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エンパイアウォー⑧~死人憑

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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●胡乱にして現実
 娘が山菜摘みから戻った時、村で何が起こっているのか理解できなかった。
「来るな、来るなぁああ!!」
 いや。目に入ったモノ、耳に入る音を、理解したくなかったのかもしれない。
 ――ぁあああああ。
 そんな、胡乱な声を出しながら。腐ったヒトガタ達が、村の仲間を追い回しているなんて信じたくなかったのだ。
「ぎゃあああああ!!」
 悲鳴のした方へと視線を向ければ。運悪く転んでしまった者の腹に、ヒトガタが喰らいついていた。
 喰い千切られた腹の肉からは、血が溢れて。
 甲高い悲鳴と、見捨てろという怒声が聞こえた。それを気にも留めず、ヒトガタは腑を貪る。
 ――おぁあああ。
 娘の背からも、その胡乱な声は聞こえた。
 呆けていた娘の腕を、ヒトガタは腐り爛れたその腕で掴む。
 噎せ返りそうな腐臭とぐちゃりとした感触が、娘を我に返した。
「うああああああああああああ!!」
 娘は叫び、逃れようと必死に身を捩るも。
 ヒトガタは尋常ならざる力で、娘を何処かへと引き摺って行く。

●死して屍、独りで歩く
 グリモアベースの片隅。長い黒髪を首の後ろで結った青年が、頭痛に耐えている様な表情をしながら猟兵達が集まるのを待っていた。
 青年――飛藍は、猟兵達が集まったのを視界に捉えると口を開く。
「ああ、来たか。お前達の尽力で、魔空安土城へ向かう幕府軍は死者なしで関ヶ原に集結することが出来た」
 ここからは関ヶ原で待ち受ける信長軍を突破し、山陽道、山陰道、南海道の三手に別れて進軍することになる。
 しかし関ヶ原を突破できたとしても、三手に分かれたその先で待ち受ける魔将軍の軍勢を打ち破り、最低でも一万以上の幕府軍を魔空安土城に到達させねばならない。

「前置きはここまでにして、本題に入る。陰陽師『安倍晴明』が、強化された水晶屍人を量産しようとしている。お前達には、それを阻止しに向かってほしい」
 山陰道の防御指揮官である安倍晴明は。奪った鳥取城を拠点とし、幕府軍と猟兵達を壊滅させる準備を行っていると飛藍は説明する。

「……鳥取城は、かつて飢え殺しが行われた場所だ。其処には恨みの念がこびり付いている。晴明はこの城に近隣の農民達を集め、閉じ込め……飢え死にさせる気だ」
 飛藍はそこで一度溜息をついて、続ける。
「そしてその亡骸を、水晶屍人へと生まれ変わらせる」
 恨みの念の中で、死すれば。
 それは煮詰められたように、更に濃縮される。
 そうして生まれた水晶屍人は、奥羽の戦いで使用された水晶屍人の十倍以上の戦闘力を持つ。
 この水晶屍人が量産されてしまったならば。山陰道を通過する幕府軍を殺戮し尽くしても、有り余る戦力となってしまう。

「これから向かって貰う先は、鳥取城近隣にある農村だ」
 其処では水晶屍人達が村を襲い、村人達を鳥取城へと連れ去ろうとしている。それを阻止し、水晶屍人を撃破するのが今回の目的となる。
「村を襲う水晶屍人は、強化された水晶屍人だ。数は十ほどと、多くはない。だが少ないからと言って油断はするな」
 十ほどの数でも、猟兵達と渡り合えるほどに強化されている。気を抜いたら痛手を負うだろう。
「……止めてこい」
 飛藍は振り絞るように、最後にそう言って。猟兵達を送り出した。


雪月キリカ
 はじめまして、もしくはまたお会いしました。雪月です。
 生まれ、生まれ、生まれ、生まれて、生の始めに暗く、死に、死に、死に、死んで、死の終わりに冥し。
 とはいえ、勝手にその輪廻を止めるのは。許されることではないと。

 ※このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 少し補足を。
 ざっくりと今回の依頼を説明するならば、村を襲う強化水晶屍人達を撃破する事が目的です。
 村が襲撃されている途中に介入していただくことになります。

 村人は自力で逃げようとするので、避難誘導などは特に必要はありません。
 しかし、襲われかけている村人はそのままにはしないほうが良いでしょう。
 強化水晶屍人達とは真面な会話は行えません。ただ呻くだけです。
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第1章 集団戦 『水晶屍人』

POW   :    屍人爪牙
【牙での噛みつきや鋭い爪の一撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    屍人乱撃
【簡易な武器や農具を使った振り回し攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    水晶閃光
【肩の水晶】の霊を召喚する。これは【眩い閃光】や【視界を奪うこと】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:小日向 マキナ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

もう襲撃が始まっているって!?
ちくしょう、これ以上被害を広げる訳にはいかねぇだろうがよ!
兎にも角にも迅速に、だ!
久々のフルスロットルで暴れまわる!
転移直後からカブに『騎乗』し、
『操縦』テクを駆使してそのまま襲われかけている村人の所へ急行。
屍人から掻っ攫うように助け出し、
出口まで連れていく。
その後は救助と戦闘、両方やらなきゃな!
【人機一体】でカブを着込み、屍人どもをメーザーで焼き払う!
近付いてきた奴の攻撃は『見切り』、『グラップル』で応戦さ。

アンタらに恨みはねぇ、むしろ哀れに思ってる。
だがな、だから業を重ねさせる訳にいかねぇ。
おとなしく荼毘に付されてくれよ……!


亜儀流野・珠
死は安らかであるべきだ。弄んで良い物ではない!
セイメイか…見つけ出して蹴飛ばしてやる!
だが今は目の前のこれを何とかしないとだな。

先ずは村人達の安全確保だな。
「屍人達よ俺を見ろ!お前達の相手はこの珠だ!」
「襲われている者は声を上げよ!すぐ向かう!」
【パフォーマンス】で注意を惹き付けたら走りと「風渡り」を併用し近くの者から薙刀「狐の爪」で斬っていく!
空を蹴り攻撃を避け飛び込み、攻撃後の隙を狙い斬り掛かる!
もしくは横に背後に飛び込み回り込んで斬る!
隙が無ければ肩の水晶蹴飛ばしてバランスを崩してやろう!

斬った者達にはせめて祈りを。
今度こそ安らかに眠るといい。



「ちくしょう、これ以上被害を広げる訳にはいかねぇだろうがよ!」
 兎にも角にも迅速に行動を起こさなければと、転移直後に多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は相棒たる赤いカブを駆る。
 スロットルは全開。そのままスピードを落とさず村を駆ければ、水晶屍人に襲われている村人を瞳に捉える。
 多喜はその方向へとハンドルを切ると、そのまま一直線に突き進んで。
 そして今にも喰いつかれそうになっていた村人を、水晶屍人から奪い取るようにして助け出す。
『あぁー……』
 その場に取り残された水晶屍人は、何が起こったか理解していなかった。だが、すぐに聞こえた声に反応し、その方へと光のない目を向ける。
「屍人達よ俺を見ろ! お前達の相手はこの珠だ!」
 それは珠(狐の恩返し・f01686)の声だった。その声へと、三体の水晶屍人がふらふらと引き寄せられる。
『うぁああ……』
『ぁー……』
 死とは安らかであるべきもので、弄んで良い物ではないと珠は思う。このようなことを行う晴明は、見つけ出したら蹴飛ばしてやろうと決めて。
 だが今は、目の前の水晶屍人を何とかしなければならない。引き寄せられた水晶屍人は、珠を囲むようにしてにじり寄っていた。
 けれど、それとは別に。人の足音とは違う音がそこに近づいていて。
 ――ブォオオオオン!!
『ゔぁああっ?!』
 その音と共に。赤いカブが、水晶屍人の一体をぎゃりっと轢いた。
 水晶屍人をカブの下敷きにしながら、「少し遅れちまったか?」と、カブの主である多喜は言う。
 多喜は助け出した村人を安全圏まで送り届けた後、戻ってきたのだ。
 珠は「そんなことはないぞ」と言いながら、下敷きになり動けぬ水晶屍人に、しれっと薙刀を突き刺す。轢かれて刺されて力尽きた水晶屍人は、灰になり崩れ去る。これで此処に残る水晶屍人は二体となった。
 残る水晶屍人は、いつの間にか鍬をその手に握っていた。それをひゅんひゅんと、屍人とは思えない速度で振り回し二人へと近付いてゆく。
 それを見た珠は攻撃を喰らってしまう前に早々に片付けなければなと、宙を蹴り水晶屍人の一体の背へと回り込んで。
「今度こそ安らかに眠るといい」
『ゔぁ?』
 祈りをこめて、斬と、薙刀で大きく切り裂いた。
 ぐらりとよろけた身体に、追い打ちをかけるように薙刀を突き刺せば、水晶屍人は灰となり風に浚われる。
 一方、多喜の方は『人機一体』でカブを身に纏うと、その身に降りかからんとする鍬を見切り叩き落す。
『ゔぁああ……』
 バランスを崩し、前のめりになる水晶屍人。多喜はその背後へと回り込み、メーザーを向ける。
「アンタらに恨みはねぇ、むしろ哀れに思ってる」
 だが、だからと言って。業を重ねさせる訳にはいかないのだ。
「おとなしく荼毘に付されてくれよ……!」
 放たれた不可視の熱線は、水晶屍人を真二つ焼き切る。別たれたその身体は、地に着く時には灰となっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マクベス・メインクーン
次から次へと、ったく…やってくれるぜ
屍人全部ぶっ倒してやるよっ!

氷の精霊を魔装銃に宿して
襲われている人から助けていくぜ
敵へ【先制攻撃】で氷【属性攻撃】【範囲攻撃】【全力魔法】で
足を狙って攻撃して凍らせ動きを妨害する
その間に村人が逃げてくれりゃ後は大丈夫だろ
敵からの攻撃は【フェイント】で回避
回避出来ない攻撃は風の【オーラ防御】で逸らす
敵のUCには水の【オーラ防御】で光を屈折させて防ぐ

その間に小刀2本に持ち替えて敵の懐に飛び込んで
炎【属性攻撃】でUCを使用
【鎧無視攻撃】で中身から燃やし尽くしてやるよ

※アドリブ・共闘OK



「次から次へと、ったく……やってくれるぜ。屍人全部ぶっ倒してやるよっ!」
 魔装銃に氷の精霊の力を宿しながら、村の中をマクベス(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)は駆ける。
 すれ違う村人達とは反対に進んだその先。其処には、水晶屍人に腕を掴まれ、引き摺られる娘の姿が見えた。
 マクベスは水晶屍人をぎりと睨むと、その足を狙い絶対零度の弾丸を放つ。命中した弾丸は水晶屍人の足と地を、氷で繋ぎ止めた。
『ぁあー……?』
 水晶屍人は、何が起こったかを理解することは出来なかったけれども。自身がその場から動くことが出来ないとは、身を捩っても動けなかった故に理解出来た。
 その隙をついて娘は腕を振り払うと、脱兎の如く駆け出す。娘はマクベスとのすれ違いざまに、小さく礼を言った。
『うぁー……』
 突然。のそりと、近くの家屋からもう一体の水晶屍人が現れる。騒ぎを聞きつけたのだろう。
 その水晶屍人は身体に生える水晶を輝かせ、マクベスの視界を奪わんとする。だが瞬間的に、マクベスは水のオーラを纏うと、光の屈折率を変え反射させた。
 それは、瞳に光のない筈の水晶屍人の視界を白く奪う。その隙にマクベスは魔装銃から金と銀の小刀に持ち替えると、それらに炎の精霊の力を宿す。
 その白が明けぬ内に。家屋から出てきた水晶屍人へと一気に距離を詰めると、斬撃を喰らわせた。
『ゔぁああー……』
 注がれた炎の力に内から焼かれ、水晶屍人はぼろぼろと炭化して崩れる。
「次はオマエの番だな」
 崩れ行くそれには目もくれず、マクベスはもう一体の水晶屍人へと向き直ると。
 二つの刃を握り直し、駆けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
※連携・アドリブ歓迎

まったく、魔軍将ってのはどいつもこいつも趣味の悪い真似をするねえ。
さっさと目論見ごと叩き潰してしまおうか。

まずは村人の救助が先かな。
襲われてる人が居たら、屍人に石を投擲して気を引こうか。

こいつら知能は低そうだし、簡単な罠でも引っかかりそうだね。
出糸突起から蜘蛛の糸を出して、足を引っかけて転ばすような罠を手早く作っておくよ。
罠に引っかかって体勢を崩したらそのまま掴んで、
罠を避けてきたら噛みつきや爪を見切ってカウンターで【崩天地顎】を叩きこむよ。

死体を操ってるのってこの水晶かな?
叩きつけるときは、水晶が砕けるようにやってみようかな。



「まったく、魔軍将ってのはどいつもこいつも趣味の悪い真似をするねえ」
 民家の屋根の上で、間延びした調子で呟くペトニアロトゥシカ(混沌獣・f07620)。
 さっさと目論見ごと叩き潰してしまおうと地へ降り立つと、先ほど屋根の上から見つけた水晶屍人の居た方角へと向かう。
 水晶屍人が居るということは、村人を追っているということで。
『ぁああー……』
 呻く声のする方へと駆け付ければ、やはり水晶屍人は村人を追い回していた。
 ペトニアロトゥシカは足元にあった石を拾い上げると、水晶屍人へと向け投げつける。
 石はその背へと当たって。水晶屍人はくるりとペトニアロトゥシカの方を振り返ると、引き寄せられるように近付いてゆく。
 わざとついて来させ、曲がり角を曲がると。急ぎ出糸突起から蜘蛛の糸を放出し、向かいの民家の柱と自身側にある民家の柱の間に糸を張る。簡易的な罠だが、水晶屍人はおそらく引っかかるだろう。
『ぁああー……ゔぁっ?!』
 それは的中する。水晶屍人は見事に罠に掛かり、思い切り転んだのだ。
 すかさずペトニアロトゥシカは、転んだ水晶屍人の腕を掴み上げる。
「さぁて、いくよー」
 そして喰いつかれるよりも速く、民家の壁に思い切り叩き付けた。
 壁は砕け、水晶屍人の背に生えた水晶にはヒビが入り割れる。高破壊力のその一撃は、水晶屍人を灰に還すには十分すぎる威力であった。
『ぁー……』
『ああー……』
 轟音に引き寄せられたのか、他の水晶屍人達がひょこりと顔を出してきた。
 とはいえ、容易に罠にかかる事が分かった。上手く引き寄せて、同じように転ばせれば倒せるだろう。
 ペトニアロトゥシカは誘うように、また曲がり角に消えるのだった。


 暫くした後には。村を跋扈していた水晶屍人達の姿は消えていた。
 この村での猟兵達の役割は、もう終わりだ。
 エンパイアの戦争も折り返し地点に来たところであるが、未だ気を抜く事は出来ない。脅威はまだまだ残されている。
 それらを潰す準備をすべく、猟兵達は急ぎ足で村から離れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月15日


挿絵イラスト