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エンパイアウォー⑦~いのち、廻らず

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●いのち、廻らず
 天下分け目のましろき戦場で、軍神率いる精鋭部隊が幕府軍を蹂躙しようと駆ける。
 風車の如く回転する陣形で突き進む最前線の兵士達は、とうの昔に輪廻の輪から外れていた。
 語らずとも、彼らの歪められた想いはその一撃一撃に込められている。

 ――我が信念、此処に。

●こころざし、廻りて
「皆のおかげで、幕府軍は一人も欠けずに関ヶ原に到着出来たよ」
 ありがとう、と微笑む揺歌語・なびき(春怨・f02050)。やわい笑みを残したまま、説明を始める。
「でも、本番はこれから。何人もの魔軍将が待つ関ヶ原を突破しないと、幕府軍は魔空安土城まで辿り着けない。つまり魔軍将を倒さなきゃいけないんだけど、おれの予知はそいつら相手じゃないんだ――軍神、知ってるよね」
 越後の国の虎龍、上杉謙信。オブリビオンとして蘇った大名は、魔軍将の一角として幕府軍の前に立ち塞がっている。
「上杉謙信が率いる精鋭部隊の『軍神車懸かりの陣』が厄介でね。上杉謙信を中心に、オブリビオンが円陣を組んで敵陣に突っ込む。で、全軍が風車みたいにぐるぐる回転しながら、最前線の兵士を次々交代させながら戦う陣形なんだ」
 軍神のずば抜けた統率力が可能にした『超防御型攻撃陣形』によって、敵は常に万全の上杉軍と戦わねばならないにも関わらず、上杉軍側は充分な回復とバフの時間を得ることができる。
「上杉謙信を倒すには、精鋭部隊も倒さなきゃいけない。皆には、この車懸かりの陣を切り崩してもらいたいんだ」
 他の猟兵達に軍神の撃破を託すために、外縁部の精鋭部隊であるオブリビオンを撃破することに集中する。それがこの依頼の目的だ。
「彼らは堅い防御力と万全の体調で、常に最高のコンディションだよ。その防御を撃ち抜くくらい大ダメージの攻撃で、一体ずつ確実に撃破してほしいな。一撃で倒しきれなかったら、回復する前に連携攻撃でトドメを刺してね」

「皆に相手してもらう精鋭部隊のオブリビオンは、元々は織田信長一揆をおこした農村と共に戦った義勇兵だよ。強い信念や勇気で戦ってたみたいだけど、今じゃその織田側なんだよねぇ」
 皮肉な話だよねぇと、桜の瞳がほんの少し遠くを見る。
「互いを援護する戦法が得意で、味方が倒れれば倒れるほど、残った義勇兵は強くなる。車懸かりの陣との相性はかなり良いから、注意して。数は4体程度、しっかり意識して対応すれば、皆ならきっと大丈夫」
 桜のグリモアが浮かびあがる。その先の景色は地獄か、あるいは。


遅咲
 こんにちは、遅咲です。
 オープニングをご覧頂きありがとうございます。

●注意事項
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。

●成功条件
 オブリビオン4体の撃破。

 プレイングは【13日(火)朝8時30分以降】から受け付けます。
 20日までの完結を目指す為、プレイングをお預かり次第なるべく早く執筆予定です。
 そのため少人数受付となります。
 皆さんのプレイング楽しみにしています、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『義勇兵の亡霊』

POW   :    我が信念、この体に有り。
自身の【味方】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    我が信念、この刃に有り。
自身に【敵に斃された仲間の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    我が信念、この矢に有り。
【弓】を向けた対象に、【上空から降り注ぐ無数の矢】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:シルエットさくら

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

デナイル・ヒステリカル
過去に起きた一揆の参加者、ですか…

彼らがどういった経緯で織田軍の尖兵となり、働いているかは分かりません。
しかし、サムライエンパイアの世界を脅かす存在として戦っている以上、猟兵である僕がするべきことに変わりはない。

オブリビオンを打倒し、この世界の平和に貢献すること。
それこそが今の僕の目標です。

UC:オーバークロックを起動
倒れた仲間による強化、そして陣形によって得られる耐久力の増強はシンプルに強力です。
ですが、僕にも一騎当千の仲間たちが居ます。
僕だけで多数の敵を相手取る必要は無い。

ただ一人の敵とだけ戦うのならば、集団での力に優れた相手よりも、僕のほうが上のスペックを持っているはずだと判断します。


依神・零奈
……謙信公の車懸かりの陣をお目にかかれるなんて光栄だね
非常にめんどくさい陣形をありがとう
……現世守護の務めの為、やるしかないか

硬い防御力……ね、強烈な一撃を確実に当てる必要があるか
UCを発動し禍言による【呪詛】で敵の体を蝕み動きを阻害するよ
抜刀の構えで一気にその敵との距離を詰め勢いを利用したまま
【破魔】の力を宿した無銘刀を抜き強烈な一閃を仕掛けよう

その後は【フェイント】を加えながら【だまし討ち】を狙ったり
敵の攻撃を防いでからの【カウンター】などの技を駆使しながら
味方との連携も視野に連撃で攻めていくよ

頭上からの矢については深手を負った敵がいれば
その敵を盾に防いでみよう



 ましろの戦場に並ぶ亡霊を、二人の少年少女が見つめる。形はヒトであっても、そこに居るのは電子の元案内役と、八百万の神の元一柱だった。
 巫女装束に身を包んだ依神・零奈が、紫紺の前髪を少し払って視界を広げる。
「謙信公の車懸かりの陣をお目にかかれるなんて、光栄だね――非常にめんどくさい陣形をありがとう」
 やれやれとほんの少し眉をあげた少女の隣、デナイル・ヒステリカルはぽつりと呟く。
「過去に起きた一揆の参加者、ですか……」
 彼らがどういった経緯で織田軍の尖兵となり、その身を粉にして働いているかは分からない。けれど、
「この世界を脅かす存在として戦っている以上、猟兵である僕がするべきことに変わりはない」
 きっぱりと断言した少年の表情をちらりと横目に、零奈は小さく溜息を洩らして。
「……現世守護の務めの為、やるしかないか」
 言い終わる前に、ふわりと白い衣が踊る。少女の躰は一時的に守護神霊としての力を取り戻し、無銘の刀がその手にしかと馴染む。
 とん、とひとつ足音を鳴らした少年の全身を、ぱちり、ぱちりと光が奔った。青白く瞬く稲妻は、今か今かと出番を待ちかねている。
「分断させてそれぞれ一人ずつ、問題ありませんね」
「うん、でもひとつだけ……初手のタイミングを合わせて貰ってもいいかい?」
「勿論」
 気安い笑みで返したデナイルに零奈は会釈し、二人は同時に敵前へと駆けた。その先には木製の強固な盾持つ者が一人と、その背後で弓を構えた者が一人。
 ふ、と守り神の唇が動く。感情無く朗々と語られていくのは、おぞましい程のまじない。
「キミ達の歩む道は、此処に断たれる――その身はもう、何も守れない」
 神霊の齎した禍言は、彼らの歪められた志に刺さったろうか。ずくりと二人の兵の動きが一瞬止まる。
「……これでいい」
「それじゃ、遠慮なく行かせてもらうよッ!」
 音を置いてきぼりにして、青白い雷光が疾る。肉体を構成する質量はエネルギーへと変換され、彼のいのちすら何処かへ置いていく。ぱちり、眼鏡のレンズが稲妻を弾く。盾持つ兵が振るう刀をすかさず避けて、少年は強烈な蹴撃を繰り出した。
 叩き割られた盾に気を取られた兵の前で、善良なバーチャルキャラクターは歯を出して笑う。
「がら空きですよ」
 雷のように速い拳の連打は、ひかりと同じだった。受け身ひとつ取れぬまま、身体を次々に殴打されて兵がよろける。瞬時に、デナイルの全身を纏う稲妻がひときわ輝きを増す。
「ぶっ飛べ……ッ!!」
 増幅プログラムによって精製された無尽蔵の雷電が、天空ごと兵の身体を貫いた。
「僕にも、一騎当千の仲間たちが居ます。僕だけで多数の敵を相手取る必要は無い」
 ただ一人の敵とだけ戦うならば、集団での力に優れた相手よりも、此方の持つスペックが遥かに上――データを元に、そう判断した少年が笑んだ先、相手の姿は消え失せていた。
 分断された射手が、零奈に向けて弓を引き絞る。
「無意味だよ」
 ――だってキミは、何も守れないんだから。
 まじないによって震える射手の腕を見抜いた少女は、矢が放たれるよりも速く接近。無銘の刀がわずかにきらめきを残して、一閃。
 体勢を崩した兵が再び矢をつがえようと動く前に、その胸に刀を深々と突き立てる。
 噴き出す赤色の先、崩れる射手の姿を見据えていたら――ちりぢりと、この身が削れる音がして。
 それでもいいと、守り神は思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

萬・バンジ
※アドリブ連携オール歓迎
一撃必殺、回復する前にやれか
単純明快でええな
大勢の敵潰すんは得意やけど、少人数は久々や

精霊「サガラ」を囮役に飛ばします
水の《属性攻撃》で、義勇兵の注意引きつけたって。頼んだで

ボクは気配を消しつつ《忍び足》
戦いの混乱に紛れて接敵
ユーベルコード『シーブズ・ギャンビット』
抜いた「涙雨」で斬り捨て御免
確実に倒さんとやから、刀突き立てた場所に《全力魔法》
冷気流し込んでダメ押しと行きましょ

…やっぱ自分の手でってのは苦手やな
ボクの細腕じゃ一人がせいぜい。獲ったらとっとと退散
隠れて杖振る仕事に戻ります


ヴェル・ラルフ
志も、信念も…オブリビオンとなれば、忘れてしまうのかな。利用されてるだけなのか。


■作戦の概要
威力の強い攻撃で回復不能にする

[早業]を活かして前線へ
そのまま[ジャンプ]で飛び込み頭上から【陽炎空転脚】で頭をかち割るような攻撃を試みる

うまく避けられたり、味方を庇って別な敵が飛び出してきた場合は追撃
直ぐ様愛用のナイフ「明けの鈴」で[暗殺]技。避けたり庇った直後の態勢が崩れたところを狙って、[傷口をえぐる]
ごめんね、優しくなくて。

…味方のために、ここまで戦えるのに。
かつての志だって、簡単に呑み込まれるような信念ではなかったんじゃないのかな…
それを、思い出せればいいのに。

★アドリブ・連携歓迎


志崎・輝
※アドリブ・連携歓迎

一体ずつ確実に倒す
あえて不利な行動?
そう、隙ができるってことでしょう
先んじて手甲に全力の雷を纏わせ
全部の力注いで渾身のUCで、ぶちのめす
倒れたら踏みつけて、紫棘でとどめを

仲間との連携ももちろんする
アタシの力が活路を開くなら協力は惜しまない
斬り合うことになっても引かない
アタシにも意地がある
紫棘でなら相手してやる
「斬られたいなら容赦しない、来い
見切って躱して、雷電纏わせて、鎧ごと斬って力でねじ伏せる
最後は怪力を発揮してUCを

徳川の軍勢は守る
アレを守ることはこの国を守ることと同義
アタシの国を壊させやしない
だから上杉!
立ちはだかるなら倒すだけ
その前に、アンタのご自慢の陣を崩す!



 抜け殻のような身体ごと心を戦場に遺す亡霊に、ヴェル・ラルフの胸がつきりと痛む。
「志も、信念も……オブリビオンとなれば、忘れてしまうのかな」
 利用されているだけならば、彼らの想いはどこへ行ったのか。少年の独り言を、志崎・輝はあえて聞かなかったことにした。今やるべきことは、ただ一つなのだから。
「一撃必殺、回復する前にやれ、か。単純明快でええな。大勢の敵潰すんは得意やけど、少人数は久々や」
 萬・バンジはうぅんと首を軽く動かして、二人へゆるい緑の双眸を向ける。
「ほんならお二人さん、よろしゅうな」
「うん。一体ずつ確実に、三人でぶちのめす」
「……うん、行こう」
 黄昏に微睡む少年と、蜂蜜に琥珀溶かした羅刹が駆けだす。ましろの戦場に色彩を宿して向かう先には、薙刀を携えた兵と弓矢を構える兵。
「サガラ、頼んだで」
 バンジの願いに応じて、清流の翼持つ小鳥が羽ばたく。ヴェルと輝よりも先に義勇兵達の元へ到着した精霊は、上空から魔力を湛えた水流を放つ。薙刀の兵が、小鳥を撃ち落とそうと弓を引き絞る射手をかばうものの、二刀で襲いかかったヴェルが無理矢理押しのける。
 がら空きとなった弓兵の眼前を、ばちりと閃光がひかった。雷の精霊を封じる輝の手甲から、溢れんばかりの稲妻が奔っている。
「あえて不利な行動? そう――隙ができるってことでしょう」
 雷電を纏った両の拳が、勢いよく兵の胴へと叩き込まれた。流れるような連打が終わると、瞬時に蹴り上げた右脚の強烈な一打が放たれ、男物の黒羽織と赤黒い着流しが翻る。けれど端正な顔ときよらな声が、彼女が少女であることを示していた。
 徳川の軍勢は守ってみせる、アレを守ることはこの国を守ることと同義。
「アタシの国を壊させやしない」
 大きく態勢を崩した射手が、かがやきを失わない藤色の瞳に魅入られた時。背後に迫る男の姿は、既に捉えられなかった。
「こんなとこでぼーっとしとったら、あかんよなぁ」
 バンジの冴えた小刀が、射手の背中に深々と突き刺さる。とめどない魔力は冷気として兵の体内に流れ込み、徐々にその身を凍らせていく。凍った体を輝が白い刃で貫けば、硝子が割れるような音が響いて、いのちがひとつ、還る。
 仲間を守れなかったもう一人の兵は、ぶわりと薙刀を振るってヴェルから距離を取る。再び小鳥が水流を撒き散らしたと同時、懐へ飛び込んだバンジと輝が刀で斬りかかった。けれど喪った同志の力を得た兵には、深いダメージを与えられない。
「……やっぱ自分の手でってのは苦手やな。ボクの細腕じゃ一人がせいぜい」
 やれやれと言った風に笑いながら小刀を休みなく動かすバンジの隣、輝はしなやかな腕からは想像もつかぬ怪力で愛刀による鍔迫り合いを繰り返す。
 二人の相手によって身動き取れなくなった兵は、ヴェルにまで気を回すことなどできない。とん、と地を蹴るゆうやけこやけの姿は流麗で、昼間にもかかわらず、懐かしい夕陽の影を視る。
「味方のために、ここまで戦えるのに」
 甘く溶けた琥珀の眸は、どうしたって敵へ憐憫の情を抱いてしまう。かつての志だって、簡単に呑み込まれるような信念ではなかったろうに。
「――それを、思い出せればいいのに」
 ゆらゆらと、陽炎の軌道が鮮烈に残る。あかあかと燃ゆる焔を纏った蹴撃は、兵の脳天ただ一点を狙って、うつくしいほど鋭く墜ちた。
 僕は優しくないけれど。崩れ落ちるその姿を、決して忘れないだろう。
「上杉!アンタのご自慢の陣は崩した!次は、アンタをぶちのめす!!」
 故郷を愛する少女の咆哮は、越後の軍神の耳に届いていただろうか。その魂の叫びは、ヴェルの心にも強く響く。だってこの世界は、かけがえのない親友の故郷だから。
「そろそろ軍神さんも、おいでになるやろな」
 少年少女の凛々しい貌を、男はレンズ越しに目に留めてやわく声をかける。

 ――それは、もう目前に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月17日


挿絵イラスト