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エンパイアウォー⑦~煤を払え!

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー

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 軍神車懸かりの陣の一角、黒い物体が宙を漂っていた。
『…………』
 ぽふぽふとした掴み所のない身体、ややジト目気味の大きな目ーー上杉精鋭部隊、『ススワタリ』。
 巨大な屋敷を召喚し、近づくモノに体当たりし。
 ススワタリは敵を、周囲を、その全てを煤で真っ黒に変えていく……。


「幕府軍は東海道方面軍、中山道方面軍、共に被害を出さずに済んだそうだよ。……みんなのおかげだね」
 そう言うと、レコ・ジェヒ(ケットシーのビーストマスター・f00191)は猟兵たちを見回した。
「幕府軍は関ヶ原に集結。その後、山陽道、山陰道、南海道の三方面に分かれて島原を目指す……」
 しかし、そこにはこれまで以上の苦難が待ち構えている。
「多くの苦難が予知されてるけど、みんなには関ヶ原の信長の軍勢……上杉謙信の精鋭部隊への対応をお願いしたいんだ」
 上杉謙信は『軍神車懸かりの陣』という陣を敷き、幕府軍を蹂躙しようとしている。
「この陣はね、陣を組む者たちの防御力を上げて尚且つ凄まじい回復能力を付与するんだ。陣の中心には上杉謙信本人がいるんだけど、陣そのものを自分が復活するための時間稼ぎに利用してて、この陣を破らないと上杉謙信を倒せない」
 幕府軍を守るためにも、上杉謙信を倒すためにも、軍神車懸かりの陣の一角を崩してほしいのだ、とレコは続ける。
 相手は黒い煤の塊のようなオブリビオン、ススワタリ。普段はいわゆる雑魚と呼ばれる部類のオブリビオンだか、陣の効果を得て驚くほど強化されている。強化された防御を貫けても、中途半端な傷ではあっという間に回復されてしまうだろう。
「オブリビオンのボスとはまた違うけど、例えば一撃で倒せるような物凄く強力な攻撃を叩き込むとか、回復が追いつかないくらいの連携攻撃を仕掛けるとかしないと、倒せないと思う……」
 考えながら呟いて、レコは改めて猟兵たちに視線を向けた。
「とにかく、一体一体確実に倒すことを考えて。たかが『ススワタリの群れ』なんて考えてたら、痛い目をみる……だから、どうか気を付けて」


乾ねこ
 乾ねこです。
 こちらは「エンパイアウォー⑦軍神車懸かりの陣」のシナリオとなります。
 相手は『ススワタリ』。陣により防御力アップと自動回復(特大)の効果を受けています。
 一体一体を確実に仕留められるよう、色々と工夫してみてください。
 ススワタリの数は数体です。シナリオが成功すれば全個体撃破完了となります。

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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 軍神『上杉謙信』は、他の魔軍将のような先制攻撃能力の代わりに、自分の周囲に上杉軍を配置し、巧みな采配と隊列変更で蘇生時間を稼ぐ、『車懸かりの陣』と呼ばれる陣形を組んでいます。
 つまり上杉謙信は、『⑦軍神車懸かりの陣』『⑱決戦上杉謙信』の両方を制圧しない限り、倒すことはできません。
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 期限までに完結させたいと思っています。頑張りますので、ご協力いただければ幸いです。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております。
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第1章 集団戦 『ススワタリ』

POW   :    まっくろくろすけの通り道
【対象が煤だらけになる集団無差別体当たり 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    かつての住処
【ススワタリがかつて住んでいた巨大な屋敷 】の霊を召喚する。これは【扉から射出した大量のミニススワタリ達】や【窓から射出した巨大ススワタリ】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    煤だらけ
【対象に煤が付くフンワリあたっく 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を煤で黒く塗りつぶし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:灰色月夜

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クラウン・メリー
ちょっぴり戦うの大変だけど、平和を取り戻すために頑張るよ!

ほらほら、皆こっちに来て来てー!!
目立つように黒剣でジャグリングしつつ大玉に乗って芸をするよ!

敵がこっちに来たらわざと攻撃を喰らうよ!
げほげほっ、煤が沢山ついちゃった!俺もススワタリになっちゃった?
えへへ、なんてね?わざと当たりにいったんだよ!

フリチラリアの花びらが沢山舞っている中から違うお花が
敵に向って爆発するよ!
【時間稼ぎ】をしつつ、花びらの中から火の輪を出して敵達を拘束するよ!
熱いかもしれないけど我慢してね?

【傷口を抉るように】黒剣で【二回攻撃】して回復させない様に
【早業】で【鎧も砕く】大玉でどごん、と一発喰らわせるよ!


清川・シャル
うわ、黒くなっちゃう?!
やだぁ、シャルの戦闘服は特注なんです、汚さないでっ!
一体一体潰す必要……考えなくてはですね。

この子達、一体何で出来てるんでしょう?
全力魔法で風と氷のトルネードを発生させてみましょう。
煤をはらって凍らせたら、個体がバラけて倒しやすくなるかもしれない
上手く行けばあとは叩くだけ。
そーちゃんにてUCです
なぎ払い、衝撃波、範囲攻撃での攻撃を行います
チェーンソーモードでフルスイングです

煤攻撃には風魔法で対処、敵攻撃には見切り、カウンターで対応です
あとは第六感がなんとかしてくれるかもです


フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)

「煤といえど私の炎で完全燃焼させてやる」
ススワタリに対し【鉄塊剣】を構え、そう言い放つ。


「中から燃えろ!!」
ある程度の攻撃は喰らってもいいので確実にススワタリに剣を突き刺す。(【覚悟】・【激痛耐性】)
剣が刺さったら【ブレイズフレイム】で身体から炎を噴出させ、剣伝いにススワタリを燃やそうと試みる。(【属性攻撃】)




 ――ぷすぷす、ぷすぷす。

 ススワタリが動く度に、細かい煤が宙を舞う。
「うわ、黒くなっちゃう?!」
 清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)が、風に乗り漂ってきた煤を慌てて払った。
「やだなぁ」
 小さな声で呟いて、ほんのちょっぴり顔を顰めるシャル。
 何せシャルの戦闘服は特注品。手間もかかっていればそれなり思い入れもある、お手入れだって大変だ。
 もちろん、戦っている以上多少の汚れは仕方ないのかもしれないけれど……。
『『…………』』
 ジト目で迫るススワタリ。その真っ黒な姿を改めて確認し、シャルはプルプルと頭を振った。
(「やっぱりいやです!」)
 漂ってくる程度ならまだしも、煤だらけにされるなんて。
「なになにー? 汚れるのが嫌なのー?」
「ひゃ?!」
 宙から降ってきた声にシャルが軽く悲鳴を上げた。
 慌てて振り返り視線を上げれば、そこにはサーカスの大玉に乗ったクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)の姿が。
「女の子だもんねー、汚れたくないよね! 俺に任せといて!」
「へ?」
「ほらほら、皆こっちに来て来てー!!」
 シャルが聞き返す間もなく、ススワタリに突撃していくクラウン。
(「ちょっぴり大変だけど、平和を取り戻すために頑張るよ!」)
 大玉に乗り黒剣でジャグリングする姿は戦場でもひと際目立ち、ススワタリたちがクラウンに群がっていく。

 ぽふん。
 ぽふ、ぽふん。

 当たり心地「だけ」はふんわりなススワタリアタックが炸裂する。ぶつかり方がソフトな割にしっかりダメージは入っているらしく、そこそこ痛い。
「げほげほっ、ごほっ」
 クラウンはあっという間に煤まみれになり咳き込んだ。
「煤が沢山ついちゃった! 俺もススワタリになっちゃった? ……なんてね?」
 咳き込みながらもお道化て見せ、クラウンは大玉から飛び降り黒剣を宙に放り投げる。
 クラウンの足が地についた瞬間、大玉と黒剣が無数のフリチラリアの花弁に姿を変えススワタリ目掛けて一斉に襲い掛かった。
「えへへ、わざと当たりにいったんだよ!」
 花弁がススワタリの霞のような体を切り裂くが、その程度の傷は瞬く間に癒えていく。
『……?』
 だから、花弁の中に別の花が紛れていてもススワタリたちは気にしなかった。花弁の中に紛れた花がススワタリにぶつかり――爆発する。
『!!?!』
 突然の爆発に一瞬驚くススワタリ。そこでどこからか飛び出したクラウンの火の輪が、ススワタリを拘束する。
「熱いかもしれないけど我慢してね?」
『!!!』
 ススワタリたちのほんの僅かな混乱。それに乗じてフリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)も飛び出した。
「煤といえど私の炎で完全燃焼させてやる」
 無骨な巨大剣を構えて突撃するフリージア。気付いたススワタリが次々と体当たりを喰らわせる。それでもかまわず突進し、フリージアは煤だらけになりながら一体のススワタリの体に剣を突き立てた。
 フリージアの体から地獄の炎が噴き出し、剣を伝いススワタリに燃え移る。しかし――。
『…………』
 ススワタリがそのジト目を細めた。攻撃が効いていないわけではない……けれどほんの少しだけ、足りない。
 フリージアが眉を潜めたその直後、冷たい氷の属性を孕んだトルネードが一帯を襲った。
 ススワタリたちの煤を払い、あわよくば凍結させんと猛威を振るうそのトルネードを起こしたのは、シャル。
(「そもそもこの子たち、一体何で出来てるんでしょう?」)
 巻き上がる煤を被らないよう器用に風を制御しながら、シャルは考える。
 狙い通り、ススワタリの体からはどんどん煤が払われていく。ところが、ススワタリ本体(?)が小さくなるだとか芯になりそうな何かがむき出しになるとかそういう様子はない。
 しかしながら、凍らせることは不完全ながらもできているようだ。
『…………!!』
 フリージアが剣を突き立てたままのススワタリの表面にも、微かに霜のようなものが現れていた。
 それに気付いたフリージアの体から、更なる炎が噴き出す。
「中から燃えろ!!」
 地獄の炎を帯びた剣を更に深く……ススワタリの体を貫かんばかりに渾身の力を籠めて突き立てる。
『!!!!!』
 ススワタリが大きく目を見開いた。その体が一気に燃え上がり、ぱふん、と僅かな煤だけを残して消滅する。
「いきますよそーちゃん!」
 シャルの呼びかけに応えるように、桜色の金棒「そーちゃん」の棘が高速回転し始めた。
 黒い体の所々に白い霜を生やしたススワタリに接近し、横薙ぎにそーちゃんを振るうシャル。
 衝撃で吹き飛ぶススワタリ。しかしシャルはその距離を一気に詰め、そーちゃんを天高く振り上げる。
 そのまま力任せに振り下ろされたそーちゃんが、ススワタリの体を真っ二つに裂いた。地面に亀裂が入り、二つに裂かれたススワタリの体が霧散する。
「すごいすごい!」
 二人を称賛するクラウン。そうしながらも、クラウンは手にした黒剣で火の輪に拘束されたススワタリを斬りつけていた。その傷が癒えぬうちに同じ個所を更にもう一度。そして流れるような動作で巨大な大玉を振り上げる。
 目にも止まらぬ早業は、まるで手品のよう。頭上から落とされた大玉がススワタリを完全に押し潰し、後にはススワタリを拘束していた火の輪だけが残された――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

カイウス・ヘーゲン
※アドリブ歓迎

………。(戦場を黒く染める煤の群れを見つめている)
意思持つ煤の塊とは…散っては集まる、まさに防備にふさわしい存在か…
だが討滅する…どれだけ己の命を留めようと…消えない命はない…

【グレイガル】召喚
我が闘志、我が半身…この天狼との【2回攻撃】…連携攻撃によって絶え間なくその体を裂き続ける
最初に天狼の突進と爪撃…散った煤に向け霊銃の【水属性攻撃】により、水でその体を包み戻れないように仕掛ける

…汚れの心配は一切しない…世界の命運かかる戦いに俺の身綺麗など気に留めることはない…何より―

俺の衣服は黒いからな…もとより気にする必要もない…ということだ…。(かすかに得意気)


シリン・カービン
【SPD】

車懸かりの陣、確かに見事なものです。
この戦い、軍神との知恵比べと言う訳ですね。

【ピクシー・シューター】を発動。
水・雷・氷・火、それぞれの精霊弾を詰めた
精霊猟銃の複製を11挺ずつ複製。
4種の複製銃を一組とし、巨大ススワタリ、巨大屋敷の霊に
次の攻撃を行います。
・水の精霊弾を撃ち込む。
・雷の精霊弾で水から伝導させ感電・麻痺。
・氷の精霊弾で水を凍らせ内部から膨張破壊。
・火の精霊弾で氷を融かし、水蒸気爆発。
精霊弾の攻撃力に各種属性の追加ダメージを加えれば、
相当な威力になるはず。

有象無象のススワタリは各個撃破。
必要に応じ上記に準じます。

この一手、届きましたか、上杉謙信!

アドリブ・連携可。


花月・椿
【POW】
UC:灰燼拳

なるほど、つまり全力で殴ればいいんですねっ!単純明快、隕石とどちらが殴り応えがあったか品評してあげますっ!
煤と言えど実体があるなら私のこの右手の一撃で、その守りの加護ごと吹っ飛ばしてやりますっ!

目に着いたススワタリに【ダッシュ】で近づき、その勢いのまま『燎原の火』を着け、炎をまとった右手でぶん殴る、もとい【灰燼拳】の必殺の一撃をお見舞いしてあげますっ!
『精鋭部隊とはずいぶん出世したみたいですね、ススワタリっ!でも終わりですっ!』




「車懸かりの陣、確かに見事なものですね」
 シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が呟いた。
「この戦い、軍神との知恵比べという訳ですか」
 上杉謙信の統率力と、その精鋭部隊だからこそ可能な陣形。実際目にしてみれば見事としか言いようがない。
 彼女たちが対峙するのは、『ススワタリ』の部隊。戦場に黒い煤をまき散らす彼らをじっと見つめていたカイウス・ヘーゲン(爆ぜる爪・f11121)が口を開く。
「意思を持つ煤の塊とは……散っては集まる、まさに防備にふさわしい存在か……」
 そう言いながらも、カイウスはその眼光を鋭くしてみせる。
「だが討滅する……どれだけ己の命を留めようと……消えない命はない……」
「つまり全力で殴ればいいんですよねっ!」
 カイウスの言葉にやる気満々の花月・椿(百鬼粉砕・f12960)が応じた。
「ま……まあ、そうだな」
 椿の勢いにやや押されながらカイウスが頷く。
「うん、単純明快ですっ! 煤と言えど実態があるなら私のこの右手の一撃でその守りの加護ごと吹っ飛ばしてやりますっ!」
 そう言うなり、椿は視界に入ったススワタリ目掛けて駆け出した。
『…………!』
 椿の行動に反応し、集団で体当たりを仕掛けてくるススワタリ。その体が煤にまみれ痛みがその身を苛んでも――椿は止まらない。
「精鋭部隊とはずいぶん出世したみたいですね、ススワタリっ! でも終わりですっ!」
 妨害をものともせず狙いのススワタリに肉薄し、右手を大きく振り上げる。その腕を覆う赤手「燎原の火」が炎を纏い、黒く大きな鉤爪が鈍く光る。
(「後で隕石とどちらが殴りごたえがあったか品評してあげますっ!」)
 勢いそのまま、ススワタリの体を抉るように容赦なく、思い切り殴りつける椿。
『!!!』
 ススワタリが地面に叩きつけられ変形し、そのまま弾け飛び霧散した。
「よーし、この調子でまだまだいきますよっ!」

「――吼えろ! 顕界獣―グレイガル!!」
 カイウスの召喚に応じ、一対の翼を有した巨大な銀の天狼が顕現する。その背に跨り戦場をかけるカイウスの眼前に、古く巨大な屋敷が現れる。
『『『…………』』』
 屋敷の扉から飛び出してくる大量の小さなススワタリ。微かな音と共に屋敷の窓が開き、巨大なススワタリがカイウス目掛けて飛来する。
 群がるミニススワタリを蹴散らし、飛来する巨大ススワタリを弾き飛ばし、目指すは屋敷の召喚主たるススワタリ本体。
 飛散した煤が彼らに降りかかり、カイウスはふっと微かに口角を上げた。
 汚れの心配などしない。この戦いには世界の命運がかかっているのだ、自身の身綺麗さなど気にしてなどいられない。何より――。
(「俺の服は黒いからな……もとより気にする必要もない、ということだ……」)
 なんとなくドヤ顔に見えなくもない表情のまま、カイウスは天狼と共にススワタリに襲い掛かった。
 突進した天狼の爪がススワタリの体を裂き、煤が散る。間髪入れずにカイウスの霊銃から放たれた水気を帯びた霊力がススワタリに直撃する。
 カイウスとその半身たる天狼が繰り出す間断のない連携攻撃に、ススワタリは徐々にその身を小さくしていく。
「……消えるがいい」
 霊銃から放たれた一発が、ススワタリの最期の欠片を消し飛ばす――。

「羽根妖精よ、私に続け」
 オブリビオンを狩るための猟銃が複製され、シリンの周囲に浮かび上がる。込められているのは、様々な属性を持つ精霊弾。その銃口が、ススワタリによって召喚された巨大な古屋敷とその先にいるススワタリ本体へと向けられる。
 複製元である精霊猟銃を構えたシリンがススワタリに向けてその引き金を引く。それを合図に、複製された猟銃が射撃を開始した。
 最初に水の精霊弾を込められた猟銃が火を噴いた。弾は小さなススワタリを噴き出す屋敷と本体であるススワタリそれぞれに着弾し、水気を放つ。
 次に撃ち出された精霊弾は雷の属性を帯び、水気を帯びたススワタリたちを感電させた。
『……?! ……!』
 電気を帯びパチパチと小さな音を出しながら震えるススワタリ。追い打ちをかけるように氷属性の精霊弾がススワタリたちに着弾し、体にしみ込んだ水を凍らせ膨張させる。
 仕上げとばかりに撃ち出されるのは、炎を孕んだ精霊弾。高熱を帯びたその弾が凍結したススワタリに触れた瞬間、その体が弾け飛ぶ。
 油断なく銃を構えたまま立ち続けるシリンの視線の先で、召喚主を失った巨大な屋敷が音もなく消滅する。
(「この一手、届きましたか、上杉謙信――!」)

 軍神車懸かりの陣……その一角が、崩れる。
 一つの世界を守るべく、猟兵たちは更に更にその先へと――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月17日


挿絵イラスト