の再動】発動)
せんせー!リックさんのユーベルコードでもらった皆さんの力をあのスカした顔のクソ野郎にお見舞いしてやってください!


高岩・凛
【芋煮艇】で共闘
こいつなんか顔つきといいチェーンソーといい俺と微妙にキャラ被ってね?なんか腹立つ…
敵のチェーンソーの一撃目を義手で【武器受け】して受け流し、二撃目をもう片腕を使い【武器受け】【武器改造】で義手と融合させてチェーンソーを奪い取り、呪詛を【呪詛耐性】で封じ込める。
その後「ハザードライバー」を装着しUC『心地の良い最適化』を発動。そんな細腕で耐えようが奪い取ったチェーンソーを【怪力】で押し込む。このチェーンソー返してやるよ、テメーの首にな。


リック・シックハント
【芋煮艇】

{凶獣のシリンジ}の【ドーピング】使用
死角からの攻撃を【野生の勘】で警戒しながら粘度を高めた{思案する泥}の【武器受け】で二本の鎖鋸を絡めとり【カウンター】で晴明のUCとみんなのUCの残滓を先生に融合!

一人じゃこの量は制御しきれないけど、マイさんが手伝ってくれるならできる!


その全身は禍々しくもどこかユーモラスな鎧に包まれ

溢れんばかりの勇気に鳥取城よりも大きくなる

無限の意思が黄金の後光となり無限の力を生み

螺旋と鎖鋸が交わった悪を貫ぬくドリルを回す

未来に駆ける想いの前に壊せぬものは何もなく

それら全て完全に調和し十全以上の力を発揮する

これがスーパー先生! キミを倒すボクたちのヒーローだ!


ネピア・ドットヤード
【芋煮艇】の皆で頑張るぞい!
両手にチェーンソーとか怖いけど、鉄すら砕く僕の体を切れるかな!まず防御!
(マント(学ラン)の形状を変化させ、腕と上半身に纏わせて防御)
【オーラ防御・覚悟・武器受け・気合・呪詛耐性・激痛耐性・見切り・挑発】
肉を絶たせて骨を折る!一撃ごとにカウンターぶち込んでやるから覚悟しろよぉ!
(何とか堪えたら今度は反撃。【選択UC】発動。成長した肉体で相手の一撃に対して拳や蹴りでカウンター)
(例え血まみれになってもなお近接戦闘。仲間に向かう攻撃が少しでも自分に来ることを信じて肉薄)
【怪力・勇気・カウンター・かばう・優しさ・捨て身の一撃】
…リックさん!せんせー!トドメは任せますよ!


ツムギ・オーギュスト
【芋煮艇】
これはこれは何ともマガマガしいフンイキ…
けどツムギちゃんは怯まない!真っ正面から打ち砕きに参ろうか!

初撃は<武器改造>で刃を受け止めきれるくらい固くした[ル・ソレイユ]で受け止めるよ!
攻撃を受け止めてるところに二撃目が来るはず、押し通されないようそのまま耐えて…二撃目が当たる直前で力を込めて押し返し、一瞬の隙に<スライディング>で身を低くして回避してみせるよ!

そして<存在感>とボルテージがMAXに高まったところでUC発動!
呪詛も剣も業も怨みも…木っ端微塵に砕く勢いの突進攻撃をくらえー!

黄金の輝きは意志の輝き!意志の強さは無限の強さ!この光、リックちゃんを通してせんせーにも届けぇーっ!


明石・真多子
【芋煮艇】の皆で行くよ!

うわ~カッチカチで堅そうだね。
もっと軟体動物を見習って柔らかくいこうよ!
あべ…はるあき君?こんな風にね!

腕と4本の『触手腕』を大きく広げて[なぎ払い]のように太極拳式円運動をするよ!
この構えは隙が無いし、さらに大きく見せることで攻撃を正面に[おびき寄せ]られるんだよね~!アチョー!

太極拳でチェーンソーを全て受け流したら、【軟体忍法螺旋触手の術】の準備も完了!
回転させていたことですぐに腕をドリルにして攻撃弾きながら、はるあき君を削るよ!

そのあとは『タコの保護色能力』で[迷彩]しながら即離脱!
せんせーちゃんの武器にアタシのドリルパワーを与えてチェーンソーに対抗してもらうよ!


宮入・マイ
【芋煮艇】っス!
これが水晶屍人を作ってたアベベちゃんっスね!
今日は超すごいことやるっスよ~!

ま、本体は数体一派を引き連れて味方にもバレない様にシックハントちゃんに隠れさせてもらうっス。
身体だけ遠隔操作で動かして…攻撃を喰らいながらもシックハントちゃんを庇わせるっス、身体がバラバラになっても動かし続けるっス~!
ついでに【アーちゃん】をチェーンソーに纏わりつかせて少しでも威力を落とすっス!

攻撃を凌いだら【細部破綻の物知り】っス、シックハントちゃんを齧ってもふもふマイちゃんに変身っス!
後は、シックハントちゃんの制御を手伝うだけっスね…こっそりマイちゃん流のユーモアも加えちゃうっス!

きゃっきゃ。



●束ねる力
 水晶屍人は消え、残るは清明ただ一人。しかし彼の身体にも無数のひび割れが入っており、既に限界が近いことが見える。だがそれでも引くことはない、近づいてくる複数の猟兵の気配を感じながら清明は剣の刃を回転させた。

「何ともマガマガしいフンイキ……あれがセイメイというヤツですね!」
「清…めい?なんかイメージと違うというか現代っぽいというか……」
 白い男を前にしてツムギ・オーギュスト(dance légèrement・f19463)はやや緊張気味に息を呑み、天道・あや(未来照らす一番星!・f12190)は想像とのギャップに首を傾げる。とは言え、注意するべきは回転するあの刃、一度当たれば無限続く連撃はどれだけ硬い防御を持ってしても削り斬られる危険性が高い。
 だが、二人は恐れずに清明の懐……すなわち剣の範囲内に飛び込んだ。
「ツムギちゃんはぁ……」
 走る勢いを残したまま、グンとツムギの頭が大きく下がる。一瞬転んだようにも見えるその動作を見て、清明は手にした剣を大きく振り上げるが、直後にツムギの両足が勢いよく持ち上がる。
「怯まない!」
 転回の要領で繰り出されたツムギの蹴りが清明の剣を受け止められる。彼女の靴はハイヒールの形に変形しており、踵とつま先の間にできた隙間で刃が外に逃げられないよう固定していた。
「でぇいやあ!」
 片方の剣が止められている間に、あやが両手持ったラジカセを清明の顔に向かって振るう。物にもよるがラジカセの重さは一キロ以上、致命打とは言わなくても当たれば仰け反らせるくらいのことはできる。
 しかし清明は自らに迫る攻撃を前に、受けるのではなく攻撃を振るった。回転する刃は軽々とあやのラジカセを食い破り、掴んでいた取っ手を残し本体は一瞬で粉砕される。
 目の前で舞い散る部品を見て、あやの目が見開かれる。頑丈に作られてるとは言え、市販のラジカセは敵の攻撃を受ける用にはできていない。まともに受ければこうなるのは自明の理だ。
「……だとしても!」
 清明の攻撃を反らすことに成功したあやは、ツムギが受け止めている剣の機関部を踏み台に高く舞い上がる。清明の視線が思わずその動きを追い上空に向けれた隙を突き、剣ごと清明の身体を押し出した。
「これが、あたしの未来にかける思いと!」
「あやちゃんのラジカセの仇を乗せた一撃だあ!」
 空中からのあやの拳と地上からのツムギの体当たり、同時に離れた攻撃を清明は辛うじて剣で受けるも、その勢いを殺しきれず後方に弾き飛ばされる。
「よし、出番だね!」
 清明の飛ばされた先で迷彩を解除した明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)が腕と四本の触手を大きく広げる。
 このまま受け止めて拘束しようとでも言うのか。そう感じた清明は回転させた刃を床に突き刺すと、あえて自らの動きを加速させもう片方の刃を突き出した。
 敵の攻撃も利用した強引な突進、戦車もかくやという勢いで迫る清明を前に真多子は短く息を吐くと、ぺしりという軽い音と共に突き出された剣を反らした。
 柔能く剛を制す。真多子が行ったのは太極拳式円運動、両腕――と彼女の場合四本の触手――が描く渦の軌道は相手の攻撃を中心に引き寄せ、流れによって外へと弾く基本にして鉄壁の構え。立て続けに清明が二撃目の刃を放つが、強引な姿勢から放たれた攻撃は軽々と弾かれてしまう。
 全ての攻撃を弾いた真多子の渦はその中心を身体から腕の先へ移し、四本の触手がドリルのように回転しながら一つに束ねられる。
「回転には回転!軟体忍法、螺旋触手の術!」
 渦を描く貫手が清明の鳩尾に突き刺さり、無数の破片をまき散らしながら彼は地面に叩き付けられる。衝撃で一瞬視界が暗くなった視界が明かりを取り戻すころには、真多子の姿は見えなくなっていた。
「……ああなんと、実に面白い!」
 賽を振らずに勝つしかないと思った今生。それがどうだ、今の自分は全く先が見えない、これが愉快でなくてなんだろうか。
 興奮と共に清明が立ち上がると、ふと彼の瞳が一か所に集まっていく光を見た。
「……気づかれちゃったか」
 手にした水晶剣にユーベルコードの残滓を集めていたリック・シックハント(繋ぐ旅人・f00522)が清明の視線を受けバツが悪そうに苦笑する。
 何か企んではいるようだが、わざわざ使わせるほど酔狂ではない。片方の剣を地面に突き刺し急加速した清明はそのままリックを斬り裂こうと剣を構える。
「やらせない!……ッス?」
 リックを庇うように前に飛び出した宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)だったが、横なぎに振るわれた清明の剣によって軽々と上半身と下半身が切り離される。そのまま地面に落ちたマイの胴体に、清明は躊躇なく剣を突き刺して割り砕いた。
「……なるほど、これでは死にませんか」
 マイの断面で蠢く塊を見て清明は髪を掴んで残ったマイの頭を持ち上げると、地面に叩き付けようと勢いよく振り上げる。その様子を見て、ネピア・ドットヤード(サイキックゴリラパワー妹系幼女・f20332)が我慢できずに飛び出した。
「やめろおぉ!」
 その姿を見て清明が口の端を歪めると、地面に刺していた剣を勢いよく蹴り上げた。掬い上げるようにネピアに迫る刃、目の前では今まさにマイの頭が地面に投げ放たれている……迷いはない。ネピアは腕を伸ばしてマイの頭を受け止めると、袈裟切りに身体を裂かれる。
 学ランと骨に阻まれ心臓と肺は無事、引き裂かれた脇腹から溢れそうになる中身を筋力で無理矢理押さえつける。受け止めたマイの頭を胸に抱えると、ネピアは強烈な回し蹴りを清明に放つ。
 威勢はいいが、身体がまだ追い付いていない。一歩後ろに下がり悠々と攻撃を回避しようとした清明の目の前で、ネピアの足が伸びた。
「何っ!」
 足だけではない、ネピアの身体が急激に成長している。肉体を操作する奇策に清明は思わず顔を歪めると、防御を捨てて剣を振るった。
 ネピアの足首から膝までが斬り裂かれ、清明の首に大きく亀裂が入る。蹴りの衝撃で清明と距離が開いた隙をついて、ネピアはリックに向かって手を伸ばした。
「リックさん…せんせー…トドメは……!」
 伸ばした手を斬り落とすように、即座に体勢を立て直した清明が剣を振るう。
 しかし目の前の敵に集中するあまり、彼はその刃が止められるまで敵が接近していたことに気が付かなかった。
「よくもやってくれたなクソ野郎……!」
「腹立つ挑発ありがとうよ、おかげで躊躇なく心を捨てられる!」
 攻撃を受け止めた黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)と高岩・凛(ヒーローのなりそこない・f17279)は隠そうともしない怒りを力に変え、清明の剣を大きく弾く。しかしネピアを斬り裂き宙に舞っていた剣を掴んだ清明はそのまま振り下ろしの二撃目を放とうとした瞬間、ピンと自らの剣から糸が伸びていることに気づいた。
「奥羽と山陰の人たちの仇……次はお前が奪われる番だ!」
 兵庫が手にした皇糸虫を引くと、清明の剣は彼の手から離れもう一つの剣と衝突する。同時に凛の腕が解けるようにして無数の触手に変わると、両方の剣を取り込んで彼女の元へと引き寄せた。
「ハザード、起動!」
 掛け声と共に凛が腰に装着したドライバーの引き金を引くと、警告ブザーを思わせる起動音と共に義手が巨大なチェーンソーに変形する。言葉必要ない、火花をまき散らしながら刃を回転させた凛は一切の迷いなく奪い取った剣を清明に振り下ろした。
 再び破片が舞い上がり、清明の身体が大きく削り落とされる。先程真多子から受けた一撃もあって、清明の状態は既にボロ布すら纏っておらず、所々欠けた水晶の欠片が露わになっている。
「……心配されるのは嬉しいっスけど、マイちゃんこっちに居るっス」
「まあ、それが皆の良さだからね」
 リックの毛の隙間からマイの本体が顔を出し、それに対してはリック彼女に軽く微笑みかける。
 そして五人の身体から溢れた光、ユーベルコードの残滓を集めたリックは自らのユーベルコードを発動した。
『繋がりこそ我が力(レゾンデートル・コネクション)!』
『マイちゃん追加スペシャルっス!』
 束ねられたユーベルコードのエネルギーが調律され、旋律のように響き渡る。
「ぐっ……やらせはせぬ!」
 武器も持たず、清明はリックの下へと駆けだす。あれだけの膨大なエネルギーの束ねてるのだ、少し横やりを入れれば力は反発し合い霧散するはず。
 自らに接近する清明の姿を見てリックは水晶の剣を掲げると、兵庫に向かって投擲した。
 そしてそれを受け取ったのは金糸の髪を持つ女性。兵庫の脳に住む教導虫、その抜け殻。
「……清明!」
 ユーベルコードの光が剣から女性に移り、その身体が大きく膨れ上がる。
 その全長は城を超え。
 背中には竪琴のような翼。
 手には漆黒の光と黄金の輝きを纏い。
 腰には触手をマントのように携え。
 足には刃のヒールを持った靴を履く。
 そして蟲を思わせる鎧を纏ったその姿、例えるならば異形の鎧武者。
 その姿を見上げ、清明は我慢できないと大きく笑い出した。
 武者が両手を組み、黄金と漆黒が渦となって鳥取城を包む。膨大なエネルギーの螺旋は清明を拘束し、竪琴の翼から噴き出した膨大なエネルギーが推進力となって鎧武者は突き進む。
「まったく……今生は本当に面白い」
 鳥取城に拳が突き刺さり、どこか満ち足りた表情を浮かべながら清明は光に包まれる。
 稀代の陰陽師安倍晴明は、皮肉にも穏やかな心で二度目の生を終えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月15日


挿絵イラスト