エンパイアウォー⑥~大帝の兵団を突破せよ
「エンパイアウォーへの参戦に感謝します。リムは現在の戦況を報告します」
グリモアベースに集った猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「織田信長打倒のために出陣した江戸幕府軍10万は、皆様の活躍によって無事に関ヶ原まで到着しました」
ここから先はいよいよ信長軍との本格的な合戦が予知されている。最大の難所となる関ヶ原には軍神『上杉謙信』と、大帝剣『弥助アレキサンダー』の軍勢が陣を敷き、それを越えた先でも、山陰道には陰陽師『安倍晴明』。山陽道には侵略渡来人『コルテス』、南海道には大悪災『日野富子』の軍勢が待ち受けている。
「この魔軍将の軍勢を撃ち破り、最低でも1万人以上の幕府軍を魔空安土城に到達させること。それがこの戦争に勝利する必須条件です」
これまで以上に厳しい戦いが予想されるが、決して諦めるわけにはいかない。この戦争の敗北はエンパイアの終焉の始まり――カタストロフの到来に繋がるのだから。
「まずは、関ヶ原で待ち受ける敵の軍勢を突破しましょう。リムが皆様にお願いするのは、弥助アレキサンダーに従えられた農民兵によるファランクス部隊の撃破です」
大帝剣『弥助アレキサンダー』が所持する『大帝の剣』には、広範囲の洗脳能力がある。この力によって畿内全域の農民たちは弥助アレキサンダーに従えられ、幕府軍を迎え撃つ兵士として利用されている。
農民兵が装備しているのは日野富子から徴収した金銭によって整えられた長槍と大盾。彼らの戦術である『ファランクス』とは、古代マケドニア等で用いられた、右手で長槍を構え、左手の盾で自分の左隣の仲間を守る堅固な密集陣形だ。
「この鉄壁の布陣を、一般の幕府軍の力だけで突破することは不可能です。このままでは幕府軍の半数が、関ヶ原の地で壊滅するでしょう」
この敗北の未来の予知を覆して幕府軍を救うためには、猟兵たちの力で敵のファランクス部隊を破るしかない。
「弥助アレキサンダーの『ファランクス』は縦16、横16の256名で1部隊を構成していて、部隊の中央には指揮官であるオブリビオンがいます」
このオブリビオンは大帝の剣の洗脳能力を農民兵に伝達し、ファランクスを組ませる中継機の役割を果たしている。つまり指揮官さえ撃破すればその部隊のファランクスは壊滅し、洗脳から解放された農民たちは戦意を失って降伏するだろう。
「皆様に攻撃してもらう部隊の指揮官は『鬼銃葬者』。銃と刀を組み合わせた独自の武術を極めんとして、飽くなき修練と殺戮を繰り返す悪鬼羅刹です」
その本体は嘗ての武芸者の執念が宿った銃と刀であり、呪物と化した武器による攻撃は非常に強烈。だが、猟兵たちならば決して打倒できない相手ではない。
「敵部隊の兵士は説明した通り大帝の剣に洗脳されているだけの一般人ですので、猟兵にとって脅威となる敵は鬼銃葬者ただ一人と言っていいでしょう」
しかし部隊の中央にいるオブリビオンと戦うには、何とかしてファランクス兵を突破する必要がある。作戦の成否に直接の影響はないが、一般人である彼らを虐殺するような手段での突破は避けたほうが賢明だろう。
「彼らもこの戦争の被害者であることに違いはありません。大帝の剣に支配された農民たちの命も、多少は慮ってもらえれば幸いです」
そう言って作戦の説明を終えたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべると、関ヶ原の合戦場への道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
魔空安土城への道、後半戦! といった具合の依頼群が公開されていますね。
関ヶ原で幕府軍を阻む信長軍の一角、弥助アレキサンダーのファランクスを打ち破るのが今回の依頼です。
洗脳された農民兵の生死は作戦の成否に問われませんが、邪魔されないようスマートに突破する手段があれば、オブリビオンとの戦いも有利に運べるでしょう。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『鬼銃葬者』
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POW : 鉄刀鉄火(てっとうてつび)
【呪いの炎を纏った刀による斬撃】が命中した対象を燃やす。放たれた【呪いの】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD : 銃王無刃(じゅうおうむじん)
自身が装備する【銃から放たれた呪いの銃弾を】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 渇殺自罪(かっさつじざい)
【刀と銃】から【悪鬼羅刹の闘気】を放ち、【恐怖】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:FMI
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「麻生・大地」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白川・美依
使用能力:WIZ
あら、肉壁で守りを固めるだなんて…「素敵」な事するのねぇ…
傷つけちゃダメみたいだから…ちょっと悪戯させてもらうわね?
【マジカル・フレンズ】を発動して下僕…もとい仲間の妖精たちを召喚して動いてもらうわ。戦闘力がなくても38匹もの妖精が陣形の中であれこれ煩くしたりちょこまか逃げ回れば陣形維持も難しくなるんじゃないかしら。陣形の中で四方八方に散らばらせて統率を乱し、その隙に【全力魔法】を叩き込む…まあこんな感じでやってみるわ。
※妖精「ホワイティ」は魔法少女的なアレやコレでよく見かけるお供の妖精さんです。それっぽい口調で喋ります。扱いは…ご自由にどうぞ。
※何でも歓迎
ナイア・アルハズラット
曰く……どんな強力な武器であろうと、当たらなければどうという事は無い。
……奴等の目を盗むわ。
『深き夢への誘い』でかたっぱしから幻覚にかけ、《クシュル・クシャルの鉄馬》に乗った無数の私を見せる。
幻覚の私達はファランクスを取り囲みタイミングを合わせて全方位から突撃させるわけだけど、これはもちろん囮で本命の私は鉄馬を乗り捨て上空へ跳躍、真上から鬼銃葬者へ奇襲をかけるわ。
勿論迎撃はされるでしょうけど、そこからが勝負よ!
さらに幻覚で的を絞らせない様にしつつ肉薄し、《ダルダロイスの槍》で刻んでやるわ。
中に入ってしまえばファランクスも役に立たないでしょう?
カイム・クローバー
農民を無理矢理洗脳して兵にするとはね。掌で踊らされるのも癪だろ?スマートに突破してやろうぜ。
相手が農民である以上、連中にとって使い捨ての駒程度にしか思われていないだろう。身体能力の低さから俺の動きに付いてくるのは難しいはずだ。
UCを使い、二人になってそれぞれが側面から突破を図るぜ。部隊の動きを【見切り】、【残像】でも残せば、混乱も引き起こせるだろう。
中央の指揮官もそのまま挟撃する。剣に黒銀の炎の【属性攻撃】、【串刺し】、更に二人で【二回攻撃】。【残像】も残しつつ、【早業】で分身体と位置を入れ替えつつ、動く。
呪物が本体だと聞いたが、個人的にはその鬼面が気に食わねぇんでな。ぶっ壊させて貰おうか!
「あら、肉壁で守りを固めるだなんて……『素敵』な事するのねぇ……」
関ケ原の戦場に転移した白川・美依(プリンセス・ホワイトムーン・f19433)は、正面に立ち塞がるファランクス部隊を眺めながら皮肉を込めて呟く。
大帝剣『弥助アレキサンダー』に洗脳された農民兵による一糸乱れぬ隊列と陣形。猟兵たちはこの防御を突破して、敵将たるオブリビオンを討たねばならないのだ。
「傷つけちゃダメみたいだから……ちょっと悪戯させてもらうわね?」
まずは敵の陣形を乱そうと、美依が召喚するのは【マジカル・フレンズ】。女児向けアニメに登場するような愛らしい姿をした、彼女の忠実な下僕――もとい仲間の妖精たちが戦場に姿を現す。
「さ、よろしくね?」
「「任せて、ホワイトハート!」」
妖精たちに戦闘力は無いが、その小ささと数の多さは撹乱にもってこいだろう。
美依に命じられるままファランクス部隊に突入した38体の妖精は、兵士たちの構えた盾と槍の隙間をすり抜けるようにちょこまかと飛び回り、きゃいきゃいと煩く騒ぎ立てる。
人間相手の戦いでは鉄壁の防御を誇るファランクスも、これには些か対処に困る。
四方八方に散らばった妖精たちの悪戯が、敵の統率をかき乱していく。
敵部隊の混乱に拍車をかけようと、続いて動いたのはナイア・アルハズラット(いずれ深淵に至る魔導書・f04959)。
「曰く……どんな強力な武器であろうと、当たらなければどうという事は無い。……奴等の目を盗むわ」
漆黒のバイク「クシュル・クシャルの鉄馬」に跨って彼女が唱えだしたのは【深き夢への誘い】。動揺する敵陣の隙を突き、兵士たちを次々に幻覚にかけていく。
術中に嵌った農民兵が見るのは、鉄馬に乗った無数のナイアの姿。幻覚の彼女たちは敵陣の周りをぐるぐると疾走して取り囲んでいく。
古来よりファランクスの防御を突破するのは、機動力と衝撃力に優れた騎兵の役目であった。どの方向から襲ってくるかも分からないナイアたちの包囲に、農民兵たちはそれが幻とも知らずに戦慄する。
さらにもう一手。浮き足立ったファランクス部隊へと突撃を仕掛けたのはカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)。
「農民を無理矢理洗脳して兵にするとはね。掌で踊らされるのも癪だろ? スマートに突破してやろうぜ」
余裕の笑みを浮かべながら、彼が喚び出したのは【陰に潜む自身】。2人になったカイムはそれぞれファランクスの左右の側面から同時に突破を図る。
(相手が農民である以上、連中にとって使い捨ての駒程度にしか思われていないだろう)
恐怖を知らず命令に忠実な洗脳兵士はそれだけで厄介ではあるが、猟兵と渡り合えるような戦闘力は付与されていない。身動きの取りづらい密集陣形を組んでいることもあって、彼らはカイムの機敏な動きにはまるで対応できなかった。
残像を描き、疾風のように陣中を駆け抜けていくカイムたちによって、敵部隊の混乱はさらに加速する。
「よし、今よ!」
頃合いと見たナイアが号令を発すると、包囲を敷いていた幻のナイアたちが全方位より一斉に突撃を開始する。
無論、幻覚である彼女たちに物理的な攻撃力はない。その役目は敵部隊の注意を引きつけて本物が奇襲を仕掛けるための囮。幻の中に紛れて突撃したナイアは、ギリギリまで接近したところで鉄馬を乗り捨てると、上空へと高く跳び上がった。
「見つけたわよ」
混乱する敵陣の中央に立つ、鬼面を被った禍々しい気配の男。それこそがこの部隊の指揮官だと見切ったナイアは、ダルダロイスの槍を手に襲い掛かる。
だが敵将――鬼銃葬者はその奇襲に鋭く反応すると、両手に構えた刀と銃を交差させ、槍を受け流す。
「やっぱり迎撃はされるでしょうね。けどここからが勝負よ!」
敵陣の中央に着地したナイアは、すぐさま槍を構え直すと地を蹴った。
「「よう、お前が敵将だな?」」
正面のナイアを迎え撃つ構えを取った鬼銃葬者は、直後に左右から声を聞く。
ファランクスの両端から中央まで駆けてきた2人のカイムは、その勢いのままに敵将へと奇襲を仕掛けた。
「呪物が本体だと聞いたが、個人的にはその鬼面が気に食わねぇんでな。ぶっ壊させて貰おうか!」
黒銀の炎と共にその手の中に顕現するのは、業物の大剣「Marchocias」。左右から同時に繰り出される斬撃と刺突は、容易に凌ぎ切れるものではない。
「グ……ゥ!」
炎を纏った刃に斬り裂かれ、鬼銃葬者が呻き声を漏らす。
刀身と銃身で僅かに受け流されたものの、その負傷は決して小さくはない。
「来たか、強者たちよ……貴様らも我が武技の糧としてくれよう」
反撃の構えを取った鬼銃葬者が繰り出すのは【銃王無刃】。左手の銃より放たれた何十発もの呪いの弾丸が、それぞれ別の意志を持つかのようなバラバラの弾道を描いて猟兵たちに襲い掛かる。
だが、その銃弾が撃ち抜くものは全て幻。ナイアは【深き夢への誘い】で自身と仲間の幻覚を鬼銃葬者に見せ、攻撃の的を絞らせない。
そしてカイムも幻に紛れて残像を生み出し、分身体と共にファランクスの中を駆け抜けた機敏さを以て、ひらりひらりと銃弾を躱していく。
「中に入ってしまえばファランクスも役に立たないでしょう?」
この乱戦状態での密集陣形はただ動きが阻害されるだけだ。ナイアの言うそれを鬼銃葬者も理解しているのか、周囲のファランクス兵は近付いてこない。
そしてナイアとカイムがかき乱した前線の彼方では、戦闘服姿に変身した美依――プリンセス・ホワイトムーンが攻撃準備を整えていた。
その視線の先には分厚いファランクスの奥に隠れていた敵将の姿が。ここまでに散々かき乱された部隊はもう、攻撃を阻む肉の壁なり得ない。
「やっと姿が見えたわね。それじゃ、蜂の巣にしてあげるわ」
美依は取り出した「エナジージュエル」を無数の弾丸の形状に変化させると、ありったけの魔力と共に標的目掛けて一斉発射する。
「何ッ……グハァッッ!?!?」
遠距離より予期せぬ弾幕の嵐を叩き付けられた鬼銃葬者は、全身を魔弾に撃ち抜かれ、血飛沫を上げてよろめいた。
そしてこの好機を逃さずに、ナイアとカイムは傷ついた鬼銃葬者に肉薄する。
「よそ見してると危ないわよ。私の槍はしつこいから」
虚空を駆ける猟犬の力を宿せしダルダロイスの槍は、決して獲物を逃がすことなく、その急所に喰らいつくように切り刻んでいき。
「こっちは二人分だ。遠慮はいらねぇ、受け取りな!!」
分身体が繰り出す黒銀の炎を纏った斬撃と、間髪入れず位置を入れ替えたカイムの追撃が、鬼銃葬者の鬼面に大きくヒビを入れた。
「グオォォォォォォ……ッ!!!?」
想定以上の猟兵たちの力を前にして、狼狽えるように後ずさるオブリビオン。
指揮官の動揺を反映したかのように、ファランクス部隊もまた後退していく。
成功
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トリテレイア・ゼロナイン
農民を洗脳し、戦列に並べるとは自軍の被害が少なくなる効果的な戦術ですね
騎士としては卑劣極まりない所業に怒りを覚えますが
この感情を「はらわたが煮えくり返る」と表現するのでしょうね
戦いは覚悟を決めた人々が行うもの。狙うは敵将唯一人です
UCの追加機動装甲を装備
ファランクスは機動性が低いのと上空の存在への対処が困難な弱点を突き飛行して一気に敵将の元に向かいます
迎撃の射撃は盾と閉じた装甲で●盾受けしつつ●シールドバッシュという名の体当たりで攻撃
地上に降りたら振られる刀の軌道を●見切りスラスターでの●スライディングで回避
装甲を展開して格納銃器の●だまし討ちで動きを封じ、剣で切り捨てます
「農民を洗脳し、戦列に並べるとは自軍の被害が少なくなる効果的な戦術ですね」
敵の布陣とその戦法を見極め、機械的に冷静な評価を下すトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。だが、その胸の奥では卑劣極まりない敵の所業に対する騎士としての怒りが、炎のごとく燃え盛っている。
「この感情を『はらわたが煮えくり返る』と表現するのでしょうね」
戦いは覚悟を決めた人々が行うもの。敵将唯一人に狙いを定め、機械騎士は剣を取る。
敵の陣形はファランクス。密集した歩兵による盾と長槍で構築された鉄壁の布陣を正面から突き崩すのは――それも、敵兵への被害を抑えるという前提では――たとえトリテレイアでも容易ではない。
だが、ファランクスは決して無敵の陣形ではなく、機動性に難があるという明確な欠点と、上空の存在への対処が困難という盲点がある。
その2つの弱点を突くためにトリテレイアが装備したのは【全サ連メカニック班謹製 追加機動装甲】であった。
一見すれば騎士の外套のような形状をした追加装甲に搭載されたスラスターに点火すると、彼の機体は空へと舞い上がり、凄まじい速度で敵部隊の中央目掛けて飛翔する。
「何と……!」
上空より飛来せし機械騎士の威容に驚きながらも、部隊の指揮官たる鬼銃葬者は銃撃にて応戦。飛来する銃弾をトリテレイアは追加装甲と盾で受け止めながら、勢いを緩めず突撃する。
「ゴハァ……ッ!! やって、くれるな……!」
シールドバッシュという名の体当たりを食らった鬼銃葬者が、まるで隕石の直撃でも受けたように吹き飛ぶ。だが、彼もまた一部隊を任されるだけの将の器。これしきで斃れるほど軟弱ではない。
「例え機械の塊だろうとも、我が刀にて焼き斬ってくれよう!」
右手の刀に呪いの炎を纏わせ、繰り出される【鉄刀鉄火】。鉄をも溶かさんばかりの凄まじい灼熱を帯びた斬撃が大上段より振り下ろされる。
しかしトリテレイアはその軌道を瞬時に計算すると、スラスターを再点火し地上スレスレを滑走。目にも留まらぬ速さで攻撃を回避していく。
「流石の全世界サイボーグ連盟メカニック班の技術力、良い仕事ぶりですね……あとは性能を引き出す使用者の問題ということです!」
追加装備の性能に感嘆しながら、トリテレイアは装甲を展開。攻撃力強化モードへと移行すると、格納されていた銃器を一斉に発射する。
「クッ!?」
予期せぬ飛び道具による不意討ちに、鬼銃葬者の動きが止まる。
すかさずトリテレイアはスラスターを全力噴射。最大速度で敵の懐に飛び込むと、儀礼用長剣を手にそのまま切り抜ける。
「これが、貴方の所業の報いです」
「ガァァァッ!!!」
機械騎士の怒りの一閃が、戦に飢えた修羅を斬り捨てた。
大成功
🔵🔵🔵
清川・シャル
一般人ですか、やりづらいですね。
怪我とかはさせたくないんですよ
汚い手を使いますね?ならこの手を試しましょうか
Amanecerを召喚
戦意喪失の催眠術をスピーカーから発しつつ、恐怖を与える音を。
道を開けなさい、鬼が通りますよ
…と言う手前、モーゼみたいに通してくださいよ
おや、そちらも鬼ですね?よし勝負です
氷の呪魔力を帯びたそーちゃんでのUCを
熱いみたいですし、ひんやりしましょう
UCが当たればそのままチェーンソーモードで殴りつけますね
シャルは火が苦手で延焼嫌なので、全力魔法で氷のミストを一気に出して消火です
敵攻撃には残像、見切り、カウンターで対応
何かあれば第六感と野生の勘で察知です
「一般人ですか、やりづらいですね。怪我とかはさせたくないんですよ」
立ちはだかる農民兵のファランクスを前に、清川・シャル(ピュアアイビー・f01440)はどうしたものかと指先を口元に当て考える。
「汚い手を使いますね? ならこの手を試しましょうか」
召喚するのは「Amanecer」のインカム、アンプ、そしてスピーカー。
相手が洗脳されているのなら、それを上回るような音の力を聞かせてくれよう。
「道を開けなさい、鬼が通りますよ」
桜色の金棒「そーちゃん」を肩に担いで、前進する羅刹の少女。
追従するスピーカーからは、思わずぞっとするような背筋も凍る音楽が流れる。
催眠術としての効果もあるその音波は、大帝の剣に支配されているはずの農民兵たちにさえ、大きな動揺をもたらした。
(……と言う手前、モーゼみたいに通してくださいよ)
内心、ちょっとだけ不安だったシャルの行く手では、慌てたように兵士たちが列を乱し、槍や盾を放り捨てて道を開ける。ぱかりと左右に分かれたファランクスの中央には、驚愕した様子の鬼銃葬者がいる。
「おや、そちらも鬼ですね? よし勝負です」
金棒をぶおんと振り上げて、シャルは眼前の敵目掛けて突っ込んでいった。
「鬼……羅刹か。奇妙な技を使うようだが、腕前はどうだ……?」
新手を前にした鬼銃葬者は、呪いの炎を纏った右手の刀を勢いよく振り下ろす。
対するシャルは金棒に氷の呪魔力を帯びさせながら、鋭い直感で斬撃の軌道を見切る。
「熱いみたいですし、ひんやりしましょう」
炎の斬撃が薙いだのは少女の残像。すかさずシャルはがら空きとなった敵の懐へと踏み込むと、シンプルかつ豪快な【鬼神斬】の一撃を放つ。氷を纏った金棒が叩き込まれ、その重量に打ちのめされた鬼銃葬者の足元はクレーター状に陥没する。
「地獄へWelcome」
「ゴガァッ!?」
シャルはそのままそーちゃんのチェーンソーモードを起動し、高速回転する金棒の棘で鬼の肉体を刳りながら、なおも力強く激しい乱打を繰り返す。
「グオオォォォ……な、なんの……!!」
ボコボコにされた鬼銃葬者は、それでも刀から呪いの炎を戦場に放ち反撃に転じようとするが、シャルはすぐさま氷の呪魔力をミストのように放出し、呪炎の延焼を消し止める。
「シャルは火が苦手なので」
敵の攻め手を封じながら、なおも続く打撃は華奢な体躯に見合わぬ鬼力を誇り。
鬼と鬼の力比べは、猟兵の側に軍配が上がったのであった。
成功
🔵🔵🔴
ジュリア・ホワイト
洗脳市民の軍勢か
良いとも
ヒーローとして、一刻も早く住人を開放するなくちゃね
こんな事もあろうかと、相手を傷つけず無力化する手段は用意済みさ
ファランクス兵達の突破にはそれを使おう
【其は科学の象徴、機関と産業の友】を発動し、煙幕で洗脳農民達の動きを止め
最小限の相手を【気絶攻撃】で気絶させて中央突破
最短経路で敵将に迫るよ
敵将と相対しても
周りの洗脳兵を寄せ付けないため煙幕を維持しつつ
武器戦闘を仕掛ける
「キミが指揮官だね?覚悟してもらうよ。――ヒーロー・オーヴァードライブ、参る!」
敵は闘気を放って恐怖を与える?
どんな相手だろうと【勇気】を持って立ち向かうのがヒーローだ
恐怖如きでは縛れないよ
【アドリブ歓迎】
「洗脳市民の軍勢か……良いとも。ヒーローとして、一刻も早く住人を開放しなくちゃね」
無骨な動輪剣を手に、ジュリア・ホワイト(白い蒸気と黒い鋼・f17335)は爽やかに笑いながら戦場を駆ける。その進路上に待つものは、救うべき人々と討つべき悪。
「こんな事もあろうかと、相手を傷つけず無力化する手段は用意済みさ」
ファランクス兵の防御陣を突破すべく、発動するのは【其は科学の象徴、機関と産業の友】。蒸気機関車のヤドリガミたる彼女の口からはモクモクと煙が吐き出され、濃密な煙幕となって戦場を覆っていく。
突然煙に巻かれ敵を見失った農民兵は、判断の基準を失い身動きが取れなくなる。その隙にジュリアは敵陣を突き進み、最短経路での中央突破を図る。
「ごめんね、少しだけ眠ってて」
進路上にいる最小限の兵士だけを出力を抑えた高圧放水銃で気絶させ、前進を続ける彼女はやがて禍々しい闘気を放つ鬼面の武人を視界に捉える。
「この煙は貴様の仕業か……」
「キミが指揮官だね? 覚悟してもらうよ。――ヒーロー・オーヴァードライブ、参る!」
刀と銃を構える鬼銃葬者へと、ジュリアは堂々たる名乗りと共に斬り掛かった。
「弥助様より部隊を預かりながら、この体たらく……首級の一つも上げねば武人の名折れ……!」
既に猟兵との戦闘で多くの傷を負っている鬼銃葬者は、不覚を挽回せんと激しい闘気を漲らせる。
本体である銃と刀より放たれる悪鬼羅刹の闘気は、対峙する者の恐怖を呼び覚まし、心身の自由を奪う。それが彼のユーベルコード【渇殺自罪】である。
だが。正面から鬼銃葬者の闘気を受けたはずのジュリアは、まるで動じた気配もなく、一直線に肉迫するや動輪剣を振り下ろす。
「何ッ!? 効かぬだと?!」
辛くも刀で斬撃をいなしながら驚愕する鬼銃葬者。対するジュリアは笑みを浮かべた口元から煙を放ちながら、当然のことだと言わんばかりに答える。
「どんな相手だろうと勇気を持って立ち向かうのがヒーローだ。恐怖如きでは縛れないよ」
煙幕を維持するのは周囲の兵士をこちらに寄せ付けないため。巻き込むものさえいなければ、彼女も全力で戦えるというもの。
細身な体躯に見合わぬ馬力で刀と鍔迫り合いながら、ジュリアは高圧放水銃を至近距離から撃ち込む。鉄板すら穿つ水圧の一撃が、鬼銃葬者の腹に穴を開ける。
「グォ……ッ?!」
苦痛に呻いた敵の動きが鈍った一瞬、そこに容赦なく動輪剣を押し込む。『動輪』と称してはいてもその実凶器そのものなチェーンソーの刃が、獲物の肩から胸にかけてをズタズタに斬り裂いた。
「この戦争はまだ先があるからね。押し通らせてもらうよ!」
紛うことなきヒーローの志と信念を持つジュリア。しかし彼女はその好戦的な性格と自重しない戦闘スタイルから「オーバーキル」と呼ばれ恐れられてもいるとか。
真偽は不確かなれど、少なくとも彼女の猛攻をその身で味わうこととなった鬼銃葬者は、彼女を敵に回したことを後悔したことだろう。
大成功
🔵🔵🔵
クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「『銃と刀』ですか、かの御仁とは気の合う様子」
【SPD】
●農民兵突破
「背面ブースター展開、このまま飛び越えます」
『アームドフォート』の【空中戦】用ブースターを起動し槍がギリギリ届かない高度で飛び越えます。
●戦闘&SPD UC対抗
「聖銀弾、装填完了」
【破魔】の力を宿した『ミスリル製の弾丸』を『蒸気マシンガン』に込め、
「CODE:FORTUNA」
【スナイパー】としての経験を元に連射。敵SPD UC『銃王無刃(じゅうおうむじん)』の呪いの銃弾を撃ち落としを試みます。
敵は弾丸を操作する以上、意識の何割かは割くはず。
その隙に突撃し、『フォースセイバー』の【2回攻撃】を浴びせます。
「『銃と刀』ですか、かの御仁とは気の合う様子」
銃火器とブレードで武装した鎧装騎兵のクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は、敵の指揮官の装備と戦法についてそう評した。
とは言えエンジニア兼スナイパーである彼と、武芸者であり殺戮者である鬼銃葬者が、本当の意味で意気投合することは恐らく無いだろうが。
「敵影捕捉、これより戦闘行動に入ります」
正面に布陣するファランクス部隊、そしてその中央に座する敵将を見据え、アームズフォートを起動したクネウスは戦線へと突入する。
「新手が来たか……これ以上の突破を許すな!!」
猟兵の攻撃により傷ついた鬼銃葬者の指揮の下、洗脳された農民兵は長槍と盾を構える。接近するクネウスの突撃を、正面から迎え撃つつもりだ。
だが、クネウスは敵の槍衾の間合いに飛び込む寸前、背部よりジェットを噴射し宙に舞い上がる。
「何とッ!?」
「背面ブースター展開、このまま飛び越えます」
アームズフォートに搭載された空中戦用ブースターを起動した彼は、長槍の届かないギリギリの高度を保ちながらファランクスの上空を飛翔し、指揮官の姿を射程内に捉えた。
「聖銀弾、装填完了」
「猪口才な、撃ち落としてくれる!」
蒸気マシンガン「Sir Buster」の弾倉に、破魔の力を宿したミスリル弾「MESSIAH」を込めるクネウス。
上空からの接近に驚いた鬼銃葬者だったが、こちらもまた歴戦の兵。すぐさま左手の銃に呪いの弾丸を籠め、【銃王無刃】にて応戦する。
「CODE:FORTUNA」
それぞれが異なる弾道を描く数十発の呪詛弾に対し、クネウスは身体にインストールされた連続射撃モーションを起動。機械の肉体にプログラムされた動作と、頭脳に蓄積されたスナイパーとしての戦闘経験より放たれる聖銀の弾丸が、呪いの銃弾を次々に撃ち落としていく。
「クッ……おのれ……」
ひび割れた鬼面の下で、鬼銃葬者は脂汗を垂らす。
彼の放つ呪いの銃弾は、一発一発が彼の念力によって操作されている。ゆえに通常ではありえない変幻自在の射撃が可能だが、それには相応の集中力を要する。
それを見抜いていたクネウスは、敵が銃撃戦に意識を傾けた隙を狙ってブースターを最大噴射。銃弾を銃弾で相殺しながら一気に白兵戦の距離まで突撃する。
「ヌゥッ!?」
「目標をロック。『カレドヴルフ』起動」
敵将が刀を振るうよりも速く、展開したフォースセイバーの刃を振るう。
純白の光剣が刀を両断。間髪入れず浴びせられた2度目の斬撃が、目標を斬り捨てる。
「ガハァ……ッ!!!!」
血飛沫を散らしながら、がくりと戦場に膝を突く鬼銃葬者。
戦いの終わりはもう、目前に迫りつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
魔眼で洗脳を上書きできれば楽なのだけど…大帝本人がいるわけではないし、可能かしら?
ダメなら、可哀想だけど多少の犠牲は覚悟して貰う必要があるわね…。
【魅了の魔眼・快】で農民兵の洗脳を魅了で上書きできないか試して武装解除を試みるわ。
ダメなら【ブラッディ・フォール】で「決行、集団人質解放作戦」の「神鳴りのフランチェスカ」の服装へ変化。
【雷神の見る夢】で極力死なない様に出力調整した雷で部隊丸ごと感電させて痺れさせ、戦闘不能に。
その後は【雷帝の誇り】で自身の戦闘力を増強。敵の攻撃を回避、または魔槍【武器受け】や【念動力】で銃弾や攻撃を防、【雷神の見る夢】や【エレクトロニック・インフェルノ】で仕掛けるわ
雛菊・璃奈
洗脳された人達が厄介だね…。
予め【呪詛、高速詠唱、全力魔法】で呪詛の呪縛を発動する呪術トラップを大量に仕掛けておき、敵集団を誘導して罠に掛けて農民兵を捕縛し、無力化するよ…。
誘導は黒桜の呪力解放(わざと防御で防げる出力で)を放ち、こちらが追い込まれてる様に見せかけて敵をトラップ地帯に誘い込むよ…。
農民兵を無効化したら、後は敵を狙い撃ち…。
【狐九屠雛】を【呪詛】で強化して自身の周囲に展開…。
敵の銃弾や炎を【狐九屠雛】で迎撃しつつ、凶太刀の高速化で一気に切り込み、【呪詛】を纏った凶太刀と神太刀での連続斬りから【呪詛、力溜め、鎧砕き】のバルムンクの剛剣の一撃で敵の刀や鎧ごと両断する勢いで切り砕くよ…
「なんと不甲斐ないことか……」
満身創痍の鬼銃葬者は嘆く。鉄壁のはずのファランクスを幾度となく突破され、一兵の兵士も失わぬままに追い詰められている自らの戦況を。
『大帝の剣』の力の中継点である彼が斃れれば、農民たちの洗脳は解除される。このまま一切の戦果を挙げられぬまま終わる、それだけは彼のプライドが許さない。
「かくなる上は……進め! 信長様の御為に、一人でも敵を道連れにするのだ!」
功を焦った将の号令の下、隊列を組んだファランクス部隊が前進を開始する。
「洗脳された人達が厄介だね……」
ゆっくりとした進軍速度で、しかし確実に此方に近付いてくる部隊を見やりながら、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は呟く。無論猟兵の力ならこれを返り討ちにすることは容易だが、相手が無辜の一般人となればそうもいかない。
「魔眼で洗脳を上書きできれば楽なのだけど……大帝本人がいるわけではないし、可能かしら?」
そう言って【魅了の魔眼・快】を発動し、農民兵たちに視線を向けるのはフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)。強烈な快楽とともに術者への隷属を刻みつけることで、敵の武装解除を試みる。
魔眼の力は一度は確かに効果を発揮し、進撃するファランクスの動きが止まる。
「惑わされるな!!!」
だが、鬼銃葬者が配下を一括すると、兵士たちは再び前進を再開する。
やはり指揮官を討たなければ、一時的にこちらの意に従わせることはできても、恒久的に洗脳を上書きすることは困難なようだ。
「なら、可哀想だけど多少の犠牲は覚悟して貰う必要があるわね……」
覚悟を決めた表情で魔眼を停止すると、目つきを鋭くするフレミア。
しかしまだ被害を最小限に抑える手立てはある。そのために次に動いたのは璃奈。
「私が相手だよ……」
押し寄せる部隊の前で呪槍・黒桜を振り回し、花吹雪のように解き放たれる黒い呪力の花弁で敵兵の注意を引きつける。
彼らを傷つけぬように、呪力解放の出力はわざと抑えてある。城壁のように構え並べられた盾で黒桜の花弁を防いだファランクス兵は、そのまま槍衾で璃奈を串刺しにせんと襲い掛かる。
(狙い通り……)
繰り返し呪力を放ちながら後退し、こちらが追い込まれている様に見せかけながら、璃奈は敵をある地点へと誘導していく。
「進め進め! 奴を殺せ―――ッ!? 何故止まる!?」
鬼銃葬者に煽り立てられながら遮二無二進撃を続けるファランクス部隊。その歩みが突如として停止したのは、最前列にいた兵士が"何か"に捕縛されたせいだった。
見れば彼らの足元には、呪力によって描かれた魔法陣が。それは予め璃奈がこの辺り一帯に仕掛けておいた、呪詛の呪縛を発動する呪術トラップである。
敵を追うことに夢中になっていた部隊は、気付かないままに彼女の用意したトラップ地帯に誘い込まれていたのだ。
密集陣形の弱点は、最前列の兵士の動きが止まってしまうと、以降の後ろの兵士たちも前に進めなくなることだ。ましてや周囲のどこに罠が仕掛けられているかも分からないとなれば、迂闊に身じろぎすらできなくなる。
「これなら丸ごと一網打尽にできるわね」
呪縛に捕らわれた部隊を見やり、フレミアは【ブラッディ・フォール】を発動。
その衣装は過去にUDCアースで討伐したオブリビオン「神鳴りのフランチェスカ」の服装に変化し、その身には雷神のごとき激しい雷を纏う。
かつての敵の力を我が物とした彼女が放つのは【雷神の見る夢】。相手を極力死なせないよう、一般人の耐久力に合わせて出力を調整した雷を、想像し、創造する。
「少し痺れるけど、我慢しなさい」
その瞬間、天より降り注いだ落雷はファランクス部隊を直撃すると、農民兵たちを感電させ戦闘不能に追いやっていく。
見てくれは派手だがイメージが上手くいったのか、少々の火傷を負った者はいても死者はいない。大帝の剣に支配された農民兵は、これにて完全に無力化された。
「よくも……やってくれたな……!!!」
呪縛と落雷によって壊滅した部隊の中央で、ただ一人残った鬼銃葬者はわなわなと震える。
鬼面の下の瞳を怒りで爛々と輝かせ、刀と銃を我武者羅に振るう。凄まじいほどの呪いが籠められた炎と銃弾の嵐が、猟兵たちに同時に襲い掛かった。
「魂をも凍てつかせる地獄の霊火……」
璃奈は九尾炎・最終地獄【狐九屠雛】を発動すると、呪力で強化された絶対零度の炎を自らの周囲に展開し、呪いの炎と銃弾を迎え撃つ。
極寒の業火が敵の攻撃を凍らせていく一方、フレミアは【雷帝の誇り】によって自らの戦闘力を増強し、雷を纏った魔槍や念動力で炎や銃弾を弾き飛ばす。
「今度はこちらの番よ」
全身に殺気を漲らせ、それに比例してさらに戦闘力を高めながら、フレミアは瞳を輝かせる。
仕掛けるのは雷撃による攻撃を強化する【エレクトロニック・インフェルノ】と【雷神の見る夢】の合わせ技。今度は手加減などしない、純粋な殺意から想像した無敵の雷撃を、鬼銃葬者に目掛けて解き放つ。
「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!?!?!!」
雷の槍に貫かれた鬼銃葬者の絶叫は、雷鳴をかき消さんばかりに戦場に轟き。
一瞬で黒焦げになった敵将へと、妖刀を構えた璃奈が切り込む。
「罪もない人達を洗脳した報い……受けてもらう……」
高速化の呪力を秘めた妖刀・九尾乃凶太刀による踏み込みから、もう一振りの妖刀・九尾乃神太刀と共に繰り出す連続斬り。切り刻まれた敵から、紅い華のような血飛沫が舞い散る。
「ゴハッ……ガハッ……」
フラフラとよろめきながら後ずさる鬼銃葬者に、さらなる雷撃が降り注ぐ。
フレミアの瞳が輝く限り、無敵の雷による攻撃は止まず。彼女自身の寿命を削りながらも、雷撃は目標を完全に灼き尽くすまで続く。
そして璃奈は双刀での連撃から魔剣バルムンクへと得物を持ち替えると、重く鋭い剛剣の一撃にて、全てを両断せんと振り下ろす。
「申し訳……ありませぬ、弥助様、信長様……ギャァァァァァァァァァッ!!!!?」
無敵の雷が呪われし銃を灰燼へと帰し。
魔剣の刃が怨念の刀を粉々に切り砕く。
それが、武の研鑽と殺戮に取り憑かれし修羅、鬼銃葬者の最期であった。
指揮官の消滅により、洗脳されていた農民兵たちも正気に戻る。
猟兵たちは無事、一人の戦死者も出すこと無く、敵軍の部隊を壊滅させたのだった。
大成功
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