エンパイアウォー⑥~ファンクスを駆る戦鬼
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さて関ケ原に到着しました徳川軍。その前に立ちはだかるのは、上杉とアレキサンダーの合同軍でございます。上杉は車掛の陣を敷き、弥助アレキサンダーが展開した陣は重装歩兵によるファランクス――舶来の戦術でございます。
256名からなる40のファランクス隊。その内の1つ、部隊の中央で石に腰掛けた黒い男。
「洗脳し傀儡とした兵をもって、弱卒の軍を打ち倒せ、か。つまらん仕事だ。
この陣を越える強者がいれば、少しは面白くなるのだがな」
男はひょいと立ち上がり、兵達へと声をかけます。
「左、大盾! 右、長槍! 構えよ! ――徳川の兵達を迎え撃つぞ!」
言って男は拳を握りますってぇと空へ向かって振り上げる。振り抜いた拳の衝撃波が天の雲に穴をあけ、ドォンっと落雷の如き轟音が関ケ原に響き渡る。
これが俺の陣太鼓だ、っとばかりに男が号令をかけ、ファランクス隊の穂先が徳川軍へと迫ってまいります。
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「サムライエンパイアでの戦争に係わる依頼だ」
グリモアベースで説明を始めるのはディスターブ・オフィディアン(f00053)
「徳川軍は無事、関ケ原までたどり着いている。だが敵は近くの農民を洗脳し兵卒として、徳川の軍隊に対抗しようとしている。
――カラクリは分かっている。対策もな。
魔軍将の一人、弥助アレキサンダーがもつ洗脳能力。それを指揮官役のオブリビオンが中継し、農民たちを傀儡としている。
打ち破るには指揮官役のオブリビオンを撃破すれば良い。それで洗脳が解けて一部隊を無力化できるというわけだ。
今回、相手取るのは指揮官役のオブリビオンの一人、黒い男――『修羅』だ。元より破壊衝動のままに暴れることを好むようでな。自分の元に猟兵が来たと知れば嬉々として戦いを挑んでくるだろう。
「つまり、ファランクス部隊になるべく被害を出さないよう、指揮官『修羅』の元へたどり着き撃破する必要がある、という事だ」
ファランクス部隊を突破する手段は問わない――戦う必要がない、というより戦いを避けたほうが良い相手でもある。
正面から切り込むよりは、指揮官だけを狙ったほうがよい、とディスターブ。
「知らしめてやるがいい。信長の首を狙っているのは弱卒だけではないという事をな」
雲鶴
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
関ケ原~魔空安土城までに立ちはだかる五つの脅威のうちの一つ、『大帝の剣』弥助アレキサンダーのファランクス部隊の対策シナリオです。
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今回マスターを務める雲鶴と申します。
オブリビオンボスとの純戦ではありますが、ファランクスの兵士たちをどう突破するか、併せて工夫が必要となります。
それでは皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『修羅』
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POW : 蹴り殺す
単純で重い【山をも穿つ足技】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 殴り殺す
【ただ力任せに拳を振り抜くこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【巨岩をも砕く風圧】で攻撃する。
WIZ : 怒り殺す
全身を【黒曜石の角】で覆い、自身の【眼に映る全てに向けられた殺意】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠光・天生」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フルール・トゥインクル
農民の方を洗脳して操るなんてひどいも酷いのです
でも修羅を倒せば解放できるのなら、助けない手はないのですよ
抜けるべきは重装歩兵ですか、動きが重そうですし攻撃範囲から飛んで行っても行けそうですがここは攪乱も狙ってみるのです
ライオンライドでリオンを呼び出して騎乗。ダッシュでファランクスの足元をすり抜けて修羅の元へと向かうのですよ
修羅の元へ辿り付けたら連綿と続く尊き血で変身
続けて全力魔法でエレメンタルファンタジアを使用
樹属性の竜巻を生み出して樹の根で拘束を狙い、そのまま絞めつけるのですよ
相手からの攻撃はファランクスに影響がなければ勘も用いて回避
影響が出そうならオーラ防御も用いて受け止めるのです
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さて槍と盾を持った農民兵達。十六人十六列の隊伍でもって足を進めてまいります。
前を見る目に光は無く、ただ命じられるままに歩んでいく。
「ひどい、ひどいのです」
怒りもあらわにその光景を見下ろしておりますのはフルール・トゥインクル(導きの翠・f06876)。
「農民の方を洗脳して操って戦わせるなんて……むー」
身の丈八寸、二対の羽でもって空を飛びながら、農民兵の様子に頬を膨らませております。
――このまま頭上から飛び込んでもいいのですけれど。
フルール一計を案じまして行軍する脇の茂みに着地して身を隠す。呪文を一つ唱えますってぇと、たちまち響く獅子の咆哮!
思わず修羅が農民兵達の足を止めさせた途端、茂みから飛び出す金色の獅子! フルールが呼び出した猫ほどの小さなライオン、リオンでございます。
「さあ行くですよリオン!」
その背に乗ったフルールが指さした先は、農民兵たちの足元。小さくても獅子は獅子。牙をむき出しに足元を駆け抜けるものですからたまりません。あちらでぶつかり、こちらで転び、振り向く拍子に槍がつっかえて、てんやわんや。
「ええい、密集をとき、隊列を組みなおせ! ――む」
農民兵達を存分に撹乱しましたフルール、号令を下す修羅の前へと躍り出る。
「みなさんの洗脳、解かせてもらうのです!」
「出来る物ならな!」
修羅が放った回し蹴り、跳んで躱したリオンの背からフルールが空へ飛び立つ。リオンの着地際を狙おうと修羅が二段蹴りを放った瞬間、フルールの右目が金に輝き、彼女の背丈が見る間に伸びる!
人間並みの背丈になりましたフルール、リオンを庇って修羅の蹴りを受け止める。お返しとばかりにフルールが修羅へ向けて手を伸ばすと、大地からあふれるように木の根が伸び、竜巻のように渦を巻いて修羅へと襲い掛かる。
跳び退って間合いを取った修羅、術者であるフルールに目を向けて、遠間から拳を振り抜きます。轟音と共に放たれた衝撃波、フルールはオーラ防御でもって受け止めますが――術への制御が切れ樹の竜巻が力を失ったように解けてまいります。好機と見た修羅が彼女へ向けて大きく跳躍。
「躱した所を狙おうと思ったが、後ろの農民を庇ったか。馬鹿な奴め!」
「あなたを倒せば解放できるのなら、助けない手はないのですよ! ――お願い、もう一度、力を貸して!」
フルールの言葉と同時、再び跳ね上がる木々の根。力を振り絞るように渦を巻き空中の修羅を絡めとる。フルールも右目を金色に輝かせ、全ての魔力でもって木の根を操り修羅の身動きを封じて絞めつける。
修羅が力づくで脱出する頃には、その骨に無数の罅が入っておりました。
成功
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ルード・シリウス
成程…実に理に適ってるな。
農民だろうと武器を持たせ、意識を支配して兵に仕立て上げる…嗚呼、悪くない。が、相手が悪いな…。
◆行動
装備による迷彩で景色と同化し、気配と音を可能な限り殺して存在を消し、景色に紛れ痕跡を残さぬ様、静かに這う様に指揮官へと接近
接近出来たら暴食剣、呪詛剣の二刀を構えて【鮮血暴君の魔剣】発動。怪力込めた二刀による連撃と捕食能力(吸血&生命力吸収)による継戦維持能力で、接近戦での斬り合いに持ち込ませる
また、敵の攻撃に対して捕食能力を過信し過ぎず、残像と見切りで可能な限り被弾を抑える
農民を狂化させて兵に仕立てるのは敵ながら良い手だ。が…狂った奴に『存在しない』モノは認識出来ないぜ
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農民兵たちの混乱に乗じて動きましたのはルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)。茂みの中、足音一つ立てずにファランクス部隊へと歩んでいきます。
不意に農民兵の一人がルードのいる茂みへと目を向ける。何の表情も浮かべぬ虚ろな目。息を呑んで呼吸を止めるルード。
農民兵は彼に気付くことなく、また別の茂みへと目を向ける。彼がまとう呪錬戦衣と幻影の外套に込められた認識阻害の術式が、彼の存在を隠しておりました。
そうして農民兵をやり過ごしながら、ルードは中央の修羅へ向かいます。
――成程……実に理に適ってるな。
農民兵の姿を見ながらルードはそう評価を下します。人権人道なんて言葉はハナから頭にありません。己の命すら戦いの中投げ捨てるような男でございますから人の情など頓着しない。
――合理的だ。敵地の農民の意識を支配して、武器を持たせて兵に仕立て上げる……。損耗するのは敵だけ、嗚呼、悪くない。
なんてぇ事を考えながら進むルードの視線の先、隊列を整えようと指示を飛ばす修羅。
見つけたッとばかりに飛び込むルード、己の血でもって携えた剣の封印を解き、暴食剣、呪詛剣の二刀でもって修羅へと切りつける。
「猟兵!? どうやってここに!」
「洗脳で狂った奴に存在しないモノは認識出来ないぜ」
横薙ぎ一閃、暴食剣が修羅を背中から切り裂く。追撃に振り下ろした呪詛剣を修羅がかがんで躱し、カウンター。放たれた後ろ回し蹴りをルードは身を逸らして回避。眼前を掠める修羅の蹴り、銀の髪がパッと宙に舞う。
それらが地につかぬ間に、ルードが切っ先を返し、修羅が軸足を入れ替えて足を上げる。同時に放たれる蹴りと斬撃! 修羅の蹴りがルードの右拳を砕き、暴食剣の切っ先が修羅の左肩を深く切り裂く!
痛み分け、修羅が追撃を警戒して呪詛剣へ視線を向けた瞬間、ルードは砕けた右手でもって暴食剣を修羅へ叩きつける!
黒い刀身が修羅の首筋に食い込み、ルードの右手がミシリと軋む。そのまま折れた指に力を込めて暴食剣でもって修羅の首を落とそうとするルード。修羅もたまらずルードを蹴り飛ばし、その反動でもって後ろへ跳ぶ。
ルードの刃は修羅の首を切り裂きはしましたが、致命傷にはまだ遠い。
「――片手一つ潰した割に、安い傷だ」
「当然。潰してなんかいないからな」
言って剣を構えたルードの傷、砕かれたはずの右手が見る間に治る。暴食剣「神喰」が吸い取った修羅の血がダンピールである彼を癒していきます。
再び切り込むルードと迎え撃つ修羅、たがいに傷を負ってまいりますが、再生能力を持たぬぶん修羅が不利。焦って大振りになった蹴りを、ルードは残像でかわして鋸刃一閃!呪詛剣「無愧」の一撃が、修羅の体を大きく切り裂きました。
成功
🔵🔵🔴
ニノマエ・アラタ
■ノゾミ(f19439)と
■推測
・農民は「隊列を組まねばならない」洗脳をうけている。
「隊列から外れた者」は自然な流れで間に入れてくれるかもしれない。
・攻撃の意思なく、殺気を出さず、目立だたぬよう、
隊列左(盾側)より加わり中央敵(ボス)をめざして移動。
中央についたらさりげなく敵の傍で待機。
ノゾミが出現したら、そのまま敵のいた場所へ入って
大将のふりをして行軍を続けさせ、見守りと防護を。
敵一人をその場に止め残し、農民は移動させ
徳川方へ進んだ方が被害が少なくすむのではないか。
敵が洗脳伝令に集中できなくなれば、
農民を退避させ敵の範囲攻撃を受けない場所へ逃がす。
残された者がいればUCで加速して拾いに行く。
青霧・ノゾミ
■ニノマエ(f17341)と
ニノマエが中央へ辿りついたら、霧と共に敵前へ姿を現す。
こんにちは。こんなにたくさんの兵士に守られて、ご機嫌かな?
敵の初撃はまず盾受けでがっつり防ぐ。
農民たちが巻き込まれたら大変だからね!
防いだら、不敵な笑みを浮かべて逃走するよ。
残像を残すほどのスピードで、鬼ごっこだ。
さあ、僕を捕まえられるかな?
じつは敵を陣形の外へおびき寄せるつもりなんだけどさ。
素早く動き回って足止めをする。
えーと、きみの自慢の足技は軸足を潰して使えなくしちゃおうかな?
狙っといて隙あらば行くから。
風圧は農民に向けちゃダメだからこっちに…って、
身体がきしむなあ。
王子らしく助けに入れたら、ま、いっか。
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度重なる襲撃に傷つく修羅、彼の体力に比例するように、『大帝の剣』による洗脳も揺らいでまいります。
一旦は隊列を戻しましたものの、行軍をするうちに徐々に列が乱れてくる。その度に修羅は足を止めて隊列を戻します。
そこにフッと紛れ込みましたのはニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)。農民兵達と同じ格好をして何食わぬ顔でファランクスの列に加わります。
――農民たちは『隊列を組まねばならない』洗脳をうけている。殺気を抑えて『隊列から外れた者』を装えば、自然に間に入れてくれると思ったが。推測通りだったな。
さて本来256人の陣形が257人になりましたから自然隊列も乱れやすくなる。おまけにニノマエ自分でも隊列が崩れるように工作をする。修羅がそれを正そうとたびにニノマエは修羅に近い兵と入れ替わってまいります。
そうしてニノマエが修羅の真後ろについた頃、不意にあたりに真っ白い霧が出てまいります。三寸先も見えない深い霧に修羅が足を止めさせ、油断なく周囲を探る。
「来たか、猟兵」
「そうさ。こんなにたくさんの兵士に守られて、ご機嫌かな?」
霧に紛れ、現れた人影へ修羅が拳を振り抜き、その拳圧を人影が弾く。吹き散らされた霧の中、現れたのは青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)。
微笑みながら愛用のナイフ『氷刃』を構えますと、お返しとばかりに修羅へと駆けだし、すれ違いざまに切り付ける。切っ先を膝の角ではじく修羅。ノゾミの背中に向けて蹴りを放ち、その一撃が空を切る
「ははっ、こっちこっち。――鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
残像でもって修羅の一撃を躱したノゾミ。囃し立てて修羅の注意を引きながら、少しずつ農民兵達から引きはがして参ります。
修羅の号令もなく、農民兵達は棒立ちでございます。そこで動きましたのは、紛れ込んでいたニノマエ。スッと修羅がいた中央に立ちますってぇと。
「全員進め!」
っと号令をかける。洗脳された農民兵達にとって、号令をかけるのが、修羅であろうと誰であろうと同じ事。命じられるままに歩んでまいります。
流石に慌てた修羅、ノゾミとの戦いの手を止めて、農民兵達の洗脳に集中しようとする。
「止まれ! その男の号令に……っ、邪魔をするな!」
「邪魔されたくなければ、先に僕を倒すことだね」
修羅に切りかかって洗脳を妨害し、足止めを行うノゾミ。その隙に、とばかりにニノマエは農民兵達を進ませていく。とは言え、修羅の方の号令を聞いたものもあり、ニノマエに付き従ったのはおよそ三分の一程度。
――まあいい。まずは彼らだけでも巻き添えになる場所から逃がしておこう。
遠ざかっていくニノマエと数十人の農民兵達。その一方で修羅と戦うノゾミは霧に紛れて残像を生じさせる。霧の中、修羅を囲む四つの人影。まとめて蹴り飛ばすとばかりに、修羅が回し蹴りを放てば、一人二人と像が消えて三人目。するりと足先を躱して軸足へと氷刃で切り付ける。修羅が放つ反撃の突き蹴りもノゾミは跳んで躱し、そのまま霧の中へと紛れ込む。
「ええいしゃらくさい!」
我武者羅に拳を振るう修羅。拳圧によって霧が吹き散らされる中、遠くに見えた現れた人影に修羅が拳を振り抜く。放たれた拳圧が霧を押しのけ草むらを散らし、その先にいたのは盾と槍を持った農民兵。立ち竦む農民兵に拳圧が到達する寸前。
「させる物か!」
ノゾミがその前に割り込み、拳圧を受け止める。岩を砕き天まで届く一撃でございますから、中途半端な体勢で受けられるほど軽くはございません。ノゾミの体がミシリと軋み大きく後ろへ飛ばされ背中から農民兵にぶつかります。
「――お前もか。どいつもこいつも、弱者を守ることに余念がないことだ」
そこへ修羅が再び拳を振りかぶる。瞬間、パチリッと指を鳴らす音が響いた。そして轟音と共に放たれた修羅の拳圧の先には、ただ草葉が揺れるのみ。
直後、修羅の背後で響く足音。振り向いた修羅の目に映ったのは、切りかってくるノゾミと、農民兵を担いだニノマエの姿。避難を終えたニノマエが目にも止まらぬ速度で2人を修羅の一撃から守ったのでした。
「僕はあのままでも凌げたけどね」
「……礼くらい素直に言え」
迎え撃つように放たれた修羅の拳をニノマエもノゾミも難なく躱し、ノゾミの氷刃の一撃が修羅の左足を存分に引き裂く。
そしてまた、ニノマエが避難させていた農民兵達は、洗脳こそ解けぬままではございますがファランクス隊から離脱し、修羅が率いる重装歩兵隊は大いにその数を減じたのでございます。
成功
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緋翠・華乃音
ファランクスを相手に真正面から衝突するのは芸が無いな。
突破自体は容易いかも知れないが、可能な限り被害を出すなというオーダーなら、俺は背面から奇襲させて貰おう。
気配や存在感、呼吸や物音を極限まで消してファランクスの背面へ移動。
奇襲時には個々の兵の挙動を"見切る"事を重視。
一手目で敵を台に空中へ駆け上がり、槍と盾を足場に稲妻の如く陣中を進む。
オブリビオン相手には優れた視力や聴力、直感を頼りにその行動を予測。
間合いとタイミングを読んでヒット&アウェイの攻撃を仕掛ける。
常に最適な行動を心掛け、無駄な動きは一切せず、体得している戦法の全てを複合して戦闘に望む。
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さて大きく人数を減じた農民兵達。緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)は木々の影から、そ中央の修羅の様子を観察しております。
――オーダーは可能な限り農民兵に被害を出さず、修羅を撃破しろ、だったか。
華乃音は目的を再確認いたしますと、予め考えていた通り農民兵達の脇を抜け後方へとへと回っていきます。
――わざわざ盾を構えた真正面から挑むこともない。突破は容易だが、同士討ちの可能性もある。背面から奇襲させて貰おう。
行軍する農民兵達の背後、華乃音は音もなく木々から飛び出しますってぇと、農民兵の背中を台に隊列の頭上へと駆けあがる! 纏った闇色の外套をヒラリ翻しながら、兵達の手にした盾を足場に、陣形中央の修羅へと稲妻の様に突き進む。さながら義経の八艘飛び! 卓越した見切りの技術をもつ華乃音でなければ、すぐに地面に落ちて槍衾でございます。
さあ四人五人と踏み越えて、振り向く修羅の頭上を飛び越える。華乃音の右手には安全装置を外した自動小銃。
「新手かっ!」
「……period morpho」
それは名乗りか、死の宣告か。華乃音は空中で銃を構え、修羅が彼へと拳を向ける。同時に響く銃声と轟音! 放った銃弾が修羅の拳圧でひしゃげ、弾け飛ぶ! 華乃音、跳躍の勢いでもって、拳圧を躱しますってぇと近くの盾を足場に三角飛び。すれ違いざま抜刀一閃! 黒剣で修羅に切りつける。修羅、その一撃を右手の角でもって受け止めますと、着地を狙って回し蹴り。華乃音、大きく跳んでこれを躱し再び盾を足場に頭上に出る。
修羅が華乃音を狙って拳を握った瞬間、華乃音がその左手を大きく揮う。突如、修羅の周囲の空気が陽炎のようにゆらぎ、修羅の肉体を切り裂く銀の糸。華乃音、左手で銀糸を手繰り、右手で短剣を修羅へと投げ放つ。喉元へ迫る切っ先を修羅は己の身を裂きながら弾き飛ばす。短剣が地に突き立ち、その傍に先の銃弾がカラリと落ちた。
それを合図に再び修羅へと切り込む華乃音。迎え撃とうとする修羅の体がぐらりと揺れる。華乃音が切っ先に含ませていた即効性の麻痺毒でございます。
「――終わりだ」
宵闇の外套を蝶の羽の如くひらかせ、華乃音が振るった黒剣『夜蝶牙』の切っ先が修羅の体を存分に引き裂いたのでございました。
成功
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オブシダン・ソード
【剣と帽子】
錬成カミヤドリを発動、
44本の剣を空中で操作し、剣の腹で階段と、足場と、それから一時の得物を君に
曲芸じみてるけど空中戦ならお手のものでしょ
僕もゆっくりだけど後に続く
少しは出番残しておいてよ?
空中移動中、槍がくるようならオーラ防御で対応
敵将を見つけたら
分身の剣で範囲攻撃、ファランクスの槍だけ刈り取って、降下補助
雨が降ろうが槍が降ろうが、その陣形は揺らがないんだろうけど
剣と帽子で吹き散らしてみせようじゃないか
修羅との戦闘時には剣の群れを柵のように地面に突き刺し、敵兵の乱入を阻害
剣術で挑みつつ、分身の剣で引き続き足場と得物をアメリアに供給
さあ、鬼退治と行こう
その自慢の角をへし折ってあげる
アメリア・イアハッター
【剣と帽子】
剣の1本を受け取れば、ダンダンに先行し剣の階段を駆け上り、空に浮かぶ剣の足場を飛び移り敵将の元へ
観客も一杯いるからサービスしないとね
遅れたら全部私が片付けちゃうからね
移動は攻撃が当たらぬ様素早く、かつ後続が進みやすい様目立ちながら
敵将を見つければ、手に持った剣を思いっきり蹴り飛ばし敵将へ
蹴りの方がコントロールいいのよね私
狙いは牽制と味方への位置知らせ
彼が到着するまでは、浮かぶ剣を相手に蹴り飛ばし足止め
もし敵が剣を嫌がり跳べば、そこは空
帽子と剣の空中乱舞、特等席で見せてあげる
地上で剣戟が始まれば剣を蹴り飛ばし援護
敵の注意が完全に彼に向けば、敵真上から降下
UC発動
鬼の首を取っちゃおう!
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度重なる戦いに満身創痍となった修羅、それでも数を減じた農民兵達をつれ行軍を続けてまいります。その行く手を阻むように、2人の猟兵が立ちはだかります。
修羅の号令と共に、隊列を整え盾と槍を構える農民兵達。
黒曜石の剣を構えアメリア・イアハッター(想空流・f01896)が農民兵達へ向けて走り出す。一方オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)は、一糸乱れぬ動きに感嘆するように口笛一つ。
「ははっ、すごいすごい。雨が降ろうが槍が降ろうが、その陣形は揺らがないんだろう。けれど――剣と帽子で吹き散らしてみせようじゃないか」
駆け出していたアメリア、槍の間合いに入る寸前に大きく跳ぶ。
「着地際だ――突け!」
修羅の号令と共に農民兵達が一斉に槍を突き出す。その穂先がアメリアの体へ届く直前、彼女の足元へ滑り込む黒い影。アメリアそいつを足場にもう一つ跳んで穂先を躱す。黒い影の正体はアメリアが手にしたものと同じ、オブシダンが操る四十余りの黒曜石の剣、その一振りでございます。オブシダンの操作のまま宙を舞う黒曜の剣。アメリアその一つに着地しますってぇと、剣を足場に、農民兵達の頭上を走り出す。目指すは陣の中央、オブリビオン、修羅でございます。
「さあ、鬼退治と行こう」
オブシダンもまた黒曜の剣を足場に農民兵達の頭上を修羅へと歩んでまいります。修羅が彼を指さし号令一下、槍でもって叩き落そうとしますが、突き出される穂先を黒曜の刃が切り落とす。また黒曜の剣がない時を狙われても、オブシダンは身にまとったオーラでもってその一撃を防ぎます。そうして宙を歩みながら、オブシダン前を行くアメリアへ声をかける。
「おーい、僕にも少しは出番残しておいてよ?」
「えー? それならもっと急いでよ。遅れたら全部私が片付けちゃうからね。っと」
走るアメリア、足元から槍が突き出されるより先に駆け抜けてまいります。三つ四つと走り抜けて五本目、踏み出す先へ突き出された穂先をヒラリ飛び越えますってぇと、修羅へ向けて手にした剣を蹴り飛ばす。
アメリアへ向け拳を振り抜こうとしていた修羅、飛来する黒曜石の剣に狙いを変え拳圧でもって弾き飛ばす。
「えーっと、もうちょっと丁寧に扱ってほしいかな」
「ごめんね。私、こっちの方がコントロールいいのよね」
オブシダンの声にそう返し、アメリアは再び黒曜石の剣を修羅へと蹴り飛ばす。言葉にたがわず、その切っ先は修羅の喉元へ一直線。修羅そいつをしゃがんで躱しますってぇと。
「槍はもういい、全員盾を構えて支えろ。 ――落とすなよ!」
号令をかけ、盾を足場に修羅も農民兵達の頭上に出る。
「あら、嬉しいわね。わざわざそっちから来てくれるなんて。」
言って修羅の元へ飛び込むアメリア、勢いのまま跳び回し蹴り。修羅がそれを回し蹴りで持って迎え撃つ。一瞬の膠着の後二人大きく跳び退ります。アメリアは浮遊する黒曜の剣に着地し、修羅は農民兵が構えた盾の渕に足をつける。かすかに響く骨の軋む音――農民兵の盾を持つ手が修羅の動きに耐えられず折れかけております。
長く続けさせるわけにはいかないとばかりに黒曜の剣を打ち込むオブシダン、一つ二つと修羅の蹴りに弾かれますが、三振り目。切っ先を蹴り飛ばされますが、その勢いでもって剣を反転、柄頭を修羅のこめかみに叩きつける。たまらずよろめく修羅へアメリアが放った跳び膝蹴り。修羅の顎を捉えて、その体をファランクスの外へと弾き飛ばす。
地面に落ちた修羅へ追撃とばかりにオブシダンが飛び込み、剣を振り下ろす。修羅、脚を跳ね上げ刃を弾いて首跳ね起き。立ち上がった所へオブシダンの逆袈裟。修羅はこれを左肘で弾き、右の拳を振り抜く。オブシダン、身を翻して拳圧を躱し横一閃! 振り抜いた一撃が修羅の左腕を切り落とす。
たまらず大きく跳び退る修羅。そこへ再びアメリアが剣を蹴り飛ばします。
地上ではオブシダンが切りかかり、頭上からはアメリアが剣を打ち込む。隻腕となった修羅にもはやこの連携を押し返すだけの力はございません。
「お前たち――こいつらを止めろ!」
「おっとそうはいかない」
農民兵達に号令を下す修羅。それを遮るように黒曜の剣が地面に突きたち、柵となって兵達のゆく手を遮ります。
「農民兵達の助けは借りさせない。――その自慢の角をへし折ってあげる」
言って修羅へ切りかかるオブシダン、それを迎え撃とうと修羅が拳を構える。その頭上から急襲するアメリア!
一瞬の交錯の後、オブシダンとアメリアの一撃を受けて修羅が倒れ伏す。最後に放った拳の轟音が断末魔でございました。
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修羅が倒れ伏したのと当時に、農民兵達が正気を取り戻し、猟兵たちへと降伏いたします。関ケ原にて徳川軍を待ち受けていた『弥助アレキサンダー』の部隊に、また一つ勝利をおさめたのでございました。
大成功
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