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ロック&ロール

#UDCアース

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#UDCアース


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●渦雷
 大雨の日、レインコートを着た怪しげな集団が、大きな皿を前にして何かを祈っている。皿の上には、人間の片腕のような細い塊が――。
「……ロー……ルよ……が願……入れ……え……」
 雨が強く、彼らの声はよく聞こえない。暫く伏せるように礼を捧げた後、何も起こらないことを認めると、彼らは近くの小屋へと入っていった。

「……この地の名産ロールケーキを捧げたくらいでは、神を召喚できないようだな……」
 レインコートを着た男は、皿の上でべしょべしょになったロールケーキを眺めて呟いた。
「畜生……名前はロールケーキに似てるのによ……」
「似てねえよ。しかし、このままでは埒が明かないのも事実……やはり生贄を使うしかないのでは?」
 生贄を提案した瞬間、彼は物凄い勢いで頬を叩かれた。

「それでいこう」
「いま何で叩いたの?」
 彼は大きく目を見開いて不満を露にしたが、他の者はそれに取り合わない。男達は順番に、彼の肩をポンと叩いて小屋を出て行った。

●渦中
「マズイことになった」
 佐藤・非正規雇用(ベリーロール・f04277)は、直方体の箱を開けつつ、猟兵たちに向かって淡々と説明を始めた。
「とある村で、邪神の復活を試みているらしい。しかも、次は生贄を使うつもりのようだ」
 非正規雇用は背を向けて、箱の中身を取り出しつつ話を続ける。
「君達には、全力で儀式を阻止して欲しい。また、もし邪神が復活してしまったら、何としても外に出ないよう留めてもらいたい」
 くるりと振り向いた非正規雇用は、皿に載せたロールケーキを猟兵の前に置いた。
「まずは、このロールケーキの産地に向かってくれ。このロールケーキを卸しているレストランが、邪神の信者たちと何か繋がりがあるようだ」
 続けて、調査方法を説明する。
「客のフリをして聞き込みをしてもいいし、こっそりと店員を尾行するのもいいかもしれない。可能なら、レストランの店員として潜入するのもアリだろうな……奴らも警戒しているだろうから、何か工夫するべきだと思うが」
 また、非正規雇用は一枚の新聞の切り抜きを猟兵たちに示す。
「最近、このレストランの近くで誘拐事件が起きたんだが、これも生贄のために攫われたと考えれば辻褄が合う……くれぐれも注意して調査してくれ」


アルバイトの佐藤です
 アルバイトの佐藤です。

 生贄を救出し、邪神の完全復活を阻止するのが今回の目的です。
 レストラン関係者から邪神の信者を見つけ出し、生贄にされそうな一般人を助け出してください。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『人気のあるレストラン』

POW   :    客として入店する

SPD   :    聞き込みや関係者を追跡する

WIZ   :    アルバイトをする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヘカテー・ティシポネ
邪神ね…。
それより…ロールケーキ…何か…おなかすいた…わ。

◆WIZ
(此処は、アルバイトで、ロールケーキの味を…いえ、しっかり、内部調査をしないといけないわね。)

出来る限り【目立たない】ようにレストランの店員たちに【催眠術】を掛けて、元々いた目立たないアルバイトとして潜り込んでみるわ。生贄は何処かしら?仕事ついでに確認しておきましょう。あと、ロールケーキもね。

「目立たない…から…仕方ない」



●クリーム
「これは何としても、店員として潜入する必要があるわね。うん、絶対にそう」
 ヘカテー・ティシポネ(ダンピールの死霊術士・f06411)は、ブリーフィングを済ませた後、真っ先に件の店へと向かった。

 レストランの前で店員らしき男を見つけたので、ヘカテーは声を掛けてみた。
「すみません、ロールケーキを働かせてください」
「な、何だって???」
「いえ、何でもありません。ここで働きたいのですが……」
「そうかい……それにしても、凄い格好のお譲ちゃんだな……」
 ヘカテーの胸元を大きく開けたローブに驚きつつ、店員の男は、彼女の顔をまじまじと見る。そしてダンピール特有の美貌に気付くだろう。
「つ、つまり、バイトとして働く代わりに、ウチのロールケーキを食べたいということなのかな?」
「そういうことになりますね」
 受け答えはイマイチだが、ヘカテーは人より顔が良かったことと、催眠術をかけたお陰で、好意的に解釈されたようだ。彼女は無事にレストランのバイトとして働くことになった。

 店員に催眠術をかけたことにより、店内も自由に動くことができた。しかし、どうしてもレストラン内で生贄を見つけることができなかった。
(「やはり、生贄は別の場所に移されてしまったのかしら……? もぐもぐ」)
 そして、ロールケーキの保管場所も見つけていた。

 その時、ヘカテーに衝撃が走る。
「はっ!? このクリームは……!!」
 確かめるように、カット前のロールケーキにかぶりつく。
(「これは、オーカワ農場の生クリームを使っている……しかも動物性と植物性をブレンドしているわ!! これを使っているロールケーキのメーカーは、かなり搾られる筈……!!」)
 うんうんと、満足げに頷くヘカテー。
「これは、重要な情報を掴んだわね……」
「あっ! また盗み食いしてる!」
 ヘカテーは、メーカーの使用している生クリームの情報と、ロールケーキ代を天引きされた給料を入手した。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリシア・マクリントック
お客様に手製のお菓子をお出ししたこともありますし、経験を活かしてアルバイトとして潜入することにしましょう。社会勉強としても有意義ですし。
邪神の信者であれば何か不自然な行動があるはず……こちらが怪しまれることがあれば、「狭い世界で生きてきたので、皆さんにとっては当たり前のものでも珍しく感じることもあるのです」といったようなことを言ってごまかしましょう。私は少々世間知らずですが、そこを逆手に取るのです。
もちろん、礼を失さぬよう万全の注意を払います。
飲食店だとマリアは何もできませんね……看板犬?
ダメならお店の外を探るか、邪魔にならないところでおとなしくしててもらいましょう。



●パフェ
「えっ、またアルバイトの応募かい?」
「また……?」
 アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は、例のレストランへアルバイトの申し込みに来たのだが、話をした途端に店員が怪訝な表情をした。
「最近、黒ずくめの変わった女の子が来てね……店中のロールケーキを食べ尽くしそうな勢いだったから、辞めてもらったんだよ」
「! そうだったんですか……それはお気の毒様です……」
 ロールケーキと聞いて、アリシアの表情が一瞬強張る。
(「黒ずくめの少女……怪しいわね。これは何としてでも、店内に潜入しなくては……」)
 アリシアが意を決して、店員に頼み込む。
「お願いします! 私は世間知らずなところもあるかもしれませんが、お菓子作りは得意です! きっと、直ぐお役に立てると思いますわ……!!」
「で、でもその狼は……」
「これは狼ではなくて犬です!! 入口で大人しくさせておきますので!」
 マリアが『がーん!』という顔をする。
「そ、そお? じゃあお願いしちゃおっかな……」
 アリシアの真摯な態度に圧され、店員が思わずOKをする。女の子に弱いのかもしれない。

「ふぅ……」
 アリシアは憂鬱げな溜息をついた。レストランのアルバイトとして潜入して数日……パフェの作り方ばかり上達し、肝心の情報が入手できていない。
(「生贄はここにいないようだし、店員が怪しい動きをする素振りも見せない……。もしかして、外部の人間が手引きを……」)
 アリシアがその考えに至った時、レストランの外で看板犬をしていた(させられていた)マリアの吠える声が聞こえた。
「マリア……!?」
 アリシアがレストランの制服を翻し飛び出す。外では、走り去る車に向かって、マリアが必死に吠えてるところだった。
「車……? まさか! あれがロールケーキを卸している業者なの!?」
 気付いた時には、車はもう見えなくなっていた。何となく黒いバンだったような気がするが……ナンバープレートまでは覚えていない。
「何てこと……卸業者のことも注意すべきでしたわね……」
 悔しがるアリシアに、マリアがそっと寄り添った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

アイク・サリバン
[POW]
紋付き袴をレンタルして着飾って舌の肥えた金持ちの美食家を装おう。
それっぽく見えるように執事もレンタルおじさんサービスで雇う。
レストランでこの格好は異様に目立つ。最初はパスタやスープを頼んでダメ出し。
店が俺の扱いに注意が向いたらロールケーキを注文。一口食べたら「このロールケーキを作ったのは誰だ!」と言って責任者を呼んだら態度を一変。
涙を流して感動した様子で、ロールケーキの美味さを伝え、仲間の美食家に紹介したいと言ってロールケーキの情報を店から引き出そう。
事件が公になればロールケーキの宣伝になるから嘘は言ってないだろ?



「ここが、問題のレストランだな……」
 アイク・サリバン(セルフカスタムエンジニア(自己改造技師)・f03502)は、紋付き袴姿で店の前に立ち、繁々と入口を眺めた。入口なんかを見ても、何か分かるわけではないのだが。
「行くぞ、セバスチャン」
「おう」
 レンタルおじさんサービスで執事役も雇ったが、急ごしらえのためか、返事が頼もしい感じになってしまっている。
「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」
「この店で一番美味い料理を頼む」
 たかが庶民向けレストランなのだが、アイクのいかにも美食家らしい迫力に圧倒された店員は、急いで厨房へと引っ込んだ。

 最初に、パスタがアイクの前に置かれた。温かそうなホワイトクリームのパスタで、具にはサーモンとしめじが使われている。
「フン、こんなものそこら辺のファミレスに置いてあるだろう。しかもチーズの入れすぎで臭くなっているな。よくもこんな料理を客に出せたものだ」
 ここは"そこら辺のファミレス"なのだが、アイクは気にしない。思いつく限りの罵倒で店員をなじる。
「そうだよな、アルフレッド」
「まったく、どうかしてるぜ」
 どうかしてるのは執事の方なのだが、アイクの妙な圧力が場を支配していたので、誰も文句を言う者はいなかった。
「次」
「か、かしこまりました!」

 次は、シンプルなオニオンスープがアイクの前に置かれた。透き通った玉ねぎが、丁寧に火を通したことを物語っている。正直、ファミレスにしては上出来な部類と思われる。だが、アイクは通さない。
「何だこれは、しょっぱ過ぎるぞ。俺を高血圧で殺す気か? そもそも、こんな具の少ないオニオンスープで金を幾ら取っているんだ。これなら泥水を啜った方がマシだぞ」
 いくら何でもそれは無いと思うが、この場にアイクに逆らう者はいない。
「そうだよな、ハヤテ」
「いいかげんにしろよな」
 呼ぶ度に執事の名前が変わるので、執事役が料理にキレてるのか、アイクにキレてるのか分からない。
「次」
「かしこまりましたぁん!!」

 いよいよ、アイクの前にデザートが置かれる。噂のロールケーキだ。
(「これか……」)
 一口食べ、充分に間を溜めてから店員を呼ぶ。

「このロールケーキを作ったのは誰だぁっ!!」

「はっ、はひっ! そのロールケーキはウチで作っているものではなく、卸しているものなんですぅ!!」
「そうなのか……。俺……いやワシは、このロールケーキにとても感動した……。良ければ、そのロールケーキを作っている業者を教えてもらえないだろうか」
 サイボーグのため涙を流すのも容易なのだろうか、アイクが迫真の演技で店員を丸め込む。
「わ、分かりました。そこまで仰るのなら、業者の名刺をお渡ししましょう」
 そう言って、店員は奥から名刺を取ってきた。
(「やれやれ、思い通りにコトが運んで良かったぜ」)
 アイクはコーヒーを飲みつつ、受け取った名刺を確認する。そこには"邪神復活クラブ"と書いてあった。

「そのまま!!」
 アイクはコーヒーを吹き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜桜・雪風
私、スイーツ大好きなんですよ。
ロールケーキで神さまを召喚できないことなんてあるのですね。
納得いきません、訴訟です。

それはさておき、ロールケーキの産地に行きましょう。
お客となってロールケーキを頼みますね。

うーん、このロールケーキ...そんなに美味しくないですね(個人の感想です
これではダメですね
私の舌にかなえば神さまでも悪魔でも飛んできて食べたいと言うはずです!

ちょっと話を盛りつつエキサイトしますね。

ロールケーキ愛があるから神さまに捧げようとしたのだと思うので、
ロールケーキを愛している信者が出てくるはず!

出てきた信者と和解して、
ロールケーキを背景に写真を仲良く撮影して猟兵と信者情報を共有しますね



●ディス
「ロールケーキで邪神の復活に失敗? そんな馬鹿な……ロールケーキが美味しくなかったのが原因では?」
 夜桜・雪風(まったりデイズ・f00936)は、人とは違う視点からこの問題に切り込んだ。
「まず、このロールケーキの味を確認しなくては……」
 強い思いを胸に、例のレストランへと向かった。

「ロールケーキをひとつ」
 レストランにて、早速、ロールケーキを注文する。既に、隣の席の美食家のような男がロールケーキを食べており、味を絶賛しながら店員の手を握っている。なるほど、これは期待が持てそうだ。
「お待たせしました」
 運ばれてきたロールケーキは、フルーツ類がトッピングされ、ベリーソースがかけられている。まぁ見た目は合格としよう。
「いただきます。はむ……」
 ふかふかしたスポンジと、たっぷり塗られた生クリーム。そして甘酸っぱいソースが口の中に広がる……。
(「これは……。悪くはないですが、とても神や悪魔が降臨したくなるような美味しさではないですね……」)
 コトン、とフォークを置き、夜桜は率直な感想を店員に伝えた。
「このロールケーキ、とても食べられたものじゃありませんね。スポンジは卵を使ってるように見せかけて着色しているし、生クリームも乾燥してパサパサ。こんな出来じゃあ、邪神を呼ぶどころか訴訟を起こされても文句は言えませんよ」
 先程まで別の客にロールケーキをベタ褒めされたと思ったら、今度は唐突なディスリスペクトを受け、店員は目を白黒させた。
「え、えと……あの、お客様……」
「ちょっと待ったぁ!!」
 おっと! 厨房の奥からちょっと待ったコールだ! コックの格好をした男が、真っ直ぐに夜桜のもとへ駆け寄っていくーっ!!
「言い訳のようで申し訳ないですが、このロールケーキは冷蔵庫に入れていたため味が落ちていたんです。一週間後にまた来てください。本当のロールケーキをお見せしますよ」
「一週間後ですが……わかりました。次こそ私を満足させられなければ、裁判を起こしますからね」
 物騒なことを口にしながら、夜桜は不承不承聞き入れた。
 
 一週間……恐らく、再びロールケーキを仕入れる頃だろう。その時に来れば、邪神の信者たちを捕まえることができるかもしれない……。夜桜は様々な思惑をめぐらせながら、コックとインスタ映え的な写真を撮った。

「そういえば、こちらがロールケーキを卸している業者の名刺になります。是非お見知りおきください」
「これはこれはご丁寧に……」
 夜桜が受け取った名刺には、やはり"邪神復活クラブ"と書いてある。

「そのまま!!」
 夜桜はカメラを床に叩き付けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カチュア・バグースノウ
WIZ、アルバイトとして潜入するわ
新人アルバイトだけど、給仕だけは玄人のつもりよ
面接では「前職をクビになった」「給仕は7年ほど続けている」
ことを主張して、玄人ぶる
タチの悪い客や、クレーマー対応もするわ
制服がダサくても着るわよ

「いらっしゃいませ!」
元気に挨拶
バックヤードでも調査よ
休憩中を利用して、過去ロールケーキを卸したとところで怪しいところを携帯で撮影する

書類の元に行けないようなら、
レストランのほうでトラブルがあったとか言ってみる
コックにも聞き込みしてみるわ
「ここってロールケーキが美味しいのよね」
「変な客とかいない?」
「あたしの働いてたとこはね」
と自分の体験を交えて愚痴ってみる



●ユニフォーム
 カチュア・バグースノウ(蒼天のドラグナー・f00628)は、問題のレストランに到着した。
「ここが、あのロールケーキを卸しているというレストランね。早速、アルバイトに申し込まないと……」

「君も!?」
 カチュアがアルバイトとして勤めたいことを伝えると、店員が素っ頓狂な声を上げた。
「いやぁ……最近、立て続けにアルバイトの応募があってね……。何? ウチって雑誌にでも紹介されたの?」
「い、いえ……私は存じ上げませんが……そうかもしれませんわね」
 返事に窮し、カチュアは視線を逸らす。
「とにかく、私はホールの仕事もキッチンの仕事も出来ますよ。前も別のレストランで働いていたんですが、お店が潰れてしまって……」
「なるほど、それなら頼りになりそうだ。早速、この制服を着てお店に入ってくれたまえ」
「はい! よろしくお願いします!」

 数分後、制服に着替えて、お店に立つカチュアだったが……。
「店長」
「ん?」
「店長、私だけ制服違いません?」
 カチュアの制服はピンクとホワイトのツートンカラーで、エプロンは上腹部まで覆い、胸が強調されるデザインとなっていた。
「これ、○ンナミラーズですよね」
「ん?」
「店長」
「ん?」
 たった数分で、店長の耳がやたらと遠くなってしまったが仕方ない。任務には差し支えないのだから、このままアルバイトを続行しよう……カチュアはそう割り切った。

 制服の効果もあったのかもしれないが、カチュアは比較的スムーズに情報を集めることができた。ロールケーキの卸業者を突き止め、厨房のスタッフにも聞き込みを行った。
「最近、変なお客はいなかったかしら?」
「変な客? そうだなぁ……他の料理を貶しまくった挙句、ロールケーキだけ褒めていった客と、逆にロールケーキをめちゃくちゃ貶して帰った客が同時に来たことかな……」
(「一体、ここのロールケーキはどんな味なのかしら……」)
 少し、ロールケーキに興味を持ったが、残念なことにレストランのロールケーキは頑丈に施錠されており、盗み出すのは難しそうだった。(過去に大規模な盗み食いがあったため、その対策だとか。)

(「とにかく、充分な情報は集まったわね。そろそろ外の仲間と連絡を取ろうかしら……」)
 カチュアはパタン、とメモを閉じ、仕事へと戻った。

成功 🔵​🔵​🔴​

マスター・カオス
フハハハ…我が名は、グランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!
ふむ…そろそろ小腹のすく時間だとグランドフォースが囁いているな。

【pow】
割と普通?に、レストランで客として入店します

どちらにしても隠れている信者側に、警戒されているなら、相手に対象を絞らせた方がよりよい。ならばと「存在感」で要注意人物(ヤバい客)として、誰を警戒すべきか?と他の方々が調査しやすい様に囮となります。

時に「フェイント」などで思わせ振りな行動で(実は本気で)食器を床に落としてみたりと油断できないようにしますが、当人は、他意なく終始レストランを利用しにきただけなのでした。 



●ひじき
「フハハハ……、邪神の信者たちを探すのに苦戦しているようだな。ここは皆のために、私が一肌脱ぐとしよう」
 マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)は、敢えて囮役を買って出た。

「たのもー」
 重厚な鎧を身に纏い、明らかに場違いなレストランへとマスター・カオスは足を踏み入れる。何だか挨拶もおかしい。
「ひっ!? 何? 侵略なの!? 他店からの刺客!?」
 マスター・カオスの姿を見た店員が、すっかり怯えて狼狽する。
「いや、そうではなくてな……」
 あくまで客として訪れたことを、店員に分かってもらうまでに時間を要した。

「そ、それではこちらへどうぞ……」
「うむ」
 店員に通された席に、狭そうに座るマスター・カオス。ガシャ……という金属が擦れ合う音がした。
「ご注文は何になさいますか……?」
「そうだな……ひじきサラダを……」
(「意外と健康思考ね……」)
「5つ」
「5つ!?」
 他の猟兵はロールケーキを注文したりしていたが、マスター・カオスは囮が目的なので、普段通りに食事を取り始めた。
(「あの仮面で、どうやって料理を食べるのかしら……気になって夜も眠れないわ……」)
 色んな意味で注目を集めたマスター・カオスだったが、このレストランには以前にも変わった客が2人(美食家サイボーグと訴訟オラトリオ)が来ていたので、逆に『鎧で来店するぐらいは許容範囲』『むしろ、以前来た客も普通だったのでは?』と別の角度からカモフラージュした。

「おっと」
 ひじきサラダに夢中になっていたマスター・カオスだったが、腕がぶつかってテーブルから皿を落としてしまった。割れる――と思われたが、目にも止まらぬ速さで駆けつけた店員が、皿が地面に着く前にキャッチした。
(「!! こやつ……」)
 出来る……。そう思って、皿を拾ってくれた店員を見ると、何故か他とは違うピンクとホワイトのツートンカラーの制服を着ていた。
(「やはり、あの店員だけ特別だから、別の制服を着ておるのだな……」)
「お済みの皿はお下げしますね」
「あ、ああ、すまない。よろしく頼む」
 楽しく食事を済ませたマスター・カオスは、会計をして店を出た。

 マスター・カオスは、狙い通り、猟兵たちの印象を薄れさせることに成功した。これにより、ロールケーキ卸業者の待ち伏せ等がしやすくなっただろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

京奈院・伏籠
趣味:食べ歩き。甘いものもイケるクチ。
ほー、名産ロールケーキ?
何かしらのコダワリがあるのかな。

【地形の利用・追跡・暗視】

店の通用口をチェックできる地形を探して張り込み。
ここは根気の勝負。手元にはお約束の牛乳とアンパン。
…いや、せっかくだからロールケーキにしよう。お持ち帰りとかやってるかな?

その後、退店する店員を追跡して様子を探る。誰を追跡すべきか、可能なら他の猟兵店員の情報を受け取って動く。
…生贄にされる、ということは誘拐された人物はまだ生きているはず。
人質の食料をレストランから持ち帰る可能性も?
怪しい店員に目星が付かなかったら、料理を持ち帰る店員を狙って追跡しよう。
さて、コイツは正解かな…?



●あんぱん
 京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)は、問題のレストランの外で張り込みをしていた。事前に、店の裏口をチェックできるような場所を調べておいたのだ。
(「そろそろかな……」)
 サイボーグの京奈院であれば、長時間の張り込みや、夜間の暗視も可能である。しかし、今回は仲間達の情報により、そこまでの苦労は必要なさそうだ。また、京奈院が怪しまれずに済んだのも、仲間の働きによるものだった。猟兵たちが散々レストランで暴れ回ったので、『あのレストランには変な人が集まる』という噂が立ったのだ。おかげで京奈院が店の周りをうろうろしていても、誰も気に留める者がいなかった。

 昼頃、情報の日時通りに黒いバンがやって来た。ロールケーキの卸業者だ。
(「あれがレストランにロールケーキを卸している業者……確か、"邪神復活クラブ"とかいう……レストラン側も、よくそんな名前の業者を使う気になったものだな」)
 京奈院の目的は、ほぼ達成した。あとは仲間を呼び、見失わないように業者を尾行するだけだ。
(「仲間たちが何度も店内を調べたが、生贄は見つからなかったという……。となれば、あの車が帰る先に生贄がいると見て間違いなさそうだ」)
 京奈院は、コンビニで買ってきたロールケーキにパクついた。本当はレストランのロールケーキも食べてみたかったが、テイクアウトがやっていなかったので仕方ない。張り込みというのは損な役回りなのだ。

「何、これから向かう先には例のロールケーキが山程あるに違いない。もうちょっとの辛抱さ」
 京奈院は自分に言い聞かせるように呟き、車を追跡するべく立ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・静柄
えっと、このレストランで絶対に笑ってはいけないトレジャーハンターのロケがあると聞いたのだけど…日にちを間違えたみたいね(そんな予定は全くありません)。とりあえず目的を果たしましょうかしら。

ロールケーキが美味しいらしいわね。一口食べてから手の空いてる店員に声を掛けて、まずは美味しいと、その後はこんなに美味しいなら持ち帰る人も多いのかしら?とか、どういう人が持ち帰っているのかとか、怪しい人はいなかったとか、徐々に邪神の信者のコトに聞いていくわ。



●ロケ
「ええと、ここでテレビ番組のロケがあるって聞いて来たのだけれど……」
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、一人だけ違う目的でレストランに来ていた。とてもロケをやっている雰囲気ではなかったので、通りすがりの一般人を呼び止めて聞いてみた。
「すみません、こちらで『笑ってはいけない何とか』のロケがあるって聞いて来たのですが……」
 話しかけられた男は、泣きそうな顔をしながら答えた。
「そのロケは中止だ! もうその話はやめてれ!!」
 そう叫ぶと、男は何処かへ走り去ってしまった。
「どうしたのかしら……きっと何か辛いことがあったのね」
 水心子は何事も無かったかのようにレストランへと入っていった。

(「たしか、ロールケーキが評判なのよね」)
 確かにロールケーキが美味しいという者もいるが、もともとは邪神復活の儀式に関係があるという名目で調べていたのに、いつの間にか別の情報が猟兵たちに伝わっていた。水心子は一口、二口食べて、店員に聞いてみる。
「とても美味しいロールケーキね。このケーキは持ち帰ったりできるのかしら?」
「すみません、ウチはテイクアウトやってないんですよ~」
「あら……それは残念だわ……」
「この前も同じ質問をされた方がいたんですよね、やっぱり持ち帰り出来るようにした方がいいですかねぇ」
「ええ、そうしてくれると嬉しいわね」
 水心子は外で張り込みをしている仲間に思いを馳せつつ、質問を変えた。
「最近、変なお客を見かけたりしなかったかしら」
「そ、そういう質問には答えかねます」
「いいから答えなさい!!」
 水心子が軽く恫喝する。もちろん一般人にユーベルコードを使うわけではないが。
「ひっ、何この人……ええと、最近はお客様にも店員にも変な人が多いですね……」
 店員の言う"変な人"の特徴を聞いてみたが、ほとんどが仲間の猟兵たちのことであった。
 
(「店の中に邪神の信者はいなさそうね。やっぱりロールケーキの卸業者を追跡するしかないかしら」)
 水心子は店員に礼を言うと、会計を済ませてレストランを後にした。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『追跡』

POW   :    持久力で長時間の追跡や追跡途中にある障害物の排除を行う

SPD   :    素早い動きでピッタリマークしたり、対象にバレても振り切られないようにする

WIZ   :    対象の動きから逃走経路をシミュレートし先回りをしたり、見失っても継続追跡可能にする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●産地偽装
「皆の情報収集により、レストランにロールケーキを卸している業者を特定した。Webサイトに乗っている住所等を調べてみたが、全てが偽装で本当の所在地が分かっていない。今、レストランに業者の車が来ているから、何とか追跡してヤツらの本拠地を見つけてくれ」
 非正規雇用が、集めた情報をホワイトボードに貼り出していく。
「真っ直ぐ追いかけるのが一番効率的だが、相手に気付かれて妨害されるかもしれない。また、素早さに自信がある場合は、隠れて追跡するのも良いだろう。あるいは、相手の行き先とかを予測できたら助かるんだけどな……」
 頭には筋肉しか詰まっていない非正規雇用は、良い作戦が思い浮かばない。
「とにかく、ヤツらが帰る先には生贄も監禁されている可能性が高い。最初にも言ったけど、くれぐれも注意して追跡してくれよ」
 非正規雇用は、両手を合わせて猟兵たちに懇願した。
アリシア・マクリントック
調査ではあまり成果が出せませんでしたから、ここで挽回したいところですね。
まずは周辺の地図を用意して、車が通れる道と一方通行を確認しましょう。
これで追跡をする時にルートの予測がしやすくなるはずです。
それから、目的地の予測。
車をどこかに置かなくてはならないですから、片側2車線以上の広い道に面している場所と、駐車場があるか、駐車場のすぐ近くの施設が候補でしょうか。狭い道に止めてトラブルを起こして目立つ、なんてのは避けたいはずです。
あまり絞り込めないかもしれませんが、思いつくのはこれくらいですね……。
使うかどうかわかりませんが、みなさんにもチェックをつけた地図をお渡ししておきましょう。



●オリエンテーリング
「闇雲に追いかけても、見失う可能性が高いですね……。レストラン周辺の地図をチェックして、彼らの本拠地をある程度絞り込んでみましょう」
 アリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)は地図を広げ、道路を調べつつ、事前に信者たちの住処に目星をつけようと試みた。今回はデスクワークなので、マリアは寝そべって欠伸をしている。
「車が通れるところや、2車線以上の道路があって……」
 合ってるかどうかはともかく、2車線の道路はなかなか無く、レストランの近くには該当する道路が1本しかなかった。
「それから、駐車場もあるんじゃないかしら……あら?」
 アリシアは、グリモア猟兵の言葉を思い出していた。確か、予知には小屋もあった筈……もしかして、山などの人里離れた場所なのでは……。

 結局、2車線の道路を上った場合と下った場合の2通りで予測を立ててみた。
「う、う~ん。合ってるかどうかは自信はありませんが、きっと地図を渡すだけでも仲間の助けになるでしょう」
 考え過ぎで眠くなってきたアリシアは、宿題に追い詰められた子供のような言い訳をして休むことにした。
「ふぁあ……っと。あなたが欠伸をするから、私まで眠くなってしまったわ。おいで、マリア」
 声をかけられたマリアは『やっと終わったの?』という顔をして、アリシアの後を付いていった。

 追跡作戦当日、アリシアは仲間たちに地図を配った。これにより、追跡する猟兵たちが迷う可能性が減り、道路を見て先回りができるようになった。もし車を見失ってしまったら、イチかバチかアリシアの予測地点に向かってみるのもいいだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイク・サリバン
[SPD]
洋菓子屋が冷凍トラックを使わない時点で疑うべきだったか。

車両尾行は超絶難易度。
撒きやすいし、事故りやすい。
専門家でないとまず失敗する。
ここはエンジニア流で対処だ!

車に人がいない間にジャッキで持ち上げて車の下に潜り[メカニック]で車を改造しよう。

何する気かって?造るんだよ、俺の取付スペースを!

バンの下に貼り付いて信者達と一緒にドライブだ!
…楽しいかどうかは考えない事にしよう…。

見つかってもドローンや発信機より厄介だろうな。
猟兵本人を付けられるとか。

サイボーグが車になるだけだ、どうって事…無いさ。(震え声

信者が来る前に終わらせないと、時間との勝負だな。



●バースト
 アイク・サリバン(エンジニアのやべーやつ志望・f03502)は、信者を追跡する方法で頭を悩ませていた。
(「車は移動速度が速いから尾行するのも難しいし、事故ったりしたら最悪だな……ここは、あの方法で行くしかないか」)
 そう覚悟を決め、アイクは道具を揃え始めた。

 追跡作戦の日、信者が乗っていると思われる車を見つけた後、運転手が離れた隙を狙ってアイクが車に接近する。
「うおおおおおおお!!」
 電動ジャッキを車の下に滑り込ませ、急いで持ち上げる。そして、"自分を取り付けるスペース"を車の底に作成しようと"改造"を始める。何としても、運転手が戻って来る前に作業を終わらせなくては――。

 何故か運転手は30分ほど戻って来なかった。戻って来ない理由が気がかりではあったが、これ幸いとアイクは作業に集中した。車高を上げ、マフラーを捻じ曲げ、人間が一人入れるほどのスペースを……。

「おいアンタ! ウチの車に何してんだ!!」
 さすがに無理があった。運転手が帰還し、アイクは肩を掴まれた。
(「ま、まずい……こういう時の言い訳を考えていなかった……」)
 アイクは顔こそ冷静なものの、内心は冷や汗の滝が――。

 その時、アイクは車の後輪に釘が刺さっているのを見つけた。
「こ、これが理由だぜ。パンクを見つけたので、親切な俺がタイヤを交換していたんだ……」
「何……? パンクを見つけたので、親切なお前がタイヤを交換していた……?」
 信者は何故かアイクの言い訳をリピートしたが、疑っているわけでもなさそうだった。
「そうだ。このまま公道に出ては危ないからな……あと10分ほどで終わるから、レストランでゆっくりしているといい……」
「何て親切なヤツなんだ……そういうことならお言葉に甘えておこう」
 すっかり納得した信者は、レストランへと戻って行った。
「バカで助かったぜ」
 アイクは悠々と残りの作業を終え、自分が車の底に張り付くと、ジャッキを下げて遠くへ蹴り飛ばした。
(「ちょっとこの体勢はキツいが、ヤツらの本拠地までは持つだろう」)

 30分後、長めの休憩を取った信者が戻ってきた。はっきり言って休み過ぎだ。
「あれ? さっきの親切な人はどこに行ったのかな……まぁ、パンクは直ってるからいいか……」
 ぶつぶつと独り言を呟き、車に乗り込む。いよいよこれで目的の場所へと案内してくれそうだ。
(「やれやれ、長いドライブになりそうだな……」)
 アイクは心の中で呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

京奈院・伏籠
【地形の利用・追跡・逃げ足】

張り込みから継続して業者の車を追跡開始。随時、仲間の猟兵に車の情報を連絡する。

そういえば今日は車を持ってきてないな。
うーん、仕方ない、走るか。
ランニングを装って車を追いかける。曲がり角や距離が空いて車の視界から外れたら猛ダッシュで距離を詰める。視界に収めたらまたランニングモード。
…かなりハードだぞ、これ!
敵に気づかれそうになったら、仲間に引き継いで自分は姿を隠す。

あとは頼んだぞ…。と、とりあえず、水…。



●フォロー
(「車が無いのが残念だが、自分のスペックならば、車を走って追いかけることも可能だろう」)
 京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)は、信者の追跡決行の日も極めて冷静であった。その光景を見るまでは。猟兵の一人が、信者の車に近付き、ジャッキで持ち上げ始めた。
(「な、何ィ!? まさか、運転手が戻ってくるまでの間に、車を改造するつもりか!?」)
 呆気に取られた京奈院であったが、すぐにフォローが必要であると察した。時間稼ぎをするべく、運転手に話し掛ける。
「あ、あー……あのー……」
「何だ? 兄ちゃん、何か用かい」
「お、俺の……」
「俺の?」
「俺のモノマネを聞いてください……」
 京奈院はがんばった。運転手は京奈院のモノマネに夢中になり、30分釘付けすることに成功した。

「ハァハァ……貴重なお時間を頂き、有難うございました……」
「何だ、もうお終いか? せっかく面白かったのに、残念だぜ」
 運転手は名残惜しそうに、京奈院から立ち去った。
 しかし、車の改造はまだ終わっていない。車へ戻った運転手が、仲間の肩を掴んでいる光景を目撃し、京奈院は焦った。
(「くっ、まだ終わっていなかったのか……かくなる上は……!!」)
 落ちていた釘を拾い上げ、車の後輪に向けて射出する。釘は音も無くタイヤへと突き刺さった。あとは、仲間が上手く気付いてくれるといいが……。京奈院は仲間の無事を祈りつつ、姿を隠した。

 数十分後、仲間は無事(?)に車の底へ収まり、戻って来た運転手が車に乗り込んだ。いろいろ気苦労はあったが、自分の戦いはこれからだ。
(「ヒヤヒヤすることもあったが、何とか無事に全員合流できそうだな」)
 車が走り出し、少し間を空けてから京奈院も走り出す。
「うおおおおおおお!!」
 生贄を救うため、京奈院の孤独なマラソン大会が今始まった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜桜・雪風
追跡すればいいのですね。
移動手段がないですね...
せっかくですから、ロールケーキを納品している間に
追跡対象の車に乗ってしましましょう。

透明になるユーベルコードで車に乗りこんで到着までそのまま乗せて貰いますね。

これなら見失わなくて済みますし、
それ以上に私が楽ですから。
ここ重要ですよね。

社内にいたら信者のトークを盗み聞くことが出来るのもポイント高いです。

他の猟兵たちにも行き先が分かるように、
隙を見つけてカーナビの行き先を盗み撮りしておきますね。
前回コックさんと一緒の写真を載せたインスタにアップしておきます。

なかなか大変なドライブになりそうですが、
まったりと構えていましょう。



●フォロワー
 夜桜・雪風(まったりデイズ・f00936)の作戦は、もっと大胆であった。
「よいしょ、っと」
 ユーベルコード"光妖精の悪戯"を使用し、自身を透明にして車に乗り込んだのだ。

「こ、これが理由だぜ。パンクを見つけたので、親切な俺がタイヤを交換していたんだ……」
「な、何……? パンクを見つけたので、親切なお前がタイヤを交換していた……?」

 車を改造する猟兵と、運転手のやり取りを横目に見つつ、夜桜は車に潜入することに成功した。
(「何分ぐらいで着くかしら……できるだけ近いと嬉しいのですが」)
 姿を消すユーベルコードは有用だが、使用している間は疲労感が蓄積していく。信者の本拠地を見つけたはいいが、向こうで使い物にならないようでは困るのだ。

 車の中には、運転手と助手席に1人ずつ、それから夜桜を含めて計3人が乗っていた。実は車の底にも仲間の猟兵が1人くっ付いているが、それはまた別のお話。
(「暇ですね。この前撮った、ロールケーキの写真でもミンスタに上げておきましょうか」)
 夜桜が、レストランで撮影したロールケーキの写真をSNSにアップする。数分後、何やら運転席側で盛り上がっている。助手席の男が、運転席の男にスマートフォンを見せた。
「おい、見ろよ! YUKIKAZEちゃんが、俺たちの作ったロールケーキを食べてるぞ!」
「誰だよ、YUKIKAZEちゃんって。またミンスタで、赤の他人をフォローしたのか?」
「この子、よくスイーツの写真とかアップするんだよね。きっと可愛い女の子なんだろうなぁ」
「よせよせ。甘い物ばかり食べてるんだから、きっと○○が××で、実は△△△△かもしれないぞ」

 ゴン。

 聞くに堪えない侮辱を受け、夜桜はウィザードロッドで運転席の男をどついた。
「な、何だ!?」
「何かいる!?」
 パニックになる車内。しかし、次の瞬間、信者たちの注意は別の方へ向いた。
「おい、何だあれは!?」
 車の後ろを、猛スピードで疾走する猟兵がいた。とても常人ではあり得ない速度と体力……恐らくサイボーグだろうか。
「くっ、見つかったか!」
 車を猛追していた猟兵は、運転手たちに気付かれたことを察すると、コースを変えて物陰へと姿を隠した。
「な、何だったんだ、あの野郎は……」
「SF映画でも観てる気分だったな……」
 頭を殴られたことなどすっかり忘れ、信者たちは運転に戻った。
(「危ないところでしたわね……これからはもっと慎重に行動しないと……」)
 夜桜は、行き先の表示されたカーナビを撮影し、仲間へと送信した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水心子・静柄
生身の体で車を追いかけるなんて傍から見ると異常よね…生身の方が。仮に疚しい事をしてなくても追いかけられる方はどうにかしたくなると思う。それなら一人くらい普通にタクシーで追いかけた方が良いと思うわ。

確か何かで聞いた事があるわ。タクシーの運転手に「あの車を追ってくれ!」と言うと、ついに来たか!とテンションを上げてくれるタイプがいると…その運転手は妨害があればあるほど燃えるとか。そういう運転手を私の第六感で当ててみせるわ。あと地理に詳しい運転手なら走っている最中でも目的がわかるんじゃないかしらね?

まぁ正直汗だくになってまで走って追いかけたくないのよね…あ、領収書の宛名は「佐藤非正規雇用」でお願いね。



●レイズ
 他の猟兵が、車に乗ったり、くっ付いたりしている中、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)の判断は冷静であった。
「私は車も用意してないし、タクシーに乗せてもらうしかないわね」
 要領良くタクシーを捕まえた水心子は、運転手に指示を出した。
「あの黒いバンを追って頂戴」
「へへ……分かったぜ。この道30年の俺に任せておきな!」
(「随分とノリの良い運転手……こんな人、現代にもいるのね」)
 水心子は自分から振っておいて、冷ややかな眼でタクシーの運転手を見た。

 暫く信者たちを追跡していくと、段々と人気の少ない土地へやって来た。
(「マズイわね……。人通りが少ないと、尾行がバレてしまうわ……」)
 水心子が焦り始めた頃、衝撃の光景が目に飛び込んで来た。
「うおおおおおおお!!」
 一人の猟兵が、自身の足で信者たちの車を追いかけていた。
(「なっ!? そんなことが可能なの!?」)
「くっ、見つかったか!」
 残念ながら信者たちに気付かれてしまったらしく、タクシーの横を並走していた猟兵は急に向きを変え、何処かへ隠れてしまった。しかし、あまりのインパクトに、信者たちはタクシーのことなど全く気にしなくなってしまった。
「すげえ兄ちゃんだな。あの人は知り合いかい?」
「黙って運転してくださる?」
 そして水心子は、タクシーの運転手に冷たかった。
 そんな中、水心子の端末に仲間から連絡が入る。それは、信者たちの行き先を伝える情報だった。
「成程……これがヤツらの本拠地なのね。運転手さん、こちらへ向かってもらえるかしら」
 タクシーの運転手は、水心子の端末を覗き込むと、力強く頷いてハンドルを切った。

 仲間たちの協力のおかげで、水心子は漸く、信者たちが根城にしていると思われる工場に辿り着いた。先程、走って車を追いかけていた猟兵も、無事合流したようだ。そして、先に到着したと思われる黒いバンが停まっている。
(「まずは、信者たちに見つからないように生贄を救出しないとね……。いざとなったら、脇差に変身して誤魔化せないかしら」)
 水心子は、意を決して工場に足を踏み入れた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォンミィ・ナカムラ
えー、ロールケーキ屋さんが邪神復活の黒幕なの…?
邪神倒してもロールケーキ屋さんは残るといいなぁ。

アリシアさんが作ってくれた地図、分かりやすいね。
じゃああたしは事前にストリートビューのアプリで目印とか調べておくね!

【影の追跡者の召喚】使用
車が走り出す直前のタイミングで運転手さんに追跡者をつけて五感を共有。
事前に調べといたストリートビューの画像と照らし合わせて車の通ったルートを特定するよ。
「あ、今ここの交差点をこっちに曲がった!」
(地図を指差しつつ)



●エンカウント
 フォンミィ・ナカムラ(スーパー小学生・f04428)は、仲間から受け取った地図と、己のユーベルコードを駆使して信者を追跡していた。
「ここをこう行って……あっ、すごい! だいたい予想が当たっているわ!」
 およそ仲間の予想は的中しており、大きい道路を上った先――そして、人里を離れた山の中に信者たちの本拠地がありそうだった。地図をなぞりながら、フォンミィが確信する。
「早速、移動しましょ……ふみ゛っ!!」
 フォンミィのシャドウチェイサーは、バンの運転手に取り付かせているのだが、それが何者かに殴られたかのような衝撃があった。
「痛ぁい……何だったのかしら。ウィザードロッドみたいなもので、殴られたような痛さだったけど……」
 続けて、フォンミィの端末に情報が届いた。それは信者たちの正確な位置を知らせるものだった。

 フォンミィが信者たちの本拠地に到着すると、既に何人かの猟兵が来ており、生贄の救出に当たっているようだった。
(「もう一度シャドウチェイサーを使えば、生贄を見つけられるんじゃないかな」)
 フォンミィはスッと屈み、強く念じ始めた。すると自身の影が細長く伸び、影の先端が千切れると何処かへと飛んでいった。

「いたわ!」
 工場の一室で、ロールケーキを食べている女性を見つけた。誘拐された人物の特徴と一致する。見たところ、ここでの待遇は悪くないようだ。少なくとも今のところは――。
「みんな、誘拐された女の子を見つけたわ! 助けるのを手伝って!!」
 近くの猟兵に声を掛け、フォンミィは救助に向かう。

 エンジニアスーツを着た猟兵が、工具でドアをこじ開ける。
「車の改造に比べれば、このぐらい朝メシ前だぜ」
(「何の話かしら」)
 フォンミィは深く追及してはいけない気がして、仲間の話を無視した。やがてドアは破られ、ようやく生贄を救出することが出来た。
「もう大丈夫よ! さぁ早く外へ!!」
「ありがとう! ここにいたら体重がどんどん増えちゃって……」
「何だ貴様らは!?」
 生贄を連れて出ようとした時、フォンミィは信者と鉢合わせた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『雷穹龍グローレール』

POW   :    雷霆光輪
【超高熱のプラズマリング】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    撃ち砕く紫電
レベル×5本の【雷】属性の【破壊光線】を放つ。
WIZ   :    ドラゴニック・サンダーボルト
【口から吐き出す電撃のブレス】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・皇士朗です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ロック&ロール
「生贄を奪われてしまったのか……仕方ない。もう一度、ロールケーキで邪神復活の儀を行う!」
「無駄な抵抗はやめなさい! 同じことをやっても失敗するだけよ!!」
「同じではない、今度はロールケーキを人型に並べて儀式を行うのだ!!」
「何ですって!?」
「しかも人間の血をイメージして、中にイチゴジャムを塗る」
「この野郎、ふざけやがって……そんなロールケーキは俺が許さん!!」
 工場の中は、シュールな大食い大会と化した。急いでロールケーキにイチゴジャムを塗る信者たちと、それを食べ尽くそうとする猟兵たち……。しかし、信者たちの熟練のロールケーキさばきに、猟兵たちが敵う筈もなく……。
「……出来た! 出でよ、グローレール……我らの呼び声に応え、目の前の猟兵たちを焼き尽くせ!!」
 信者が高らかに叫ぶと、人型に並べられたロールケーキに雷が落ち、こんがりと焼き上がった。

 そして、邪神はついにその姿を現した。50メートル以上はあると思われる長い体をくねらせ、怒りに満ちた赤い瞳で猟兵と信者たちを見下ろす。
「Ggggggg……」
「グローレール! さぁ、私の願いを……」

 バシン! 不用意に近付いた信者が、邪神の尾で消し飛ばされた。壁にイチゴジャムのようなものが飛び散る。貴方はその光景から目を逸らしそうになるが、ここで邪神を逃せば、大量の殺戮が行われてしまうのは予想に難くない。
 幸い、不完全な儀式により、雷の威力はだいぶ落ちていそうだ。貴方は目の前の脅威を取り払うべく武器を取った。
アイク・サリバン
信者は死んでしまったが、
最後にとんでもない置き土産して逝きやがった。
ダメじゃないか!漏電事故ばかり起こす欠陥品邪神を置いてっちゃ!
ちゃんとリコールしなきゃ!


だが心配ない。ここにエンジニアがいる。
電気の制御はエンジニアの仕事だ。


まずは[ガジェットショータイム]で電気工事作業ロボを出し、
ウィンチ・モジュールも組み合わせる。
これで邪神にアースを施工してあげよう。
これで感電事故無しで邪神退治ができるハズ。


邪神の発電の仕組みだけどデンキウナギと同じかな?
なら筋肉が変化した発電器官と絶縁体の脂肪があるかな?
肉を抉る、切り取るように仲間にアドバイスしてみよう。
推測が当たれば、更に弱体化できると思う。



●デッドヒート
 アイク・サリバン(エンジニアのやべーやつ志望・f03502)は、チラッと人の姿を失った信者を見やった。そして邪神に視線を戻す。何ということだ。こんな人の言うことも聞きそうにない、漏電した龍を置いていくとは……。とんでもない欠陥品を押し付けられた気分だ。
「コイツは、リコール対象だぜ!」
 アイクが高らかに叫びつつ、右手を地面に叩きつける。すると目の前に魔法陣が走り、地面から新しいガジェットが生まれる。何となく重機を彷彿とさせるデザインで、黄色と黒のトラ模様が入った5メートルぐらいの人型ロボだ。
「いくぞっ!!」
 アイクは素早くガジェットに乗り込み、邪神と相対する。それでもまだグローレールの方が大きく、アイクは苦笑いを浮かべる。
(「コイツはキツい仕事になりそうだ……」)
「Guuuu……」
 一際大きい"敵"を見つけたグローレールが、放電を強める。そして、無数の光線をアイクへ向けて放った。
「うおおおおおおおっ!!」
 コックピットは電気から守られていたが、ガジェットの計器が激しく乱れる。あまり何度も食らうと、故障してしまうかもしれない。
「この野郎……!!」
 アイクがガジェットを操り、グローレールに向けてウィンチを放つ。ワイヤーはグローレールの胴体に巻き付き、身動きを封じた。
「大人しく……しやがれ!!」
 続けて、右腕を高く振り上げ、地面にアースを打ち込む。グローレールは地面に縫い止められ、さらに自身の発電能力までも奪われた。
「……!?」
 焦った邪神は、部屋の壁や天井に向かって、手当たり次第にぶつかり始めた。
「ま……マズい!!」
 グローレールは急に方向を変え、アイクに体当たりしつつ、壁をぶち破った。
「ぬあああああああっ!?」
 グローレールとガジェットはもつれたまま屋外に飛び出し、アイクはガジェットのコックピットから放り出された。グローレールの胴体には千切れたワイヤーが巻きついたままであり、憎々しげにアイクを見下ろす。
「アイク!」
 アイクの身を案じた仲間たちが、後を追ってくる。
「皆、気を付けろ! ヤツの肉だ!! 肉を削げば電撃が弱まるはずだ!!」
 肩を抑えながらアイクは叫んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

京奈院・伏籠
えぇ、あんな儀式でも一応は成立しちゃうのか…。
ロールケーキ、侮りがたいな。

【クイックドロウ・援護射撃】
ここまでのマラソンで身体も温まってる。素早く行動開始だ。
「準備運動はバッチリ。さぁ、行くぞ!」
先手を取って【三式特装弾】を撃ち込む。電磁攪乱弾なら雷撃の逃げ道を作れるかな?
反撃が苛烈そうだけど、工場なら何かしら遮蔽物があるだろうし、可能なら上手く利用しよう。
攻撃に成功して敵の攻撃力が下がったら、仲間に呼びかけて連携攻撃を狙ってみる。
「チャンスだ! やれるか?」

そういえば、妨害に夢中でロールケーキの味はよくわからなかったな…。
無事に仕事が済んだら、どこかで美味しいロールケーキを買って帰るか。



●スネーク・アイズ
 京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)は、目の前を飛行し、壁をぶち抜いていった邪神を見て目を見開いた。
(「あんな儀式で呼び出した割には強くない?」)
 しかし、手をこまねいても居られない。今は仲間と協力して、あの怪物を倒さなくては……!!
「もう準備運動は済んでいるんだ! 一気に決めさせてもらうぞ!!」
 ファントムバレルにオリジナルの弾丸を装填し、部屋から飛び出す。グローレールは仲間の猟兵に気を取られており、まだこちらに気付いていない。
(「食らえ! トライバレット……!!」)
 常人であれば捉えきれないスピードで、京奈院の銃から3発の弾丸が撃ち出される。グローレールの動きはあまり機敏ではなく、こちらへ振り向こうとした瞬間に京奈院の弾丸を受けた。
「……!?」
 3発とも命中し、その内の1発はグローレールの目へと着弾した。これによりグローレールの破壊光線は封じられ、視界も奪うことに成功した。
「よし!!」
 狙い通りの戦果に、満足する京奈院。しかし――。
「Gggggg……Gaaaaaaaaッッ!!」
 グローレールは激怒し、おぞましい咆哮をあげた。放電は激しさを増し、心なしか龍の口元に集中していくように見える。
「や……やばそう……」
 京奈院が驚くべき反応速度で瓦礫の陰に隠れると、その直後にグローレールの口から凄まじい雷がほとばしる。コンクリートで出来た瓦礫の表面は吹き飛んだが、京奈院は無傷で済んだ。
(「ひ、ひえ~……これ、ロールケーキじゃなくて生贄を使われていたら、本当に危なかったのでは?」)
 再び弾丸を装填しながら、京奈院は思案する。
「しかし、大技を使ってきた今がチャンス……。アイツが再びエネルギーを溜める前に、俺の弾丸を撃ち込んでやる!!」
 バッと瓦礫から飛び出す京奈院。しかし、グローレールの口には既に大きな放電が――。
「あ……――」
 やられる――。目の前に大きな閃光が迫り、京奈院は大ダメージを覚悟する。が――、突如飛来した魔法弾により、グローレールの横っ面は大きく吹き飛ばされた。その巨体が地面に倒れ込み、辺りに激しい音が響く。
「た、助かった……」
「大丈夫!?」
「あ、ああ! ありがとう!」
 我を取り戻した京奈院は、追い討ちをかけるべく、グローレールへ接近した。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォンミィ・ナカムラ
※口調は「だよ、だよね、かな?」系です

こらー!食べ物で遊ぶなぁー!
って、マジで遊びじゃない事態になってる!?

真の姿:魔法少女っぽいコスチューム

全力魔法で力を込めて【トゥインクルスター・マジカルシュート】使用
攻撃を受けて詠唱キャンセルされないように、他の仲間が近寄って攻撃してる隙に距離をとって遠くから狙い撃ちだよ。
多少攻撃を受けても、がんばって耐えて詠唱を続けるよ!

一撃で決められなかったり、詠唱してる暇がなければ衝撃波で攻撃!



●トゥインクルスター・マジカルシュート
「あ、危なかった……」
 フォンミィ・ナカムラ(スーパー小学生・f04428)は危機一髪、仲間が攻撃される前に、グローレールへ魔法弾を撃ち込むことに成功した。あまり命中率の高いユーベルコードではなかったが、敵の注意が引き付けられていたので、充分に狙う余裕があったのだ。
「大丈夫!?」
「あ、ああ! ありがとう!」
 互いに声を掛け合い、グローレールの状態を確認するべく接近する。
「あ、あれ? 誰?」
「私は通りすがりの魔法少女だよ! そんなことより今は戦闘に集中しないと!!」
 フォンミィの格好を見て、仲間の猟兵が首を傾げる。魔法少女の正体は今のところ秘密であった。
「Guuuuu……」
「……来る!!」
 グローレールが起き上がり、こちらを見据える。そしてフォンミィに対し雷の光線を放とうとするが、パチパチと静電気のような音を残して不発に終わった。仲間の撃ち込んだ弾丸が効いているようだ。
「……!? ……!!」
(「今の内に……!!」)
 フォンミィが詠唱を始める。彼女のユーベルコードは抜群の射程を誇るが、口上が必要不可欠であった。
「エレメンタルパワーチャージ! 世界に眠る精霊よ、現在を築いた歴史の河よ……」
「Gggggggッッ!!」
 グローレールが口に電気を蓄え出す。攻撃方法を変更し、雷のブレスをお見舞いするつもりのようだ。
(「間に合うかな……ううん! 例え相撃ちでも、仕留めてみせる……!!」)
 覚悟を決め、詠唱を続けるフォンミィの前に大きな影が飛び出す。
「させるか!!」
 トラ模様の人型ガジェットが、グローレールを押さえ込んだ。不意を突かれ、グローレールの攻撃が中断される。
(「……今だ!!」)
「未来を繋ぐ煌めきの欠片よ……あたしに力を貸して!!」
 フォンミィの眼前に、大きな光弾が浮かぶ。エレメンタルロッドをかざし、グローレールへ狙いを定めた。
「トゥインクルスター! マジカルシュートッ!!」
 放出された光弾はグローレールの胴体にぶち当たり、そのまま工場の建物等を破壊しながら押し進んでいった。3棟ぐらい突き破ったところで、魔法弾の勢いが止まる。瓦礫に埋もれ、グローレールの身体は見た目にも分かる程度にボロボロとなった。怒りよりも、疲労が勝っているように見える。

「気を抜かないで! 完全に倒すまで、油断しちゃダメだよ!!」
 フォンミィは仲間を激励した。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリシア・マクリントック
人々を脅かす邪神……!ここで止めて見せます!
剣だけでは力不足だろうと思ってこういうものも用意してきたんです!確かこうやって……変身!

慣れない装備で多少動きは悪くなるかもしれないですが、今の私が生身で戦うよりはいいでしょう。
このセイバークロスなら電撃にも多少は耐えられるはず……思い切ってブレスを吐こうとする口の中を狙ってみましょう。体の内側はやわらかいはず!
それから、高熱による攻撃をしてくるのならそこへ冷気で攻撃をしてみましょう。
ドラゴンの鱗は金属のように固いと言いますし、繰り返せば疲労破壊を起こすかもしれません。

マリアはフォローをお願い。邪神なんてものが相手だし、無茶しないでね!



●ライトニング
「あのような邪悪な者を、野放しにはしておけません! マリア、行きましょう!!」
 グローレールの墜落地点に向かって、アリシアとマリアが駆け出す。
 アリシアは焦っていた。屋外へ飛び出した邪神が、自分たちを無視して他へ逃げ出してしまうことを恐れて。アリシアは焦っていた。魔法少女の登場に。
「くっ、私だって負けていられません!」
 アリシアは走りながらガチャガチャとベルトを装着し、横から叩くようにベルトを起動した。
「……変……身ッッ!!」
 アリシアの身体が閃光に包まれ、セイバークロスが身を包む。まるで騎士の甲冑のような外見で、顔もフルフェイスの兜が覆っている。
「ハァハァ……ちょっと気合いを入れすぎたかしら……」
 まだ敵まで距離があるのに変身してしまったことを後悔しつつ、アリシアは走り続けた。

「……ハァッハァッ……お待たせっ……ハァッ」
「きゃっ!? あなた誰!?」
「通りすがりの、変身ヒーローです……ハァハァ……そんなことより、戦闘……」
「よ、よく分からないけど分かったよ!!」
 仲間に複雑な事情を察されつつ、アリシアは戦闘態勢を取る。
「Gggggg……GaGgggggッッ!!」
 起き上がったグローレールが新たな攻撃を繰り出す。己を中心に、円状の雷を放出。電撃は回転しながら辺りを破壊し、次第に勢いを増した。
「はあああああああっ!!」
 先程までの疲労が演技だったのかと思うほど、アリシアは高く跳躍し、グローレールの電撃を飛び越える。そこへ、待ち構えていたかのように、グローレールの首がアリシアの方を向く。しまった、第二波だ――。空中のアリシアは、グローレールの口から放たれるブレスを避けられないだろう。間近で目撃した仲間たちはそう思った。
 しかし、アリシアは恐れずにレイピアを眼前に構え、グローレールのブレスを受け切った。剣身から入った電撃が、鎧の表面を伝って散っていく。
「ぐううううううっ!!」
 それでもやはり衝撃はあるのか、アリシアの悲痛な叫び声が戦場に響く。しかし、跳躍の勢いは殺さない。銀色の甲冑が、グローレールの顔面へと飛び掛かる。
「成敗!!」
 ズン! と、アリシアの剣が、グローレールの口内へと突き刺さる。敵の口から、今までとは比にならないほどの慟哭が漏れる。
「HGaaaaaaaaaaッッ!!」
 アリシアを振り払うように、グローレールが激しく身を捩った。必死にしがみつくアリシアだったが、暴れ回る邪神の勢いを御することができずに振り落とされる。アリシアの身体は勢いよく建物に突っ込んだが、身に纏った甲冑のおかげで大事に至らずに済んだ。
「くぅっ!!」
 よろよろと起き上がったアリシアが、再びレイピアを構える。
「ま……まだまだ、これからです!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

水心子・静柄
恐ろしい相手だったわ…ロールケーキに合わせてのイチゴジャムだと思うけど、もし味関係なしにトマトケチャップを使われていたらあそこまで邪魔出来なかったわ…もしかしたら完全に召喚されてたかもしれないわね。

さて雷の威力が落ちているとはいえ無差別攻撃は相性悪いわね。ここは一つ覚悟を決めて…電撃耐性で耐えれる事に賭けて、雷霆光輪を食らいつつも間合いを詰めて居合を放つわ!

それにしても願い事が叶わなかったのは何故かしら?元々願いを叶える存在じゃなかった?不完全な召喚だから?それともナ○ック語じゃないから?…グローレール…google…はっ!?
オーケーグローレール、雷霆光輪の避け方を教えて!



●居合
「なるほど……。範囲は広いけど、円盤状にしか攻撃できないようね」
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)は、グローレールが新たに見せた攻撃を観察していた。
「オーケー、グローレール! あの攻撃の避け方を教えて!!」
 ちょっとお茶目心を出して、自分の端末に向かって小芝居をしてみるが、もちろん返答などあるはずも無く――無いはずだった。
(「あら……?」)
 水心子が目を見張る。

「Gaaaaaaaaッッ!!」
 グローレールが再び、円状の雷を放つ。辺りを薙ぎ払うかのように、水平に放たれた電撃が猟兵たちを襲う。
「ハッ!」
 水心子が電撃を潜り抜け、距離を詰める。この――この脇差の一撃を叩き込めさえすれば――。
「Giaaaaaaaaaッッ!!」
 グローレールが二撃目の雷を放つ。しかし、今度は水平ではなく垂直であった。確実に水心子を仕留めるための――。
「!!」
 水心子が目を見開く。驚きはしたものの、それは敵の攻撃に対してではなかった。敵の攻撃を予想して見せた、自分の端末に対してだった。先程、お遊びで端末に話し掛けた時、まさに今の攻撃を予測するかのようなメッセージが届いたのだった。
(「一体、何だったのかしらね……まぁ何でもいいけど」)
 脇差に手を掛け、グローレールの二撃目を避けるべく水心子が横っ飛びに転がる。
「……」

 他の者の目には、水心子が攻撃を避けただけにしか見えなかった。しかし起き上がった水心子は、刀を"鞘に納める"ところだった。
「手応え……あったわね」
 グローレールの身体から血が噴き出す。その胴体から、片足がぶらりと垂れ下がった。
「……!! ……!?」
 一瞬、自分の身に何が起こったのか理解できなかった邪神は、事態を把握すると、再び悲しげに咆哮した。

「あらあら……」
 水心子は不敵に微笑んだ。
「次は首かしら?」

成功 🔵​🔵​🔴​

マスター・カオス
なんと熟練されたロールケーキさばきか!
そして、見事なロールケーキ邪神よ!!

邪神の攻撃は無差別かつ脅威!
ならば私も、我がアイデンティティを護る為にも、「サイコキネシス」にて信者たちを捕らえ、イチゴジャムという血の供物の追加代わりに「敵を盾にする」としようか!

その隙に「カウンター」として「十二神ノ蹂躙」を食らわせてやろう!

フハハハ…邪神打倒の大義名分の元、ライバル店の優秀な人材も「事故」として処理でき一石二鳥よ!



●ambition
 戦いの最中、マスター・カオス(秘密結社オリュンポスの大幹部・f00535)は信者たちの作るロールケーキと、その技術に思いを馳せていた。
(「素晴らしいロールケーキ作成技術であった……そして、ロールケーキを供物に邪神を呼び出せるとは……。これは世界征服に役立つ情報かもしれん」)
 工場のあちらこちらを視察しつつ、マスター・カオスは己の野望に利用できるものはないか画策していた。
「……危ない!!」
 グローレールが放った円状の雷が、マスター・カオスにも襲いかかる。見かねた仲間が、注意を喚起すべく声を掛けた。
「フン……」
 つまらなさそうに鼻を鳴らし、マスター・カオスは念動力を操る。その対象は――。

「――え?」
 工場に潜んでいた信者たちであった。信者たちを寄せ集め、己が盾とする。
「フハハハ……我が野望の礎となるがいい」
「ひで、やめぇりょわぷっ!!」
 グローレールの雷が直撃した信者は、肉塊となって弾け飛んだ。血飛沫が、マスター・カオスの仮面へと降りかかる。無事だった信者たちが、戦慄の表情でマスター・カオスを見やった。
「……これで終いか? それならば、次はこちらからいくぞ」
 マントを翻し、右手を突き出したマスター・カオスは瞬時にエネルギーを溜め、グローレールに向かって派手な雷撃を繰り出した。
「!?」
 確実に仕留めたと思った対象から反撃を受け、グローレールはたじろいだ。しかし、もともと帯電する特性を持つグローレールに対してはダメージが見込めず、感電などの副次的効果も得られなかったようだ。

「チッ……」
 マスター・カオスは、忌々しげに邪神を睨み付けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夜桜・雪風
雷がフルパワーでないのなら私の【電撃耐性】と【オーラ防御】で耐えられるかもしれませんね。

ついに美味しい本物のロールケーキで邪神が復活させられてしまいましたか...
まだ食べてる途中でしたのに...全部雷で台無しです...

生贄にされたロールケーキの無念を邪神に刻み込んであげます!

【高速詠唱】でユーベルコードを発動させ【全力魔法】です。
一点集中で攻撃をして【鎧砕き】で鱗を砕きます。
【2回攻撃】で砕いた鱗へ【鎧無視攻撃】をしかけます。
【傷口をえぐる】攻撃で徹底的に一カ所を狙い続けますね。

ロールケーキを食べた分のカロリー消費するのに丁度いい...いえ、カロリー使いすぎです。
またロールケーキ食べたいですね



●ラスト・スタンド
 吹き飛ばされた味方や、雷の威力を目撃した猟兵たちは、グローレールに近付くことを躊躇いつつあった。手負いとはいえ敵の迫力は増すばかりで、その攻撃方法はより無軌道になっていく。
 そんな中で唯一人、泰然とした動作で邪神に近づく人影があった。オラトリオの精霊術士、夜桜・雪風(まったりデイズ・f00936)だ。
「せっかくロールケーキが独り占めできると思ったのに……残念です」
 彼女には、ロールケーキに意識を向ける余裕があった。何しろレベルが高い。彼女は目の前の敵に対して充分な勝算があった。何しろレベルが高い。

「Guuuuu……GGaaGGggggggッッ!!」
 真っ直ぐと向かって来る夜桜に、一瞬怯んだグローレールであったが、すぐにその脅威を払おうと得意のブレスを仕掛ける。

 しかし、その電撃が夜桜の身体を貫くことはなかった。透明な球状の膜が夜桜を包み、グローレールの攻撃をほぼ無効化していた。
「ふふ……皆さんの攻撃のお陰かしらね……そんなに弱った電撃では、私に届きませんよ」
 グローレールのブレスを真正面から受けつつ、夜桜は詠唱を始める。魔法使いであれば、最初に覚えるであろう基本のユーベルコード。しかし、夜桜が放った魔法は基本の域を遥かに超えていた。
「燃え尽きなさい! あのロールケーキのように!!」
 ゾッとする数の炎の矢が浮かび、間髪入れずにグローレールに飛び掛かる。そして、まるで的を狙うかのように同じ場所を貫き続けた。グローレールが身を捩って逃げようとしても、夜桜は容赦しない。徹底的に同じ箇所を射抜き続ける。
 グローレールの胴体に空いた穴は次第に大きくなり、やがて真っ二つに千切れた。宙に浮いていた半身が、どさりと落ちる。身体が半分になっても未だ動く気配があったので、近くにいたヤドリガミの猟兵が、手持ちの刀でグローレールを介錯する。その断面はとても滑らかで、ロールケーキのようだった。
「まぁ……」
 夜桜は驚きで口を抑えた。

●チェック・プリーズ
「「おつかれさま~」」
 後日、依頼に参加したメンバーで慰労会が開かれた。場所はレストランで、お酒の無い、スイーツばかりの変な慰労会だったが。そして目の前には……。
「ねぇ、ロールケーキ無いの?」
「フハハハ……信者たちは逃げてしまったからな……もうロールケーキを作る者はおらんだろう」
「そ、そんなぁ……俺はずっと張り込みで、あのロールケーキを食べてないんだよ!」
「美味しかったよなアレ。なぁ、セバスチャン?」
「まぁまぁだな」
「私たちの作るパフェで我慢してください。ね?」
 最初にバイトとして潜入した者たちは、すっかり店員としてのスキルが上がってしまったようだ。
「信者たちが使ったのがイチゴジャムで良かったわよね。ケチャップを使われていたら、もっと強い邪神が復活していたかもしれないわ」
「魔法少女がいれば負けないよ! あーあ、私も見たかったなぁ……」

 尚、非正規雇用は呼ばれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月07日


挿絵イラスト