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エンパイアウォー⑰~冥府魔道の元を断て

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #魔軍将 #安倍晴明

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●鳥取城内
「此度の私の目的は、ただ『持ち帰る』事のみ。」
 青みがかった白髪の男は、業の蒐集にも興が乗りませぬ、と一つため息の後、首を静かに振る。
「……いえ、そうではありませぬな。不死で、繁殖もできて、生存の為のエナジーも必要としない。それは、賽も振らずに勝つようなものだ」
 男は再びため息をつく。そこに熱量は、熱意は一切感じられない。
「……斯様な存在に成り果てた私に、私自身が飽いているのでありましょう。」

 不死の存在、オブリビオン。
 今の男は、蘇る原因を断たない限り骸の海から何度でも蘇る存在。

「戯れに、山陰を屍人で埋めてみましょうか。それとも、コルテスが崇める神の偽物でもこしらえて、信長の後釜に据えましょうか。」

 ――はてさて、それらを全て行ったとして。
 ――猟兵とやらの怒りは、果たして、どれほど私の心を動かすものやら……。

 男の熱の籠らぬ呟きは、誰にも聞かれることはなかった。

●冥府魔道の元を完全に断ち切れ!!
「……っ!!」
 身体を休めるために眠っていたグリモア猟兵館野・敬輔が、突然何かに突き動かされるように跳ね起きる。傍らの丸盾のグリモアは、まるで猟兵らに警告するかのように異様に明滅していた。
「見つけたぞ……陰陽師『安倍晴明』っ!!」
 ありったけの怒りと憎悪、そして憤怒を込めた敬輔の叫びを聞きつけ、猟兵らが続々と集まってくる。
「奴は鳥取城内にいる。絶対……絶対討ち取るぞ!!」
 敬輔の叫びに、周囲の猟兵らが呼応した。

「奴はどうやら鳥取城の天守閣にいるようだ。今なら僕のグリモアの力で直接送り込める。だから皆は、戦いに専念してもらって構わない」
 もっとも、どこか熱量に乏しそうな雰囲気は感じるが……と付け加える敬輔。会話は成立するだろうが、内容によっては応じてすらもらえないかもしれない。
「奴がどう考えようが、どう思おうが知ったことか。今が絶好のチャンスだ。」
 とはいえ晴明も猟兵に先んじて攻撃を仕掛けてくるため、対処は必須だ。これは既に討ち取った風魔小太郎や日野富子と変わらない。

「これまで奥羽で、そして鳥取で……奴は徹底的にいのちを、魂を、死者の尊厳を踏み躙ってきた」
 繰り返し『水晶屍人』の起こす事件を予知してきた敬輔の怒りは、頂点に達している。

 ――晴明の企みで、どれ程の無辜の生命が奪われたか。
 ――水晶屍人と化した人々の無念は、如何程だったか。

「今ここで、屍人と化した人々の無念と皆の想いを全て、徹底的に奴の身体に叩き込んでやれ! 頼んだぞ!!」
 丸盾のグリモアを展開し転送ゲートを開いた敬輔に送り出され、猟兵らは戦地に赴く。


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 奥羽諸藩で、そして鳥取城で『水晶屍人』を増やしていた安倍晴明が、鳥取城内で発見されました。
 皆様には、彼の討伐を願います。

=============================

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

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●特殊ルール:先制攻撃
 陰陽師『安倍晴明』は、先制攻撃を行います。
 これは、『猟兵が使うユーベルコードと同じ能力(POW・SPD・WIZ)のユーベルコード』による攻撃となります。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 概要・詳細はオープニングの通り。
 プレイング受付はオープニング公開後から行います。

 有力敵ですので、判定は厳しく行います。
 場合によってはシナリオ失敗の可能性もございますこと、予めご了承くださいませ。

 また、本シナリオは【プレイングの全採用を保証致しません】。
 いかに戦術的に優れたプレイングでも、プレイングに記されていた会話や質問によっては不採用でお返しすることがございますこと、ご了承願います。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『陰陽師『安倍晴明』』

POW   :    双神殺
【どちらか片方のチェーンソー剣】が命中した対象に対し、高威力高命中の【呪詛を籠めたもう一方のチェーンソー剣】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    水晶屍人の召喚
レベル×1体の、【両肩の水晶】に1と刻印された戦闘用【水晶屍人】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    五芒業蝕符
【五芒符(セーマン印)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を斬り裂き業(カルマ)の怨霊を溢れさせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:草彦

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神樹・桜花
……我が主なら貴方にこう言うでしょうね。
『生命の尊厳を踏み躙る貴様は完膚なきまでに叩き潰す』……と。

『大太刀・神桜一振』を発動し、その内半分の刀を用いて晴明のUCの相殺を試みます(武器受け)。
成功したら、残りの刀を集めて再錬成し、大太刀の一撃をお見舞します(鎧無視攻撃、なぎ払い)
更に破壊した【地形を利用】して移動しつつ、開眼して晴明に【恐怖を与え】て足止めし、追撃(2回攻撃)します。
UC以外の攻撃は【残像】【見切り】で躱し、避けきれなければ【オーラ防御】【敵を盾にする】で凌ぎます。



●大太刀にて生命の蹂躙者を叩き潰す
 安倍晴明への憤りと共に最初に姿を見せたのは、神樹・桜花(神桜の一振り・f01584)だった。
「……我が主なら貴方にこう言うでしょうね。」
 慇懃に、しかし辛辣に。桜花は言葉の端々に毒すら含むように晴明に言い放つ。

 ――生命の尊厳を踏み躙る貴様は、完膚なきまでに叩き潰す、と。

 しかし、言の葉の毒は晴明には効かず、ただ熱量籠らぬ呟きを零すのみ。
「あなたの主がどう思おうとも、私の知ったことではございません」
「それなら、叩き潰します」
 桜花は【大太刀・神桜一振】で43本の大太刀を複製、そのうちの半分を束ねて再構成し晴明のチェーンソー剣を受けようとするが、それより早く床を滑るように接近した晴明が右手のチェーンソー剣を無造作に振り抜いた。
(「早い……!!」)
 見た目はかなりの重量があろうチェーンソー剣をいとも容易く片手で振り抜かれては大太刀で受け切ることもできず、桜花の胴は逆袈裟に斬り裂かれ、その衝撃で後ろによろめく。
 先制対策としては悪手とは言えぬ。だが、猟兵がユーベルコードを使用するより先に、晴明はユーベルコードを利用し斬り込めるのだ。それが対応速度の差として現れ、桜花が斬られる結果となった。
「遅すぎます」
 晴明はさらに呪詛を籠めた左手のチェーンソー剣で桜花の胴を真横に薙ぐ。桜花も咄嗟に胴をオーラで覆うも、大太刀を防御に回したのが響き、受けることは叶わない。
「ああ……っ!!」
 薙がれた衝撃で床に転がる桜花を、晴明は熱量籠らぬ瞳で見下ろす。
「猟兵の力とはこの程度ですか……これでは心すら動きませぬ」
「せい……めいっ!!」
 それでも桜花は諦めない。痛みをこらえ起き上がりながら、未だ残る半数の大太刀を集めて再構成し手に取る。同時に普段閉じている目を開き、邪神由来の金の双眸を露わにした。
「くっ……邪眼ですか」
 金の双眸に若干の恐怖を覚え足を止めた晴明に、桜花は正面から大太刀を振り降ろし、床を若干崩した上で晴明の右肩に確かな傷を刻み、一矢報いる。
「その程度ですか。では、ご退場願いましょう」
 晴明は右肩の傷も崩された床も意に介さず、再度左手のチェーンソー剣を無造作に振り、桜花を天守閣の壁に叩き付ける。叩きつけられた桜花はそのまま気を失い、ぐったりと動かなくなった。

 一矢報いはしたが、相手は熱量籠らぬ陰陽師。まだまだ足りぬ。
 猟兵たちの感情は、陰陽師を動かすことができるのだろうか。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

メンカル・プルモーサ
ふむん…晴明…と言うからには陰陽師のような格好かと思ったけど…
…UDCっぽい格好だね…『持ち替える』と言う辺りDrオロチ辺りと関わりあるのかな?
…飛んで来る五芒符に対して、回避ではなく炎の術式による撃ち落とし、撃ち落とせずこちらに飛んで来る分に関してはオーラ防御による障壁でのガードを選択…地形への影響を最小限にするよう試みる…
…それでも最初から外す、対処しきれない等で地形から出て来た怨霊に対しては【尽きる事なき暴食の大火】を発動…その白い炎で溢れた怨霊を飲み込み…勢いを増した炎を晴明へと延焼させるよ…
…戯れに屍人を増やされたらたまった物じゃない…一度骸の海に帰って貰う…



●戯れの代償
(「ふむん……晴明、と言うからには陰陽師のような格好かと思ったけど……」)
 UDCっぽい格好だね、とメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は素直な感想を漏らす。
「ふむ、ゆーでぃーしー……ですか」
 僅かに反応する晴明の慇懃無礼な口調は変わらず、しかしどこか冷めたような言い回し。果たしてUDCアースの事を知っているのか否か、それすら匂わせない。
(「『持ち帰る』と言うあたり、ドクター・オロチあたりと関わりあるのかな?」)
 しかしその問いを晴明にぶつけたところで、何かに対する熱量を失っている今の晴明ではおそらく答えてくれないだろう。メンカルはその問いを胸の内に仕舞い、晴明と対峙する。

 先制で放たれる五芒業蝕符に対して、メンカルが選んだ対応は回避ではなく撃ち落とし。床に符が落ちればさらに床が崩され怨霊が溢れる危険性があるが故の、選択。
 メンカルの振りかざしたシルバームーンから、符を撃ち落とすための炎の術式が放たれる。アルダワ魔法学園、アックス&ウィザーズ、スペースシップワールドの3世界の技術を融合したメンカルオリジナルの術式が、五芒(セーマン印)の描かれた符を炎で燃やし尽くした。
「ふむ、変わった術式ですね」
「戯れに屍人を増やされたらたまった物じゃない」
「戯れ」
 晴明がわずかに眉を動かした。メンカルにはそんな気がする。
「そう、私にとっては戯れです……この戦いですら」
 晴明が放った符はメンカル目がけて投げつけた1枚だけではない。メンカルの目を盗んで飛ばした符が床に落ち、周囲の床を斬り裂いて業(カルマ)の怨霊が溢れ出す。それはメンカルの足に纏わりついて動きを阻害し、晴明の力をさらに高める。メンカルにとっては一見最悪の状況だが、同時にそれは最大の攻撃の機会。
「……一度骸の海に帰ってもらう」
 晴明を睨みながら、メンカルは【尽きる事なき暴食の大火】で53個の白い炎を生み出し、それらを全て足元の怨霊に叩き込む。白き炎は怨霊の存在そのものを燃料として勢いを増し、斬り裂かれた床や溢れる怨霊を呑み込みながらさらに激しく燃え盛る。そして最後には白き竜の業火と化し、晴明へと襲い掛かった。

「ぐっ……」
 白き炎の竜に喰われ、その膨大な熱量に焼かれながら顔をしかめる晴明。
 だが、その赤き瞳に宿る意志は、未だ冷めたまま。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナミル・タグイール
すごいキラキラだけどなんで水晶にゃ!
どうせなら金ぴかぞんび作って金ぴかボデーになれデスにゃー!
ナミルが金ぴかの強さと素晴らしさを叩き込んでやるマスにゃ。

作戦は突撃にゃー!
先制攻撃は【呪詛】が籠もった金ぴか斧で受け止めるにゃ!
【野生の勘】で攻撃を予測する
【怪力】で最初のチェーンソーを弾き飛ばして本命の2回めのをガッチリ受け止めたいにゃ!
パワーと呪いの勝負デスにゃー!
無敵の金ぴかが負けるはずないにゃ!
耐えながらUCを発動して斧をもっと強くするにゃ!もっともっと輝かせるにゃ!(壊れてても再生する)
理性もなくなってくけど更に獣化した分パワーもあがるはずにゃ!ぶっ壊すにゃー!!【捨て身の一撃】



●水晶より金のほうが素晴らしい!?
「すごいキラキラだけど何で水晶にゃ!」
 ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)は、晴明の背に展開されている翼らしき水晶状の物質を指差しながら指摘するも、晴明は答えない。
「どうせなら金ぴかゾンビ作って金ぴかボデーになれデスにゃー!」
「ふむ……」
「興味がないのなら、ナミルが金ぴかの強さと素晴らしさを叩き込んでやるマスにゃ」
 金への興味すら持たぬ晴明に、ナミルは多数の装飾が施された黄金の斧・カタストロフを構え突撃した。

 一見、突撃は無策に見える。相手は確実に先制してくる陰陽師。無暗に突撃するだけでは返り討ちに遭うのみ。
 案の定、晴明の右手のチェーンソー剣が、ナミルの死角から斬り上げるように襲う。
「にゃ!」
 しかしナミルはチェーンソー剣の軌道を察知し、カタストロフで上から抑え込む。剣先がナミルの左脚を掠め抉るが、察知が早かったためざっくりと斬られずに済んだ。ナミルは最初から己の野生の勘で、晴明のチェーンソー剣の軌道を察知するつもりだったのだ。
「ほう……」
 だが晴明の左手のチェーンソー剣が、呪詛で鈍く光りながら大上段からナミルを真っ二つにせんとばかりに振りかぶられる。こちらが本命なのだが、ナミルはそれも予想済み。
「にゃにゃにゃー!!」
 ナミルは腕にぐっと力を込めて右手のチェーンソー剣を弾き飛ばし、そのまま左手のチェーンソー剣をカタストロフでガッチリ受け止める。
「パワーと呪いの勝負デスにゃー! 無敵の金ぴかが負けるはずないにゃ!」
「その武器にも呪詛が……なるほど」
 晴明が軽く眉を顰める。呪詛が込められているのはカタストロフも同じなのだ。それも強欲の呪いが。
「もっともっと強くするにゃ! もっともっと輝かせるにゃ!」
 ナミルはさらに【破滅の黄金斧】でカタストロフの封印を解き、呪いの輝きを放つ破滅の大斧へと進化させる。代償としてナミル自身の理性も斧へと喰われていくが、その分獣化が進み、より強く欲望に突き動かされるようになる。

 ――目の前の水晶を、ぶっ壊すにゃ
――そして、金ピカの素晴らしさを直接叩き込んでやるにゃ!

「にゃー!! ぶっ壊すにゃー!!」
 獣化が進み、破滅の大斧からより強い力を得たナミルは、斧に込められた強力な呪詛と怪力で左手のチェーンソー剣を吹き飛ばしつつ、晴明の背中の翼の一部を破壊。
「欲に塗れた者……その熱量が羨ましいですな」
 翼を破壊されたにも関わらず、晴明の口端がほんの僅か上がったことに、ナミルは気づかない。

成功 🔵​🔵​🔴​

スカル・ソロモン
安倍晴明……なるほど、いわゆるシャーマンか。
私は詳しくないが、出身世界によっては名が知れているようだね。
随分アンニュイになっているようだが、油断なく行かせてもらおう。

水晶屍人が召喚されたら、合体される前にブラックホールスマッシュに巻き込んで撃破しよう。
恐らくかなりの数が召喚されるだろうが、可能な限り多くを巻き込むように心掛けるよ。
晴明も巻き込めれば一番なのだがね。

水晶屍人を攻撃後は数が減った隙をついて、タクティカル・スパインで晴明へと攻撃を仕掛けよう。
攻撃の瞬間には「恐怖を与える」で身動きを鈍くさせる。何、一瞬でいいんだ。その隙で私には十分だからね。
さらに「2回攻撃」も使って追撃を叩き込もう。



●アンニュイな陰陽師に冷や水を浴びせよ
「なるほど、いわゆるシャーマンか」
 私は詳しくないが、出身世界によっては名が知れているようだね、と仮面の奥から響く低い声で呟くのは、髑髏を模したマスク姿の男、スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)。
「知られていることは私にとってはいささか不本意でございますが」
 砕かれた水晶の翼を再生しながら語る晴明の口調には、ほんの僅か熱が籠るようになっている。
「随分アンニュイになっているようだが、油断なく行かせてもらおう」
「あくまでも猟兵は私を倒すことにこだわっておられる」
 なら、私も相手するだけですと晴明は両手を広げ、水晶屍人を召喚し始めた。

 両肩の水晶に数字が刻印された、戦闘用水晶屍人がその姿を現す。
 その数、10体、20体、30体……
(「おそらくかなりの数が召喚されるだろう」)
 40体、50体、60体……まだ召喚は止まらない。
(「可能な限り、一撃で多くを巻き込むように心掛けるよ」)
 70体、80体、90体……そろそろか。
(「晴明も巻き込めれば一番なのだがね」)
 召喚が終わるまで、スカルはただ待ち続ける。今仕掛けてもおそらく効果は薄いだろうから。

 100を超える数の水晶屍人が召喚され、晴明が手を下ろした直後、スカルが動いた。
「出血大サービスだ。こんなものを見られる機会はそうは無いぞ?」
 戦闘用水晶屍人が合体され強化される前に、スカルは全てを喰らい消滅させるブラックホールの塊、【ブラックホールスマッシュ】を水晶屍人の群れの中へ撃ち込んだ。それは一瞬収縮した後、天守閣全てを覆うほどに広がり、召喚された戦闘用水晶屍人全てと晴明をも飲み込んだ。
「ヴヴァアアアアアアア!!」
 ブラックホールに触れた水晶屍人は、断末魔の声を上げながら次々と消滅。巻き込まれた晴明も水晶の翼をもがれて行く。
「ぐっ……私をも巻き込むとは」
 晴明がわずかに熱量籠る声でスカルを嘲笑した直後、タクティカル・スパインを両手に持ったスカルが真正面から殴りかかろうとしていることに気づき、水晶屍人を盾にしようとしたが、スカルの【ブラックホールスマッシュ】で全滅していたため盾にならない。それでもチェーンソー剣を振り上げようとした晴明を、スカルは一瞬だけ鋭い視線で射抜く。
「……っ!?」
 晴明を視線で怯ませられたのは一瞬だけ。だが、スカルにとってはその一瞬で十分だった。

 なぜならスカルは、晴明を怯ませた一瞬で、タクティカル・スパインの二連撃を相手の胴に叩き込めたから。

「これは効きましたね……貴方達は本気で私を倒す気なのでしょうか」
「そうだな」
 死を撒いた陰陽師を許さぬ猟兵は多いのだよ、と付け加えるスカルに、晴明はため息をつく。

 ――わずかに心揺さぶられたことで、熱の籠ったため息を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎です

貴方は…
安らかにしてらしてた
方々を…屍人として
無理矢理甦らせて…
まるで玩具の様に…!

【第六感】【見切り】【早業】をフルに駆使して
安倍晴明さんの先制攻撃を
UCを発動して防ぎ、
相殺を試みます

何とか先制攻撃を
相殺出来たら
【早業】で攻撃に転じ
自身の剣
『ヴォーパルソード』に
【破魔】を込めて
【属性攻撃】や【なぎ払い】
【鎧無視攻撃】等の剣戟や
剣から放つ【衝撃波】【誘導弾】等の遠距離攻撃を
【二回攻撃】での時間差攻撃等
とも組み合わせて攻撃

敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【オーラ防御】等で
防御・回避

『今の私の力では…晴明さん――貴方に、どこまで戦いきれるのか、分かりません…けど…!』



●生命を玩具にする晴明を許すな
「貴方は……安らかにしてらしていた方々を……屍人として無理矢理甦らせて……!」
 水晶の翼をもがれた晴明の前に姿を現したアリス・フェアリィハート(不思議の国の天使姫アリス・f01939)は、肩を震わせ、怒りを露わにしている。
「安らかに、というと語弊がありますよ? ここは怨念に満ちた場なのですから」
「それでも、人をまるで玩具の様に……!」
「私に怒りを向ける余裕はあるのですかね?」
 晴明は手にしていた五芒符をアリスから見えぬように放つ。怒りに周りが見えてない彼女なら十分な先制攻撃かつ不意討ちになるかと思ったのだが……。
「白の女王の鏡に、映らないものはありません……!」
 唐突にアリスが呼び出した【アリスと不思議の国の鏡】に映し出されたのは、晴明が放った五芒符とそっくりな五芒符。それは鏡の中から飛び出し、晴明の五芒符とぶつかり、双方消滅した。
 五芒符を相殺された晴明の目が一瞬だけ大きく見開かれるが、紡がれる言の葉は傲慢で慇懃なまま。
「まさか、相殺される……いえ、気づかれていたとは」
(「あ、危なかったです……」)
 心の中でそっとため息をつくアリス。実は相殺が間に合うかどうかは極めてシビアだったのだ。だが、アリスの第六感が危険を知らせたことと、晴明が五芒符を放つところをアリスが見切っていたことから、ギリギリ鏡を呼び出すのが間に合い、相殺できた。

「今の私の力では……晴明さん――貴方に、どこまで戦いきれるのか、分かりません……」
「ええ、貴方のような子供まで猟兵とは、いったいどういうことなのでしょうね」
 侮蔑と嘲笑を込めてアリスの幼さを嘲る、晴明。
 ――しかし相手を嘲るのは、相手に興味を持ったことの裏返しではなかろうか?
「けど……死者を無理やり使うのは間違っています!!」
 アリスは怒りに身を任せ、空色の光焔を纏い輝くヴォーパルソードに魔を破りし力を籠め、果敢に晴明に近接戦を仕掛ける。
 挨拶代わりに空色の光焔でなぎ払い、時には衣装ごと胴を斬り裂く。時折軽いステップで晴明と距離を取ったかと思うとヴォーパルソードから衝撃波を放って翻弄し、接近したかと思えばヴォーパルソードを右へ左へ振り抜いて腕に傷をつけていった。
 晴明もチェーンソー剣をあえて普通に振り抜き、アリスの衣服を裂いていくが、見切りや第六感で巧みに急所を外され、致命傷を与えるには至らなかった。

 やがて体力的に限界が来たアリスはその場を離脱するが、アリスは怒りのあまり気づかなかった。
 アリスを嘲った時の晴明の声音には、諦観でなく……わずかな高揚が含まれていたことを。

 ――猟兵の怒りは、着実に晴明に熱を与えている。

成功 🔵​🔵​🔴​

薄荷・千夜子
まるで戯れの如く、多くの人々を巻き込んだ所業
とても許せるものではありません!

[祭花炎扇]を構え、晴明の先制UCにて召喚される水晶屍人に向けて【早業】【属性攻撃:炎】【全力魔法】【破魔】【範囲攻撃】で浄化の炎での一斉焼き払いを試みます
合体される前に減らせるだけ水晶屍人を浄化しましょう
「燃え盛れ、怒りの炎……守刀に魔を祓う力を与え給え」
UC『干渉術式:護火剣乱』を使用
こちらも【属性攻撃:炎】【破魔】の力を纏わせて全力で行きます!
あちらが攻撃をしてきても【オーラ防御】でカバーしつつ全てを攻撃に専念して【捨て身の一撃】
負傷なんて構ってられません!
必ず貴方は撃ち取ります!



●屍人には浄化を、晴明には破魔を
 撤退した猟兵と入れ替わるようにその場に現れたのは、薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)だった。
「安倍晴明……まるで戯れの如く、多くの人々を巻き込んだ所業。とても許せるものではありません!」
「ええ、私にとっては何もかもが戯れにすぎませんよ」
 怒りに唇を噛みしめる千夜子を前に、晴明は両手を広げ、戦闘用水晶屍人の召喚を始める。
「この水晶屍人を造ったことも、戯れのひとつ」
「人の命を何だと……!!」
「ああ、この山陰を屍人で埋めるのも良い戯れになるかもしれませぬな」
 人の命を遊具としか看做さぬ晴明の言の葉を耳に、千夜子は拳をぐっと握りしめながら心に誓う。

 ――安倍晴明、貴方は必ずここで討ち取る、と。

 天守閣が戦闘用水晶屍人で埋め尽くされる前に、千夜子は祭花炎扇を構え、浄化の炎で一斉に焼き払えないか試みる。
(「合体される前に、減らせるだけ水晶屍人を浄化できれば……」)
 千夜子は祭花炎扇を構えたままその場でくるりと1回転。すると扇の先から魔を焼き払う赤き炎が舞い上がり、次々と水晶屍人を焼き尽くす。
「ヴアアアアア……」
 水晶屍人が悲しみの叫びを上げながら床に伏し浄化されて行くのを、晴明はどこか冷めた目で見ているのみ。それがまた、千夜子の怒りを掻き立てる。

 ――燃え盛れ、怒りの炎。
 ――守刀に魔を祓う力を与え給え。

 千夜子は平造りの懐刀【夜藤】を懐から取出し、【干渉術式:護火剣乱】で46個に複製、それぞれに浄化の炎を纏わせ、虚空に浮かべる。
 水晶屍人は浄化の炎でかなり数を減らしていたものの、残った屍人達が合体したため、この場に残っているのは両肩の水晶の数字が『5』になったものが3体ほど。その各々が千夜子を爪で引っかき、噛みついて仲間に引き入れようとする。
 だが千夜子は破魔のオーラでその攻撃を防ぎ、時には虚空に浮かべた夜藤でいなした後、駆け出す。

 ――負傷なんて構っていられない。
 ――狙いはただ、晴明のみ。

 晴明が無造作に振りかざしたチェーンソー剣が千夜子の胴を弱く薙ぐが、千夜子は構わず捨て身の攻撃を敢行。
「安倍晴明、覚悟!!」
 千夜子は残った夜藤を全て晴明に投げつけ、さらに祭花炎扇から浄化の炎を浴びせた。

「ぐ……あ……っ!!」
 身体の外と内を浄化の炎に包まれた晴明が、頭を抱えてその場をのた打ち回る。
 しかし、まだ消滅には至らない。

「猟兵が……私の目的を阻止するとでも……っ!!」
 憎々しげな晴明の声音を聞き、千夜子ははっとする。

 ――晴明への声音に、猟兵への「憎悪」という明確な熱が籠っていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
オブリビオンだが符術師冥利。勝ちたい!
名乗り恭しく一礼。
「未熟故、手を選べぬことお許しを」

「屍人繰りは感心しません」
屍人の数が多い内は四王稲荷符を撒き破魔と範囲攻撃で応戦。
合体等で数が少ないなら神鳴を抜き符に加え二回攻撃で斬、武器受けも活用

足を止めれば只の的なので囮の残像を発生させながら駆け回るぜ。
敵を盾にして晴明の視界を遮り壷か戸棚等の家具に爆弾『カウントダウン』を仕込む。
爆破に合わせ煙で目潰ししている内に符術『百鬼夜行』を使用。
影と化し素早く伸びて、神鳴とアークウィンドの二刀流で斬り伏せに掛かるぜ

最後に再び礼、一つ疑問を投げる。
「陰の術しか使われておりませぬ。何故、陽の術を使われませぬ?」



●符術師と陰陽師の対決
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)が駆け付けた時には、安倍晴明の身体は所々浄化されたかのように焼け焦げ、晴明自身も大きく息をつきながら立っていた。
 ――あと一息で、骸の海に返せそうだ。

 しかし、燦の目的はもうひとつあった。
(「晴明はオブリビオンだが、符術師冥利。勝ちたい!」)
 神社の娘であり、符術師たる燦にとって、陰陽師「安倍晴明」は一種憧れの人物でもある。例えオブリビオンであり、歴史上のそれとは姿かたちは異なっても、対決できるというだけで胸の高鳴りは隠せない。
「四王天・燦と申す。一手、手合わせ願いたい」
 それでもまずは礼儀正しく名乗りを上げ、恭しく一礼をする燦。
「ほう、律儀な猟兵もいたものですね」
 感心する晴明。今回誰も名乗っていないので、この反応もむべなるかな。
「ではこちらも。安倍・晴明と申す。一手、手合わせを」
「未熟故、手を選べぬことお許しを」
「ええ、構いません」
 頷く晴明。

 ――それが、符術師と陰陽師の対決の合図となった。

 晴明は先手を取り、水晶屍人を大量に召喚。燦の行く手を遮ろうと盾代わりに利用する。
「屍人繰りは感心しません」
 一方の燦は、お手製の四王稲荷符を水晶屍人目がけて撒き、破魔の術を発動させて応戦。符が貼りついた屍人は次々と床に伏して行く。だが符が貼りつかなかった水晶屍人達が合体し、燦に噛みつき仲間に引き入れんと欲す。
 それでも燦は冷静に神鳴を抜刀、刀身に纏わりつく紅の電撃で水晶屍人を左右に打ち据え動きを止めた後、至近距離から符を貼り魔を砕く。足を止めれば只の的になりかねない。囮として残像を生み出しながら駆けまわり、符を飛ばし、神鳴で斬り続ける。

 ある程度水晶屍人の数が減り、晴明への道が開いたのを見て、あえて水晶屍人を盾にする、燦。
「何を?」
 次の瞬間、床が爆発し、晴明と燦の間を煙が遮る。
「目晦ましですか……何処へ?」
 若干憎々しげな声音で吐き捨てた晴明は、燦の居場所を予測し、チェーンソー剣で迎撃の構え。

 ――煙を突っ切って正面から来るか?
 ――或いは、煙を避けて側面から符を投げるか?

 次の瞬間、晴明は背後から紅い電撃に打ち据えられる。
「なに……!!」
 驚愕する晴明に、さらにアークウインドから発生したつむじ風が背中をズタズタに切り裂いた。
「後ろ……ですか!!」
 晴明が後ろを振り向くと、【符術『百鬼夜行』】で己を影と化し背後に移動していた燦が、アークウインドと神鳴を同時に振り下ろす光景が目に入る。

 ――アークウインドと神鳴の二刀が、晴明の命脈を確と断っていた。

●陰と陽
「晴明殿、最後に一つ、お聞かせ願いたい。」
 地に伏し、最期を待つのみの晴明に、一礼した燦が問いを投げる。
「いいでしょう」
「貴方は陰の術しか使われておりませぬ。何故、陽の術を使われませぬ?」
「……成程」
 晴明は感心するように一息つく。陰陽術は「陰」と「陽」が表裏一体となる術。しかし、今の晴明は明らかに「陰」の術、負の術しか使用していない。燦はそれを指摘したのだ。

 ――オブリビオンと化したことと、関係があるのだろうか。
 ――それとも、もっと別の何かに……その理由が隠れているのか。

「その答えは、私自身は持ち合わせておりませぬ」
「……左様か」
「いずれまた、私が骸の海から蘇ることがございましたら、改めて聞いてみるがよろしいかと」
「…………」

 燦は黙して語らない。
 やがて、燦の目の前でオブリビオン・安倍晴明は消滅した。

 こうして、陰陽師『安倍晴明』は討ち取られた。
 ――今は解かれぬ数々の謎を残して。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト