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エンパイアウォー⑧~死せる者、その末路~

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー



「皆、戦争への参加お疲れ様。度々の助力、感謝にたえない」
 一つ礼を述べ、本当に度々で悪いのだけどね、とエンティ・シェア(欠片・f00526)はメモを捲って概要を告げていく。
 幕府軍が関ケ原にて軍神と大帝剣が為す信長軍を突破しようとしている。そこで生き延びた軍は、山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍する事となる。
 その内の、山陰道に蔓延る障害の排除が仕事だ。
「鳥取城はご存知かな。そこは『餓え殺し』なる作戦が行われた場所で、恨みの念が強く残っているんだ」
 近隣住民を城に集め、閉じ込め、飢え死にをさせることで、より強い『水晶屍人』の量産が可能になるという。
 そしてそれらが量産された暁には、山陰道を通る幕府軍と、猟兵すべてを殺し尽くしても有り余る戦力となってしまうのだとも、言う。
 阻止するためにはそもそもの近隣住民の飢え死にを食い止めること。
 そのためには、今まさに城へと連れ去られようとしている農民たちを救うことだ。
「農民を連れ去っているのは水晶屍人だよ。ただ、これは奥羽で大量に討ち倒した敵とは格が違う。戦国時代で最も酷いと言われる殺され方をした住民の音量を利用して生み出されているからね」
 彼らも元は多くの仲間と共に戦に向かったのだろう。しかし追い詰められる事となり、救われることはないと確信したのだろう。
 彼らがとった行動は、討ち死にした仲間の死体を食ってでも、生き延びるということ。
 そうして、喰った己が死んだ後は、他の仲間に喰われていった。
「喰うということに執着でもあるのだろうかね。近隣の村でも、村人を食い殺して城の方へ追い詰めようとしているようだ」
 喰われてしまった村人は、助からない。けれど恐怖に晒され、逃げ惑う人々を救うことは、出来る。
 今回村を襲う水晶死人の数は10体。重ねて言うが、奥羽の脆い軍勢とはわけが違うとエンティは念を押す。
「10体で、猟兵と十分渡り合える程度の戦力だ。だがね、彼らは仲間を食い殺すような輩。その決断と引き換えに、かつて合っただろう共に戦うという理性は消えている」
 そう、理性など、とうに消えている。
 飢えて、飢えて、飢えて、何を喰ってでも生き延びてやると心に決めて、そして、死んだもの。
 彼らを生み出した安倍晴明の命に忠実に従うだけの、死体だ。
「哀れに思うなら、彼らが罪もない者達を犠牲にしようとしているのを、止めることだね」
 そして戦に利用されるようなことなく、安らかに眠らせてやることだ。
「どうか、武運を」
 願う言葉と共に、サムライエンパイアへの道は開かれた。


里音
 佳境というやつでしょうか。張り切ってまいりましょう。

 敵は水晶屍人10体。OPにもありますように、攻撃方法は変わらず、連携などは特にしてきませんが、一体一体の力は奥羽で対峙したものより格段に上がっていますのでご注意を。

 村人は水晶屍人に追い立てられる形で鳥取城へ向かっておりますが、猟兵が割って入り、一声でも掛ければ、離れた位置で隠れる、迂回して村へ戻る、などの手段が取れます。
 現状怪我をしている者はおりませんので、促す以上の措置は不要です。

 ※このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 敵対数が決まっておりますので、人数次第で早めの締め切りがあります。
 皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『水晶屍人』

POW   :    屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
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宝海院・棗
【魔法少女の秘密基地】
なんとしてもパンデミックを防いで、部隊を送り届けよう!

基本戦術はスカイステッパーで敵の攻撃が届かない高所から攻撃

念のため空中戦と残像の技能で回避率を上げ、エラスティボディと技能の範囲攻撃、串刺し、2回攻撃、傷口をえぐる、敵を盾にする、鎧砕き、武器落としで敵を効率よく減らすことを狙うよ!

敵のWIZ技はミトンに防いでもらおう!

ピンチになっても鼓舞やダンス、パフォーマンスでみんなを応援!


レパル・リオン
【魔法少女の秘密基地】チームで協力して戦うわ!

わざわざ苦しめて殺して、死んだ後まで利用するなんて…!
…許せない!みんな、行くわよ!

今回のあたしは前衛担当よ!いつも通り?うん、あたしはヒーローだもの!

あたしが相手よ、ゾンビ怪人!
【ダッシュ】で素早く飛び込んで、水晶屍人にパンチをかましてやれば、きっとあいつらの注意や敵視はあたしに向く!
ほらほら、こっちこっち!

屍人の連続攻撃には注意しないと!けど、油断さえしなければ動きを【見切り】回避するのは難しくないわ!

隙を見て【ガチキマイラ】で腕や肘を変化させて噛みつき攻撃!多少食らったり疲れても体力回復して、囮役としてしっかり働いてみせるわ!


ミリア・プレスティール
【魔法少女の秘密基地】で参加
「せめて死後は安らかに眠らせてあげましょう…」
ミリアは後衛に控えて仲間が傷を負えばユーベルコードによる歌で癒し、相棒の手袋型UDC『ミトン』には前衛の隙をカバーするように援護をお願いする。
「それをさせるわけにはいきません!」
敵が水晶による目くらましを行わないように『ミトン』が【部位破壊】の技能を使って優先して水晶の破壊を試みる。




 餓え殺し。その響きだけでも眉根を寄せたくなるようなものだが、その実情が、わざわざ苦しめて、殺して、そして此度は死してなお残った怨念さえも、利用されている。
 その状況を、許せるわけがなかった。
「みんな、行くわよ!」
 魔法少女の秘密基地の一員であるレパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)の声に、宝海院・棗(もち・ぷに・とろり。・f02014)もその気合を表すように頷く。
「なんとしてもパンデミックを防いで、部隊を送り届けよう!」
 そう、安倍晴明が企てたこの作戦を打ち破らねば、山陰道を通る幕府軍は壊滅させられてしまう。それ以上に、それを救わんと助力に走る猟兵さえも駆逐されかねない。
 阻止を、しなければならない。そんな、猟兵としての使命とは別に、ミリア・プレスティール(守護霊持ちのいじられ女子・f16609)は一人のヒトとして、悼む心を口にする。
「せめて死後は安らかに眠らせてあげましょう……」
 飢えと、絶望からの、解放を。
 村人を追い立てる水晶屍人の姿を捉えるなり、レパルは駆ける足に一層の力を込め強く踏み込み、棗は屍人達の頭上を飛び越えるかのように、高く、幾度も中空を蹴って跳んだ。
「あたしが相手よ、ゾンビ怪人!」
 一番近い敵に、レパルはダッシュの勢いも乗せてパンチをかます。
 爛れ堕ちた腐肉を張り付けたような虚ろな顔が、のっそりと振り返るのに応じて、数体が、レパルへと意識を向ける。
「ほらほら、こっちこっち!」
 今日の彼女は前衛だ。ちなみにいつも前衛だ。
 レパルの立ち位置は常に変わらない。そう、何故なら彼女は、ヒーローだからだ。蔓延る悪を打ち倒すため、虐げられるものを救うため、レパルはいつだって、率先して前へ出る。
 そしてそんな彼女は、今日は、一人ではない。
「こっちにもいるんだよ!」
 頭上高く、水晶屍人が手を伸ばしても届かないような高みから、一気に急降下。手にした武器で、敵を抉っていく。
 上空からの急襲に対抗するように、高速で振り回される農具。
 残像を見せるような素早い動きで難なく躱すと、棗は急には止まれず武器を振り回し続けている屍人から距離を開けるように、再び空中へと戻っていった。
 そんな棗と、そしてレパルの周囲には、ミリアの相棒でもあるUDC、通称『ミトン』がふわりと控えている。
 右手と左手、それぞれが巨大なミトンのような形状をしているそれらは、前衛に立つ二人の死角を補い、戦いやすいようにと補佐をしていた。
「そう、ミトン、お願いね」
 二人が戦いやすいように。戦局を冷静に把握していたミリアは、屍人の一体が肩に生やした水晶から怨念の籠もった霊を呼び出していることに気が付いた。
 きらきらと陽光を反射させる水晶霊の、美しくも禍々しい様相を、キッ、と睨みつけて。
「それをさせるわけにはいきません!」
 ミトン、と短い声を一つ飛ばし、その水晶霊が彼女らの視界を奪ってしまう前に、破壊へと向かわせた。
 しゃん、と透き通った音と共に、水晶が砕ける。それでもなお、と眩い閃光を放つが、ミトンが盾となっているお陰か、レパルや棗までは届かずに済んだ。
「ミトン、ありがとう!」
 中空でくるりと旋回し、伸縮性の高い自身の身体をころりと丸めるようなパフォーマンスを交えながら、棗は宙を舞う。
 凄惨な死に様を迎えた敵との対峙だとて、明るい気持ちを忘れてはいけない。
 鼓舞するように、笑顔を見せる棗を一度見上げて、レパルもまた、憤りに寄り掛けた眉根を緩める。
「隙ありよ!」
 振り回し続けていた農具の動きが止んだのを見計らい、レパルは腕をライオンの頭部に転じさせ、水晶屍人の身体を食い千切る。
 しかし、相手は屍人。手足をもいだところで、痛みを感じた様子もなく、レパルへと再び農具を振るった。
「くっ、なんの、このくらい……!」
 その程度で引くわけにはいかない、と踏み留まり、牙の覗くライオンの口で再度噛み付けば、糸が切れたように屍人が崩れ落ちる。
 まだまだ、と駆けていくレパルを、棗を、ミリアの歌声が癒やしていく。
 傷つくことの憂いはあれど、決して立ち止まることのない仲間を支え、癒やす歌声が、力強く、高らかに響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

月隠・望月
わたしは戦国の世を、知らない。水晶屍人となったヒトの生き様を、知らない。飢えの苦しみも、理解できない
だが、今を生きる人々を守らなければ、ならない。それは確か。そのためにオブリビオンは倒す。全て

水晶屍人と村人の間に割って入り、遠くに逃げて隠れるよう村人に声をかける。奴らはわたしが倒すので何の心配もいらない、とも
村人が逃げた後、手近な敵から【剣刃一閃】で斬りつけよう。攻撃の際は【フェイント】を交える等して、回避されないよう工夫したい

水晶屍人は互いに連係などはしない、という話。敵の噛みつきや爪撃は、素早く他の敵個体の後ろに回り込んだり、近くの敵を掴んで引き寄せたりして【敵を盾にする】ことで防御しよう


ハヤト・ノーフィアライツ
アドリブ連携歓迎。

どれ、んじゃまちょっかいをかけてくるとしますか。

指定UCを発動、ロボット軍団を展開。
自身は【ファルコン・フュージョン】で宇宙バイクと合体、3.5mのロボに(単なる演出でも可)。
【戦闘知識】を駆使し、一番手薄な方向から攻撃をかけ、連中を撹乱。
撹乱後は村方面を【かばう】ように展開。
ロボット軍団は4-5体で合体。各個撃破と支援をメインに活動させる。
自身は【グラップル、2回攻撃、串刺し、鎧無視攻撃】を駆使しながら立ち回る。
攻撃は【早業】でかわし、【武器受け、激痛耐性】で耐え、【戦闘知識】で機先を制することが
できるなら【カウンター】を見舞う。

孤立突出に気をつけながらうまいことやろう。


エア・ルフェイム
生きる為に喰らう
生物として当たり前のことだけど
…既に死したあの人達には
もう必要ないものだよね

死して尚も彼等を縛る
歪んでしまった生への渇望
断ち切ってみせる。必ず

エア達が来たからもう心配ご無用!
みんな焦らず危なくない所に避難してネー!
村人さん見つけたら急ぎ告げて
笑顔と言葉を残し、討つべき者を見据える
―大丈夫、絶対助けるから

現地に居る仲間とは全面的に協力して行動
距離がある内は煉華で攻撃
スナイパー、援護射撃を活用し、足や手を中心に狙い撃つ
接近戦になれば炎属性を宿した真紅で応対

動きが鈍った隙を見て
焔双牙で食らい付く

怨み辛み、重ねた命の重さごと
私が全て喰らって貰い受けるよ
だから、ゆっくりやすんで


リンカーベル・ウェルスタッド
どのような神を信奉していらしたかは存じ上げませんが、迷える魂であるなら私がするべきことはひとつ
そう、アーメン、ハレルヤ、デストロイです!
破魔の力は伊達じゃないのですよ!
多分!

村人さん方に離れているように伝え、聖水をバラ撒いてユーベルコード使用
相手の攻撃が来そうな時は、盾で閃光を直視しないように遮ったりして交戦
距離に合わせて武器を使い分けて立ち回ります
攻撃を食らってしまった場合は、痛みに耐えつつ全力でカウンター
視えてなくても、攻撃を受けた位置で何となく目星を付けてフルスイングです!
そして哀れな魂が迷わぬよう、レクイエムを捧げましょう
主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光でお照らしください――




 一部の敵が他の部隊に流れている。その状況を見逃さず、エア・ルフェイム(華焔・f02503)は村人の傍へと駆け寄り、彼らと水晶屍人の間に立ちはだかった。
「エア達が来たからもう心配ご無用! みんな焦らず危なくない所に避難してネー!」
 華やかな色の髪をふんわりと揺らし、笑顔を向けて促せば、村人たちは一度互いに顔を見合わせたものの、頷いてその場から離れていく。
 ちらりと猟兵達を気にするように振り返る視線を見つければ、月隠・望月(天賦の環・f04188)とリンカーベル・ウェルスタッド(ルーベル・アニマ・f01718)も、早々の退避を促すように口を開く。
「奴らはわたしが倒すので何の心配もいらない」
「皆さんは早く避難を」
 彼らの言葉に、自分達が速やかに離れることが助けになると判断した村人達は、急いで避難していく。
「――大丈夫、絶対助けるから」
 村人を追うような水晶屍人はいない。そこに立つ猟兵達が、行く手を阻んでいるから。
 きっ、と睨み据えるエアや他の猟兵達を敵とみなしたか、あるいは集めるべき対照と見たか、虚ろな顔からは判別できないけれど、村人を追い立てていたその足は、確かに止まったのだ。
「どれ、んじゃまちょっかいをかけてくとしますか」
 ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)はそう口にして、自身の傍に40体を超える小型のロボットを召喚していく。
 それらは乗り物から変形する少年向けの玩具を巨大化したような形状を持ち、ハヤトの指示で同系統のもの4、5体が融合することで、水晶屍人らと同等のロボット戦隊として強化された。
「さぁ、うまいことやろう」
 孤立突出には気をつけような、と自身への戒めのように指示をこぼせば、ロボット達は次々と水晶屍人へ突撃した。
 それを追うように、望月は手近な屍人の懐へと駆け込むと、至近距離から剣閃を放つ。
 深く斬り込んでも、痛みなど感じていない屍人達が怯むことはなく。その様に、これが生きたものではないことを、望月は痛感した。
(……わたしは戦国の世を、知らない)
 知らないから、理解できない。水晶屍人となったヒトの生き様も、飢えの苦しみも、何も。
 聞いた話を噛み砕いて、同情のような気持ちを抱くことは出来るのだろうけれど、それはきっと、薄っぺらいものにしか成らないのだろう。
 それよりも、望月ははっきりと理解していることがある。
 今を生きる人々を守らなければ、ならない。
 確かな事を、為すために。
(そのためにオブリビオンは倒す。全て)
 望月の思考を打ち破るように、屍人は爛れた皮膚をぐちゃりと歪ませて口を開けると、望月へと噛み付いてきた。
 ――だが、望月に痛みはない。噛みつかれた、と思った肩口には、崩れた腐肉が飛び散っているだけ。
 エアが放った銃撃が屍人の顔を撃ち抜いたためだ。
 助かる、と短く零し、望月は屍人を突き放し、再び剣戟を見舞う。
 膝を折り崩れ落ちた屍人の背後から、別の屍人が農具を振りかざし襲いかかって来たが、ぱしゃん、と何か水の跳ねる音がしたかと思えば、まるで雷にでも打たれたかのように、その動きをビクリと止めた。
「どのような神を信奉していらしたかは存じ上げませんが、迷える魂であるなら私がするべきことはひとつ」
 ぱしゃ、と。手にした瓶から液体をぶち撒けて、リンカーベルはどこか高揚にも似た調子で、声を張り上げた。
「そう、アーメン、ハレルヤ、デストロイです!」
 聖職者、その見習いであるリンカーベルは、聖水を直接死人にぶっかけてダメージを与えていく。
 無論、彼女のユーベルコードとしてのダメージが主なわけだが、怨念を核とする水晶屍人にとって、相反するとも言えるその技は、心持ち強い影響を与えているように、思えた。
「破魔の力は伊達じゃないのですよ! 多分!」
 そう、多分だ。とは言え、それによって惨たらしく死んだ怨念が浄化されるなら、幸いなこと。
 エアは黑金の銃身に描かれる紅い華を指先でなぞり、聖水のダメージに悶え苦しむ屍人の足を、撃ち抜いた。
(死して尚も彼等を縛る、歪んでしまった生への渇望……断ち切ってみせる。必ず)
 生きるために喰らう事は、生き物として当たり前のことだ。
 それが、例えば同じ人間であったとしても。そうすることでしか、生き延びることができなかったのならば。
 だけれど、彼らは死んでしまっている。
 もう、飢えを紛らわす必要のない存在だ。
 これ以上、苦しむ必要だってない存在なのだ。
 崩れていくさまは、見届けて。エアは次の敵へと、狙いを定める。
 視線の先では、ハヤトが召喚したロボット達は屍人達と交戦し、時に噛みつかれ、時に農具に打ち据えられながらも、果敢に攻撃を繰り返す。
 そんなロボット達の状態を確認しながら、ハヤト自身もまた、身の丈3メートルを超える合体ロボとなり、応戦していた。
 村人達が無事に村へと帰りつけるよう、彼らが帰るべき場所を庇うように立って、立ちはだかって、屍人へと武器を振るった。
 機動性を捨てて、浪漫を追求したロボット大戦。受けてしまった攻撃による痛みは気のつかないふりをして、肩に帯びた水晶ごと、打ち砕いていく。
 不意に、視界の端にふわりと浮いた水晶が、見える。
 それが召喚された水晶の霊であることを察知したのと同時、まばゆい光が放たれて――最も近くにいたリンカーベルを直撃した。
「ッ……!」
 強烈な光に脳が眩む。けれど、リンカーベルは怯まない。その場に踏みとどまり、光を浴びる直前に目の前にいた屍人の姿を脳裏に描いて、全力で武器を振り回した。
 めきょ、と。捉えた感覚は、異様に柔らかく、それでいて骨のような硬さを持つもの。
「そのまま動かないで!」
 鋭く走った声――エアのものだ――の通り、その場で制止したリンカーベルが打ち据えた屍人へ、エアは自身の腕に炎を纏い、さらに剣歯虎の頭部へと変え、食らいつく。
「怨み辛み、重ねた命の重さごと、私が全て喰らって貰い受けるよ」
 だから、ゆっくりやすんで。
 囁く声は、屍人に届いているかはわからないけれど。彼らの『命』を吸い上げたエアは、崩れ行く屍人におやすみなさいと、言葉を捧げた。
「これで、最後か」
 強烈な光から見を守ろうと、くるりと身を翻して盾にした屍人を手放して、望月は小さく呟く。
 飛び散った腐肉も、いつの間にか霧散していた。最後に立ったこの屍人も、斬り伏せれば跡形もなく消えてしまうのだろう。
 感傷には浸らない。それでいい。
 迷いなく、望月は最後の一閃を放った。
 胴が上下に分かれ、崩れる。その身体は、リンカーベルが幾度もばら撒いた聖水の上に、どちゃりと倒れ伏して……溶けるように、消えていった。
 彼らは骸の海に引きずられていったのだろうか。それとも、また怨念としてこの世界に漂っているのか。
 定かではないけれど、叶うなら、その魂が迷うことなく召されるようにと、リンカーベルは静かに歌った。
「主よ、永遠の安息を彼らに与え、絶えざる光でお照らしください――」
 鎮魂歌は、怨嗟に塗れた空気を震わせて、響く。
 風に乗って村に届いたその歌声に、無事に逃げ延びた村人達は、誰ともなく手を合わせ、瞳を伏せるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月13日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト