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エンパイアウォー⑩~🐙たこパ🐙

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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「えっさ、ほいさ、ほいさっさ」
 えっちらおっちら。一生懸命に乗組員は船を漕ぐ。
 サムライエンパイアの海を駆ける大船団、そのうちの一隻だ。
 船の名前は『超巨大鉄甲船』。その名に違わずなんとも巨大な船であり、黒鉄に包まれたその姿はいかにも戦用といった様相だ。
 そんな巨大な船を乗りこなすのは、亡霊ではあるが名のある戦士達だ。かつて瀬戸内海を支配したと言われる『村上水軍』の水兵たちである。
 村上水軍といえば戦国時代においては泣く子も黙る大海賊。船のてっぺんに掲げられた村上水軍旗が威勢よくはためき、彼らの威光を周りに知らしめている。
 鉄甲船は海の上をひた走る。手漕ぎでひた走る。
「えっさ、ほいさ、ほいさっさ」
「おらおら亡霊たち、一生懸命漕ぐタコよ〜!南海道を向かってくる幕府軍をOMOTENASI出来るかどうかはお前達にかかっているタコよ〜!休むんじゃないタコー!」
 ぴしり!そんな亡霊たちに向けて、触手をムチのようにしならせ打ち据えるのは、護衛として使わされたオブリビオンたち。骨抜き妖怪として有名な『衣蛸』だ。
 真っ赤な体色、不気味に蠢く触手、そのオブリビオンの姿を一言で例えるなら…そう、マダコだ。
「休んでる暇はないタコよー!ほら、肩もみしてあげるから気張るタコ!」
「えっさほいさー!」
 船の上の雰囲気はとても和やかで楽しそうだ。…どうやら鞭打ちしていたわけではなく肩たたきをしてあげていただけだったらしい。
 優しい。やさタコだ。

 。。。。。。。。。。。。。。。。。

「タコさんが肩たたきしている予知が見えましたわ。」
 グリモアベースにて、かかしのお嬢様なグリモア猟兵、ペパシア・ドロキペがそう呟くと…。そーかそーか。よかったなぁ。…猟兵たちの優しげな視線がペパシアを襲う。
「…違いますのよ!大事件で!す!の!話を聞いてくださいまし!」

 さて、関ヶ原を超え、『第六天魔王』織田信長の待つ魔空安土城へ向かう幕府軍は、山陽道、山陰道、南海道の3手に別れて進軍を開始した。
 そのうちの一つ、南海道での進軍は荒れ狂う海が相手であり、そもそも厳しい進路であると言わざるを得ない。
 そんな茨の道を進む幕府軍を待ち受けるのが、日野富子により派遣された村上水軍の亡霊たちであり、ペパシアがみた予知はこのうちの一隻だ。
「このままじゃ幕府軍さんたちが全滅してしまうかもしれませんのよ!!」
 ペパシアが声を荒らげて力説する。
「みなさまにはこれからこの超巨大鉄甲船に直接乗り込んでいただきますわ!」
 村上水軍をやっつけるのが目的だが、そう簡単には問屋が下ろさないのだ。
 超巨大鉄甲船は怨霊の力により強化されており破壊することは出来ない。船底に穴を開けようと、瞬く間に修復されてしまうのだ。
 同じ理由で村上水軍はどんな攻撃だろうとダメージを受けることは無い。亡霊ならではの強みというやつだ。
「なので、目標は船のてっぺんにはためく村上水軍旗を引きずり下ろすことです! …村上水軍の人達は戦闘力のない亡霊たちですから、力の源である旗を失うことで消滅してしまいますの。そうすれば鉄甲船もただの無力な浮島となるというわけですわ」
 しかし、旗の前には強力な護衛たちが待ち構えている。
 ……タコだ。
 骨抜き妖怪『衣蛸』は見た目はただのタコであるが、歴とした恐ろしい海の妖怪だ。
 骨抜き、とある通り生半可な気持ちでこれに挑むものはぐにゃぐにゃのてろんてろんにやっつけられてしまうだろう。
「みなさま、油断することなく戦闘に挑んでほしいですわ。頑張ってください!」


森の人
 こんにちは、森の人です。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 おもてなし妖怪の衣蛸はあの手この手で皆さんを素敵なたこパに招待してきます。罠です。
 罠に乗った上で真っ向から打ち倒すのもよし。そんなの知るかとばかりにやっつけてもよしです。
 素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『骨抜き妖怪『衣蛸』』

POW   :    随分と凝ってるタコ~。俺たちのようにほぐすタコ!
【タコの保護色能力で全身を迷彩して接近し】【筋肉の塊である8本の触手で相手を捕まえ、】【マッサージで弱らせてからの絞めつけ攻撃】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    カッピングもやってますタコ~。血流良くなるタコ!
【タコの保護色能力で全身を迷彩して接近し】【非常に強力な吸盤で相手を捕まえて、】【カッピングで生気を吸い取り弱らせる攻撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    運動不足じゃないかタコ~?ヨガは身体に良いタコ!
【再生能力を活かして非常にしぶとく接近して】から【筋肉の塊の触手と強力吸盤で相手へ捕縛攻撃】を放ち、【操り人形のように強制的にヨガをさせる事】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:まめのきなこ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

パルピ・ペルポル
マッサージって言われてもね。
ぶっちゃけ私達のサイズだと骨抜きじゃなくて普通に骨砕かれそうなんだけど。
ところで。このタコ、食べられるの?
いや食べたいわけじゃないけどそういえば干しだこってあるそうね?

船に乗り込むのは飛んでいくだけだけど。

なるべくタコには近づかないように、雨紡ぎの風糸や穢れを知らぬ薔薇の蕾で敵の行動を阻害したり、他の猟兵が攻撃する隙を作ったりかしら。
念動力で空中に蜘蛛の巣のように糸を張り巡らせて、そこに引っかかったら偶然の不運なる遭遇を発動して攻撃するわ。
出来る限りタコには近づかない、近づかせないようにするわ。
わたしそういう担当じゃないし。


セゲル・スヴェアボルグ
俺は究極のたこ焼きを求めて旅をしてきた。
そんな時、ある噂を耳にした。それがやさタコだ。
やさタコの身は非常に柔らかでありながら、締まっており、
その味はそこらにいるタコとは比べ物にならないらしい。
俺は文字通り飛んで行った。

乗船しタコを見定めることに夢中になっていた俺は、背後から近付いて来る、もう一体のタコに気付かなかった。俺はそのタコにマッサージを施され、目が覚めたら体が骨抜きにされていた!!

だが、ここで諦めるわけにはいかない。
せっかくたこ焼き器まで持ち込んだんだ。
火は俺のUCで事足りる。
焼いてからタコを入れても問題なかろう。
奴等を切り分ければ此方の勝ちだ。

他に目的があった気がするが……まぁいい。



「おもかじいっぱいタコー!」
 衣蛸の掛け声に従ってぐいーっと右に鉄甲船が曲がる。
「とりかじいっぱいタコー!」
 今度は左に鉄甲船が曲がる。蛇行運転だ。
「…楽しいタコねえ〜」
 思い通りに動く巨大船に乗り込み、船長気分に浸る衣蛸はご満悦だ。
「いいなー…タコ。今度はタコが命令するタコ!」
「だめタコ!これはタコのポジションだタコ!」
 タコたちがうねうねと諍いをはじめたその時を見計らい、空をパタパタ飛んできたパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)は船へと侵入する。
「護衛って聞いてたけど、このタコたちやる気あるわけ? おかげでこっちは楽でいいけどね…。」
 パルピは小柄な体を生かして物陰に隠れると、船上の様子を伺う。
 護衛のオブリビオン、骨抜き妖怪『衣蛸』の姿はおよそ10匹ほど。えっさほいさと船を漕ぐ村上水軍の亡霊たちは大勢いるものの、脅威はほとんど感じられない。
 ふと目線をずらすと、船員たちを労うように肩を揉むタコの姿が目に入り、パルピは顔をしかめる。
「…マッサージって言ってたわね?ぶっちゃけ私達フェアリーのサイズだと骨抜きじゃなくて普通に骨砕かれそうなんだけど…。」
 あの触手には絶対に捕まっちゃ駄目ね。パルピは改めてそう心に誓う。
「ところであのタコ食べられるの?いや食べたいわけじゃないんだけど…」
「うむ。もちろん食べられる。」
「…!?」
 突然割り込んできた声にギョッとして、パルピは後ろを振り返る。
 そこに居たのは蒼き鱗のドラゴニアン。セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)だ。物知り顔で頷く龍の男は、真面目な口調で話しだす。
「俺は究極のたこ焼きを求めて旅をしてきた。…そんな時、ある噂を耳にした。それが、やさタコだ。」
 セゲルはそう言って、熱の篭った目で衣蛸を見つめる。
「やさタコの身は非常に柔らかでありながら、締まっており、その味はそこらにいるタコとは比べ物にならないらしい。」
「ちょ、ちょっと待って!よく分からないんだけど……やさタコ?いや、確かにあれは優しそうなタコだけど、絶対アンタが狙ってるタコとは違うわよ!わかるでしょ!?」
「いや、あれは間違いない。究極のタコ、やさタコだ。俺の嗅覚が間違いないと言っている。」
「その自信はなんなのよ…」
 つい、ワイワイと騒いでしまった猟兵2人。その声に気付いた衣蛸はニヤリと笑みを浮かべると、にゅるりにゅるりと2人に忍び寄る。
「(…しめしめだタコ。一体どこから侵入したのかわからんが…油断してるうちに後ろから襲いかかってOMOTENASIしてやるタコ!)」
 ゆっくりと忍び寄る真っ赤な脅威。その殺気にいち早く気付いたのはパルピであった。
「…ちょっと!後ろ!敵が来てるわ!」
「…そう、究極のタコ焼き。それは柔らかく、なおかつしっかりとした歯ごたえがあって、噛めば噛むほど旨みが溢れ出てくるのだ…。」
「そんなこと言ってる場合じゃなくて!うしろ!うしろ!」
「やさタコ、おお!なんと甘美な響き!」
「…ああもう!」
 2人へと飛びかかってきた衣蛸。
 パルピは羽を羽ばたかせ空中への退避に成功するものの、一方のセゲルはあっという間にもみくちゃにされてしまった。
「ぐわあああ!!」
「お客さん随分凝ってるタコねーー!マッサージしてあげるタコー!!」
 くんずほぐれつ。にゅるにゅるに締め上げられているドラゴニアンを、空中のパルピは渋い顔で見つめる。
「何よそ見してるタコかー!タコはここにもいるタコよ!」
 空中に逃れたパルピであるが、今度は帆柱の上で見張りをしていた衣蛸が落下して襲いかかってくる。
 触手をわきわきと動かしてフェアリーを羽交い締めにしようとする衣蛸であるが…、不思議なことに次第に落下速度がだんだんと低下していき、仕舞いには空中で動きを完全に止めてしまう。
「な、なんだぁ〜?!」
「…絶対にあなた達には近付かない、近寄らせないって決めてたの。雨紡ぎの風糸……既に周りに張り巡らしていたわ。」
 衣蛸が自身の周りをよく目を凝らして見ると、まるで蜘蛛の糸のような強靭な網に、体を完全に捕らえられてしまっていることに気付く。
「…くそー!しかしこんな網ごとき、軟体生物の強みを生かしてすぐに脱出してやるタコ!覚悟するタコ!」
「はぁ…めんどくさいなぁー。……あ。」
「…うん?」
 ふと、パルピはタコの背後を見つめて声を漏らす。……この意味ありげな視線に反応してしまうことこそがユーベルコード、【偶然の不運なる遭遇】のトリガーだ!
 ぼこん!!!空中に浮く衣蛸へと何かが飛来してきて衝突し、体に突き刺さる。
「ぐ…があ…。な、なにが起こったタコ…?」
「あなた運がないわねー。『偶然トビウオが飛んできて突き刺さる』なんて、なかなかないわよ。」
「そんな馬鹿な…タコ…」
 がくり。衣蛸はそうして意識を失うと、瀬戸内の海へと墜落していった。
「骨抜き妖怪…恐ろしい相手だったわ。さて、ドラゴニアンさんは大丈夫かしら…?」

 そして場面はマッサージされる竜人へと移る!
「ターコタコタコ!マッサージで一度骨抜きにしてしまえば、どんな強敵だろうと怖くないタコー!上手くいったタコー!」
 ぐにゃんぐにゃんに揉みほぐされるセゲルは、あまりのショックに意識を失ってしまっている。
 それをいいことに衣蛸はやりたい放題だ。身体中をマッサージして骨抜きにした後、ぐるぐるに全身を締め付けて、そのまま八つ裂きにしてしまおうと力を込める。
 …すると、骨抜きにしたはずの竜人の懐に、何か硬い感触を感じるではないか。さては武器でも持ってきているな。取り上げてしまえ!と、衣蛸はそれを引っ張り出して……悲鳴をあげた。
「げぇえええ〜〜〜!?こ、これはッ!!」
 そう、それは武器などではない。武器ではないが…もっと恐ろしいもの。そう、たこ焼き器だ!!!
「なんてものを持ち込んでいるんだタコ!!信じられないタコ!!」
「…ぐぅっ…た、たこ焼きの気配を感じる…」
「しまった…!たこ焼き器を取り出したことによって高まったたこ焼きオーラが、この男を起こしてしまったタコ!?」
「これは…やさタコ?調理を…調理をしなくては…!!」
「…まずい!!逃げなきゃタコ!!」
 衣蛸が拘束を解いて逃げ出そうとした時にはもう遅かった。セゲルの龍頭から吐き出された灼熱の息吹が、衣蛸の全身を瞬く間に包み込む。
 【朱竜回禄(ブランド・カタストロフ)】と呼ばれるセゲルの得意技だ。セゲルはあっという間にこんがり焼かれた衣蛸をむんずと掴むと、しげしげとその姿を見つめる。
「まあ、焼いてから切り分けても問題なかろう。これにてミッション完了、此方の勝利だな。」
 ついに目的のお宝を手に入れることが出来たセゲル。はたしてこれが本当に目当てのやさタコであったのか?究極のタコ焼きの味とは如何に?
 それはまた別の物語。いつかまた、別の時に話す機会が来るだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大豪傑・麗刃
このわたしは…いわゆる変態のレッテルをはられている…

確かに日ごろはまあ思い当たるフシがなくもない、が、今は故郷であるサムライエンパイアの危機。
今回ばかりはネタ抜きのシリアスでいくのだ(本気?フリ?さあ?)

さて相手は?接近してマッサージして弱らせてから絞めつけ攻撃?
ぬう。なんというネタ的行動!わたしがネタ我慢してシリアスに徹しているというのに!じつにけしからん!

わたしは怒ったのだー!!

(スーパー変態人発動!)

これだけ光ってるからには肩こりなど最初からないのだ!
んでもって右手に刀と斧!左手に脇差2本(と呼ぶにはちょっと大きすぎるバスタード・ヒーローソード)を持ち、敵をタコ刺しにしてやるのだ!!



「タコタコー!敵襲だタコー!」
「ふてえ野郎だ!MOTENASIちまえタコ!」
 にわかに始まった戦闘の気配に呼応して衣蛸たちが騒ぎ始める。全身の触手をうねうねと動かし、おもてなしの準備は万端だ。
「おっもてーなし!それ、おっもてーなし!」
 村上水軍の亡霊たちもやんややんやとはやし立てる。大勢の幽霊たちがリズムよくノリノリで手拍子を打つ様はもはや気味が悪いが、これで鉄甲船の進軍を少しでも止めていられると考えると、猟兵たちの作戦は成功と言えるだろう。
 …そこへ、1人の長髪の男性が現れる。鋭い眼差しでタコたちを見つめ、わなわなと震えるその表情から読み取れるものは……怒り。
 男──大豪傑・麗刃(変態武人・f01156)は口を開く。
「このわたしは…いわゆる変態のレッテルをはられている…」
 常識人とは口が裂けても呼ぶことが出来ない。それが大豪傑・麗刃という者だ。確かに、突飛で奇妙な行動ばかり普段は取っている。そういう自覚はないではない。
 しかし、今回の彼からはそんな要素は微塵も感じられない。
「今は故郷であるサムライエンパイアの危機。今回ばかりはネタ抜きのシリアスでいくのだ…!」
 その武人の真剣な表情に、タコたちは思わず姿勢を正す。この男は真剣な戦いを望んでいる。ならば、それに応じなければ戦士ではない!タコたちは触手を引き締めて気合を入れなおす。
「なのに……」
 麗刃はカッと目を見開く。
「ずーるーいーぞー!!どーしてマッサージだの肩たたきだのネタ的行動ばかり取るのだー!!!わたしは我慢してシリアスに徹しているのに!!!」
 ずこーーーっ!
 衣蛸と村上水軍達は音を立ててずっこける。さっきまでのシリアスが台無しだ。
「けしからん!じつにけしからん!……わたしは怒ったのだー!!」
 ふざけたいのにふざけられない。そんなフラストレーションが麗刃を覚醒させた。怒りによって引き起こされた、【スーパー変態人(スーパーレイクン)】と呼ばれるこの形態。髪が逆立ち、なおかつ全身が金色に輝いていることから、一目で戦闘力が格段に上がっていることが理解出来るととても評判だ。
「うわぁータコ!?金ピカで眩しいタコ!」
「早く誰かなんとかするタコ!」
「お前が行けタコ!」
 金色に輝きだした不審な猟兵。タコたちは眩しさに思わず閉じた目を恐る恐る開け、その姿を確認して再びギョッとした。
 光り輝く麗刃はいつの間に取り出したのか、右手に刀と斧。左手に脇差2本(バスタード・ヒーローソード。でかい。)を装備している。…なんてアンバランスなんだ!
「みんなタコ刺しにしてやるのだ!!」
「…普通に怖いタコー!!」
 思わず絶叫する衣蛸。
「ええい、四の五の言ってても始まらんタコ!みんなで力を合わせて羽交い締めにするタコ!」
 タコのうち一体が呼びかけたその発言に、残りのタコも賛成する。
 そして一斉に飛びかかる三体のタコたち!盲滅法に振り回される4本の武器に切り刻まれながらも、猟兵の体へと密着することに成功する。
「やっタコ!さあみんな、急いでマッサージして骨抜きにしてやるタコ!!」
 もみもみもみ。もーみもみもみ…
「……だ、だめタコ!こいつ、なんだか元からめちゃくちゃ柔らかいタコ!まるでタコタコ!」
「当たり前だー!これだけ光ってるからには肩こりなど最初からないのだ!」
「謎理論すぎるタコー!?」
「うりゃぁあああ!!!」
 …そうして、3匹のタコは粉微塵に蹴散らされた。

 …変態を怒らせてはならぬ。
 今でも瀬戸内海に伝わる昔話だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エスタシュ・ロックドア
タコだなぁ……どー見ても、正真正銘タコだなぁ……
いかん、フリント持つ手から力が抜けそうだぜ
気合い入れていかねぇと

いやまぁ、うん、焼くわ
うっかりもてなされかけて至近距離に寄ったトコを【カウンター】
『群青業火』の【範囲攻撃】でこんがり焦げ目がつくまで焼く
粉がねぇからタコ焼きにゃならねぇがな
味方は焼かねぇ様に適度に消火はしておくぜ
焼いたら切り分けるか
【怪力】でフリント振るって【なぎ払い】だ
業火で熱してるからタコが粘液でぬるってても鉄板焼きにしちゃる

俺の骨はダチにくれてやる事になってんだ
テメェらに抜かせる訳にゃいかねぇよ



「タコだなぁ……どー見ても、正真正銘タコだなぁ……」
 エスタシュ・ロックドア(碧眼の大鴉・f01818)は、遠目でタコたちを眺めてため息を吐く。
「…いかん、フリント持つ手から力が抜けそうだぜ。気合い入れていかねぇと…」
 エスタシュは手から滑り落ちそうになった鉄塊剣を握り直す。ああいった手合いは気が抜けて困る。
「…何を達観して見てるタコかー!後ろががら空きタコー!!」
 そこへ、突如背後から衣蛸が不意打ちだ!!触腕を槍のように伸ばして、エスタシュ目掛け飛来してくる。戦場では一瞬の油断をも許されないのだ。
「お前ら一人残さずOMOTENASIだタコー!」
「…せめて静かに不意打ちしてくれよな…。」
 どっこらしょ。鉄塊剣の『フリント』を担ぎ直すと、エスタシュは飛びかかってくる衣蛸の軌道上にそっと配置する。このまま飛びかかってくるのなら真っ二つだ。
「…あっ、待ってくれタコ!それはだめタコ!…あべしっ!」
 真っ二つになった。
「……酷いタコ!カウンターなんて信じられないタコ!」
 端で保護色を使い様子を伺っていた衣蛸が思わず非難の声を上げる。
「いいから、来るなら真っ向から来いよ。こんがり焼いてやっからよぉ。…粉がないからタコ焼きにゃならねえがな」
 自身への非難を一蹴し、エスタシュは周りのタコを挑発する。狭い船上とはいえ、ゲリラ戦を仕掛けられちゃあ面倒だ。このまま保護色で隠れられるのは不本意である。
 しかし、先程の一撃を恐れたのか、隠れているタコ達はなかなか近寄ってこない。
 ならば仕方ない、やりようはいくらでもあるのだ。隠れている敵ごと焼き尽くすべく、エスタシュはユーベルコードを始動させる。
「此処に示すは我が血潮、嘆かわしくも誇るべき臓腑の火。――さあ、燃えろ、焼けろ、灰になれぇ!」
 【群青業火(ブレイズアズール)】。エスタシュの全身に刻み込まれる無数の傷跡から、途端に群青色の業火が吹き出す。瞬く間にそれは辺りを包み込み、船上は火の海となった。
「あちちちち!!みんな!海へと飛び込むタコ!」
「…飛び込んだところで、俺の炎はそう簡単に消えやしねえよ。……しかし、なるほど…。敵はともかく、船の方は無敵だなこりゃ」
 群青業火により燃え盛る鉄甲船。しかし燃え落ちることもなく、焼けたところから直ぐに修復されていく。村上水軍の怨念の力だ。
「旗の方を落とさなきゃダメってこったな…」
 エスタシュは帆柱のてっぺんにはためく、村上水軍の旗をチラリと見る。あそこまで自身の炎が届くかどうか…。
「あちちちち!そうはさせないタコよ!!」
 エスタシュが思考している隙に、タコ達はぬらぬらと接近してきていた。全身の至る所がこげこげで、香ばしい匂いが辺りに漂っている。
「ここまで近付けばこっちのもんだタコ!お前の武器、でっかすぎて簡単には振り回せないだろう!接近戦なら、分はタコらにあるタコー!」
「ハッ!そうかよっ!!」
 エスタシュは万力の如き力を込めて『フリント』を持ち上げる。近付いてしまえばこっちのもの?……それはこちらのセリフだっ!!
 群青色の業火で熱せられた鉄塊が恐るべき力で振り回される。空気を焼きながらなぎ払われた必殺の一撃は、衣蛸の想像を遥かに超えていて…肉体を容易く断ち斬った。
「た、タコ…、骨抜きにするどころか…触れることさえ…」
「…俺の骨はダチにくれてやる事になってんだ。テメェらに抜かせる訳にゃいかねぇよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

六六六・たかし
【アドリブ歓迎】

肩たたきをするタコ…戦争中だっていうのに気が抜けるような内容だな。
だが、放っておいてはいけない類の奴らなのは理解した。
さっさとぶっ倒して酢の物にでもしてやるか。
まぁ、俺はイカの方が好きだから食わんが。

【POW】

保護色で近づいてくるタコは《第六感》《視力》で見つけ出す。
襲いかかるタコたちの触手を《空中浮遊》で逃れながら
身代わりとして「かかし」を置いていく。(技能《かばう》)
「かかし」ならばいくらマッサージしようとも人形だから関係ないしな。
今回「ざしきわらし」と「まなざし」からは出演NGが出てしまった…生理的に無理らしい…

仕方あるまい…

喰らえ!デビル!たかし!!ストラッシュ!!!



「俺はイカの方が好きだ。」
 六六六・たかし(悪魔の数字・f04492)は衣蛸にそう言い放った。
「…保護色で隠れているはずのタコたちをどうやって見つけたタコ?…それはいいとして、最初に言う言葉がよりにもよってそれタコ?」
「当然。なぜなら俺はたかしだからな。」
「意味不明タコ…。だが、不用意にタコたちに近づいてきたのが大間違いタコ!お前は既に!タコたちの触手の結界の中にいるタコ!」
 そう。既にたかしは、保護色で身を隠していた衣蛸たちの触手の射程距離内に足を踏み込んでしまっていたのだ。
 四方八方から衣蛸の触手が伸び上がり、たかしに向かって襲いかかる。ぐるぐる巻きに巻き付き、脱出不可能な触手の檻。囚われてしまった囚人は、骨抜きにされる運命からは逃れられない…。
「ターコタコタコ!捕まえたタコ!これでお前も骨抜きだタコー!」
「…残念だが、それはたかしではない」
「…なにっ!?」
 完全に触手に捉えたはずの猟兵が、いつの間にか自分たちの背後に立っている。衣蛸が恐る恐る触手に捉えている代物を確認してみると…それは、「かかし」であった。
「たかしじゃなくかかしタコっ!?」
『たかしどーん…いくらオラがかかしだからってこれはご無体がすぎるだよ〜…』
「仕方ないだろう。『ざしきわらし』も『まなざし』も来れないって言うんだから」
『…それ、理由聞いただか?』
「『生理的に無理』、だそうだ」
『そんな〜』
 コミカルに掛け合いをするこの人形こそ、六六六・たかしの頼れる相棒、デビルズナンバーかかしだ。
 衣蛸のマッサージから開放されたかかしは、悲しそうな表情でふらふら揺れる。
「…なんだかわからんタコけどだったらもう一度捕まえるだけタコよ!」
「無駄だ。お前らの位置はもう既にわかっている。2度も捕まるたかしではない」
『…オラももう捕まらないだよー!本気でいくかんなー!』
 空中を歩き触手をひょいひょいと避けるたかしと、大柄な体型を生かしてタコたちと大立ち回りを演じるかかし。
 せっかく一度は上手く行きかけたマッサージなだけに、衣蛸たちは焦れったくぬらぬらと暴れている。
「タコー!!腹立つタコ!こうなったら連携攻撃タコよ!みんな、合体タコーー!」
 合体!その号令とともに、タコたちはどんどん上に積み重なるようにして集まっていく。そしてそのうち、衣蛸のタワーのようなものが出来上がった。
「空中を歩こうと、これなら攻撃が届くタコ!覚悟するタコー!」
「…やれやれ、せっかくの集団戦の強みを投げ捨ててしまうとは。所詮タコはタコだな。」
 そう、集まってきたということは一掃が可能だということ。たかしはそう呟くと、ついに腰からたかしブレードを抜く。
 …たかしブレードが出たということは、やることはひとつ。そう、【六六六悪魔の斬撃(デビルタカシストラッシュ)】だ。
「な、なんだタコ!いくら強そうな武器を構えようとも、合体したタコたちには勝てんタコ!」
「そうか。ならば試してみよう」
 さあ、皆さんご一緒に!
「デビル!!たかし!!ストラーーーッシュ!!」
 一刀両断!!!
「ぐわぁぁぁああああ!!!」
 真っ二つに切り落とされる衣蛸のタワー。
 そして、一呼吸置いた後、ちゅどーんと土煙を上げて爆発した。
『骨抜き妖怪・衣蛸…。恐ろしい敵だっただ…』
「ああ。俺がたかしじゃなければ危うかっただろう」
 たかしと衣蛸との戦闘は終わった。だがしかし、気を抜くわけにはいかない。六六六・たかしの戦いはこれからも続くのだ。
 戦士に休息などないのだから…。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポク・ョゥョゥ
わーい海だー
水着で行くよー

お船に乗るのーどしよー?
そだー、ぽくっきー食べるよー
もりもり食べてーいっぱい増えるのー
よーし、沢山のぽくで攻め入るおー

犬かきならぬーぱんだかきで泳ぐよー
船についたらーぺったりお手手くっつけて登るのー
攻撃来たらゆるっと形変えて避けるよー
ぽくはちょっと柔らかくてくっつきやすいぱんだなのー
あがめよー

たこたんだー🐙ぽくこってるかなー?
たこパお願いしまーしゅ
くすぐったいぉー。何だかもっと柔らかくなる気がするのー
ありがとなのーってにゅるんと脱出するよー
倒す時はーぽく達みんなで一斉にー
ひゃくれつぽくぱーんちー

後はお船でぽよぽよはねてー
船員たんを足止めしながらー旗を取りに行くのー



「まずいタコ!このままじゃ全滅だタコ!」
「日野富子様に怒られるタコー!」
 とうとうたった2匹にまで数を減らしてしまった衣蛸。
 どうしてこうなった。考えてもタコの知能では答えは出ない…。こうなったら勝てないまでもほんの少しでも幕府軍、その主力たる猟兵たちに一矢報いてやらなければ。衣蛸がそう考えた時だった。
「わーい船だー。やっと着いたー」
 ぱしゃぱしゃと音を立てて鉄甲船に近づいてくる存在がいる。その声に気付いた衣蛸二匹は思わず身を乗り出してキョロキョロ海を眺めると…いた。
 黒いパンダめいた謎の生き物。ブラックタールのポク・ョゥョゥ(よろしくなの〜・f12425)だ。可愛らしい浮き輪を装着し、ぱしゃぱしゃと犬かきならぬパンダかきで近づいてくる。実に可愛い。
 ……そんな生き物が、海を埋めつくしている。
「お船のるのー?」
「どうやってのるのー?」
「どしよー」
「どするのー?」
「お手手をぺったりお船につけて登ればいいのー」
「うんしょ、うんしょ」
 たくさんのくろぱんだたちが船を取り囲み、みるみるうちによじ登って侵入してくる。
 流石の骨抜き妖怪『衣蛸』と言えど、その光景のあまりの異様さには絶句してしまい、言葉も出ない。
 夢でも見てるのだろうか?衣蛸は思わず現実逃避をしそうになるが…、夢でない証拠に、ついにポク・ョゥョゥは鉄甲船を乗り越えてきて、タコの目の前に降り立った。
「あ、たこたん!よろしくなのー!あがめよー」
「……な、な、な、なんなんダコ!?なんでたくさんいるんだタコ!?」
「ぽくっきー食べて増えたのー。もりもり食べたらー、いっぱい増えるのー」
 ぽくっきーなるもので増殖し、ぞろぞろと船の上に勢揃いした大量のくろぱんだ。たった2体の衣蛸では、もはやどちらが集団戦を挑んでいるのかわかったものじゃない。
「(こんな状況でどうやって戦えばいいんだタコ!!)」
「(いや、相棒、待つタコ!タコにいい作戦があるタコ!)」
 ごにょごにょごにょ。何やら相談を始める二匹の衣蛸。やがて考えがまとまったようで、衣蛸はポクの群れへと再び向き直る。
「…タコタコタコ!お客様よく来てくれたタコ?今日は精一杯OMOTENASIさせてもらうタコ!マッサージ、楽しんでくださいタコ〜!」
「腕によりをかけて揉ませてもらうタコー!」
 初心に戻って騙し討ちをするしかない。二匹の結論はそれであった。とにかく何としてでも相手を骨抜きにするしかないのである。骨抜き妖怪には骨抜きしかないのだから…!!
「まっさーじ?ぽくこってるかなー?」
「揉んでみないとわかりませんタコよ〜?さあさあ皆さん集まって!タコには腕がたくさんありますから、いっぺんにマッサージさせてもらいますタコよー!」
「わーい、たこパお願いしまーしゅ」
 そこからの衣蛸の行動は早かった。周りにわらわら集まっているポグたちを掴んでは揉み、掴んでは揉み。とにかくマッサージをし続ける!そうすればいつか活路が見出せるはずだ!
「うぉおおおお!!フルスロットルタコー!!」
「くすぐったいぉー」
「はあっ!はあっ!全然マッサージ出来てる気がしないタコ…!全然揉みごたえがなくて…まるで海を相手にしているみたいタコ!」
「そんなに引っ張ったら伸びるのー」
「なんのこれしき…こちとら天下の骨抜き妖怪だタコ!持てる技術を全て振り絞るタコよ!!うぉおおおお!!」
 …衣蛸のマッサージスキルは伊達ではなかった。その熟練の腕は確かにポクに通用しており、結果としては確かにポクの群れをぐにゃんぐにゃんのへにょんへにょんにすることに成功していた。
 …まあ、それがポクにとって弱体化であるかどうかは別の話である。
「何だかもっと柔らかくなった気がするのー」
「はあっはあっ…やりきったタコ…。でもこれできっと無力化できたはずタ……コ…?」
「たこたん、ありがとうなのー」
 触手によって完全に拘束し無力化出来ていたはずの相手が、にゅるん、という音とともにいとも簡単に脱出する。
 骨抜き妖怪の天敵は、骨無し生物であった。ただそれだけの話である。
「そ、そんなー!…タコ〜〜〜…」
「それじゃ、倒しまーしゅ。ひゃくれつぱーんち!」
 その号令に呼応して大量のポク達が拳を掲げると、タコに向かって一斉に突撃する。パンチ…というか圧倒的な質量による、もはや蹂躙である。
「こんなはずではなかっタコーー!!」
 押し潰されたのか、跳ね飛ばされたのか。とにかくタコは星となった。
 こうして護衛が一人残らずいなくなったということで、ポクたちは安心して先へといざ進む。目指すは帆柱のてっぺん。村上水軍の旗だ。
 のぺりのぺりとマストをよじ登ると、まもなくポクは旗を手に入れた。
「ゲットしたよー!」
 ぽよんぽよん!大量のポク達が跳ねて喜んだ。

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 旗を手に入れたポクがくるくる宙返りをしながら甲板へと飛び降りる頃には、気付けばもう、村上水軍の怨霊たちの姿はどこにもなかった。成仏してくれたのだろう。事態を知るものは胸をなでおろして喜ぶ。
 猟兵たちの活躍により、こうして巨大鉄甲船の脅威は消え去った。
 しかし、エンパイアウォーはまだまだ続くのだ。頑張れ徳川軍!頑張れ猟兵!
 とにかくこれにてたこパ、終了!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月16日


挿絵イラスト