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エンパイアウォー⑧~鳥取城餓え殺し

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●グリモアベース
「エンパイアウォーが発令されたのは知っての通りじゃ。皆のお蔭で順調に進行しとる……有難うな」
 頭を下げ、海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は資料を配りながら、今回の作戦概要を説明し始める。『第六天魔王』織田信長の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に集結している。ここからは関ヶ原で幕府軍を待ち受ける信長軍を突破し、さらに山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍することになる。
「関ヶ原で待ち受けとる軍勢は魔軍将、軍神『上杉謙信』と、大帝剣『弥助アレキサンダー』じゃな。これを越えた先には山陰道に陰陽師『安倍晴明』、山陽道に侵略渡来人『コルテス』、南海道には大悪災『日野富子』の軍勢が居る」
 猟兵達は、この魔軍将の軍勢を撃ち破り、最低でも1万人以上の幕府軍を魔空安土城に到達させなければならないと、鎮は告げた。
「儂が今回送る先は山陰道、陰陽師『安倍晴明』の軍勢になる。鳥取城の水晶屍人を相手にせんといけん……こんな詩、知っとるかな?」
 糧尽きて馬牛などを殺し食いしかども、それも程なく尽きぬれば餓死し、人の宍(しし)を食合へり。子は親を食し、弟は兄を食し杯しける。
「……これが相手じゃと覚悟して。正直言って、酷え事になっとるのが容易に想像できる。謝ることしか出来ん」
 水晶屍人の数は10体、これで、猟兵と渡り合える程度の強さまで強化されている。
「水晶屍人は鳥取周辺の農民を襲っとる。一部を食って恐怖を煽りながら、鳥取城に追い込む所じゃな。割って入る形になると思うけー、宜しくな」
 もう一度頭を下げ、鎮は猟兵たちを送る準備をし始める。

●水晶屍人
 耳障りな咀嚼音。血に塗れた歯、現存する四肢、一般男性程度の体格が、かろうじて、それが人間であった物と判断できる。人ではないと判断するのは、背中から異様に突出した水晶。
 10の群れが10の得物の首に齧り付き、悲鳴を潰して、痙攣する身体に構わず血を啜り、腹を捌いて骨を抜きながら、身体を貪り尽くす。最後には硬い頭蓋を棍で割砕き、詰まった脳漿を細胞一片まで啜り始めた。
 異様な光景、余りに非現実的な現実に、頭は処理しきれず、血みどろの池に沈む隣人を隣人だと認識し、乾いた笑いを上げながら、持っていた農機具が手から落ちた。叫びたいのに引き攣る喉がそれを許さない。やがて脱力が下半身に及び、その頃になってようやく、恐怖という感情のはけ口、悲鳴とが農民の口から盛大に漏れ出て。堰を切った様に農民達はパニックを起こして逃走する。
 それを見て、屍人達は不気味な笑みを浮かべ、村人を囲み、逃げ惑う村人を、鳥取城へと追い立てていく。



●挨拶
 紫と申します。戦争シナリオとなります。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●シナリオ概要
 10体の水晶屍人を撃破する純戦シナリオです。ゾンビ。
 今回は戦争ということもあり、個人毎にリプレイを返信する形式になると思いますので、ご了承の上、ご参加下さい。
(※誰かと同行を希望される場合は記載をお願い致します。)

●その他
 至らぬ点もあるとは思いますが、宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『水晶屍人』

POW   :    屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニレッド・アロウン
わー少し懐かしい光景ですねー。本当、糞みたいな光景です。

で、その眩しい水晶に何か意味はあるんですかねー?農民を間引くためですか?【水晶迷宮】発動し、農民たちを鳥取城に行かせないよう出口方向を制限しますかー。

さて、そんじゃやり合いましょうか!
眼帯を締め直し、光で目を焼かれないようにしましょうかね。あんまり眩しいようなら、濁った水晶越しにして対策です。

ところであいつら、遠距離以上攻撃できなさそうじゃないです?なんで『術式刻印』を飢餓を意味する【属性攻撃】に示させ、双剣状にした水晶鋏を投擲する【二回攻撃】を仕掛けましょうか。
あんなに貪るなんてよっぽど腹が減っている証拠です、自分と味方を食ってろです。



●青水晶の迷宮
 肌一つ露出しない群青色のローブを揺らし、ベルト状の眼帯の奥の金眼、でニレッド・アロウン(水晶鋏の似非天使・f09465)は、楽観的で酷薄にその光景を眺めた。
「わー少し懐かしい光景ですねー。本当、糞みたいな光景です」
 身上からか、その言葉には僅かな怒りが滲んでいる様にも見える。混乱に陥り、無作為に城に誘導される村人を見て、歌うように言葉を紡ぐ。
「迷え迷え、悪党よ。辿れ辿れ、善き人よ」
 紡がれた詩が地を伝い、本来有るはずのない白く濁った青水晶が隆起し、包囲し、取り囲み、村人達がの向かった先、鳥取城への道を完全に閉鎖する。混乱状態の村人達が、何度も水晶に拳を打ち付けるも、次第に勢いは弱まり、ふと、あの怪物達が居ってこないのに気づき、冷静さを取り戻す。

●飢餓の刻印
「さて、そんじゃやり合いましょうか!」
 村人達の誘導が完了したのを確信し、ニレッドは眼帯を締め直す。大部屋としたこの迷宮の一角で、獲物を見失った水晶屍人10体がニレッドに視線を向け、呻き声を上げながら、肩の水晶から合計20の霊を召喚し、ニレッドに付き纏い始める。2つの霊が弾ける様に閃光を作り、消滅する。
(あ、これは、まずいです!)
 眼帯下の目を容赦なく焼く閃光。炸裂の瞬間、咄嗟に大きな青水晶の背に隠れた。少しだけ眼が痛むのに構わず、次弾に備え、狐月を描いて飛び退くと同時に、水晶の右片刃に宿る術式刻印に魔力を送る。刻印が魔力に呼応し、青白い光がはお門と成って刀身に染み渡る。左片刃の柄を合わせてやれば、それらが伝播し、広がっていく。浸透完了を知らせる魔力収束音と、世界が180度反転するのは、ほぼ同時だった。
「追尾有りは正直誤算でしたけどねー。あんなに貪るなんて腹が減ってる証拠です。自分と味方を食ってろです」
 目標を見据え、吐き捨てながら、両剣状の水晶刃を投擲する。屍人の1体を捉えた水晶刃が腹を貫く。構わず動こうとした屍人を、浸透させた飢餓の刻印が静止させた。呻き声が咆哮に変わる。手近な仲間の方を向き、首筋に食らい付いた。喰らわれた屍人もやり返すように頸動脈を噛み千切る。揉み合い状態から、耳、鼻を互いに貪りながら、眼球を指で抉り、最後には手足を千切り合い、はては貪る事もできず、2つの肉塊と、怪しく光る水晶と血の池が残る。残った8体は、その様を見て、憎悪を募らせるように、雄叫びを上げる。
「本当、糞みたいな光景です」
 水晶鋏を魔力で手元に戻し、なお付き纏う霊を払いながら、ニレッドは二度、毒を吐く。

成功 🔵​🔵​🔴​

桜雨・カイ
だめですよ。あなたたちは誰も傷つける必要はないんですよ
こんな言葉ひとつで解放されるとは思わないけれど。
だから…あなた達を止めます

まずは農民が襲われているのを止めないと
農民が安全な所まで逃げられるまで、【念糸】で水晶屍人をからめとりその動きを止める。

まずい、敵のUCで一瞬目が…っ

攻撃が来る前に扇から炎を発動。
(炎の精霊が)助けて…くれたんですか?
まだ気配も声も感じる事はできないけれどそんな気がしました

お願いです、このまま念糸を伝って彼らを炎で浄化してください!
懐に入れている扇に向かって念じ、絡みついた糸ごと水晶屍人達を燃やしてもらいます、苦しまないように全力で。

(精霊に)ありがとう…ございました



●巡り扇の糸標
 激昂した8体が、迷宮大部屋の四方通廊へ無目的に散開する。その分岐先の一つに桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は送られた。屍人を逃亡している村人に出会わせてはいけないと考えながら、切れ長の青瞳を左右に投げかけ、迷宮を駆ける。2体の屍人がこちらに向かっているのに気づくと、すぐさま念糸を作り出し、目にも留まらぬ早業で2体を同時に絡め取り、縛り上げる。
「ッ……だめですよ。あなたたちは誰も傷つける必要はないんですよ」
 説得に返ってくるのは嘆きと怒りに満ちた呻き。この苦痛、易易とがお前などに分かるものか、親兄弟を食らい、仲間の屍肉を食らい、自身の屍肉を仲間が食らう。生き地獄だった生き地獄だ。貴様らもだ。貴様らも。
 恨みの念は強まるばかりだ。やはり、これだけで彼等が解放されることはないのだと唇を噛む。止めてみせると、糸を振り解こうと強まる力に足を縛っていた糸が千切れ、すぐさま念糸の強度を上げ、引き摺られ始めた指と足に一層、力を込める。
 それら全てが鬱陶しいと、焦れた屍人が、呪い水晶から霊を浮かび上がらせる。計4つの怨霊が、カイの周囲に付き纏う。
「まずい!」
 視界が焼かれると思った瞬間に、懐に忍ばせていた巡り扇の精霊が、主の危機を感じ取ったのか、気紛れか、その周囲を炎壁で覆い、閃光からカイを遠ざける。
「助けて……くれたんですか?」
 懐にある扇はただただ、火の気を強め、朱と橙を仄かに零し、気紛れだと言わんばかりの反応だった。まだ気配も声も感じることは出来ないが、それでもカイは、顔を出したそれに、願い出た。
(お願いです、このまま念糸を伝って、彼らを炎で浄化してください!)
 扇から顔を出した火は真摯な願いに、少し惑うように揺らめきながらも、カイの意図を察し、姿を蒼炎へと変化させた。気紛れに糸を伝う。糸を灰にしながら伝う。もう無用だと囁いているようだった。事実、呻き声を上げる暇も、悲鳴を上げる暇すら与えず、怨嗟の念すら置き去りにし、蒼炎の蛇が骨肉臓器水晶一切に巻き付き、僅か一瞬で、肉体を貪り食らう。後には、魂すら連れ去ったような静寂が、迷宮の一角に残るのみ。
「……ありがとう……ございました」
 意図を汲み取った精霊に礼を言うと、扇の中で眠っているのか、満足したのか、疲れたのか、礼に対する返答は無かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
凄惨な状況には慣れている。
早く、片付けよう。

クイックドロウ、自動拳銃で屍人の両足を狙い撃ち(スナイパー)。
先制攻撃を仕掛ける。

倒れた所に接近し【加殺髪】発動。
敵が爪で襲いかかるより先に、
四肢や水晶を斬り飛ばし、抵抗できないようにし、
超重金属の重量を乗せた足で敵の頭を踏みつけ潰す。

見切り、
続いて襲ってくる敵の動きを把握し、爪や牙の攻撃を早業で躱し、
ついでに加殺髪で髪を四肢や胴に絡ませ、切断。
自動拳銃と機関銃で頭部や怪しい水晶を念入りに破壊する。

これで死んでくれるか?



●smoky table
「早く、片付けよう」
 凄惨な状況には慣れていると、超重金属製のパワードスーツに身を包んだテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は、髑髏型マスクの下で冷徹に呟く。すぐさま、ステルスコートと飛行ユニットを起動させ、索敵を開始。
 絶え間なく流入変化するモニタ情報を慣れた物と迅速に頭に送り、保持。視覚センサを定期的に左右に振りながら、地面から数cm程離れたレビテーションを維持。程なく、サーモが2足歩行体生物の低温反応を示す。肩の先に石英形状の物質が左右1対、モニタを切換えると、水晶屍人が2体、並走して此方に向かって来ているのを確認する。揚力浮遊、ステルスコート解除、索敵モード終了、中距離及び、近接戦闘モードへ移行。保有武装、ラストデザートをマニピレータへリンク。物理チェック、クリア。目標捕捉。
「……ファイア」
 銃爪を引く。コンマ以下の目にも留まらぬクイックドロウ。UDCアースの旧式戦車装甲すら突き破る大口径マグナム弾が3つ、獲物に向かって吐き出され、同時に戦闘開始の狼煙を上げる。解き放たれた3つ首の獣が、獰猛に屍人へ襲いかかり、足を一本食らい、肉片を散らす。結果を分かっていたと言わんばかり、超重金属のパワードスーツの人工筋肉は手綱を難なく引き絞り、物ともしない。バーニア点火、加速。
 足を引き摺る鈍い屍人を標的とし、銃口を向ける。腹に響く重低音が3つ。同時に空力計算された弾頭という小鉄塊が、今度こそ屍人の両足を抉り、木っ端にする。上半身だけになった屍人に接近。足掻くように爪を振るうより、速く、束ねられた灰髪が伸び、刃となって屍人の腕を切断する。更に風切り音と同時にもう一方の腕が削ぎ落とされ、肩から生える水晶を横薙ぐ。抵抗を削ぎ取り、眼下で睨みつける白目を無慈悲に足で踏み抜いた。金属重量と衝撃に、迷宮の床が子気味の良い音を上げて罅割れ、僅かな紅を残し、窪みを作る。残った肉塊を、ゼロ距離からのラストデザートの三点射が平らげた。マガジンイジェクト、ローディング。空薬莢が金属質の音を上げて辺りに散らばっていく。動き回っていたもう1体が、その隙とも呼べない隙に飛びかかるのを、視覚センサで捉え、最小限の動作ですり抜け、背後に回ろうとした所で髪を絡ませ、硬度変化、超硬鉄の糸と化したそれが、一瞬遅れて両腕を上半身から分離させた。ずるりと腐肉が迷宮に落下する。アームドアクセル起動、兵装選択、召喚、クロスグロウ。マニピュレータ接続。物理チェック、クリア。
「これで、死んでくれるか?」
 銃爪を引くと動力が甲高い唸りを上げる。規格化された大口径弾頭、それを纏められた弾帯が、シリンダに凶悪な速度で消費され、銃身からバラ撒かれていく。反動を強引にアームスーツで押し殺す。空に放たれた肉食魚の群れが、両腕を失った腐肉を容赦なく食らう。両足の甲に歯型を付け、胴体を丁寧に噛み砕き、水晶接合部以外を挽肉にする。びちゃびちゃと尚血管から血を撒き散らし、グロテスクに脈打つそれを、水晶ごとマグナム弾が打ち砕いた。
「……任務、完了」
 周囲を警戒してから、パワード・スーツのコクピット内で、カトラリーは一瞬、目を閉じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

勘解由小路・津雲
 水晶屍人の数は10体、ふむ、猟兵1人で2体も相手にすればよい計算か。ならば。

【戦闘】
【歳殺神招来】を使用。歳殺神の加護を受けた戦士の霊を1体召喚し、共闘する。

 道具「式神」を飛ばし、「撮影」した映像を「千里鏡」に映しながら戦う。水晶を直接見るのは避け、視界を奪われることを回避する。戦士の霊の方は視界を奪われたら「二回攻撃」でもう一度召喚しなおそう。

 戦士の霊は炎燃え盛る槍で、本人は「属性攻撃」の氷結属性や「破魔」を乗せた「衝撃波」で戦う。

 相手が想定以上に強敵なら2体を相手にするのは諦め、1体ずつ潰していくとしよう。

「やれやれ、趣味の悪い術だ。安倍晴明と聞いて、期待していたのだがな」



●氷炎金槍
「水晶屍人の数は10体、ふむ、猟兵1人で2体も相手にすればよい計算か」
 偵察用の式神と同期させた千里鏡を銀眼で見遣り、勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)は屍人の位置を把握する。数は2体。この迷宮と言い、他の猟兵もどうやら、上手く抑え込んでくれているようだ。ならばと、霊符を取り出し、口元に寄せる。
「八将神が一柱、歳殺神の名において、式神、来たれ」
 命を吹き込む様に呪の言の葉を紡ぐ。呼ぶは金星、万物滅す武神の一柱。。霊力を吹き込まれた霊符が独りでに宙に浮き、青白い焔と共に、槍を持つ武神、歳殺神が顕現する。それを先行させ、自身も彼我の距離を計りながら、錫杖を持ち上げ、後衛として後を追う。
 歳殺神が屍人2体を相手に、豪快に槍を横薙ぐ、避ける事は承知と言わんばかりの踏み込み。炎熱を纏う穂先が、神速を持って屍人の身体を貫かんと繰り出された。屍人の鋭爪がこれを阻むが、そのまま爪を炎が焼く。熱に怯むこと無く、式神を消滅せんと爪が振るわれるのを、穂先だけでいなし、大振りの隙を付いて、腕一本を削ぎ落とす。怯みはしないが、肩の水晶が怪しく光り、2の人魂が式神に付き纏う。
 一方で、もう一体が津雲へ襲いかかるのを、当の本人は気負う訳でもなく、短い呪文と共に錫杖を横に薙ぐ。破魔の冷気が、不可視の刃となって、屍人を吹き飛ばし、下半身を冷気で地上に縫い止める。
「……破!」
 凍った下半身に、更に霊力を送り込む。許容限界を越えた氷が、小気味の良い音と共に下半身ごと砕かれ、風花となって霧散する。下半身が無くなったことに気付くと、水晶が怪しく光る。霊が顔を出すより速く、霊符を数枚投擲し、水晶に貼り付け、指先で字を切る。極小の結界を作り上げ、破魔の霊力を注ぎ込む。技を封じた所で、霊を振り切った歳殺神の槍が振り下ろされた。2つ分かれた上半身が水晶ごと、炎に包まれる。
 同時に、片腕を削がれた1体が向かってくるのを千里鏡で捉え、その方角の地熱を奪い、冷気を奔らせる。攻撃に気付いた屍人が飛び退き、その背後から、式神が胴を横殴る。炎熱に屍肉が焦げ、顕になった肋骨が灰に還る。釘程度の小さな氷柱が更に屍人に押し寄せ、津雲が印を結ぶと、その身体が丸ごと凍り、式神が二度槍を振るう。頭から屍人の氷像を砕き、背中に生えた水晶を次の薙ぎ払いが跡形もなく砕いた。
「やれやれ、趣味の悪い術だ。安倍晴明と聞いて、期待していたのだがな」
 津雲は毒付いてから、歳殺神に礼を払って魂を送る。鳥の式神に再び、迷宮内の偵察を命じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シーザー・ゴールドマン
【POW】
堅城を攻める場合、力攻めより兵糧攻めを選択するのは合理的だね。
秀吉はこの時、前段階で工夫を凝らしてもいる。
とは言え、負ける側が負け時を見誤ると悲惨な事になるね。

『ウルクの黎明』を発動。
追う水晶屍人、追われる農民の間に空中から割って入る。
先制の破邪の波動で全体にダメージを与える。
(先制攻撃×衝撃波×属性攻撃:聖×破魔×範囲攻撃×全力魔法×なぎ払い)
その後、破邪の太刀(聖属性のオーラセイバー)で一体ずつ確実に屠っていく。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き×破魔)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃×破魔)など
敵POWUC対策
直感で見切って回避又は受け流しからのカウンター
(第六感×見切り×カウンター)



●破邪遊戯
「堅城を攻める場合、力攻めより兵糧攻めを選択するのは合理的だ」
 迷宮を歩きながら、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は飢え殺しの経緯を思い浮かべ、誰にともなく呟く。
「秀吉はこの時、策を練る前段階から工夫を凝らしてもいる。とは言え」
 負ける側が負け時を見誤ると悲惨な事になるね、と、水晶に写った自身に投げかけるように締め括った。
 何方に思い入れるわけでも無く、軍事的事実だけを突き詰め、己の見解に納得するように、水晶から視線を外して一つ頷き、オドを全身に纏う。
 自身を数センチ浮かせ、その高度を保ったまま、迷宮内を真紅の閃光と化して駆け巡る。人影が何かに追われるのを捉え、最高速にギアを切替えた。水晶屍人が追いついたのか、逃げ惑う村人を追いかけていた。シーザーは屍人と村人の間に横から強引に割り込み、利き手にオドを集中する。1体のみならば、全方位よりもある程度絞る方が都合が良いと、掌中のオドを調整し、破魔の暴風を作り出す。
「精々、楽しませて貰おうか」
 直撃を避けた屍人が、しかし真紅の灼光に目を焼かれ、闇雲に爪を振るう。余裕をもってその動作を両目で捉え、浄化のオーラを練り上げ、非実体の刃を作り出し、薙いで五指を削ぎ落とす。肉体に通う不浄が浄化され、白煙が上がる。文字通り魂をを焼かれる感覚に襲われ、屍人はたたらを踏んで後退した。空いた距離を瞬時に詰め、反対側の五指を続いて削ぎ落とす。白煙を両手から上げながら、激昂。涎を振り撒いて咆哮し、大口を開けて飛びかかる。
「ふむ」
 速度はあるが動作は単調、やはり、10体居て漸く楽しめる程度だろうと、すれ違いざま、今度は五指の無くなった掌を切断した。自身が削られていく痛みに泡を吹きながら、恨めしいと唸り声を上げ、自身を二度傷付けた手首を噛み砕こうと前傾姿勢での突進を試みる。正しくそれを見切り、非実体の刃が、残っていた掌を切断する。屍肉が真紅のオーラに償却され、塵すら残さない。
「次は腕だ。君の攻撃手段は残してあげよう」
 言うや否や、音すら置き去りにした斬撃に、宙高く片腕が舞う。遅れて浄化が始まり、空気中に霧散する。流石に怯えが走り、屍人の目が農民の方を向く。
「余所見が出来る程、暇を与えた覚えはないのだがね?」
 その代償は大きかった。残った腕が容赦なく切り落とされ、浄化された。力の無い呻き声と、惰弱に見える悲鳴を、シーザーは戦意喪失と受け取った。首を飛ばし、両足を切除。胴だけになった所で、再び、浄化のオドを解放する。
「消えたまえ」
 紅の奔流が水晶ごと、屍人の存在を消失させる。脳の処理限界を越え、呆気に取られた農民は、それでもシーザーに助けられたことを認識すると、彼に心よりの礼を述べた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジュリア・ホワイト
助けを求める声あらば、このボクが応えよう
「ヒーロー・オーヴァードライブ、これより救助活動を行うよ」

最初から器物の姿で出現
【そして、果てなき疾走の果に】を起動して農民達に迫る屍人に正面から突撃
全て轢殺していくよ
「逃げる農民の皆さん、横に逃げるんだ!ボクの正面を空けて欲しい!」
ちゃんと踏切結界の効果範囲を屍人だけに設定して農民の皆様は巻き込まないように気を使うよ
というか、突撃する(物理的)余地がない場合は車体を盾にして彼らを守らなくては
突進からの轢殺を免れた屍人には車載火器で追撃をお見舞いしよう

殲滅できたら農民達を載せて安全な場所までご案内しよう
このまま鳥取城に行かれたらまずいし

【アドリブ歓迎】



●over killer?
 運転士の精霊が半ば自棄気味に魔力で石炭を生成し、片っ端から火室へ放り込む。蒸気圧の上昇に機嫌良く煙を吹く。煙管を通り、弁室を抜けて、圧に応えたシリンダ室がピストン運動を助長し、伝えた運動エネルギーが車輪を回す。蒸気機関車が、レールの無い水晶迷宮を猛スピードで疾走する。
 器物である、旧式蒸気機関車の状態で転送されたジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)は元気の良い声で名乗りを上げた。
「ヒーロー・オーヴァードライブ、これより救助活動を行うよ!」
 何故か運転士の精霊はそれを聞いて、溜息を吐きたくなった。独特の汽笛を上げて、迷宮内をひた走る。濁った水晶の迷宮は器物の状態で見ても物珍しい。好奇心の赴くまま、車体の通れる道幅を選び、全力で車輪を回す。屍人に追われる村人を見つけ、鐘を鳴らして警告。戦闘機動への移行を精霊に伝えると、既に自棄糞だった精霊がぴくぴくと眉を吊り上げて、ジュリアを睨み上げた。
「逃げる農民の皆さん、横に逃げるんだ! ボクの正面を空けて欲しい!」
 響く鐘の音と人の注意喚起に何事かと振り向くと黒鉄の塊が煙を吹いて自分達に向かってくるのが視え、慌てて言う通りに道を開ける。
「列車が通過するよ! 線路内への立ち入りはご遠慮願おうか!」
その言葉を合図にジュリアが力を開放する。霧が立ち込めた空間にぼんやりと見える縦列2連の赤信号が、交互に点滅し、規則正しい高音を鳴らし、注意する。黄色と黒の斜線踏切が少しずつ閉じられていき、レールの上に居た屍人の逃げ道を塞いでいく。
 運転士の精霊はキレ気味に石炭生成速度を倍加させ、ボイラー室の蒸気圧計が振り切れる。いよいよもって、ジュリアは速度の臨界点に到達し、屍人を黒鉄の車体が轢き殺す。吹き飛んだ先に再び踏切が出現し、汽笛が上がる。霧に紛れて黒煙を撒き散らして、猛追し、今度は幾重にもなる車輪で水晶ごと、背骨を圧砕する。四肢、内臓は砕き切った筈と、煙室扉に格納された工学主砲、アクセルホワイトにエネルギーを送り込み、30%程の出力で発射する。
 正面の煙室扉が開く、エネルギー充填が終了した灼光が容赦なく屍人の肉体を食らい、灰一つ残さず焼却した。
「あれ、あれれ?」
 動輪が止まったのを疑問に思い、火室を探ると、疲れ切った精霊が戦闘機動どころか、石炭を送り込むのを止めて、機動を強制終了させていた。何かその辺の床を力なく蹴っ飛ばしていた。
 農民の警戒心を解くため、人型を作って汽車から降りる。
「逃げ回って疲れてるよね。あれボクのだからさ。乗ってく?」
 何となく、断れば屍人の様になるのではないかと不安に駆られ、農民は少し訝しみながら、提案に頷いた。目の前で人型を轢殺すれば仕方のないことではある。ジュリアは、精霊の疲れもあって鈍行運転を心がけ、迷宮内に少し散らばっていた農民達を全員回収し、のんびりと水晶迷宮を走っていく。余裕がなかった農民達は、この迷宮の神秘的な光景を遊覧しながら、農村へと無事、帰された。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト