エンパイアウォー⑧ソイレント・クリーン
●
因幡国に流れる川、それに沿った道は古くから行商人が行き交い活気のある道だった。
しかし今日は様子がおかしい。農民達が木立のしげる土手を河口の方面へ追い立てられるように走って行くのだ。
それを追いかけているのは、元は人間の身体の一部であろう赤黒い肉塊を片手に、口からはそれを喰らったあかしとして血をぬらぬらと滴らせるまるで理性のカケラも持ち合わせていない、人形。
「「「あ゙ あ゙あ゙あ゙ あ゙あ゙」」」
水晶屍人だ。
●
「人の肉は食べたことあるかな?」
グリモアベースの片隅にある作戦室の中、キル・トグ(空の語り部・f20328)がラベルの貼られていない緑色の缶詰を片手に猟兵達へ問う。
「意外と人間追い詰められれば何でも食べてしまうのさ」
鳥取城飢え殺し。かつて鳥取城を舞台に行われた秀吉の兵糧攻め、それは城に閉じ込められた兵と農民によるカニバリズムを迎合した。
「魔神将阿倍晴明、鳥取城を拠点に山陰道を通る幕府軍を壊滅させんと飢え殺しの再現にて兵力の増強を図る、らしいのさ」
元々鳥取城に漂っていた怨念を利用して水晶屍人を作り出し、それを用いて鳥取城に付近の農民を追い込み飢餓にさらす事によって濃密な狂気と怨念を発生させ、また水晶屍人を生み出す。負のサイクルだ。
「今はまだ農民達を追い立てている段階だからそんなに被害は出ていないのだけど、突っ立って見ている訳にはいかないのさ、今回の仕事はこの事態の解決だね」
放っておけば、山陰道を通る幕府軍は壊滅の憂き目に合うだろう。解決方法は簡単明解、増える前に水晶屍人を殲滅する、これだけだ。
「だけど、少し困った事に材料にした怨念が強過ぎたようでね、奴ら物凄く強いみたいなのさ」
10体で猟兵1人と同じほどの強さを持ちそれが山程、因幡国に溢れかえっている。
「まあ、一人で100体とか言わずにジリジリ、コソコソ削っていこうじゃないか、ゾンビ狩りがゾンビになっちゃあ洒落にならないからね」
「さあ、用意はいいかな?お掃除の時間だ。」
キル・トグは緑色の缶詰を弄びながら獣の遠吠えに乗せて転送の用意を始める。
「この缶詰?人類の食料問題を解決するブレイクスルーらしいよ」
と最後に付け加えて。
柄縞倉庫
こんにちは、柄縞倉庫です、精進します。
鬼畜緑を呼ばなきゃ。
というシナリオです。
フレーバーとして初めに長ったらしい文章を入れますご留意下さい。
以下留意事項です。
●このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。はい。
●一応の地理設定は「木立がしげる川の土手とそれに沿う街路」です、気にしなくても良いです。
●頂いたプレイングは全て採用、執筆する予定ですが参加者8人を超えると栄養ドリンクが鳥取城に捧げられるので、どうぞよろしく。
●執筆は変則となります。
●細かいことはMSページへどうぞ
第1章 集団戦
『水晶屍人』
|
POW : 屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD : 屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「本当に食べてしまったのか?」
親父が平坦な声で問い詰めてくる。
「ああ、食べたよ」
「バカヤロウ!棘丸、あれは大事な金の卵なんじゃぞ!」
ひどく怒っているようだ、確かにあの大豆は戦時下で食料品が高騰しているこのご時世、町の商人に売りつける事で御殿が建つほどの銭が手に入るだろう。
「でもよ親父、背中に豆背負って飢え死になんてしたかねぇよ」
ここは川沿いの行商が使う道、昨日の夜、俺達は背負子に山盛りの大豆を入れて村を出たのだ。
「ワシらはそこら辺のヒキガエルとか食っときゃいいんじゃ!」
鳥取城の飢餓兵でもないのにあんな緑色食えるわけが無い、この親父銭に目が眩んでおかしくなっているみたいだ。
「大体なぁ、庄屋さん通さずに商人と会うとか完全に闇取引じゃねぇか」
「これはワシらが丹精込めて作った大豆じゃろう、これ以上くりぃんなものは無いわ!それにこれを元手に商売初めれば庄屋と会う事もないしな!」
どうやら農家仕事に嫌気がさして脱農しようとしているようだ。昔渡来人から教えてもらったらしい言葉を使って脱農の重要性を語ってくる。工場製代替食による既存作物の淘汰、食料輸送コストの過剰による破綻、よく分からん。
「親父、なんか聞こえる、静かにしてくれ」
道の脇の木立からなにか気味の悪い音が聞こえたので親父を黙らせ、首だけ藪に突っ込み様子を伺う。
緋色に染まった地面に人のような物が横たわっていて、それを何かおぞましい影が取り囲み、ぺちゃぺちゃ、くちゃくちゃ、と音を立てている。
「zombies!?」
「声がデケェよ親父!…ああ気づかれた、逃げんぞ!」
俺たちは逃げ出した、先には鳥取城があるはずだ、そこまでたどり着けば…
鈴木・志乃
いた
見つけた
もうこれ以上食わせはしない
……これ以上誰かを食べたり
誰かを呪ったりしなくていいんだ
さぁ、祈りを始めよう
※オーラ防御常時発動※
噛み付き、切り裂きを食らうかもしれない
そんなことは分かってんだよ
敵の接近攻撃ギリギリを【第六感】で【見切り】
光の鎖で【早業武器受け】
鎖を口に食ませ、【念動力】と鎖で足払いしつつ
そのまま縛り上げる
臭い? 痛い? 怖い?
知ったこっちゃない
彼らは被害者だ
可能なら抱きしめてUC発動【手をつなぐ】
【祈り、破魔、呪詛耐性】籠めた【全力魔法】の【衝撃波】で
彼らの力の源である怨念を吹き飛ばす【なぎ払い】
安倍晴明の邪法、その全てを浄化する
足りなければそのまま鎖で締め落とす
……。
● silent film :side鈴木・志野(オレンジ・f12101)
腹いっぱい食わせてやれなくてごめんな。一緒に痩せちまったよな。
ちゃんと土まんじゅうこさえて仏さんとこ送ってやるからな。
彼岸の時分にはさ、ほら好きだったろ?なけなしの銭はたいて一緒に食べたあんころ餅。あれ供えてやるからよ。
だから、どうか安らかに…
見つけた。
視界には水晶屍人。虚ろに窪んだ眼窩、不自然に背中から突き出た水晶、お世辞にも衣服とは呼べない様なボロ布をまとい、何かを求めるように右手を前方に泳がせる、左手は、子どものものだろうか、ちぎれた左腕を鷲掴みに振り回し、ぶん、ぶん、と鮮血を散らしている。
その次に逃げまどう農民達も目に入り、そのうちの血走った目つきで誰かのものだった右腕を大事そうに抱える男とすれ違う。瞬間、誰かの願いが聞こえた気がして、近づいてくる水晶屍人に視線を戻す。
もうこれ以上誰かを食べたりしなくていいんだ。誰かを呪わなくたっていいんだ…いま送ってあげるから。
旋回する屍人の右腕が鞭の様にしなり、わき腹を切り裂こうと迫る。
それはあまりにも早く完全には捉えきれなかったが、誰かに振り付けを導かれるような感覚で一歩前へ進み、夜明けの月のように輝く光の鎖で受けとめる。
動きを止めた右腕をそのまま絡めとり、光の鎖はそのまま屍人の左二の腕を通り首を一周して呪いの牙を噛み合わせる口蓋を封じた。
そのままドミノ倒しをするように鎖の巻きつく頭部を引き下ろし、足払いをかけ、重力に身をまかせた屍人を抱擁する。
屍人の自由を奪い抱擁する全ての所作は社交ダンスのように流れて行く。
目が合う。白く淀んでいる。手。乾いた木肌のように冷たい。その上に塗られた鮮血のぬめり。水晶の硬質。腐臭。鋭い爪。もがいている。イキモノじゃない。元は人間。異質。不純。怖い。怖い。怖い…………。
……知ったこっちゃない。
未練が…願いがあるなら応えてやる。
そのためにここまで来たんだ…!
一瞬、光がほとばしり屍人の身体に回した腕が粟立つような感覚。
光が消えるころには腕の中の屍人も、水晶も、屍人が握っていた子どもの左手も消えて無くなっていた。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
どっちも食ったことあるわけないでしょー!?
とにかく、水晶屍人を鳥取城の周りに陣取らせて、惨劇が起こる前に倒せばいいんでしょ、任せなさい!
今回の件はとにかく人を食べられないようにすることが先決、ワイヤーを投げて水晶屍人の服や骨にフックを引っ掛けて釣り上げては、後ろで待っているワニの口の中に放り込んで頭部をバリバリと粉砕していく!
さぁ、入れ「食い」状態だガンガン釣るぞー!
●dead angler:sideカーバンクル・スカルン(クリスタリアンの咎人殺し・f12355)
タックルボックスには仕掛けが沢山。天気よし。風よし。川の水面は真夏の太陽にキラキラ輝いて、まさに釣り日和だ。
*以下副音声にてお送りします、この副音声は権利団体及び実在の信長軍とは一切関係ありません。*
川沿いの木立に沿って続く道。水晶屍人が農民を鳥取城に追い込むために徒党を組み、うじゃうじゃと回遊していた。
「あ゙ぁあ゙あ゙ああ゙」(この辺は大体追い込んだか?)
「あ゙あ゙ぁぁあ」(いや、まだ残ってるはずだ)
「あ゙あ゙あぁあ゙あ゙」(…っめんどくせぇなぁ…せっかくの盆だってのによう)
「あぁあ゙ぁ」(言うな、仕事だ)
「ぁああ゙あ゙ぁぁあ゙」(いたぞ!追えぇ!)
そのうちの一体が先行して見通しの悪い曲がり角に見つけた人影を追いかけようと動き出した時、それは起こった。
「ぁあ゙あ゙!!!」(ぎゃァァァァ!!!)
だるま落としに失敗した時のように両脚が地面に対し平行にスライドして身体を斜めに倒れさせ、そのまま道の脇の茂みに引きずり込まれて行く。
「ぁあ゙あ゙ぁあ」(おい!どうした!?)
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」(ワニがっ…ワニがぁぁ……!)
「あ゙あぁあ゙ぁあ」(ワニ!?何がどうなってる!報告しろ!)
それっきり引きずり込まれていった屍人からの応答は無かった。
残された水晶屍人達は何が起きたか考える脳みそがそもそも干からびているのでそのままぞろぞろと死のカーブへ歩んで行く。
大きな魚群を引いたのか、このポイントの釣果は上々、カーバンクル・スカルンは川べりの樹上で舌なめずりをしながら釣り糸、ワイヤー付きフックを再び投げ入れる。
もちろん釣った屍人達を食べる気は無いが、持って帰っても食べきれない程いるので目前のどこにキャストしても捕まえられた。
今回はむき出しになった肋骨へうまい具合に、グサリ、と刺さり、そのフックはまるでキングサーモンとのファイトの最終場面の様に屍人の身体をそのまま空高く跳ね上げる。
釣り上げた獲物はキャッチ・アンド・リリースなどあり得ない。食うにしても処分するにしても特定外来生物はその場で処理しなくてはいけないのだ。
カーバンクル・スカルンの選択はキャッチ・アンド・クランチ
フックが屍人を導く先には魚籠がわりのワニさんが控えて、その機械仕掛けの大口に獲物を受け入れようと待ち構える。
ゴリっ…ボギン。
その虫歯などあるはずもない健康な歯は先ほど釣り上げた生の屍人の頭骨や水晶を物ともせず噛み砕いた。
「入れ食いだー!ガンガン釣るぞー!」
のんびりアタリ待ちよりも入れ食いの快感を求める性なのか、カーバンクル・スカルンは次々とフックを投げ入れる。
1、2、3、ワニさんの歯に少し小骨が挟まった気がするが4、5、6、7匹。
そろそろ居場所がバレたのか水晶屍人達が真っ直ぐ釣り人の隠れた木へ向かってくる。
カーバンクル・スカルンは目にも止まらぬ早業でタックルボックス、拷問用具の工具箱を片付け、木の上から飛び降り次のポイントへ向かうのだった。
より良い釣果を求めて。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
ボクは遠慮しておきます。じゃなくて。
で、まぁゾンビを殺す常套手段といえば頭部破壊だけど
まだるっこしいよね。
全身纏めてぶっ壊せばもう動かないかとか、これで動かないよねとか考えなくて済むし。
怪力とグラウンドクラッシャーで肉片撒き散るもぐら叩きかわにわにパニックのはじまりはじまりー。
相手から近づいてくるし、あいつら本能だけで来るならフェイントも警戒も何も無いでしょ?
近いのから順に叩いていけばいけるいける。
グラクラの衝撃波で吹っ飛ぶから振った直後に襲われるとかも無いし。
商人?まぁ逃げるでしょ。
●mash HERO side:宮落・ライア(ノゾム者・f05053)
「お〜い!そこの強そうなねーちゃん、助けてくれぇ!」
前方から水晶屍人に追われている農民風の男が二人、大豆の入った籠を担いで走ってきて、その内の白髪混じりが声を上げる。
「ほらっ食いもんやるからよ、ワシの代わりに身代わりなってくれや」
「ボクは遠慮しておきます…っていうか邪魔だから消えろ」
差し出された大豆を突き返す、何故なら宮落・ライアは……
細い体に合わない大剣を担ぎ水晶屍人へ向かい駆け出す。そいつらは手に持った赤黒い肉の塊を口に運びくちゃくちゃと音をたて、時にはそれを見せびらかす様に突き出す。
「それも遠慮しておきます、だってそれ人の肉だろうが!テメェ舐めてんのか!?」
まずは先頭、大きく振り上げられた大剣がそのまま上段から屍人に叩きつけられる。
髪が頭皮ごとズレ落ち白い骨がむき出しになった頭が潰れ、腐った脳漿を噴きださせる。飛び出たモノを置き去りに巨大な質量を持った大剣はそのまま力を失うことなく打ち付けられ水晶を砕きながら最後には地面へ叩きつけられる。
単純な質量と腕力が爆襲したその跡地は料理をしたことのない人間がハンバーグを作ろうとして挽肉まみれにしたボウルの様に陥没してその周囲にも肉片を散らせていた。
宮落・ライアは先程の行為で吹き飛んだ他の水晶屍人に相対しまた大剣を振りかざす、英雄の様に、英雄でありたいと願いながら。
その剣が振り下ろされる水晶屍人は常に先頭を行く者であり続けた。
全てが終わった後、振り返ると、先程の農民が腰を抜かしたのだろうか、彼らが背負っていた大豆が地面に落ち、轍の泥と混ざりあっている。
宮落・ライアはその一粒を拾い上げ、そして棄てた。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
安倍晴明のこれ以上の悪行を
放っておけるものか
いくぞ、全てを拾い上げる為に!!
UC発動
第六感で怨念の塊である屍人の攻撃を見切りながら、念動力で周囲の器物を巻き上げ
屍人の動きを遮り誘導するように落とし壁とする
追い込まれた時にはこちらに向かってるだろうな
……回避しやすいだろう、そこそこ
ルートが分かってるならぶちこみやすい
祈り、破魔を乗せた全力魔法の衝撃波で怨念も邪法もなぎ払う
さっきより容赦ないぞ、持っていけ!!
(エンパイアウォー70戦越えで疲労がたたっているが
それを隠して戦い続ける)
……屍人が苦しんでるから
行くよ、私は
この体が壊れるまで、ね
●moaning star on stage side:鈴木・志野(オレンジ・f12101)
色のない光が、穏やかに収束する。同時に、しばらくの間取り戻された夏の香り、轍の泥に吸い込まれた朝露と名前も知らない草花の匂いが消える。
ふと目を上げると辺りにはたくさんの水晶屍人達が集まっている。
世界に音が取り戻され、耳には確かに鋭く声が聞こえ、次に色が取り戻され、身に纏う銀の鎖は夜明けの星の様に輝いた。
休んだつもりはない、休めないから。
軋む右脚は進み続ける想いを宿し確かに踏み込まれる、既に目前に迫っていた屍人がふるう爪を避け、前へ。闇に囲まれない様に、背中には痛いほど刺さる怨念を感じながら、重みを支える左脚と共に前へと身体を推し進める。
「背負ってやろう、前へ進もう、全て拾い上げるために!」
渇いた喉から振り絞られた声が河原の丸石に吸い込まれ、想いを共に巻き上げる。木立に木霊した言霊は枯れ枝を引き寄せ、河の流れに見えない程の小さな波紋を作り出した空気のさざめきはやがて大きな流れとなりすべてを一つにする。
石と砂と枯れ枝は水によって次々と束ねられ、屍人の進む道を導く塹壕あるいは堤防へと姿を変える。
振り向くと水晶屍人達は一列の流れとなり、さらなる導きを求めていた。
それを見て、夜明けの光に抗う星の輝きを身に纏う決意を強くする。
「せめてもの餞別だ、持っていけ!」
ふるわれる腕は太陽に燃え尽きる瞬間の炎を宿し、流れに留まる邪法と怨念を払うために。
屍人の川の流れを逆流していく衝撃波と輝きの渦はその堤防もろともに多くを打ち砕き、光の飛沫を空高く舞い上げた。
夏の香りとせせらぎの音を取り戻し夕立のように光が降りそそぐ河原にゆっくりと立ち上がる影。
鈴木・志野は霞んだ視界に光を見て次の戦場へ向かい歩き出す、その足取りは重く、遅く、だが確かなものだった。
大成功
🔵🔵🔵