エンパイアウォー⑧~繰り返す飢餓
「ひ……く、来るな!」
ゆらゆらと近づいてくる、屍人の群れ。
その肩の水晶が揺らめいた……とみるや、抵抗する間もなく一人の村人へ群がり、貪る。
「に、逃げ……ろ……。」
「うああああ!」
貪り食われる農民の体が骨となるまで、屍人は群がり続けた。
彼らは、いくら食べても満たされることを知らなかった。
それを見た村人たちは、一斉に逃げ出す……。
近くで一番頑丈な建物……鳥取城へ。
「……そんな感じ、です。」
集まった猟兵達へ、元々血の気の薄い顔を青ざめさせながら、影山が状況を説明をしていた。
「今、鳥取城っていう城で、魔軍将の一人の安倍晴明が、水晶屍人を作ってます。
ここで昔、人を集めて閉じ込めて、食べ物とか与えないで……っていう、戦い方をされたみたいなんです。
最後は、人の肉も……っていう、凄惨な内容だったみたい、です。
安倍晴明は、今それと同じことをしようと、しています。
……手駒として、水晶屍人を作るために。」
元々ダークセイヴァーの生まれである影山。
過去の戦いについて、吸血鬼との戦いで似た話を思い出したか……説明が途切れ途切れになってしまっていた。
「元々の苦しんで死んだ死霊と、器となる飢えた死体……両方が揃ったら、完成してしまうんです。
絶対に、防がないといけないんです……絶対に。」
自分に言い聞かせるようにそういうと、グリモアを輝かせてゲートを開く。
「今、水晶屍人が一人目の村人に食らいついているところです……。
皆さんは、何とかして村人を護って、敵を倒してください。
……城に行かせても、だめです、囚われちゃいます。
よろしくお願いします。」
ゲートを通ると、辺りにはぽつぽつと家があり、村人が逃げまどっていた。
……その先には、車座になって貪る水晶屍人の姿が見える。
ヨグ
ヨグです、戦争シナリオ第7弾をお送りします。
水晶屍人を退治し、村人を守ってください。
なお、4~6名程度のプレイングを来た順に採用し、書き上げる予定でいます。
それ以上のプレイングが集まった場合、採用できない可能性がありますが、ご容赦ください。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 集団戦
『水晶屍人』
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POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鈴木・志乃
噛み裂かれ切り裂かれようとも
この手を、離すつもりはない
……エゴだ、こんなものは
※オーラ防御常時発動
開幕突進(タックル) 姿勢を崩す
無理そうなら念動力で光の鎖を操り足払いからの転倒狙い
此方に気づいたら怨念の動きを第六感で見切りつつ
口に鎖を食ませ、腕も縛り上げたい
怯んだ隙に抱き締める(手をつなぐ)
離すものか、絶対に!!
UC発動
祈り、破魔、呪詛耐性を乗せた全力魔法の衝撃波で
安倍晴明の術、怨念、呪詛、力の源の一切合切をなぎ払う
一瞬でいい
もう食べなくていい
呪わなくていい
誰かを傷つけて自分も苦しんで、餓えを満たさなくていいんだ
どうか思い出して
幸せな時間を、一時でいい
無茶苦茶なんて分かってる
それでも、
……。
桐崎・早苗
村人たちは近場であれば刀で、遠ければ【投擲】での呪殺符での攻撃などで助け、式神:こちをつけて守らせたいところ
妖狐の灯篭による明かりでも敵の注目や誘導を得られますでしょうか
戦う合間に9つの方位へ霊符を飛ばして揃えば九星凶方陣による、可能な限り広範囲での【範囲攻撃】を発動させて水晶屍人のみその力を削いで滅したいところ
可能なら桐紋の治癒符や五行調律符などのユーベルコードでけが人を治療できればと思います
●戦闘様式
・右に刀、左に短刀の二刀流
・右を前に向けた半身の構え
・基本は片足を軸に円の動きや半歩動くことで避けたり武器で受け流す動き
霧島・絶奈
◆心情
まるで雨上がりの筍ですね
冗談はさておき…これ程の爆発力を持って増殖し続ける存在ですか…
個々の戦闘力の低さなど問題にもならない脅威です
…放置すれば、冗談抜きに世界が滅びます
◆行動
『暗キ獣』を使用
軍勢による【範囲攻撃】で農民の避難を助けます
屍兵は槍衾にて迎撃し農民の避難経路を確保
屍獣は遊撃によって避難援護と敵の殲滅を図ります
私は【目立たない】事を活かし軍勢に紛れ行動
乱戦こそ【罠使い】の面目躍如
迎撃用の罠を仕掛けつつ農民に警告
「良いですか?死にたくなければ城に向かわず、我々の確保する安全な方向へ逃げて下さい」
敵は【二回攻撃】する【マヒ攻撃】で迎撃
負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復
コトト・スターチス
むらびとさんをぜったい助けたいコトトですっ!
ねこへんしんして、おそわれている方の所に向かいますっ
(黒猫耳尻尾と天使の翼が生える)
全速力で飛翔し、敵をメイスで叩いて【吹き飛ばし】て村人さんから引き離しますっ!
村人さんをメイスの力で癒しながら【救助活動】で目の届く範囲で安全な後方に下げ、【コミュ力】で「お城に行ったら捕まってしまいますにゃ。僕たちが守りますから今はここに居てくださいにゃー」とお願いしますっ
後は村人さんたちを守りながら、敵の攻撃を【見切り】、魔力でできた囮の【残像】へと引き付けつつ、炎の【属性攻撃】を付与したメイスで浄化しますにゃー
「ゾンビパニックは、ゲームだけで十分ですにゃー……」
メンカル・プルモーサ
……ん、まずはこれ村人を助けないとだな……
【夜飛び唄うは虎鶫】を使用。偵察能力のあるガジェットで村人の所在と村人が襲われてるなら援護射撃して村人の救出を行うよ……
…村人の位置を把握したら【彼方へ繋ぐ隠れ道】で私の元へ引き寄せる…
…そして「天下自在符」をみせて徳川の者と証明してコミュ力で城へは行ってはいけない、水晶屍人が倒されるまで避難するように、と言い含めるよ…
村人を救出したら箒に乗って空から【尽きる事なき暴食の大火】で水晶屍人に攻撃……村の建物に延焼しないようにしつつ焼いていくよ……
……視界が奪われてもガジェットからの音声案内に従って攻撃して行くね……
「むらびとさんをぜったい助けたいコトトですっ!」
いうが早いか、黒い猫耳と尻尾を生やして辻ヒーラーとしての力を開放する、コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)。
背中の天使の翼で空を飛び、村人たちに襲い掛かる水晶屍人を、メイスでぶん殴って吹き飛ばす。
「皆さんの事は僕たちが守りますにゃ! だから近くにいてほしいにゃ!」
「……そう、私たちはこういうものです。」
そうしてメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が取り出したのは、徳川幕府のお墨付きである天下自在符。
的確に周囲へ飛ばしたドローンで村人の位置を確認し、詠唱と共にこの場へ引き寄せて、
「……徳川の手の者です。……皆さん、鳥取城に行ってはいけません。」
「ええ、行ってしまったら……この方々のようにされてしまいます、よ!」
吹き飛ばされた水晶屍人を刀で斬り伏せ、後ろ手に式神の『こち』を村人たちへ投げ渡す桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)。
桐崎の声が皆によく通るように風を起こす、こち。
「私たちでこの敵を倒します。皆さんはここでお待ちくださいませ。」
「あ、ああ……わ、解った。」
突然のことに目を白黒させてはいたが、村人たちは素直に猟兵達の言う事を聞いていた。
こうして、村人たちを守りながらの戦いが幕を開ける。
「まるで雨上がりの筍ですね。」
別のところでも水晶屍人を退治してきた霧島・絶奈(暗き獣・f20096)は、これだけの広範囲に一斉に沸き出す水晶屍人をそう例えた。
村人を守るために呼び出した屍兵たちが、並んで立って槍を構える様は、まさに槍衾。
「冗談はさておき……これ程の爆発力を持って、増殖し続ける存在ですか……。」
「こんなの、悲しすぎるよ!」
と、その中から駆け出して水晶屍人の1体へタックルを仕掛ける、鈴木・志乃(オレンジ・f12101)。
「……え、ちょっと?」
「絶対に……放さないから!」
1体の体勢を崩し、光の鎖で口と手を拘束して抱きしめる……そんな鈴木の行動に少しあっけにとられた霧島。
他の水晶屍人も、鈴木を獲物として見ている……。
「まぁいいでしょう。屍獣よ、彼女を守りなさい。」
敵の注意が村人からそちらへ移ったなら、利用するまで。
地から呼び出された屍獣の群れが壁となり、噛みつき引き裂く。
「使える物は使わなくては、ね。」
霧島もまた、屍獣に紛れて罠を仕掛けていった。
それでも村人の側へ向かってくる水晶屍人。
「結構多いですにゃー。」
「そうです、ね!」
コトトを爪で捉えた……と思えば、それは残像。
そこへ半歩踏み込んだ桐崎の右手の刀が首を薙ぎ、まだ動く屍人の手を左の短刀で受ける。
さらに後ろから振り下ろされた、浄化の炎を纏ったメイスに崩れ落ちた。
「ゾンビパニックは、ゲームだけで十分ですにゃー……。」
メイスを構え、まだ向かってくる水晶屍人へ殴り掛かっていくコトト。
「これだけの数……1体ごとではきりがありませんね。」
「手段があれば、その方がいいでしょう。」
呟く桐崎に、いつの間にかすぐ横にいた霧島が笑みを浮かべながら応える。
二人の目の前で、コトトへ襲い掛かろうとしていた水晶屍人がトラバサミにかかり、燃え盛るメイスで殴り飛ばされていた。
「足止めなら、いくらでも。」
「判りました、いきますよ!」
合間合間に桐崎が地面へ仕掛けた九字の霊符……最後の一つを投げ、桐崎の足元に方陣が浮かび上がる。
「最後に一白。……我、九星の理を以て汝に厄を与えむ……!」
オオォォオ!
九宮図の陣は周囲へ一気に広がり、その上に立つ水晶屍人を縛りあげた。
自身の身体を掻き毟るように苦しむ水晶屍人……それを空から見下ろしていたメンカル。
「……焼かせてもらうよ。」
箒に乗ったまま静かに詠唱を始めると、苦しむ水晶屍人たちの横に白い炎が浮かび、触れる。
「貪欲なる炎よ……灯れ、喰らえ。」
途端に白く燃え上がる、水晶屍人たち。
対象だけを焼くその炎が消えた時……後に残るのは、白く残る灰だけだった。
「お疲れ様です、これで終わりましたね。」
「……ああ、うん。多分、ね……。」
桐崎の言葉に、メンカルはぼーっと遠くへ視線を向けている。
そちらへ視線を向けると……。
「鈴木さん、危ないですにゃ!」
「大丈夫……大丈夫だから……。」
縛り上げた水晶屍人を抱き留める鈴木だが……その腕は水晶屍人の爪に切られ、すでに傷だらけだった。
「もう食べなくていい……呪わなくていい。誰かを傷つけて自分も苦しんで、餓えを満たさなくていいんだ。」
それはまるで、幼い子供へ言い聞かせる母親のようで……。
「どうか思い出して……幸せな時間を、一時でいい。無茶苦茶なんて分かってる……。」
それでも……鈴木の流した涙が、水晶屍人へ落ちる。
途端に水晶屍人の抵抗が止み……水晶が濁り、砕け散った。
「……これで、救えたのかな。」
「きっと大丈夫ですにゃ。僕が保証しますにゃ!」
ぽつりとつぶやく鈴木の腕の傷を癒しながら、コトトは力強く頷いて見せる。
完全に動きを止めた水晶屍人を地に降ろすと、そのまま黒い灰となって崩れていった。
「さて、ここは大丈夫でしょう。」
「そう、だね。」
動く敵がいないことを確認した霧島の言葉に、涙をぬぐいながら立ちあがる鈴木。
「次……行かなきゃ。」
「え、もう行くんですにゃ!?」
「……そうですね、まだ終わりではないですから。」
「あ、え、まってにゃ! 僕もいくにゃ!」
驚くコトトだったが、桐崎も続いて行くのをみて後に続く。
「……これだけの水晶屍人を一度に呼び出す、安倍晴明の技術……危険だね。」
振り返り、灰となった水晶屍人を見ながら呟くメンカルに、
「ええ、本当に。……放置すれば、冗談抜きに世界が滅びます。」
霧島の呟きが続き、猟兵達はゲートへ消えていった。
この地の水晶屍人は、問題なく倒された。
だが、鳥取城へ人を集める水晶屍人は、まだすべてを倒しきれていない……。
そのまま猟兵達は、グリモアベースから次の戦場へ向かう。
安倍晴明の企てを潰し、近隣の住民を守るために。
大成功
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