エンパイアウォー⑲~神を敷く者の慢心
●侵略者故の見下し、慢心
「……見つけたぞ。ケツァルコアトルを。そして――神すらも虐げ、隷属させた元凶、コルテスをも、だ」
霧島・カイト(氷獄喪心の凍護機人・f14899)は、傍らに物凄い勢いでやけ食いをしている仔竜(たいやき)を余所に、集まってきた猟兵達に説明を始める。
「場所は安芸は宮島――厳島神社だ。ここでコルテスは、まるで戦いを見物するように、悠々と座している」
あれだけの事を行った男なのだ。相当な恨みを飼っている筈だろうことは想像に難くない筈だが、何故そんな余裕を見せているのだろう?
「それこそが……今回、俺達が『突ける』コルテスの弱所だ。確かに強敵だが、コルテスはどうやら――余りにも他力本願で安全地帯から戦いすぎた結果、『戦い方』を忘れているらしい」
「つまりは、だ。予想できない攻撃を工夫して撃ち込めば、反撃出来ずに一方的にやられてくれるらしい」
カイトが言うには、単調な攻撃や、『一度見た』攻撃は純然に強烈な反撃を仕掛けてくるが、工夫して、彼が予想出来ない攻撃を撃ち込めば、一方的に討ち取る事も可能だというのだ。
「……慢心さえしなければ確実に強敵だったろうに、どれだけ俺達は下に見られているのだろうな? まぁ、色々工夫し、先行する猟兵の交戦記録も確認する等して、確実な勝利をもぎ取ってくれ」
転送準備をする最中、何か期待をするような眼差しを向けた猟兵に、カイトは淡々と事実を告げる。
「ケツァルコアトルは――」
「……『隷属の呪い』『コルテスが死ぬと自身も死ぬ呪い』の2つを受けている。故に、もう逃げ場は無い。……楽にしてやってくれ」
その淡々とした言葉の最後、それこそが予知をしたカイトの偽らざる本心だったのかも、しれない。
逢坂灰斗
そういえばなんでかこういう系列の人らって原住民とか現地人を下に見てきますよね……
逢坂灰斗です。
今回は『厳島神社で高みの見物をしているコルテスに、痛い目を見せてやろう』というシナリオです。
【MSより】
・このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
・コルテスの『同じ攻撃』『類似攻撃』判定は、『このシナリオ内』のみを基準とします。判定前にプレイングを提出して、同じ攻撃手段や類似攻撃で被ってしまわぬよう、慎重に立ち回るのも手かもしれません……。
・なお、チームや団体で参加される方は迷子防止の為【一緒に参加される相手】か【一緒に参加するグループ名】を必ずご記述ください。
では、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。……御武運を。
第1章 ボス戦
『侵略渡来人『コルテス』』
|
POW : 古典的騎乗術
予め【大昔にやった騎馬突撃を思い出す 】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : マスケット銃撃ち
【10秒間の弾籠め 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【マスケット銃】で攻撃する。
WIZ : 奴隷神使い
【ケツァルコアトルの噛みつき 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
イラスト:シャル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エル・クーゴー
●POW
躯体番号L-95、指定座標『イツクシマ』に現着
積極攻勢にシフトします
侵略者・コンキスタドール
サムライエンパイアへの襲来が初であるなら、この世界に由来する文化はおよそ未知であると試算されます
よって当機はこれより再現を開始します
サムライエンパイアの花火(ファイアワークス)を
・【ファイアワークス・ドライブ(攻撃回数重視)】発動
・マニピュレーターから繰り出す【メカニック+武器改造】でアームドフォートの砲台群を打上花火用煙火筒に改造
・尺玉の美の炸裂等、花火演出の数々と共に火砲を放ちまくる
・侵略者には爆発=破壊という認識しかあるまい
・炎色反応を駆使し視覚等に訴える芸術としての火薬運用、魅せてくれる
●ひとにむけてはいけません
朱塗りの大鳥居が、海上に揺らめく地――
此処は、古来より島其の物が神として崇められた『厳島』こと、『宮島』。
そこに座す不遜な輩は、下等種族の闘争など興味が無いかのように、下僕の力を用いて災禍をばら撒き――自らはこの地に居座っていたのだ。
そんな厳島神社へ向け、飛来する影が1つ。
「躯体番号L-95、指定座標『イツクシマ』に現着――これより積極攻勢にシフトします」
エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は宮島沖海上を駆け、平舞台に座す侵略者と囚われし異国の神を視界に収めると……後背に砲塔を展開する。
無論、ただの制圧射撃をしに来たわけではない。
(この世界への襲来が初であるなら、この世界に由来する文化はおよそ未知であると試算)
あくまで彼はこの戦争に乗じて世界を滅ぼし、奪い取りに来ただけの他人だ。だからこそ、この世界に対しては一切の理解を示さない。
「よって当機はこれより再現を開始します――サムライエンパイアの花火(ファイアワークス)を」
中空に、突如砲弾が飛び交い始めた。
「――下等種族は何故このようにいちいち争うのだ。勝手にやれば良いものを、何故こう小競り合いを続ける」
彼には理解できない。どんなにその光景が美しい彩りに溢れていようが。共感など一切しない。下等な文明から知ることなど、侵略者(コンキスタドール)達の優位さのみだ。
急に始まった理解しがたい光景に、呆けているうちに――
侵略者を襲ったのは、もっと理解し難い光景で。
どう考えても。その花火の彩りが、此方に向かってズレてきているのだ。そして。
「ただの侵略者にはこの砲撃がただの破壊にすら見えないでしょう」
花火仕様にチューンされた砲台群――そこから排出された尺玉がコルテスの顔面に直撃し、その華は咲く。当然ながら中身は火薬で……。
「炎色反応を駆使し視覚等に訴える芸術……それこそが、花火」
「――粋に、散ることを当機は推奨します」
コルテスには当然分からなかった。いや、見下した種族の文化など、彼にとってはどうでも良いことだろう。
……彼には砲弾が突っ込んできて、ついでにそれが爆ぜたようにしか思えなかったのだから。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
演出真の姿(人魚)上手く立つ事も泳ぐ事もできない。
特殊な喉の都合で台詞は心の中で。
転移時点で変身しておりべしゃっと地面にぶつかる。
そして海を見てコルテスとか放置で嬉しくなって一曲。
UC【世界が歌を聞き届ける】
彼女の声は生物の可聴領域には存在しない。
傍から見れば歌っているように見えるだけ。
その歌は生物に影響を及ぼさない。
けれど10秒もあれば効果を発揮し生物以外。
周りの建造物や自然、その手に持っている火縄銃が『歌い始める』
無理やり軋み震える事によって出す耳障りな不協和音の歌。
人魚をどうにかしても一度歌い始めれば早々には止まらない。
●打ち上げられた人魚の歌
派手な花火から数分後。
空中からべちゃんと何かが落ちてきた。
人魚――ではなく。宮落・ライア(ノゾム者・f05053)の姿。
一応彼女はキマイラなのだが、何故か平舞台に叩き付けられるように落下した姿はどうみても人魚である。
流石にまな板の上の鯉に興味を示す訳が無いのか、コルテスは落下物をちらと見遣った後、再び元通りの見物態勢に戻っていく。
それを都合よく思った彼女は、好機とばかりに、喜びを唄う。
唄う人魚の伝説など、各地には様々残っているだろうが、下等種族の伝説など、神を踏み躙った存在には興味外なのか、無視を貫く。
だが、……『神』だけは、違った。明確に彼女に対し、警戒の意を表していた。
「――何を許可なく唸っている。捨て置けば死ぬような物に撃ち込む弾など」
ケツァルコアトルは、神だから気付いていた。けれど、この侵略者はそんな風に即座に悟れる程、戦いを覚えている訳でもない。
それが世界に届くまでには数分も掛からなかった。
海が、唄う。 地が唄う。 大鳥居が唄う。 コルテスの携えた銃も、後ろに聳える拝殿も。
もっと言えば、彼らが座している――『平舞台』も、唄っている。
軋みを上げ、共鳴するかのように。不快な音の轟音を奏でて!!!
(――これがセイレーンの歌の真実かも知れないね。轟音に沈みなよ)
陸に打ち上げられて、唄うことしかしない人魚は歌い続ける。
宮島に響き続ける奏を聞き届けながら、けして届かぬ心の声を不遜の輩へと向けて。
大成功
🔵🔵🔵
ヨナルデ・パズトーリ
最早、死は免れぬ、か
ならば、其方の世界の妾に代わり妾の手で骸の海に送ろう
嘗て妾の世界の狂うてしもうた其方を送ったように!
海や森が傍に或る厳島神社の『地形を利用』
『迷彩』により『目立たない』様に『暗殺』の要領で隠れ隙を伺う
『野生の勘』と『第六感』を駆使し敵の隙を『見切り』『先制攻撃』
UC発動
『空中戦』で肉薄し『怪力』により振るわれる『呪詛』の籠った斧の『鎧無視
攻撃』を叩き込み更に其の『傷口をえぐる』様に『零距離射撃』で『高速詠唱』
により放たれる闇の『属性攻撃』の『全力魔法』を叩き込む『二回攻撃』
攻撃は『野生の勘』で『見切り』『残像』で回避
『捨て身の一撃』の『カウンター』で『全力魔法』を叩き返す
●最早、免れぬというならば
ヨナルデ・パズトーリ(テスカトリポカにしてケツァルペトラトル・f16451)の怒りは収まることは無かった。
厳島の自然に身を置き、隙を伺う彼女は確信する――
(……あやつ、隙しか無い。襲われるなどと、全く、一片も信じておらぬ)
あまりにも、慢心が過ぎる。此処まで来れば神だけではない――全てへの侮辱であろう。
半ば怒りのまま、平舞台に座したままのコルテスに向け――神は舞い上がった。
死神は、後背よりその得物を振りかぶる。やけにあっさりと通った攻撃であろうと、その手を緩めることはない。
傷口に、闇を、死を。不遜者には――罰を与えなければならぬ!!
「お主の所業は――神の怒りに触れたのだ!! 最早百億をも超える死では償いきれぬと知るが良い!!」
だが、男は。コルテスは、その不遜さを改める事は無かった。
「神を名乗るか。下等な存在が、名乗りのみで、我々よりも『崇高』であると言うとは――」
愚かだな。その口許は、この世の神々であろうとも、変わらなかっただろう。現に、その男は神を敷き、神を『使役』しているのだから――
……その惨状に、思わず眼を逸らす。
知っている存在とは似て非なるものとはいえ。神がその尊厳を奪われ、呪に囚われ――
生死すらも、共にせざるを得ないという、事実が。
「最早、死は免れぬ、か――ならば、其方の世界の妾に代わり妾の手で骸の海に送ろう」
神の咆哮が、衝突する。
「……嘗て妾の世界の狂うてしもうた其方を送ったように!」
成功
🔵🔵🔴
ヴィクティム・ウィンターミュート
俺はテメェが心底嫌いだ
安全圏から何もかも、ぶっ壊していきやがる
消えてもらうぜ──過去からな
敵の攻撃を無効化し、強烈なカウンターを返す
セット『Balmung』
奴が10秒間弾籠めをしてる間に起動
【覚悟】を決めて、完全脱力で受けて──53倍にして、エネルギーをぶん投げる
さて、知っていた場合の対策だが…
恐らく、ブラフで攻撃タイミングをずらすか…UCじゃない攻撃で一度怯ませてくるだろうな
だったらこっちも奥の手を使う
俺の大脳にはサイバネが埋め込んである
これを【ハッキング】することで、脳機能をシャットダウン
強制的に脱力状態に移行できる
再起動タイマーをセットすれば、即座に動ける
俺は奴のUCに合わせるだけでいい
●テン・カウント
舞台の壇上に、もう一人の姿が現れる。
その眼差しは嫌悪故の物で、コルテスに取っては非常に見飽きたものの1つであった、とも言える。
「俺はテメェが心底嫌いだ。……安全圏から何もかも、ぶっ壊していきやがる」
ヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は盤面に立ち、自分自身をも、いかなる札をも用いても、『勝利』を手繰り寄せる。
だが、眼前に座す男は自らを札には含めない。何処までも他を利用し、踏みつけ、自身はその顛末を一人安全たる場所で眺め続ける。
「消えてもらうぜ──過去からな」
彼の言葉にも、侵略者の傲慢は揺るがない。
「……下等の分際で、口だけは達者のようだな」
狙撃態勢に入った瞬間、構えを解くが――『撃ってこない』。
真っ先に違和感に気付いたのも、ヴィクティム自身だった。
(弾込めを忘れている――訳じゃねぇな、ありゃあ……)
そう、弾込めは『10秒』だが、撃ち込むのは何時でも良いのだから――
「呆けている下等に無駄玉など使わん。早々に死ね」
相手に見切らせる暇を与えないかのように、コルテスは『ずらし』に掛かったのだ。
だが――それも、彼の想定の上。彼は、その刹那に合わせて『札』を切ったのだ。
自身へのハッキングによる強制的な昏睡――そして、刻まれた時間での『復帰』。
「――ああ、『10秒』だな」
再び目覚めたヴィクティムが、その腕に宿していたのは、侵略者への意趣返し。
「テメェの手札(たま)でリロードさせて貰ったぜ……まずは俺の眼の前から消えな」
腕から放たれた弾丸状のエネルギーは、コルテスの慢心を更なる傲慢で返すかのようで。
他人を盾にし続けた果てに避けることを忘れていた者に、深く、突き刺さった。
成功
🔵🔵🔴
黒城・魅夜
【早業】で短剣を振り上げます。
真正面からの攻撃など無意味とあなたは嗤うのでしょうね。
ええ、攻撃します。
……私自身を。
この胸を深々と突き刺し斬り裂いて、鮮血を噴き出させましょう。
……自らを贄とする、こういった戦い方をご存知でしたか?
無論、ただ意表を突いただけではありませんよ。
我が血は霧と化し、周囲を包み込み、五感を低下させます。
あなたの銃の狙いも揺らぎ霞んで、精密性を失うでしょう。
むやみに撃っても、【見切り】【第六感】【残像】で回避。
そしてさらに。
この霧に包まれたものの運命は一つ。
体内から突き出る鎖に引き裂かれて散るのみです。
ではごきげんよう、挑発する価値すらない愚物よ。
そして……哀れな神よ。
●血贄の血霧
態勢を整え直したコルテスを見遣る眼差しもあった。
黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、手に女王を携えて。淑やかに歩を進める。
ああ、そんな見え透いたやり方なのだな、と感じたコルテスへ、彼女は答える。
「ええ、真正面からの刃など、下等の手段だと、嘲笑うおつもりでしょう?」
見透かすようなその眼差しの主は――その得物の刃を、自らに向けた。
「……自決か? 殊勝な心掛けだな」
「やはり、分かりませんか……」
胸元から、紅が噴出しているというに、嘆息するように、彼女は呟く。
「自らを贄とする戦い方――こういったものもあるのですよ」
その言葉と同時に……平舞台を血霧が包み込んだ。
血霧が、慢心した者の視界を、五感を、『照準』を、奪い尽くしていく。
「――最早、気付いても手遅れですよ。貴方の照準は『奪わせて』頂きましたから」
血霧が濃く、深くなる度に。コルテスの眉間に皺が寄る。下等な存在の血贄などという物で、侵略者(コンキスタドール)が惑わされるというのか?
けれども、弾は虚しく空を切る。捉えることの叶わぬ照準に――もう、意味はなく。
胸元から鮮血を滴らせながらも、優雅に血霧の世界を後にする魅夜は告げる。
「ではごきげんよう、挑発する価値すらない愚物よ。そして……哀れな神よ」
内側から噴出するように、呪われた鎖は傲慢なる者の内より『生みだされる』。
ただ、そんな惨劇を見遣るものは、何処にも居ない。
……事実は、血霧の向こうでのみ、分かるのだから。
大成功
🔵🔵🔵
火狸・さつま
しゅたっと華麗に着地する獣いっぴき
…そう、事あろうに、この戦場へ
狸っぽい色合いの狐姿で参戦!
人語会話不可能
ちょこりオスワリすると見せかけ『だまし討ち』
『早業』一足飛び、一気に距離詰め
尻尾に『オーラ防御』と炎纏わせ強化『属性攻撃』【粉々】
くるり宙返り『2回攻撃』避ける隙間さえ与えぬ程の広範囲へ『範囲攻撃』<雷火>の雷撃落とす
敵の動き『見切り』躱し
『オーラ防御』を毛の1本1本まで幾重にも重ね掛け張り巡らせて防ぎ
『激痛耐性』にて凌ぐ
『カウンター』瞬時に人姿へ戻れば
ケツァルコアトルに<彩霞>へ解呪属性の霧纏わせ『属性攻撃・衝撃波・範囲攻撃』
解ければ良いが
例え救えずとも
せめて神の誇り取り戻し逝けたなら…
●霧の向こう側で
――血霧が海風に攫われていった後。
不遜者は血に塗れ、敷かれた神も舞台上でぐったりとしていた。
ふと見遣ると―― ……奇妙な、狸のような、狐の姿が。其処には。
火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)なのだが、当然コルテスには知りようも無い。
ちょこんと座ったままの彼に一瞬だけ眼差しをくれた侵略者だったが、直ぐに眼を逸した。
……が、当然彼がここで愛玩動物っぽくそのまま眺めに来た訳では無い事も事実であって。
その瞬間、空へと飛び上がったタヌキツネはそのまま血に塗れた舞台ごと焔尾を振るって、叩き付けたのである。
突如の雷火と、舞台の崩落に、侵略者は慢心の身を起こそうとした瞬間。解呪の霧が振るわれる。
それは、さつまの願ったもの。神の身を縛る呪いへの抵抗。だが――
『彼』は、眼差しを以て、残酷な事実を答えた。
(――諦めよ これは此奴が我が身に課した二重の呪い 業腹だが、我が連れて行かねばならぬ)
骸の海という、永遠の地獄へと。
そんな眼差しが一瞬だけさつまと交差したかと思うと、神の絶叫が、大地を揺るがしていく。
「……最後まで役に立たぬ者め、何故私がこのような地で沈まねばならんのだ」
身体から血を流し、それでも悪態をつき続ける侵略者は、何処までも、不遜のままで。
事切れる瞬間まで、顧みる事など、無かった。
さつまはずっと見ていた。
一瞬だけ、『彼』自身の意志を見せたかのような神が、自らを敷いた者と共に、この地から消えていくのを。
……それが、最後の誇りだったのかもしれない、と。
大成功
🔵🔵🔵