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エンパイアウォー⑨～魍魎に憑かれし女忍達

作者：ゆうきつかさ

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●サムライエンパイア
　『第六天魔王』織田信長の居城、魔空安土城へ向かう幕府軍は、最大の難所である関ヶ原に集結した。
　ここからは関ヶ原で幕府軍を待ち受ける信長軍を突破し、さらに山陽道、山陰道、南海道の３手に別れて進軍することになった。
　関ヶ原で待ち受ける軍勢は、魔軍将、軍神『上杉謙信』と、大帝剣『弥助アレキサンダー』。
　それを越えた先でも、山陰道には、陰陽師『安倍晴明』。山陽道には、侵略渡来人『コルテス』、南海道には、大悪災『日野富子』の軍勢が待ち受けていた。
　猟兵達は、この魔軍将の軍勢を撃ち破り、最低でも１万人以上の幕府軍を魔空安土城に到達させねばならなかった。

●山陽道熱波地獄
　侵略渡来人・コルテスは、幕府に叛意を持つ長州藩の毛利一族を手駒に、多くのオブリビオンを生み出し、幕府軍の迎撃準備を整えていた。
　その方法は『山陽道周辺の気温を極限まで上昇させ、進軍してくる幕府軍を、熱波によって茹で殺す』という非道な作戦であった。
　山陽道の平均気温は夜間でも３５度を超えており、このまま、コルテスの儀式が進めば、平均気温が５０度を超える殺人的な暑さとなる事は確実であった。
　しかも、コルテスの策略は熱波だけでは無く、同時に『南米原産の風土病』も蔓延させ、幕府軍に死をまき散らそうとしていた。
　ただし、この風土病のウィルスは、極度の高温でなければ死滅する種類であるため、熱波を生み出しているオブリビオンさえ撃破できれば、風土病も阻止する事が出来るようだ。

●ガジルからの依頼
「暑くて死にそうなんだよ」
　ガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）が青ざめた表情を浮かべ、今回の依頼を説明し始めた。
　塩飴が甘く感じる程、夏バテ気味のせいか、その表情は虚ろ。
　心ここにあらずと言わんばかりに放心状態のまま、奇妙な踊りを踊っていた。
　今回の目的は、熱波を生み出しているオブリビオンを倒す事。
　そのオブリビオンの名は、『魍魎に憑かれし女忍』。
　魍魎に憑かれし女忍は富士の噴火エネルギーを蓄えた霊玉で儀式を行い、周囲の温度を上げているらしい。
　しかも、魍魎に憑かれし女忍は、強大なる魑魅魍魎に敗れて深手を負い、寄生型魍魎に憑かれているため、どんなに傷ついても退く事がない。
　そう言った意味でも、情けを掛ける必要がないため、全力で倒してほしいという事だった。

第1章 集団戦 『魍魎に憑かれし女忍』

POW   :    魍魎呪術・狂化 【魍魎に狂わされて狂戦士】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。 SPD   :    魍魎呪術・降魔化身法【偽】 【魍魎におぞましき呪いを流し込まれ】【全身の傷口から血を噴き苦しみ悶えながら】【恐るべき力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。 WIZ   :    魍魎呪術・殺戮変化 【魍魎によって強制的に高速殺戮形態】に変形し、自身の【只でさえ消耗しきっている気力・体力】を代償に、自身の【攻撃力と敏捷性即ち殺戮効率】を強化する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●山陽道周辺
「……まったく、富士の霊山になんちゅう真似しよるんじゃ！　破戒の身とはいえ、この事態は捨て置けんわっ！」
　浅杜守・虚露（浅間雲山居士・f06081）は魍魎に憑かれし女忍達が行っている儀式を阻止するため、仲間達と共に山陽道の山奥にやってきた。
　魍魎に憑かれし女忍達は、富士の噴火エネルギーを蓄えた霊玉を使い、儀式を行う事で周囲の温度を急激に上昇させていた。
　その影響で辺りは、灼熱地獄。
　服がベットリと張り付き、みんな喉がカラカラだった。
「どうやら、魍魎に取り憑かれたせいで、自我を失っているようだな」
　そんな中、クロウ・ファンタズマ（黒焔のネクロマンサー・f21283）が茂みに隠れ、魍魎に憑かれし女忍達に視線を送っていた。
　魍魎に憑かれし女忍達は虚ろな表情を浮かべ、文字通り何かに取り憑かれた様子で儀式を行っていた。
　そのため、猟兵達の存在にも気づいておらず、儀式に集中しているようだった。
「つまり、深手を負ったまま、無理やり動かされているって事っすか。可能であれば助けたいところっすが……」
　久遠・翔（性別迷子・f00042）が複雑な気持ちになりつつ、拳をギュッと握り締めた。
　現時点で、女忍達に取り憑いた魍魎を払う方法は分かっていない。
　最悪の場合は彼女達の命を奪う事でしか、救う事が出来ない可能性も高かった。
「……せめて苦しまない様にやるしかないって事っすか。でも、情けをかけたら駄目とは言っていないっすよね？　その方が仕事の後の飯が美味くなるし、仕方ないっすよね！」
　秋山・軍犬（悪徳フードファイター・f06631）が何やら名案を閃いた様子で、物陰を移動しながら、魍魎に憑かれし女忍達に近づいていった。
「それならば、私も……ちょっとやってみたいことがある」
　中村・裕美（捻じくれクラッカー・f01705）も同じように名案が浮かんだのか、反対側から回り込むようにして、魍魎に憑かれし女忍達に近づいた。
「俺も女の子が辛い目に遭うとって見過ごせるほど、鬼やない。だから茉莉也ちゃん、くのいちの子らを助けるで！」
　法悦堂・慈衛（法悦の求道者・f03290）も覚悟を決めた様子で、七々鐘・茉莉也（羅刹の戦巫女・f11217）に声を掛けた。
　本来であれば、心を鬼にして女忍を倒すべきかも知れない。
　だが、女忍の命を奪う事が、必ずしも正しいとは思えなかった。
「ありがとう、慈衛くん。私も同じ事を考えていたの！」
　茉莉也も慈衛と同じ気持ちでいたため、何処かホッとした様子で笑顔を浮かべた。
「万が一、失敗するようなことがあれば、遠慮なく行くわよ」
　そう言って子豚・オーロラ（豚房流剣士・f02440）が仲間達に対して警告した後、【爆肉変態法（バクニクヘンタイホウ）】を使い、更なる乳肉、更なる尻肉、更なる腿肉を宿し、自らの肉体を強化するのであった。

●魍魎に憑かれし女忍達
「フルコースモード限界突破ッ！　……フルコースッ!!　……ゴオォォルデンッ!!!」
　すぐさま、軍犬が【フードスペシャリテ・フルコースゴールデン】を使い、全身を食事で得た活力を変換した黄金のオーラで覆い、自らの意志の力……特にフードファイターの矜持に比例した戦闘力を増強させた。
　そして、食事による活力は体と心を癒し、時として体の悪い物を消し去り、取り除く。
　それは魍魎であっても、同じ事。
　故に、女忍の体と心を癒し、取り憑いた魍魎を打ち砕くため、軍犬に迷いはなかった。
「……修正……修復」
　裕美も【リアリティハッキング】を使い、魍魎に憑かれし女忍の肉体をハッキングすると、怪我をしていない肉体のデータを上書きして、深手の傷を治療する事で、魍魎を引き剥がした。
「いくでぇ、茉莉也ちゃん」
　続いて慈衛が茉莉也と連携を取りつつ、偏愛真言符の炎で、魍魎に憑かれし女忍達を牽制した。
「可愛い娘が苦しんでいるのは放っておけないものね、慈衛くん？　私、信じてるから！」
　それに合わせて、茉莉也が【桃染ノ自在装衣（ピーチストレンジャーフォルム）】を使い、自らの肉体を桃色のドレスを纏った変幻自在形態に変え、魍魎に憑かれし女忍達を捕縛した。
「……ああ！　俺は女の子が大好きやから、絶対みんな助けたる」
　その気持ちに応えるようにして、慈衛が茉莉也と息を合わせて、破魔の力を流し込み、女忍に取り憑いていた魍魎を消滅させた。
「石長姫ちゃん、頼むでぇ」
　すぐさま、慈衛が【式の壱・石長姫（イワナガヒメ）】を使い、式神符から現れた光の女神の抱擁で、女忍の傷ついた身体を癒していった。
「怨、怨、怨、怨、怨！」
　だが、その事に危機感を覚えた魍魎達が、おぞましき呪いを女忍達に流し込んだ。
「ぐわあああああああああああああああ！」
　それと同時に、女忍達の全身から大量の血が噴き出し、苦しみ悶えながら恐るべき力を身体に宿し、暴走気味に襲い掛かってきた。
「……あっちも必死なようね」
　それを迎え撃つようにして、オーロラが強化された体で、魍魎に憑かれた女忍を薙ぎ払い、範囲攻撃を仕掛けつつ、串刺しにしながら生命力を吸収した。
　しかし、魍魎に憑かれた女忍達の暴走は止まらない。
　まるでケモノの如く叫び声を上げ、再び襲い掛かってきた。
「だからと言って、このまま死ぬつもりはないんでな。邪魔立てするなら、排除させてもらう」
　クロウも肉断ち包丁を怪力でブン回し、魍魎に憑かれた女忍を叩き切った。
　それでも、魍魎に憑かれた女忍が襲い掛かってきたため、怪力で地面を踏み砕くと、その隆起した地面の一部を蹴り飛ばし、容赦なく心臓を貫いた。
「魍魎に憑かれた女忍には悪いが押し通る！　手厚く弔う故、勘弁せい！」
　続いて、虚露が覚悟を決めた様子で【剛体極致（フルパワー）】を使い、ヒトの限界を超えて発達し異形化した筋肉と黒い肌、３mを超える体躯を持つ筋肉の魔人に変身すると、魍魎に憑かれし女忍を一撃で仕留める勢いで拳を叩き込んだ。
「うぐ……がはっ！」
　その一撃を喰らった女忍が大量の血を吐きながら、崩れ落ちるようにして血溜まりの中に沈んでいった。
（「ま、まだ助ける事が出来るはずっす。だから俺は……諦めないッ！」）
　そんな中、翔が第六感と残像を駆使して、魍魎に憑かれた女忍の攻撃を避け、背後に回り込むようにしてギュッと抱きしめた。
「この痛みから抜け出したいか？」
　その上で翔が魍魎に憑かれた女忍に対して、大声で問いかけるのであった。

●女忍の願い
「お願い……助けて……」
　女忍が今にも消え去りそうな声で、悲鳴にも似た声を上げた。
　だが、その言葉を遮るようにして、女忍の中で魍魎が暴れ、全身の血管が浮き上がって、ブチブチと音を立てて千切れていった。
　それでも、女忍がボロボロと涙を流し、全身血まみれになりながら、必死になって助けを求めていた。
「だったら、俺が助け出してみせるっす！」
　その気持ちに応えるようにして、翔が【無自覚の使役術（リンカーネーション）】を使い、無自覚に全身から女忍を使役獣に変えるオーラを放った。
　次の瞬間、女忍が使役獣としてチビキャラに変身し、半ば追い出される形で魍魎が外に飛び出した。
「人々を守る為、強大なる魑魅魍魎に立ち向かった彼女達が、何の救いもなしに倒されるのはおかしいっす。ぶっつけ本番！　出来るかどうかは分からない……だがッ！　ここでやらなきゃ、男じゃねえっす！」
　軍犬も破魔の力を込めた【圧力拳（プレッシャークッカー）】を女忍に叩き込み、体の中から魍魎を追い払った。
「ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン！」
　そのため、宿主を失った魍魎達が恨めしそうな声を響かせ、辺りをグルグルと飛び回った。
「彼女たちを使い捨ての道具と思って使い方を考えなかった、あなた達の負けよ、魍魎ども。それとも、私を操ってみる？」
　そんな空気を察したオーロラが、女忍と同じ高露出で豊満な体を見せ、宿主を失った魍魎達を挑発した。
「ウォォォォォォォォォォン！」
　その挑発に乗った魍魎達が、群がるようにしてオーロラに襲い掛かった。
　だが、オーロラに取り憑くことは困難で、彼女を支配下に置く前に、問答無用で切り捨てられた。
「……これでもう少し……戦える」
　その間に、裕美がドラゴンエナジーを飲み干し、荒々しく息を吐き捨てた。
　それと同時に全身に力が漲り、8717万2485秒不眠不休で戦えそうなほど元気になった。
「グガァァァァァァァァァァァァァァァア！」
　しかし、女忍達は魍魎によって狂わされ、狂戦士と化しているため、未だに勢いが衰えていなかった。
「……霊玉は任せる！　誰か止めてくれぃ！」
　それを迎え撃つようにして、虚露は圧倒的な存在感を放ち、魍魎に憑かれし女忍達の注意を引いた。
「結局、やること自体は変わらねぇ。爆破炎上して成仏しな！」
　次の瞬間、クロウが【ブレイズフレイム・マットブラック】を発動させ、左手や口から噴出する地獄の炎で、富士の噴火エネルギーを蓄えた霊玉を木っ端微塵に破壊した。
　その途端、先程までの暑さが嘘のように消え去り、女忍に取り憑いていた魍魎達も消滅した。
「ある意味、彼女達も戦争は犠牲者だったのかも知れぬな」
　虚露が女忍達の亡骸を見つめながら、ゆっくりと両手を合わせた。
　それは魍魎によって、奪われた命……。
　精神と肉体に過度な負荷が掛かったせいで、魍魎が消えた後も意識が戻る事はなかった。
「それでも、みんなのおかげで救う事が出来た命もあるわ」
　そう言って茉莉也が、命懸けで救い出した女忍を抱き寄せた。
　だいぶ体力を消耗しているため、自分の力で起き上がる事が出来ないもの、意識はハッキリとしているようだ。
「よう頑張ったな。もう大丈夫や、今はゆっくり休みぃ」
　それに気づいた慈衛が女忍の手を繋ぎ、優しく語り掛けた。
　その言葉で緊張の糸が解れたのか、女忍がホッとした様子で眠りについた。
「みんな、これで大丈夫……って、あれ？　ひょっとして、興奮してる！？」
　そんな中、翔が興奮した女忍に性的な意味で襲われ、困った様子で悲鳴を上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年08月15日